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2023年3月30日 (木)

ローレンス・ジョーンズ plays JMP50 2144コンボ

 
Marshallから新しいデモ・ビデオがリリースされた。
それがナンのデモンストレーション・ビデオかというと…ナント、1970年代の後期に生産していたコンボ、2144なの。
弾き手はローレンス・ジョーンズ。
10s
トラディショナルなロックにかけては権威のあるイギリスの「CLASSIC ROCK」誌に「ブルース・ロックの将来」と言わせしめた実力派ギタリスト/シンガーだ。
才気あふれるリフやソロ、キャッチ―な曲でこれまで数々のメジャーな賞を獲得し、ヴァン・モリソン、リンゴ・スター、ステイタス・クォー等のビッグ・ネームとの共演も経験している。
2017年のオランダで開催された国際ブルース・フェスティバルではバディ・ガイから共演の指名を受け、15,000人の前でそのギター・プレイを披露した。50ビデオの中でローレンスの横に置いてあるのが愛器のJMP50 2144。60

2144は拙監修本『アンプ大名鑑[Marhall編]』にも登場しているんだけど、この辺りのモデルってややこしいんだよね~。
ところで、久しぶりにこの本のアマゾンの現況をチェックしてみると、値段が3倍ぐらいになっているのね。
もしかしてその理由が「監修者の揮毫本」とかになっていたらどうしよう!かと思ったけどゼンゼンそんなことがなくてホッとしたわ。
え?思い上がるのも大概にしろ!って?おっしゃる通りですナ。70bナニがややこしいのかというと、その型番ね。
仕様も名前も見た目も似ているの。
チョット整理してみましょう。
まずは「2040」から。
コレはギター用50Wの2x12"コンボ。
70_20402チャンネル、4インプット。
1971~1978年まで「Artist」という名称で親しまれた。
7年も生産が続いたというのは人気があったと言える部類のモデルでしょうナァ。80コチラは「2104」。
同じくギター用50Wの2x12"コンボ。
実はコレはわかりやすい。90_2104マスター・ボリュームに2インプット。
つまり「JCM800 2204」のコンボ・バージョンの「2104」の前身がコレ。
まだ1981年のJCM800シリーズが始まる前ね。
一般的に「JMP期」と言っているのかな?
「JMP」は「Jim Marshall Products」の頭文字ね。
100_2104熱心にMarshall Blogを読んで頂いている方にはこの辺りでモデル・ナンバーについて「?」と思われるかも知れない。
というのは、この辺りのモデルはいつかMarshall Blogに書いたモデルのナンバリングのロジックに沿っていないのではないか?という疑問。
そうなんですよ。
コレはマイク・ドイルに確認したワケではないが、もうこの頃になると最初のナンバリング・システムはローズ・モーリス社内で崩壊していたんでしょう。
多分、ロックの普及に合わせて新しい楽器が次々と発売になって収集がつかなくなったのではなかろうか?
1971年に発売した上の「2040」はまだ従来のナンバリング・ロジックに沿っていたんだと思う。
ところがその後、ローズモーリスが一計を案じたのは、「もうややこしいので、少なくともヘッドとコンボの型番はハッキリ区別しようではないか?」ということ…あ、コレは推測ですからね。
で、どうしたかというと、4ケタのスタイルはそのままに、ヘッドは「1959」や「1987」に倣ってアタマ2ケタを「19--」に、そしてコンボは「21--」にした。
ナゼ「21」だったのかはわからない。
だから「1959」のコンボ・バージョンは「2159」だし、「1987」のコンボ・バージョンは「2187」となった。
同じようにこの「2204」のコンボ・バージョンも「2104」になった…何度も言いますがコレは「推測」よ。
その程度に読んでください。
私は牽強付会の主張はしませんから。
 
そのナンバリングについてはコチラをご覧あれ。
    ↓   ↓   ↓

12mae_rose同じく、ローレンス・ジョーンズが愛用している2144も何かのコンボ・バージョンではないかと思うんだけど、私が調べた限りでは「〇〇44」というモデルは見当たらなかった。110_2144ビデオの中でもローレンスが説明しているけど、このモデルはマスター・ボリュームとリバーブが付いているのが大きな特徴だ。120もうひとつの特徴は2つのインプットのうち「HIGH」にはフットスイッチでオンオフがコントロールできるブースト機能を搭載していた。
これにより、この辺りのモデルの中では抜きん出て深い歪みを得ることができる設計になっていた。130スピーカーは伝統のCesstion製。
もうひとつの特徴は、このモデルは1978年にしか生産されず短命に終わった…ということ。

140コレがそのビデオ。
その「2144」のサウンドをご堪能あれ。
ローレンスも気持ちよさそうに弾いてるわ。
ところで、ローレンス・ジョーンズはMarshall Recordsの契約アーティストです。
ウチにはローレンス・アーチャーもいるけど、「ローレンス」って長いな……「ラリー」にしてもらうとラクなんだけどな。
150
ローレンスが昨年Marshall Studioでレコーディングしたアルバムは『DESTINATION UNKNOWN』。 
CDと…

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LPを用意しています。

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200

2023年3月29日 (水)

ジミ・ヘンドリックスのMarshallをオープン・ザ・プライス!

 
最後にMarshallの本社に行ったのは2019年の5月末のことだから、もうすぐ丸4年もイギリスにご無沙汰ということになる。
『名所めぐり』のネタも仕込んであることだし、ソロソロ行きたいんだけどね。
今、イギリスは物価の上昇で大変なことになっているからな。
加えてこの円安の状況下、節約覚悟で行ったにしても現地で侘しい思いをするのもイヤだもんね。
何しろ地下鉄の初乗りが1,100円もする国だからね。
新宿から新宿三丁目まで乗って1,100円。
梅田から淀屋橋まで乗って1,100円。
実際にこんな風にして地下鉄に乗っている人はいないけどシステム上ではこうなってる。
まぁ、とにかくまだまだ行かれそうにないわ。
 
で、よくMarshallに行っていた頃の話。Img_7867工場のリペアのスタッフは私がMarshall Blogをやっているのを知っていて、私が工場にいる時にレアなMarshallの修理品が舞い込んでくると、場内電話がかかって来て「シゲ、オモシロいものが入ったぞ!」とよく教えてくれたものだった。
Marshall Blogのネタに使え…というワケだ。
そこはさすがMarshallの母国だけあって、日本に入って来なかった見たこともないレアなアンプがタマに修理に持ち込まれるのだ。Img_0116この時は「JTM100が入ったぞ!」ってなもんだった。Img_0128コレも珍しい。
2061の赤。
コレ、リイシューじゃありませんからね。
オリジナルの2061だから50年以上前のMarshall。Img_0115この時はリペアのセクションからではなく、当時の副社長からの連絡だった。
「シゲ、オモシロいものを見せてあげるから社長室にすぐおいで!」
で、慌てて社長室に駆け込んだ。
「J. H.EXP…もしかしてコレって?」
「そう、スウェーデンのコレクターから借りたホンモノだよ」とこの時は言っていた。
「ジミ・ヘンドリックスが実際に使っていたSUPER100だよ」というワケ。
Srimg0183
このSUPER100は1966年の中頃に作られ、同年10月8日にジミの手に渡ったとされている。
その10日後にこのヘッドはパリでジミと一緒に写真に収まった。
モンタレー・ポップ・フェスティバルや1967年3月2日のマーキー(調べてみるとこの日はジミ名義でのライブではない)、また同年11月14日のロイヤル・アルバート・ホールでも使用されたことが確認されている。
Srimg0181MarshallはこのSUPER100をリファレンスに「ジミ・ヘンドリックス・シグネチャー・モデル」と称したリイシュー・モデルを発表した。
それがこのSUPER100JH。

Jh2


しからば、このジミ・ヘンドリックスが使っていたSUPER100が手に入るのであれば、一体どれぐらいの値段になるのであろうか…。
え、そんなものが手に入るワケがない?
イヤ、手に入るようなんですよ。
アメリカのビンテージ楽器を扱うウェブサイトに売りに出ていた。
Jk_2

そして、その値段は…いち、じゅう、ひゃく、せん、まん…。
エエエエエエ!
100万ドル?! 「乙羽信子のエクボ」じゃないっつーの!
今なら1億4千万円也だぜ!
さっそくMarshallの連中にこの情報をシェアしてみると、案の定この値段には「Jaw-dropping」!
 
購入ご希望の方はコチラからどうぞ!⇒PURE Vintage 

9


 
このアンプは元々、ジミの死後にリッチ・ディッキンソンというイギリスの人が所有していた。
ノッティンガムシャーのマンスフィールドという所にある「Carlsbro Sound Centre(カールズブロ・サウンド・センター)」という楽器店に£65で売りに出されていたそうだ。
1971年の話。
イギリスがECに加入してVAT(Valuable Added Tax=消費税)を導入するのは1973年のことなので、この当時は「£65」と言ったら支払いは「65ポンド」だけでOK。
1971年当時の為替レートはだいたい850円/£だったので、55,250円で売っていたことになる。
では、今から52年前の「5万円」って今のいくらぐらいに相当するか…。
1971年の国内企業物価指数が令和2年比「54.2」だというから、リッチはジミ・ヘンドリックスがモンタレー・ポップ・フェスティバルで使ったMarshallを今の感覚で概ね10万2千円で手に入れたことになる(リッチは£5の送料を別払いしている)
ハイ、欲しい人!
「ハイ!」…その値段ならさすがの私も買うわ!
10万2千円が今では1億4千万円だもん。
その後、アンプは回り回って2020年にはクリスティーズのオークションにも出品されたそうだ。
下はその「カールズブロ・サウンド・センター」があったノッティンガムシャーのマンスフィールド。
現在の人口が10万人ほどのこんな小さな町にジミ・ヘンドリックスが使ったアンプがあったなんてネェ。
Ten Years Afterのリック・リーとレオ・ライオンズはココの出身だそうだ。
Mfところで、イングランドの中央部に位置する「ノッティンガム」は「ロビンフット」の地元なんだけど、我ながら自分のダメさを自慢したくなるぐらいこの地方の英語がわからない。
「Ay up duck!(エイオプドック!)」なんていきなり言われてわかる?…イヤ、いきなりでなくても我々日本人には永久にわからんね。
「duck」は「北京ダック」の「ダック」…つまり「アヒル」。
何しろ私のバカ耳ときたら完全に「dog(犬)」としか聞き取れなかった。
で、この「duck」は相手に愛情を込めて呼びかける時の言葉だそう。
だから「Ay up duck!」というのは、ノッティンガム方面の「Hello my dear!」という意味なのだそうです。
こんなの学校の授業では教えてくれないよ~!
ま、ジミ・ヘンドリックスも初めてイギリスに来た時はその英語に驚いたっていうからね。
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さて、折角のジミ・ヘンドリックスの話題なので私が過去に丹精を込めて書いたジミ・ヘンドリックス関連のMarshall Blogの記事を紹介して今日の記事を締めくくりたいと思う。
ヘタな文章だけど、動画ばっかりじゃなく、タマには字にも目をやってくださいな。
コアなロックが好きな方にはオモシロイ内容になっていると思っています。
 
【イギリス-ロック名所めぐり】
vol.58 ~ジミ・ヘンドリックスのロンドン <vol.1>
1966年にロンドンに渡ったジミ・ヘンドリックスとその後の活躍。Img_9931_2

vol. 59 ~ジミ・ヘンドリックスのロンドン <vol.2>
ジミ・ヘンドリックスとMarshallの出会い。
今日の記事の1億4千万も出てきます。
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vol. 60 ~ジミ・ヘンドリックスのロンドン <vol.3>
ジミ・ヘンドリックスのお宅訪問。20vol. 61 ~ジミ・ヘンドリックスのロンドン <vol.4>
ジミ・ヘンドリックス博物館のご案内。
あの有名な「Speakeasy」も出て来るよ。
210_2
vol. 62 ~ジミ・ヘンドリックスのロンドン <vol.5>
ジミ・ヘンドリックスのレコード・コレクション。
ジミはどんなレコードを聴いて影響を受けて自分の音楽のアイデアを練ったのかな?
70_2

vol. 63 ~ジミ・ヘンドリックスのロンドン <vol.6>
レコード・コレクションの後半。この記事を書いていた時は本当に楽しかった。
そして、ロンドンの最後のジミ・ヘンドリックス。140_4以上。 


☆☆☆Marshallからのお知らせ☆☆☆

Marshallのペダルのビンテージリイシューが好評発売中!
1988年に発売したエフェクツ・ペダル4種類が完全復刻発売されたのです。
イギリス製の手づくり。
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The Guv'nor(ザ・ガヴァナー)

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BLUES BREAKER(ブルースブレイカー)

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DRIVE MASTER(ドライブ・マスター)

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SHRED MASTER(シュレッド・マスター)

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商品の詳しい情報はコチラ⇒【Marshall Blog】THE LEGENDS ARE BCAK~伝説のペダル復活!

120

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(情報提供:三宅庸介さん)

2023年2月25日 (土)

THE LEGENDS ARE BCAK~伝説のペダル復活!

 
SNSで見かけた方も多いと思うんだけど、「2023年2月24日 あの伝説が帰って来る」…だなんて一体何事かとビックリするじゃんね。Pban 2月24日となってその「伝説」が姿を現した。
その正体は1988年に発表したエフェクト・ペダルの復刻生産だった!
20昨年創立60年を迎えたMarshall。
その長い歴史にあってエフェクト・ペダルの開発・生産にもかなり昔から積極的に取り組んできた。
下は本社工場のエントランスの2階にある「Marshall博物館」。Img_7942ココにもちゃんと歴代のエフェクト・ペダルの展示コーナーが設置されている。Img_8024はじまりは1960年代の後半。
当時はワウワウ・ペダルやファズを作っていた。
 
コレは「Supa-Wah(スパワウ)」という商品名のワウワウ・ペダル(Marshall Museum Japan所蔵)
ジムが温泉好きだったという話は聞いたことがないが、「Supa」という名称。
「Super」ということなんでしょう。

50鋼鉄感に富んでいてとても頑強なイメージ。60v底面には宣伝料をもらったのかどうかは知らないが、適合する電池のメーカーと型番が記してある。
そして、「MADE IN ENGLAND」の表示。70vコチラは「Supa Fuzz」ってぐらいだからファズなんだろうナァ(Marshall Museum Japan所蔵)30vご覧の通りイギリスの某エフェクター・ブランドと同じデザインになっているが、この製品に関しては協業していたらしい。40vこんなファズもあった(Marshall Museum Japan所蔵)
CMIというのは「Cleartone Music Instruments」の略で、話が長くなるので簡単に言うと、Parkアンプの販売をしていた会社。
詳しいことをお知りになりたい方は下に出て来る『アンプ大名鑑[Marshallh編](スペースシャワーブックス刊)』のP397をどうぞ。

80v
その後、恐らくはアンプの生産に忙しくてエフェクターを開発しているヒマがなかったのだろう、1988年になってやっとこの「The Guv'nor」の商品ラインが登場する。
下はオリジナルのイギリス製The Guv'nor(Marshall Museum Japan所蔵)

90この「The Guv'nor」という名称ね。
今のMarshallのウェブサイトでも「ジム・マーシャルの愛称から採った」と説明しているが、『アンプ大名鑑』を監修した者の立場で言わせてもらうと、どうもそうではないらしい。
「Governor」という単語の意味の取り方にどうも齟齬があるようで、後でMarshallに報告しておきます。Adそして、1998年に新しい6種類のペダルを発表した。
商品が潤沢に日本に入って来たのは2000年になってからだったかナァ?
モノによっては信じられないぐらい売れたわ。100s_3その中で、一番反応が鈍かったのは多分コンプレッサーの「ED-1」だったと思う。
でもネ、この商品はクォリティもすごく高かったし、ナニより商品名がシャレていた。
正式には「Edward the Compressor」というんだけど、コレは「Edward the Confessor=懺悔王エドワード」のダジャレになっていた。
普通日本人は「懺悔王エドワード」なんて知らないよね?
この商品が発売された時は私も知らなかった。
エドワードというのは11世紀のイングランドの王なんだけど、「国の支配者」というよりは、信仰心の篤い「修道士」というキャラだったらしい。
ヘンリー八世なんかと違って無欲で大人しい人だったんでしょう。
そして、死後「懺悔王=Confessor」という聖人の称号のひとつを得た。
でも、「聖人」って言ってもわかんないでしょう?
私は少々勉強して何回かMarshall Blogに書いているんだけど…「聖人」というのは、キリスト教の信者にとってとてつもなく名誉な称号で死後何百年もかかってその称号を得る人もいるんだって。
とにかく、日本人には全く馴染みのないストーリーが商品の名前になっていたんですね。
もしかしたら、同時に発売した「Guv'nor II」と対比させたかったのかも知れない。
「governor」というというのは「支配者」という意味があるので、ギター信号を支配して歪ませてサスティンを稼ぐ「支配者=Guv'nor」に対して、歪ませずに音を伸ばす「懺悔王=Confessor」という図式だったのかも知れない。
今頃オモシロくなってきた…でももうこの商品シリーズは終了。
お疲れさまでした。

100edそして、替わりに伝説の「歪みペダル4兄弟」がオリジナルと同じく「イギリス製の手作り」という仕様で帰って来たというワケ。
ところで、最近はこのエフェクト・ペダルというモノは何と呼ばれることが一番多いのだろう?
私がギターを始めた50年近く前は「エフェクター」とか「アタッチメント」と呼ぶのが一番普通だった。
今、「アタッチメント」という言葉を使っているのは、私が知る限りCONCERTO MOONの島紀史さんだけだ。
海外では「ストンプ・ボックス」とか、「FXペダル」とか、「エフェクト・ペダル」とか呼ぶのが普通のようだが、日本はいまだに「エフェクター」かな?
コレも和製英語っぽいな…今度Marshallの友達に確認してみよう。
Marshallはシンプルに「Pedal」と呼んでいる。
 
では、そのMarshall新しいペダルを紹介しましょう!
まずは…120BLUES BREAKER(ブルースブレイカー)

130歪み4兄弟の中で一番おとなしいモデル。
もちろん由来は「1962 BLUESBREAKER」。
このモデルは「BLUESBREAKER II」として次の世代のシリーズに受け継がれた。
コントロールはゲイン、トーン、ボリュームというシンプル仕様。

140裏面のようす。
各モデル共通でACと乾電池のいずれかで駆動させることができる。

150青いサインが目印ね。

160Marshallのインターナショナル・インストラクターのスティーブ・スミスがブラミー(バーミンガム出身者)・アクセントでデモンストレーションをしてくれているのでゼヒご覧あれ。

DRIVE MASTER(ドライブ・マスター)

170次の兄弟はオーバードライブ。
BLUESBREAKERに比べて歪みがパワーアップし、EQが3バンドに増えて繊細な音作りが可能となった。
「ドライブ・マスター」、略して「ドラマ」ってとこか?180ドラマは赤が目印だよ。

190デモンストレーション・ビデオはコチラ。

SHRED MASTER(シュレッド・マスター)


200
名前から連想できるように、歪み4兄弟で最も強烈なヤツ。
コントロールはゲイン、ベース、コンツァー、トレブル、ボリューム。
コンツァー(Contour)というのは「輪郭」という意味で、周波数帯を調節して中音域を調節する機能。
最近は見なくなったが、効果が大きくパネルのスペースが節約できるので昔のMarshallの小型アンプによく搭載されていた。
210このロゴはゴールドなのかな?

220スティーヴがギンギンに弾いてくれています。
2016年に開催した第1回目の『Marshall GALA』で一番最初に出演してもらった「THE SHRED MASTERS」というのはコレが元ネタ。165THE GUV'NOR(ザ・カヴァナー)230「コレを使えばどんなアンプでもMarshallの音になる!」ということで発売当時大変な人気を博したモデル。
最初はイギリスで生産していたが、後に韓国製となった。
今でもイギリス製のGuv'norを探している人が引きも切らないがコレでひと安心。
コントロールはゲイン、ベース、ミドル、トレブル、レベルと他のモデルと大差はない。
機能上の大きな違いは「LOOP」。
ココから外部のエフェクターをつなぐことができるようになっている。
当時としては画期的なアイデアだったが、オイ、チョット待てよ…ジャックがひとつしかないのにどうやって信号のやりとりをするんじゃい?ということになる。

250そうなんです。
このLOOP機能を活かすには「Y-Indert Cable」、すなわち二又のケーブルが必要になります。
商品には付属していないので要注意。

9yi 他の3つと仕様が異なる点がここにも…。
それは電池を入れるスペースのフタがネジ留めになっているところ。
コレね~、輸入代理店で私がMarshallの担当をしていた時に何回問い合わせの電話があったかわからない。
「ガバナーの電池のフタって取り扱っていますか?」という質問。
このネジを失くしてしまう人が多いのよ。
今回は用意するのかどうかわからないけど、失くさないように注意してくださいね。

240スティーヴのデモ動画はコチラ。
2019年の『Marshall GALA2』では「THE GUV'NORS」というのもやった。
大ウケで楽しかったナァ。
300さて、今回のペダルは「オリジナルを忠実に再現したイギリスの本社工場製」ということなので、ガヴァナーの新旧を比較してみよう。
下はMarshall Museum Japanが所蔵している正真正銘のイギリス製オリジナルGuv'nor。
リイシューは上に出て来た写真を参照してね!
まずは正面。260コントロール部。270裏面。
例のネジの再現も完璧。

275全景。280_mmこれが今回のリイシュー。
いいんじゃないの~?290以上、4種類。
オリジナル同様、ご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます!310_2

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フィル・リノットの魂を受け継ぐGRAND SLAM。
 
<Gone Are the Days>

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9img_9727 

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2023年1月 1日 (日)

明けましておめでとうございます

 
新年明けましておめでとうございます
 

90r4a0407_2 旧年中はMarshallにひとかたならぬご支援を賜り心から御礼申し上げます。
Marshallは昨年創立60周年という節目を迎え、今年は「Diamond Jubilee + 1」という新たな年となります。9img_7759 また、2023年はジム・マーシャルの生誕100周年にあたります。9jim そんな年にMarshallは大きな変革の年をスタートさせました。
本年もMarshall、NATAL、Marshall Blog他をお引き立てのほど何卒よろしくお願い申し上げます。

Mar_logo_2Natal_drums_logo

Marshall_records_logo_square_black

Marshall_blog_square

Mmst_square 
しかし…私も色々やってんナァ~。
今年も張り切ってMarshall Blogの取材に出かけるつもりです。
現場でお見かけになられましたら気軽にお声をかけてくださいね!
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
 


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2022年5月31日 (火)

【Marshall60周年記念イベント】Marshall HOOTIE


去る5月6日、予てよりレポートしていたMarshallの60周年を記念するイベントのひとつ『Marshall HOOTIE』が大盛況のうちに終了した。
今年で10年目を迎えたMarshallの生まれ故郷である「Hanwell(ハンウェル)」のフェスティバル、『HANWELL HOOTIE』の中での開催だった。10vイギリスで大人気のFrank Carter and the Rattlesnakesをヘッドライナーに迎えたラインナップ。
「hootie」というのは「パーティ」みたいな意味だそうだ。

Mh 開演前のステージのようす。
ステージのそでにはMarshallのロゴや60周年のロゴがあしらわれて「60th Anniversary」雰囲気を盛り上げる。
Img_5488会場はハンウェルの「Viaduct Meadow(ヴィアダクト・メドウ)」というところ。
「viaduct」というのは「陸橋」のこと。
下の写真の左の真ん中あたりに見える国鉄の陸橋がそれ。
一方、「meadow」というのは「牧草地」という意味。
キレイなところだわな~。
イギリスにはロンドンから数十分行ったロケーションにこんなところがいくらでもあるんだよね。
ビートルズの『With the Beatles』の中にポールが歌う「Till There was You」という曲がある。
あの歌詞の中の「sweet fragrant meadows(甘くてよい香りの草地)」の「meadow」がコレ。
ヤケクソにいい曲だよね~。
ちなみにあの曲はビートルズのオリジナル曲ではありませんからね…残念!
Img_5570
   
CRASHFACE(クラッシュフェイス)
 
「破壊した顔」?
おお!柳亭痴楽かと思ったゼ!Rt2 
さて、CRASHFACEのステージ…天気が良くてヨカッタね~!Stage CRASHSHFACEは2020年に活動をスタートさせたチャーリー・ヒントンとオットー・バルフォアのデュオ・チーム。Crash_face3パンク、ハードコア、そしてロック/メタルをミックスしたサウンドをクリエイトしている。Who6 音源を聴いてみると、芯の部分にどうしようもないぐらいダークな部分を感じる。
しかし、かなりバラエティに富んだ曲調がオモシロイ。Who1 影響を受けたのはNINE INCH NAILSとBRING ME THE HORIZON。
デヴィッド・ボウイとDEFTONES、とりわけMY CHEMICAL ROMANCEからの影響が大きく、「彼らはオレが最初で最後に夢中になったアーティストだ」とチャーリーは語っている。Crash_face1 パフォーマンスはもちろん大ウケ!Crash_face2 

HOT MILK(ホット・ミルク)
 
マンチェスター出身のエモ・パワー・ポップ・バンド。
フロントマンのジム・ショウとハン・ミーが2016年にマンチチェスターのノーザンクォーターで知り合ったのがバンド結成のキッカケ。
下がそのマンチェスターのノーザンクォーター。
なかなかにゴチャゴチャした楽しいエリアだった。Img_0404HOT MILKは「悲しい歌をハッピーなメロディで歌う」、「家族と親切第一」、「誰をも招くことができるオープンでウォームな地球づくり」を標榜するありがたいバンド。

Hot_milk3 中心人物のジムとハンのツイン・ボーカルが特徴。
ジムのパンキッシュな歌声とハンののびやかな歌声のコントラストが素晴らしい。Who5 「I Just Wanna Know What Happens When I'm Dead」なんて曲はとてもいいな。
なるほど「私が死んだ時になに起こるか知りたいだけ」か…「悲しい歌をハッピーなメロディで歌う」を実践している感じ?
このバンドはいいな。
写真を見ての通り、このバンドも盛り上がりに盛り上がったようだ。

Hot_milk1 Marshallのイベントだからして、もちろんステージ上のギター・アンプはMarshallしばり。

Hot_milk2  
朝晩はメッチャ寒いけど、5月のイギリスは気持ちいいからな~。
6月の20日あたりに向かってドンドン日が長くなっていく。

Img_5581_2  
次は…The Emmas。
曲は「Cheers!」。
  
ウソウソ、バンドではありません。
2人ともお名前を「エマ」さんとおっしゃる。
上のエマはこの写真他を提供してくれたゲイリーの奥さん。
かつてエマはジム・マーシャルの秘書をしていた。
2001年に『マーシャル祭り2』というイベントを開催した時、ジムが来日する予定だった。
ところが直前にニューヨークの同時多発テロが発生し、安全を期して急遽来日を中止することになってしまった。
その時に急いで電話をくれたのがエマだった…という思い出がある。
今でも会った時は大抵その話をします。
下のエマも社長秘書であり、「庶務」っていうのかな?…イギリスに行った時など、ありとあらゆる細かい世話をしてくれるありがたいお方。Img_5578  
LYONESS(ライオネス)

 
ハートフォードシャー出身のバンド。
「ハートフォード」といえば…『マイフェアレディ』でしょう?
「Hartford, Hereford, Hampshaire hurricanes hardly happen(ハートフォード、ヘレフォード、ハンプシャーでは滅多にハリケーンは起こらない)」ですよ。

Mfl我々世代は「ライオネス」なんていう名前を聞くとたとえ綴りは違っていたとしても、すかさず「♪ラララ ライオネスコーヒーキャンディ~」のメロディが口からでてくるのではあるまいか?
そして、「♪キャンキャンキャンロップ」、さらに「♪ほ~らチェルシーもひと~つチェルシー」と続くハズ。

Lc
LYONESSはGallowsとThe Ghost Riders in the Skyというバンドが母体となって結成されたチーム。Img_5496シンガーはギリアン・マクスェル。Lyoness2ギターはステファン・カーター。
ギリアンとステファンが中心となって音楽を作っている。Lyoness1 「カッコいいリフと極上のグルーヴが自慢」ということになっているようだが、なかなか凝った音作りをしていて、私なんかにはパンクパンクしていないところがとてもいいな。
ところどころハッとさせられるようなクラシックなロックのテイストが散りばめられているサウンドづくりもこのバンドの魅力だ。Who3 もちろんステージのドラム・キットはNATALね!Natal

向かって左が写真を提供してくれたゲイリー。
右はアメリカのライアン。
もう2人とも私ももう20年のお付き合いだ。
こういう写真を見ると無理をしてでも行っておけばヨカッタかな?なんて思っちゃう。

Img_5594_2 ライアンはなかなかの超絶ギタリストでしてね。
もうこんなの覚えている人も少なくなってしまったかも知れないが、下はMarshallが2000年にAVTシリーズとエフェクターを発売した時に制作したCD。
コレ、今にして思うに…名盤だわ。
大事に保管しておいてヨカッタ。
当時MarshallのインストラクターだったProcol Harumのジェフ・ホワイトホーンがオリジナル曲を用いてデモンストレーションしているんだけど、1曲だけライアンが自作の「dorkus malokus」という曲でAVT50Hのデモを演っている。
コレがスゲエんだ!
煙が出るようなシュレッディングで、当時はまだ会ったことがなかったので、「一体このライアン・ローズってどちら様?」と当時のMarshallの担当者に問い合わせたことを覚えている。

0r4a0536 

Frank Carter and The Rattlesnakes(フランク・カーター & ザ・ラトルスネイクス)
 
「rattlesnake」というのは「ガラガラ蛇」のことね。
ウチの下のセガレが大学の時に所属していたアメリカン・フットボールのチーム名も「ラトルスネイクス」だったわ。Rs3日もスッカリ暮れていよいよトリの登場と相成った!Img_5555フランク・カーターはLYONESSのところで出てきたGallowsのフロントマンだった。
このGallowsというバンドはイギリスではスゴイ人気だったんだね~。
ところが2011年に惜しまれつつ解散。
その後のフランクの動向は業界の注目を集めた。
フランクは音楽の趣向を変化させつつ、いくつかのバンドを経た末、The Rattkesnakesと共に2015年にハードコア・シーンに帰って来たというワケ。 

Fc1 その激しく熱情的な演奏はMarshall Hootieの最後を飾るにふさわしいモノだった。Img_5534私なんかがこのバンドの音を聴くとパンク・ロックの大きな影響を感じるんだけど、どうなんだろう?

Who4 それはフランクの歌い方によるモノか。
ロンドンのパンク・ムーブメントというモノがいかに強力だったかを実感する。
実際に私と同年代のイギリスの連中はいまだに大好きだもんね。
やっぱり本場はスゴイわけよ。
Img_5549Marshallの生まれ故郷にフランクの絶叫がこだまして興奮の「Marshall Hootie」が幕を下ろした。

Fc2 同じ「若手のバンド」といっても演ってる音楽が日本とは全く違うね。
HOT MILKなんてのはスゴくヨカッタ。
ホンモノを観てみたいと思ったよ。
日本人は昔のようにもう少し洋楽を聴けばいいのにナァ。
 
ひとまずコレでMarshallの60周年を記念するイベントのレポートは完了。
またナニかあったらお知らせします!
Img_5553

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2022年5月30日 (月)

【Marshall60周年記念イベント】Marshall60周年記念展

 
今日のテーマは「Marshallと美術館」、あるいは「Marshallと博物館」…とくれば、記事の書き出しとして、これまでに何度かご登場頂いている福島の「郡山美術館」にまたしてもお出まし頂くしかない。

10_2_42010年の5月~7月まで郡山美術館で開催されていた『スウィンギン・ロンドン 50's-60's ビートルズたちが輝いていた時代』展。
もう12年も前か…私の「Marshall仕事」の思い出に残る仕事のひとつ。
 
その時のようすはコチラ⇒【SHEENA & THE ROKKETS 35周年記念特別企画】鮎川さんとMarshallとわたし

51_2ロンドンが最もにぎやかだったとされる1950~60年代に巻き起こった「スウィンギン・ロンドン」のムーブメントを考察す返る展示だ。
この展示会は郡山を皮切りに全国の博物館や美術館を周った。
 
我がMarshallからは、Marshallアンプ第1号の「JTM45 Offset」と…

140v世界初の100Wギター・アンプ「JTM45/100」のリイシューを出展させて頂いた。
壁にはThe Whoのアルバム、ヨコにはリッケンバッカーが展示されているが、1965年ごろ、ピート・タウンゼンドがステージでブッ壊したリッケンバッカーはジム・マーシャルが修理していたそうだ。

150_2_2そのジムのインタビューはコチラ。


さて、イギリスはMarshallの本社工場があるバッキンガムシャーのミルトン・キーンズ。
もう何十回も行っているにもかかわらず知らなかったんだけど、そこには「ミルトン・キーンズ博物館」という施設があるらしい。
ゼンゼン知らなかった!
…と言いたいところだが、2017年に書いた「ミルトン・キーンズの開発50周年記念」の記事の中に名前だけ登場していたわ。
恐るべし、Marshall Blog!Img_0615 ココで脱線…。
一方、Marshallの本社工場は同じミルトン・キーンズの中の「ブレッチリー」という行政区画にあるんだけど、ココには世界的に有名なスゴイ博物館が2つある。
ひとつは映画『イミテーション・ゲーム(The Imitation Game)』の舞台となった「ブレッチリー・パーク(Bletchkey Park)」。Ig 『イミテーション・ゲーム』は難攻不落のドイツの暗号「エニグマ」を解読したイギリスの数学者のアラン・チューリングの活躍を描いた物語。
チューリングは下の写真のブレッチリー・パークでその偉業を達成した(実は、チューリングより前にポーランドの学者が「エニグマ」の解読にほぼ成功していたんだけどね)。
420_2で、その偉業を称えて、チューリングは昨年、イギリスの最高額の紙幣である50ポンド札の顔になっちゃった。
偉人変人が引きも切らないイギリスのこと、紙幣の顔になる有名人はいくらでもいうだろうに、ナゼにチューリングが選ばれたのか…。
私が勝手に想像するに、ひとつは、第二次世界大戦の終結を2年早めたと言われている「エニグマの解読」に成功した功績。
もうひとつは、同性愛者だったチューリングを歴史から抹殺したイギリス政府の罪滅ぼしではないか?…と。
50noteココでサブ脱線。
コレはどこたったのか忘れてしまったんだけど、見ての通り駐車場の普通の精算機。
この中で私が感動した部分がひとつある。
さて、どこでしょう?Thumbnail_img_0865それはですね、「紙幣」を挿入するスロットの表記なのです。
アメリカの自動販売機は「紙幣」を「bill」と表現しているハズ。
だから「INSERT BILL FACE UP」。
「Face up」なんていいね。コインは「Head」なのにね。
紙幣には顔が印刷されているからかしらん?
Bill コチラはイギリス。
ロンドンの地下鉄の自動券売機。
コレには「Insert notes here」と書いてあるでしょ?
そう、イギリスでは紙幣のことを「Note(ノート)」というワケ。Uk そして、もう一度さっきの駐車場の精算機に目をやると…おお!「NOTE」って書いてある!
うれしいな~。
アメリカ英語に毒されたこの国で見かけるイギリス英語…貴重です。
どうでももいいことをスミマセン。
アタシャこういうことが大好きなのです。

Thumbnail_img_0864_2 脱線終了。
ブレッチリーにあるもうひとつのスゴイ博物館が「国立コンピューティング博物館(The Natipnal Museum of Computing)」。
このルックスで「国立」だぜ。

50_3 その2つの博物館を訪問した時のレポートがコレ。
調べたワケではないけれど、この2つを連続してココまで詳しくレポートしている媒体は恐らく日本には2つとないじゃないかしらん?…なんて思っていますのでゼヒご覧あれ。

★【イギリス-ロック名所めぐり】vol. 46 ~ ブレッチリー・パーク <その1>
★【イギリス-ロック名所めぐり】vol. 47 ~ ブレッチリー・パーク <その2>
★【イギリス-ロック名所めぐり】vol. 48 ~ 国立コンピューティング博物館<その1>
★【イギリス-ロック名所めぐり】vol. 49 ~ 国立コンピューティング博物館<その2:真空管まつり>

 
さて、今日の本題。
コレがそのミルトン・キーンズ博物館。10_2_3ココで去る4月9日から5月2日までの約ひと月にわたって「Marshallの60周年」を記念して『60 YEARS OF MARSHALL』というMarshallの特別展が開催された。20_3開催にあたって、おなじみ社長のジョナサン・エラリーが寄せた言葉。
「今やMarshallはひとつのブランドのもと、音楽を創造し、鑑賞し、そして楽しむイクイップメントのすべてを取り扱っています。
我々はこの画期的な瞬間とブランドの歴史を刻んだアイテムを音楽ファンと分かち合うことができてとてもうれしく思っています。しかもそれが我々の記念すべき年に実現できたことは喜びもひとしおです。
ボリュームを上げて、名声の向こうにいる男の名前を思い出してもらえれば完璧です。
ジムは自分のしたことがミルトン・キーンズ博物館に祝福されていることを知って興奮していることと思います。
ミルトン・キーンズは彼の家なのですから」Sje では展示を拝見させて頂きましょう。
 
ただいま絶賛設営中。
25前回紹介したデイヴ・ムスティンのサイン入りJVMのハーフ・スタック。23おお、「マーシャル牛」!
捨ててなかったんだ?!40_22017年にミルトン・キーンズ開発50年を記念(前出)して地元の企業が制作した牛のオブジェのひとつ。
牛はミルトン・キーンズのシンボルなのだ。Cow ココは「周年モデル」のコーナー。
25周年のJubilee、30周年の6100、40周年のJaguar Bluesbreaker、50 周年の1Wチビッコ・モデル他が並んでいる。
50_2コレはOriginのOne-off(一点モノ)。60_2何人かのアーティストがOrigin50Cのボディにペイントを施した。
これらのモデルは2020年のNAMMで大きくフィーチュアされた。
 
その時のようすはコチラ⇒NAMM2020レポート vol.2~MarshallブースとD_Driveデモ初日
70_2ココはシグネチャー・モデル・コーナー。
ジミ・ヘンドリックス、ランディ・ローズ、ザック・ワイルド、ポール・ウェラー、スラッシュ…どれも懐かしいな。
100_2その中でも特別扱いされていた感のあるのがコレ。80_2レミーのフル・スタック。
コレも懐かしい。
向かって右下の赤いコーナー・ガードが話題になったっけナ。90_2スパイナル・タップのコーナー。
何でも映画の<続編>が出て来るらしいね。105CODEのコーナー。
やっぱりいまだに世界中の人気の的だ。110_2ココはSTUDIOシリーズの展示。
親と子が並んでいる。
やはりSTUDIOも世界的に大きな支持を得続けているそうだ。
CODEのすぐ後でこんなことを書くのもどうかとは思うが、デジタル機器にあふれているシーンの中にあって、「音がいい」という評価がそのキメ手らしい。
やっぱりホンモノは残っていくな。

120_2ココは商品開発の場面…ということかな?130_2Marshallの工場に行くと、秘密の小部屋があって(社内ではゼンゼン秘密になっていない)、その中でいろいろな試作機の制作が行われているのね。
その小部屋のイメージ。
ああ、このコンセント…イギリス行きたいな~。140_2ありとあらゆる外観の素材を詰め込んだサンプル・モデル。
キャビネット・バージョンもあるよ。

150_2ジョンが挨拶で触れていた通り、Marshallはアンプ以外にもビジネスの幅を広げていることは皆さんもご存知の通り。
ココはその一部として、
Marshall Records(レコード・レーベル)
Marshall Live Agency(ブッキング屋)
Marshall Studio(レコーディング・スタジオ)
を紹介している。
D_Driveの世界デビュー・アルバム『Maximum Impact』もチャンと展示されている。

160_2右端の「EDUCATION」というのは、MLC(Music Learning Collective)という音楽学校のサポートに取り組んでいることに触れている。
MLCについてはコレね。


そして、アクセサリー関連。165Tシャツやビール。
BMWとのコラボやジュークボックス。170_2冷蔵庫ももちろん。
しかし、改めてこうして見てみると色んなことやってんな~。180_2オーディオ機器も世界的に絶好調だ。

190_2この辺りは工場のレセプションから持ち出してきたメモラビリア。
昔、Marshallはプレミアムリーグのミルトン・キーンズのフランチャイズチームである「MK DONS」のスポンサーをしていたからね。200_2MK DONSはミルトン・キーンズに元からあったチームとウィンブルドンのチームが合併してできたチーム。
MK DONSの「ドン」はウィンブルドンの「ドン」。
結成した当初はこんな立派な冊子も出していた。
中はMarshallのスクリプト・ロゴのついたユニフォームに身を包んだ選手たちの熱戦を伝える写真がたくさん載っている。0r4a0388 Marshallはジム・マーシャルの意志を引き継いで数々のチャリティ活動に参画している。
昔から私もそれを知らないワケではなかったが、ジムのお別れの会にお呼ばれした時、そのチャリティ活の規模が想像をはるかに上回るモノであったことを知って驚いた。
 
その時のようすはコチラ⇒ジム・マーシャルの生涯を祝う会
 
ココはそうした分野の記念品の展示。210Marshallに関するビデオを上映するコーナーも設けられていたようだ。

220当然壁もバッチリ展示。
こうして大盛況のうち、5月2日に展示は終了した。

230 

 
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またすぐに入って来るのでよろしく!7278829_ddrive_maximumimpact_615x60 帯と豪華ブックレットが付いている国内盤仕様の『Maximum Impact』はD_Driveのライブ会場でお買い求めください。
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2022年5月27日 (金)

【Marshall60周年記念イベント】『爆音の父の日』のオープン工場


ココはMarshallの本社工場がある英ミルトン・キーンズの「Campbell Park(キャンベル公園)」というところ。
キレイだネェ。
コレがロンドンから電車で1時間ぐらいのところにあるんだから恐れ入る。
もっとも1時間も離れなくてもロンドン市内には大きくて美しい公園がいくらでもあるんだけどね。10_2_2 その公園の西の端に「Milton Keynes Rose(ミルトン・キーンズ・ローズ)」と呼ばれる一角がある。
「一角」といっても形は円形で、上から見るとバラの花のようなデザインになっている。
バラはイギリスの国花だ。
下の写真がその「ローズ」。
作者はイギリスでは「パブリック・アーティスト」と呼ばれる、公共の場に設置されるオブジェのデザインを手掛けることで知られているゴードン・ヤングという人。
黒い丸いオブジェを囲むように林立しているのは、「Pillars(ピラー=柱)」と呼ばれている地元や国の名士、世界的に活動した人たち、また世界的&歴史的にの重要な出来事の「記念碑」の数々だ。
ピラーにはその人や出来事の内容だけではなく、それにまつわる年月日が記載されている。
例えば、1月27日の「Holocaust Memorial Day(ホロコースト犠牲者を想起する国際デー)」、2月14日の「St. Valentine's Day(ヴァレンタイン・デイ)」、8月6日の「Hiroshima Day(広島の日、9日の「長崎」の碑はない)」、最近の出来事では5月25日の「Black Lives Matter」の碑が設置されている。
設置されているピラーのリストにザっと目を通してみたが、どちらかというと、世界的に有名な事件の方が多い感じ。
その中にあって、(行ったことはないけど)ひと際目を惹くのが4月5日を記念するピラー。20何の日か…。
4月5日は「Father of Loud Day(爆音の父の日)」…そう、ジム・マーシャルの命日なのだ。
このピラーに寄せられている文を読むと…
地元の名士、爆音の父ジム・マーシャルOBEに贈る。彼は音楽の分野において最も名の通ったブランドのひとつであるMarshall Amplification plcの創設者にして会長だった
としてあって、デザイナーのゴードン・ヤングが…
『爆音の日』のことをインターネットでチェックしたのだが、世界中からジム・マーシャルへの敬意が寄せられていた。ジム・マーシャルが亡くなったこの日は、今でも世界のファンが長時間にわたって関連する音楽をダウンロードしている。これがファンがやり続けていることだ」と、コメントしている。
 
上に書いたように、このピラーは他にも5月1日の「メーデー」とか「初めてティー・バッグが作られた日(1953年7月5日)」とか、出来事に関するモノが多く、『爆音の父の日』のように個人を称えて設置されたピラーは極めて少ない。
ミルトン・キーンズというイギリスで一番歴史の浅い町の発展に貢献したという「地元ビイキ判定」が働いていたにしてもジム・マーシャルのピラーが建てられているのは大変誇らしいことだと思う。30v_2 ココ、ウィリアム王子も訪れているんだって!
ジムのピラーとパチリ。
 
現在68の碑が設置されていて、あと38基設置することができるそうだ。Will_2 さて、去る4月5日、Marshallは創業60周年とジムの没後10年を記念して、100人を超える一般の方々を招待して工場を開放した。
「オープン・マイク」って盛んにやってるでしょ?
Marshallの場合は「オープン工場」というワケ。

40まずはレセプションに集合して出席の確認。60正面のフル・スタックのデコレーションも「60周年記念」使用になっている。70階段を上がってミュージアム見学。
やはりシリアルナンバー#1のJTM45が注目を集めたようだ。80続いて工場見学。
ココは木工のパートね。90「フムフム、オレのMarshallもこうなっているのか…」

100工員さんのTシャツも60周年記念バージョンだ。110シャシ製作の工程に置かれていたJVM410Hと1960BDM。
1960BDMはMegadethのデイヴ・ムスティンのために作られた「Marshall初のスピーカー・キャビネットのシグネチャー・モデル」。
SHOW-YAのsun-goさんが愛用しているスピーカー・キャビネットね。
この写真に写っているJVMにはデイヴ・ムスティンのサインが施してある。

115コチラは電気回路まわりの説明。120「え~、ハンド・ワイアードというモノは~」なんてやっているのかな?140コチラは最終の仕上げ工程だ。
このマスクをしたおジイさんと赤い上着を着た人、熱心だナァ~。
130場所をMarshall Studioに移したよ。
スタジオのマネージャー、アダムの説明を聞く。150壁があれば当然記念撮影でしょ。160そしてお待ちかねの「お楽しみタイム」!

170思う存分爆音でどうぞ!
180今日は「爆音の父の日」だから!190この日、残念ながら「オープン工場」に参加できなかった方…安心してください!
50コチラで体験できます!
 
①Marshallの工場を見学しよう!

②マーシャル・スタジオへようこそ!

あ~あ、イギリス行きたいナァ。

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2022年1月28日 (金)

日下部"BURNY"正則とキムタクとMarshall~BURNEY MEETS STUDIO RANGE

 
最近は「Kōki」さんが大変なご活躍で、テレビから「コーキさん、コーキさん」と聞こえてくるたびにドキっとして、わかっちゃいるけど、ついついそちらの方を見てしまう。
もちろんそのテレビの中のその「コーキさん」がバリバリとカッコいいベースを弾いている…などということはまずあり得ない。
 
今日はその「コーキさん」のお父様、木村拓哉さんの話題から。
キムタクが1月19日に『Next Destination』という新しいアルバムを発表した。
こんな感じ⇒Next Destination公式ページ

そして、このアルバムのレコーディングに我らが日下部"BURNY"正則が参加したのだ!
友人がこのようなビッグな現場に関わるということの喜びもさることながら、BURNYが奏でる「筋金入りのホンモノのロック・ギター」のサウンドがそうした機会を通して多くの一般の人々の耳に届けられることも同様にうれしい。
6BURNYといえば、Marshall。
当然レコーディングにもMarshallが持ち込まれた。
しかも、STUDIOシリーズ。
※下の写真は当該のレコーディング時に撮られたものではありません。
1もうBURNYにはスッカリSTUDIOを気に入って頂きましてね~。3特注の白のSV20Hと以前から愛用していた同じく白い出で立ちの1936を組み合わせて愛用して頂いている。8レスポールとMarshall…コレが私にとってのデフォルトのBURNY。
もうあの音が聞こえてくるようでしょ?7このレコーディング以外にも話題の現場から引っ張りダコのBURNY。
長年にわたって音楽生活を共にしてきたMarshallをお供に益々ご活躍されることを願って止まない。
ガンバれ、BURNY!9さて、おかげさまでSTUDIOシリーズは相変わらずの人気です。
残念ながらMarshallもご多分に漏れずコロナ騒ぎで大幅に製造や出荷が遅れていて、輸入発売元によれば、一部のお客様にご迷惑をおかけしている状況にあるようですが、STUDIOシリーズは逃げも隠れもしません。
「コロナ憎んでMarshall憎まず」…かかる状況をご理解の上、ご容赦頂きますよう何卒よろしくお願い申し上げます。1250ところで、BURNYは最近になってSTUDIOシリーズを導入したワケではない。
彼は「小ぶりの1959」のようなモデルを予てから切望していたが、Marshallではそうしたモデルを持っていなかったので他社の小型のバルブ・アンプを使用していた。
そこへMarshallがSTUDIOシリーズを発表したものだから、比較的早いうちにお試し頂くことになった。
その時のようすが以下のレポート。
既に掲載したことがある記事なのでご覧になられた方も多くいらっしゃると思うが、諸般の事情でしばらくの間公開を控えていた。
それをココに再掲する。

【BURNY PLAYS STUDIO RANGE~日下部正則STUDIOシリーズを弾く】

STUDIOシリーズを日下部"BURNY"正則(以下、バーニー)に試してもらった。
 
いいわ~。いいんだわ~。
普通であれば単に「STUDIOシリーズがいいんだわ~」となるんだろうけど、私の場合はそうはいかない。
「いいんだわ~、バーニーのギターとSTUDIOシリーズのコンビネーションが!」となる。
この日、「ロック・ギターはこう弾け!」と言わんばかりのプレイを最上のサウンドで満喫するゴキゲンな午後になった。
「アレレ?そんなこと言ってるけど、キャビは1936じゃん?」って言うんでしょ?
20そうなの。
このキャビはバーニー愛用の1936。
スピーカーはCelestionのCreambackが搭載されている。
いいんだよね~、Creamback。
音に厚みがあって、暖かくて、でも甘すぎない。
バーニーは1987Xの傍ら、このキャビネットを21Wのブティック・アンプと共に使用している。
で、「Marshall」から20Wのフル・バルブ・モデルが出たと知って、「それじゃ実戦さながらに」と、この試奏に際してはいつも現場で使っている自前のキャビネットを持参してくれたのだ。
つまり、ステージでの即戦力機材としての試奏。
「キミ!こんなアンプ、一体どこで!」…そんな「ビズリーチ」みたいなモデルが「STUDIOシリーズ」なのだ!
30vまずはSTUDIO CLASSICのヘッドSC20Hから。
ナントならば、バーニーはかつてJCM800 2210を愛用していたからだ。

180 ん~、いいナァ~。
さすが勝手知ったるところ、チョチョチョとセッティングしてアッという間に素晴らしいロックギター・サウンドを作って見せてくれた。
バーニーの音なんだけど、JCM800の音…でもJCM800の音なんだけどバーニーの音なのよ。
それが優れたギタリストといいアンプのステキな関係。

Oa_0r4a0027続いてはSTUDIO VINTAGE、SV20H。
バーニーの本命はコチラ。420 そのポイントはマスター・ボリューム。
え?1959ベースのSV20Hにはマスター・ボリュームなんかついてないじゃないか!って?
そう、付いていないからバーニーは興味を持ってくれたの。
マスター・ボリュームとセンド&リターンはない方が間違いなく音が良いからね。
ジェフ・ベックはここのところ1959SLPか1987Xでしょ?
どうも理由はそれらしい。50vストラトキャスターでトライ。
リンク接続は一切使わず。
ごく小音量でSV20Hを試すと、HIGHがカリンカリン、LOWはモッサモッサでどうにもならない。
そこでリンクの出番となるワケだけど、そうするとLOUDNESS1とLOUDNESS2のミックス具合がなかなかに難しい。
チョット触っただけでサウンドが激変してしまうのだ。
私が大学の時に使っていた70年代中盤製のJMP1959を思い出す。
ところが、このSV20Hときたらアータ、「リンク」なんてとんでもないよ!
ガッとボリュームを上げるとHIGHもLOWも単体で信じられないぐらい素晴らしいサウンドが出て来る!
そういうことなんだよね~。
バーニーご持参の1936との相性もバッチリ。
つまり実戦で何ら問題なしということがわかった!

60さて、お次はシリーズ全モデルをお試し頂くよ。
まずはSTUDIO CLASSICから。70今度はさっき試したSC20Hを2×12"キャビネットのSC212で弾く。

321 コレがまたいい。
バーニー持参の1936とのマッチングも素晴らしかったが、バランスの取れたサウンドのこのキャビネットも文句のつけようがない。

80ヘッドはそのままに今度は1×12"のSC112を試す。

280 ドワッ!なんだのこの低音!
1912なんかもそうだったけど、Marshallの1×12"の低音のリッチ加減はタマらんね。
それでいて音像が実にシャープだ。100v1912はクローズド・バックだったけど、STUDIOシリーズの1×12"はハーフオープン。

310 そして、最後に1x12"コンボのSC20C。
「あ~!」と最初はコンボ感丸出しのサウンドにビックリ。
ところが不思議なことにすぐに耳が慣れちゃうんだな。
スタックとのサウンドの差はすぐに気にならなくなり、コンボのコンボたるサウンドを愉しむ。120それぞれのモデルでスタンバイ・スイッチの上を押して出力5WのLOW状態にして試してもみたが、実戦で使うような音の大きさだと「あんま変わんないね!」って感じ。
音がまろやかになる…程度かな?
そもそも大きい音を出したくてボリュームを上げているワケだから、そこで出力の設定を下げるのはナンセンスなのだ。
やはり、このスイッチは家のような大きな音の出せない場所で、極端に音を小さくしたい時の方が有効だ。240 次はお待ちかねのSTUDIO VINTAGEシリーズ。
情けないことに最近はスッカリ物覚えが悪くなって、いくら頭に叩き込んだつもりでも、どっちがVINTAGEでどっちがCLASSICかわからなくなっちゃう。
私なんかはオリジナルJCM800が現役で活躍していた時代の人間だから、JCM800タイプのモデルをCLASSICと呼ぶのがシックリと来ないんだよね。
自分の方がよっぽどクラシックなんだよ。130CLASSICシリーズの時と同様に20WヘッドのSV20Hを2x12"キャビネットのSV212につないでみる。

530 ボリュームを上げる。
ハイ、言うことなし。
この音の厚み!そしてやっぱりバランスがいい。
そして何たる芳醇なサウンド!
デジタル・アンプには絶対にマネできまい!
爆音でもちっともうるさくない。
やっぱりこうなるとスゴイのはバーニーのプレイ!
出てくる、出てくる、ロックのカタマリのようなフレーズ。
バーニーは決して口に出して言わないけど、「ロック・ギターはこうやって弾くんだよ!」と指が言ってた。150次に1×12"キャビネットのSV112で弾く。

500 当然、印象はSV112の時と同じ。
1×12"とは思えないリッチな低音が炸裂!160今回のSTUDIOシリーズに搭載されているスピーカー、Celestion G12 V-TypeはVINTAGEもCLASSICも共通だ。380 最後はコンボのSV20C。

340 当然だけど、コレも印象はCLASSICの時と同じ。
コンボ・サウンド愛好派の方にはバッチリのモデルだ。
今回、飽くまでも「実戦でイケるかどうか?」の見極めのための試奏で、バーニーは普段ステージで使っているペダル・ボードを持参してくれたんだけど、結局最初から最後までアンプ直でやっちゃった。
ひとつにはそれほど生音が素晴らしいということと、コレだけ生音がよければギターとアンプの間に何をつないでも心配なし…ということ。
結果、「大合格」~!
やっぱりロックやMarshallの酸いも甘いも知っているギタリストに良い評価をもらうのはうれしいね。
この仕事冥利に尽きるってもんだ。
そして、STUDIOシリーズのサウンドにも酔ったが、バーニーが弾く我々世代のロックのリフやソロ・フレーズも十分に楽しませて頂いた。
しかし、ビートルズも知らない今の若いギタリストさんたちって、こういう時にナニを弾いて試しているのかしらん?

170思う存分STUDIOシリーズを愉しんだ後は、事務所でお楽しみの打ち上げコーナー。
バーニーとイッパイやったのはずいぶん久しぶりのことで、前回は何年も前の渋谷でのことだった。
その時は、故藤岡幹大氏も一緒だったっけ。
そんな話も交えつつ、昔の日本のロック業界や名古屋のロック・シーンの話、さらに70年代のロックの話で大いに盛り上がった。
音楽に詳しい人とのおしゃべりは本当に楽しい。
ん?こうしてバーニーがジムに会うのは2000年のMarshall祭り以来じゃない?
あれから19年も経ったんだ…。
 
バーニーの詳しい情報はコチラ⇒日下部 ”BURNY” 正則(guitar)The Official Website
180vSTUDIOシリーズの詳しい情報はコチラ⇒Marshall Blog 

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2021年11月16日 (火)

Marshall雑学教室

 
チョット前に「Marshallの歴代モデルは英語圏の人たちにどのように呼ばれているか?」ということをやった。
オモシロかったので今回も似たようなことをしたいと思う。
今回は「雑学編」。
Marshallのアンプやグッズに関すること、そしてそれにカラんだイギリスに関するどうでもいいことを記しておきたいと思う。
 
まずはMarshallアンプに関することから。
「積み」について。
日本ではアンプ・ヘッド+キャビネット+キャビネットという形を「三段積み」って呼んでいるけど、Marshallの人たちは「Full stack(フル・スタック)」と呼ぶ。
驚いたことに最近は「ホンモノの三段積みを見たことがない」なんて若いロック・ギタリストさんたちがいるんよ!
ロックを演っているつもりだったら、そんなことは断じて許されないわナァ。

160_2我々が「二段積み」と呼んでいるアンプ・ヘッドとスピーカー・キャビネット1台ずつの組み合わせが「Half stack(ハーフ・スタック)」。
キャビネットは上の2つのスピーカーがチョット上を向いているのが「Aタイプ」。
対してまっすぐになっているのが「Bタイプ」。
「A」は「Angled(アングルド)」の「A」の略…角度が付いているからね。
一方、前面がまっすぐになっている方は、フル・スタックにした時に下に配置するのが普通なので、「Base(基礎)」の「B」ね。
正直、この「Angled、Base」は後からコジつけたような気がしてならないんだよな~。
170_2
「シゲ、いいかい?アンプに『stack』という言葉を使ったのは世界でワシが初めてなんじゃよ、フォッ、フォッ、フォッ、フォッ!」…生前のジムはニコニコしながら何度か私にそう言っていたっけ。

73jcm
他方、アンプとスピーカーが一緒になっているタイプのモデルを「コンボ」とか「ビルトイン」と呼んでいるけど、Marshallの場合は「Combo(コンボ)」と言うことの方が圧倒的に多いかな?
「Combo」は「Comination(コンビネーション)」の略かと思っていたら、「combo」という単語もあるんだね。
ジャズの小編成のバンドを「コンボ」っていうんだけど、まさにそれ。
他に「(人や物を)一組にしたもの」という意味があるので、まさにコンボ・アンプという言葉の使い方は正しいと言える。
ただしコレはアメリカ英語のようだ。180_2次、Marshallアンプの各部の名称をおさらいするよ。
 
まず、ロゴは「Logo」ね。
こういうビンテージ・タイプに使われるロゴは「Coffin logo(コフィン・ロゴ)」という。
250「coffin」とは「棺桶」のこと。
私の父は「棺箱(ガンバコ)」って呼んでたっけな。
棺桶のフタにくっ付ける故人の名前を記した小さなプラーク(プレート)に使われていたフォントだから「コフィン・ロゴ」というんだけど…7coffin 「ホンマかいな?」と思って今頃になってインターネットで調べてみると、プラークには驚くほど沢山の種類のフォントが使われていて、我々が「コフィン・ロゴ」と呼んでいるフォントに近いモノすら見つけることができなかった。
でもきっとどこかの棺桶で使われているのだろう。
ちなみにMarshallが爆発的に売れ出してキャビネットの製造が間に合わなくなった時、ホンモノの棺桶屋がスピーカー・キャビネットのケースの製造を下請けていたという。
このタイプは「Block logo(ブロック・ロゴ)」と呼ばれることもある。7img_0001 おなじみのタイプは「Block」に対して「Script logo(スクリプト・ロゴ)」ね。
「script」は「筆記体」のこと。
このロゴの下にある白いヤツがあるでしょう?
コレは「Piping(パイピング)」という。
1960の内側にグルリと貼ってある白いヤツもそう。
240一方、ビンテージ・タイプのモデルには細い金色のヤツが埋め込まれている。
これは「Beading(ビーディング)」という。
ビーズの「beading」ね。
ビーズ玉のビーズね。235それから、周りを覆っている皮のことは「Covering(カバリング)」と呼んでいる。
Marshallのカバリングを指して「トーレックス」とかいう言葉を使う人に出くわすと「ああ、この人あんまりMarshallのことが好きではないんだな…」って悲しくなっちゃうよ。
下は「Design Store(デザイン・ストア)」で使っているカバリングの見本帳。
236vスピーカー・キャビネットや一部のヘッドに貼られているアミアミのことはMarshallでは「Fret cloth(フレット・クロス)」と呼んでいる。
237Marshallのアミアミは「サランネット」ではありません…「フレット・クロス」ですから。
Marshallのフレット・クロスを指して「サランネット」とかいう言葉を使う人に出くわすと「ああ、この人あんまりMarshallのことが好きではないんだな…」って寂しくなっちゃうよ。
220工場にはフレット・クロスをこんな風にして保管している。236コレは同じく「Design Store(デザイン・ストア)」で使っているフレット・クロスの見本帳。
238キャビネットや、時折コンボに付いている金色の名札は「Plaque(プラーク)」。
日本語で言うと「銘板」って言うのかな?
時々「バッジ」って言っている人もMarshallにいるな。260「Plaque」というのは、元々は金属や焼き物で作った飾り板のこと。
ロンドンの街をあるいていると建物の壁で頻繁に見かける青いヤツ、アレがまさにプラーク。7img_0545Marshall Blogにも何度も登場させているが、私はもうコレが大好きでロンドンの街を歩く時の大きな楽しみにしている。
220w持ち手はそのまま「Handle(ハンドル)」で大丈夫。270
ココからはMarshallで扱っている「Merch」に移るよ。
「merch」は「merchandise」の略で、いわゆる「グッズ」のこと。7shirt  
Marshallは今ケーブル類も扱っている。
さ、また書きますよ。
ギターとアンプをつなぐ線を指して「シールド」と呼んでいるのはヘンテコリンな英語が当たり前のこの国だけです。
私が知る限り、海外では一切通用しない。
「ツーマン」といっしょ。
私も中学生ぐらいの頃(1970年代の話しね)は楽器屋のお兄さんたちがギターの線のことを「シールド、シールド」と呼んでいるのを知って「プロっぽくてカッコいい!」と思い、すぐにマネし出したもんです。
「通」っぽいと言うか…そう呼ぶとナンカ少しギターがうまくなったような気がしたりもしてね。
でも「シールド」というのが日本の方言であることを知った今では恥ずかしい。
イギリスの連中はこういう線のことを「Lead(リード)」と言う。
280だからギターとアンプをつなぐ線は「Guitar lead(ギター・リード)」と言う。
でも、確認したところコレは完全にイギリスの英語なので、上の写真のラベルの書いてあるように世界の標準語としては「Guitar cable」という言葉を使うことをススメられた。
私も徹底してそう呼ぶようにしていて、Marshallに行った時だけはカッコつけて「Can I have a guitar lead?」とか言っている。
290一方、コレはアンプ・ヘッドとスピーカー・キャビネットをつなぐ2芯の線。
アレ?日本では「スピーカー・ケーブル」って言っているか?
ケーブル?…なんだ、やればできるんじゃん?
だったら「シールド」なんて言葉は止めて「スピーカー・ケーブル」と呼べばいい。
外人と話す時の苦労がひとつ減るというものだ。
ところが!
Marshallは商品としてコレを「Head to Cab Lead」と呼んでいる。
「Speaker cable」と言っても何ら問題なく通じるが、ココは「Lead」を使うのがイギリス式らしい。

745884_cbls90025_speaker_cable_2 もうひとつ…アンプとコンセント(←コレも和製英語。イギリスでは「ソケット」)をつなぐ線のことをイギリスでは「Mains lead(メインズ・リード)」と言う。
ココも「Lead」。
「mains」というのは「電力」の意味かと思っていたら、正しくは「コンセントを使う」という意味らしい。「元栓」という意味があるようだ。
結局、線の構造によって呼び分けていることがコレで窺える。
日本では「電源コード」か?…も~、ややこしいな~。
私は「電源ケーブル」と呼ぶようにしているけど、世界標準として「Power cable(パワー・ケーブル)」でOK。
下の「BF」タイプと呼ばれる3ピンのプラグ…憧れちゃうね。

753412_cblm00006_uk_mains_lead_2 イギリスの商業電力は220~240Vと高電圧で危険性が高いため、コンセントにOn/Offのスイッチが必ず付いている。
このアース付きの3ピンのプラグをコンセントにズブっと差し込む時の気持ちよさ…「頼りになる~」という感じがタマらない。
高電圧なので電熱器のお湯なんかアッという間に沸いちゃうからね。
慣れないもんだから、タマにこのOn/Offスイッチを入れ忘れていくら経ってもお湯が沸かないなんてこともあるけど。
とにかく、本当にMarshallが好きな人にはイギリスでギターを弾かせてあげたいよな~。
ゼンゼン違うから。7outlet イギリスではこういうヒモのことを「コード」というようだ。

Cord  
次はピック…コレには驚いた。
ずいぶん昔にMarshallの会議に出席した時のこと…アクセサリーかなんかの議題だったのかな?
「Plectrum(プレクトラム)」の話しになった。
なんだ?プレクトラムって?
「スペクトルマン」なら知ってるけど。
私はその「プレクトラム」なるモノがナンのことかわからなかったのだが、ヨーロッパの国々から来ている人たちはみんな何食わぬ顔をしているワケ。
仕方ないので、スウェーデンから来ていた隣のエリックに尋ねてみた。
エリックはすぐに教えてくれた…「ピックのことだよ」。
じゃ、「ピック」って言えよ~!
コレ、実はそのまま「プレクトラム=ピック」ということではなくて、「プレクトラム」というのは楽器を弾く時なんかに使う「爪」のことを指す。
だからピックと役割は同じ。
だから琴の爪なんかも英語では「Plectrum」っていうハズ(未確認)。Plectrum イギリスの連中も「プレクトラム」のことを指してごく普通に「ピック」と言っています。
昔は「Marshallのピック」と言えばこんな当たり前の感じだった。7pick 今はこんなカラフルなプレクトラムを取り扱っている。7201675_pack_of_6_plectrums若い人向けかしらん?
300コレは「Plectrum Bracelet(プレクトラム・ブレスレット)」というモノ。350ピック入れのアクセサリー。360s若い人たちにはピンと来るんでしょうな。370s 
次、こういうの日本では「ネック・ストラップ」と呼ばれることが多いようだし、「neck strap」という英語表現もあるようだが、イギリスでは「Lanyard(ランヤード)」と呼ばれている(アメリカは知らん)。
「ラ」に強勢を置くのが正しい発音。

320 
パーカーじゃないヤツ…イヤ、パーカーなんだけど、こういうのを「パーカー」と呼ぶのは日本式。
海外で「パーカー」と言えば、万年筆かジャズの巨人が先にくるだろう。
「parka」というフード付きの上着を指す言葉があって、「パーカー」はそこから来ているらしい。
イギリスでこうしたフードの付いた上着を「パーカー」と呼ぶ人はまずいない。
絶対に「Hoodie(フーディ)」だ。330s昔、トニー・カーティスの主演で『魔術の恋(Houdini、1953年)』というハンガリー出身の奇術師ハリー・フーディニの半生を描いた映画があった。
この映画は50年ぐらい前、小学生の頃に一度観ただけなので、トニー・カーティスがバート・ランカスターと共演した『空中ぶらんこ(Trapeze、1956年)』とところどころゴッチャになっている。
でも、ラストシーンは覚えている。
フーディニは手錠をかけられたまま、逆さ吊りにされた水槽から脱出する奇術を披露しようとするのだが、盲腸を患っていて実力が出せず、水槽の中で失神してしまう。
それを見た客の1人が「斧で水槽を割れ!」と叫んでフーディニは一命をとりとめる。
このシーンでもがき苦しむフーディニの姿が子供だった私にすごく印象的で、今でも「フーディ」って聞くとこの映画のことを思い出すんよ。

73houdini そうか、トニー・カーティスの相手役はジャネット・リーだったのか…。
しかし、ジャネット・リーってのはキレイな人だ。
それをヒッチコックは『サイコ(Psycho)』で前半にしか使わなかった。
全くスゴイ。
後半はヴェラ・マイルスが引き継ぐんだけど、この2人…後年に両方とも『刑事コロンボ』に出演してるのは何かの偶然か?(コロンボはシンガーの赤尾和重さんと大学時代の友人のススメで今頃DVDで観ています。オリジナル・シリーズの23枚全部買っちまった!おススメありがとうございました)
そうそう、他に書くところがないのでココに書いちゃおう。
コロンボの口グセに「son of a gun!」っていうのがあるのね。
「おお!コレはカーペンターズで有名になったハンク・ウィリアムスの「Jambalaya」に出て来るヤツやんけ!」と思ってさっそく調べた。
コレは「しまった!」とか「何てこった!」みたいな意味。
イギリスだったらいつもの「Blimey!(ブライミー)」か?
語源がスゴイ。
軍艦に同乗していた女性が子供を産んじゃった。
父親が誰かはわからない。
でも、その女性と密会する時には大砲の下のハズだったから、生まれて来た子は「son of a gun」。
それが転じて「しまった!」って一体ナンのこっちゃい!
観ていると、コロンボはナニかスゴく良いモノに出くわした時に「サナバガン!」と言っています。
 
アレ?
この『サイコ』のポスターの手描きの文字…
7psycho キューブリックの『博士の異常な愛情(Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb)』のタイトルを手掛けたパブロ・フェッロの仕事じゃないの?
オリジナルの『サイコ』のタイトルのデザインは有名なソール・バス(京王百貨店や紀文やコーセー化粧品のトレードマークをデザインした人)が担当したが、フェッロは1998年の『サイコ』のリメイクのオープニング・タイトルでバス未亡人のチェックの下、モノクロのオリジナル・デザインを黒と緑を使って再現した。
この緑を使うアイデアは『北北西に進路を取れ(North by Northwest)』のオープニング・タイトルから来ている…と私は観た。
みんなヒッチが大好きなんだよね。

Ppdr ハイ、休み時間終わり。
 
さて、このフーディニ…じゃない、フーディ。
「Hood(フード)」が付いているから「Hoodie」っていうんだけど、コレ、イギリス人にとっては雨具でもあるのね。
「弁当を忘れても傘を忘れるな」は金沢か?
イギリスも全く同じ。
多雨と言われるマンチェスターやリバプールはホントに雨ばっかりだった。
かつては傘がイギリス紳士の持ち物の代名詞みたいなモノだったけど、今は街を歩いていて雨が降っても傘をさす人はほとんどいない。
私なんか雨に濡れて風邪でもひいたら一大事なので、持っていればすぐにさしちゃうけどね。340sそんな時に活躍するのがこのフード。
ロンドンなんかで雨が降り出すと、行き交う人が一斉にフードを被る。
まさにフーディは傘に代わるロンドンっ子の立派な「雨具」なのだ。
でも、限界はある。
以前、6月の上旬にロンドンにいた時、も~雨ばっかりでね~。
フーディを着てびしょ濡れになって歩いている黒人を見かけたんだけど、もう被ったフードのヘリから水がジャンジャン滴り落ちてるワケ。
完全にドシャ降りなんだもん。
「アナタ、それフーディを脱いだ方が濡れないんじゃないの?」と声をかえたくなるぐらいのズブ濡れ。
それでも傘をささないんだよな~…皆さん、フーディが大好きなの。
私はもちろんシッカリ傘をさした。7167865_hoodie_sizes_1_3  
マジかよ!
こんなん始めちゃた!
見ての通りセーター。
このデザイン!
誰がどう見てもイケてない。
ナゼならワザとそういう風に作ってあるモノだから。
日本でも最近は浸透して来ているのかしら?…「Ugly Christmas Sweater(アグリー・クリスマス・セーター)」というイベント。
 
欧米の人は子供の時、クリスマス・ツリーやトナカイの絵柄をゴテゴテと配した、人前ではとても着れないようなデザインのセーターをクリスマスにおバアちゃんからプレゼントされる…という経験があるのだそうだ。
恥ずかしいので着るのを避けていると、きっとお母さんが「せっかくおバアちゃんが編んでくれたんだから着なさい!」かなんか言うのだろう。
このセーターが幼い頃のクリスマスのイヤな思いでのひとつになるんだって。
それをオモシロがって、クリスマスのシーズンになると「みんなで趣味の悪いセーターを着ましょう!」…とやるのがこのイベントの内容。
下はまだおとなしい方。380sコレがどこから始まったのかというと、1980年代、BBCの子供向けの特番「Gordon the Gopher(ゴードン・ザ・ゴーファー)」の中でアンディ・ウィリアムスがそういうセーターを着ていたことに端を発したらしい。
それがアメリカに飛び火して「アグリー・クリスマス・セーター」というイベントになった。
まぁ、デパートのセーターが売り上げがドカンとアップするというから、日本のヴァレンタイン・デーのチョコレートみたいなモノでしょう。
下が「ゴードン・ザ・ゴーファー」。
現在はこの番組は放映していないそうだ。
390「gopher」というのは「ホリネズミ」という北アメリカと中央アメリカに生息するこういうヤツ。7gopher さて、そのイギリスが発端の「アグリー・クリスマス・セーター」、肝心のイギリスではセーターのことを「セーター」とは言わない。
「ジャンパー」と言う。
「セーター」でも通じるけどね。
385sだからMarshallではこのアイテムを「Marshall Christman Jumper(マーシャル・クリスマス・ジャンパー)」と呼んでいる。
我々が頭に浮かべるジャンパーとは全然違いますな。
754028_forest_malereverse_2イギリスではNGO団体「Save the Children(セーブ・ザ・チルドレン)」の活動の一環として、「クリスマス・ジャンパー・デイ(Christmas Jumper Day)」に設定された12月のどこかの金曜日にアグリー・クリスマス・ジャンパー(セーター)を着て、子供のために最低1ポンド寄付するというチャリティ活動を展開している。
今年は10日が「クリスマス・ジャンパー・デイ」に当たるそうだ。
アメリカでも同様のチャリティ活動が行われている。

Stcs Marshallはジムの意志を継いでチャリティ活動に熱心だからね…ホラ、この通り。72christmas_jumper 
ハイ、今コレ何をやっているのかと言うと、Marshallで扱っている最新のグッズの紹介ですからね。
日本では扱っていないモノもあるけど、「本国ではこんなことやってんのか~」的にご覧あれ。
 
で、次は水筒。
「Drinks Bottle(ドリンクス・ボトル)」という商品名。420_3容量は500mlで、フィニッシュは2通り。430エンボスされたスクリプト・ロゴがドテッ腹に入っている。440飲み口はこんな感じ。450 
「水分の容器シリーズ」、続いては「Hip Flask(ヒップ・フラスク)」。
海外の映画なんかで時折見かける携帯用の酒の容器。
「flask」というのは昔理科の実験で使った「フラスコ」のこと。
日本でコレを肌身離さず持って歩いてチビチビやる人を見たことはないが、日本では「スキットル」と呼ばれているらしい。
そんな人、海外でも見たことないけどね。
イヤ、ゴルフ場に持って来ていた日本のどっかの会社のおエライさんがいたわ。
チョット種類の仕事に携わっている人に聞いたんだけど、やっぱりコレ、日本ではほとんど売れないらしい。
生粋の「西洋文化」というワケ。
7409662_hipflask_1_2 本革が貼られた側面には「EST.1962 LONDON」のデボス加工がしてある。Hflg 本体が湾曲しているのはズボンの後ろポケットに入れた時に尻の曲線にフィットさせるため。
尻がペッチャンコの東洋人とは異なり、西洋人は尻が出ているからね。
コレは結構重要なポイントなのかも知れない…というか、こんなもん持って歩くぐらいならトットと家へ帰ってユックリ飲めばいいじゃないか!と思うんですけど。460コレは構造上中を洗うことができないのが普通なんだって。
そこで、ワインのような残留物が混入している発酵酒を入れるのには不適切で、専らウイスキーのようなアルコール度数の高い蒸留酒を入れるのだそうだ。
すると、いつも同じ銘柄の酒を入れるということになるんだろう…そこで思い出した!470ビリー・ワイルダー作品『失われた週末(The Lost Weekend)』ね。
1945年のアカデミー作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞を獲得したアルコール依存症をテーマに据えた名作中の名作。
凄まじい演技でアル中の主人公をドンを演じるのはレイ・ミランド。
も~、酒が飲みたくて、飲みたくてどうしようない。72lw 映画の中でドンはバーに行っても、酒屋に行っても必ず「Rye(ライ)」というスコッチ・ウイスキーを注文する。
本当の酒飲みというのは、いつも同じ種類しか飲まないのかも知れない。
だから、ヒップ・フラスクに入れるウイスキーの銘柄は常に同じ。
すなわち、中を洗う必要がない…ということだ。
ま、ドンはフラスクなんて使わず、ウイスキーをラッパ飲みしちゃうんだけどね。
五代目古今亭志ん生は「菊正宗」が好みだったとされているけど、実はナンでもヨカッタらしい。
 
この映画、アルコール中毒になっているドンが恐ろしい幻覚を見るシーンが一種にハイライトになっているんだけど、何かの本で読んだが、日本人(東洋人)はホンモノのアルコール依存症になる前に肝臓がブッ壊れて死んでしまうという。
そこへ行くと白人は内臓がやたらと頑丈な上、アルコールを分解する酵素が黄色人種より多いんだか、強力なんだかで、無限に飲めちゃうらしい。
だからアルコール中毒の度合いがスゴイんだって。
「ロンドンには公園がたくさんある」ということを折に触れてMarshall Blogに書いているけど、この公園はアルコールと関係が深いということを最近知った。
また、テニスだのラグビーだの、イギリス発祥のスポーツってたくさんあるでしょ?
コレもアルコールが関係しているのだそうだ。
この辺りのことはまた別の機会に…。
7lw2 折角だからヒッチコックで揃えておくと、レイ・ミランドは1954年の『ダイヤルMを廻せ!(Dial 'M' for Murder:ダイヤル'ひ'は人殺しの’ひ’)』で主演を務めている。
お相手はグレース・ケリー。
アレもハラハラドキドキでオモシロかったね~。
若い人はDVDを借りて来て古い映画をドンドン観るといい。
その代わり、本当に昔の映画に夢中になったら最後、今の映画もテレビドラマに戻れなくなること必定だ。
Dmfmそれと!
レイ・ミランドは『刑事コロンボ』に2回出ているんよ。
今日は実に話がよくつながります。

Columbo  
コレはステッカー。
昔は販促グッズでステッカーをよく作ったけど、コレもずいぶん雰囲気が変わったな~。7225925_stickers昔はロゴばっかりだったんよ~。7435099_stickers_2コレはワッペン。
アップリケっていうのかな?
Marshallでは「Patches(パッチズ)」と呼んでいる。

7293281_patchesオリジナルのJTM45をデザインに起用しているセンスがスゴイな。

7496702_badges_2_3コレは缶バッジ。

7404162_badges「缶バッジ」のことは「Tin badge」というようだ。7356343_badges22バンダナも取り扱っている。71053587_bandanna3pack2_v2色は2通り。490 
以上、Marshallのグッズを紹介しつつ好き勝手なことを書かせて頂いた。
Marshallでは今日触れたアイテム以外にアパレルやバッグ、ソックス、財布なども扱っている。
日本には入って来ていないアイテムもあるが、興味のある方はMarshallの本国のウェブサイトをご覧ください⇒THE MARSHALL SHOP

7shop 

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2021年11月11日 (木)

Marshall読み方教室

 
「♪マーシャル・ブログはいいブログ…」
 
今、柳亭痴楽なんて知っている人は少ないだろうな。
私もリアルタイムではないけれど、父がオモシロがっていたので学生の頃に時折カセット・テープの音源を聴いた。
「柳亭痴楽」という名跡は五代目まで続いたが今は空位になっている。
今ココで話題にしようとしているのは四代目のこと。
自らを「破壊された顔の所有者」と称して珍顔をウリにしていたが、今みるとゼンゼン普通にしか見えない。
珍顔も今では相当進化しているからね。
この人は「綴り方狂室」という芸で大変な人気を集めた。
「♪柳亭痴楽はいい男 ああ、いい男 鶴田浩二や錦之助 アレよりグンといい男」とリズミカルな七五調で淀みなく口上を披露する。
実は私はコレのどこがオモシロいのかがわからない。
何しろ人気のあった芸人さんだったので、当然母も痴楽の全盛期のことを覚えている。
そこで、どこがオモシロかったのを尋ねたところ、「あれだけ次から次へとテンポよく言葉が出て来るところがオモシロいじゃない?」だそうで…お笑いにワビやサビが存在していた時代があったことを感じ取れる洞察ではあるまいか。
そんな調子で、「♪上野を後に池袋 走る電車は内回り 私は近頃外回り…」と、小林旭の「恋の山手線」の元ネタを演じたのがこの四代目柳亭痴楽。
7chirakuMarshall Blogではこの「綴り方狂室」というタイトルに目をつけてみた。
でも、こっちは「綴り方」ではなく「読み方」。
今日は「Marshall読み方教室」というのをやってみたいと思う。
このクダリをやりたいだけでワザワザ痴楽師匠にご登場頂いた次第。
相変わらず前置きが長くてどーもスイマセン!…お、そういえば根岸の三平師匠(=海老名家)の家の最寄り駅は山手線の「鶯谷」だ。
五代目古今亭志ん生と十代目金原亭馬生の家はその隣の「日暮里」にあった。
「ネコの町」で有名な谷中商店街のすぐそば。
昔、この辺りには噺家が多く住んでいて、「上野」から歩いて10分ぐらいの稲荷町には八代目林家正蔵(後の彦六)がいた。
上野の隣の「御徒町」には八代目桂文楽の家とそのすぐ近くに五代目古今亭今輔の家があった。
ゼ~ンブ見て来た。
この辺りのことはいつかShige Blogで一本編みたいと思っております。 7img_5132 ところで、「Marshallの読み方教室」って一体ナンだ?」と思うでしょう?
英語の話し。
Marshallの型番の「数字」を英語でどう読むか…ということをやってみたいと思う。
以前からチョコチョコとやっていたけど、今日はその総集編。
実は「有名な楽器のモデル名をどう読むのが一般的か?」という知人のfacebookへの投稿にヒントを得た。
 
…というのも、「〇〇って英語でナンて言うんだろう」と思うことが結構あったりするでしょ?
その証拠に「〇〇を英語で言えますか?」の類の本がナントたくさん上梓されていることよ!
サッとインターネットをさらってみてだけでこんなに出てる。
私もかつては2、3冊は買ったけどね…。
こういうのは読んだ時には「なるほど、なるほど」となるんだけど、実際に使う機会がない限りスッカリ忘れてしまって案外身につかないもんです。
でも、やらないよりやっておいた方がはるかに良い。
10v_470_2私の場合、Marshallの本社の近くにあるコーナー・ショップに行った時、「固形石鹸」が英語で言えなくて困ったことがあった。
もちろん「soap」はわかっているんだけど、「固形」の部分をどう言えばいいんだろう?…店員さんを目の前にして考えてしまった。
「固形」だから「solid」か?と思い、「Do you have a solid soap?」とやってみたけど通じない。
結局「Soap, soap」と言いながら両手で四角を作って見せたらすぐに通じて置いてある場所を教えてくれたんだけど、「旅の恥はかき捨て」で、連中が英語で何と呼んでいるのか確認しておいた。
答えは「soap bar」だった。
なるほどね~…この単語はまずもって一生忘れることはない…という具合。
こうして赤ちゃんが言葉を身に付けていくように、必要なことから自然に覚えていくのが理想的なんでしょうな。
Sb_2ちなみに「コーナー・ショップ」というのはイギリスに行けばどこにでもあるコンビニの元祖みたいな小さなスーパー。
雑誌から、食べ物から、酒類、雑貨、店によっては生鮮食品まで少しずつ何でも取り揃えてある。
下の写真の赤い看板に「OFF LICENSE」と書いてあるけど、コレは「酒類は扱っているけど、ココで飲ませることはできません」という意味。72cs3_2コーナー・ショップの店員はナゼかほとんどが中近東系の人たちだ。
時間によっては店内でメッカに向かって礼拝をしていたりする。
見た目はナンだけど、コワイことはゼンゼンない。
複数のアイテムを買うと必ず「Bag?」と訊いてくる。
もちろん「袋に入れますか?」ということなんだけど、日本もコレにすればヨカッタんだよ。
みんなで協力してレジ袋なしが基本。
必要な時だけ申し出ればいい。
いちいち「袋は有料ですがお入り用ですか?」と訊くのも、訊かれるのも、はたまた「要りません」と答えるのも実に面倒な話だ。7cs2_2
「数字」と言えば、以前大きな桁数の数字を読む時に日本語と英語のどちらが速いかという競争をオーストラリアの人としたことがあった。
その時は私の日本語が勝った。
やっぱり英語で大きな数字を読むのは難儀なことだと思ったが、英語には3ケタごとに付される「,」があるので、システマチックかつ視覚的に大きな数字を一発で読むことができるんだよね。
「,」の付く位置には「thousand(千)」、「million(百万)」、「billion(十億)」、「trillion(一兆)」、「quadrilliom(千兆)」、「quintrilliom(百京)」…と名前が決まっているので、そのすぐ左隣りの数字を10の位で、またすぐ右隣りの数字は100の位で読むだけでいいのでとても簡単だ。
「,」が付けられる位置が「千」の次に「百万」に飛んでいるのを不思議がっている日本人を時折見かけるけど、「,」は英語で数字を読むためのツールですから。
英語の人たち向けに便利にできているんです。
コレがドイツなんかに行くと「,」と「.」が反対なので見ていてすごく気持ちが悪い。30v_2さて、Marshallのモデルナンバーといえば「1959」みたいな4ケタの数字でしょ?
コレには当然「,」はつけない。
付けてしまうと「1,959」となり「ワン・サウンザンド・ナイン・ハンドレッド・フィフティナイン」と位取りして読まれてしまうかも知れない。(註:以降、最後の数字の前につける「and」はすべて省略します)
コレでは長くてどうにもならない。
「キミ、アンプ何使ってんの?」
「Marshallのワン・サウンザンド・ナイン・ハンドレッド・フィフティナインだよ」
「やっぱりワン・サウンザンド・ナイン・ハンドレッド・フィフティナインか!音いいもんね」
「そうワン・サウンザンド・ナイン・ハンドレッド・フィフティナインが一番好き!」…なんて長すぎるわ。
コレに「エスエルピー」なんて付けたらもう「寿限無」みたいなことになってしまう。
しからば付いていない場合はどう読むか?…コレを詳しく見ていくのが今日の内容。
いかにもやっつけ企画みたいだけど、イエイエ、私は完全にマジですよ。

歴史順にいきましょう。 
まずはMarshallの第1号機である「JTM45」。
数字は2ケタ。
日本では「ジェイティーエム よんじゅうご」だけど、英語では「JTM forty five」と位取りして読みます。
2ケタの場合は「four-five」と平読みしないのが普通。50次におなじみの「1959」。
日本では「いちきゅうごうきゅう」と平読みして、略して「ごうきゅう」なんて呼んだりするけど、数字4ケタの場合は、2ケタずつに区切って位取りをして読むのがスタンダード。
つまり「Nineteen-fifty nine(ナインティーン・フィフティナイン)」となる。70_2当然「1987」も同様。
「Nineteen-eighty seven(ナインティーン・エイティセブン)」ね。80_2コンボでも読み方は同じ。
「Nineteen-sixty two(ナインティーン・シクスティトゥー)」ね。
イヤ、コレは「Bluesbreaker」って呼ぶ方が多いかな?
90
キャビネットも「Nineteen-Sixty(ナインティーン・シクスティ)」と同じ読み方でいけます。100次に行く前に…。
この4ケタの数字がどうやって決められているかはご存知ですかな?
ナンジャラホイ?と思う方はコチラをクリック!
      ↓    ↓    ↓ 
【イギリス-ロック名所めぐり】vol.54~変わりゆくロンドン <その4>デンマーク・ストリート(前編)

 
JCM800(はっぴゃく)に入るよ。
JCM800は「JCM eight-hundred(ジェイシーエム・エイト・ハンドレッド)」と位取りをして読む。
「100W、1チャンネル、2インプット、マスターボリューム付き」のモデルが「2203」。
コレも4ケタだから2つに分けて「Twenty two-zero(または'o')-three」かなんかでいいのかしらん?
答えはブー!
このモデルは平読みにして「Two-two-o-three(トゥー・トゥー・オー・スリー)」と呼ばれている。110_3それでは、同じJCM800の仲間の「2555」はどうか。
「2203」と同じように「Two-five-five-five」と行きたいところだけど…ブー!
コレは「Twenty five-fifty five(トゥエンティファイブ・フィフティファイブ)」と読む。
でも、誰もそうは呼ばないね。
みんな「ジュビリー」って呼んでいる。115しからば、「100W、2チャンネル、2インプット、マスターボリューム付き」と定義される「2210」はどうかというと…「Twenty two-ten(トゥエンティトゥー・テン)」だそうです。
で、コレの50Wバージョンの「2205」になるとたちまち「Two-two-o-five(トゥー・トゥー・オー・ファイブ)」に戻ってしまう。
中に「0」が入ってくる影響か?22102_2それではJCM900(きゅうひゃく)。
代表機種の「4100」行ってみよう!
「Four thausand-one hundred」?…ブー。
「Four-one-zero-zero」?…ブー。
「Fourtyone-double o」?…ブー。
コレは通常「Forty one-hundred(フォーティワン・ハンドレッド)」と呼ばれているのよ。
「100」が41個ということ。120_2じゃJCM900の2x12"コンボの「4102」は?
コレは「Forty one-o-two(フォーティワン・オー・トゥー)」となる。

7jc4102 だんだんイライラして来たでしょう?
こんなの一体誰がキメてるんだよ!とか思うでしょう?
イイエ、コレは誰もキメていないのよ。
強いて言うなら、英語圏の人たちの「口のまわりの筋肉」+「彼らの習慣」としかいいようがない。
つまり、相手に容易に通じる範囲内で一番口にしやすい読み方をしているだけの話し。
今回、この記事を書くにあたって、怪しいヤツはすべてMarshallのスタッフに確認したが、これらの読み方は決してルールではなくて、イギリス人の習慣とMarshall社内の伝統が組み合わさった数字の読み方だと思って欲しい…とのことだった。
だから「2203」を「Twentytwo-o-three」と呼んでも一向に構わないし、通じないこともない。
でも、郷に入ったら郷に従いたくなるもんね。
私もMarshallの連中と話す時、最初のウチはチョット苦労した。
モデル名を言う前に1回「1960」という数字を思い浮かべて、「コレは2つずつ区切って読むんだったナ」と認識してから「Nineteen-sixty」と口にする。
そんなことをしていた…すぐに慣れたけどね。

1_2 数字型番シリーズの最後はLEAD12(じゅうに)。
「5005」はどう読むか?
日本語だったら「五千、飛んで飛んで五」ぐらいになろうか?
調べたんだけど英語ではこの「飛んで」という表現がないようだ。
だから「o」と読む。
もちろん「zero」でもいいんだろうけど、向こうの人はコレを「ズイーロウ」と発音するのでリズムが狂っちゃうのかもしれない。
数値として読むときは単に「Five thousand and five」になるけど、モデル・ナンバーの場合は「Fifty-o-five(フィフティ・オー・ファイブ)」になるそうだ。

750052jpg2_2 次に数字4ケタの型番以降のモデルを見てみよう。
まずはJCM2000(にせん) DSL100(ひゃく)。
「JCM2000」はそのまま「JCM Two thousand(JCM トゥーサウザンド)」と読む。
で、「DSL100」は「DSL One hundred(DSL ワンハンドレッド)」、「DSL50」は「DSL Fifty(DSL フィフティ)」。
簡単、簡単!7dsl しからばJVMは?
「JVM410H」は「JVM Four-ten-H(JVM フォー・テン・エイチ)」と読む。
ま、イギリスでは場所によっては「H」を「エイチ」ではなく「ヘイチ」と発音してるわ。140_2「SV20H」も同様に「SV Twenty-H(SV トゥエンティ・エイチ)」ね。
こういう数字がワッテージを表すような場合には、位取りをして読む傾向がある。
「じゃあJTM45は何でFour-fiveなの?」と思う方もいらっしゃるかも知れない。
ブー!
この「45」はワッテージではありません。
「JTM45」の出力は30Wなの。
「45」は幻の出力なのだ。150では、ココで一発ムズカシイやつ。
Marshallは1990年代の終わりごろまで「Dynamic Bass System」というベース・アンプのシリーズを生産していた。
その中に200W、4×10"のコンボがあったのね。
モデル名は「72410」。
さて、5ケタはどう読む?
「Seven-twenty four-ten」?
それとも「Seventy two-four hundred-ten」?
 
答えは「Seventy two-four-ten(セブンティトゥー・フォー・テン)」。774410_2 
同じく1x15"バージョンの「72115」は「Seventy two-one-fifteen(セブンティトゥー・ワン・フィフティーン)」と読む。
理由は、このシリーズは「7」が統一のモデル・ナンバーになっていて、400Wのモデルは「4」、200Wのモデルは「2」がそれに続いた。
だからヘッドには「7400」とか「7200」という型番が付された。
一方、コンボにはスピーカーのコンフィギュレーションをくっつけたというワケ。
このシリーズすごくヨカッタのにナァ。

772115_2

ついでに真空管もやっておこう。
こっちは至って簡単。
そのまま読むだけでヒッカケ問題はなし。
 
EL34は「EL Thirty four(EL サーティフォー)」。190ECC83は「ECC Eighty three(イーシーシー・エイティスリー)」。
Marshallでは「12AX7」とは呼ばない。
ヨーロッパの会社だから。
200_3「6550」は「Sixty five-fifty(シクスティファイヴ・フィフティ)」。
 
最後に…真空管は「Tube(チューブ)」ではなくて必ず「Valve(バルブ)」と呼んでいる。

210<姉妹編>につづく 

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2021年7月13日 (火)

【Marshall Records】 ピーター・キャップスティックのインタビュー

 
ある日のこと、Marshllの本家のウェブサイトを開いてビックリ。
私のMarshall Recordsの仕事のパートナーであるピーターのインタビューがドッカリと掲載されているではないの~!
オモシロそうだったので全文訳してみた。Marshall_records_logo_square_black
Marshall(以下、斜体)Marshall Recordsのレーベル・マネージャー、ピーター・キャップスティック(Peter Capstick)に話を聞くことができました。
(もう始まってます)
どのようにして今の業務に就くことになったのか、そして彼の音楽への愛情が今の仕事にどう生かされているのかについて訊いてみました。

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
 
Marshall(以下、斜体)現在取り組んでいる仕事の内容を説明してください。典型的な業務としては何をされていますか?
 
ピーター・キャップスティック:「軸」とでも言えばよいのでしょうか?
レーベルに関するすべてのことに携わっています。
毎日、色んな関係者と連絡を取っていますね…契約アーティストたちやディストリビューター、プロモーション・チーム、ラジオ関係者、広告関係者、音楽出版社、そして海外のネットワークの皆さんです。
レコーディング関係のお手伝いもしています。
 
もうひとつ私の重要な業務は、将来を見据え、アーティストの皆さんが前進するために必要なことを計画することです。
それには様々なケースがあって、すぐに私が動く必要がない仕事もありますし、デモ音源を評価したりする場合もあります。
そのような時には、一歩退き、曲を注意深く聴いて、どのようにその曲を次の段階に送り込むための大きな絵を描くんです。
もちろんストリーミングの状況や実際の商品の販売、またSNSの動きをチェックする時間も設けています。

Sp1 
自分の仕事の中で、どういう部分が一番好きですか?
 
チームのみんなと関わり合うことをとても楽しんでいます。
アーティスト、マネージメント、ディストリビューター、マーケティング、プロモーション、その周辺の人々全員です!
我々には「最終的にスゴイものを作る」という定められたルールがあるんです。
そういうことを考えるのが好きなんですね…たとえば「海賊船」を想像してみてください。
我々、乗組員全員がオールを持っていますよね。そして私たちは息を合わせてオールを操る必要があります。
最終的にみんながで目指している同じ目標に向かって突き進むためにコミュニケーションは欠かせません。
だから「人々こそ私の仕事のお気に入り」ということになります。
 
 
今のキャリアでナニか特筆すべきことはありますか?
 
このインタビューの時点では、THERAPY?(セラピー?)の2枚のアルバムが連続してチャートに入ったことです。コレはとても自慢に思っています!
 
<THERAPY?のアルバム>

Index

A1gpaayd0l_ac_sl1500_  

それだけではなくて、Press to MECO(プレス・トゥ・ミコ)とRews(リュウズ)が立て続けにブリクストンのO2アカデミーのステージに立ったのもうれしかった。
自分たちのバンドがそのようなステージに立つことを目の当たりにするのはこれまででも最高の気分になりました。
Simg_7221(ブリクストンにあるO2アカデミー。さほど雰囲気が良いとは言い難いこの街はデヴィッド・ボウイの出身地だ。
詳しくはコチラ⇒【イギリス-ロック名所めぐり】vol.50 ~<オールド・ロック・ファンに捧ぐ>トライデント・スタジオとC.ベヒシュタインとデヴィッド・ボウイ )

<Press to MECOとREWSのアルバム>

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Images (Therapy?のアルバム同様Marshall Music Store Japanからお求め頂けます。詳しくは巻末をご覧ください) 
  
 
どのようにして現在の仕事に就いたんですか?
 
学校の都合で家を離れるまで、10代の頃はずっとバンドをやっていました。
その時は完全にバンドの活動を止めてしまったんですが、家に戻って以前とは別のバンドに入ったんです。
その時、自分はバンドのスタッフの方が向いていることに気づいたんですね。
ステージで演奏するよりもバンドの管理とか、運営とか、バンドの傍らの仕事の方が自分にはシックリいくのではないかと考えたのです。
 
そういう意味ではそれが現実になった。
私が所属していたバンドでそうしたスタッフ業務にトライしてみたんです。
例えば、曲をオンラインで流してみたり、CDを何枚か制作して売ってみたり、そのためのSNSのページを作ったり、時にはプレスにCDを持って行ったりしました。
他のメンバーはブッキングみたいなことに集中していましたが、私の興味はもっぱらそういう方面の仕事でした。
  
自分のバンドのためにそんなことをしているウチに、何人かの友達のバンドの手伝いをするようになったんです。
彼らの音楽をオンラインで流したり、手作りのミュージック・テープを作って友達に売ったり、地元のレコード屋にそれを置いてもらったりしました。
一切儲けにはなりませんでしたが、失ったモノもありませんでした。
 
振り返ってみると、バンドにいたことや、自分はそのような仕事が好きであったことを発見したこと等すべてが今の仕事につながったんですね。
 
  
自分の業務においては何に挑戦していますか?またそれにどうやってそれに打ち勝ちますか?
 
毎日が挑戦ですよ…取り扱い品目が「芸術」ですからね。
芸術はとても主観的なモノです。
アーティストの熱意や情熱にチャンネルを合わせることが挑戦であり、そのアーティストの意向を音楽産業の仕組みの中で具現化できるようにすることも挑戦なんです。
  
それがうまくいったらラジオ・プロモーターやディストリビューターにその音楽を自分と同じぐらい好きになってもらって、その音楽の背後にナニがあるかに興味を持ってもらう。
そこから生まれた熱意をその作品に注入してもらう。
いかに自分自身がその音楽を作ったアーティストと同じぐらい熱狂するかなんですよね。
そして、その音楽が持つ情熱とメッセージを音楽業界の関係者に運ぶ最良の媒体になることができるかどうかなんです。

Sp2 
何がアナタを音楽業界で働きたいと思わせたのでしょう?
 

既に述べたように、バンドをズットやりながら育ってきました。
それがとても楽しかった。
音楽のようなモノは他にありません。音楽は最高です。
たくさんの人が関わっているヴァラエティです。
コレは偏った見方かも知れません。でも恐らく音楽は「芸術としての在り方」の主流だと思います。
音楽を聴きたくない、なんていう人に会ったことがありませんからね。
 
そうした思いがこの業界で働くキッカケになりました。自分が今この業界にいて、その中で働いているワケですが、そのことが「興奮と挑戦とその報いがゴッチャになっているモノ」であるということ学んでいます。
 
 
アナタのような仕事をする上で必要不可欠なスキルは何だと思いますか?

人と話せるということでしょうね。
このことは仕事の成功や失敗に深く関わってきます。
他にも計画力、時間の管理能力、デザインのセンス…等々。
でも、コミュニケーションの能力は明暗を分けます。
「人と話せる」ということだけでなく、「会話をする」ということですね。
締め切りを効果的に使い、会話の効率を考慮する必要があります。
 
 
それらのスキルは自然に身についたモノだと思いますか?あるいは仕事のなかで発展させたモノだと思いますか?
 
自分で言うのもナンですが…自分はなかなか良い話し手だと思うんです。
仕事を通じて進歩したとも思いますが、一般的にそういうスキルは習うようなモノではありませんでしょう。
 
 
音楽業界で働きたいと思っている人たちにアドバイスをするとすれば?
 

すべてのことに注意を払うことです。自分の周りの情報をできる限り何でも吸収する。
それは間違いなく自分にとって有益なことですから。
私は自分が良い話し手であると思っている限り、良い聞き手であろうとも思います。
誰かと座って話をしようとする時、私は何もしゃべらず、何かが起きて、相手が話すことを受け容れるよう努めます。
何かを習得する時に最も大切なことは聞くことによって経験を積むことです。
コレが自分を成長させる唯一の手段です。
今まで私が関わって来た業界には、相手との関係やどんな情報を相手が持っているかをよく考える前に、成果を急いでしまう人たちがたくさんいました。
 
 
バンドやアーティストのどういった点がアナタを惹きつけますか?
 

音楽第一です。
もちろんステキな音楽でなければなりませんが、他にもそのアーティストを成功に導くためのたくさんの重要な要素があります。
私が個人的に見ているのは…
★魅力的な音楽:当然ですよね。他の人に聴かせたくなるいような要素がなければ私の出る幕はありません。
★情熱:申し上げた通り、情熱と熱意ことが曲を売るのです。曲というモノはそれがすべてです。
★やる気:すべてのアーティストは一生懸命に働くか、一生懸命働く意欲がある…のどちらかである必要があるでしょう。彼らの創造への旅のどこにいるのかにもよりますが。
★柔軟性
ひとたび曲が作られて録音されると、アーティストは他の人たちにオープンであらなければなりません。作品について別の選択が与えられ、改変をススメられ、アレコレと指示を受けることになりますから。

Sp3_2 
あなたの仕事を一言でまとめるとなると?
 
楽しみ。
 
 
どうして?
 
ただ単に自分がやっていることが楽しいからです。
ズット楽しい人たちと仕事をしているし。
仕事は大変ですが、取り組んでいる間、その戦いを楽しむことのはとても良いことです。
母がよく言っていました…「もし笑わないなら泣くことになるよ」って。その通りだと思います。
大変な仕事はそれを楽しんじゃうことが一番なんですね。
 
 
アーティストがMarshall Recordsと契約します…そうした場合、次には何が起こるのでしょうか?
 

先方のキャリアによって色々ですね。
我々のアーティスト・リストを充実させるために契約をするのであれば、先方がどういうポジションにあるかを見定め、マーケットでどんな存在であるかを分析します…コレは今までと同様なんですが…そして、アーティストの目標と成し遂げたいことを設定します。
まずはそれをスタート時点の課題に据えます。
何をしたいのか、どう成りたいのか、どういう風に見られたいのか、どういうジャンルに区分けされたいのか、ということを決めるのも重要です。
そしてひとたびそれらを設定すると、必要な関係者とコンタクトし、それらの目標を達成するために共同作業を展開していくのです。
 
そんなことからアーティストの熟成期間は状況によって大きく異なります。
先方はすでにいくつか曲を作っているかも知れませんし、ビデオを制作する必要があるかも知れませんし、配給の計画を立てなければならないかも知れません。
あるいはイチから初めてスタジオに押し込んでそ、こから何かを作りだすケースもあるかも知れません。色々です。
どんなバンドと仕事をしようとも我々は腰を据えて考えます…我々はどこにいるのか?我々はどこに行きたいのか?そこへはどうやって行くのか?
 
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
 
以上。
ピーターはウチのセガレたちよりいくつか若いんだけどシッカリしとる。
冒頭でピーターを「仕事のパートナー」だなんて書いたけど、ピーターは私をレコード屋さんの店主にしてくれた本人でしてね。
彼のプッシュがなければ『Marshall Music Store Japan』は実現しなかった。SもちろんD_Driveの世界デビューに当たっても並々ならぬサポートをしてもらい、現在でも微に入り細に穿ち面倒をみてもらっている。
彼とは2019年の『Marshall LIVE』の時に1回しか会ったことがないんだけど、ネット電話を通じて隔週でミーティングをしているので生で接する機会が多く、仕事の話のついでに英語についてチョコチョコっと教えてもらうなんてことも少なくない。
ブルースが好きなのかな?
仕事柄もあってか、若い割に昔の音楽もよ~く知っている。
ま、私には到底かなわないけど…古い音楽だけね。
S0r4a0510紅茶もそうなの。
ウチはこの「Sainbury's(セインズベリーズ)」というスーパーの紅茶、すなわち庶民が飲む一番普通のお茶が大好きで、商品を発送してもらう時にピーターに頼んでこの一番デカい240個入りというヤツをついでに送ってもらっている。
味はイギリスで飲む紅茶と違いますよ…向こうは硬水だから。
で、最近「Contrex(コントレックス)」とかいう硬水があるのを知って、「コスコ(COSTCOのことね。海外で「コストコ」と言うとかなりの高い確率で笑われますのでご注意のほどを!)」で買って来てこの紅茶を飲んでみた。
思わず口から出るのはThe Kinksもビックリの「Cuppa tea?」!
イギリスで飲むあの紅茶の味にかなり近いのだ。
ミルクを入れると更に近くなるよ。Ssbtピーターは私のMarshall Blogもキチンと認識してくれていて、日本で手に入らなかった下の本を送ってもらうようにお願いすると快く対応してくれた。
ロンドンにかつてあったライブハウスの図鑑。
コレがベラボーにオモシロくて、Marshall Blohの『イギリス-ロック名所めぐり』にメチャクチャ役に立つ1冊なのだ。S0r4a0039Marshallの本社があるミルトン・キーンズとオックスフォードの中間ぐらいにあるピーターの住む小さな町のようす。
イギリスは郊外の小さな町がどこもかしこもメチャクチャ魅力的だ。

Sch彼は私がMarshall Blogの中に『名所めぐり』を連載していることを知っていて、昔々この町のライブハウスにKing Crimsonがやって来たことを話してくれた。
も~ね、ブリティッシュ・ロックで育った私としては、そういう話を聞くとタマらんのよね。
恐らくグレッグ・レイクがいた頃のクリムゾンの話でしょう。Sab2コレがピーターの家…かと思ったら違った。
郊外にある「Waddesdon(ワデスドン)」というマナー・ハウス…貴族の家ね。
こういうイギリスの風景を目にするたびに日本に生まれて来てしまったという不公平感を抱かざるを得ない。
東京はどこかの野蛮人がすべて焼き尽くしてしまったからね。
あと、背広を着て海外でのパーティに出席する時ね。
あの時の劣等感だけはどうにもならん。Smh いつもニコニコしているピーターだけど、仕事のことになるとすごくシビアでしてね…「音楽」を「ビジネス」として扱う感覚とか姿勢にはものスゴいプロ意識を感じる。
特に今はITを使ったプロモーションが盛んでしょ?
ITを駆使した仕事の仕方が生半可じゃない。
私がいる環境がそうさせるのかも知れないが、この辺りの話をしていると、日本って手が付けられないぐらい遅れているのではないか?と心配になって来るんだよね。
でもね、とにかくもう言葉がわからんのよ。
英語自体はわかってもIT関連の用語がサッパリ理解できなくていつもピーターに迷惑をかけてしまうのですわ。S0r4a0479そんな若いピーターから教わることのひとつに「西洋人の寛容さ」というのがある。
仕事ですからチョットした話しの行き違いで意見が合わなくなることが出て来るでしょ?
そういう時、彼らってまず「No prolem!」とか「No worries!」ってやるんだよね。
決してガミガミ相手を押し込んだりするようなことをしない。
こっちもそう言われると、いっぺんに気がラクになって同じ方向を向こうという気になるでしょ?
連中は必ずまず一歩退いて相手の話を聞いて、それから自分の意見を論理的にバシっと言う。
そういう人との接し方を子供の時から学ぶんだね。
そうでない人ももちろんいるけどね。
勉強になります。
Marshallのレコーディング・スタジオも完成して、Marshallの新しい展望が開けて来た。
これからもピーターにはたくさんお世話になりそうだ。
アイツ、日本に来たことがないって言うからな~、来たらウマいもんをたくさん喰わせてやろう。
その前に…早くまたイギリスへ行きたいナァ~。
 
ということでMarshall Recordsをよろしくお願いします!
しかし、ピーターはデカいな。Simg_9063Marshall Records商品のお求めはコチラ
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2021年4月13日 (火)

【訃報】John Kentさんのこと

 
「John Kent(ジョン・ケント)」なんていかにもミュージシャンらしい名前だけどさにあらず。
私のイギリスのお友達だ。
イエイエ、「お友達」などと申しては大変失敬に当たるぐらい年上のお方…イヤ、お方だった。
そのジョンが「先週お亡くなりになった」とワザワザMarshallの社長が私に知らせて来てくださった。
そうか…ジョンもか…。
と言っても、ジム・マーシャルとそう年が変わらなかったハズなので、80歳台も後半の大往生だったに違いない。
今日は全くの私事になってしまうが、ジョン・ケントの思い出を記して哀悼の意を表したいと思う。
そこで早速ジョンの写真を探したのだが見事に1枚もなかった。
そこで取り出したるのがジムの伝記本『Fathers of Loud』。
この本にジョンが写っていることをMarshall の社長のジョンが(ややこしい!)思い出させてくれた。Fol_2下の写真がそれ。
ジムの生家や最初の楽器店等、Marshallの誕生に関わるロンドンのランドマークを2003年にジムと一緒に回った時に撮られたモノ。
「Number 1 AMP」号をバックに微笑む2人。
ジョンはジムの運転手であると同時に大の親友だった。
業務上、常に車の中でジムと一緒だったので、「社内で会社の内情に一番詳しいのではないか?」という冗談があったぐらいの関係だった。
後ろの席の会話がイヤでも聞こえて来ちゃうからね。122kentジョンはジムの運転手を務めていない時は来客の送り迎えもしていて、何度もジョンにヒースローと工場の間を運転してもらった。
見るからに「イギリスのおジイさん」という感じで、一番最初にお会いした時はチョット恐い感じがしたが、実は全然そんなことはなく、車の中ではいつもニコニコしながらヘタな私の英語に応対してくれた。
そうして、何度もお会いしているウチに私もジョンと仲良くなり、日本から持って行って食べなかったカップ麺を差し上げたりするようになった。
次に会った時には「あのヌードルおいしかったよ!家族みんなで分けて食べたんだ」なんて言ってくれた。
 
ある時、車にMGのミニ・スタックが積まれていて、そのことを尋ねると「イヤ、今日孫の誕生日なんだよ。だからMarshallをプレゼントしてやるんだ!」とうれしそうに答えてくれたこともあった。

Mg15ms 今では舞台が中国に移り、スッカリ規模が縮小してしまったようだが、かつては世界一の楽器展示会だった「MUSIK MESSE(ムジーク・メッセ)」が毎年ドイツのフランクフルトで開催されていた。
MarshallとFenderはロック楽器のカテゴリーでは最大の展示ブースを設営していて、ジムはそこでサイン会を催すために毎年参加していた。
ジムは車でやって来た。
イギリスから英仏海峡トンネル(Channel Tunnel)でドーバー海峡をくぐり。フランスに入り、ベルギーを経てフランクフルトに向かう、4か国を跨ぐドライブだ。
順調にいって9時間ぐらいかかるって言ってたかな?
この運転を担当していたのがジョンだった。
ジョンが私に仲良くしてくれたのは、毎年フランクフルトで1週間毎日顔を合わせていたこともあったろう。
そのフランクフルトに最初に行った時のこと。
展示会は朝の10時からが5時まで開いていて、販促品の準備やブース内の観客の整理などで結構忙しく、閉会した後、夜はみんなで会食するのが普通だったので、会場の外の様子をうかがうことができなかった。
私にとっては生まれて初めてのドイツで、どうしても街の様子が見たくなり、ある時会食を辞退してひとりで地下鉄に乗って街に出かけた。
次の日の朝、ブースでMarshallの連中にこのことを話した。
その中にジョンがいた。
すると、その話を聞いたジョンが急に怒り出してしまった。
最初はフザけているのかと思ったら、トンデモナイ!
かなり真剣に怒っているのだ。
「シゲッ、そんなことしちゃ絶対にイカン!フルンクフルトという街は世界で最も多様な人種が集まった危険極まりない場所なんだ。
Marshallのボーイズ(←確かにこう言った)も街へ行く時には何人かのグループで行くのがルールになっているんだよ。
それを夕方にひとりでノコノコ出かけていくなんて冗談じゃない!
二度としてはイケないよ!」
ビックリした。
12img_0499ま、「知らぬが仏」ということか?
期待して行ってみると暗くて何やらツマらない街だった。
サッサとホテルに帰ったためコワイ目には全く遭わなかったけど、ジョンの話を聞いて後でゾっとしたよね。
私が経験した大都会といえば、ニューヨーク、ロンドン、上海、東京ぐらいのモノだけど、確かにフランクフルトが一番コワイ感じはするな。
そもそも街の雰囲気が何となく冷たいんだよね。
でも思い出は楽しいことばかり。
1週間丸々Marshallの連中と過ごすので、Marshallという会社のことはもちろん、音楽のこと、イギリスのこと、英語に関すること…フランクフルトではずいぶん色んなことを教わった。
私、メチャクチャ一生懸命やるからすごく可愛がってもらったのよ。
とても懐かしいし、あの頃がもう二度と戻って来ないのかと思うととても寂しく感じてしまう。
12img_0494 ヒースローからMarshallの本社に行く時、M1という高速道路(もちろん無料)に乗って行くのが一番早いんだけど、時間によっては渋滞地獄でニッチもサッチもいかなくなってしまうので、地元のドライバーたちは信号がほとんどない下のような田舎道をグングン進むことを選択する。
この途中の景色が美しいのなんのって!12img_5658 こんな小さな村を通って行くのも実に楽しい。
そこである時、ハンドルを握るジョンに「イギリスの田舎は本当に美しいですよね」と言うと「イヤイヤ、シゲ、こんな景色で驚いていてはイカンぞよ。
ベルギーなんてココとは比べ物にならないぐらいキレイだぞ!」
私なんかにはコレで十分なんだけど、生まれた時からこんな美しい景色に囲まれて生活している人が「キレイ」っていうんだからベルギーも行ってみたいと思ったよ。12img_2771ジョンと撮った写真が一枚もない。
Marshallに来ればいつでも会えるから…とさして撮る必要を感じなかったのかも知れない。
それがある時、ジョンがジムより先にリタイヤするという話が伝わって来た。
それでも、またいつか会えるだろうと思っていた。
一枚でもいいから一緒に写真を撮っておけばヨカッタ。
もうジムもジョンもいなくなっちゃった。
 
今のMarshallの本社に勤めている若い人はジョンはおろかジムとも会ったことがないからね。
こういうことはチョットしたことなんだけど、私は「ジム・マーシャルと仕事をした最後の日本人」としてこうしたMarshallの歴史を書き残しておきたいと思うのである。
 
さようならジョン・ケント…色々とお世話になりました。Jk
 

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2021年2月22日 (月)

スタジオ・ジョニー~Jonny Plays Studio <STUDIO CLASSIC編>

 
Johnny Yoshi HiroによりSTUDIOシリーズのデモンストレーション。
前回<STUDIO VINTAGE編>をお送りしてかずいぶん時間が経ってしまったけど…10<STUDIO CLASSIC編>が完成しました~!

20今回もSTUDIO CLASSICシリーズのヘッド、SC20Hと…

302×12"や1×12" の組み合わせ。501×12"コンボのSC20Cをデモして頂いた。

40_2 JohnnyくんらしいトラディショナルなプレイはSCシリーズの魅力をバッチリ引き出してくれた。

60もちろん得意のボトルネックも披露!

70コンボのテリーの組み合わせもいいもんだ~。80それではどうぞ~!

『スタジオ・ジョニー<VINTAGE編>』も併せてどうぞ!

 
「Marshall Japan」チャンネルの登録をお願いします!⇒YouTube

90 

200
(一部敬称略 Marshige Studioにて撮影)

2021年1月 7日 (木)

曾我泰久 Plays STUDIOシリーズ

   
使いやすい、持ち運びはすい、カッコいい、カワイイ、そして何よりも音が最高!…と、好評のSTUDIOシリーズ。
今回は曾我泰久さんにご試奏をお願いした。10大きなステージでは必ずMarshallを使用して頂いているヤッチン。
最近のソロのステージではギター・ソロのパートのほとんどを田川ヒロアキさんに任せ、シンガーとしての役割に集中しているが、ナンのナンの、The GOOD-BYE時代からバリバリをギターを弾きこなして来た大ベテラン・ギタリストなのだ。
実際、私が若い頃、THE GOOD-BYEがテレビに出ていて、ヤッチンがギターを弾いているのを目にすると「ウマい人だナァ」なんて思ったりしたモノよ。
S0r4a0076ヤッチンはかなり前からこのSTUDIOシリーズに興味を持って頂いていて、いつでもご試奏頂きたかったのだが、忙しい人だからなかなか実現できないでいた。

12ss

それが、コロナのせいもあってお時間ができたので、先日の神田明神ホールのコンサートの時にスンナリと話がまとまった。
我が事務所の近くのスタジオにお越し頂き、半日ドップリとMarshall風呂を浴びて頂いた…というワケ。
楽しみにしていたSTUDIOシリーズ…さて、どんな展開になったのかな~?
STUDIO CLASSICとSTUDIO VINTAGE、それぞれ3種類、合計6通りの組み合わせでトライして頂いた。
20では、まず…
SC20H+SC212
から…30vMarshall シゲ(以下「M」):いかがですか?ずいぶんタップリと弾かれましたね?
曾我泰久(以下「Y」):そうですね…小さいワリにとにかく音がデカくて驚きました。
M:20Wなんですけどね…さすが真空管アンプです。
Y:それと、音がキュッとまとまっているのがすごく印象的でした。
このギターってすごくハイ(高音域)がでるんですけど…
M:ね~!(実際に弾かせて頂いたところ、私もいい加減色んなギターを弾いたけど、高域のリッチさにはビックリよ!)
Y:でしょ?でも出て来る音がすごくバランスよくまとまっていて、初めてこのギターの素音を聴いた感じがする…。
2人:(爆笑!)

40Y:今まで色んな所でこのギターを弾いてきたんですが、エフェクターを必ず通していたんですよ。
M:わかります。
Y:今回、このSTUDIOシリーズ本来の音が知りたかったので直でつないでみたんですが、やっぱり音の「まとまり感」がスゴいのと…あと、攻撃性がスゴい!
M:攻撃性?
Y:「弦の響き」みたいなモノをすごく感じますし、ボクが思っている「ロックの音」っていうのかな?…今、自分が演っている音楽にすごくマッチするように思いました。
M:歪みの感じはいかがですか?狙った通りの感じ?
Y:そうですね。ヘンに歪みすぎたりしないし、ベチャっとせずに音を押し出してくれる。

50vM:曲を作る時、楽器にインスパイアされることってありますか?
Y:あります。
M:その点でこのMarshallはいかがですか?ハードな曲ができちゃう?
Y:クランチがすごく気持ちいいですからね。
ギターのボリュームを落とした時の音の粒立ちの良さがまたいいんですね。
シゲさん、さっきおっしゃっていましたけど、あのセブンス・コードが出ちゃんですよ!
2人:(爆笑!)※ココでのセブンス・コードはビートルズの「She's a Woman」や「Back in the U.S.S.R.」などで聴ける典型的なコード・フォームのこと。
M:「明星」の付録の歌本に載っている押さえ方ですよね!
Y:ボクはコレでセブンス・コードを覚えたんです!60 
SC20H+SC112

70vM:さて、ヘッドはさっきと同じですが、キャビネットが2x12"に変わりました。
Y:こうもサウンドが変わるモノなんですね~。
M:最終的に音を出しているのはスピーカー・キャビネットですからね。
Y:やっぱり、小さいのに音が大きいという印象です。2x12"よりギュッとしたイメージ。
M:芯があるみたいな?
Y:そう。コレで十分ですよね。「STUDIOシリーズ」というだけあって、レコーディングでは当然、ステージでも完璧に使えますよね。
M:皆さんそういうご感想です。
Y:やっぱり。音の印象としては、キャビネットが小さくても全く物足りないことはない。
それでキャビネットの個性がすごく出ていると思います。
2x12"よりこの1x12"の方が音の粒立ちハッキリするような感じがボクにはあります。
M:THE GOOD-BYEの時に野村さんの小型アンプに対抗するにはもってこいじゃないですか?
Y:ハハハ!見た目はね!

80 
SC20C

90vY:いいですね。すごくいい。
こんなに小さいのにMarshall独特のガッガッという押し出し感が出ている。
昔、レコーディングでこのガッガッが欲しくてMarshallを用意してもらったことがあったんです。
ボクの中のMarshallのイメージは、この背中を押してくるようなガッガッなんです。
それで、こんなに小さいのにそれがバッチリ出ているところはホントにスゴいと思います。
M:チャンク(chunk)の時ですよね?
Y:チャンク?
M:右手の平でミュートして低音弦を8分で弾くことを英語圏では「チャンク」っていうんですよ。Marshallの本を翻訳していてコレがわからなくて苦労しました。
Y:ヘェ~。
100M:スタックとコンボの選択のこだわりってナニかありますか?
Y:見た目はスタックですね…やっぱりカッコいいですからね。
M:Marshallのお家芸でございますから!
Y:正直…コンボがこんなにいい音を出すなんて知らなかったですよ!ちょっとビックリです。
M:ひとつの箱の中にアンプとスピーカーが一緒になっているのと、スタックのように別々になっているのとでは音がゼンゼン違うと言われています。
Y:なるほど…それと、さっきシゲさんがやってくれたように、コンボ・アンプを壁に近づけたり、反したりするだけでまた聞こえ方がゼンゼン変わって来るのにも驚きました。
深いですよね~。110 
SV20H+SV212

120vM:ココからはSTUDIO VINTAGEです。
Y:アノ~、ボク、本当にゼンゼン詳しくなくて…。
M:イエイエ、皆さんがお詳しいと私の商売がやりにくくなっちゃいますからね。
Y:ハハハ。
この形は馴染みがあるんです。昔、フォーリーブスのバックのギタリストの方がこういうのを使っていらっしゃったんです。
(※1959のこと…こういうヤツ ↓ ↓ ↓)

1959  
M:その時代は1959ぐらいしかなかったんですよ。
Y:郷ひろみさんの時もMarshallでしたね。
ウン…ジャニーズはもうみんなMarshallでしたよ!
M:我々世代はみんな、「Marshall」といえば「1959」ですから。
いかがです?
Y:CLASSICシリーズより、より弦の音が聞こえるような感じがします。
M:弦の音が1本1本ハッキリ聞こえるようなイメージですよね。
Y:そうそう!ちゃんと歪んでいるのにそう聞こえるんですよ。塊になっていなくてすごくキレイな音。
M:そして、音が大きくてもうるさくない…ま、ウルサイ方もいらっしゃいますが。
Y:そう、気持ちいい!
さっき教えて頂いた、インプットの場所によって音が変わる設計もスゴイですよね。
M:それは「音質」というよりも、ギターの出力を考慮してのことだったんですけどね。
Y:この時代にスゴいアイデアだと思います。
あと、見た目がメチャクチャかっこいいですよね。
200 M:最近気が付いたんですが、この黒と金と白…このデザインって、ジム・マーシャルはロンドンのパブの看板からヒントを得たんじゃないかと思うんですよ。
ロンドンには黒字に金の文字を入れた看板を掲げているパブがたくさんあるんです。
Y:あ~、なるほど!
あ、シゲさん、イギリス人って本当に傘をささないんですか?
M:滅多なことではさしません。雨が降ると結構風が出ることも多く、「ささない」というより「させない」ことも少なくないんです。みんなビチョビチョになっていますけどヘッチャラです。
あのパーカーってあるでしょ?
Y:あの洋服の?
M;アレ、イギリスでは「フーディ」っていうんです。フードが付いているから「フーディ」。
イギリスではフードは飾りではなくて、傘の代わりなんです。
雨が降って来ると傘をささずに、みんな一斉にアレをかぶり出します。130v 
SV20H+SV112

150vM:こちらでも1x12"のキャビネットをお試しいただきました。
Y:も~、ね。いいですね!ホントに…いい!
「キタ!」って感じがします。
M:このコンビネーションは確かにすごく人気があるんです。
Y:音の立ち上がりがスゴいですよね。反応が早い。
M:弾き手にとってとても重要なポイントですよね。
Y:あと、ギターのボリュームを絞っていってクリーンに近くなった時の音がまたメチャクチャいいじゃないですか!
ギターのボリュームを調整するだけで音の表情がガラっと変わります。
ボリュームを下げても音がちっともペタペタしなくてすごくキレイなんです。
M:いいアンプの証拠です。そして真空管アンプならでは特性です。
Y:それと、ピッキングの強弱を驚くほど正確に表現してくれるます。
すごく上品に作られていると感じました。
M:値段の安いアンプではこうはいかない。やっぱり「ただ銭は取らない」ということです。160v 
SV20C

170vM:VINTAGEのコンボです。
Y:コレもいいナァ~。
M:コンボらしいコンボ。コンボ派にはタマらないモデルだと思います。
Y:コンボらしいコンボ?
M:はい、スタックに比べてやっぱりガタイが小さい分鳴りがコンパクトなんですね。音の大小ではなくて。
ですからこの後、またスタックに戻ると鳴り方がゼンゼン違うことがすごくよくおわかりになると思います。

180vY:コレもやっぱり弦の1本1本が聞こえるようだし、カタマリになった時のパンチ力はすさまじいですよね。
M:場所は取らないし、軽いし、見た目はいいし。
Y:ビックリです。こんなに小さいモノがあんなに大きな音を出しているようには全く思えません。
大したモノです。
M:ありがとうございます!
Y:イエイエ、こちらこそ念願がかないました!

190v実は…サササとそれぞれ音を出してイッチョ上がり!みたいになるのかな?なんて思っていたりしたんだけどトンデモナイ!
1台1台とにかく丁寧に、そしてジックリと時間をかけてお試し頂いて、結局時間イッパイになってしまった。
ヤッチンも好きね~。
…と言うぐらい魅力的なMarshallなのです。210その後はMarshallの事務所で音楽談義。
マイナーなロックから、ジャズ、クラシック、ミュージカルまで、私が好き勝手に選んだ音楽をガマンして聴いてもらいながら、色々なおしゃべりをさせて頂いた。
ショウビジネス界でのキャリアが半世紀ににもなろうかという方のお話だからね、いつも事務所へ来るミュージシャンとはまたゼンゼン違う話題ばかりでも~最高にオモシロかった!
お疲れさまでした。0r4a1486さて、今日は1月7日。
ヤッチンの誕生日なのだ。
 
お誕生日おめでとうございます!
 
…ということで、毎年恒例のバースデイ・ライブが今週末に開催される!
ウチのライブ仕事始め。
緊急事態宣言がまた出されるけど、開演時間も早いし、規定をバッチリ遵守しての開催なので安全で楽しいコンサートになることでしょう!
 
曾我泰久の詳しい情報はコチラ⇒soga21.com

Mh
 

200_2
(一部敬称略 2020年11月 都内某スタジオにて撮影)

2020年11月 4日 (水)

史上最大のMarshallの壁 & ジム・マーシャル・インタビュー

 
イヤ~、あるもんだね~。
初めて見た時は「こんなもんが残っていたのか!」と相当ビックリした。
何の話と言うと…コレ。80ジム・マーシャルの伝記本『Father of Loud』の表紙にもなっている巨大な1960Bの壁。60私の事務所のシンボルにもなっている。

70v_2この1960Bの壁は、1992年、Marshallの創業30周年を記念して「ハマースミス・オデオン」の舞台に作られた。
今は「イヴェンティム・アポロ」というカッコ悪い名前になっているハマースミス・オデオンね。
まだCGなんてない時代の撮影だからして、ダミーとはいえ、175個の1960Bを本当に積み上げて撮影した。
ビデオではその設営から解体、撤収までが記録されている。

75まずは一度そのビデオをご覧あれ。
ビデオにはその壁とは全く関係のないジム・マーシャルのインタビューの音声が重ねられてる。
無関係な動画と字幕をいっぺんに見ることはかなり難しいと思われるため、まずは壁が作られていく様をココでご覧頂きたい。
ジムが実にうれしそうにしている姿をお見逃しなく!
本音を言うと、もっともっと長尺で見てみたかった。
ね~、ホントに積んじゃった。
さて、今度はビデオ映像に重ねられているジムのインタビュー。
上にも書いた通り、インタビューの内容はハマースミス・オデオンの映像とは全く無関係だ。25インタビューは2004年、『BBC THREE COUNTIES RADIO』というBBCのローカル・ネットワークでオンエアされた。10このローカル局は、Marshallの本拠地であるミルトン・キーンズは当然のこと、ニューポート・パグネル(Aston Martinの工場があるところ)、ルートン(空港があるところ)、レッチワース(Enigma暗号を解読したThe Bombeのパーツを作っていたところ。ロックフェスでおなじみのネブワースの近く)、ヒッチン(レッチワースのとなり)、ダンスタブル(Gary Cooperの生誕地)等々、イングランド中部をカバーしている。
実は、上に挙げた地名は全部自分が行ったことがあるところを選っているのですわ。
ちゃんと言うと、Bedfordshire(ベドフォードシャー)、Hertfordshire(ハートフォードシャー)、そしてMarshallの本社があるBuckinghamshire(バッキンガムシャー)の3郡にネットワークするラジオ局だから「Three Counties」なワケ。
イギリスには「州(state)」とか「県(prefecture)」とか「郡(county)」という行政区画がない。
代わりにあるのが「シャー(-shire)」という行政区画。20
イギリスの「三大大聖堂」の一角、「ヨーク大聖堂(York Minster)」があるヨークね。
「大聖堂」のクセにここだけは「Minster」っていうんだよな。
生前のジムも言っていたけど、この町は問答無用で美しい(ヨーク訪問記はコチラ⇒Shige Blog)。
ココがあるのは「ヨーク」の「シャー」だから「ヨークシャー」。

Simg_6145 「ヨークシャー」というブタの種類があるでしょ?
あれは「Yorkshire(ヨークシャー)」が原産だから「ヨークシャー」という。
浅草でよくブタちゃんを散歩させている人がいたけど最近見かけないな…食べちゃったのかな?Pig_2 犬の「ヨークシャー・テリア」も出身は当然ヨークシャーだ。

Dogスタフォードシャー・ブルテリア」は「Staffordshire」の出身。
コレ、ずいぶんコワい顔をした犬なのね。SbHertfordshireというのは『My Fair Lady』のRoyal Ascot(ロイヤル・アスコット)のシーンでイライザが「Hertford, Hereford and Hampshire hurricanes hardly ever happen」とやる、あのハートフォードね。
ちなみにこの映画の衣装を担当してオスカーをゲットしたのはイギリスの有名なフォトグラファー、「Sir. Cecil Beaton, CBE(セシル・ビートン)」。
ロンドンでビートンの写真展を観に行ったことがあるんだけど、メッチャ素晴らしかった。
 
イカン、イカン、「シャー」ぐらいでこんなに脱線してたらシャーないな。
Hhhインタビュアーは同局の「Big George(ビッグ・ジョージ)」ことGeorge Webley(ジョージ・ウェブリー)。
インタビューの中では大変元気にふるまっているが、2011年に53歳で亡くなってしまったそうだ。30久しぶりに聞くジムの声。
よろこんでインタビューに字幕を入れて皆さんに楽しんで頂こうと勇んで英語の聞き取りに取り掛かった。
 
死んだわ~。
イヤ、マジで大変だったわ。
 
ジムの英語が聞き取りにくいのは先刻承知だったんだけど、このBig Georgeの英語がまたツラかった。
苦労の末、2人の会話を一言一句、すべて文字に書き起こした。
予備知識が豊富なので、話している内容は正確にわかるんだけど、どうしても聞き取れない、あるいはわからない箇所がいくつもあった。
私はこういうのは徹底的にやらないと気が済まない性質なので、またまたイギリスのマーケティング・チームのフィリッパ女史に助け舟を出してもらった。
下の写真のように聞き取れない箇所はアンダーラインにして、そこを埋めてもらい、かつ誤謬を正してもらったのだ。
フィリッパは私の原稿を見て、「スゴイ!よくここまでやったわね!大したものね!」とすごくホメてくれた。
恐らく彼女は私が「ホメられると伸びるタイプ」ということを知っているのだろう…イヤイヤ、人間は全員そうだよね?
「怒られて伸びる」ヤツなんてほとんどいないって!
でもフィリッパの賛辞はまんざらウソでもなく、2人のつぶやく(mumble)ようにしてブッ速くしゃべる英語には彼女にも聞き取るのが難しい箇所があったし、知らないことも含まれていてGoogleの助けを借りたそうだ。
しかし…イギリス英語ってはいいね。
そうして、聞き取ることができたのはいいんだけど、それを日本語字幕に当てはめるのにまたエラく苦労した。
英語の達人が字幕を見たら「オイオイ」という箇所もあるかも知れないけど、ま、ジムと一緒に仕事をした人間として彼の気持ちを意訳した…ということで許してくだされ。
コレで言い訳も完了。
50で、このインタビューには少々唐突に感じる箇所がいくつかある。
それもそのハズ、元は38分半にもわたる長尺な内容で、それを切りに切って6分弱に縮めたモノなのだ。
その元のインタビューは、2004年に行われ、後に下の写真のようなCDにして関係者に配布された。
いつこのCDを頂いたのかはチョット覚えていないんだけど、大事に保管してあったのを思い出し、全編聞いてみた。
おかげさまで2人の英語に慣れていたせいか、比較的にラクに聞き通すことができた。
コレをアソコまで編集した人…エラい!
 
元のインタビューには、ジムの幼少の頃の話やアンプ製作に至るまでの話、真空管の話、今は亡き私の友達やかつての運転手の名前まで出てきて聞いていてグッと来てしまった。
そして、話がMarshallアンプ誕生のクダリになると何度も名前が出て来るのが、Pete Townshend、Big Jim Sullivan…そしてRitchie Blackmoreの3人の名前。
Big GeorgeがDeep Purpleの名前を出すと、「ああ、リッチーは私のドラムの教え子の学校のバンドでギターを弾いてたよ」ぐらいの扱いでオモシロい。
 
コレは他の機会にも書いているけど、ナゼ、若者がわざわざロンドンの外れにあるジムの楽器店に足を伸ばしたか…。
このインタビューでジムは「みんなロンドンの楽器店がstupid(バカ)だからと言ってうちに来たんだ」と言っている。
「stupid」というのは同じ「バカ」でも「fool」や「idiot」と違い、相手を怒らすような「バカ」を指すらしい。
その心は「ロンドンの楽器屋はクラシックやジャズのお客さんを大切にしてロックンロールを認めようとしない」というワケ。
 
ところが、先日『名所めぐり』で「Denmark Street」をやったでしょ?
調べてみて、この時代のCharing CrossやDenmark Streetの楽器店がロックをバカにしていたような雰囲気は一切感じられなかった。
どういうことかと言うと、多分ですよ…コレはものすごい短期間に「ロック」という音楽が爆発的に普及したということを示しているのではなかろうか?
だから、ジムにはそうとう先見の明があったのと、やっぱりMarshallというブランドにとってジミ・ヘンドリックスの存在は計り知れないほど大きかったのではなかろうか。
ああ、イギリスはたまらなくオモシロい!
内容的にはどれもこれも知っている話だけど、こうしてあらためてジムの声と口調で話を聞くと大変感慨深い。
ますますMarshallが好きになる。
 
Denmark Streetの記事はコチラ⇒【Marshall Blog】変わりゆくロンドン

40はい、もう1回ビデオを見て頂きましょう。
今度はジムの声を聞きながら字幕を読んで頂きたいんだけど、インタビューをもっと楽しむために若干の解説を付け加えさせて頂いた。
興味のある人はどうぞ。
 
0:29 The Darknessのポスター
当時ジムはこのポスターのことをよく言っていた。
恐らく、当時の総理大臣であったトニー・ブレアが、お気に入りのバンドとして「The Darkness」を挙げていたため、ジムはこのバンドに親近感を持っていたのではあるまいか?
ジムはブレア首相のことを「トニー」と呼んでいたからね。
それとは別に、ジムがよく使っていたイタリアン・レストランのシェフの名前がトニーだった。
どこかの会食の席で「トニー、トニー」というのでてっきりそのシェフのことを言っているのかと思っていたら、イギリスの総理大臣のことだった…なんてことがあった。
ジムが言っているポスターのことはよく覚えている。
何せフランクフルトで何千枚もクルクル巻いて輪ゴムで止めたからね。
皆さんにお見せしようとインターネットで探したんだけど出てこなかった。
私もThe Darknessが好きで、サマーソニックで来日した時に写真を撮らせてもらった時はうれしかった。

Simg_0360

Simg_0064 ちなみにMarshall RecordsのRewsは去年、The Darknessのツアーの前座で一緒に全英を回ったが、最後までできたのかな?Rews 

0:53 ジミ・ヘンドリックスのこと
ジミが初めてMarshallを弾いたというソーホーの「Ronnie Scott's」。
コレは去年のようす。Simg_9757 コレはもうずいぶん前の写真だけど、店の中はこんな感じ。
ジミは人生の最後に演奏した場所もココだった。
詳しいことはそのウチにやる『ジミ・ヘンドリックス特集』で!
Simg_0042 ここではジムはジミのことを「tall and lanky(長身で痩せこけた)」と形容しているが、ジミはものすごく礼儀正しかった…と生前のジムは私に教えてくれたことがあった。
下の写真はジミが訪れたハンウェルのジムの2号店があった場所。
この時の写真があればヨカッタのにね~。
でもそれはムリ。
まだジミがブレイクする前の話だからね。
インタビューで言っている通り、「しめしめ、スタックが売れたぞ!」ぐらいにしか思わなかったんだろうな。
コレ、ミッチじゃなくて、チャス・チャンドラーがお店に連れて行っていいれば話はまた違ったかも知れないね。
The Animalsはすでにその時世界的なバンドだったから。Simg_8094 
2:46 王立空軍バンド
字幕はこうしておいたが、ジムは「Squadronaires(スクワッドロネアーズ)」と言っている。
コレはフィリッパも初めて耳にした言葉で、グーグルで調べてくれた。
第二次世界大戦中から戦後まで続いた空軍のオーケストラで、正式な名称は「The Royal Air Force Dance Orchestra」。
なるほど、サキソフォンのパートにCliff Townshend(クリフ・タウンゼンド)、すなわちThe Whoのピートのお父さんの名前がクレジットされている。
 
2:48 英語
「キリコンスタークマッド」と聞こえる。
コレがまったくわからなかった。バンドの名前か?
闇に葬っちゃおうかと思ったんだけど、後でもう1回出てきたもんだから、フィリッパに教えてもらった。
ジムが言っているのは「The kid had gone stark raving mad」。
「stark raving mad」で「常道を逸する」という意味なのだそうだ。
80~90年代によく使われた表現だそうで、今ではほとんど耳にしないのだとか…だからわからなかったのか~(ウソ)。
 
2:59 リッケンバッカー
上で紹介した「Denmark Street」の記事を読んでいらっしゃる方には、ジムとリッケンバッカーの関係がおわかりだと思います…ね~。
 
3:25 ショウほど素敵な商売はない
ジムが「There was no」まで言ったところでGeorgeがそれを遮ってしまうが、ジムは「There was no business like show bisuness」と言おうとしたのではなかろうか?
元の時制は現在だけど、もちろんコレは「ショウほど素敵な商売はない」のこと。
ジムが亡くなる前年に家を訪ねた時、車イスに座って私にはわからない古~いモノクロのハリウッド映画をひとりでおとなしく観ていたのがとても印象的だった。

Tnb2

Agyg  
4:13 1日10時間働く
かつてはMarshallの本社に行くと、執務室で熱心に帳簿に目を通しているジムの姿をみかけたものだ。
NAMMやフランクフルト、また楽器フェアでも積極的にサイン会に臨んでいたジム。
サイン会にはジムなりの流儀があって、フランクフルトの時なんかは、なんとなく周囲の人が「触らぬ神にたたりなし」みたいな雰囲気だったな。
それだけ真剣に、また熱心に取り組んでいた。
日本では、人間は生まれてから死ぬまで3万回自分の名前を書くと言われているが、ジムは一体何回サインしたかね~。

5:12 ウォーター・ラッツ
「ウォーター・ラッツ」というのは、正式名称を「Grand Order of Water Rats」といって、イギリスのショウ・ビジネスの関係者で構成する慈善団体。
1889年にロンドンで設立された。
ある時、私はジムがいつも同じペンダントを首から下げていることに気づき、そのペンダントについて尋ねた。
するとジムは「ん?コレかい?コレはね、ウォーター・ラッツの会員が身に着けるものなんだよ」とすごくうれしそうに説明してくれた。
下の写真で襟に付けている金色のバッジがウォーター・ラッツの会員の証。
そうしたウォーター・ラッツのトレードマークが写り込んでいる写真が世に出ると、いくらかの寄付をしなければならない…とかなんとか、そんなような説明をしてくれた。
ナゼか私に「ボブ・ホープは会長だったんだよ」と教えてくれたんだけど、私がボブ・ホープを知っていると思ったのかな?
もちろん「Road to(=珍道中)シリーズ」は好きですけどね。
なるほど、コレの会員がスゴイんだわ。
チョット書くと故人では…チャップリン、ピーター・ローレ、ピーター・セラーズ、ダニー・ケイ、ローレル&ハーディ、ハワード・キール、バート・ウィードン…等々。
バートはジムのお友達のギタリストで、私は奥さんともどもフランクフルトで何度もご一緒させて頂いた。
今のミュージシャンのメンバーとしては、リック・ウェイクマン、ブライアン・メイ、ロイ・ウッドなどの名前が挙げられる。
ジムが亡くなった時、Marshallを使わないブライアン・メイから弔辞が来ていたのはウォーター・ラッツの関係だった。
「シゲ、月曜にリック・ウェイクマンが工場に来るけど会っていくか?」なんてこともあった。
1日前に日本に帰らなくてはならなかったので断念!Sjmwr 
5:25 アクスブリッジ
ココでGeorgeは「Battle of Britain Club in Uxbridge」と言っているんだけど、コレはわからなかった。
「Battle of Britain」は有名な第二次世界大戦中のドイツ空軍との戦い。
「Uxbridge」はMarshallアンプ発祥の地。
フィリッパによると、恐らく「Battle of Britain」に関係した人達が集まるクラブがUxbridgeにあるのではないか…とのこと。
確かにそういう向きはあるようなのだが、どうしてGeorgeがこのことをジムに言うのか、その関係がわからなかった。Simg_0463 ま、ココまでやるもんだから、もう時間がかかっちゃって、かかっちゃって…。
面倒な仕事だったけど、ジムの声を聞いていたら懐かしくなっちゃって、思い出を交えながら解説を加えさせて頂いた次第。
ということで、今度は字幕を読みながらジムのインタビューをお楽しみください。

Marshallってホントにいいもんですね…サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ。

65_2(協力:Philippa Neath  Thank you very much for your great support, Philippa!! I couldn't make it without your help!)

 

200

2020年2月 7日 (金)

Marshallで中国語を学ぼう!

  
全くどうでもいいことなんだけど、こういうことがオモシロくて仕方ない。
イヤね、上海のMusic CHINAでD_Driveがデモ演奏をしたブースを運営している中国のMarshallのディストリビューターである「algam」の総合カタログを見ていたんだけど、「なるほど~」と思わされる漢字の表記がたくさんありましてね。
読み方はゼンゼンわからないけど字面を追っていると大変に興味深い。
ということで、今日はalgamのカタログのMarshallのページを教材にして「中国語つづり方教室」を開講してみたいと思う。
 
♪ギタリストたちが言うことにゃ、言うことにゃ
Marshallアンプはいいアンプ
てなことを言われてみたい、言わせたい
…Marshallつづり方狂室
  
こんなの知ってる人いる?
まずいないだろうね。
「笑う門にはハッピーカムカム」…なんてね。
私もリアルタイムでは柳亭痴楽を見たことがないもんな。
 
さて、分厚い総合カタログのMarshallのページ。
CODEがまずフィーチュアされている。

10その扉のキャッチコピー「淋漓尽致演奏」。
ウ~ム、「淋漓尽致」か…。
なじみのない字は「漓」ってヤツだけだな。
調べてみると「リ」と呼んで「薄い」とか「したたる」とかいう意味らしい。
すると「淋しくしたたって」、「尽くして地に至る」…一体ナンノこっちゃ?
こういうのを考えるのがオモシロイいんだけどサッパリわからんな…「リィンリィーヂィンヂィ」ぐらいの発音。
コレ、「徹底して余すところなくさらけ出す」ことらしい。
Marshallを使えばそういう演奏ができる…ということよ!

20ココで謳っているCODEの特長は3つ。
 
1.  外部链接
イヤ~、苦労したゼ、この「链(リエン)」という字を探すのは!
コレ、「鎖」という意味。
つくりの方だけで「連」という意味なので、「外部機器」すなわち「手机(携帯電話)」とつないで操作することができます…ということ。
2. 软件操作
ハイ、「軟件」ってなんでしょう?
「软」は「軟」の簡体字。
そして、「軟」は「ソフト」でしょ?
そう!すなわち「軟件」で「ソフトウェア」ということ。
専用ソフトの「GATEWAY」で操作してチョーダイね~、とか言ってる。
3. 创建音色
「创建」は「創建」。「作成する」という意味。
「色々な音色を作ることができますよ」ということね。

30「吉他音箱」のコーナーにいってみよう!
「吉他」はギターだね。
中国語は我々の言葉みたいにひらがなやカタカナがないものだから、音もすべて漢字で表す。
「的士」なんてのもいい例だよね。
コレは「タクシー」のこと。でも発音は「ティーシー」ってするみたい。
「吉他」は「チーー」と「タ」にアクセントを置いて発音する。
残念でしたね、「六弦」じゃなくて。
「音箱」は「インシャン」と読んで、「アンプ」というより「スピーカー」を意味するようだ。
しかし、「音箱」なんていいね。
戦時中の外来語禁止を思い浮かべなくもないが、ロマンチックじゃない?
その下にあるのは「晶体管吉他音箱系列」。
MGシリーズのページなので「チンフィクァン」みたいに発音する「晶体管」が「トランジスタ」を意味することがわかる。
「系列」は「シリーズ」だよね。
日本人なら一発で想像がつく。「シィリィ」みたいな発音。

40JVMのページ。
JVMはフル・ヴァルブのモデル。
だからJVMシリーズは「电子管吉他音箱系列」だ。
「电」は「電」の簡体字ということを既に知っているから「真空管」のことを中国では「电子管」と呼ぶことがわかる。
発音は「ディエンツークァン」みたいな。
コレ、今から発音を覚えるのは無理だね。
なまじ字面で意味と我々流の音がわかっているもんだから、根こそぎ異なる本家の発音を叩き込むのは最早不可能だろう。
アメリカ英語の発音よりはるかにムズカシイ。
でもイギリス英語の発音は本当にムズカシイ。

50「吉他箱体」…もうコレは簡単。
スピーカー・キャビネットってすぐにわかる。
「1960系列」か…残念だナァ。
ここは「壱玖陸零系列」ぐらいしてもらいたい。
だいたいMarshallだって「麻亜謝琉」とかやってもらいたかったんだよナァ。

60アコースティック楽器用のモデルのASのページ。
「原声吉他音箱」と来たもんだ。
「原声」というのは「原音」という意味らしいのだが、それに「吉他」がくっつくと「アコースティック・ギター」になる。「イェンシェンジィタ」みたいな発音。

70ミニ・アンプのMS-2のページ。
「微型音箱」だって。
「微型」なんてのも実にいい表現ではなかろうか?

0r4a0002_2 その下にあるのは「效果器&踏板」。
もうコレは一発でわかるよね。
エフェクターとペダル。
コレが実にオモシロイ。
カタログに出ているエフェクターの種類は次の6種類。
下の写真のオレンジ色のところをひとつひとつ見ていくと…
0r4a0004

まずは、「圧縮(ー)」。
これは簡単だね。すぐにコンプレッサーということがわかる。
Marshallで言うと「ED-1」、すなわち「Edward the Compressor」。
今頃ナンですが…コレってどうして「エドワード」なのか知ってる?
Marshall Blogに書くのは多分初めてだと思うんだけど、コレってシャレなの。
11世紀のイングランドにエドワードという王がいて、この人、「聖人」だった。
いつかどこかに書いたことがあったけど、「聖人(Saint)」ってのはキリスト教の社会においてはベラボーに地位が高い聖職なのね。
そう簡単に「聖人」になることは難しく、死後何百年経ってからようやく聖人になれたなんて人もいるぐらい。
敬虔なキリスト教信者だったジョン・コルトレーンは自分の死を前にして「私は聖人になりたい」と言った…なんて話をナニかの本で読んだことがある…ような気がする。
で、このエドワード王、呼び名を「懺悔王」と言った。
「懺悔王」というのは聖人への称号のひとつらしんだけど、英語では「Confessor」という。
『私は告白する(I Confess)』なんてドンズバなタイトルのヒッチコックの映画にある通り「confess」というのは「告白する」という意味。
今風に言えば「コクる」ですな。
そして、この懺悔王エドワードを英語で言うと「Edward the Confessor」となるワケ。
そう、「Confessor」と「Compressor」を引っかけた、ただのダジャレ。
お後がよろし…くないようなのでサッサと中国語に戻りましょうか?

Ed1 

次は「 失真(シューチュン)」。
コレ、な~んだ?…「真」を「失う」って。
つまり物事がイビツになること。「イビツ」を漢字で書くと「歪」。
そう!つまり「歪み系」のエフェクターなの。
ココではGuv'norIIとJackhammerがそれに当たるらしい。

Gv2

Jh1  

オモシロかったのはコレ…「过載(ーツァイ)」。
「过載」というのは「過負荷」のことなんだって。
過負荷?
「変身」?それはフランツ・カフカだ。
何だろう「過負荷」って…少し考えた。
残りのエフェクターは空間系とBluesbreakerIIだけだ…。
そうか!過負荷、つまり「オーバードライブ」だ!
オモシロいな~。

Bb2

次の「延迟(ェンー)」もわかりやすい。
我々日本人なら「延迟」という字面を見て「尺」が「延びる」ことが容易に類推できる。
…ということは…ディレイしかない。
Marshallのデジタル・ディレイ、「Echohead」のことね。

Eh1

一方、「混响(ンシャン)」は全くわからなかった。
「响」という漢字は見たことがないので、ヒントは「混」しかない。
「ナニかを混ぜる」にしても一体なんだろう?
ピッチシフター?
イヤイヤ、Marshallはピッチシフターをやっていない。
降参して調べてみると、「混响」というのは「残響」、すなわちリバーブのことなの。
Marshallでは「Reflector」という。

Rf1

最後は「模块(モーイ)」。
もう皆目見当がつかん!(←ここシャレになってます)
「模块」というのは「modulation」という意味。
トレモロのVibratremとコーラス系のRegeneratorが「模块」だ。

Vt1

Rg1

( )の中は私のバカ耳でとらえた発音のカタカナ表記。
ちゃんと中国語を学んでいらっしゃる皆さんから「ゼンゼンなっとらん!」と叱られそうだが、とにかく「私にはこう聞こえる」程度に受け止めておいて頂きたい。
上がったり下がったり…アクセントがメッチャクチャ複雑だし、日本語にない音がたくさんあるので、何とも聞き取りにくく、たとえ正確に聞き取れたとしても、それを仮名で書き表すことが非常に困難だ。
 
もうひとつ、「踏板」というのもいい表現だ。
読んで字のごとく、コレは「ペダル」という意味。
要するにココではフットスイッチのことを指している。

100Lifestyle商品もチャンと載っている。
「耳机」はヘッドホン、もしくはイヤホンのことを指す。
「入耳式」は読みの通りで、耳の中に入れて使う「インイヤー」タイプ。
チョットわからないのは、後に出て来るヘッドホンも「入耳式耳机」にカテゴライズされていること。
一方、このイヤホン・タイプのモデルには「耳道式耳机」という説明が付いている。
「耳道式」!
コレもいい表現だな~。どういうことかが一目瞭然で理解できる。
英語の「bellybutton」とか「armpit」とか「eyelid」みたいな感じだね。

110一方ヘッドホン。
「头戴式耳机」という言葉があるようだが、ココには「耳挂式耳机」という説明が付いている。
「挂」というのは「掛」ということね。要するに「耳掛け式」。
しかし、この「机」という字の活躍がスゴイね。
「手机」がいい例でしょう。
「手机」というのは携帯電話のこと。
しからば「机」とはどういう意味か…。
調べてみると「機械」ということなのだそうだ。
「手机(ショウジー)」…言い得て妙だな。

11_0r4a0043一方、Bluetoothスピーカーの方はいとも簡単。
「音箱」だもん。
発音は「シャン」。

120ドラムス関連はどうか。
NATALのページを見てみる。
「原声套鼓」と来たもんだ。
「原声」はASのところで出て来たね。「アコースティック」ということ。
ドラムのことは中国語で「鼓」だけど、コレに「覆いかぶさる」という意味の「套」がつくと「ドラムキット」という意味になるようだ。

130スネア・ドラムは「军鼓(チンクー…に聞こえる)」という。
この「军」というのは「軍隊」という意味。

140最後はEDEN。
ベースは中国語でどう言うか…。
「低音吉他」で来るかと思ったらさにあらず。
カタログのEDENのページを見るとまず「贝斯箱头」とある。
この「贝斯」。
「斯」ってのは「瓦斯(ガス)」の「ス」だ。
するとこの「ス」は、まさか「ベース」の「ス」かァ?
「贝」は「貝」の簡体字。だんだん慣れて来たゾ。
これで「べー」って読むのか?
どうもそうらしい。
「贝斯」は「ベース」。まさかの表音表記だった!
ま、「吉他」と同じか。
一方、「箱头」は「アンプヘッド」のこと。
「头」は「頭」という意味なんだって。150もうひとつ気になったのはコレ。
他のブランドのページにも盛んに出て来る「配件」。
コレは「付属品」という意味。「イチン」と読む感じ。
アクセサリーというところか。

160オモシロ半分で書き始めたこの記事…書き上げるのにかなり時間がかかっちゃった。
何しろ簡体字の元を突き止めるのが大変で!
もう二度とやらんぞ。
 
しかし、思い返して見るに私が大学に入ったのはカレコレ40年前のこと。
私の学んだ(ウソ、ほとんど学んでいない)学部では、第二外国語にドイツ語、フランス語、ロシア語のコースがあって、私の記憶が正しければ、中国語のコースが新設されてそれほど時間が経っていなかったように思う。
我々の時代はドイツ語の人気が最も高かった。
コレはドイツ語が同じゲルマン語系の英語と似ているから勉強がラクで単位が取りやすい…という理由からだった。
私もそれを聞いて迷わずドイツ語コースを選択した。
もっともコレはちゃんと勉強する人の話で、勉強する気がない上にそもそも英語すらロクにできなかった私のような人間には「英語に似てる」もヘッタクレもなかったんだけどね。
反対に中国語を選択する友人は少なかったように思う。
しかし、簡体字を覚えれば、今日の記事じゃないけれど結構意味を類推できる中国語は学習にとても有利だったように思う。
それでも当時は人気のある科目のようには見えなかった。
アレから40年。
それがどうだ!
今となっては良くも悪しくも中国は世界の主役国のひとつとなって、今や日本の経済は中国人の爆買い頼みとなってしまったではないか!
おまけに自分も上海まで行くようになって…。
こんなことならやっぱり中国語を専攻しておけばヨカッタと少しだけ臍を噛む思いをしているのである。
 

200

2019年8月 6日 (火)

Fury of Fear 西村守のSTUDIOシリーズ・デモンストレーション <STUDIO VINTAGE編>

  
前回に引き続いてFury of Fear 西村守によるSTUDIOシリーズのデモンストレーション。

0r4a0107今回は1965年に誕生し世界中で数えきれない名演、名盤を作りだしてきた100Wヘッド、1959をパワー・リダクトしたSTUDIO VINTAGEシリーズ。
ホラ、守くんの愛器が「早くSTUDIOで弾いてくれ~!」って言ってるよ…知らんけど。

0r4a0077 

<SV20H+SV212>
今回もSCの時と同じ手順で進めるよ。
まずは20WのヘッドSV20Cと…

420_22x12"スピーカー・キャビネットのSV212

530では、守くん、張り切ってどうぞ!

Marshall(以下:「M」)今度は1959ベースのSTUDIO VINTAGE。どうだった?まもちゃんは普段は1959だもんね。
通常の1959に比べてどうですか?
西村守(以下:「N」、文中は「まもちゃん」):はい。1959を弾くのってある意味「恐ろしい部分」があったりするんですけど、その時の緊張感が受け継がれていますね。
M:ハハハ!そんな物騒な!凶器じゃないんだから。
STUDIO CLASSICと比べるとどう?
N:やっぱりビンテージ感が強いし、音のレスポンスが速さが1959っぽいと思います。
それとハイの出方も1959っぽいし、EQがSCほど効かないのも1959っぽい!っていうか、EQなんかイジらなくてももう1959っぽいいい音がしてるんです!
M:やっぱり気に入ったか…。
N:ハイ!もうギターをつないで音を出した瞬間にその緊張感とビンテージ感が出るんですよ。
M:アレ?コレEQってほとんど全部ゼロじゃん?
N:ストラトでノーマルHIGH(INPUTの向かって左上)につなぐとハイがどうしてもキツすぎるので、1959の時もTREBLEとPRESENCEはゼロにしています。

0r4a0079 でも、コレ、全然違和感のない音ですよね。
M:まったく問題ない。
今はバッキングの音量に合わせて弾いてもらうためにアンプのボリュームを下げてブースターをつないで弾いてもらいました。
その前に、アンプ直で思いっきりボリュームを上げて試してもらったワケですたが、アレはいかがでした?
N:イヤ~、もう「コレがMarshall!」っていう音でしたよね。音の張りや圧力、適度な自然の歪み…そのままではシュレッド向きではありませんが、「極上のクランチ」とはあのことですよね。
アレが1959のいいところで、やっぱり音量を上げてこそ…ではないでしょうか?
音量を上げて得られる自然なゲインこそが最高のサウンドです。
繰り返しになりますが、レスポンスの速さが尋常ではない!

0r4a0057M:ルックスはどう?あんまり気にしない?
N:カッコいいですよ~!ボクは1959のルックスがMarshallの中で一番好きなんです。
M:キャビネットはスピーカーがさっきのSC212と同じなんですが、ヘッドが変わったことによってどんな変化があったと思う?
N:レスポンスが速くなったように感じました。言い換えるとヘッドの違いが忠実に出たという感じかな?
 
<スタンバイ・スイッチをLOWに変える>
SV20Hでもパワー・リダクションの様子を見てみよう!

470_2ではお願いします。
途中でスタンバイ・スイッチをLOWにするよ!

M:こっちのパワー・リダクションの様子はどう?
N:ボクはLOWの方が弾きやすいです。
M:あ、そう。
N:コレってパワーを切り替えてもゲインが下がらないんですよね。
M:収録音の波形の入力の幅をを見ていると3/5ぐらいになってるんよ。
「弾きやすい」ってどういう風に弾きやすくなるんですか?
N:音は小さくなってもゲインはそのままで…うまく言えないんですけど、ちょっとコンプがかった感じがして弾きやすい。
音の張りが抑えられるというか、トゲの部分がチョット引っ込むというか…とにかく弾きやすくなります。
でも、やっぱりあの直でつないで音量を上げたサウンドが一番ですね。
もしボクがシュレッドをやっていなかったら間違いなくあの音を使います。
M:コリャ、マズイことしちゃったかな?
 
<SV20H+SV112>
今度はキャビネットを換える。
ヘッドはそのままSV20Hで…

420_3スピーカー・キャビネットは1x12"のSV112というコンビネーション。

500_2Take it away, Mamoru!

N:ボクはコレが一番好きですね。
M:あ、そうなの?
N:はい。1959の良さがすごく出ていると思うんです。
キャビが1x12”になったせいかどうかはわからないんですが、音のレンジがチョットせまくなって、中域に張りがでてくる感じが「まさに!」って感じです。
で、ストラトキャスターとの相性がバッチリ。
M:アンプの出力とキャビネットの入力の関係があって、1959を何かのスピーカー1発入りのキャビネットで弾くことって普通ないもんね。

0r4a0064N:そうですよね。スピーカー1発キャビネットで1959系のモノを弾くのって初めてです。
M:そうだよね~。2発キャビはあるけどね。
N:それなのに1959っぽいサウンドが出ているのがすごく不思議な感じがします。
ボクはGreenbackを乗せた1936(2x12”キャビネット)も持っているんですけど、それに近い感じはします。
M:なるほど。
N:それとストラトキャスターとの相性ですよね。2x12”より暴れないし、ハイのヌケもいい意味で落ち着いているのでもうベスト・マッチだと思います。
M:スッカリお気に入りですな?
N:はい!もうこのまま家に置いておきたいです!
 

<SV20C>
それでは今回のトリ!
1x10"コンボのSV20C

340_2さっきのSCではコンボはシュレッダーには不向きという意見もあったけど、1959系の20Wコンボではどうかな?

N:ウワ~!コ~レはホントに1959を小さくしてコンボにした感じがしますね。
ボクの人生で一番いいコンボだと思います。
M:コレがホントの「まもちゃん号泣」?…ナンチャッテ。
N:イエほんと!張りがあって、サイズが小さくなったからか、音に粘りがあるんです。
もう「極上のコンボ」ですよ!
ミドルもあって、やっぱりストラトキャスターとの相性がすごくいいです。
音量も大きいですね!
M:SCの時の「スタックとコンボの差」と比べてコチラはどうですか?スタックとコンボの共通項が多いような…。
N:そうなんです!SCのコンボみたいに筐体全体がギンギンに鳴っている感じがしません。
なんか余裕を感じさせます。「スタック感」があるって言ったら変かな?
M:だったらスタックを使った方がいいんじゃないの?
N:(爆笑)でも、スタックに引けを取らないと思いますよ。

0r4a0086M:でも反対にスタックではこのサウンドは出せない。
N:粘り気ですよね。だから、本当にスタックとコンボのいいトコ取りしていると思います。
とにかくメチャクチャいいです!
M:アレ?チョット待って!それじゃ今日はコレが優勝?
N:ハイ、優勝です!さっきのSV20HSV112の組み合わせが絶対一番だと思っていたんですけど…コンボは粘りがあるから。
M:「粘り勝ち」かよ!
N:(爆笑)ボク、コンボは好きじゃなかったんですけど…今、すごく好きになりました。
M:持ち運びもラクだもんね…時代は変わるもんね。
でも、こうして形は変わってもロック・ギターのサウンドを作った1959や2203のサウンドが時代を超えて受け継がれているというのはとても良いことだし、Marshallにしかできないことだと思うんだよね。
N:Marshallならではですよね!
M:やっぱりコピーと違って、何事もオリジナルっていうのは計り知れないパワーを持っているもんだよね。
N:まったく。

0r4a0100_3 
<最後に(事務連絡)>

記事内で「1959系」とか「2203系」という表現を使っているけど、「系」とわざわざ付けているのは、STUDIO CLASSICやSTUDIO VINTAGEは1959でもなければ2203でもないから。
それでは、ナニが1959を1959たらしめているのかというと…
◎100ワット
◎マスター・ボリュームなし
◎4インプット
この3つの仕様が揃っていないモデルは見た目が似ていても「1959」と呼ぶことはできないし、反対にこれらの条件を満たしていれば赤かろうが、白かろうが、形が三角だろうが、丸だろうが「1959」を名乗る権利を持っている。
コレがMarshallが定めた「1959」というモデルの定義。

121959同様に2203の仕様は…
◎100ワット
◎マスター・ボリュームあり
◎2インプット
ということになる。
 
このあたりのことに興味がある人はコチラをどうぞ⇒フィル・ウェルズ・インタビュー~その3

122203守くん、どうもありがとうございました!
来る8月10日、Fury of Fearは『VILLAGE WEST! VOYAGE EAST!』というイベントに出演する。
コレは札幌か。
いいな~、涼しくて…と言いたいところだけど、最近の北海道の夏はヘタすりゃ東京より暑いもんね。
気をつけて行って来てね!
優也くんによろしく!
会ったらSTUDIOシリーズのことを話してあげて!彼も絶対好きなハズだから。
 
西村守の詳しい情報はコチラ⇒Fury of Fear official webite

12190810 <編集後記>
イヤ~、思い立ってやってみたのはいいけど、この2本の記事を作るのは並大抵のことじゃなかったですわ!
収録した音源のチェックはまもちゃんに納得のいくように任せたけど、他は全部ひとりでやっているので普段の記事の何倍もの時間がかかるのです。
でもオモシロかった。
評判が悪くなければまたやってみたいと思っています。
  

200 
(一部敬称略 2019年7月都内某スタジオにて撮影)

2019年8月 5日 (月)

Fury of Fear 西村守のSTUDIOシリーズ・デモンストレーション <STUDIO CLASSIC編>

 
ハイ、今日は時代遅れの新企画。
Marshall Blogも全面的に動画を導入してみました~!ジャコジョ~ン(←A)!
 
まぁ~、最近はなんでもかんでも動画じゃない?
何しろCDを作るよりMVを作る方が先決だっていうんだからね~。
「シゲさん、CDなんかアトアト!後でいいんスよ!まずは動画を作らないと!」…ジャラ~ン(←E7b9)
大分前、ウチに来る若いミュージシャンからそんな話を聞いた時は仰天したけど、今は平気。
今時の若い人たちはテレビも見ないし、雑誌や本も読まない、免許も要らない、選挙も行かない…YouTubeさえあればいいっていうんでしょ?
そりじゃいきなりCD作ったって誰も注目なんかしてくれないわな。
どうせビデオでも作ってYouTubeで宣伝しなきゃならないなら、最初からMVを作った方が手っ取り早いもんね。
でも、そんな状態で音楽を聴いてもらったところでどうすんの?…って感じもするけどね。
「音楽」と「動画」は違うモノだもん。コレもアニメの影響なんだろうね。音楽がオマケになっちゃってる。
でも先日、Marshall GALA2の紙芝居動画を作ったでしょ?
なるほど、ああいう動画の使い方はとっても便利だということはわかった。
 
でも今日はアレとは違う使い方。
何かMarshall Blogと動画を自然にからませるやり方はないもんかと考えていて、思いついた。
それは「動くカタログ」、ジャンジャーン(←G7b5⇒CM7)。
商品の魅力をアッピールする際に説明やインタビューだけより効果的なのはわかりきっているので、デモンストレーション動画を文章の間に入れてみた。
商品のデモ動画ってそう長い時間は見ていられないでしょう?
私なんかすぐに飽きちゃうもんね。絶対にみんなも飛ばし飛ばし見ているハズ。
そこでシンプルで短いデモンストレーション動画をいくつも作って、文章と合わせて読むと絵本を見ているような…そんな感覚になるような記事を目指してみた。
それだけのことなんだけど、「動画の間に文章を入れた」つもりではないことをわかってチョーダイ。
  
記念すべき本企画の最初の「犠牲者」…じゃない、記念すべき「第1回目のデモンストレーター」に任命させて頂いたのはFury of Fearの西村守。
守くんは日頃からイングヴェイ・スタイルのヘヴィメタルの復興と伝承に並々ならぬ熱意を注いでいる若きシュレッダーだ。
コピーではなく、あくまでFury of Fearのオリジナル曲で臨んでいるところが何ともうれしくも頼もしい。
そんな守くんがこのデモンストレーションのために短い曲を4つ書き下ろしてくれて、その中からSTUDIO各モデルのイメージに合った曲でデモ演奏をしてくれた。
まもちゃん、ありがとう!

0r4a0107さて、STUDIOシリーズ。
いつも書いているけどありがたいことに世界中で大ヒットしているようだ。
5月の終わりにMarshallの工場に行って来たけど、もうSTUDIOシリーズばっかりガンガン作っていた。
やっぱりみんなホンモノの真空管が作り出すギター・サウンドがいいのね?
そうにキマってる。
「似ている」とか「ソックリ」というのは「違う」と言明しているのと同じだからね。550vがSTUDIOファミリー。
1959、2203、Silver Jubilee2555をそれぞれ20W(5W)にパワー・リダクトしたSTUDIO VINTAGE、STUDIO CLASSIC、そしてSTUDIO JUBILEE。
守くんにはこの中から2203系のCLASSICと1959系のVINTAGEのヘッド、キャビネット、コンボをそれぞれデモンストレートしてもらった。
 
※STUDIOシリーズの概念を表現する時に、今まで「ダウンサイジング」という言葉を使っていたけどヤメた。Marshallがそんな言葉を使っていないから。Marshallは「Power reduction」としているので、Marshall Blogはコレからこの表現を使うことにします。(「reduction」は「削減」とか「縮小」とかいう意味ね)
へへへ、うるさいでしょう?細かいでしょう?でもMarshigeとしては、こういうことが大事だと思っているのですわ。

50_3今日はSTUDIO CLASSIC編。
 
<SC20H+SC212>
まずは20WヘッドのSC20Hと…

1802x12"スピーカー・キャビネットのSC212

321では守くん、お願いします!


Marshall(以下:「M」)どうだった?
西村守(以下:「N」、文中は「まもちゃん」):ハイ、感触的には…弾いた瞬間に「あ、コレはいいアンプだ!」と思いました。もうホントにいい!
M:まぁ、まもちゃんみたいなタイプだったらまずはそう来ると思ったよ!
N:(笑)「JCM800感」云々というより、とにかく弾きやすいアンプだと思います。
M:「2203のパワー・リダクト」という触れ込みになっていますが、ホンモノの2203に比べてどう思う?
N:シッカリと歪むんですけど、2203みたいなザラつき感がないと感じました。
ですから、コレはJCM800に似ているとか、似ていないとか、そんなことは全く関係なしに「このモデル」としてシッカリ使える「いいアンプ」です。

0r4a0021 M:EQはどんな感触?
N:EQの効きも2203に比べるとすごく敏感ですね。
そういう意味ではまるっきり『新しいモデル』として捉えても差し支えない。
M:なるほど。スピーカー・キャビネットはどうですか?まもちゃんはつも4x12”の1960を使ってるよね?
今弾いてもらったモデルは12インチのスピーカーがタテに2発入ってる。
N:ん~、1960と比べても何ら遜色ないと思います。ナンのストレスもなく弾けました。
M:スピーカーの種類も1960とは違うんだけど…。
N:ココでこうして弾いている分には何の違和感もなかったです。音圧も十分にあるし、「1960が大きすぎる」なんていう人にはピッタリなんじゃないでしょうか。
M:今の曲については?
N:ん~、特にないんですが、速いテンポの曲よりも、しっかりリズムがある曲にしたいと思ったんです。
 
<スタンバイ・スイッチをLOWにする>
STUDIOシリーズのスタンバイ・スイッチはパワー・リダクション・スイッチを兼ねていて、HIGHで20W、LOWにすると5Wの出力になる…だいたいよ。音の大きさがこのスイッチでカッキリ1/4になるなんてことは期待しちゃイヤ。
それを守くんが見せてくれるから。

240_2はい、守くん、途中でスタンバイ・スイッチをLOWに変えてくださいね。

…とまぁ。こういう感じ。
ご覧になった方は「そんなに小さくなりませんな…」と思うかもしれない。
そう、ビックリするほどは小さくなりはしないが、この差が宅録の時なんかに大変有効なのだそうだ。守くんの感想は次回の<STUDIO VINTAGE編>
 
<SC20H+SC112>
今度はヘッドはSC20Hのままで…

180_2スピーカー・キャビネットを1x12"のSC112と組み合わせる。

280_2守くん、お願いします!


M:今度はヘッドはそのままでキャビネットが1x12”になりました。
N:音圧的な違いはありますが、ヘッドのキャラクターが出るような感じがしましたね。
ヘッドのいい部分が目立つっていうのかな…音圧にゴマかされずにヘッドの特長がストレートに出ている感じ。
M:好みとしてはどう?
N:ボクはこの1x12”の方がいいですね。
M:オープンバック(SV112)とクローズドバック(SV212)の違いで気になるところはあった?
N:オープンとクローズの違いから来るものなのかどうかはわかりませんが、このSV112の方が音に空気がたくさん含まれているイメージがあるんです。
音の膨らみ方っていうのかな?
M:三宅さんの「ミルフィーユ」みたいなことを言うね~。

0r4a0005 N:ハハハ!ホントですか?
M:さては読んだな~?
N:え、読んでないですよ!
M:コラァァァ!Marshall Blogは毎日読みなさい!
N:あ、読んでます!
M:ウソつけ~!(2人とも爆笑)で、「空気」がなんだって?
N:あの、2x12”の方はバリ~ンって音が速いんです。
反対に1x12“は速くはないんですが空気を含んでいる感じがして、その分音が丸い。
M:どっちが好き?
N:ボクは1x12”が好きかな?
M:『速い』というのはレスポンスのこと?
N:そうです。2x12”の方がレスポンスは速いと思います。かといって1x12”が遅いとかいうことはゼンゼンないんですよ!十分に速いです。
M:まもちゃんは尊敬するギタリストの影響が強いせいか必ずストラトキャスターだよね。
N:ハイ。
M::そして、まもちゃんだけでなく、もう世界中の人がMarshallとストラトキャスターを組み合わせて弾いているじゃない?
もちろん人それぞれ好みがあるのはわかっているけど、今「Marshallとストラトキャスター」のコンビネーションということを考えた時、この2つのキャビネットのどちらが魅力的だと思う?
N:はい。もう大好きな組み合わせです。
ボクが思うには、ストラトキャスターは基本的にサウンドがトレブリーなので、空気を含んでいる丸いサウンドのキャビネットの方がいいと思いますのでSC112ですね。
ミッドがシッカリしているハムバッキングのギターなんかですと、レスポンスの速さもあってSC212の方が向いていると思います。
それと、「ストラトキャスター」ということで言うと、2203との相性はそんなにいいとはボクは思っていないんです。両方ともジャリジャリしますので。
そこへ行くとこのSC20Hはそのジャリジャリ感が薄いので、ストラトキャスターとの相性がものすごくいいと思います。
ですから、ボク、このSV20H…すごく好きです。
 
<SC20C>
最後に1x10"コンボのSC20Cを弾いてもらった。

70下に降ろして…と。
Mamoru, you're on!

M:今度はコンボです。
N:ん~、ボクはチョット難しかったです~。
M:フーム、『難しい』…それでどこをどう処理しましたか?
N:GAINが強い感じがしたんですね。
M:曲によるところも大きかったんじゃない?
N:そうですね。あとEQの効き方がヘッドと違うように感じました。
なので、ヘッドではMIDDLEを6~7にしていたのを4に下げました。
3だったTREBLEはゼロ。BASSはヘッドと同じで3です。
M:ずいぶん控えめなのね?
N:はい。でも、もうアンプ全体が鳴っている感じで…。割と音が暴れるので弾くのが難しかったです。
でも、音量的には調節しやすいので、そういう意味では使いやすいかも知れません。

0r4a0020M:ま、今日いきなり曲に合わせて弾いてもらったからね~。三宅さんなんかはコンボになるとBASSをイジるっておっしゃってた。
N:ボクはMIDDLEですね。MIDDLEの効き方がすごく違うのでビックリしました。
M:やっぱり同じアンプ、同じギターのモデルでもスタイルが違うと音の作り方がゼンゼン違うからおもしろいね。
N:今の曲も結構弾きまくり系でしたので、弾きやすくするために少しGAINを上げたんですね。そういう調整はすごくしやすいです。
M:まもちゃんみたいなシュレッダー・タイプのギタリストでコンボ・アンプを使っている人っている?
N:ボクは見たことがないナァ。
M:え、ゼロ?全くいないかな?
N:はい、全く見たことがないですよ!(2人とも大爆笑)
M:じゃ、シュレッダーのまもちゃんが今コンボを弾いてみて「だからコンボはな~」みたいに敬遠したくなる部分ってある?
N:ホントにこの箱全体がものすごく鳴りますでしょ?すると音が濁るんです。
M:濁る?
N:「濁る」という表現ではないかもしれませんが、スタックの方が音がクリアなんです。それとさっきみたいにスタックはレスポンスが速いのでシュレッドに向いているんです。
M:私もコンボ・アンプでシュレッドしている人は思い浮かばないけど…じゃ、シュレッダーの皆さんが「いつもスタックを使っているけど、コンボを使ってみるとすごくいいな…」なんてことはあり得ないワケね?
N:ん~、実際にステージでやってみたらまた違うのかな?
M:やってみる?
 
西村守の詳しい情報はコチラ⇒Fury of Fear official webite

0r4a0040<STUDIO VINTAGE編>につづく
 

200
(一部敬称略 2019年7月都内某スタジオにて撮影)

2019年7月18日 (木)

Marshall工場見学 2019 <後編>

 

27nb
 イヤ~、コレには驚いたよ。
話には聞いていたけど、事務所の中がスッカリ変わってしまった。
下の写真はレセプションからあのアン王女のスタックの前を右に曲がって階段を上り、事務所に入ってすぐのところ。
4年前まではこのガラスの部屋はなくて、経理のセクションが陣取っていた。
その昔はデリバリーの女性が忙しそうに電話の対応をしていた。そういえば電話があまりにも多いのと、両手を自由にして端末機を操作するためにヘッドセットを装着していたナァ。
今はこのガラスの部屋の中で、そのデリバリーとか、輸出だとか、購買だとか、営業関係の事務仕事をしている。

280あ~あ~、ココも。
建屋の中ほどにできた会議室。
この辺りにはかつてナニがあったかな~…もう忘れちゃった。
Marshall Liveの前日、ひと通りやることを済ませたD_Driveとココで昼食を摂った。
「昼食」と言っても、私のリクエストで近くのGREGGSへ買い出しに行っただけなのだが…。

290ドワ~!
パスティ屋さんのGREGGS、改装中でお休み~!とガッカリしたのは1日目の話。
この数日後、すぐに営業を再開してD_Driveのみんなと買い物をして会議室に戻って昼食にした。
GREGGSが近くにできたのはうれしかったな。
この後、Marshall BlogかShige Blogのどこかの回に出て来るけど、コレで「PRET A MANGER(プレタマンジェ)」が出来れば言うことなし。

300以前にも紹介したことがあったけど、GREGGSはイギリス全土に2,000に及ぶ店舗を展開するパスティのチェーン店。
1939年にニューキャッスルで開業しているというからかなりの老舗。
スキなんですよ。
安くておいしい。
パスティだけでなくて甘いモノもイケる。
そして、一番うれしいのは商品が「温かい」ということ。
「食べ物がマズイ」と日本人はよくイギリスのことを嗤うけど、そんなことはゼンゼンない。
値段を安くするために化学調味料を山ほど突っ込んで強引にウマ味を引き出す日本の食べ物よりはるかに美味しいし、安全だ。
ファストフード店までオーガニックを推進している。
「マズイ」というよりも「質素すぎる」って言うのかな?
質素はいいんだけど、私なんかにしてみると、「チョット温めてくれればグッとおいしくなるのに…」と思わせるモノは確かに多い。
温かくてもポーリッジのように、感覚的に受け付けにくい「味」というのもあるけど、ま、それはお国が違えば当然のこと。
それとスープ系のものがなさすぎるのが難点か。
あ、そうだ!
このGREGGSの袋に「break fast to go」って書いてあるけど、英会話の本なんかで、お店で食べるのは「Here」、持ち帰りは「To go」って書いてあるでしょう?
日本のファストフード店で、そこで食べて行くのを「Eat in」、持ち帰りを「Take out」と言うのは誤りとされているでしょ?
イギリスでは何て言うか…お店で食べて行く時「Eat in」と言います。でも残念ながら「Take out」とは言わない。
「Take away」と言うんだな。
「Here」とか「To go」というのは完全にアメリカ英語。
だから言わないようにしているんだけど、アメリカで生活したことなんかないクセに、つい「Here!」とか言ってしまうんですよ。
しかも店員が「Eat in or take away?」とワザワザイギリス式に尋ねているのに「To go」とか答えてしまう。
ゴメン、イギリス!次回までには完璧にしておきます。

310この日は「Stake Bake」という、ビーフシチューをパイ生地みたいなヤツに包んで焼いたヤツを食べた。
牛肉の風味が濃くてとてもおいしいです。
コレで£1.50だから220円ぐらい。
オーガニックのせいなのかな?イギリスのコーヒーってどこで飲んでも少し風味が薄い感じがするんだよね。
日本で言う「アメリカン」的な意味合いではなくて、何となく深みに欠けるっていうのかな?
スターバックスですらそうなんだよな。

320ところで、上で「パイ生地みたいなヤツ」と書いたけど、これは「パスティ(Pasty)」であってパイではないのね。
下がその原型。
イギリスの一番下の左端に位置するコーンウォール地方を発祥としていて、「コーニッシュ・パイ」とか「コーニッシュ・パスティ」と呼ばれているけど、パイではない。
自家製のパン屋に行くと「ペストリー」という菓子パンを見かけるでしょう?
ペストリーというのはあの生地自体のことで、丸いペストリーに具を乗せて半分に折ってオーブンで焼いたモノがパスティ。
元々は炭鉱夫の食べ物だったんだって。

330…と教えてくれたのは経理のボスのアンドリュー。
ハジッコには具が入っておらず、分厚い生地だけになってるでしょう?
坑道の中で手を洗うことができない炭鉱夫たちがこのハジッコの耳の部分を持って口に運んでいた。
そして、ハジッコの部分は具は入っていないし、汚れているしで、捨ててしまう。
そういうデザインなんだって。
アンドリューは私がイギリスの文化や習慣に強い興味を持っていることを知っていて、ある日「今日のお昼…」と言って見せてくれたのがコレ。
Ginstersというブランドの市販のコーニッシュ・パスティ。
340中身は牛肉、タマネギ、薄切りのジャガイモ、ルタバガと呼ばれるカブのような根野菜が入っている。
日本でも手に入るかと思ってインターネットで調べてみたけど、見つからないかった。
ところで、確認はしていないんだけど、多分この日のアンドリューのランチはこのパスティに飲み物だけだろう。
ダイエットしているワケでも節約しているワケでもない。
向こうの人の普段の食事ってそんなものなのだ。
ね、質素でしょ?
日本みたいに、たぬきそばにミニカツ丼、半チャンラーメン、パスタにサラダにデザート…なんてトンでもない。
朝はシリアル、昼はスーパーのサンドイッチにWalkersのポテチ、夜は冷凍食品をチンして食べて終わり…というが普通。
はじめから皿にセットされている冷凍食品であれば食器を洗う必要もない。
 
そういえば、ミルトン・キーンズからマンチェスターへ行く電車の中で、通路を挟んで座っていたキレイな身なりをしたOL風の女性は、電車が動き出すとバッグからタッパーウェアを取り出して、フタをパコっと開け、携帯電話を見ながらその日のランチを摂り始めた。
見るともなしにタッパーの中から取り出したモノを横目で確認すると、それはカチンカチンにしか見えない、昨日あるいはそれ以前に一度オーブンで温めただけであろう冷凍食品のピザだった。
それを2、3切れ口に運んで終わり。
日本のOLさんやサラリーマンはこんなことしないし、もっと美味しいモノをおいしく食べようとするのが普通でしょう?
もちろんロンドンのような街中にお勤めの人はレストランや少しは気のきいたファストフード店に入ってマシなモノを食べたりはするんだろうけど。
生野菜に接する機会が圧倒的に少なく、「コレで栄養のバランスがとれるのだろうか?」と心配したくなるほど普段の食事はシンプルだ。
でもね、現地の人は多分我々日本人より美味しいモノを食べていると信じ切っていると思うよ。

345廊下には色んなモノが飾ってある。

360

370

380そこら中の壁に薄型テレビがかかっていて、Marshallのプロモーション動画が始終流れている。
コレはなんの効果があるのだろう?
少なくとも従業員の誰かが見ているようには思えない。

400マーケティング・チームのエリア。

350スゲエ広くて若いスタッフがゾロリと揃っている。
このチームが一番大きく変わった。
時代についていこうとする会社はどこでも同じであろうが、インターネットの普及が仕事のやり方と陣容を大きく変えてしまったのだ。

410突き当りのミーティング・ルーム。
今回の私の執務室。
この部屋の向こうに台所と食堂、男子トイレがある。
写真の壁が強烈でしょ?

420この写真の壁も事務所のイメージを大きく変えることにひと役買っている。

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440カスタマー・サービスのエリア。
460ココは全く変わっていなかった。
相変わらず日本では滅多にお目にかかることのできないレアなモデルが修理の順番を待っていた。

450従業員用の駐車場も変わりなし。
この右にあるシアターは大きな変化があったけどヒミツ。

470工場の中の製造部門もさしたる変化はなかったけど、中に入れなくなっちゃった。

480以前はほぼ自由に見学できたんだけどね。
特に木工の工程は全く立ち入り禁止。
法律が変わってどうもそういうことに相成ったらしい。

490ココはシャシを作る工程。
このあたりも変わらない。

500工員用の休憩コーナー。
チョット前まではNATALの倉庫だった。

510その前はハンドワイアードの基板を作る工程が入っていて、30人近くの若者がハンダごてを手に一生懸命作業に勤しんでいたが、もはやその形跡は皆無だ。
そのチームの親分がキャシーという女性で「シゲ、シゲ」とココを訪れるたびに親しく接してくれたけど、彼女どうしてるかナァ。
私もいい加減古いもんだから、以前からいる工員さんとは大抵顔見知りなの。

520インスタント・コーヒーの自動販売機は以前からあったけどコレは初めて見た。
ずいぶんグレードアップしたナァ。

530仕上げの工程もそのまま。

540STUDIOシリーズが世界的にヒットしているので、流れて来る商品はSVとかSCばっかり!

550vR&Dのセクションもガラリと変わってしまった。

560以前は小さなオフィスがゴテゴテ並んでいたんだけど、それをドカッとワンフロアにしていい感じ。

570仲良しのジョナサンのオフィス。
今流行りのデジタル・アンプについて色々と話をしたけどオモシロかった。
内容は企業秘密。

580今回、工場を案内してくれたアーティスト担当のジョール(Joel)。
一番最初に書いたように、これまで数え切れないほど工場見学をしてきて勝手知ったるところだったけど、今回は彼に案内してもらわなかったらナニがナンだかわからなかったな。
最後にオフィスで見せてもらったジョールの宝物のひとつ。
ジョールは私が新しいロック・バンドを知らないことを知っていてジェフ・ベックで話題を作ってくれたに違いない。

590v2016年3月に発売されたジェフ・ベックのオフィシャル・ブック『BECK01』。

615ジェフのサインとシリアル・ナンバーが入ったバージョンは350冊限定。
早めのオーダーした人は巻末のスペシャル・サンクスに名前が入ったそうだ。
£595だって…今なら87,000円ぐらいか。
もちろんジョールは買ったワケではない。
ジェフ・サイドからのプレゼント。

610それはそれは見事な写真集だった。

620チッ、私だって日本に来ると毎回Marshallで面倒みてるんだけど送ってこなかったナァ。
ま、そんなに欲しいワケではないけど。

630もうチョット…。
下の写真の手前のオジちゃんはデザイン・ストア担当の仲良しのスティーブ。
スティーブは私とほぼ同じ年齢なので、やっぱりブリティッシュ・ハードロックの薫陶を強く受けている。
でもパンク・ロックなんかも好きなようで、ロックに対する柔軟性は私より格段上だ。
で、2人で古いロックや昔のロンドンのロック・シーンの話をしていたら、何となくローリング・ストーンズの話になった。
お気づきのマーブロ読者もいらっしゃると思うが、こんなイギリス好きの私なのに、誌面でまったくローリング・ストーンズを取り上げないでしょう?
私は子供の頃からローリング・ストーンズがすごく苦手なんです。
さすがに長いこと生きているので曲は沢山知っているけど、どうしても受け付けない。
今まで万単位でレコードやCDを買ってきたが、家にあるストーンズのアイテムはベストと『Exile on the Main Street』と『Beggers Banquet』と『Love You Live』だけかな?
そんなことをスティーヴに伝えた。
ストーンズとえば、イギリスの国民的バンドだ。
もちろんお詫びの言葉も添えた。
するとスティーブは大慌てで、「イヤイヤイヤイヤイヤ…シゲ、そんな…オレに謝られても…。実はオレもダメなんだよ、ローリング・ストーンズは!」と私に向かって言ったのだ!
いるんですよ~、イギリス人でもそういう人が…。
あのスティーブの慌てぶりがすごくオモシロかった!
 
ある日のお昼休みの風景。 
スティーブがWalkersのポテチのチーズ&オニオン味を食べているところ。
ね、Walkersのポテチはイギリスの国民食だから。
もちろん「アミノ酸(調味料等)」は入っていない。日本と違って法律で国は使用を禁止しているから。
Walkersに食べ慣れておいて日本のポテチを食べてごらん。
スゴイよ、おいしくて。
土台、あんなにおいしいワケがないんですよ。
もちろん舌には妙な味が残るけどね。(←コレはしばらくの間、「アミノ酸(調味料等)」を断っていないとわからない)
Walkersのポテチ(クリスプス)は〇〇ビーとか△△屋のモノに比べてシンプルな味なんだけど、ジャガイモの風味が格段に異なる。
いかにも「ジャガイモで作ったお菓子」というおいしさ。元のアメリカのLay'sより絶対おいしい。
もちろん食後は舌に変な味が残ることはない。
660スティーブが貸してくれたティー・カップ…というかボウルというか…とにかくデカい。
こうして紅茶を飲むでしょう?
おいしいんだわ。
日本で飲む紅茶より明らかに風味がいい。

670ハイ、飲んだ後はコレ。
凄まじいまでの茶渋!
コレが全部身体の中に入る。
日本で飲む紅茶ってこうはならないでしょ?
イギリスで買って来た紅茶を実際に日本で飲むとコレほど茶渋が出ることはない。
コレは水の違いらしい。
ご存知の通り、イギリスの水はカルシウムやマグネシウムの含有量が多い「硬水」と呼ばれているモノだから日本とは水が質が違う。
この茶渋を英語で何と言うか事務所の女性に尋ねてみた。
「tea dirt」とでも言うのかと思っていたら、特にそういう意味の英単語はないらしく、強いて言うならば「tea stainかな?」だって。
あ~、「stain」ね~!
こういう感覚は現地に住んで日常的に英語に接する環境にいないとなかなか身につかないね。
ちなみに紅茶は「Balck tea」と言う。

680The Kinksの1971年のアルバム『Muswell Hillbillies』に「Have a Cuppa Tea(ハヴァカパティ―)」という曲が収録されている。
コレは「Have a cup of tea」のことだけど、イギリス人の決まり文句みたいなモノで、「ハヴァカパティ⤴」と語尾を上げれば「紅茶飲みますか?」という意味になる。
実際、上の紅茶も「シゲ、ハヴァカパティ⤴」と私に訊いて、ジェイという若いスタッフが入れてくれた。
コレがネイティブ同士だと「カッパ⤴」だけで済ませるのだそうだ。 

Mh今回も色々と学ばせて頂きました!
ありがとう、工場!

710ホテルへの帰り道で見つけた看板。
イプスイッチで8月に開催されるエド・シーランのコンサートの告知。
前座のひとつがThe Darknessだって…そっちが観たい!
だってエド・シーランの曲はひとつも知らんもん!ハイ、コレが言いたかっただけです。
イプスイッチはCelestionの本社がある所ね。
工場見学終了。

720

さて、11月9日の『Marshall GALA 2』。
まだお席がございます。
近いうちにソールドアウトとなることが予想されますチケットはお早めにお求めください。

Marshall GALA 2の詳しい情報はコチラ⇒Marshall GALA 2の詳細を発表します! <マーガラ情報 vol.1>
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(2019年5月28日~6日17日 Marshallにて撮影)

2019年7月17日 (水)

Marshall工場見学 2019 <前編>

  

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まだまだ続くイギリス・ネタ。
ナンのナンの!D_Drive関連のレポートが終わったところで、コレからが本番よ。
何せ好奇心丸出しで3週間もカメラを担いで方々ほっつき歩いたワケだから!
これからShige Blogと合わせてThe Kinksだの、10ccだの、産業革命だの、スタンリー・キューブリックだの、ウィンストン・チャーチルだの、またジミヘンだの、トックリやっていきますのでお好きな方はお楽しみに!
お好きでない方には…ゴメンね。
 
まずはおヒザ元、我がMarshall本社の最新工場見学から…。
しかし、これまでに一体何回工場見学したかナァ~。
9回目までは数えていたんだけど、それももう大分昔のことで、もうサッパリわからない。
はじめてココに来てから17年が経つんだけど、この光景はガンとして変わらん。
ま、この写真はチョット珍しいけどね。
ナニが珍しいかと言うと、車が全く停まっていないでしょ?
とある日曜日の午前中に撮影したモノ。
天気悪いな~、でもこの数分前は青空だったんだよ。

102012年に「50周年」のエンブレムが付いたりしたものの、この正面の光景も変わらない。

20すぐ上の写真と下の写真ではかなりの時間差がある。
下はMarshall Liveの告知ポスターが貼ってあるでしょ?
もはや相当なつかしい!

25vMarhsall本社の出で立ちは変わらずとも、周囲の状況はずいぶん変わった。
あんなに何にもなかったのに、いつの間にか工場の向かいの奥にはIKEAができ、それももうスッカリおなじみの光景になってしまった。

12ikmk そして今回4年ぶりに行ってビックリ。
ハス向かいに「ALDI(アルディ)」が出来ていた!
ALDIと言っても日本の方々には馴染みが薄いかも知れない。
それと「Lidl(リドル)」。
ALDIもLidlもドイツ資本のディスカウント・スーパー。
以前、社長が騒いでいたのでよく覚えているが、この2つのスーパーマーケット・チェーンがイギリスに上陸して来たおかげで、TESCO、Sainsbury's、ASDAといった在来のイギリスのスーパーマーケット・チェーンがズタズタになってしまったという。
イギリスのスーパーマーケットにしてみればドイツから来たアリゲーター・ガーみたいなモノだ。
あるいはカミツキガメか?
…ということで、様子を見に行ってみた。
確かに値段は安いが、この店舗に限って言えば品数はそう多くなく、どちらかというとまとめ買いをさせて値段を下げる商法と見た。
結構な賑わいで、お客さんは皆、信じられない位大量のアイテムをショッピング・カートに入れていた。
私はやっぱりSainsbury's とかTESCOとかのイギリス在来種の方がいいナァ。

715コレもおなじみのエントランス。
D_Drive特別出演。

40このJVM、昔はJCM900のフル・スタックだったんだよ。
ん?ヘッドとAキャビが少しズレてるじゃん。

45vヘッドの横に飾ってある額縁にはアン王女が来社した時の写真が入っている。
その時のようすはコチラ⇒【英王室アルバム】Her Royal Highnessがお見えになりました!

46vこの棚の中身はMarshallのアクセサリー類を展示しているんだけど、いつの間にかBluetoothスピーカーやヘッドホン等のLifestyle商品ばかりになっちゃった。
そうだ!思い出した!
ものスゴイどうでもいいことをひとつ。
この棚の裏にトイレがあるんだけど、そこでひとつ英語の勉強をさせて頂いた…トイレだけにね。

50誰がやるんだか、最近またfacebookで「コレを何と呼びますか?~ミュージシャンなら知っておきたいモノの名前」みたいなクイズを見かけるようになった。
その中ですごく気になるのが下の写真のアイテム。
正解はチェックしていないんだけど、クイズは三択方式。
答えの候補の中に「シールド」というのがあって、他の2つの候補はお呼びもつかないモノだったのでそのまま「シールド」が正解なのだろう。
で、この名称に関する問題…もうマーブロで何回も取り扱っていて恐縮なんだけど、この後のトイレで学んだ英語を紹介するためにもう一回やらせて頂く。
 
約45年前、私がギターを始めた中学生の頃、このギターとアンプをつなぐ線のことを「コード」って呼んでいたと思う。場合によっては「線」かな?
ある時楽器屋のお兄さんがそれを「シールド」と呼んでいることに気づいた。
「シールド?コードじゃないのか?シールドねぇ…なんかプロっぽくてカッコいいナァ」と思った。
「コード」を「シールド」って呼ぶだけでギターがウマくなる気すらした。
だってあの当時、楽器屋の店員さんは「神」だったからね。
まさに「シールド」という言葉は神のお告げだった。
楽器や英語の知識がつくにしたがって、「シールドってのも変な言葉だな?」と思うこともあったが、それから何十年もの間、そのギターとアンプをつなぐ線のことを「シールド」と呼んでいた。
そして、初めてMarshallの工場に行った時、「シールド」というのは極東の島国の方言であることを確信した。
確かに内部の導線が金属や組みひもで被覆(シールド)してあるのでコレ自体を「シールド・ケーブル」と呼ぶのは決して間違いではないんだけど、「ギター用のコード」としてこれを「シールド」とだけ呼ぶのは日本だけなのではないか?
だから海外の現場で「シールド貸してください」とクラブの人に頼むと「Haaaa? What do you mean by 'shield'?(シールドってどういう意味?)」と言われるのではないだろうか?
「Shield cable」と言えば、相手が気のきいた店員さんなら対応してくれるかも知れない。
やったことがないのでわからないけど…今度Marshallに行ったらやってみよう。
では海外では日本で言うところの「シールド」を何と呼ぶか…。
イギリスでは「Guitars leads(ギターズ・リーズ)」と言う。
「ギターズ・リーズ」…この言葉も最初は口にするのが恥ずかしかった。
同様に電源用のコードのことは「Mains leads(メインズ・リーズ)」という。
こっちはナゼかそう恥ずかしくなかったので、「リーズ」の世界にはコチラから入ることにしたし、実際に仕事でこの言葉をよく使った。
一方、実はいまだに「Guitar leads」って言うのが恥ずかしくて、私は「Guitar cable」って言うようにしている。
コレは海外どこでも全く問題なく通じます。
そんなこんなで、今では「シールド」という言葉は「ツーマン、スリーマン」ぐらい恥ずかしい言葉になっちゃった。
だから若い女の子のギタリストが「私のシールド」なんてチョット専門家ぶって口にしているのを耳にすると不憫でネェ。
ね、私のお友達のギタリストさん…私はゼッタイに「シールド」って言葉を使わないでしょ?
地下鉄工事のシールド・マシンを指す時はは別よ。
ご参考までにイギリスの人たちは「ギター・ピック」のことを「Plectrum(プレクトラム)」と言います。
コレはイギリスの方言なので「Pick」でもOK。

Glココで疑問が湧いてくるのが、じゃ一体「コード」ってなんだ?ということ。
その答えは、このMarshallの工場のレセプションのトイレが示してくれた。
ココのトイレってナゼか電気のスイッチが壁に埋め込まれておらず、よく日本家屋で見かける電灯についているヒモを引っ張って電気をつけたり消したりするようになっている。
そして、正確な表現ではないが、そのトイレの壁に貼ってある紙に「Pull down the code to light」ぐらいのことが書いていある…写真を撮っておけばヨカッタ。
「おお!こんなところにCodeが!」
ああいう「カッチン」ってやるヒモのことを「Code(コード)」って言うんですよ。
タメになるな~。
 
現地で生活することなく、こうやってひとつひとつ英語を学んでいるワケだから、コリャ一生かかってもマスターできんわな。
だから留学ってのは効率がいいワケだ。
私もクラウドファンディングで留学させてもらおうかな?

Codeハイ、次。
CODEやEDEN…

60NATALの展示も相変わらず。
アイテムはさすがに替わっているけどね。

70ロンドン名物の電話ボックスも据え付けられた。

75Marshall仕様の黒。

80vJVMの洋服ハンガー。

90vそして目下の自慢はコレ!

100Marshall仕様のジュークボックス。
昔は人が集まるところではどこでもよく見かけたよね。

105ロッカー・スイッチにゴールド・トップ&ブラック・ボディのノブ。

110スピーカー部分にはECフレットが使われている。
よ~やるわ。
130ちょっとダブついてはいるけど、ちゃんとレヴァントのカバリングが貼ってある。

120vしかし、この中にドーナツ盤を入れて実際に回して音楽を再生するんだからスゴイ。
あまりにも前時代的だけど、最高にカッコいい。
今の若い人はジュークボックスなんて知ってるのかな?
音楽がタダでなかった佳き時代の産物だ。
音楽をかけるのに「2曲100円」とか、だなんて想像すらできないんじゃないかね?
イヤ、音楽ってのはそもそもそういうモノなんですよ。
音楽を作って生計を立てている人がいるんだから。タダじゃマズイ。

140入っていた曲のリストはほんの数曲。
「Rock around the Clock」やバディ・ホリーが数曲。
バディ・ホリーってのはそれこそ「Legend」としてイギリスでの地位が高いね。
日本とはゼンゼン認識が違う。
かの有名なハマースミス・オデオンが、バディ・ホリーの生涯最後(1959年、23歳の時に飛行機事故で死亡)のイギリス公演をそこで演ったことを自分で称えているぐらいだから。
詳しくはコチラ⇒【イギリス-ロック名所めぐり】vol.33~ハマースミスが好きだった <後編>

145vベトナム工場の写真。
私も写っているんだけど、この時帽子をかぶっていないので拡大は厳禁!ハゲハゲだから!

150こんなのやっていたのか…2017年10月19日。
「Theatre」と呼んでいる工場内のホールで開催した『Joseph and Amazing Technicolor Dreamcoat』というミュージカル。
「£5」って…800円ぐらいだよ。
というのは、1966年に設立された障害を持つ児童を援助する「Maclntyre Charity」という団体によるのチャリティ・コンサートだったから。160v演目はティム・ライスとアンドリュー・ロイド・ウェバーが学生時代に作ったミュージカルで、2人の作品が1968年に初めて公に上演された記念すべき作品。
下は今回サウス・ケンジントンの駅で見かけたポスター。
今でもこうして上演されている。

165v私もウェバーが好きなので、ロンドン・パラディアム・キャストのCDを持っているんだけど、ん~、ちょっとソリが合わないんだな。
何回聴いても入り込めん。
『ヨセフと不思議なテクニカラー・ドリームコート』として2016年に来日公演があったようだ。

170ココは社長室の応接間。

180v目に付くのはMarshallビールと…

190Marshall仕様のアコーディオン。
ビラっと蛇腹を広げるとジョンの顔が出て来そうだな。

200レセプション2階のミュージアム。

210去年、日本は『スパイナル・タップ』ブームだったからね…一部では。

210v先日、こんな動画に出くわした。

昨年の3月に亡くなったMarshallの創設時メンバーのひとり、ケン・ブランが所有していたJTM45。
息子さんのマシューにより、2014年に当ミュージアムに寄贈された。

220ウワ~!
コレは!
チョットここには書けん。
私にとっては、いい思い出とイヤな思い出がべったり背中合わせにくっついた幻系モデル。

240コレは最近仲間入りしたスコット・ゴーハムが愛用していた1959。
Thin Lizzyの黄金時代を作ったMarshallだ。

2501962BluesbreakerのSERIES I。

2601965年以前の製品。
コレは前からあったかな?
ミュージアムは4年前と大きな変化はなかった。

270<後編>につづく。
次回はあまりの様変わりに私もビックリした「事務所棟」へご案内します。
 
さて、11月9日の『Marshall GALA 2』。
まだお席がございます。
近いうちにソールドアウトとなることが予想されますチケットはお早めにお求めください。

Marshall GALA 2の詳しい情報はコチラ⇒Marshall GALA 2の詳細を発表します! <マーガラ情報 vol.1>
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(2019年5月28日~6日17日 Marshallにて撮影)