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2014年12月15日 (月)

Bring Me The Horizen at Wembley Arena

以前勤めていた会社のトイレに入ると、チョットした宣伝ということで、その会社が配給をしているシンバルのエンドーサーの小さなアーティスト写真が飾ってあった。
「ブリング・ミー・ザ・ホライズン」…それがそのドラマーが属しているバンドの名前だった。「It's a Beautiful Day」とか「Johnny Hates Jazz」式の文章型のバンド名が妙に印象に残った。
何せトイレに入るたびに出くわすもんだから…。
加えて、その写真のドラマーはまるで小学生のように幼く、「こんな子供がエンドースしているのか…一体どんな音を出しているんだ?」と、そのバンドに少し興味を持ったのも事実だった。

それから大分経ったが、昨年のLOUD PARKで初めて音を聴いた。
こっちはあの可愛い顔をしたドラマーの印象しかないもんだから、その爆発的なメタル・コア・サウンドに驚いてしまった。
そして、Bring Me The HorizenはKNOTFEST JAPAN 2014にも出演し、大いにイベントを盛り上げた。

今日のレポートはそのBring Me The Horizen。
KNOTFEST JAPANのそれではなく、ロンドン公演のレポートだ。
Marshallのアーティスト担当、Joel Mananが写真を送ってくれたのでそのステージの模様を紹介する。

10_912月5日、会場はWembley Arena。
そう、Marshallの創立50周年を記念するイベント『50 YEARS OF LOUD LIVE』を開催した会場だ。
完全ソールド・アウト。

15このバンド、以前はアメリカのバンドかと思っていたんだけど、イギリス中部はヨークシャーの出身。
若い人たちの間では信じられないぐらいの人気を誇り、母国イギリスの他にも、ヨーロッパやアメリカのメジャーなロック・フェスティバルに頻出しており、Marshallの1960を30~40台並べることでも知られている。
でも、今回のこのウェンブリーのステージはチョット感じが違う。
下は仕込みのようす。
Joelも私と同じようなことをしてるんだナァ。

20いつもは普通の1960Bをドバっと積み上げるんだけど、今回は白で固めた。

30ヘッドは1959。キャビネット上段は1936。プラークは「JCM900」になっている。
下段は1960B。いわゆる「ワン・ハーフ」と呼ばれているスタック方式。
ホワイトのエレファント・グレイン・カバリングとフレット・クロス。ゴールドのラージロゴ。Status Quoでも出て来そうな…。

40あの轟音が蘇るようなショット!
まぁね、60~70年代のロックで育った輩にはまさに「What's going on」状態。何せ激しい。
こういうのばっか聴いていれば、そりゃ「Led Zeppelinのサウンドがスカスカ」に感じるわナァ。
ヤヤヤ、写真の右下に見えるのは…。

50JCM800 2203が3台。これが上手のソデ。
70v
下手側にはJCM900 4100が2台。
時が経って、どんなにロックが変わりゆこうとも、ロックはMarshallを必要としている。
結論 : Marshall never die!
そういうこと…。

60(2014年12月5日 London Wembley Arenaにて撮影 Special thanks to Joel Manan)

***** お 知 ら せ *****

1993 年に出版され、当時もっとも詳しかったマーシャルに関する書籍『THE HISTORY OF Marshall(日本語未訳)』を、マーシャルの創業50周年を記念し大幅に改訂・増補して2013年に出版されたのが『THE HISTORY OF Marshall THE FIRST FIFTY YEARS』。

B_original

そして、その日本語版がついに出来する!
レ アなアイテムを中心とした数百点にも及ぶ商品やマーシャルの歴史に名を残す重要人物のカラー写真(本邦初公開多数)、歴史的文書、ヴィンテージ・カタロ グ、販促アイテム、ミュージシャンや関係者の興味深い証言を満載してジム・マーシャルの波乱万丈の人生から、50年にわたって時代をロックし続けた名器た ちを立体的に詳述する。
マーシャル社が制作に全面的に協力したロックやギターを愛する者必携のマーシャル・バイブル!
なんて言うとカタっ苦しいけど、写真見てるだけでも十分に楽しいわ、コリャ!…という一冊。

J_cover

<内容>
ジ ム・マーシャル物語 爆音の父/Marshallサウンドの誕生/歴代のモデル(JTM45から新DSLまでを網羅)/スピーカー・キャビネット/50周年記念コンサート(コ レはマーブロが勝つな…/関連商品/Celestionスピーカーについて/マーシャル・シリアル・ナンバーの読み方…他、400ページ以上の充実したコ ンテンツ!

帯(腰巻)が付くとこんな感じ。

J_cover_with_belt
アンプ大名鑑[Marshall編]
著 者:マイケル・ドイル、ニック・ボウコット
監 修:ワタシ
発 売:12月19日(金)
体 裁:B5判/並製/400頁強(オールカラー)
価 格:本体4,500円+税

コチラでお買い求めになれます⇒amazon

2014年11月28日 (金)

VICTORY MOTORCYCLES+Marshall =MOTORHEAD? さらにBBC Four

ここ2日の車に続いて今日はバイク…単車の話題。
また英語かよ~…とおハラ立ちのことかもしれないが、この「単車」、英語で何というか?まず「オートバイ」ではない。
英語圏の人に向かって実際にこの言葉を使ったことはないが、おそらく「?」マークが相手の頭の上に浮かび上がるのではないか?
オートバイは英語で「motorcycle」という。

Frank Zappaに『Zappa in New York』なる超名ライブ盤がある。このアルバム収録の「Titties & Beer(おっぱいとビール)」という曲の中間部には寸劇が挿入されている。
その中で、悪魔に扮したTerryがZappa扮するバイカーに「モーラーサイコーメーン」とと呼びかける。つまり「Motorcycle man」、すなわち「バイク野郎」だ。「Auto-bi men!」などとはどう転んでも言わない。

日本でも明治時代に初めて輸入された頃は、「モーターサイクル」と呼んでいたらしい。それが大正12年(1923年、Jim Marshallが生まれた年!)に月刊誌『オートバイ』が創刊されてから、「オートバイ」という名前が定着したそうだ。
この時点で覚えなければならない英単語がひとつ増えたというワケだ。

こうした和製英語はわかりやすいし、我々の口にしやすくて便利なのだが、いちいちホンモノの英語を遠ざけて勉強の機会を増やしていることも間違いない。
「早期英語教育」と世の中では喧伝しているが、こうしたあまりにも何でもない単語の食い違いを是正することから始めるべきだと思うのだがいかがなものだろうか?

さて、今日はモーターサイクルの話題。
モーターサイクルや車は典型的なロックンロールの相方だ。イヤ、かつては、絶妙のコンビネーションだったといった方が正確だろう。双方、若者文化の象徴だった。
The Beach Boysの「Little Honda」や「Little Deuce Coupe」ではないが、今ロックと車のイメージを結びつける若者なんて皆無ではなかろうか?
YngwieとFerrariぐらい?
今は、ロックとゲームとアニメか…。

海外ではいまだにロックと車や単車のコンビネーションは健在で、双方向でイメージを高める手法がよく採られている。

車のこともわからないので、単車のことともなると尚更の門外漢な私なのだが、Marshallからこんな便りが届けられたので紹介する。

これらの写真は11月22~30日までイギリスはバーミンガムで開催されている『MOTORCYCLE LIVE2014』という展示会からのひとコマ。

「VICTORY MOTORCYCLES」というブランドのブースでMarshallが大活躍している。

05_2このVICTORY MOTORCYCLESというのは全米第2位のオートバイ(←どうしても言ってしまう!)・ブランド。Harleyのようなアメリカン・スタイルを採っているが、革新的なモダン・アメリカンを目指して、開発や設計に取り組んでいる。
「#LIVEFORMUSIC」の旗印の元、イメージを一新しているMarshallと方向性が合致したに違いない。

10_2こうした展示会にはつきものの美女たちもバッチリ!

20_2ギターを抱えて美女軍団の前でモーターサイクルにまたがっているのは…

30_2MOTORHEADのPhil Campbell!

40_2PhilはMarshallの50周年を祝うコンサート、「50 YEARS OF LOUD LIVE」にも出演し活躍した。
Philもとても気さくな感じで、実際に会うと「よきオヤっさん」という感じだったが、この人、私と歳がひとつしか違わないのね…ビックリ。

50_2 テール部のMarshallスクリプト・ロゴがイカすVICTORYとのコラボレーションで製作した「オート三輪」…違うか!齢がバレるな。なんていうんだろう?
英悟ではTrike Bikeというらしい。

60_2続いての話題。BBC。

J_img_0146_2本日11 月28日、午後10時(現地時間。日本だと明日の朝6時)からBBC Fourで「Play it Loud – The Story of the Marshall Amp」という番組が放映される。
BBCのウェブサイトで予告編が見れるのだが、若き日の(といっても60歳台ぐらいかな?)JimやKen Branがインタビューで登場している。ク~、見てェ~。
Marshallがどうやって作られたのかをシリアスなドキュメンタリー・タッチで構成している。
他にもPete TownshendやLemmy、Slashなども登場するらしい。
BBCのiPlayerってのがあればどうやら見れるらしい。でもナニこれ?
J_img_0147_2

予告編はコチラ…きっとすぐに見れなくなっちゃうからすぐに見て!

JimやKenが出てる~。

PeteやBig Jim Sullivanが出てる~。

コレは何としてでも全編見なくては!

(Thanks for the photos, Joel!  Thanks for the information, Craig!)

2014年11月14日 (金)

新しいMarshallの本!~The History of Marshall The First Fifty Years

2012年に創業50周年を迎えたMarshall Amplification。その節目を記念して大コンサートを開催したり、記念の限定モデルを発売したりしたことはみなさんよくご存じの通り。
それだけではなく、Marshallに関する書籍も発売されている。

10Marshallに関する書籍といえば、まず真っ先に思い浮かぶのは『Marshall Chronicle~50th Anniversary Edition(シンコー・ミュージックエンタテイメント刊)』(…だとうれしい)。
2012年12月に上梓されたいわゆる「マー本」。
日本人らしいキメの細かい内容で、一部のミュージシャンの間では「大人のエロ本」として愛でられていたらしいたことは記憶に新しい。

日本で唯一のMarshall社の社員として編集に参画させて頂き、文章の執筆だけでなく、企画を取り上げて頂いたり、掲載されているほとんどの写真を私が撮影したもので埋め尽くして頂いた。
私も、Marshall人生のひとつのまとめとして、また新たな勉強の機会として、徹底的に取り組ませて頂いた。
特にジムの波乱の生涯を柱にした「Marshallの歴史」に関するページには力が入り、何度も何度も読み直し、書き直し、考え直してひと夏をかけて完成させた苦心作だった。
このページのためではないにせよ、ジムの生家やMarshallの発祥地となったロンドンのはずれのジムの最初の楽器店への往訪記などは書いていて幸せを感じるほどであった。

それだけに書店に並んだ時はすごくうれしくて、周囲のお客さんの注意を促すよう、この本を開きながら何度も咳払いをしたり、本が後ろに隠れたりしていると、店員でもないのにこの本が前に来るように並べ直したりしたものだ。
この場をお借りしてシンコー・ミュージックエンタテイメントさんや関係者の皆様に改めて御礼を申し上げる次第である

15さて、日本ではギターに関する書籍はさまざまな形で編まれ、流通しているが、ギター・アンプの本となると、技術に関する本がわずかに散見されるものの、アンプという商品に関する本というとかなり少なくなってしまう。
何年かに一度、「アンプの本」的に楽器雑誌の別冊のような形でムックが出版される程度だろう。
そういう意味でも上述の『Marshall Chronicle』は手前ミソながら画期的な書籍だった。

しかしね~、アンプがなきゃギターはどうすんの?
時代の潮流なので、レコーディングならまだしも、ライブで卓に直接なんてダメよ、ダメ、ダメ。ドンとギターの音を風で受け止めなきゃ!
そこへ行くとKeith Richrdsはエライ。ダテに長いことThe Rolling Stonesやっちゃいネェ。
「ギターのことばっかり話しているけどよ、Leo Fenderが本当に偉大な知友はギター・アンプを作ったことなんだよ。そこんとこ夜露死苦」…このようなことを言ってらっしゃる。さすがのご慧眼である。

そのあたり、やはりアンプについての海外の認識や事情は違っていて、Marshallひとつ取ってもいくつかの書籍が流通している。
コレなんかはBluesbreakerに関することだけを扱った一冊。もちろん読んだ。結構おもしろい。

16これはおなじみ、英語版が輸入されて『爆音の父(The Father of Loud)』としていくらか出回っている。
コレは一体何回読んだことか…。Marshallの本ということもあるが、主役は半分Jim Marshall。
以前にも書いたが、工場へ行くたびにジムがサインを入れてお土産としてプレゼントしてくれるもんだから、ウチには裏表紙に「To Shige Jim Marshall OBE」と書かれたこの本が5冊ぐらいあって、宝物として大切に保存してある。(サインは後にDr. Jim Marshall OBEとなった)

13

ちょっと脱線するが、みなさん「Jim Marshallの本」ということでお間違いなきようにして頂きたいのはコレ。
フォトグラファーのJim Marshallの写真集。
下の2冊はこれまた私の宝もので、繰り返し眺めてはライブ撮影のためのインスピレーションを受けている。

18_2

19話しは戻って…
Marshallの本として長い間バイブル的に扱われてきたのコレ。「THE HISTORY OF Marshall(Hal Lenard Corporation刊)」。
コレもこれまでどれだけお世話になったことか…ボロボロになっちゃった。
30
先の「The Father of Loud」が出版される前は、工場のお土産はこの本だった。実際に私も2002年にジムから直接プレゼントして頂いた。
40
当時はもっとも立派なMarshallに関する本だっただけに、Marhall社としても大切に扱っており、こんな専用ケースまであつらえていた。
この本も英語版の原著は輸入されたものの、日本語版は結局刊行されなかった。

まぁ、いくら勉強しても英語で本を読むのはよっぽど「勉強するゼイ!」的な、ダイエットに挑む級の決心がなければなかなかにシンドイもんでしてな。英語キライじゃないけど、私だってイヤだよ。
だから日本語版の出版を望む声も多かったハズだ。

ところが、この本も1993年に出版されて以来改訂版が刊行されず、JCM900がもっとも新しい商品として扱われている、もはや古文書的な存在になっていた。

20それが、それが、それが!
装いも新たに日本語版が出ちゃうんだぜ!
じぇじぇじぇ!もはやこの快挙、「倍返し」どころの騒ぎじゃない。ワイルドだろう?!

著者は1993年版を表したMike Doyle。それにわが友、Marshallでアーティストやマーケティングの担当しているNick Bowcottが加わった。
Nichはご存知NWOBHMの旗手のひとつ、Grim Reaperの創始者であり、ギタリストだ。Nickとはお互いにTDMF(私)とADMF(Nick)と呼び合う仲。
Nickは大のMarshallマニアで長年にわたってMarshallを内から外から両面で見続けてきた人だけにここでも健筆を奮っている。

今回私は日本の出版社さんのご用命を受けて、全面的に監修のお仕事を頂戴し、苦しませて、イヤ、楽しませて頂いた。

150_2 見て!この厚さ!英語版原著のページ数は392ページにも及ぶ。
今や厚い部類にはいるであろうiPnone4Sがはるかに薄く見える!

55今回は、サブ・タイトルの「THE FIRST FIFTY YRAS」が示すように、Marshallの創業50周年を記念して上梓されたもので、思いっきり最近の情報まで盛り込まれている。
1993年版同様、シリーズごとに商品の詳細が解説されているが、前回はJCM900で終わっていたのに対し、今回は新DSLシリーズまでを網羅している。

そして何よりスゴいのは写真。
オールカラーなのだ!カルメンもビックリの総天然色!

60
何しろ以前のヤツはカラー・ページが挿入されてはいたものの80%以上の写真がモノクロで役場の書類みたいだったからね。

Capriの愛らしい赤も、Mercuryの美しいオレンジ色も…

80
6100の誇らしげなゴールドシャシやクールなブルーのカバリングも…

90
さまざまな広告もすべてカラーで再現されているのだ!
100

それとね…ココだけの話し…写真自体がスゴイのよ…。
私も何度も工場へ行っていろんなものを見せてもらって来たけどね、初めて見る写真がテンコ盛りなの。
「Marshall Chronicle」を編む時にもJimのかつての執務室(会長室)に入り込んで部屋の隅に積み上げられていたメッチャ古い販促物なんかをヒックリ返して見せてもらっったんだけど、今回この本を見て思った…「チッ…出し惜しみしやがって…」ってぐらい。
実はコレにも理由があって、今回の制作にあたってMarshallが管理している写真だけでなく、今回のために、外部からも個人蔵を含む多数の写真を集められたのね。だから決してあの時出し惜しみされてたワケじゃないということもわかった。

ハッキリ言って写真を眺めているだけでもこの本の価値があるってもんでわ。
と思ったらアータ、今回は日本語版が出るんじゃないの!
コリャ文句のつけようがないでしょうに。

70おかげで今、校正で第二の地獄を見ております。

第一の地獄は監修の作業。これがですね、ヨシャいいのに原文にはたくさんのロックや海外の文化に絡めた隠喩が使われていて、翻訳者さんがいくら正確に英文を訳してくれていても、文章を読んで意味が通じない。これを読み解くには、辞書と他のMarshallの本と、一番頼りのインターネットと都度格闘ですよ。もちろん原文もよく読まなければならない。もちろん一冊読破しました。
で、辞書でもインターネットでも、どうしてもわからないミュージシャンの専門用語のような部分はイギリスとアメリカの友達にメールをして教えてもらった。Nickやマーブロによく出て来るSteveにもずいぶん助けてもらったワケ。

またね、冗談が困るんですよ。原文でいくらうまい冗談を言っていても、日本語に訳すと何の意味もなくなっちゃうでしょ?もちろんそれを生かそうと四苦八苦したけど、うまくいくワケがない。
特に多いのがロックの名曲にひっかけるヤツ。おかげさまで、古いネタはほとんどわかるんだけど、邦題がガッチリ普及していたり、訳すと「何のことやら?」になってしまう。

これはね、結局は極上の神戸牛をハンバーグにしちゃうようなもの。だから海外の映画や音楽でどれだけ損をしているかわからない。
余談だけど、映画の字幕はスゴイ。プロから聞いたことがあるが、一般に、一行に14文字、1秒に6文字読むことを計算して日本語を付けているそうだ。みなさん何気なく字幕を読んでいるだろうけど、一流の翻訳家はこんな厳格なルールに従って字幕を付けているのだそうだ。これに不可解な冗談を織り込むんだから翻訳のウルトラCだ。
反対にスゴイのあるでしょ。比較的マイナーなミュージシャンの映像作品なんかに見られる一行30字ぐらいで三段積みになってたりする字幕。般若心経か?みたいな。
『スパイナル・タップ』とかZappaのなんかもヒドかったな。
ただ、映画の場合は聴きとる作業はなく、英語の台本が送られてきて時間があれば机上でジックリ訳を考えることができるそうだ。。

…ということで完成のあかつきにはそんな苦労も読み取っていただけるとありがたい。

110表紙は日本版オリジナルで、タイトルとしては『アンプ大名鑑 <マーシャル編>』ということになる。<マーシャル編>というのは先に<フェンダー編>という本が出ているため。
Keithのセリフの通り、FenderはMarshallの大先輩だし、JTM45の元はBassmanということはよく知られている話し。だからコレでいいのだ。

で、当然表紙をここでドーンとお見せしたいところなのだが、現在制作中。昨日ウチのハンブルなスタジオで私が使用する予定に写真をリクエストにお応えして撮影した。使われるかどうかわからないけど、コレもゼヒお楽しみに!

120_2Marshallは音を出す機械で、この爆音がロックを変えたことは否定しようのない歴史だ。それもジムなりに音楽の将来を予見して、ミュージシャンのリクエストやアイデアを具現化させただけなんだけど、いずれにしてもLeo Fender、Les Paul、Seth Loverの偉業に比肩する業績を残したことは事実だ。

この本の仕事をしている間、何百枚というMarshallの写真を見ていて思った。
StratocasterもLes PaulもP.A.Fもナニがいいってどれも例外なく見た目が抜群にいいよね。絶対に古くならない。
やっぱりとりわけMarshallは素晴らしい。
黒、金、白、一点の赤…これは、ミッキーマウスの黒と白と黄と赤と同じだ。これしかあり得ない。色だけでイメージを作っている。これはギターと大きく違うところだね。
そして流麗なMarshallのスクリプトロゴ。
ギター・アンプ数あれど、どんなに離れていてもMarshallだけはMarshallとわかる。
ハッキリ言わせてもらうけど、やっぱりMarshallが一番カッコいいよ。
したがってMarshallがステージで大活躍するロックがもっともカッコいいことも事実だ。
先に挙げたパイオニアたちのブランドとともに音の面でも、見た目の面でもMarshallはロックを格段にカッコよくしたのだ。

130v_2さて、この本のリリース情報。

タイトル : アンプ大名鑑[Marshall編]
著 者  : マイケル・ドイル、ニック・ボウコット
監 修  : 牛澤 滋由貴
訳 者  : 水科哲哉、脇阪真由
発 売  : 12月19日(金)予定
定  価    :  4,860円(税込)
出版社  : スペースシャワーネットワーク
体 裁  : B5判/並製/400頁強(オールカラー)、限定2,000部
 
詳しくはコチラ⇒amazon.com

ジムも今回の日本語版の出版をよろこんでいることだろう。
「日本の皆さんワシのMarshallをよろしくな…フォッフォッフォッ」…なんて声が聞こえてきそうだ。

M_img_0030クドイようですが下は英語版。表紙は差し替えられます。完成次第お見せします。

150音楽好きの彼にプレゼントするもよし、女流シュレッダーの彼女とのクリスマスの話題にするもよし、イングリッシュ・エールを飲みながらおコタに入ってジックリ読むもよし…。
みなさん、泣いても笑っても2,000部の限定です。
シッカリ校正やっときますんで、どうぞよろしくお願いします!

M_ale_

2014年7月18日 (金)

FURTHER EXPROLATIONS~mintmints最新情報!

とある都内のレコーディング・スタジオ…

10スタジオ内の演奏を聴きながらエンジニアの作業を見守るのはSHARAさん。

20vスタジオの中にはてらちんとテツさん。そう、mintmintsの新曲のリズム録りの真っ最中なのだ。

30スピーカーから流れ出るベースとドラムの音にすべての神経を集中させるSHARAさん…と思ったら寝てた…というのはウソ。

40一旦演奏を終え、ミキサー室でプレイバックに聴き入るてらちん。

50…そしてテツさん。
今日はsun-goさんは残念ながら欠席。別の現場で同じようなことをしている。
70v
みんな自分の音にはとてもシビアだ。
レコーディング現場に立ち会っていつもスゴイと思うのは、プロはどんな短い個所でも自分が弾いた音を覚えていて、いとも簡単に気に喰わない場所を撮り直せることだ。
こちとら、どんなに時間をかけても何の文章を書いたかすぐ忘れてしまうというのに!

それと、ほんの微細なミスも絶対に許さない完全主義。
私も傍らでプレイバックを聴いていると、どんな小さいミスでもすぐわかるが…とカッコつけたいところだが、サッパリわからん。
「エ、今の一体何が悪かったの?」ってな具合。
聴いては撮り直し、聴いては撮り直し…これを延々と繰り返すワケだ。

私は飽きちゃってこういう作業は見ているだけでもすぐシンドくなんてしまうが、プロは違う。これがミュージシャンのもっとも大切な仕事なのだ。
曲を作って演奏して、CD(レコード)という物理的な商品のネタを制作するのがミュージシャンの一番大切な仕事だと思うのだ。
ライブ・コンサートやタオルを売ることがミュージシャンの一番大事な仕事ではないハズだと信じている。

60EARTHSHAKERに、mintmintsにと、着実にCDを発表し、創作活動を果敢に続けるSHARAさんには大きな拍手を送りたい…今、寝ちゃってるけど。寝てないってば!

80vこの日、取り組んでいたのは「ECHO」という曲。コレがまたいいぞ!
mintmintsのニューアルバムは9月のリリースを予定している。

90さて、時と所が変わって…。
ニュー・アルバム収録曲のPV撮影現場。
とても暑い日だった!

100暑さにめげず集まった4人。
石原SHARA慎一郎

110v五十嵐sun-go美貴

120v寺沢功一

130v向山テツ
250v
4人そろってmintmints!

150ここ、撮影スタジオなんだけど、トタン屋根でヤケクソに暑い!ビニールハウスの中にいるようなもの。
…なので、一回撮っては階下のエアコンの効いた部屋に下りて汗を引かせるということを繰り返した。

160曲は「Aladdin」。ポップでありながらの~、ハード・ドライビン!まさにmintmintsの真骨頂!

170vもう後は暑いのを隠して撮影に没頭するメンバーの皆さんの懸命な姿を楽しんでくだされ!

180今日のギターは黒。

190vステージ上さながらの激しいアクション!

200

205v

206てらちんも絶好調!

210v今回もヘビィでよく練られたベース・ラインで聴く者を楽しませてくれる。

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230vテツさんが一番暑かっただろうな~。

240

2m_img_0111

2m_img_0220 さて、sun-goさんファンのみなさん、お待たせしましたッ!

265PVではsun-goさんもバッチリとフィーチュアされてますからね~!
280
新しいギター「Fairy」を携えての出演。

270v休憩時間にこのギターをイジらせてもらったけど、音のバランスがよくていい感じ。ネックも適度に細くて弾きやすい!アクションも実に心地よかった。sun-goさんの新しい相方にふさわしい出来だ。

290v暑くてもポーズはバッチリ。

300v「アヅイ~!」
「カット!」の声とともに冷風に当たるsun-goさん!

M_img_0081曲中にはふたりのツイン・リードのパートも!

310v

320

330さすが完璧なコンビネーション!
私が見ていた限りでは振り付けは何の打ち合わせもしていなかったような…。

340この他にもSHARAさんの曲解説も収録された。

350それともうひとつハイライトが!
それはてらちんの名司会に乗って、4人がファンの質問に答えるというコーナー。
テツさんがノリノリでメッチャおもしろかった!笑い声をこらえるのに苦労したわ。ま、どれだけ収録されるのかは知りませんが…。

とにかく見ていて、仲が良くて楽しそう!mintmints入りたいわ!
この雰囲気の良さが、新4大インスト・ロック・バンド一角の音楽に現れるんだろうね。
とにかく9月のリリースが楽しみだ!

360mintmintsの詳しい情報はコチラ⇒Official Website

Img_0718_2 (一部敬称略 2014年7月15~16日都内某所にて撮影)

2014年6月27日 (金)

【追悼】小川文明さんのこと

2014年6月25日、ありとあらゆる音楽ジャンルにおいて活躍し、日本の音楽シーンにその名を轟かせた名キーボード・プレイヤー、小川文明さんが天に召された。享年53歳。

B_img_0651_2実は私の文明さんとの関わりはそう古くなく、始めてステージを拝見したのがこの2010年の7月に催された50歳のバースディコンサートのことだった。
しかし、それ以前より「Black Page」や「Suzy Creamcheese」などという文明さんのバンドの名前に親しみを感じていて、いつかお近づきになりたいと日頃から願っていた。双方Frank Zappaの代表曲の名前だ。

Flyer_2「こういうのがあるから見に来ない?」と令文さんに誘われてMarshall Blogの取材でお邪魔し、ついに文明さんのステージを拝見した。

B_img_0613 行ってみるとコレが最高のショウで、今、当時のMarshall Blogの記事を読み返してみるといかに自分が大満足したかのようすがよくわかる。

B_img_0423_2Bob Dylanの「My Back Pages」をKeith Jarrettのアレンジで、しかも日本語を乗せて歌ったのがものすごく印象に残っている。
このKeithのアレンジは当然、インストルメンタルで、ハッキリ言ってDylanのバージョンより格段に切なく、美しく、まるで違う曲のようで、私はこのKeithの演奏が大好きだった。
それにあの文明さんのウォームな声で、しかも日本語の歌詞を乗せたところがあまりにも素晴らしかったのである。
それとPaul McCartneyの「Junk」も感動的だった。普通こんな曲を演る人はいないからね。
B_img_0418この鍵盤ハーモニカのソロもよく覚えている。Donard Fagenみたいにカッコよかった!
B_img_0521_2出演者全員から50歳の祝福を受けて、文明さんは始終うれしそうにしていた。

B_img_0435アンコールはDave Masonの「Feelin' Alright」を歌って大いに盛り上がった。

B_img_0725_23時間を軽く超す長丁場だったが最高に楽しかった。

B_img_0732_3ところで、文明さんはギターをお弾きになったものの、もちろんキーボード奏者でMarshallは関係ないと言えば関係ない。
しかし、文明さんはMarshall Blogにご登場いただいた回数が最も多いキーボード奏者のうちのおひと方なのだ。
それは和佐田達彦さんのバンド、SPICE FIVEに参加されていたからだ。

「今度こんなバンドに参加します」…と田川ヒロアキさんから情報を得、駆けつけた。第1回目、つまりデビュー・コンサートからお付き合いさせていただいたのだ。
すなわち、2011年1月10日、高田馬場の音楽室DXに出演したSPICE FIVEで文明さんにお会いしたのが2回目だった。

S5_1_1_2SPICE FIVEは音楽達人たちの即興演奏と筋書きのない爆笑トークをセールス・ポイントとしているバンド。

S5_1_2_2この時もよっぽど楽しかったらしく、当時のマーブロの記事を読むと「このバンド、個性のかたまりで実におもしろい。ずっと続いてくれることを望む」などと記している。

その望みがかない、そのひと月後、2011年2月16日にもDXを訪れた。

B_img_1731_23つ前の写真とほぼ同じだが、違う日に撮影したモノ。

B_img_1560_2ひと月前のステージに引き続き、2回目も相当楽しんだようで…
『演奏は極めてシリアスなのだが、曲間のMCが異常なまでにおもしろい。和佐田さんと文明さんという最高のエンターティナーがいるから当然か?今日は「似てる」シリーズで盛り上がった。
「完全無欠のロックンローラー」とWeather Reportの「Birdland」って似てへん?」と文明さん。こういう落差の大きい比較がおもしろい』

文明さん「♪つっ~ぱって」のところを指していらっしゃる。「エリンギ」と「レギンス」の区別がつかないという話しとかね…。

B_img_1619
爆笑したのがコレ…
『文明さんの「似てる」シリーズではホント腹が痛くなるほど笑わせていただきました。何かの加減でアフロ・ヘアの話しになると突然、「ナァ、レッツゴー3匹の長作ってスタンリー・クラークに似てへん?」と言い出す。もうこれにはハマッた。長作とスタンリー・クラーク…この溝がおもしろい!終演後もうひとつ教えてくれたのが「ショーケン(萩原健一)とジャコ・パストリアス…どやッ?」!』
さらに、後日わざわざ私のところに寄って来て「ナァナァ、桂三枝とブライアン・フェリーって似とるやろ?」…というのも笑ったな~。

お笑いネタはトークだけでなく、音楽的に私の好みに合致した。
『話しがマイルス・デイヴィスに及び、突然「ピノキオ(『Nefertiti』収録)ってどんな曲やったっけ?」とピラピラといかにも適当にピアノを弾いて「あの頃のマイルスの曲って何を弾いても合ってまう…」とボソッとおっしゃる。もうコレがおかしくて、おかしくて!思い出せば思い出すほどおかしい!』
この当時のMiles Davis Quintetといえば、音楽的に最も高度な時期で、名実ともに世界最高のジャズ・コンボだった。それをこうしてギャグに当てはめてしまうところが何ともスゴイ。

「高田の馬場ラーメン戦争」という曲では大胆にChick Coreaの「La Fiesta」のメロディを突っ込んでみたり、音楽を知っていれば知っているほど楽しめるのが文明さんのパフォーマンスだった。

B_img_1804_2その後、東日本大震災が起こり、しばらくの間、Marshall Blogが休刊した。

そして、その再開第一弾の記事もSPICE FIVEだった。おそらく休刊中に取材したSPICE FIVEのステージのもようをいち早く読者に伝えたかったのだろう。

2011年3月30日、SPICE FIVE、3回目のステージ。この日は怪獣に話しが及んだようすで…「ゴジラ⇒ゴジラの使いまわしのジラース⇒怪獣博士⇒ゴモラ⇒ソドムとゴモラ⇒へドバとダビデ⇒♪ナオミ・カムバック…ときて文明さんが「B面がヘブライ語!」と落とす。爆笑!』…なんて展開になっていた。

B_img_0332_3当時SPICE FIVEは、ほぼマンスリーで音楽室DXに出演していて、翌月にも(4月20日)取材に出かけている。
この時はダイエットが話題になり…『和佐田さんおすすめの「下痢ダイエット」…と聞いて黙っていられないのが文明さん。すかさず…ゲイリー・ピーコック!』
私的にはGary MooreでもGary CooperでもなくGary Peacockというところがうれしかった。Keithがお好きだったんですね。

B_img_0413_2この時は珍しく「Little Wing」を歌われている。

B_img_0349そういえばこんなこともやった。
SPICE FIVEはといえば「音楽達人」の集団。楽器を巧みに操るメンバーの手を紹介する…というもの。
コレは弾き方が間違っていますね!

B_img_0365文明さんの手。

B_img_0361この日の〆は文明さんのオハコ、Dave Masonの「Feelin' Alright」。

B_img_0534_23回目ともなると大分慣れて来て、文明さん、客席に乱入。
『「前に座ってる人は運が悪いです!」と前列のお客さんにひとりずつ絶唱させた!』
さらには…
『森進一バージョンも登場!「こんばんは、森進一です。今度レッド・ツェッペリンというバンドに入りました!」と「移民の歌~森進一バージョン」を交える。全員大爆笑!しっかしミュージシャンってこんなことばっか考えてんだよね~!最高!』

ホントにおもしろかったな~。

B_img_0528_2文明さんはその豊かな音楽的素養を活かし、さまざまなユニットで活動されていたが、これのそのうちのひとつ…小川田川。
2011年6月8日に一度だけ取材している。
B_img_0697_2ここではお互いのオリジナル曲を持ち寄り演奏するという内容がメインで、SPICE FIVEを「動」とするならば、メンバーの少なさもあって小川田川は「静」というイメージで、しっとり系の文明さんを味わうことができた。
B_img_0724Randy Newmanの曲なんかも演奏していたな…イメージがピッタリだもんね。

B_img_0735_2ステージの合間の休憩中にカンパイ!

B_img_0772_22011年の6月にもSPICE FIVEは音楽室DXに登場したが、海外出張かなんかにあたってしまい、見逃さざるを得ないこととなり悔しい思いをした。1回目から皆勤だったからね。
そんなだから次の7月15日は早くから予定を空けておいた。

B_img_0011よく覚えていないのだが、どうも文明さん「ダイアナ」を歌われたようで…
『文明さん曰く、「昔のムード歌謡のリードボーカルの人って何で時々ヨーデルみたいになるんやろな?」っと実演。もうこれがメチャクチャおもしろくて…もうハラ痛いわ。平井堅のモノマネも大披露!』…などと記録に残っている。
B_img_0143和佐田さんとのトークのコンビネーションは絶好調…
『ナゼかここで文明さんから和佐田さんに質問。「ナァ、パフュームとゴールデン・ハーフってどっちが好き?」 なんでこんな質問?
和佐田さんから「それはわからんナァ、でもな、友達がホンマに間違うとってん。『バキュームのポリタンク』って…」
すかさず文明さん「それはないヤろう!」』…こんな調子。

B_img_0100文明さんは写真もお好きで、持参した自分のカメラを私に預けては、「演奏中の自分を撮ってくれ!」と頼んで来てくだすった。
ところが、そのカメラがコンパクト・カメラの割にはズームのない単焦点レンズのカメラで、アップで撮るのがすごく大変でいつも苦労した。
こちらもマーブロ用の写真を必死に撮影しているワケで、時として文明さんのカメラで撮ることをすっかり忘れちゃったこともあったっけ。
でも、やさしい文明さんはいつも「よ~撮れとるで!」とよろこんでくれたのがうれしかったな。
B_img_0037この日はRay Charlesの「What'd I Say」を熱唱された。
そこでこんな仕掛けも…
『よく聴いていると文明さんはクライマックスで「Keep it greasey so it'll go down easy!」と絶叫しているではないの!これはもちろんフランク・ザッパの『Joe's Garage』収録の「Keep it Greasey」。聞けば私のために歌ってくれたのだそうです。まったくありがたいこってす!』
コレも相当にうれしかった。

B_img_0150翌月にも取材をしている。2011年8月12日の音楽室DX。
みなさん、どれも同じ写真とお思いかもしれませんが、全部違う日に撮影したモノだからね!着ている服を見てもらえばわかるけど…でもこうして見ると、文明さんは赤系統の服が多かった。
B_img_0641お笑いなのかマジなのかわからない音楽トークも楽しみだった…
『上戸彩ちゃんが歌う「カップスター」のCMソング。「カップスター、食べたその日から~」 ってヤツね。文明さんが言うには「味のトリコに、トリコになりました」の2回目の「トリコ」の「ト」はブルーノートにするべきで、あんなに軽く歌って欲しくないという』
こんな調子。
もっともコレには和佐田さんの最高の切り返しが待っていて…
『すかさず和佐田さん、「ちょっと彩ちゃんにはブルース・フィーイングがなかったのかな?同じ<戸>でも綾戸智恵さんならブルーノート楽勝なんですけどね」(大爆笑)』

B_img_0681さらに…
『お店の酎ハイがおいしいというところから今度は焼酎論議へ。文明さんの鹿児島弁講座も大爆笑さ~↗
そして、文明さんの歌コーナー!今日はウィルソン・ピケットの「Mustang Sally」をチョイス。今日は文明さんなんだかノリが激しいゾ!』
「歌のコーナー」なんて書いてある。コンサートだから音楽が主体のハズなのに!それほどトークも充実していたということ。
もちろん文明さんなくしてはこうはいかなかった。

B_img_06942011年9月29日。故意にモノクロで撮った。
何しろ毎月取材しているので、写真がどれも同じになってしまうためマンネリから脱却するため何か変化を与えたかったのだ。
さっきの「手の写真」もそうだが、SPICE FIVEはMarshall Blogの実験の場という側面もあったのだ。

Img_0002文明さんはお元気なころfacebookに毎日ご投稿されていて、ひとつは「朝バッハ終了~!」というヤツ。指のトレーニングで毎日バッハを弾かれていたようだ。
それと、朝のコーヒー。実は私はコレを案外楽しみにしていた。
どういうことかというと、文明さんが珈琲を飲みながら聴いたCDを紹介してくれるのだが、グレン・グールドから軽いシンガーソングライターの作品まで、そのバラエティたるや尋常ではなく、自分も同類(のつもり)だけに「文明さん、こんなんも聴いてるのか~」といつも参考にさせて頂いていた。
同じくamazonにオーダーされていた本にも興味津々だった。「トッドの本、どうでした?」「おもろかったで!」なんて話もしたっけ…。

B_img_0089キーボードだけではなく、みんな文明さんの歌も大好きで、確かこれは透さんが文明さんにリクエストしたと記憶している…
『ジョー・コッカーの『Mad Dogs and Englishman』の最後に入っている「Delta Lady」。元はLeon Russell。1970年の『Leon Russell(あの「A Song for Youが入ってるヤツね」)』収録。いい曲だよね~。確かにLeonのネバネバのダミ声よりも爆発的なコッカーのダミ声の方がいいかもしれない。だから文明さんにピッタリだ!』

文明さんはこの「Delta Lady」という曲をご存知なかったようだが、「気に入った!」とおっしゃってその後のステージでもお歌いになられていた。この時が初演のハズだ。
B_img_01739回目のSPICE FIVE。
B_img_0089またこんなことをやっていた…
『文明さんによると、ボラギノールのに使われている音楽はキーが「G」なんだそうだ。加えて太田胃散のCMで使われているショパンの『前奏曲7番 Op.28-7』の調子ははキーが、そう…「E」なんだって。ホンマかいな?
アンプのスイッチを入れたままギター・ケーブルの先っチョを触って出るジージーいうノイズが「G」だとかいう話しは聞いたことあるけどな…ここで訂正、太田胃散のショパンは「胃腸調」イヤ、「イ長調」だそうだ』

真剣な鍵盤を叩いているのはWayne Shorterのブルース・ワルツ、「Footprints」。

B_img_0060

この日も「Delta Lady」と「Feelin' Alright」を熱唱された。
B_img_0110この2011年11月9日のステージを最後に私はSPICE FIVEから遠ざかってしまった。
この翌月の末で当時勤めていた会社を辞めたからだ。退社にともないMarshall Blogも終了し、閲覧することもできなくなった。
その後、さまざまな理由でSPICE FIVEを観に行くことはかなわなかったが、先月復活することができた。ついに2年半ぶりにSPICE FIVEを観たのだ

B_img_0058しかし、そこに文明さんの姿はなかった。
2011年11月9日の9回目のSPICE FIVEのステージが最後になってしまったのだ。
ああ、2年半の間無理をしてでも観に行けばよかった。今、とてつもない悲しさと後悔の念にさいなまれている。
410v稀代のエンターティナー、小川文明…。
エンターテイン(entertain)とは「人を楽しませる」という意味だ。「小川文明」の同義語だ。

この偉大な音楽家の芸術的遺産は色々な形で残され、後世まで親しみ継がれていくことだろう。
しかし、それでは文明さんのエンターティナーぶりをすべて網羅したことにはならない。
本当に人を楽しませ続けた文明さんの音楽以外の側面も記録されるべきと考え、ほんの一時期の一端ではあるがここに収録させていただき、Marshall Blogからの弔意に代えさせて頂いた。

腹の底から笑ったトークも時間が経つとおもしろかったことは覚えていても、細かい内容は忘れてしまうからね。
私がMarshall社の命を受けてこのBlogを書き続けている限り、この記事が削除される心配はもうない。お世話になった割にはこんなことしかできなくて恥ずかし限りではあるが、いつでも文明さんのエンターティナーぶりを楽しんで頂くことができるのではなかろうか?
文明さんの音楽作品を聴きながらいつでも好きな時にコレを読んで故人を偲んでいただければうれしく思うし、文明さんへの追悼になると思う。


文明さん、素晴らしい演奏と楽しいステージをありがとうございました!!
どうぞ安らかにお眠りください…

B_img_0490_2

2014年6月11日 (水)

NATALを手で叩いてみた!! by てぃっしー (ニタニタ動画)

それにしてもこの人の人気はすさまじい。今、「好きなドラマーは?」の問いに最も数多く名前が挙げられるのが「ブライアン・ティッシー」ではなかろうか…。
Bt今さら触れるまでもなく、ブライアンはNATALのドラマーだ。

Acrylickit私なりのブライアンのドラミングに対するイメージはとにかく「音楽的」であると思う。その叩姿は、まるで歌を歌い、ギター・ソロやカッコいいギター・リフを弾いているかのようだ。

や はり、こうしたことは洋の東西を問わず、日本の売れっ子ドラマーさんたちにも同じことを感じる。そしてそういうドラマーのプレイは、レガートならレガー ト、スネアならスネア、バスドラならバスドラ、それだけ単体で聴いていても飽きることがない。そしてキマってうるさくない。音は大きいのにうるさく感じさ せることがない。
反対にやたら手は早く動くし、パワフルなのだが、うるさくてとても聴いていられないドラマーもいるがアレはツライな…。音楽を根こそぎブチ壊してしまう。
ドラムってのはプリミティブなだけに、プレイヤーの素養や資質がモロに出てしまうからおもしろい。

Bt_img_0083 Marshallの創立50周年記念コンサート『50YEARS OF LOUD LIVE』でもハウス・ドラマーとして大活躍してくれた。

Bt_img_0172 そのブライアンが主宰しているのが、敬愛するジョン・ボーナムへのトリビュート・コンサート『BONZO BASH』だ。
「bash」というのはアメリカの俗語で「にぎやかなパーティ」を意味する。日本語的に言えば「ドンチャン騒ぎ」となろうか?ドラムだけに「ドンチャン」だ。

Nm_img_2497_2コレは2013年のNAMMの時に開催されたBONZO BASH。
この時のことはすでにMarshall Blogでレポートしている。
演奏される曲は当然すべてZeppelinナンバー。私もキライじゃないからね、そりゃ楽しいですよ。
ところが、時差ボケの状態でMarshallの連中と軽くイッパイやりながら爆音の中にいるともう猛烈に眠くなっちゃってね…。
翌日、「シゲ、昨日のBASHどうだった?」なんて訊かれて、「最高、最高!Zeppelin好きだから!」なんて言ってたら他のヤツに「ウソつけ!シゲ、オマエ思いっきり舟漕いでたじゃねーか!」なんてからかわれちゃったりしてね。
でも、コンサートの内容はとてもヨカッタ。

Nm_img_2444その中でブライアンは何曲かギターを披露した。

Nm_img_2508後日会ったブライアンはこの刺青を見せてくれた。
へ?コレ、ジョン・ボーナムのマークじゃなくてジミー・ペイジじゃん?
ブライアンは大のジミー・ペイジ・ファンなのだそうだ。

Nm_img_3123ブライアンにもらったピック。
ブライアンのドラミングが至極音楽的なのはこういうこと、つまり、ドラム以外の楽器もよく知っていて、音楽全体を考えてのプレイを心掛けているからなのではなかろうか?

Nm_nm_nm_img_3544 さて、今年も開催されたBONZO BASH。
その中で鳥肌モノのブライアンの動画がアップされていたので紹介する。Zeppelinの新企画盤も発売されたことだしちょうどいいタイミングじゃん?!
スティックを使わない手によるドラム・ソロ。もちろん「Moby Dick」のアレだ。

今年の1月、ニュージャージーでの演奏。アキれるほどカッコいい!
見りゃわかるけど、ドラムはもちろんNATAL。
Acrylickit2オマケ的に他の動画も…「アキレス」。
ちなみにこの「アキレス」は英語圏の人たちは「アキリース」と発音する。「アキレス」ではまず通じない。
コレで一番困ったのが「ケンタウロス」。あのエフェクターを指して言おうとしたがトコトン通じなかった。
アレ、「セントァ」と「セ」にアクセントを置いて発音する。ゼンゼン違うじゃねーか!

早 期英語教育もいいけどね、こういうことも教えておかないと英語圏の人と話しをする時に恥をかく。英語は出来るようになるかもしれないが、「英語の文化」に 丸っきり無知であることが露呈してしまう。これだといくら英語がうまく話せても「世界の田舎者」としてバカにされ続けちゃうよ。

もう一発、「Kashumir」。
このあたりの曲は絶対にコンサートの佳境で演奏されるので、私には実物を観る機会は永遠に来ないかも…舟漕いでるから!

NAMM 2013でのBONZO BASHのレポートはコチラ

NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
日本語版は只今準備中です。

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

2014年6月 1日 (日)

NATALでこんなことやってら!

May_img_0064 チョットおもしろいフランスの動画を紹介する。
それにしてもNATAL音よし!



明日も普通にマーブロをアップしますのでチェックよろしくです!

2014年5月15日 (木)

Marshallのポテンシャルを200%引き出す人のDVD~三宅庸介の教則DVD

エレキ・ギターが世に出てきて60年以上になるのかしらん?「エレキ」もいつも間にか「エレクトリック・ギター」って呼ばれるようになったね。

ある偉大なギター製作者が生前嘆いていたそうだ。
彼は自分の名前を冠した会社で知らない者はいないほど有名なギターを開発した人。晩年は自分のギター・ブランドを新しく立ち上げた。しかし、思ったようにうまくいかない。
「車でもテレビでも、消費者は必ず新しいモノを欲しがるのに、何だってギターはいまだに古いモノばかりがもてはやされるんじゃ!ワシが昔作ったものより、今作ったモノの方がよいにキマっとる!」
…とヴィンテージ至上主義のギター・マーケットに大きな不満を抱いていたらしい。
匿名が多くて恐縮だが、コレはその偉大なギター製作者の愛弟子で、世界のスタンダードのひとつとなったブリッジを開発したイギリスの友人から私が直接聴いた話しなのでウソではないだろう。

弾き込んで時間が経つとギターの音が良くなる…とよく言うが、これは科学的にも立証されているらしい。
長い間弾き込まれることによってギターに与えられる振動が、はじめは不規則に並んでいる木の組織を規則正しく並ばさせ、振動率が改善されていくのだそうだ。
だから、古いギターの方がよい音がするという理屈は成り立つらしいのだが、このギター製作者の気持ちもよくわかる。

そして、60年の間にエレキ・ギターというものが一体何種類ぐらいこの世に生を受けてきたのだろう?数万?数十万?全然見当もつけられないな…。
で、結果、ナンダカンダ言っていつの時代もストラトキャスターとレス・ポールに収斂されてしまうよね。
製造と販売に関して、この2種類のデザインで歴史的にどれだけのシェアを確保してきたんだろう?
半分ぐらいはストラトとレスポールなのかな?もっとかな?これまた見当がつかん。
そういえば、「レスポール」の場合、省略して呼ぶ人見たことないな。「レス」とか「ポール」とか…。

それじゃストラトとレスポールの普及率ってどっちが高いのね?
経済的な理由もあるし、ストラトキャスターの方が強い感じがするな。
ビジネスを考えず人のブランドの状況を無責任にアレコレ勝手に想像するのはおもしろいな。

ナゼにストラトキャスターに人気が集まるのか?
かくいう私も最初に買ったのはストラトキャスターのコピーモデルだった。理由はイトコのマネをしただけ。私より幾分年上のそのイトコはナチュラルのストラトキャスターのコピーモデルを持っていた。リッチー・ブラックモアのファンだったからだ。
あの頃(1970年代中盤まで)の男の子は一度はDeep Purpleに憧れたからね。
「音がどうの」なんてのは後からわかることなので最初は憧れのスターや形で選ぶのも当然のこと。

今、ギターを手にする若い人たちはナニを基準にギターを選んでいるんだろう?我々の時と違いにギター・ヒーローが完全に不在なワケじゃん?
14、15歳の子が楽器店に行って「ジミー・ペイジが好きなのでレスポール見せてください」なんて言ったらかえって気味が悪いかもしれない。あるいは店員さんがジミー・ペイジのことを知らなくても当然の世の中だろう。
やっぱり形で選ぶのかな?
カッコよさを追及するのもロックのひとつの楽しみだからそれもよかろう。
その点、私はストラトキャスターというのはもっとも「エレキギター」っぽい形をしていると思っていて、それがひとつの人気の源となっているように思うがどうだろう?

今日は稀代のストラト使い、三宅庸介の4月下旬に発売された教則DVDのお話し。

10撮影現場にドップリと入り込ませていただいた。
40『ストラトのポテンシャルを200%引き出す極意』というのがDVDのタイトルだ。
30dvdいつも担当楽器に(g)でなく(Stratocaster)と記すこだわりよう。三宅さんもストラトキャスターの権化ともいえる存在なのだ。それゆえこの企画に最もふさわしい先生といえよう。
80DVDにも登場する七つ道具。三宅さん、おっそろしく物持ちいいわ~。

20まずは模範演奏の収録から…。

50バッキング・トラックでも入魂の演奏!
70vもうこの時点でストラトのポテンシャルがだいぶ引き出されちゃってるんじゃないの~?

60基本的にはギターの調整等について詳しく解説するDVDなのだが、こりゃ、普通のパフォーマンス作品と変わらんわ!

90v ポジションを変えての模範演奏。

110結構余裕。

120vこれはジャケットの撮影をしているところ。

130照れちゃってはいるものの…

140結構余裕。

150いよいよドップリとストラトキャスターの世界へ!

ギターはメチャクチャすごいんだけど、いざカメラが回っておしゃべりをしてもらうとなると信じられないぐらいうまくしゃべれない人もいるんだよね。
三宅さん、物静かだし、ステージのMCではいつも必要なこと以外はしゃべらないので、「トーク大丈夫かな?」なんて個人的に心配していたんよ。
と・こ・ろ・が!
もう立て板に水でスラスラと説明をしてくれたのには正直ビックリ。
いつも自分がギターにしてあげてることに自信があるということのあらわれなのだろう。ホント、わかりやすい説明でお上手だった。ま、もっともギターの生徒さんも取ってらっしゃるからね。

160「ここをこっちから撮って…、それじゃダメダメ」…なんてわかりやすく説明するためにカメラ・アングルにも決して妥協を許さない!

170「オラ、これがネックをハズしたとこだよ」だなんてスゴんでいるワケではない。とにかくスミからスミまで三宅さんの持つストラトのノウハウを伝授しようと真剣なのだ。

180もちろんギターの鉄人、三宅さんのこと、Marshallがなければせっかくのストラトキャスターの魅力が半減してしまうことは百も二百も承知していらっしゃる。…ということでMarshallの解説もしてくれた。
本当は担当楽器のところは(Stratocaster & Marshall)と書き入れたいに違いないが、長すぎるのでシ省略されているのだろう。
みなさん、ストラトキャスターは正しく使いましょうね。

190しかしさ~、我々の世代は幸せだと思うね。Marshallにしてもストラトにしても、もっともそれらの楽器の魅力が発揮されているであろう音楽をドップリと聴かせてもらって育ったのだから。
三宅さんのようにその楽器が本来持っている特性や長所を知り尽くしている鉄人からノウハウを学ぶ取る意義は果てしなく大きい。

195vdvd 三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Strange, Beautiful & Loud
DVDの詳しい情報はコチラ⇒アルファノート公式サイト

200 (一部敬称略 2014年3月都内某スタジオにて撮影)

2014年4月 7日 (月)

マーシャル・ミュージアム

2012年5月の開館以来、2年間にわたり皆様にご愛顧頂いた山口県柳井市のMarshall Museum Japanが3月末を持って閉館した。

Img_0261 ちょっとコレをご覧頂きたい。
【Marshall Museum Japan Open!!】
<前編>~オープニング・セレモニー・レポート
<中編>~SHARA Plays Vintage Marshall!
<後編>見どころの一部とちょっとしたウラ話し

この時から2年…はるか昔のことのような、アッという間のことのような…。

展示品の解説や写真撮影等、開館準備にも深く関わらせて頂き、オープン時にはわが社エラリー社長と同行したり、SHARAさんを迎えて久しぶりに Roadshowまがいのオープニング・イベントの司会をやらせて頂いたり(あの時はしゃべりすぎてスミマセン)、後にYG社のスタッフとマー本制作のための取材に再訪したり、柳井にはたくさんの楽しい思い出が残った。
お世話になりました現地の皆様、Marshallに興味を持ってご訪問頂いた皆様にこの場をお借りして心から御礼申し上げます。

ミュージアムは移転し、再開するそうだ。新たな展開に期待している。
詳しい情報はコチラをご参照ください⇒Marshall Museum Japan

*     *     *     *     *     *     *     *     *     *     *

さて、話し変わって…最近ドイツの友人からこんなものを紹介してもらった。彼からはフクシマについてやたら質問されて困る時もあるが、こんな情報はありがたい。

Marshall Amp Museum Germany

サイト内はほとんどがドイツ語でサッパリわからんが、コレクターのプロフィールが英訳されていたので、ここで再訳してみよう(「ブリッジ通訳」というヤツですな)。

私はジグベルト・メルケル。実体は農業経営者です。趣味でギターを弾き、Marshallアンプを集めています。
最初のアンプはいまだにリハーサル・ルームに置いてあるんですよ。
コレクションは増え続け、リハーサル・ルームにもはや入りきらなくなってしまいました。その「カワイコちゃん」たちが我が家の住人になってしまいました。
そしてついに「ミュージアム開館」のアイデアが生まれたのです。
ウチにはもう使っていないほとんど空の大きな納屋がありました。
それからというもの朝晩Rumspinnereiの日々を過ごしました。もうメチャクチャでした。(「rumspinnerei」を調べたところ、説明自体がドイツ語で意味わからず。てがかりは付してあった動画から察するに、どうもゴッチャゴッチャの状態を指す比喩のようだ)

そしてとうとうその時が来ました。納屋の改造が終わったのです。
私たちのようにMarshallに興味を持ち、クレイジーな方々にお会いできますことを心待ちにしています。

P.S. : もしあなたの家の地下室に眠っているお宝があったらemailしてくださいね!

どこの国にもこういう方がいらっしゃるんですな。
このドイツのミュージアムはフランクフルトから直線距離で100kmぐらい、ライプチヒから70kmぐらい…これまたなかなかのカントリー・サイドにあるようだ。ウチの社長は訪れているハズなので今度ようすを訊いてみよう。
残念ながら私はもちろんお邪魔したことはないが、このウェブサイトを見る範囲内では、このコレクター氏のMarshallへの掛け値なしの深い愛情が伝わって来るような気がする。

このジグベルトさん、メール・アドレスに目をやると「sigi」となっていて、少し愛着を感じる。私は海外の人には「Shige」と呼んでもらっているのだが、向こうの人は「ゲ」がうまく発音できず、「ギ」になってしまうのだ。つまり「shigi」だ。

…と、待てよ。ここまで書いて急に思い出した!このオジちゃん、こないだのNAMMで会ったわ!…「オジちゃん」と言っても私より年下なんだろうけど…。
「日本のミュージアムの方がゼンゼンすごいですよ!」なんて謙遜していたっけ。
写真の通りとても普通でとても気さくな方だった。

こういう方がいてMarshallも幸せだ。世界中にミュージアムができればいいのにね。マーブロ・ネタにも困らないし…。
考えてみると、Marshallも最初からすべての全モデルを片っ端から最低ひとつずつ残しておいて保管していれば最強のMarshall Museumが出来ていたのにナァ。
Img_7943
ま、シリアル#1が残っているだけでもラッキーか?!

Img_7999

2014年4月 3日 (木)

Kelly SIMONZ~The Brave New Wolrd Order 2014 at 東京キネマ倶楽部

ついにKelly SIMONZがニュー・アルバムを発表した!
Kelly SIMONZ's BLIND FAITH名義での新作。タイトルはズバリ『BLIND FAITH』!

Ksインストあり、歌モノありの13曲入り。残念ながらまだ聴けていないのだが、とても楽しみにしている。

10_3曲やプレイだけでなく、詰め込まれたMarshallサウンドにも期待大!

20vそして、その発売に合わせたコンサートが今週の土曜日、4月5日、『The Brave New Wolrd Order 2014』と題して東京キネマ倶楽部で開催される。

30vキネマ倶楽部といえばKellyさんのホームともいうべき会場。
ゲストにアルバムに参加しているボーカルのYAMA-Bを迎えてのレコ発。盛り上がることは必定だ!

40v満を持してのメジャー・レーベルからの新譜発表。クリニック、教則本の制作、エフェクターの製作、こまめなSNSの管理等々、アクティブに活動を展開するKellyさんのこと、今まで以上に壮大なコンサートを見せてくれるに違いない!
土曜日は鴬谷へGo!
中京地区の人は伏見へGo

50vKelly SIMONZの詳しい情報はコチラ⇒Kelly SIMONZ Official Website
東京キネマ倶楽部の詳しい情報はコチラ⇒オフィシャルウェブサイト 

60v(一部敬称略)

2014年3月17日 (月)

【お知らせ】マーブロの春休み

平素よりMarshall Blogをご愛読いただきまして心から御礼申し上げます。


週末や年中行事の日を除いては毎日の更新を心がけているMarshall Blogですが、諸般の事情より、本日からしばらくの間、不定期にアップさせていただきます。

「ナ~ニ、アイツ、ネタがなくなったんだろうよ、ヒヒヒ…」とお思いになる方もいらっしゃるかも知れませんが、残念ながらそうではありません。
『ライブ・レポート』などはようやく2014年分に入ったばかりで、順番待ちの記事が山になっています。
そうした記事にご協力いただきましたミュージシャンの方々、ならびにその掲載を心待ちにされているファンの皆様にはご迷惑をおかけしますことこの場をお借りしまして深くお詫び申し上げます。

ま、ようするに充電期間です。春休み…。
これからも従前にも増して楽しい記事をお送りしていく所存でございます。
しばらくの間、見逃した過去の記事などをチェックしてお楽しみいただきますようよろしくお願い申し上げます。

あ、お休みとか終了というワケではありませんからね!「不定期掲載」ですから。掲載時は今までと同様にfacebookやTwitterでも告知させていただきます。

以上ご理解のご了承のほど何卒よろしくお願い申し上げます。



2014年3月 7日 (金)

RISING!!~HardなRockのCafeから

「ローム…」

映画史上、もっとも短い名セリフ。これを発したのはもちろんある国の王女、アンを演じた、『ローマの休日』のオードリー・ヘップバーン。
劇中の記者会見中、外遊でもっとも印象に残るの場所を訊かれ、答えた時のひとこと。グレゴリー・ペック扮するアメリカ人新聞記者とのローマでのひとときのロマンスを胸に反芻しながら発した言葉だ。
この映画を観て、このシーンで「ジワッ」と来ない人はいまい。オードリーだからサマになる。
美しく、愛らしく、楽しく、悲しく、たった一言でまるで観ているモノがアン王女とローマをデートして来たかのような気持ちになる。さすが巨匠ウィリアム・ワイラーの演出だ。

ちなみに、この映画の中でカメラマンを演じたのがエディ・アルバート。カメラが仕組まれたライターは日本製だった。この映画は1953年におアメリカ公開。戦後から10年も経たないうちに、日本はこうした精密機器の製造に一日の長があったのだろうか?優秀だな~、日本人って。

脱線ついでに…そのエディ・アルバートが準主役を演じる『攻撃(Attack)』という戦争映画がある。1956年の作品。アメリカ陸軍の内幕を暴く内容とされスポンサーがつかず、監督の名匠ロバート・アルドリッチが自力で資金をかき集めて作った渾身の一作。主役のジャック・パランス(Van Dyke Parksの『Song America』にこういうカリプソの曲があるでしょ?)の演技があまりにもすさまじい。
コレ、日本のすべてのサラリーマンの中間管理職に観てもらいたい映画だと思ってる。内容には触れないが、自分が勤める職場に当てはめて観てみれば、次の日から世界が変わるよ。
もうひとつ、今のアメリカ映画と比べて観るもよし。アメリカ映画の現在のあまりの幼稚さが浮き彫りになる。もうアカデミー賞に意味はない。

さて、前置きは終わり。ナゼ、ローマなのか?今日はHard Rock Cafeのお話し。
10まずは、Hard Rock Cafeが世界規模で展開しているバンド・コンテスト「Hard Rock RISING」のお話しから…。

去る3月4日、「ハードロックカフェ東京」にて東京エリアのライブ・パフォーマンスを通しての決勝戦が開催された。
世界中のお店からこの決勝戦で選出された優勝バンドがウェブサイトで審査を受け、イタリア・ローマで開催される『Hard Rock LIVE』に出演できるというワケ。だから「ローマ」なのだ。
30私はといえば、昨年に引き続き審査員と撮影で参加させて頂いた。ではイザ、会場へ!
20出場バンドは3つ。昨年はパンク、ニュー・ウェイブ系のバンドが多かったが、今回はガラリとようすが変わり、ハード・ロック、ファンク、ロンクンロール系のバンドが登場し、Hard Rock Cafeらしいスケールの大きなコンテストになった。

まず。最初の登場は…。
それがサ、マーブロ読者にはおなじみのQUORUMなの。うれし恥ずかし、ファンのような、お父さんになって見守るような何とも不思議な気分。

40浪岡真太郎

50v北川遊太

60v盆子原幸人

70石川達也

80vま、コンテストであろうと、ワンマンであろうとまったく変わりのないロック・パフォーマンス!

904人の音楽性とテクニックが前面に押し出された演奏だったが…

100やはり遊太と…

110v幸人のバトルは大きな見どころとなった。最近のバンド・コンテストでこんなことが観れることはまずあり得ないだろう。

120 達也のドラミングも普段通りの熱気が爆発!

130_3もちろん真太郎の雄叫びも相変わらずロックの魅力に満ち溢れたものであった。

140フロアを埋め尽くしたお客さんは応援団というより、ファンだろう。大いに盛り上がった20分だった!

150vさて、グイグイと勢いを増しているQUORUM。待ちに待ったデビューCDが発売され注目を浴びている。
骨のあるリアルなロックがお好みの人は要チェックだ!Marshallサウンド満載!

QUORUMの詳しい情報はコチラ⇒QUORUM Official Site

145cd 続いての登場は、ガラリと変わってファンク系のDanDamJoeというバンド。

160

170v

180v

200v

210v

220v

230vこの手の音楽をやるにしてはギター×2にベース&ドラム、ツイン・ボーカルという変わった編成。
ジャパン・テイストが入った曲がとても魅力的だった!

DamDanJoeの詳しい情報はコチラ⇒dandamjoeのブログ

240そして、最後は「名も無きバンド」という名前のバンド。略して「ナモバン」!

250これが名前が無いのはもったいないとしかいいようのないゴキゲンなバンド!聞けばアメリカでの活動が盛んらしい。

2_tr_a_img_0256_2 ギターのShaku Keiji(シャク)。

270v吉永朝来(アサコ)

280vドラムの木村貴史(キム)。

2_tr_a_img_0247 アサコと…
350vシャクが歌い分ける問答無用の超陽気なロックンロール。330

アサコの声がとてつもなく魅力的だ。

310vシャクは普段はMarshallを愛用してくれている。

320vMCで「ピザ好き」を英語でアッピールしたキム。

325v20分の限られた時間であったが、すさまじく勢いのあるパフォーマンスで、この3ピースバンドの魅力を出し切った!

340vその結果、優勝は「名も無きバンド」の手に!ま、どこが優勝してもおかしくない内容だった。

360優勝バンドの名前をボードに書き入れる記念すべき瞬間!

370賞金が店長から渡される。

375しかしうれしそう!おめでとう!ロームへ行って来い!

名も無きバンドの詳しい情報はコチラ⇒オフィシャル・ウェブサイト

380最後にスポンサーのひとつ、Budwiserのバドガールたちと記念写真。
あ、幕間には彼女たちのカッコいいダンス・パフォーマンスが披露されたことも書き加えておこう。

私も審査員としてひとことコメントさせていただいた。いつもマーブロに書いているようなことを言わせてもらった。すなわち、「若い人こそいい黄金時代のいいロックを聴いて、若い感性で新しい音楽を作って欲しい」…と。
ありがたくも多くのお客さんがフムフムと頷きながら聞いてくれたけど、私はしゃべりだすと止まらなくなるので要注意だ。

390そして、もうひとつのHard Rock Cafeの話題は上野!
上野の店舗はJR上野駅の構内にあって、い~つも満員だ。
上野店は世界初の駅構内のお店で、国内では7番目に出展された。ちなみに六本木は世界で4番目の古株だ。

410vそういえば大分前にコロラドからバイク好きのアメリカ人が来て、「上野に行きたい」とリクエストがあり連れて行ったことがあった。
ご存知の通り、上野から鴬谷方面に向けての昭和通りは両側に無数のオートバイ屋が並んでいる…イヤ、もう「並んでいた」と言った方が正確か…。最近は随分さびれてしまった。
そのアメリカ人は口にこそ出さなかったが、斜陽感丸出しのバイク屋街にガッカリしたようすだった。
上野駅への帰途、彼がもうひとつ繰り出したリクエストは「シゲ、上野にハードロックカフェが出来たって聞いたんだけど連れて行ってくれるかい?」だった。
「もちろん!」と彼のリクエスト通り出来たばかりの上野店に連れて行ってあげた。
彼はHRCグッズのコレクターでもあり、世界の行く先々でグッズをゲットしているとのことで、上野のショップでもアレコレ買い込み、バイク街のことはスッカリ忘れてとても楽しそうだった。
そんなことを思い出してしまった。

2002年の開店だから、あれから早12年…その上野店が去る2月25日にリニューアル・オープンした。
400店内はすごく明るい雰囲気。

420v自慢のゴージャスなバー・カウンター。

430ゆったりしたスペースが奥にあり、パーティも出来るようになっている。何しろ上野駅まで徒歩0だからね、便利この上なし!

440店内に所狭しと展示されたメモラビリアも一段とグレードアップした。

445メモラビリアは来店して頂いてからのお楽しみ…ということでここでは詳しく触れないが、ホンノ少しだけ紹介すると…。
Les Paulのセーター。Mary Fordのはないよ。
ワタシね、ニューヨークでLesに遇ってサインをもらったことがあってね。なつかしいな~。(ナンチャッテ!)

450上の方に飾ってあるアイテムはハシゴに登って撮った。これが結構コワくてね~。若い頃は高いところなんか何でもなかったのよ!でも苦労の甲斐あっていいのが撮れました!

Ladder 私の一番は何と言ってもコレ!Ian Andersonのサイン入りフルート!これは欲しいな~!
この他にもマイコーの「#$%&」とか…、マドンナの「◎▽■▲」などが展示されている。

460バー・カウンターの壁には「Take Time To Be Kind」とある。これはHRCのスローガンで、他に「Love All, Serve All」、「Save The Planet」、「All Is One」、「Music For Life」、「Humanity Is International」などがあるそうだ。

470もちろんショップも充実!

480とにかく一度遊びに来てちょうだい!

Hard Rock Cafeの詳しい情報はコチラ⇒Official Website

2_tr_img_0192 (一部敬称略 RISINGは2014年3月4日 hard Rock Cafe Tokyoにて撮影)

2014年3月 6日 (木)

【緊急告知】見逃さないで!~田川ヒロアキ&三宅庸介のエグいライブ

楽しみなライブがやって来る。

10田川ヒロアキと三宅庸介のジョイント・コンサートだ。
時は3月10日、場所は高円寺SHOW BOAT。

20これはそのリハーサル風景。
ムム?田川バンド、いつもと様子が違うぞ…!

30ファンキー末吉、そうる透、和佐田達彦、菅沼孝三、江川ほーじん、長谷川浩二、寺沢功一等々、日本を代表するリズム陣との共演を果たしてきたヒロアキ君。
今回は思いっきり若手を引き連れての登場なのだ!

40ドラムはDIRTY OLD MENの岡田翔太朗。

50翔太朗君は先日のライブ・レポートにも登場してくれた。

60DIRTY OLD MENは人気TVアニメ『弱虫ペダル』の主題歌「弱虫な炎」を演奏している結成10年を迎えた人気バンドだ。

70cdベースは永井双樹。
Joe ZawinulはJacoをWeather Reportに迎えるにあたり、「好きなドラマーを連れて来い」とドラマーの選択をJacoに一任したという。ベースとドラムは一心同体だからということだ。
そして、Jacoが連れて来たドラマーがPeter Erskineだった。その後、Weather Reportはバンドの黄金期を迎えた。
このエピソードと同じく、双樹君は翔太朗君が連れて来た。

80vヒロアキ君のやさしい指導のもとリハーサルはなごやかな雰囲気で進んだ。

90「チョーっと指にマメできないんですか?」「ゼンゼン平気だよ!」なんて場面も。

100ヒロアキ君は当日JVMを弾く予定。LOUD PARKを思い出すな~。

110ヒロアキ君のブランド、FretPianoのオリジナルTシャツ。
「HIROAKI TAGAWA」の下にはスパンコールの点字で「マーシャル魂」と書いてある…ウッソ~。
もちろん上下段ともその上のアルファベットを点字化したものだ。ファンの方からのプレゼントで一点モノ。市販はされていない。

120定番「Ave Maria」に混ざって新曲も披露される!

130v翔太朗君は若い割にはジャズや70年代のロックをよく勉強している。「いいミュージシャン=いいリスナー」という公式に間違いはない。

160残念ながら今の若いミュージシャンの多くは驚くほど昔のロックを聴いていないのは実情だ。特段キラっているようすもない。ただ文化の伝承に失敗し、イヤ、故意にかもしれないが、とにかく世代が断絶しているのだ。
もっとも、ロックの黄金期から遠く40年も離れたところへ来ているのだからムリもない。
しかし、60~70年代前半のロックは間違いなく「ロックそのもの」だ。
若いミュージシャンこそ、その時代の音楽を吸収して自分達の音楽を育むべきだ。ジャンプをする前に身体をかがめるのと同じだ。

170だからこうして百戦錬磨のベテランと若いミュージシャンの交流はどんどん推進していくべきだと思っている。
若手はベテランから知識と経験を得、ベテランは若手からエネルギーと感性を吸収する。これでいいじゃないの!

180vいつもと異なる田川ヒロアキ…実に楽しみだ!

田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒FretPiano

190vそして、この3月10日の高円寺、ひとりでも多くの人に見てもらいたいのは、共演者が三宅庸介だからだ。
Yosuke Miyake's Strange, Beautiful and Loud…ああなんてエグイ組み合わせなんだろう!まるで動くマーブロじゃんけ!

210三宅庸介

220v山本征史

230v金光KK健司

240v三宅さんは何しろ燃えている。そう、既報の通り4月2日に『Orchestral Supreme』なるニュー・アルバムをリリースするからだ。
ま、ハッキリ言ってジャケットの写真は私が撮った。おかげさまで方々からおほめの言葉を頂戴している。うれしいです。
でもね、正直、私は自分が見たい三宅さんの姿がファインダーの中に飛び込んで来た時にシャッターを切っただけなんよ。この写真を選んだ三宅さんこそ鋭い!
ジャケットより素晴らしいのが内容だ。何しろ出色の仕上がりだ。
収録されている曲は「三宅庸介」のかたまりだ。誰にも真似できない唯一の世界が広がっている。
また、主役のギターの音色があまりにもロックだ。
ある意味、MarshallとStratocasterの組み合わせによって生み出される、現時点における最高のトーンがここに捉えられているのではなかろうか?これもまた誰にも真似のできないものだ。

実際にナマのパフォーマンスも体感して欲しい。そのチャンスが目の前にあるのだから!

250cdStrange, Beautiful & Loudは明日、3月7日に三軒茶屋Grapefruit Moonにも登場する。

260こちらは大谷令文さんがゲスト。この日、令文さんはJVMを弾く予定。1959の権化、令文さんはツアーではTSL601を使ってくれたりしているがJVMは初めてだろう。現在のMarshallのフラッグシップモデル、JVMでどんな音を出すのかコチラも楽しみだ!
それとね、選曲。三宅さんと何を選ぶのかなぁ~?エグイ曲演るんだろうなぁ~。これも楽しみのひとつ。

三宅さんの『Orchestral Supreme』は4月2日発売だが、7日の三茶と10日の高円寺公演で会場限定で先行発売される。私も現物を見るのが初めてなのでとても楽しみにしている。

三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Strange, Beautiful and Loud

270エエイ、これも紹介しちゃえ!私の宣伝。田川ヒロアキ『Ave Maria』。
このジャケット写真も私が撮影したモノ。デザインは下町のヒプノシス、梅村デザイン研究所。まだ聴いていないは是非聴いてチョ!

280cdみなさん、お待ちしていま~す!

あ、そうそう当日のドラムはNATALのバーチのキットが使用されます。金光KK健司&岡田翔太朗のベテラン&若手コンビが叩きだすNATALサウンドにも注目!ドラマーさんもお待ちしています!

290(一部敬称略)

2014年2月14日 (金)

至上の楽団~三宅庸介新譜情報

バレンタイン・デイか…。すっかり卒業したな…ってんで今日も硬派な話題だよ。

新宿から高田馬場に移転し、昨年末にオープンしたレコーディングスタジオの老舗BAZOOKA STUDIO

10 新宿の頃が懐かしいような気もするが、高田馬場の新店舗では練習スタジオも併設され、こちらも大人気を呼んでいる。

20その練習スタジオの7部屋中5部屋にメイプル、バーチ、アッシュのNATALのドラム・キットがセットされていることは既報の通り。

Bm_img_0019早くも「NATALのアッシュの部屋をお願いします!」なんてリクエストを携えてお見えになるお客さんもいらっしゃると聞いた。うれしい限りである。

Bm_img_0022_2もちろん、数々の名盤を制作してきた優秀なエンジニアを擁するレコーディング・スタジオの方も相変わらずの盛況だ。
今、ミキサー卓に向っているのはエンジニアの内藤輝和、テルさん。実際にレコーディングの作業中だ。

30ちょっとわかりづらいが、今ギターのオーバー・ダビング中。一番奥ですさまじいギター・プレイが展開されている。

40その姿をミキサー室でジッと見守る。

50レコーディングに取り組んでいるのは三宅庸介率いるStrange, Beautiful and Loudの3人。

60もちろん三宅さんは愛用のDSL100と1960BVを持ち込んでいる。

70v愛器のうちの1本。当然ギターはすべてストラトキャスター。

80v足元もライブと変わらないいつもと同じ仕様。ただ…

90Jimiが見守ってくれている。「I stand up to a mountain~」。有名な「Voodoo Chile」の一節だ。「♪ブドゥチャ~イ、ブドゥチャ~イ」というヤツね。
そう、レコーディング中、三宅さんはVoodoo Chileと化した。

100ベースは山本征史
征史さんはこのバンドでは1992 SUPER BASSを使用する。コレがまた、SB&Lのサウンドにおっそろしくマッチするんだ~。大好きな音色。Marshallのベース・アンプは素晴らしかった。

110v休憩中。
陣中見舞いにやって来てくれたノンちゃんとしばし談笑。

120そして金光KK健司のドラム。

130NATALのバーチ・キット。12"、16"、22"、14"x5.5"。Traditional Customから14"フロアを抜いたスタイル。

140フィニッシュはTobacco Fade。グッドモーニングアメリカのペギちゃんのキットと同じ材質と色。(ペギちゃんのキットは「Rock」という2タムのキット)
このカラーはカタログやウェブサイトで見るより実物の方がはるかに美しい。このきれいな木目が写真に写りにくいからだ。実物を見た関西の人は「ウワ~、メッチャきれいやん!」と、東京の人は「すごくきれいだな~!」とほぼ例外なく言ってくれる。

150もちろんサウンドも素晴らしい。輪郭のハッキリした豊かなトーンとでも言おうか。
とにかく音に深みがあるところが好き。これがブリティッシュ・ロックを作って来た人達のドラムに対するひとつの総括なんだナァ。道理で好きなドラム・サウンドなワケだ。

160vそして、完成間近のYosuke Miyake's Strange, Beautiful and Loudのニュー・アルバムがコレ。いち早くジャケットを借りて来た。
タイトルは『Orchestral Supreme (TRIUMPH RECORDS XQHK-1010)』。
Zappaで「Orchestral」という言葉に、Coltraneで「Supreme」という単語に親しんでいるだけに私にはとても親しみを感じるタイトルだ。

職権濫用ですでに聴かせていただいた。
初出の曲の他に、If」や「Petal」等、SB&Lのコンサートでもおなじみの曲も収録されている。それら耳なじんだ曲もスタジオ・レコーディング・マテリアルならではの凝ったアレンジがなされており、まるで新曲を聴いているかのようだ。本当は1曲ずつここで解説したいところなのだが、今回は出し惜しみして、「素晴らしい出来である」ということだけ書き記しておく。

そして、このジャケット!
手前味噌ながら私が撮影した写真を使っていただいた。
三宅さんが自分の音楽性を重ね合わせてこの写真を選択してくれているとすれば、この上ない喜びだ。三宅さんに限らず、私はステージの上の人の「音楽」を撮影しているつもりなのだから…。だから、最近やたら見かけるお客さんばかり写っている写真は滅多に撮らない。ミュージック・ライフ誌で育ったクラシックな人間なのよ。
お客さんは雰囲気を作ることはできるが、音楽をクリエイトすることはできないと考えている。私が撮りたいのは「音楽」なのだ。ナンチャッテ。

「『My Goals Beyond』を思わせる」という感想は私だけかもしれないが。厳格なたたずまいと清潔感が素晴らしい。

Cdym3 発売は4月2日。
数か月でその使命を終え、3枚500円で中古レコード店のワゴンに乗っている資源の無駄づかいとしか思えないCDとはワケが違う。アーティストが命を削り、人生をかけて作った一生聴けるアルバムだ。
ギター・ミュージック・ファン、骨太なインスト・ロックのファンの方々には必ず聴いて頂きたい。そして、若い人たちにこそ聴いてもらいたいものだ。

Sbl_img_0976さて、その『Orchestral Supreme』発売前にいくつかコンサートが決まっている。
アルバムの予習がてら是非お出かけいただければ幸いだ。ひとりでも多くに人に観てもらいたい。
Strange, Beautiful and Loudの壮絶な音楽だけでなく、極上のMarshallとNATALのサウンドが待っている。

Sbl_img_0888 2月21日、『Sound Experience 10』。場所は三軒茶屋Grapefruit Moon。
こちらは征史さんのSTANDとのダブル・ヘッドライナー。
得意の「出演者4人で2バンド」。要するにリズム隊が同じでギターが島紀史にスイッチする。
STANDでのノンちゃんのギターも聴きものだ。

Sbl_img_09343月7日、『Sound Experience 11』。場所は同じく三宅さんのホーム、三軒茶屋Grapefruit Moon。
こちらはゲストに大谷令文さんをお迎えする。

Sbl_img_9704そして3 月10日、高円寺Show Boat。 『Show Boat Presents  三宅庸介・田川ヒロアキ  Guitar Show '2014』という企画。
「Guitar Show」か…なつかしい響きだ。詳しくはライブ・レポートの時ね。

これがチョット変わってて、田川ヒロアキBANDとのダブル・ヘッドライナー。
実は数年前にGrapefuit Moonで共演したことがあったが、それ以来の顔合わせ。
田川ヒロアキのバンドは若手リズム隊を組み込んだ当日本邦初公開のお楽しみフォーマット!Sbl_img_0981エンジニアのテルさんと記念撮影。
発売が待ち遠しい~!

三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Strange, Beautiful and Loud

170宣伝コ~ナ~!
Marshall Blogをご覧のギタリストの皆さん!バンドのドラマーさんに↓↓↓を教えてあげてくださ~い!

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、今ならNAMMでフィーチュアされていたStave Snareシリーズもご用意しています。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

180

190現在NATALは日本国内発売準備中です。

2014年2月12日 (水)

『PON!』のグッドモーニングアメリカ

マーブロ読者にもす~っかりおなじみのグッドモーニングアメリカ。

10去る1月21日、彼らが日本テレビの朝のワイドショウ『PON!(平日10:25~11:30)』に出演した。
今回はドラムのペギちゃんから事前に情報が入ったので、準備万端テレビをつけて正座で拝見したのだが、実はテレビのワイドショウでグドモのメンバーに会うのはこれが初めてのことではない。
しばらく前に、テレビをつけたら偶然彼らに出くわしたことがあったのだ。ホントの偶然であの時は驚いた。彼らの地元八王子のおいしいラーメン屋さんを紹介していた。

今回の放送では、グドモの最近の飛ぶ鳥を落とすような活躍ぶりが報じられ、その4人がまたまたウマイものを紹介するという設定。
そのウマイものとは京王線代田橋駅前のたこやき屋さん「たこたけ」の「だしたこ」というメニュー。ソースのたこ焼きにだしをプラスしたという大阪と明石のコラボ・メニュー。
メンバーがにぎやかに「だしたこ」をほおばる姿がおいしそうな雰囲気を倍増させていた。

その中で、「だしたこ」の次に注目してもらいたいのはペギちゃんの胸!

20vオワッ!!なんとNATALのTシャツを着てくれてる!うれしいじゃあ~りませんか!

30飛ぶ鳥を落とす勢いというのはコレ。
メジャーからのファースト・シングル「イチ、ニッ、サンでジャンプ」が大ヒット中なのだ!(写真は通常盤)

Cd_3タワーレコード全店のチャート並びにBillboard Japanともに1位を獲得した。
1月25日からスタートしたレコ発ツアーは19公演、すべてがソールド・アウトとなっている!
40もちろんレコーディングではMarshallとNATALが大活躍した。
50vもうひとつ。
コレは昨年の『未来へのスパイラル・ツアー』の渋谷O-EASTでの千秋楽のようすを収録したDVD。
こちらもMarshallとNATALサウンドが炸裂している!

Dvd最後に、チョットこれ見てチョーダイ!
その大ヒット中の「イチ、ニッ、サンでジャンプ」のPV。とても楽しい曲を楽しくクリエイトしている姿が見ていてとても楽しい!
で、5:00すぎぐらいからは見逃しちゃいけませんゼ!
がんばれグドモ!

グッドモーニングアメリカの詳しい情報はコチラ⇒OFFICIAL WEB SITE

Marshall Blogをご覧のギタリストの皆さん!バンドのドラマーさんに↓↓↓を教えてあげてくださ~い!

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、今ならNAMMでフィーチュアされていたStave Snareシリーズもご用意しています。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

2014年1月21日 (火)

【追悼】佐久間正英さんのこと

記事が遅くなってしまい失礼とは存じながら謹んで一文寄させていただく。

佐久間正英さんが16日にお亡くなりになられた。
また日本の音楽界が偉大な才能を失ってしまった。

世代が古いため、私にとっての「佐久間さん」とは名プロデューサーではなく、飽くまでも四人囃子のベースの「佐久間さん」だ。

四人囃子は本当に好きだ。そして、今では森園さんや大二さんといっしょにお仕事をさせていただいていることによろこびと誇りを感じている。
しかし、残念ながら佐久間さんとはご一緒させていただく機会がなかった。

Ms1佐久間さんが参加している『ゴールデン・ピクニックス』、『Printed Jelly』、『包』の四人囃子の3作は私のロックの愛聴盤だ。
ずっと昔から、佐久間さんのことをどこかケタはずれ才人だと思っていた。実際でそうであることは間違いないのだが、そう思わせる風貌がまたヨカッタ。

ここに掲載している写真は2010年に開催された『Japan Progressive Rock Festival』で撮影したもの。
四人囃子を観たのはこの時が初めてではなかったが、私が日本のロックを聴き始めた頃にはすでに活動を停止していたので、四人囃子に飢えていて、やっぱりこの日もとてもうれしかった(Steve Hackettに初めて会ったのもこの時)。何しろ信じられないくらい蒸し暑い日だったが、この瞬間は暑さも忘れて夢中になってシャッターを切った。

下はもちろん「なすのちゃわんやき」。この佐久間さんのリコーダーがメチャクチャかっこよかった!

Ms2この時、楽屋で佐久間さんにサインしてもらった四人囃子の『From the Vault 2』。上が佐久間さんのサイン。下は大二さん。
坂下さんはウラに、森さんは中にサインしてもらった。私の宝物だ。

0010四人囃子は初代ベーシストの中村真一さんも鬼籍に入ってしまっているので、もうオリジナル・メンバーかそれに近い形での再結成は永久に出来なくなってしまった。悲しいことだ。

今でも『一色即発(1974年)』や『ゴールデン・ピクニックス(1976年)』を聴いているが、何回聴いてもまったく飽きが来ない最上の音楽世界を構築していることに感心する。
そして驚くべきは、これらのアルバムを、日本の20歳ソコソコの若者たちが作ったという事実だ。
「昔の人は偉かった」…では済まされないまでの音楽性の高さを感じざるを得ない。
今、一番若者たちに聴いてもらいたい音楽だ。

佐久間さんも生前現在の音楽界の状況をブログ等で憂いていらっしゃったが、私も同感だ。「日本のレコード会社は自分達の商品、つまり「音楽」を理解していないまま商売をしてしまったことのツケが今回ってきている」的なご発言をされていたように記憶している。

四人囃子の諸作を聴いていると、現在の音楽シーンの幼稚さと退屈さに絶望感を覚える反面、帰るべき場所があるということを指し示してくれているようで、勇気づけられたような気にもなるのだ。
そんな素敵な音楽と同じ時代を生きたことはを幸せなことだ。

佐久間さん、安らかにお眠りください。

Ms3(2010年8月22日 日比谷野外大音楽堂にて撮影)

2014年1月 6日 (月)

【新春特別企画】Marshall Blogで見る日本のロック・シーン

あらためまして…明けましておめでとうございます

本日よりmarshall Blogを再開させていただきます。本年もご支援ご愛読のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、今日の記事のタイトル…さっそく大ゲサである。大ゲサはMarshall Blogの専売特許なのであ~る。
昨年Marshall Blogの周辺でナニが起こっていたのかを振り返り、2014年の動向を考えてみようという企画。もちろん、Marshall Blogがレポートしたり取り扱ったりしている内容は大きな音楽界にあってはまったくミクロの世界ではある。んなことはよ~くわかっております。
数えてみると昨年1年でコンサート会場に足を運んだ回数は130回を超えた。つまり「3日に1回以上」。
好き嫌いが激しいヘソ曲がりの私のことだから、訪れるコンサートの音楽の種類も限られてくるし、当然取材の対象がMarshallがらみのバンドばかりなので自ずと幅が狭まってしまう。んなこともよ~くわかっとる。
でも、3日に1回以上現場に足を踏み込んでいれば、音楽界に関する色んな情報が耳に入って来るし、私のような鈍い人間でもトレンドのようなものを肌で感じることができるというものである。
で、昨年1年でMarshall Blogに頻出もしくは目立ってご登場いただいた方々をご紹介しつつ、何となく周辺の音楽トレンドをまとめてみたいと思う。いわば「マーブロのワガママ定点観測」ってとこかな。

まずは、ベテラン陣の目立った活躍。
1970年代より日本に定着したロック。その黎明期より活動を続けているバンドがパワフルに活動を続けていることはうれしい限りである。何しろ、噴き出すマグマのような、ギランギランに輝いた、ロックの黄金時代を直に経験、体験した方々の作る音楽である。
それが結成40年とか30年とかを経ていまだにそのテンションを維持してロックしている姿は素晴らしい。

外道は昨年40周年を迎え、ニュー・アルバムも発表した。レコ発ライブもやった。アッパレ秀人さん!なのである。
150EARTHSHAKERは30周年!ニュー・アルバムの他にSHARAさんとMARCYさんがソロ・アルバムをリリース。昨年後半は日本全国を隅々まで回る大ツアーを敢行した。そのパワーはまったく衰えを見せることはない。

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こちらは29周年のSHOW-YA。もうこの人達は手がつけられないくらい日増しにパワーアップしている。『NAONのYAON』も最高だった。年末のコンサートは感動ものだった!もちろんこれもトックリとレポします。

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日本ロック界の至宝LOUDNESSも健在。11月末に開催された樋口さんのトリビュート・コンサートのレポートを近々Marshall Blogでアップする予定にしているので乞うご期待。

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山下達郎の大ツアーを無事終えた広規さん。GUITAR☆MAN他多彩な活動で日本のリズムを支えている。未発表音源を収録したアルバムもリリース。
最良のバッテリーの相手を失った悲しみは大きいであろうが、その分ますますご活躍されることであろう。

380v大谷令文、小笠原義弘、ロジャー高橋という大ベテランによるTrio the Collagens。もちろん各々の活動も盛んである。こうした名手が揃った演奏はありがたや、ありがたや。

3tc_img_0062CANTAの安定した活動も心強い。「やれるうちが花」、「生きてるうちが花」は最近の私の座右の銘だ!

20日本メタル界の重鎮、CONCERTO MOON。ニュー・アルバム『BLACk FLAME』を発表し、そのレコ発ツアーで気炎を吐いたのは記憶に新しい。

10_2確かな実力を裏付けに独自の手法でプロモーションを展開するKelly SIMONZ。今春念願のメジャー・デビューが決定した。今後の展開が実に楽しみだ。

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この人も一年を通じて忙しい人だ。原田喧太。喧ちゃんもそろそろデビュー30周年を迎えるハズだ。「マサやんの還暦コンサート」は感動ものだった!『Guitar Crusaders』という大イベントが控えている。

46vこちらも昨年THE GOOD-BYEの結成30周年記念のコンサートを開いた曾我泰久。ソロやThe Paisleysの活動で良質なポップ・ロックを量産している。THE GOOD-BYEのコンサート・レポも近日中にアップする予定。ファンの皆さん、乞うご期待!

Gb_img_0451KRUBERABLINKAの赤尾和重。もちろんCazさん自身がMarshallを使っているわけではないが、日本版女性版ロニー・ジェイムス・ディオとして日本のハード・ロック、メタル界を支えているひとりであることに異論はあるまい。
女性のパワーは強いのだ。
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そう、先のSHOW-YAは別格として、とにかく女性のバンドの台頭はすさまじい…イヤ、「台頭」を通り越してもう「安定期」に入ったと言った方が正しいか。
ロックを聴き始めた時から女性のバンドが林立しているヤング・ファンには想像がつきにくいかもしれないけど、いいですか、私が若い頃、女性のバンドというのは「土佐日記」ぐらい珍しかったのよ。
それが今では「女性」という接頭辞をなくして名前が通じるようになった。

SCANDALに「女性ロック・バンド」と説明を加える者はもはやいないのではなかろうか?
演奏・曲・演出…音楽エンタテインメントの三種の神器、イヤそれにルックスという四種の神器が組み合わさったと言っても過言ではあるまい。問答無用で楽しめるコンサートは「元気をもらった」ことを実感させてくれる。
20さらに、もはや日本のハード・ロック&へヴィィメタル・シーンにガール・バンドは絶対に欠かせない存在になったことも否めまい。
「ごめんね」だの「がんばろう」だのどこを切っても同じものしか出て来ない若手の男の子のバンドよりよっぽど筋金が通ったロックンローラーぶりを呈してくれる。
ちょっと気が付いたのは、こうしたガール・バンドでのMarshallの使用率が高めであるということだ。それは女性のギタリストが機材に疎いとか弱いとか言うことでは全くなくて、「やっぱロック・ギターはMarshallっしょ?!」という女性特有の思い切り感のようなものがあるのではないか?なんて感じたりするのである。これは大正解ですよ。

相変わらずの大人気を誇るAldious。ニュー・アルバムのレコ発ライブの盛り上がりようといったらなかった!
20圧倒的なパワーと計算されつくした曲で押しまくるDESTROSE。やはりアルバムとシングルをリリース。レコ発ライブも熱狂のウチに幕を閉じた
120ツイン・ボーカルで他との差別化を図るexsit✝traceは新鮮だ。
まだまだ他にもいいバンドがいるけんね。ドンドンMarshall Blogで紹介していきますから。
10_2アベノミクスがいかにもてはやされようと、やはり日本のハード・ロック&へヴィ・メタル界はまだ厳冬期を抜けることができないと言える。
その中でのQUORUMの出現は大事件だった。
この22、23歳の若者たちが醸し出すロック魂は、やはり多くの人の耳目を捉えているようだ。
Marshall Blogに登場した当初はさして話題にも上らなかったが、先日PVを紹介したところ、関係者から問い合わせが何件も集まり、多くの人から好意的な評価が寄せられた。
私が願うのは、QUORUMが彼らと同じ22、23歳の若者たちから支持を得てもらうことだ。こうしたロックの公式的な音楽は世代を超えてそのカッコよさが理解されるハズなのだから。

40こちらも結成25周年を迎えた人間椅子。
先般のレコ発ツアーも大成功のウチに終了させた。和嶋さん曰く「25年前とやってることは一緒」。
人間椅子も日本ハード・ロック界再生の大きな原動力だ。なにしろカッコいい!
190犬神サアカス團も長いキャリアを誇る和式バンドの雄だ。ソリッドなハードロックに乗せて絶望的に暗い私的環境を歌いあげるスタイルはこれまたワン・アンド・オンリー。J-POPとは完全に隔離された世界。それがロックの世界だ。
ただ、ボーカルの凶子さんの健康上の理由で休止期間に入ってしまったことが残念。またすぐに暗く再登場してくれるだろう!
12月のTSTAYA O-WESTでのツアー・ファイナルのレポを近日中にアップする予定。

Icd_img_0054 田川ヒロアキも伝統に根ざしたオリジナルのハード・ロック・サウンドを追及するたのもしい存在だ。
ギタリストとしての経験は百戦錬磨。活動の幅が信じられないぐらい広いのもこの人のキャリアの特徴だ。
今年も様々なシチュエーションで美しいMarshallサウンドを奏でてくれるに違いない。ギターの弾き方は間違ってるけどね。近日中にまた変わった現場での演奏のレポートをお送りする。

2wcd_img_0106ハードロックという切り口であれば絶対に触れておかなければならないバンドがある。
GRANRODEOである。
「ハードロック」を万人が楽しめる一般的なエンターテインメントとして活動を展開しているバンドの最高峰と読んでも差し支えないのではなかろうか。
この一声で数万人を若者を集めるモンスター・バンドのお客さんの男女比率はほぼ同一だ。男女半々。
ステージにズラリと並んだMarshallやe-ZUKAさんのギター・プレイに憧れてギターを弾いてみたくなる若者も多いハズだ。
70年代のロックを知り尽くしたe-ZUKAさんが書く曲は「ハードロック」そのものだ。これに10代の若い男女が熱狂しているのである。
ここでもいつもMarshall Blogで言っている公理が成立することが証明されると思うのだ。
「若者はカッコいいロックを知らないだけ…」

もうひとつ、GRANRODEOに感じるところは、彼らのサウンドが近い将来のひとつのハードロックの在り方ではないかということ。
つまりSWEETや後期のAEROSMITHのように職業作曲家が魅力的なメロディを作り出し、それを完璧なパフォーマンスで再現するというスタイル。GRANRODEOはメンバーのKISHOWさんの詞を書き、e-ZUKAさんの作曲しているからこの例には当らないが、音楽制作のひとつのスタイルとしてGRANRODEOがいい見本になるような気がしている。

これほどオリジナルから遠ざかってしまったロックだからね。お茶っぱに例えると、もう味も色も出なくなっちゃってるんですよ。その出がらしロックを聴いて育つ世代は出がらし以下のモノしかクリエイト出来ないのはモノの道理なワケ。怒んないで読んでよ。新春だから無礼講ということで…。

だからテクノロジーに走る。その結果ボカロなんてテクノロジーの妖怪みたいなものが出て来てしまう。
じゃ、クラシックはどうなんだ?ということになる。何百年も同じことをやってるからね。あれは古典芸能。古典芸能には古典芸能の楽しみ方というものがあって、「同じ素材をいかに料理するか」を味わうものなんですな。もはやジャズもその域だわね。
ロックを古典芸能してはならないとも思っている。いつまでも「Smoke on the Water」でもつまんないのよ!
今のロックを推進させる答えは未来にはなくて、過去にあると信じている。だから若いミュージシャンに徹底的に温故知新してもらうか、先に述べた通り音楽を正式に学んだ職業作曲家にいい曲を書いてもらうしかない。

さて、GRANRODEO、昨日のスーパーアリーナは感動ものだった。これもレポ近日予定。
470若手の活動も要注目だ。(直前にあんなこと書いたもんだからやりにくくなってしまった!)
Marshall Blogはやっている人間がクラシックなもんだから、ついベテラン勢に加担しがちと思っている読者も多いと思うが、んなことはない。
いいバンドがいればジャンジャンご登場頂きたいと思っている。

そのひとつがグッドモーニングアメリカ。スタイルはいわゆる「今のロック」だが、エンタテインメント性も高くひとつのショウ・パッケージとして完成した美しさを誇っている。

10_2摩天楼オペラも好きなバンドのひとつだ。もはや若手と呼んだら失礼なのかもしれないが、今をリアルタイムで走るバンドとして敢えて若手と呼ばせてもらうことにした。
Anziの超絶テクニックを強調する確立された様式美もまた「ロック」だ。
100「彗星のごとく現れた」印象のCrying Machine。「ロックにおけるポップ度」という観点から見るとここはちょっとGRANRODEOに通じるところがあるな。
メンバー5人の強烈なキャラも魅力だが、Marshall Blogとしては、ステージでは片時もフルスタックを離さないMashaくんの「Marshall愛」がうれしい。今後の活動に期待している。
210_2外タレだって負けていない。秋に来日した英マンチェスターのThe Virginmarys
「ブルース・フィーリングをパンキッシュに吸収したトラディッショナルなロック」なんて書くとイッタイナンジャソリャ?…ということになるが、ブリティッシュ・ロックの本場でも先祖がえりを標榜するムーブメントがないワケでなないことを知らせてくれた。
後日3人のメンバーのインタビューを掲載する予定。

30v昨年もうひとつ顕著に感じられたのはインストゥルメンタルのロックの普及だ。
レコード・ビジネス的にはインスト・ロックというものはヴェンチャーズ以来かなり厳しいやに聞いているが、「器楽演奏力」の衰退を尻目に、お構いなしに我が道を進むミュージシャン達の姿は問答無用にカッコいい。
老若男女を問わずこれらのバンドを見てギターの魅力を再認識してもらえるとうれしく思う。

その世界でもっともストイックな活動を続けているバンドのひとつが三宅庸介率いるStrange Beautiful & Loudだ。
この独自の音楽世界感は何人にも侵されるものではない。現在ニューアルバムの制作に打ち込んでいるところだが、仕上がりが待ち遠しくてしょうがない!

10中野重夫を擁する「中京の重戦車」DYNAGON。へヴィでわかりやすい曲とそのアダ名の通りゴリゴリと前に進むことしか知らない(戦車はバックできますが…)猪突猛進の演奏はベテランにしか出来ない域に達している。
今年は東京でもその姿を披露してもらいたいものだ。
190SHARAさんのソロ・ユニットmintmints。五十嵐sun-go美貴、寺沢功一、向山テツと組んだインスト・ロック・バンドの目玉的存在。
SHARAさんが書く完全無欠のレパートリーが楽しく、美しく、そしてスリリングだ。Marshallの社長、Jonathan Elleryのお気に入り。

20_22013年のインスト・ロック界(そんなのあるのか?)を語る時に完全にマストなバンド、D_Drive
リーダーのSeijiさんとは長い付き合いをさせていただいている関係で、比較的初期段階からこのバンドを見て来ているが、名実双方にわたる成長ぶりはすさまじく、見ていて大変愉快で、うれしく思っている。
現在のところドへヴィな曲を中心にレパートリーを展開しているが、その軸をブラすことなく、音楽の幅を広げて行って欲しいと個人的に思っている。めざせ「21世紀のヴェンチャーズ」!なんてね。

30_2ベテラン勢の外タレも元気に活動してくれているのもうれしい。

全曲Genesisのレパートリーで固めたSteve Hackettの来日公演は3日とも超満員だった。やっぱり日本はプログレ大国なのです。日本人にはプログレが必要なんだ!
いまだに「Supper's Ready」が耳にこびりついている!
140vああ、Dougはいつ見てもカッコいい。Whitesnakeの来日公演も熱狂的な支持を得た。

10

Paulが来てからもう一年か…ホントに早いナ。この時私が撮影した写真をPaulは今でもウェブサイトのHomeに使ってくれている
今年はナニをやってくれるのかな…楽しみだ!

Pg2_460v

今年もいいイベントがたくさん開催されることを期待している。

大盛況だった『Legend of Rock』5回目の日比谷野音公演。やっぱりみんな70年代のロックに飢えていることは間違いない。

40v_2Ronnieへのトリビュート
数々のトリビュートものも楽しみなのだ。

10

『LIVE ROKUGENSIN』も楽しかった!

350_2そういえば、この爆風スランプのトリビュートの時は成人式の日で、東京が何年ぶりかの大雪に見舞われたんだっけ。出演者も会場に来ることができなくて一時はどうなることかと思ったけど大成功に終わった。最高に楽しいイベントだった。
ところで記事のタイトルにつけた「大無人」とか「天無人」とか、みんなわかったのかな?
1710_2
最近はまたLP人気が復活している…なんてことはもう今まで何回聞かされたことかわからんが、やっぱりレコードはいい!絶対いい。
大幅にレポートが遅れまくっちゃっているけど、「ミュージック・ジャケット・ギャラリー」も続けて行きます。

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こっちもなかなか進まなかったけど、書きたいことがテンコ盛りの「イギリス―ロック名所めぐり」。いつか日本のミュージシャンたちとイギリスに出かけ、Marshallの工場とロンドンをガイドすることが夢なのだ!だから積極的に書き進めるよ!
Hrh_img_7752

…と昨年掲載した記事を交えて雑感を述べてみた。もちろん他にもたくさんの素敵なミュージシャンの方々を紹介してきたが、紙幅の関係上ここに掲載できなかったことをご理解いただきたい。

もうひとつ、忘れてならないのはもう二度とレポートできないミュージシャンたちのことだ。
2013年にも我々は洋の東西を問わずたくさんの才能を失った。
こういう書き方は不謹慎なことは承知しているが、とにかく見れる内に見ておいた方がよい。
ロックの黄金時代を経験しているオールド・ファンにはよくおわかりだろうが、クリエイティビティやオリジナリティという面においては音楽的なレベルが幼稚化し、それにつられて器楽演奏技術の水準が明らかに低下していると思う。
ポピュラー音楽は時代とともにうつろうものだからそれでヨシとする向きもあるが、これは別の問題。
「名人芸」というものは失ってしまうとその穴を完璧にフォローすることはできない。
今のウチに出来る限り「生きる伝説」を体験しておくことも大切だ。
その点、Jim Marshallや桑名さんや青山さんとお仕事でご一緒させていただいた自分は本当に幸運だと思う。

そういう意味で、今年…できれば…の話しだが、Marshall Blogを使って日本のロックのクロニクルみたいな活動ができればいいなと思っているのですよ。
つまり偉大な先達の音楽的なご経験を活字に残しておきたい…なんて思ってる。おもしろい話しがゴマンとあるはずだからね。現在展開中のPhil Wellsのインタビューじゃないけど、誰かが記録しておかないと誰も知らないおもしろい話しが永遠に闇に葬り去られてしまう。
どげんかせんと!

それと「伝承」。このテーマは変わらない。Marshall BlogはMarshallやNATALやEDENの情報に合わせて素晴らしいロックの遺産を次世代に伝えていくことを目標にしている。

あ、機材の話しを…。これは簡単。
「向こうの空き地に壁ができたってよ!」「マ~、シャルてること!(「しゃれてる」のシャレです)」
ロックはMarshall。Marshallはロック。三段積みでロックの風をひとりでも多くのギタリストに体験してもらいたい…以上。これしかない!

ナンカ初っ端から取りとめのない文章になってしまったけど、今年もMarshall Blogを何卒よろしくお願い申し上げます!

最後にひとこと。これは何年か前に山下達郎さんがステージでおっしゃったお言葉。

「平和じゃなきゃ音楽もできやしない」
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2013年12月26日 (木)

QUORUM PLAYS QUORUM

どうしようかな~…。まだ悩んでる…。

このMarshall Blog、無造作に写真を貼り付けて適当に文章を書いていると思ってるでしょう?
トンデモナイ!
確かにパターン化させている箇所はあるけど、読者のみなさんをなるべく飽きさせないように、無いアタマを絞りに絞って構成を考えつつ制作しているのです。
そうでもないと毎日読んでもらえないもんね。

で、困ったのは今回の記事。
「見てから読むか」、「読んでから見るか」…コレに相当悩んだ。
ナニを見せるかっていうとQUORUM。
待望のプロモーション・ビデオが出来上がったのだ!

エエイ!もう最初に見せちゃえ!
とにもかくにもまずはそのビデオをご覧下され。ハイ、クリック!

…と思ったけど止めた!
やっぱり最後に紹介することにした。ですので必ず最後まで記事を読んでからQUORUMの世界をご堪能くだされ。まずは撮影のレポート。

PVで収録された曲はそのままバンド名を冠した「QUORUM」。

10Quorumのステージでは定番のテーマ・ソングともいうべきキラー・チューン。

20QUORUMの4人。平均年齢22歳。肌がツルツルしてる!

40ボーカルの浪岡真太郎。「後輩」と言いたいところだがゼンゼン違う…現役の東大生。
120vギターの北川游太。
130vベースの盆子原幸人。
140vドラムは石川達也。

150vセットに使われたMarshallのフル・スタックとNATAL。

30やっぱり美しい!他のギターアンプではゼ~~~ッタイに作り出せない光景、そしてムードだ。これだけでロック。
QUORUMの音楽にはMarshallが欠かせない。彼らが演奏しているスタイルの音楽はMarshallがあったjからこそ生まれたものだからだ。

100そして、その雰囲気にピッタリ収まるのがNATALのドラム。スコーンと紅茶、フィッシュ&チップスにはイングリッシュ・エール、TESCOのサンドイッチにはWALKERSのポテチ…やっぱりイギリスのものにはイギリスのものがシックリ来るのだ!

110Marshallの壁を背にしょった4人。

50ギタリストの遊太はもちろんのこと…
200他のフロントの2人も最後まで高まったテンションをキープしていた。

70達也にはNATALだ!

80今回達也が使用したNATALはメイプルの24"ツーバスのキット。フィニッシュはSilver Sparkleだ。

170ペダルもNATAL製。スネアにはNATAL自慢のHand HammeredシリーズのDark Copperが使用された。

180こうして都内のライブハウスで撮影は順調に進んだのだった。
160それではここでそのプロモーション・ビデオを見ていただこう。
はい、クリック!

いかがだったろうか?

いつもMarshall Blogが騒いでいるように、カッコいいギター・リフにソロ、魅力的なロック・ヴォイス、へヴィでフレキシブルなリズム・セクション、これらを全部備えているバンドがQUORUMなのだ。

60vこうしたロックが突然変異的に先祖返りして生まれてくるハズもなく、メンバーが各々黄金期のロックをいい点をしっかりと受け止めて、今の世代の感性を注入して作り上げた結果がコレなのだ。
いつも言っているのはこのことなのだ。

185早くもこのビデオは世間で評判となっているようでうれしい限りなのだが、若い人たち…高校生ぐらいの子たちはこの曲を聴いて一体何を思うのだろう?
自分達のちょっと年上のお兄さんが髪の毛を伸ばして、細いGパンやビニパンをはいて、半裸で狂ったように演奏する姿がどう映るのだろう?
ギター・リフもソロもなく、甲高い声で「ゴメンね、ゴメンね」と優しい男の子の心情を歌うバンドの方がやっぱり魅力的なのだろうか?
そういうのはロックじゃないよ。

190vQUORUMをおじさん達の懐古趣味の対象で終わらせてはゼッタイにダメ。若いリスナーにドンドンとアッピールしていってもらいたい。
そうして、若い人たちがQUORUMに興味を持ってくれたらしめたものだ。その若い人たちはハッピーとなる。QUORUMをキッカケに一生かかっても聴ききれないほどの素晴らしいロックと出会う可能性が高くなるからだ。

210vさらにQUORUMの進撃は続く。
902014年2月19日、「QUORUM」を含む全5曲入りのミニ・アルバムがリリースされるのだ。しかもちょうど午年!
QUORUMにとって大きな飛躍の年となることは間違いないだろう。

CdQUORUMの詳しい情報はコチラ⇒QUORUM Official Site

220v(一部敬称略 2013年11月撮影)

2013年12月17日 (火)

おかえりバズーカスタジオ

(昨日からのつづき)…というワケで高田馬場へ発展的に移転したバズーカスタジオ。
新宿の時も駅から近かったが、今度も高田馬場駅からすぐ。まさに「歩いて2分、走って1分」!
煌々と輝く「BS」のネオンサイン!
これが今度のバズーカの入り口。

10地下に降りると細長い空間が広がる。
これがロビー。
ロビーが広いとうれしいね。
昔はスタジオなんて狭いの当たり前で、ヘタするとロビーが混んでいると楽器を持って部屋から出られないなんてところもあった。

20v_2昨日紹介したように元々バズーカスタジオはレコーディング・スタジオだが、新しいバズーカには練習用のスタジオが7部屋設置された。
壁に描かれた数字はその部屋の番号だ。

私が初めてバンドの練習でスタジオってものを使ったのは36年前。1977年か…当時はスタジオなんて今みたいにどこにでもあるものではなくて、楽器屋さんに併設しているスタジオが一般的だった。
うん、スタジオ屋さんなんてあんまりなかったよね、あの頃?
で、少しでも安いスタジオを探して都内をさまよったもんだ。
置いてある機材なんて使い古しのボロンボロンなものばかりだった。まずMarshallなんてなかったよね。ドラムのヘッドなんかおろし金みたいに凸凹になっちゃって…。

JCM800シリーズが出る前の話しだからね、Marshallといえば1959とか1987ぐらいしかなかったし、ま、たとえ置いてあったとしてもまだロクに弾けない子供の手に負える代物じゃなかった。
それが今ではMarshallが置いてあって当たり前。いい世の中になったもんだ。

もちろんバズーカスタジオもMarshall完備。来てくれたお客さんが快適な演奏ができるよう最高の機材を常備している。

30_2こちらはミキシング・ルームのうちのひとつ。
まだ他にもレコーディング・ブースとペアでいくつも用意されているのだが、取材した時点ではまだ準備中だった。
当然のごとく機材、環境ともに新宿に負けない、イヤそれ以上の快適なレコーディング設備が実現する。

40_2こちらは練習スタジオ。Marshallは各部屋にJVMのハーフスタックが常備されている。

まだJVMが「ムズカシイとかややこしい」とかいう声を耳にすることがあるが、ゼ~ンゼン簡単よ。
真空管のアンプを使える人なら誰でもすぐに使いこなせるはず。
GainとVolumeがと3バンドのEQがある3チャンネルのアンプが4個入ってるだけなんだから。それにリバーブとマスター・ボリューム、高域強調のPresenceと低域強調のResonanceが付いているというだけのもの。

4つのアンプもキャラクターがハッキリしている。
①Clean  :1959等のビンテージ系サウンド
②Crunch :JCM800 2203系
③OD1   :JCM2000系
④OD2   :ドンシャリのJCM2000系
という風なサウンドのイメージを持っているので、まずは今まで使って来たMarshallのイメージに合ったサウンドを見つけてそれを発展させていくとおもしろいと思う。
チャンネルをコロコロ変えるのもいいし、気に入ったチャンネル/モード一発で通すのも自由だ。
色々できる器用なモデルだけど、余計な機能が付いていない分、音がいいのだ。

JVMが発売された時、開発者のサンチャゴ・アルヴァレスに色々と教えてもらったり、意見を交換したりして楽しかったな~。

そして注目してもらいたいことがまだある。7部屋のうち、5部屋にNATALドラムが設置されているのだ。

50_2メイプル、バーチ、そしてアッシュの代表的な3種類の素材のキットだ。

60_2昨日、SSLのコンソールの買い付けの場面で登場したマネージャー。この方は数々の名盤を手掛けた一流のレコーディング・エンジニアでもあるんだけど、人一倍ドラムの音にうるさいときてる。
その方が、「ドラムいいね~!吸音しても吸音しても鳴りがよすぎて追いつかないよ!」と満面の笑みを浮かべて私に感想を述べていただいた。プレイヤーももちろんだけど、やっぱり「音づくり」のプロフェッショナルにほめてもらえるとうれしい!
その鳴りはやはり国産のドラムにはないものだという。元々ドラマーだったJim Marshallの夢とブリティッシュ魂がふんだんに込められたイギリスのドラムだからなのだ。

70_2NATALとともに帰ってきたバズーカスタジオ。
なお一層おもしろいことになりそうだ。

80_2そのバズーカスタジオ、来る20日に『スタジオ内覧会』が開催される!
スタジオ各々の設備が自由に見学できるのはもちろんのこと、当日はMarshall Blogでもおなじみの孤高のギタリスト、三宅庸介氏率いるStrange, Beautiful and Loudと数々の実績を持つ人気エンジニア、内藤輝和氏による公開レコーディングが催される。
演奏に興味がある人だけでなく、プロのレコーディング・テクニックに接してみたい人にも必見のイベントだ。

そして、そして!まだ日本本格上陸前のNATALドラムも叩き放題だ~!
いまのところ日本でNATAL Drumsが叩けるところはバズーカスタジオだけだからね。
Marshallブログを見ているギタリスト諸君、あなたのバンドのドラマーさんに教えてあげてチョ!

90_2ドラム・キットだけでなく、左に見えるNATAL自慢のPure Stave Snare(staveとは「桶」のこと。従来のプライ式ではなく、コンガのように桶のような構造になっているスネア・ドラム)や真ん中のHand Hammered Snare。右のMetal Snare(写真はアルミ。先日来日したPrimal ScreamのDarrin Mooneyが実際に使用したもの) も試すことができる。

100_2いよいよMarshall Blogに登場する機会も多くなってきたNATAL(ナタール)。
ドラム・ブランドとしては最後発もいいところだが、これまで若手ドラマーから日本を代表するドラマーまで驚くほど好意的で高い評価を頂戴している。大変うれしいです!
最後発といってもパーカッションのブランドとしてはその歴史は古く、1965年にまでさかのぼることができる。つまりMarshallより3歳年下なだけのイギリスのパーカッション・ブランドだ。

Natal_powerロンドンのアラン・シャープという優秀なパーカッショニストが、当時市販されているパーカッションに満足せず、パーツを集めて自分で納得のいく楽器を製作した。
アランが作ったボンゴは瞬く間に評判を集め、製作の依頼が殺到したという。そうしてビジネスとして立ち上げられたパーカッション・ブランドがNATALだ。
どこかで聞いたような話しでしょ?
そう、他でもない、Marshallだ。
マー本『Marshall Chronicle』でも詳しく触れたが、ご存知の通りJim Marshallはギタリストではない。つまり自分が使う楽器ではなかったというのは大きな違いだが、Marshallの起源はJimが作ったスピーカー・キャビネットだ。Jimは自分の歌声を美しく拡声するために自分の納得のいくスピーカー・キャビネットを製作したのだった。やっぱ同じだね。

N_logo NATALのパーカッションはそのご多くのミュージシャンに愛用された。特に当時革新的な製品であったファイバーグラス製のコンガは、Santana、T.Rex、Led Zeppelin、Fleetwood Mac、Deep Purple、The Rolling Stonesらに寵愛され大評判を得た。
ラテン・パーカッションのブランドというとすぐにアレが連想されるが、「Swingin' London」で盛り上がったイギリスでは少しばかり様子が異なったようだ。

このアルバム知ってるでしょ?そう我々が『ライブ・イン・ジャパン』として親しんでいるDeep Purpleの輸入盤『Made in Japan』だ。このジャケットの写真をよく見てもらいたい。

Mijこの写真が撮られたのは日本武道館でも大阪厚生年金会館でもない。下の写真にあるロンドンはFinsbury Parkにある有名なRainbow Theatreだ。
そして、ジャケ写の中でIan Gillanが叩いているコンガこそNATAL製なのだ。
またやT-RexやDavid Bowieを撮り続けた名カメラマン、鋤田正義さんの写真の中にも、Micky Finnが使うパーカッションにNATALのロゴを確認することができる。

Bs_img_0450そして、このイギリスを代表するパーカッション・ブランドをMarshallが引き継ぎ、ドラムの製造に着手したのである。

Maple_gloss_blackMarshallの創設者、Jim Marshallはジャズ・ドラマーだった。
元気な頃はパーティで興が乗ると、パーティ会場のステージの上のドラムに座り大勢の人の前で演奏して見せてくれたものである。

Ash_white_swirlNATALはドラマー、Jim Marshallの夢…

Bubingaブリティッシュ・ロック魂に満ち溢れたドラム…それがNATALなのだ。

KmafxblもうWhitesnakeを辞めちゃったけど、Braian Tichyはアッシュのキットを使用。もちろんWembleyの『50 Years of Loud Live』でもNATALを使っている。

BtThin LizzyのBrian Downey。Thin Lizzyというとすぐにツイン・リードだの、Gary Mooreだの、Phil Lynottだの…ま、その通りなんだけど…でもドラマーでもない私が断言しよう…Brian DowneyなくしてThin Lizzyサウンドはあり得ない。
この人のドラム、メッチャすごい。そんなBrianのキットはメイプルだ。

Bdこちらは再活動が忙しいUriah HeepのRussel Gilbrook。
再結成Uriah Heepは来日も果たしたが、私はロンドンで観た。切れ味鋭かったRussellのドラム・サウンドはバーチのキットから繰り出されていたのだ。

Rbそして、先頃Marshall BlogでレポートしたPrimal ScreamのDarrin Mooneyはメイプルのキットにメタル・スネア(上述)を組み合わせて使っている。
Darrin MooneyはGary Mooreバンドのドラマーだった。ね~、三宅さん?!

Dm_img_8789 とにもかくにも12月20日は高田馬場へGo!

おかえりバズーカスタジオ!

バズーカスタジオの詳しい情報はコチラ⇒BAZOOKA STUDIO公式ウェブサイト

110_2(12月12日 高田馬場BAZOOKA STUDIOにて撮影)

2013年12月16日 (月)

さよならバズーカスタジオ

東京メトロ丸ノ内線「新宿御苑前駅」。
新宿御苑は、元は江戸時代に信濃高遠藩内藤家の下屋敷のあった敷地だった。
1879年(明治12年)に「新宿植物御苑」が開設され、第二次世界大戦後に一般に公開されるようになった。
大正天皇・昭和天皇の大喪の礼がとり行われたのも新宿御苑。
2006年(平成18年)には「新宿御苑」の名を冠してから100年を迎えたそうだ。

Sgm_2駅を出てちょっと角を曲がると…。

04このスタジオがある。
アレ?これアビィ・ロード・スタジオだ。写真間違えた!

05やり直し。
「新宿御苑駅」を出て数十秒。
このビルの地下にそのスタジオがあった。

10vバズーカスタジオ。
「あった」というのは、入居ビルの老朽化を理由にこの老舗スタジオが移転することになったのだ。

20vバズーカスタジオの開業は1993年。現在まで20年間、ハード・ロックやへヴィ・メタルから様々なタイプの音楽にわたる数えきれないほどの名盤がここで制作されてきた。まさに都内屈指のの名録音スタジオだ。
かつてはJimmy Pageが使っていた1987を所有していたこともある。

30ロビーの風景。ウッディな雰囲気が張り詰めたミュージシャンの頭と心を和らげる。

40謎のエレベーター。
このテーブルに座ってソロ・アルバムを出したばかりのノンちゃんにインタビューしたんだっけ。
60「あ、オレの落書きだ!」なんてマーブロの読者もいるのでは?

50こちらは地下2階の待合スペース。

70こちらは地下2階のミキシング・ルームのひとつ。
取材当日にはもう引越しの準備が始まっており、膨大な量に及ぶ録音機器の解体が始まっていた。そのため、すべての設備を紹介することができないことをお許し願いたい。

80地下一階にもどる。
全設備中、2番目に大きなスタジオ「5.1」。

90ハイレベルな録音機器が部屋に充満している。

100

110そしてバズーカの心臓部。

120雰囲気満点のミキシングルーム!

130

150TANOYのスピーカー。

170レコーディング・ブースのようす。

180ナント言っても目を惹くのはこの巨大な72チャンネルのミキシング・コンソールだろう。
イギリスがオックスフォードの南西にあるベグブロークという小さな街でこのコンソールが製作された。

190Solid State Logic社製。いわゆる「SSL」。1969年創業のこの会社は元はパイプ・オルガンのコントロール・システムを製造していた。
「Solid State Logic」というのは創業者のコリン・サンダースがオルガンの製作者に自分の考えたシステムを説明するために考え出した造語だそうだ。
音楽のレコーディングに並々ならぬ興味を持っていたその創業者はやがてミキシングのコンソールの開発に着手し、SSLは現在では世界屈指のミキサーブランドに成長した。

200スタジオの開業にあたり、バズーカ・スタジオの現マネージャーがミキシング・コンソールの買い付けにアメリカのボストンに赴ていた際、「アビー・ロード・スタジオがコンソールを手放す」との情報をキャッチ。
そのままアビー・ロード・スタジオがあるロンドンのSt.John's Wood(冒頭の写真の場所。ヘヘヘ、最初にアビー・ロードの写真を掲載したのはこのためなのよ!)に飛んだという。

下はコンソールが東京に到着し、バズーカ・スタジオに設置しているところ。
設置時には指導のためにイギリスから技術者が来日した。

201マネージャーがアビー・ロード・スタジオを訪れた際に受けた説明。
「このコンソールはポールが自分のアルバムを作るためにSSLに特別に発注したものです。そのレコーディングの後、ポールがアビー・ロードに寄付してくれたものなのです」
ポールとはもちろん「ポール・マッカートニー」のことだ。

202Marshallや他のギター・アンプ・ブランドもそうだし、先のスピーカーのTANOYやGarrard、KEF、B&W、McIntosh、Quad、Neve等々、イギリスには名だたる音響機器のブランドが多いが、これはナゼだろうか?

203大変そうだけど、みんな楽しそうだ。

204vバズーカのマネージャーはこのコンソールを買い受ける際、「ここにキズがありますね?」と値引き交渉に入ったが、先方はこう切り返したという;
「ほほう…このキズはポールが付けたものかもしれないんですよ?ABBAのメンバーの誰かかもしれませんね。つまり、このキズは歴史なんですよ。それがわかりませんか?」
そう言われちゃったらね~。そしてこう付け足したという。
「このコンソールでこれからも新しい音楽の歴史を刻んでいってください」

205vこれはこのコンソールに付属していた証明書。「名器の血統書」とでもいおうか。
こう書いてある;

「(ヘッダー)abbey road
SOLID STATE LOGIC CONSOLE 4056B - ABBEY ROAD STUDIOS

1993年7月

Abbey Road Studio 1 でこのSolid State Logicコンソールを使用したアーティスト

FISH
AHA
ABC
DURAN DURAN
TOTO
DEACON BLUE
JOHNNY HATES JAZZ
FINE YOUNG CANNIBALS
PAUL McCARTNEY
GARY BROOKER
PERRY COMO
FLOCK OF SEAGULLS
MAURICE JARRE
ROY ORBISON
RUSS BALLARD
ANDREW LLOYD WEBBER
SARAH BRIGHTMAN
IT BITES
ADAM AND THE ANTS
BOB DYLAN
PAUL SIMON
ART GARFUNKEL
KATE BUSH
CHRIS REA
MICHAEL KAMEN
DONOVAN
JERRY GOLDSMITH
JOHN WILLIAMS」

Bs_img_7763そして、バズーカ・スタジオとSSL製ミキシング・コンソールは新宿で音楽の歴史を刻み続けて来た。

210やはりこうした名所がなくなるのは寂しいことだ。
加速度的に時代が移り変わっていく昨今、Marshall Blogを通じてロックや音楽の歴史を記録して後世に伝えたいと思っている。
その活動のひとつがこのMarshall Blogの『イギリス-ロック名所めぐり』や『Marshall Chronicle』のカテゴリーであり、やや広い意味では『ライブ・レポート』もそれに当るかもしれない。
覚えているようでも時間が経つと忘れちゃうからね。
それに、みんなが知らないようなおもしろい話しがまだまだたくさんあるんだよ。そんな話題をドンドン提供していきたい。

220冒頭に記したようにバズーカスタジオは移転するのであって、これが今生のお別れではない。
移転先は高田馬場。
今度はレコーディング・スタジオだけでなく練習スタジオを設備している。もちろん優れた耳と感性と技術を持ったレコーディング・エンジニアさんたちもそのまま引っ越すので完全にパワーアップすることになる。
つまり、「バズーカ」どころか、戦艦大和に搭載された46cm砲にスケールアップするのだ!
ちなみにこの46cm砲というのは当時世界最大で、1.5tの重さの砲弾を42km先まで飛ばすことができたという。42kmといったら東京~横浜までぐらいだからね。これを撃つ時には甲板の乗組員は全員専用の遮蔽物の影に隠れなければならない。さもないと発射した時の衝撃で内蔵が破裂してしまったらしい。その爆音たるや1959の三段積みどころではなかった…って当たり前か。

230でも、ここでは一旦言わねばなるまい…さよならバズーカ!
お疲れさまでした!
明日は高田馬場の新しいスタジオを紹介する。

240(2013年11月6日 新宿バズーカスタジオにて撮影)