WHITESNAKE Live in Japan
そして、コンサート。
追加公演を含めた3回の東京公演のうち、7日の中野サンプラザのレポート。
お定まりの少々押してのスタート。客電が落ちてからもしばらくはメンバーが現れず興奮がさらに高まってしまう。
David Coverdale
Doug Aldrich
Reb Beach
Michael Devin
Tommy Aldridge
もうそこに立ってるだけでロック。年齢なんかまったくどうでもいいことを思い知らされるような圧倒的な存在感。
WHITESNAKEを撮ったのは初めてではないが、やっぱり夢中になって撮っちゃうね。問答無用でみんなカッコいい。
DougのMarshallも昨日確認しちゃったことだし、今日は下手なコメントは控え目にして写真集として楽しんでいただければ…と思う。
オープニングは「Give Me All Your Love」。
枝ではなくロックの幹にいる人はやはり重みが違う。
楽屋の廊下ですれ違って、ポンと肩を叩いてあの声で「Hi, how are you?」なんてやってくれるDavid。ニコニコと陽気でステキな人だ。
あ~、クソ~、カッコいいナァ~。
何回でも書く。Doug Aldrichは今日もカッコいいのだ!
昨日紹介した1959で素晴らしく情熱的なサウンドをクリエイトする。
下手のReb。
ペンタトニックを中心にブルージーにフレーズを練り上げるDougとは対照的にトリッキーなプレイで観衆の目を惹く。
サウンドもDougに比べると鋭角的だ。
もちろんMarshall。VBA400とVBC810のコンビネーションだ。
このMichael、ブルース・ハープの腕前も抜群で、コンサートの半ばではDougのギターとともに飛び切りカッコいいデュオ・プレイを聴かせてくれた。
ドラムがBrian Tichyでないのが少々さびしかったが、Brianはもうすでに自分の道を歩み出しているのだ。
代って参加のTommy Aldridge。彼もやたらと感じのいい人で、楽屋でも気軽に声をかけてくれる。
素晴らしいプレイの連続で観客は総立ち!
その昔、Foreignerが1977年にデビュー・アルバムを発表した時、メンバーがイギリス人とアメリカ人の混成なるがゆえに「Foreigner(異邦人)」というバンド名になったと喧伝していたが、もうメンバーの多国籍化というのは当たり前になっちゃったね~。
ブリティッシュ・ロックの権化と呼んでも過言ではなかろうDeep Purpleから派生したこれまたブリティッシュ・ロックを代表するバンドのメンバーが創始者を除いてみんなアメリカ人になっちゃったもんね。
一時期のイギリス人がアメリカ人や世界のミュージシャンに与えたブリティッシュ・ロックの影響たるや尋常なものではない。70年代のハード・ロックのBritish Invationだ。その結果がもたらしたものは、ブリティッシュ・ハード・ロック・アーティストの枯渇だ。もちろんそれは結果論でしかないが、完全にアメリカ人がブリティッシュ・ロックを引き継いでしまった。
WHITESNAKEのオリジナル・メンバーって全員イギリス人だったんですよ!
Marshallの50周年記念コンサートもそう。ほとんどの出演者がアメリカ人だった。
音楽に国境なないし、カッコいいロックをやってくれるなら国籍も洋の東西も問わない。でも、あまりにもイギリス勢がさびしすぎる。これもいつも書いていることだが、ショウを見ていて改めて考え込んでしまった。
また、長きにわたってMarshallのデモンストレーターを務めたGeoff Whitehornがこう言っていたのを思い出す。「Deep PurpleにSteve Morseが入ったのは残念だ…。なんでアメリカ人を入れるんだ…」と。つまり、「オレを入れろ」ということだ。
これを聞いて、思ったことがふたつあった。ひとつは彼がDeep Purpleの加入につながっている同一線上で音楽を活動をしていること。そして、日本はまったくそお同一線の上にいないということ。もっとも彼は今でもProcol Harumで活躍していることだけでも十分スゴイが…。
そして、Deep Purpleの音楽をイギリス人として誇りにしていることだった。
とにかくイギリス勢にはがんばってもらいたい。
その偉大なブロティッシュ・ロックの歴史の一部を作った人が目の前でマイクスタンドを振り回して暴れているのだからタマラナイ!
DougとRebのギター・バトルは大きな見せ場だ。
以前は「あ~か~こ~な~、ノースキャロライナ出身~、ミスター、ダ~グ、アルドリッチ~!」なんてやってたんだけどね。もうやらない。
ただひたすら弾く!Dougのプレイに特徴であるオーバーベンドが炸裂!ニュイ~~ンってヤツね。
そしてDougがつむぎだすフレーズはどこまでもブルージーだ。
Rebは後攻。
こちらは思い切りコンテンポラリーなプレイ。正確で一分の狂いも乱れもない!
このバトルも何回か見ているが、以前はただふたりが「これでもか!これでもか!」と弾き狂うだけだったのが、今回はバトルの後半では美しく、かつスリリングにハモっちゃったりなんかして観ていて最高におもしろかったナ。
Dougってさ、プレイだけじゃくてアクションもカッコいいんだよね~。
どう動いてもビシっとキマる!左手の指の形もカッコいい。
ホント、いつかWembleyのレポートでも書いたけど、彼らは自分のスタイルを執拗なまでに守るんだよね。ちょっとの妥協も許さない。
本番前にMarshallの前で撮った写真も「見せて、見せて」と言って一枚一枚「いいね~」とか「ん~」とかその場で反応してくれる。どれもカッコいいので一体何がいいのか悪いのか皆目見当もつかないのだが、とにかく人前に出す自分をすごく大切にしているんだな。あ、ちなみに一枚一枚チェックはしてもDougは全然神経質じゃないの。そこがまた奔放でステキ!
リズム隊も強力だった!
実は…私はTommy AldridgeというとPat Traversなんだよね。あとBlack Oak Arkansas。
マァ、バッチンバッチンと痛快に叩きまくる姿はやっぱりロックの歴史そのものだわね。
サポート・キーボードのBrian Ruedy。ステージ上手の少し離れたところでプレイしていたが、バンド・サウンドをガッチリ厚くしていた。
イヤ~、やっぱりいいね、こういうロックは。
え?どうもいつもと様子が違うって?写真を多く載せすぎたにしてもコメントが少なすぎるだろうって? 曲名も1曲目しか書いてねーじゃねーか!って?
ハイ。特段書く必要は何もないんだけど、正直に言ってしまいましょう。
私、WHITESNAKEってまったく通らなかったんですよ。デビューした時のことはよく覚えているんだけど、チョットその頃違う世界にいたもんですから…。
でも、そんなの関係ない!今聴いていいものはいい!とにかくこういうのが「ロック」なんだよ!
でもさ、Deep Purpleの『Made in Europe』なんかを聴き直してみるとマジでDavidの声ってスゴイな…。 こういう声を出す人、出せる人ってまだまだいるでしょうに…一体どこへ行っちゃってるんだろう。
私はこういう声の歌でロックが聴きたいよ。
WHITESNAKE…いつまでもがんばって欲しいバンドだ!
(敬称略 2013年5月7日 中野サンプラザホールにて撮影 ※協力:Creativeman Productions)