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Marshall Blog Archive Feed

2017年6月30日 (金)

【シゲさんといっしょ】 Marshallの爆音でガラスを割ることができるかな?

 

「罰だ…罰が当たったんだ…」
  
『赤ひげ』って観たことある?
黒澤明が山本周五郎の原作を映画化。
映画を観た周五郎が「ナンダよ、オレの原作よりおもしろいじゃないか…」と唸ってしまったという。
話の中に桑野みゆき扮する薄幸の若い女性「おなか」が、山崎努が演じるまじめでやさしい車大工の「佐八」に見初められ、幸せに暮らすというシーンがある。
私は、おなかが佐八に傘を貸して二人が出会う雪のシーンが大スキでしてね。
黒澤映画にはやたらと雨は降るが、雪は珍しい。モノクロ・フィルムながら私にはこのシーンがナゼかカラー・フィルムより色鮮やかに美しく映るのだ。
さて、その若い二人の幸せも突如として起こる大地震によって崩壊してしまう。
おなかは、「罰だ…罰が当たったんだ…。私が幸せになったがために地震が起きてしまったんだ。私は幸せになってはいけないんだ…」と佐八に出会ったことを後悔し、忽然と姿を消してしまう。
ま、台詞は正確ではないけれど、おとといの朝の私の心境はコレに近いモノがあったな。
イヤ、私はやさしい家族とステキな友達に囲まれて十分にシアワセでして…私が言っているのは「罰」の部分ね。

Ah2 ここのところあまりにも忙しくて、Marshall Blogの記事を書く時間が十分に取れなかった。
「オセオセ」ってヤツ。
それでも何とか休まず更新を続けようと、火曜日も夜中までかかって資料を集め、おとといの朝も5時に起きてコツコツと文章を書き始めた。
記事は『Marshall Blog Archive』の一編。要するに今日の記事。元となるのは7年も前に書いた記事なので、飛び切りヒドい内容だ。
それを一から構成し直して、すべての文章を書き直したのだ。
そしたら、アータ、コレがまた実にうまくできちゃったんよ!
「こりゃいいぞ!」とひとり悦に浸りながら公開しようとしたら、どうもコンピュータの画面のようすがおかしい。
「マズイ!」と思った瞬間、苦心して書いた名文が瞬時にして消え去ってしまった!
このブログ屋のソフト、時々こうなるんよ。
「バックアップしておかなかったアンタが悪い!」というそしりは免れないんだけど、ココのところすごく順調に動いていたので、つい作業途中の保存を怠ってしまったんだね。
「うまく書けた!」と思っていただけにショックがあまりにも大きかったし、盛大にハラが立った。
前回、同様のことが起こった時は辛抱たまらずマウスを床にたたきつけて粉々にしてやった。
今度もそれやっちゃうとまたマウスを買ってこなければならないので、思いとどまってグッと我慢。
ガマン、ガマン、ガマン、ガマン…。
ところが、どうしても堪えきれず机を両手で思い切り叩いてやった。
バ~ン!
「グワァァァァァァァァァァ~!」…しまった!右ヒジが重度の腱鞘炎だったことを忘れていた!
ただでさえ痛くてヒーヒー言っているのに、その机を叩いたすべての衝撃が患部に集中したのだ。
信じられないほどの激痛!
その後47分ぐらい右手全体が痺れてたわ。
そこで冒頭の『赤ひげ』のシーンに戻る。
「罰だ…罰が当たったんだ…月曜日の記事であんなイタズラを二度もするからTORNADO-GRENADEとFury of Fearと…何よりも読者のみなさんの罰が当たったんだ…」
    
もうそれからしばらくはヤル気が全く起こらず。
も~、ヤダ。
ゼッタイヤダ!
ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!
だってどんなに頑張って書いたところで元のよりいいのができるワケないもん。ヒジも痛いし~。
…ということで昨日、一昨日と更新を休ませて頂いた。
今はもう気が収まった。
まぁね、結局失ったデータってナンダカンダ言って大したことないんだよね、私の場合。
新しく書いた方が案外いいのができたりするもんよ。
コレが更新お休みの理由のほぼ半分。
残りの理由は単に時間がなかったのです。
も~ここのところ予定がパンパンで、想定外の仕事が発生してしまうと対応しきれないのだ。
え、「自業自得」だろって?まったくおっしゃる通り!
…ってんで、お休みを頂いて何とか書き直し&作り直しの時間を捻出したというワケ。
オッと!ココで一回保存、保存…っと。
話は戻るけど、『赤ひげ』についてはまた別の機会に触れたいと思っている。
それはウチの父が2年前にこの世を去る時、まさに『赤ひげ』のワンシーンを見たからで、黒澤明のリアリズムに仰天したのだ。
  
今日のアーカイヴ記事の初出は2010年6月4日のこと。
だからちょうど7年前だね。
恐らく古くからMarshall Blogをご覧頂いている方の記憶に残っている記事だと思う。
当時それほど反響が大きかったネタだ。
新しいMarshall Blogの読者も増えたので再掲することにした。
で、今回この元ネタを探すために昔の記事を見ていて気が付いたのだが、初代Marshall Blogは2008年の4月21日にスタートして、2011年末に終了。
途中私がMarshallから離れている間に約10ヶ月の空白期間があって、2012年の10月に復活して現在に至っている。
だから来年の4月で10周年を迎えるんよ。
ホントに10年なんてアッという間だね。
で、当該の昔の記事を読んでみる。
既に上に書いたが、文章がヘタで赤面しちゃったよ!
そもそも「ですます」調なんだもん。
こんなんで皆さんよく読んでくれたナァ。ホントに皆さんのあたたかい心に感謝しますわ。
  
さて、本題。
以前、私がMarshallのディストリビューターに勤めていた時の話。
ある時、机の上の電話が鳴った。
受話器を取ると、電話の主は初めて耳にする声で「テレビ番組の制作会社のモノ」と名乗った。
要件を聞くと、「スミマセ~ン!ギターの爆音でガラスを割ろうとしてるんスけど、どうスかね~?できますかね~!」というどちらかというと軽いノリ。
ナニ~?「ガラスを割ることができますか?」だと~?
オイオイ、こっちを誰だと思ってるんだ?Marshallさんだぞ!…と、今なら切り返すところだが、まずはMarshallに相談してきたところに感心。
何しろロンドンの二代目Marqueeが入っていたビルは、長年の爆音で建物自体が数ミリズレたというではないか。
その原因は間違いなくMarshallですよ。
爆音でガラスを割ることぐらい屁でもあるまい。
しかも実験でうまくガラスが割れれば「全国ネットのテレビ番組になる」というのだから張り切らざるを得ない。
この話を聞いた時、咄嗟に頭に浮かんだのは映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のオープニング・タイトル・シークエンス。
巨大なスピーカーが据え付けられたアンプにギターをつないで、OVERDRIVEをフルテンにセットし、先端が金属コーティングされたディア・ドロップ型のピックで弦をハジくと、スピーカーから発された爆音でマーティ・マクフライがスッ飛んでしまう…というヤツ。
まさにアレよ。
あのギター・アンプ「GA-5T」って型番なんだよね。
「GA」は「Guitar Amp」の頭文字なんだろうけど、「5T」って何だろうな?あの映画のことだから何か意味が込められているに違いない。
で、とにかく、アレを再現すればいいんでしょ?ってなもんで二つ返事で引き受けた。
となると、生来の悪乗り癖が出て、「もし実験がうまく行ったら本番の収録にはジミヘンのソックリさんにギターを弾いてもらってガラスを割りましょうよ!」なんて気の早いアイデアまで出してやった。
もちろん中野のシゲさんのことだ。
    
実はそれよりかなり前に、オペラ歌手が手にしたブランデーグラスを声で割るシーンをテレビで見たことがあった。
その番組の解説によると、グラスに加える衝撃は音量よりも音の周波数の方が大事であるということだった。
つまり、もっともガラスを振動させる音域の周波数帯がわかれば、音に変わりのあるでなし、ギターの音でもガラスを割ることができるだろうと素人ながらに思ったのだ。
しかも、こちとらMarshallよ。
音量に何の不足や不満があろうか!
  
…ということで、次はMarshall選び。
どのモデルが一番破壊力のある音を発するか…コレには結構悩まされた。
よく「爆音、爆音」というけど、人間の耳が感じるギターの音の大きさは歪んでいる音よりクリーンな音の方がはるかにデカい。
私の経験から言うと、今まで最もデカいと思われる音を出すギタリストはブルース・セットの時のGary Mooreだった。
高校一年の時に観た武道館のTed Nugentは、その当時最もラウドなギタリストと言われていたが、会場の差による音の聴こえ方や自分の経験値の高低にもよろうが、Garyの比ではなかったように思う。
そのGaryの音の大きさのカギは、歪みが浅く、クリーンに近いということだろう。
実際にJimi Hendrixを二度観たことのあるUli Jon Rothから聞いた話では、Jimiの音は猛烈に大きく、そしてクリーンだったそうだ。
こんなことを考えるとやはりココはGaryに倣って1959SLPか?

51959slpfront 「クリーン」を追求するのであれば、驚異的なヘッドルームを誇るJVM410Hか?
CLEAN/GREENでフルテンにして、高域を上げてやればかなりの破壊力を発揮するハズだ。
待てよ、それだとガラスが割れる前にこっちの耳が割れてしまうかもしれないな…なんてことも思ったっけ。

5jvm410h イヤイヤ、やはりココはKT88を搭載した2203KKで真空管アンプのパワーを見せつけてやれ!…と、当時の一番の暴れん坊を起用しようかと思ったが、ボリュームを上げると歪んでしまうので、案外この実験には向いていないかも…。

2203kk 待てよ…Static-Xの例にあることだし、「暴力的」という観点であれば、MGの100Wヘッドもおもしろいかもしれないな…でもコレはないか。
コレもかなり身体に悪そうだからな。

Mg100hdfx 
そして、もうひとつ。
1959RR。
1959系統で音もデカいし、宣伝にもなる…ということで、最終的に実験には1959RRとJVM410Hを持っていくことにした。

1959rr 肝心なのはスピーカー・キャビネット。
コレははじめから1960に決めていた。
後はAngledにするかBaseにするかの選択だ。
AキャビよりBキャビの方がより単一指向性が強く、ガラスに当てる音のまとまりがよいだろうという考えからBを選んだ。

21960b

コレで準備は万端整った。
実験は文京区役所のところの坂の上にある某有名大学の理工学部精密機械工学科の音響スタジオで、ご担当の工学博士のご指導のもとで行われた。
それでは実験開始!

5img_0104_2 まずは1959RRを1960Bにつないで爆音の元をセットする。
一方、その対面には供試体となるフレームに収められた板ガラスが設置される。
「一体、どれぐらい大きい音なんですか?」なんて制作スタッフの方たちがかなりビビってる。
冗談じゃないよ、こっちは毎晩コレだよ。
そういえば昨晩のギタリストも1959RRだった。
「殺人兵器じゃあるまいし、大したことないですよ!」と答えて置いたが、今なら、「戦艦大和の大砲を打つ時、乗組員は全員頑丈な遮蔽壁の陰に隠れたんですってよ。そうしないと砲丸を発射のする時の音のショックで内臓がつぶれてしまうんだそうですよ」ぐらい言って脅かしてやったんだか…。
結局、スタジオにひとり残った私は私物のレスポールを1959RRにつなぎ、ボリュームを目イッパイ上げ、最も振動を与えやすいと思われる6弦のローフレットからひとつずつ音を出していった。

5img_0087

板ガラスについているマイクのようなモノは振動を測定するセンサーだ。

5img_0088

防音室の外ではそのセンサーから送られてきた信号を元に、どの周波数の音が最もガラスを振動させるかが測定される。
前述のオペラ歌手のブランデーグラスと同じ原理を利用するのだ。
そして測定の結果、140Hzあたりが一番振動を与えやすいということがわかった。
これがどの程度の音程かというと、平均律の音階で言えば、どうもDbが最も近い。
ギターやベースをたしなむ皆さんであれば経験がおありだろうが、この音が生み出す振動ってスゴイもので、ほんのチョット周波数が異なるだけで信じられぐらいの大きな差が生じる。
あのベースのデッド・ポイントなんて本当に不思議だもんね。
この日残された私の仕事は6弦を全音半下げて、日がな一日Dbの音を弾くだけ。
明けても暮れても「Db」、「C#」、「Des」、「Cisis」、「変ロ」、「嬰ハ」、「レのフラット」、「ドのシャープ」…コレばっか。

5img_0092

確かにガラスは盛大に振動している。
そこで、手っ取り早く、ガラスを1960に近づけて音を出してみる。
ダ~メ…割れる雰囲気すらなし。
後ろには持参したJVM410Hが見えているが、結局一度も使わなかった。

5img_0095 とにかく!
確かにガラスは大きく振動している、
そこで、ガラスのどの部分が一番振動しているのかを調べてみることになった。
下の写真は1960を寝かせて、その上にアクリル板をかぶせ、そこに球状の小さな発泡スチロールをバラ撒いたところ。
こうしてギターの音を出してガラスを振動させると、どのあたりが一番振動しているかがわかる。
出す音程によって球の動きが派手に変わり、おもしろかったな。

5img_0098

そうこうしているウチに大分ポイントが絞られてきた。
ガラスを最も大きく振動させる音の周波数帯はもう判明しているので、後はその音のエネルギーをいかに分散させずにガラス板に当てるか…ということが課題になった。

5img_0099 そこで、予め用意してきたアクリル製の箱を1960に被せて音の散逸を防いでみることにした。
さすがテレビ!金がかかってます!
さらに運搬時の事故を考慮してアルミ製のフレームに入れていた試供体のガラス板を裸の状態にした。
フレームの四辺についていたクッションがいいようにガラスの振動を吸収してしまっていたからだ。
そして私は「Db」!

5img_0101_2部屋にブルーシートが敷き詰められた。
そう、ガラスが割れた時に破片が飛び散る恐れがあるからだ。
そして、カメラが回される。
…と、いうことは~!

5img_0103

割れんわ。
ダメよ、ダメダメ。
結局、ゼンゼン割れませんでした~!
もっともコレぐらいでそう簡単に割れているようじゃAC/DCあたりのコンサートでは死人が出ちゃうかもしれないもんね。
ご期待に沿えずスミマセン。
ナンダ、コレだけかって?
コレだけよ。
割れんのよ。

5img_0102

で!
チャンスが巡って来るかどうかはわからないけど、次回に備えてわかったことを記しておく。
いずれも大学の先生による分析だ。
まず、試験に供したガラス板が厚すぎる!
私もそう思ったんだよね~。
厚さ2mmのガラス板を使用したのだが、丈夫すぎるって。しかも、最初はそれをクッションの付いたフレームに入れていた。そんなもん割れっこないって。
もっと薄いスリガラスのようなものだったらイケたかも…とのこと。
先生ヨォ、ナンだってそれを先に言ってくれなかったんだよ~…『飛び出せ!青春』の片桐風に言いたくもなってしまうような気もしたよ。
ちなみに『飛び出せ!青春』の柴田の役を演じたのは、冒頭の『赤ひげ』に子役でありながら天才的な演技で準主役を務めた頭師佳孝。また、この人は『どですかでん』で主役を演じた。
しかし、この頃日本ではサッカーは日本ではまだポピュラーなスポーツではなかった。今のサッカー人気に太陽学園のサッカー部OBはさぞかし驚いていることだろうナァ。

Glass 次に、オペラ歌手の場合の円状のブランデーグラスは外から与えられた力が分散しにくく、歪率が高くなりやすい。
つまり、ガラスは剛性が低いので、ひとたび供試体が歪めばパキッといきやすいのだ。
その点、普通の板硝子は与えられたエネルギーが四方に発散しやすいので不利。

Bg_2 まだある。
今回使用したスタジオのようなデッドな空間は音が壁に吸音されてしまい、音エネルギーがパワーダウンしてしまう。
よって、四方をコンクリートに囲まれたような反響が豊かな環境が望ましい。
戦車の中などが最も実験場に適しているのではないか…って、戦車の中でMarshallを鳴らしたらガラスが割れる前にこっちのアタマが割れるわ!
そもそも1960を戦車のハッチから入れることはできませんから。

It 最後に…
音量的にはガラスを割ることができるレベルに十分に達している(ヤッタ!)。
しかし、スピーカー・キャビネットの特性として、音が四方に散逸してしまい、どうしてもパワー不足に陥ってしまう。
その点、オペラ歌手の場合のように人の声の場合は、口を丸めることによって音エネルギーを一点に集中させることができる。
したがって、巨大な漏斗のような器具で1960の4つのスピーカーから出てくる音を一箇所にまとめ、それをガラスに当てることができれば割れるのではないか…。

5tiltま、結論としては、普通の環境でギターの爆音を用いてガラスを割ることができないということがよくわかった。
そりゃそうだよね。
それと実験のやり方がマズかったね。
ま、手前ミソながら、チャンとしていたのはMarshallの音量だけということか?
だから言ったでしょ?「こっちを誰だと思ってんだ?Marshallさんだぞ!」って。
デジタル・アンプじゃここまでできなかったろうナァ。
実際の私の任務はDbを弾くことだけだったが、メッチャおもしろかったナ。
もうひとつ興味深かったのは、テレビ関係の方々の動向。
今の人たちは知らないだろうけど、もう本当に『シャボン玉ホリデー』の「キントト映画」のなべおさみと安田伸の状態。
「ヤスダ~!」てのあったでしょ。アレと同じ。
社会勉強になりましたわ。
ちなみにクレイジーキャッツでテナー・サックスを吹いていた安田さんは高校時代に東大か一橋大を目指していたが、音楽に夢中になり東京藝術大学に入学し、キチンとした音楽教育を受けた。
昔のお笑いはこうしたインテリが混ざっていたのでとても面白かった。
イギリス流に言えば、「モンティ・パイソン」、「フォルティ・タワーズ」、「Mr.ビーン」と言ったところか…。
今みたいに裸になって笑いを取ろうとするヤツなんていなかった。

   
…ってなことを書いたところで全部消えちゃったワケよ。
ハラを立てても仕方ないでしょ?
オッと!保存、保存…っと。

2017年2月 9日 (木)

HIGH VOLTAGEの思い出 <その4:最終回>

さて、HIGH VOLTAGEのレポートもコレが最後。
もう二度とないロック・フェスティバルとなる可能性が高いからね、このレポートは値千金だよ。
世界でもこんなことをやったのはMarshall Blogだけじゃないかしらん?
ああ、「ものずき」で結構。
ああ、「ワガママ」でスミマセンな。
  
さて、レポートの<その1>からご覧頂いている方の中には、ずいぶん天気がコロコロ変わるな…写真を適当に並べてるんじゃないの?と訝しむ諸兄もいらっしゃるかも知れない。
まぁ、下のような風景の写真は確かに時系列に並んでいるワケではない。
携帯のカメラといつも使っている仕事用のカメラで色目がかなり変わっていることもあるが、イギリスは本当にこんな感じで天気がコロコロ変わるんだよな~。
早朝は快晴、朝うす曇り、昼はくもり、夕方雨、夜快晴なんてことはザラなんで写真もこうなっちゃう。
何せイギリスの天気予報は緻密で、時間単位で予報するでね。何せシャレで皇太子殿下が天気予報士でテレビに出てきちゃうぐらいの天気予報好きだ。
結構な確率で当たるけど大ハズレすることもある。
で、前にも書いたことがあるように連中は雨が降っても傘をささない。
何しろささない。ビッチョビチョになって歩いてる。
考えてみれば、それなら天気予報なんて必要ないような気もするのだが…。
すぐに傘をさすのは決まって観光で来ている日本人だ。あ、私のことだ。
だって旅先で具合悪くなったらイヤだもんね~。
とにかくこの2日間、傘が必要になることはなかったのでヨカッタ。

10_2さて、今日はヘッドライナーのELPを目当てに会場に来ているお客さんが多いせいかヤケにELPのTシャツを着ている人が目立つ。
そのTシャツの柄も「Tarkus」やら、「Trilogy」やら、ファーストアルバムやら、てんでバラバラでおもしろい。
だが、なんといっても圧倒的に多かったのは、おなじみGiger(ギーガー)の『Brain Salad Surgery』だろう。もうそこら中で『脳みそサラダの外科手術』よ!

20v_2そういったアーティストTシャツの類も日本と状況がまったく違うんだよね。
Led ZappelinやStonesはやっぱり定番。そういうビッグネームは日本と大差ない。
他はさすがイギリス!少数派が圧倒的におもしろい。
Mich RonsonやらGentle Giant、Alice Cooper、Marshall Tucker Band、Fleetwood Mac、Sparksなんて人もいた。
BudgieのTシャツを着ている人なんて日本で見たことない。
ちなみにイギリス人は「Budgie」を「バッジ―」ではなくて「ブジー」と発音する。
下のTシャツの文句はオープニングMCのセリフをそのまま使ったELPのライブ・アルバムのタイトルですな。
こういうセンスはいいね。
「お友達のみなさん、終わりなき見世物にようこそお帰りなさい!」…日本のバンドがやったら英文の代わりにコレが背中に入ることになる。

30vProg Stageの出番はUriah Heep。
最近来日しちゃったけど、この時観れるとは思わなんだ。
Mick BoxはDSLを使用していた。
ナンカ昔の印象よりギターがうまくなったような感じがする。
このバンドも比較的メンバーの出入りが激しいバンドで、オリジナル・メンバーはMick Boxだけになってた。Ken Hensleyなんかゼンゼンいない。
『Uriah Heep(ユーライア・ヒープ)』は、ディケンズの小説『デイヴィッド・コパーフィールド』の登場人物で、英語の表現としては「イエス・マン」という意味がある。
このバンドの定番アルバムと言えば、もっぱら『Look At Yourself(対自核)』、『Demons And Wizards』、『The Magician's Birthday』とかなんだろうけど、ヘソ曲がりの私としては1977年の『Firefly』が好きだった。
あまりHeepは好きではなかったんだけど、ナゼかこのアルバムは出てすぐに買った記憶がある。
さて、この日のステージ、1曲目は「Wizard」だ。
ボーカルはカナダ人で元Grand PrixとかいうバンドにいたBernie Shawという人。
David Byronっぽく歌っているんだけど、滅法声が高い…イヤ、高すぎやしまいか?
1959のトレブルをフルにしたイメージ。
「Easy Livin'」や「July Morning」といった定番をからめながらの貫禄のステージだった。
こうして聞いてみるとやっぱり曲がいいな…。
途中でMicky Moodyが登場してスライド・ギターを披露。
熱狂的なファンが客席に多かったのも印象的だった。

15_2Classic Rock Stageに移動。
出演はBachman Turner。
彼らは1976年にBachman-Turner Overdriveとして来日を果たし、その時の公演がライブ盤にもなった。
今BTO知っている人なんているのかしら?
色んな人と昔のロックの話をしていて、「バックマン・ターナー・オーバードライブ」という名前を口にした人がいた記憶がない。
「パックマン」ってのはずいぶん流行ったようだけどね。
BTOはカナダの4人編成のバンドで、「Bachman」はRandy Backman(g)とRobbie Bachman(ds)の兄弟。
「Turner」はFred Turner(b)。
それじゃもう一人が「Overdriveさん」という名前かというとさにあらず。エフェクター屋じゃない。
Blair Thornton(g)という人だが、元々はそのポジションれもBachmanの兄弟だった。
だからバンド名がBachman姓とTurner姓の二種類になっている。
気の毒だよね、この後から入ったThorntonっていう人。
だっていつまで経ってもトラみたいじゃん?
かといってBackman-Turner-Thornton Overdiveなんて名前にしたら長すぎちゃうもんね。
三菱東京UFJ銀行みたいになっちゃう。頭文字もBTTO。「ブット」じゃしっくりこない。「PPAP」ならいいけど。
で、このBTO、ドラムのオッサンが同じクラスの大崎くんに似ていて、我々の間では「オーサキ」って呼んでいた。
中学生だった頃のある日、教室でロック好きの仲間が集まって見ていた雑誌にBTOが出ていた。
たまたま通りかかったクラスメイトの吉岡くんがそのBTOの記事を指して、「あ、コレ知ってる。アネキが観に行ってた」と言った。吉岡くんはロックと縁もゆかりもないような子だった。
1976~1977年のことだ。
この話は以前にも書いたことがあるのはわかってる。
ココでビックリして欲しいのは、今では誰も口にすることのないようなゴリンゴリンのロック・バンドが40年前には、例え「オーサキ」と呼ばれていたにしろ、普通の子供達の間で認識されていたということなの。
今、ロックはスッカリ市民権を得て、身の回りにあるように見えても、本当のロックはものすごく遠いところへ行ってしまった…という感じがするんだよね。
1_img_33602
そのBTOの重要メンバー、すなわちRandy BachmanとFred TurnerがくっついてBachman Turnerとして2009年から再活動を始めたのがこのチーム。
ちなみに上のライブ盤は日本武道館で収録された。
そう、BTOってもんのすごく人気があったのよ。
「またかよ!」っていわれそうだけど、私はそんなに夢中になったクチではなかったが、数ヶ月の間すごくよく聴いたものだ。

55_2この日、ステージで初めてその姿を見た時は「Randy Bachman、痩せたナァ~!」と思った。昔はロッキーの簗の中から降りて来た本物の木コリみたいだったからね。
が、いきなり元気よく「Roll On Down The Highway」をおっぱじめた!
ウワ!こりゃタマらんらん!
タマらんのはいいけど、チョット待った~!
ベースを弾きながら歌ってるオッサン、一体誰じゃい?!
ものスゲえ声だ!…というか、レコードと同じなんですけど!
そこですぐに気がついた。
歌っている細いオッサンはFred Turnerだ。
先入観というのは恐ろしいもので、あのすさまじい声の持ち主はこの時までRandy Bachmanだと思い込んでいたのだ。
だってあの身体ジャン?あれぐらいの太い声が出て当然と思うじゃん?
もうひとつ、RandyとこのFredこそが兄弟と勘違いしていたよ。
だって昔は二人とも同じような体つきしてたんだもん。 
え、「何にもしらねーんだな?」って?
だ~か~ら~、私は特にファンじゃないってば。

57このチームも大ヒット・パレード&懐メロ状態で、「Not Fragile」、「Four Wheel Drive」、「Hey You」、「Rock Is My Life」などを立て続けに演奏した。
しかし、いい曲が多いよな~。
MCによると、最後にイギリスで演奏したのは1976年のことだったらしい。
もう40年以上経ってる!
それなのにこのメインのステージに登場できるということは、当時のBTOの人気がいかにスゴかったかを物語っているということだ。
本当にこの時代はカナダも含めて英米のバンドがしのぎを削っていたんだネェ。
いい時代だ。
このバンド、ビックリだらけでさ…。
一番驚いたのは、この人たちこんな重厚長大なロックを演ってるクセに、ギター・アンプが全員コンボなんだよ!ナニ考えているだか…。
しかもMarshallじゃないし。
ステージの見てくれは全然「Not Fragile」じゃなかった!てっきりスタックがゾロリ並ぶのかと想像してたのに、これじゃ「Handle with Care」だ!
根っからの否ブリティッシュ・ハード・ロックなんだね。Montroseと同じだ。
私は徹頭徹尾ブリティッシュ派ですので好きにやってください。
とにかく何にも考えないひたすら楽しいロックもタマにはいいもんです。

56

しかし、空いてていいわ~。

58

次にClassic Rock Stageに現れたのはJoe Bonamassa。
この人も一時ドカっと行ったけど最近はどうしているんだろう。
以前二度ほどMarshall Blogに出てもらったことがあったんよ。
イヤ、ロンドンのRonnie Scott'sで開催したClass5の発表会を入れれば3回だ。
コレが4回目。
この人いかにも彗星のごとく現れた感じがするけど、芸歴はすごく長くて、Arlen RothがやっていたHot Licksというビデオのレーベルから子供の時にブルースの教則ビデオを出してたんだぜ。

60_3またしてもProg Stageにダッシュ!
マジで疲れたわ。
でもコレは絶対に観ないと…Argentだもん!
急がないと…コレがホントのアージェント(urgent)、ナンチャッテ。
何と37年ぶりの演奏なのだそうだ。平気でオリジナル・メンバーというところがスゴイ。
オープニングは「It's Only Money」。
このクドさがArgentの魅力。ホンの数小節のモチーフを7、8分の曲にしちゃう。
まるで私の大学の時の卒論だ!
70_2
ギターのRuss Ballardは1970年代の1959を使用。
ちょっとトレブリーではあったが、1959らしいいい音だった。
ラスはギターだけでなく声もハリがあって、若々しくて何の衰えも感じさせない。一体いくつなんだろう?
好きだったんだよな~、Russ。
ソロ・アルバムも何枚か買ったけど何十年も前に手放しちゃったな。それっきり全く聴いていない。
90v
ココもヒット・パレード状態のセット・リスト。
Rod Argentのロックンロール・ピアノが冴える「Keep On Rollin'」で盛り上がった後、Three Dog Nightがカバーして全米7位まで上がった「Liar」へ。
ちなみにこのキーボーズのRod ArgentはRock WakemanがYesを脱退した時、後任として加入の誘いを受けたことがあったそうだ。
ピアノも歌もうまいし、曲が書けるからね。さすが元The Zombiesだ。
120_3
続けて、「She's Not There」。
これはSantanaのカバーでもおなじみ。RodがThe Zombies時代に書いたヒット曲。
ジャンジャン出てくる有名曲。
今度は「Since You Been Gone」をラスが熱唱。
ロッドはMCで、「この曲は他のバンドがカバーしてヒットしたけど、ラスが作った曲なんだよ!」と付け加える。
次は自分たちのヒット曲「Hold Your Head Up」。
大ウケ!いい曲だもんね。
再結成のMr.BIGも演ってんのね、コレ。
そういえば、以前Paulがこの曲のリフを楽屋で弾いていたよ。
他にも「Thunder and Lightning」やら、「Schoolgirl」やら、名曲が目白押し!
100_3
またしてもロッド曰く、「この曲は1973年にArgentが作って初めてレコ―ディグしました。
その後、あるバンドが演奏して大ヒットしました。
でもArgentがオリジナルです!」
コレばっかり…どれもこれもカバーしてもらうとヒットする。
ちなみにその曲はこのアルバムに入ってます。
どうしてジャケットを見せたかと言うと、Hipgnosisだから。

Id_2 MCの後、想像だにしないことが起こって感動の嵐が吹き荒れた!
曲が始まった途端、そこにいた観客の全員が一斉に歌い出したんよ!
ホントに全員が歌ってる!
アタシャ、もうビックリしちゃって!
110_2
曲は「God Gave Rock 'n' Roll To You」。
マァ、この曲もね~「♪God Gave Rock 'n' Roll To You」のメロディが一体何回出てくるやら。
しつこい、しつこい…ビートルズなら2分で片付けちゃうような曲をイジリにイジって、スタジオ盤では7分近くやってる。
例えば、組曲風にRussが曲の中間でそのメインのメロディをギャロッピングっぽく弾いたりする。「そのパート、この曲に本当に必要なの?」という感じ。
もちろんライブでもやってた。
その無駄を乗り越えての~「♪God Gave Rock 'n' Roll To You」なのね。
「それがアージェントの…やり方かぁ~」ってヤツ。
すごい感動よ。
カバーしてヒットさせたバンドとはKISSのこと。
KISSは「God Gave Rock 'n' Roll To You II」として映画に使用した。
この曲を知っている人って日本にどれだけいるのかナァ。
コレも誰かが口にしていたのを一度も聞いたことがない。
80_3

ヨカッタわ~、Argent。
ちなみにProg Stageのトリ前の出演。トリはMarillionだった。
一生見れないと思っていた…というか思ったこともないんだけど。
ああ、あの即席ライブCDを買ってくればよかった!
…と思っていたら!
ナント、渋谷のTOWER RECORDSで売ってやがんのよ!
その場ですぐ買ったわ。
CDを作ってみたはいいけど、ものすごい余っちゃったんだろうね。

130_3さて、宴もたけなわ。
Classic Rock Stageに続々と人が集まって来たよ~。
ヘッドライナーの前に登場したのはDef LeopardのJoe Elliottのバンド。
Ian Hunterをフィーチュア…なんだけど、私Mottが苦手なのでパス…というかArgentに夢中になってた。

140_3楽屋が騒然とし出す…ヘッドライナーのEmerson Lake & Palmerの出番だ!
舞台はすぐそこなんだけど…
155
カートに乗って3人別々にステージに向かった。
今乗っているのはGreg Lake。
ELPの3人は楽屋も別々だった。

150v_3まさに登場寸前!
何しろ結成40周年を記念しての一度だけの再結成だからね。
噂ではCarl PalmerがAsiaはいいけど、ELPで出演するのをあまり快く思っていなかったとか…。
色々あるね~、ビッグになると。

160そして、いよいよヘッド・ライナーの登場!
Welcome back my friends, to the show that never ends.  Ladys and gentlenem, Emerson Lake and Palmer!
もう9時だよ。
さすがにクタクタだ~!
170_2
アレ何て言うのかな、「パッチボードの壁」とでもいうのかな?Keith Emersonのシンボルも健在だ。
コレって、キーボーズ・プレイヤーにとっての「マーシャルの壁」だね。
やっぱりコレがないとね!
写真の通り実際にマーシャルも多数使われていた。
190v_2
1曲目は「Karn Evil 9 First Impression Part2」。
もうあのシーケンサーの音が流れた途端に会場は大興奮!
始めは何となく演奏がぎこちない感じもしたが、滑り出すと何ら問題もなく、Greg Lakeも『Then & Now(Disc 2)』の頃より声も全然出ていて見応え充分!
貫禄も十分…といいたいところだったけど、こんなに太っちゃイカンよ。
だから取り返しのつかないことになってしまったじゃないか!
200_3
2曲目はファースト・アルバムから「The Barbarian」。
ドワ~、こんなのやるんだ。
「Bitches Crystal」、「Touch And Go」と続いて、同じくファーストから「Knife Edge」。いつも言ってるヤナーチェクの「Synfonietta」ね。
もうタマラン!
「ああTarkus演ってくれないかな~」って思っていると、「Take A Pebble」からピアノ・ソロを経て「Eruption」へ!
グワ~、カッチョいい~! 後半リズム隊が加わってドバーっと盛り上がった。
180_3
後ろの方はこんな感じ。
210_2
私は帰りの電車の混み具合が恐ろしいので、涙を飲んで「Lucky Man」を背に会場を離れたが、後で聞いたらこのあと『展覧会の絵』を全曲演ったとのこと。
ま、いいや。
私、アレ苦手なんだよね。
「Nut Rocker」は相当盛り上がったでしょうな。
  
しかし、こうして見るとやっぱりロックはイギリスの宝だね。
とりわけプログレッシブ・ロックはイギリスならではの国宝だ。
お客さんの年齢層はかなり高かった。
でも若い人も結構来ていて、ちゃんと音楽を楽しんでいた。
このあたりが日本と丸っきり違うところで、こういう機会がロック文化の橋渡しをしているんだろうな…と感じた。
    
「若い人は何も知らないだけ。カッコいいロックを教えてあげれば、それがたとえクラシックなものでもきっと好きになるハズ。なぜならカッコいいから」…この記事を書いた時、またいつもコレを言っているけど、最近、正直もう無理だと思うようになってきた。
我々世代のロックはそんなに遠くない将来に絶滅すると思う。
「絶滅」とはどういうことか…。
例えば、戦前の日本は琵琶を使った「語り」が大人気だったらしい。「源平合戦記」みたいなヤツね。
水藤錦穣というスーパー・スターを生み、ブロマイドまで流通していた。
裏の世界のドンなんてのもいて、琵琶語りは一大音楽産業のひとつだった。
ところが戦後、外来文化の流入が増え、スターもいなくなり、また、業界内のゴタゴタなどで急速に人気が衰え、ついには誰も聴かなくなってしまった。
「絶滅」と言っては現在も琵琶語りに取り組んでいらっしゃる方々に失礼だが、その盛衰を知れば遠く当たらないということはないだろう。
つまり文化の伝承に失敗したワケだ。
下は『さわり(佐宮圭、小学館刊)』という鶴田錦史(きんし)という琵琶奏者の伝記で、このあたりのことが詳述されていてとても興味深い。
最後にもう一度脱線しておくと、この鶴田さんという人は、武満徹の「ノヴェンバー・ステップス」のカーネギー・ホールでの初演で琵琶を弾いた人。
武満徹が「この人でなければ表現できない」と抜擢した天才琵琶奏者だ。
そのカーネギーの時、武満さんが鶴田さんに敬称の「ミス」をつけて紹介したところ、観客の多くがそれに気づき、「タケミツは緊張して『ミス』と『ミスター』を言い間違えた!」と言われたが、武満さんは決して間違えたワケではなく、この鶴田さんという人は見た目は男性だが、中身は女性だったのだ。
人生の半ばで女性を辞めて、残りの生涯を男性として過ごしたという数奇の人生をたどった人。
興味のある人は読んでみてください。
女性だったころの結婚相手の名前の苗字が私と同じで、メチャクチャ驚いた。滅多にない名前だから。

Sw_2 さて、話を戻して…
クラシック・ロックと呼ばれているものもこの琵琶語りと同じ。
聴く人がいなければどんなにいい音楽であっても意味がない。
我々やチョット下の世代の人がいなくなる時が来たら60~70年代の音楽は消滅するか、ほぼ同じ状態になると思う。
文化の継承の失敗だ。
私はいいよ。もう十分に楽しんだし、ジャズとクラシックだけでも十分やっていける。
気の毒なのはコレから生まれてくる子たちだよ。
ロックの本当のカッコよさを知らされるチャンスが本当になくなってしまうんだから。
   
それと、こうしたロックは金にならないということよ。
若い連中に「コレがいいよ」、「アレがいいよ」とワザワザ金をかけて宣伝するなんてバカバカしいじゃん?
それより握手券だか何だかを入れたCDをジャンジャン売ったほうが楽に儲かるじゃん?
私がレコード会社の社員だったらこっちを選ぶわ。
で、家に帰ってコルトレーンとザッパとバルトークをジックリ聴くよ。
チョット憎まれ口みたいになっちゃったけど、久しぶりにこのフェスのことを思い出したら書きたくなっちゃった!

最後の最後に一番最初に戻って…
このフェスティバルが開催されてから7年が経った。
今朝のfacebookには、UFOのPete Wayが心臓手術を受ける前のいくつもの検査を今日受けることが報じられていた。ガンバレ、Pete!
Keith Emerson、Greg Lake、Gary Moore、John Wetton…このフェスティバルに出演した4人の偉大なるロックのパイオニアやイノベーターがこの世を去ってしまった。
ロクに英語ができない日本人が「R.I.P」と書いて追悼の意を表そうとしているのを日頃から恥ずかしく、故人に対してとても失礼だと思っているが、今日はこのフェスティバルにかぶれてイギリス人になったつもりで敢えて言う。
Requiescat in Pace…。
   
元の記事のサブ・タイトルを「その2日間、私は世界でもっとも幸せな日本人のひとりだった!」としていたんだけど、今でもそう思っている。
あ~!
またゴミ!
バカイギリス人が~!
やっぱり日本人がいいわ。
でも、ロンドン行きたい!

230v_2おわり

※やっぱり、明日更新するけどすごく簡単に内容になります。
今週、コレでクタクタになっちゃった!


(敬称略 2010年7月24日 ロンドンにて撮影)

2017年2月 8日 (水)

HIGH VOLTAGEの思い出 <その3>

05_2かくして『HIGH VOLTAGE』の第1日目も無事に終了し、Ravenscourt Parkのホテルに帰って、ホテルのバーでエールを飲んで、風呂に入って、横になった頃には結構いい時間になった。
そして2日目。
もう勝手知ったるところなので、アラよっ!と地下鉄に乗り通勤よろしくスイスイと会場に向かう。

20ハイ、マイル・エンド到着!

30_2教会の横を通って…

40_2はい、ヴィクトリア・パーク到着。
ココから会場の入り口まで結構歩くんよ~。

50_2今日のパスはコレ。昨日もらっておいた。
「PROG STAGE」の表記があるけど大丈夫なのかしらん…と一瞬不安になったが、中に入ってみると昨日とまったく同じ待遇で安心した。
今日はデカいカメラも持っていないのであのサン・ラに怒られることもない。

60_2相変わらずホコリっぽい!
昨日ほんのチョットだけお湿りがあったけど、今日は雨の心配はまったくなさそう。

65
コレは移動キャッシュ・ディスペンサー。

70vどこのATMも結構長い列(queue)ができていた。
80_2
今日は昨日より早めに来たよ。
メインのClassic Rock Stageはもう結構人が集まっている。
13:05から始まる最初のステージはThe Quireboys。

66コレはトイレ。
ま、あまり書きたくはないんだけど、中はどうなっているかと言うと…イヤ、やっぱりやめておこう。
暑いし、混んでるし…そこがどんな惨状になっていたかは皆さんのご想像にお任せする。
外人ばっかりじゃない?
肉ばっかり食べてるし、我々より腸が長いし…スゲエんだよ。
私は1回しか入らなかった。イエイエ、入れなかった。
あ、イカン!ほとんど書いてしまった!
お昼休みに読んでいらっしゃる方、ゴメンナサイ!
  
では、トイレにまつわる社会的、かつ真面目な話をひとつ。
このHIGH VOLTAGEは翌年も開催された。
メイン・ステージのヘッドライナーはJudas PriestとDream Theaterだった。
他にもThin LizzyやMSGも出演。
それよりも私的にはProg Stageの面々が魅力的だった。
Barclay James Harvest、Caravan、Jethro Tull、Spock's Beard、Curved Air、The Enid…タマらんじゃんね。
実はMarshallに頼んでプレス・パスも出してもらい、行きさえすれば写真を撮れることになっていた。
ところが、イギリス自体に行くチャンスなかったのでオジャン。遊びに行くワケじゃないからね。あくまで会議がメインで、その会議がなかったのだ。
Ian AndersonやSonja Kristina…撮りたかったな~。
で、また翌年に期待を寄せたのだが、3回目は開催されることはなかった。
ひとつには1回目に比べて2回目の面子があまりにもショボくてチケットの売れ行きが悪く、継続を断念せざるを得なかった…という噂を聞いた。
そして、もうひとつの理由は「トイレ」だったという。コレは確かな情報。
その年は2012年…すなわちロンドン・オリンピックの年だ。
ナント、イギリス中の移動式トイレがオリンピックの方に偏ってしまい、野外フェスティバルが開けなかったというのだ。
どれだったかは忘れたが、同時期に開催されるかなり老舗のフェスティバルも同じ理由で開催が危ぶまれたが、そちらは何とか乗り切ったようだ。
その後、HIGH VOLTAGEは開催されていないので、結果、今のところ2回開催しただけのやや「幻のフェス」になっている。

90_2The Quireboysはゼンゼン知らないのできれいにパス。
今日もProg Stageからスタート。
見て、チョットしたウッドストック気分。
回りは全員外人だからね~。
あ、今は自分が外人なんだ!

100_2この日3番目にProg Rock Stageに登場したWishbone Ash。
イヤ、正確にはMartin Turner's Wishbone Ashか…。

120_2かつては「世界一美しい音を出すロックバンド」と評されていたバンドも当時はややこしいことになっていた。
Andy Powell組のWisbone AshとMartin Turner組のMartin Turner's Wishbone Ashの2つの派閥による血で血を洗う仁義なき戦い!…ってほどのモンでもないか。
でも、その両組が『Argus』の再現なんてことをやってたからそれもマンザラでもない。
私はライブ盤にもなった1978年の来日公演を中野サンプラザで観たのだが、この時は39年ぶりのWishbone Ashだった。
ギエ~、アレから40年も経った!
下はその時の公演を収録したライブ・アルバムとコンサート・プログラム。
前から7列目でね、友達と大騒ぎした。多分、ライブ盤には高校生の私の声も入ってる。

1_img_33572 私はこの後、Andy Powell組のWishbone Ashも令文さんとチッタに観に行ったので、本家3度目の来日、Martin組、Andy組と三種類観たことになる。
グランド・スラム達成!
まさか、まだ他にありゃしないだろうな~?ヤダよ、Steve Upton's Wishbone Ashとか。
前にも書いたけどLaurie Wisefieldは、昔Marshallのクリニシャンを時々務めていたPhil Hillbourneと交代でロンドンのドミニオン・シアターで『We Will Rock You』のギターを弾いていた。

130_2さて、このMartinの方のステージ、やっぱり「Argus」づくしだった。
「Warrior」やら「Blowin' Free」やら…「Throw Down The Sword」には泣けた。
これ高校生の時にコピーして演ってたもんで…。
あの頃は高校生がWishbone Ashのコピーを演っても何ら不思議はなかった。いい時代だった。
まぁ、とにかくコーラスが美しい!
途中Ted Turnerも合流して「Blowin' Free」をプレイ。
Andy組とMartin組の抗争…オリジナル・メンバーの在籍率の高さによりMartin組の勝利か?
Tedはレコード通りのソロ・フレーズを弾いていたっけ。
しかし、Wishbone Ashのようなバンドはもう出てこないだろうな。
この美しい曲とサウンドもまた「時代が生んだ奇跡」だと思うのだ。
この音楽が見事に次世代に伝承されていないのは、人類にとっては大きな文化的な損失のひとつであろう。
だって聴く人がいなくなってるんだもん。
「芸術」って作り出すことは際限なくできるけど、見たり聴いたりする側がいなければ何の意味もないし、価値もないんだよね。
それと、今みたいに流通する音楽の幅がセマくなると、もうジリ貧で、ドンドン画一化が進んで身動きが取れなくなってくるんだよね。
「同じ音楽ばかりでつまらない!」と現状を打破しようとする動きは抑えられていって、「じゃ、オレも」とますます似たモノしか出てこなくなる。「貧すれば鈍する」というヤツ。
その正反対が60年代~70年代前半のロックだった。
Wishbone Ashに限らず、HIGH VOLTAGEに出ているベテランのバンドはすべてその時代の出身だ。

140_2さぁ、お昼にしよう。
南の国から行くせいか、イギリスは8月でも朝晩は寒く感じる。
朝晩ヒーターを入れることも珍しくないし、セーターを忘れると大変ツライ思いをすることになる。
でもさすがに昼は暑い。
中には二階にエアコンが付いていない古いダブル・デッカーもあって、それを知らずに二階に上がって「特等席!」なんてガマンして一番前に座っていたら身体がをおかしくなった。ごく軽い熱射病だったのだろう。後で頭が割れそうに痛くなっちゃって!あの時はマイッタわ。
それでも、日陰や木陰に入ると涼しくて、長袖が恋しくなるんだよね。
私は暑いのがすごくキライなので、イギリスの気候がとてもうらやましい。
でも、9月ぐらいにはもうかなり寒くなっちゃうのでそれもな~。
とにかく、このHIGH VOLTAGEに来てすぐにわかったのは、この気候なら夏のフェスティバルは楽勝じゃん!ということ。
翻って35℃以上の炎天下で身体を寄せ合う日本の夏フェスって一体どういうことなんだろう?
アレ、どうして春とか秋に開催しないんだろう?夏休みの関係?
このまま地球の温暖化が進んだら、日本での夏のロック・フェスティバルはできなくなるのではなかろうか?
そんな気候のロンドンでも冷たいビールは欠かせないね。
ビールのスタンドには始終行列ができている。

150v_2どうせ並ぶならカワイコちゃんのところがいい。
「写真撮ってもいい?」って訊くと、即座にこの笑顔。
向こうの人は本当に笑顔が上手だ。
街中でスレ違った時に目が合うと、ニコっとしたりウインクしたり…アレはでなかなかできないな。
実にステキなことだとは思うんだけど。
それより、いつもニコニコしていたいとは思うんだけどね。ついカリカリきちゃう。

160vハイ、お昼ごはん。
フィッシュ&チップス。
イギリスに行って最初に食べるフィッシュ&チップスほどウマいものはない。
でも、それも半分まで。
あ、チャンとしたレストランのフィッシュ&チップスは最後までおいしいですよ。
でも、こういうファストフード仕様のものはそうは喰えんよ。油で。
コレはまだ小さい方だから食べちゃったけど。
いくらジャガイモがおいしいったって、ポテトフライもいい加減飽きるしね。
ところで、コレ、変でしょう。アイスの棒みたいなやつが2本ついてる。
ナイフとフォークのつもりなの。
もちろん私はこんなの使わないで、手でつかんで端からガリガリとカジッちゃう。
でも外人はこんなものでもチャンとコレをナイフとフォークに見立てて起用に使いこなしていた。
向こうの人は何が何でもフォークとナイフなんだよね~。
チョット食事ネタで英語脱線。
外人っておつゆ系の麺類を食べるときに音を立てることをすごくイヤがるでしょ?
ああいう音を立てて食べることを英語で「slurp(スラープ)」って言うんだけど、外人ってスラープしないんじゃなくて、技術的にできないんだよ。
いくら教えてもできないもん。
ナゼかと言うと生まれた時から食事の時に一回も音をたてたことがないので音の立て方、すなわち食べ物と一緒に空気を吸い込むノウハウを持っていない。
すべての食べ物と食事のツールが音を立てないで食べられるように設計されているし。
我々が、たっぷりアンのかかった熱の塊のような広東麺を平気で食べられることができるのは、食べ物と一緒に空気を吸い込むことによって一気に口の中の温度を下げるからであって、アレを音を立てずに、つまり空気を吸い込まずにいきなり口に突っ込んだらみんな病院行きよ。
ヨカッタよ~、我々はスラープをする国に生まれて。
スラープのおかげでどれだけおいしいものを食べることができているかわからない。

170さて、Classic Rock  StageにUFOを観に行く。
UFOを観たのは38年ぶり!

180_2前回は1979年の中野サンプラザ。
前から2列目だった。
チケットを買った時、ギターはMichael Schenkerだった。
ところが来日したのはLone StarのPaul Chapman。
ガッカリしたな~、アレにゃ。
Scorpionsでも同じようなことが起こって、結局私はMichael Schenkerって一度も観たことがないということは以前にも書いた。
でもLone Starってなかなかカッコよかったよね。
ChapmanはUFOのOBで、Gary Mooreの後任でSkid Rowにもいたんだっけ。
下はその時のプログラム。

1_img_3358 久しぶりに中を見てビックリ!
チョットとてもお名前は出せないが、著名が評論家さんが一文寄せている。
本心で書いたのかしらん?
コレはSchenkerが突然来なくなったので穴埋め的に書いたんじゃないかしら。
主役が抜けて「攻撃的」になるワケがない。
でも、コンサート自体は決して悪くなくて、すごく楽しんだような記憶がある。
Phil Moggもまだ若くてカッコよかったからね~!
ちなみに、アメリカ人にいわせると、「Chapman」という苗字は猛烈にイギリスっぽいそうだ。

1_img_3359 雰囲気は変わっちゃったけど、今でもカッコいいPhil Mogg!
メンバーはベースがPete Way、キーボーズ&ギターがPaul Raymond、ドラムスはAndy Parker。
ギターはVinnie Mooreだ。
なんかPete Wayもかなり体調がよくないような話を最近聞いた。

190オープニングでナニを演奏したのかが記録にないんだけど、2曲目は「Only You Can Rock Me」だった。
ココで大トラブル発生。
ギター・アンプはMarshallじゃなかったんだけど、どうもアンプの調子が悪く、何回弾いてもイントロ・リフの2小節目でギターの音が出なくなってしまうたのだ!
我がMarshallチームは「おいおい大丈夫か~!Marshall貸してやろうか~!」なんてやってるし。

200_2ま、こういうことは時々あるじゃない?
「それじゃ気を取り直して、Only You Can Rock Me~!!」と景気よくやるんだけどまた同じところで止まっちゃう。
Philもはじめは笑っていたが、繰り返すうちにこめかみのあたりがピクピク…コワイ。

210やっぱり怒ってる。
ギーってにらんでるもん。
「Give him your hands!」とか言ってプレッシャーかけるし…!と、ようやく難関を突破!
お客さんはそんなトラブルも忘れて「♪Only you can, rock me, rock me」は大合唱。
やっぱりコレっていい曲だな。

1_img_01272_2 続いては「Lights Out」。
38年前の東京公演では「♪Lights out, lights out in Tokyo!」って歌っていた。
当然ここではオリジナルの歌詞通り「♪Lights out in London!」と歌った。
何たる感動!何たる感激!
ロンドンで演っているから当たり前なんだけど、「ロンドン」で「ライツ・アウト」。
そうだ!今、私はロンドンでコレを聴いているんだ!…ク~、まさかこんな体験ができるとは!
感激で本当に涙が出て来ちゃって一緒に歌えなかったよ!
繰り返しになるけど、Phil Mogg、カッコいいナァ~。
声も昔とそう変わらないしね。
各国の言葉で「Thank You」を言ってたけど、ちゃんと「ありがとう」も入ってた。
ちなみに日本人も来ていたんだろうけど、全く見かけなかったな。
実際、後で知ったんだけど、よくお世話になったKing Crimsonの訳詞なんかで有名な翻訳・通訳家の女性がELPを観に来ていたそうだ。
続いては「Love To Love」。
これもいい曲だ~。こんなにいい曲だったっけかな。
気になるのはVinnie Mooreのギターだ。音が時々出なくなっちゃう。
その後も「Doctor, Doctor」、「Rock Bottom」と名曲、人気曲のオン・パレード。
PhilがMCで言ってた、「こういうところで誰も知らない新曲なんかを演るべきじゃないよね」って。
100%同感!さすがよくわかってる!

220_2楽屋村のようす。
ミュージシャンはバンドごとにプレハブの小屋に収まっている。

240_2ほんの少し子供を連れてきているミュージシャンがいて、その子たちがこの砂場で遊んでいた。
ちなみにイギリスでは砂場のことは「Sandpit」って言います。なんかカッコよくね?

250_2今日もダラダラやってま~す!

270楽屋村にはいろんな設備があってビックリ!
290_2
コレは楽器屋。
こんなところで何か買う人いるのかね~?

280_2隣は床屋さん!
というかメイク・ルームだったんだろうね。

310vさすが!
ココのモニタースピーカーがMarshallのMGになってた!
おありがとうござい~!

1_img_0760さっき一般の仮設トイレには1回しか行かなかったって書いたでしょ?
いくらなんでも日中に1回しか用を足さないなんてことはあり得ない。
チョット見にくいけど、写真の右端に「DAV」って書いてある黒いヤツがあるでしょ?
コレ、出演者や関係者向けの車両型移動トイレなの。
ナント、水洗で冷房完備。
何たる格差!何たる差別!
方や水洗で冷房完備、方や〇〇コの山!
どんなに遠くにいても必要な時はココまで戻ってきて用を足したというワケ。
事後に手を洗っていると、すんごいミュージシャンがジャンジャン入ってくるのよ。
目が合ったりした時、無視するのも何なので小声で「Hi!」って言ったりしてね。
そういえば2日目にはJimmy Pageも来てたよ。あ、トイレじゃなくて楽屋村にね。
1_img_0774_2

楽屋村から見たメイン・ステージ。
皆さん、ココを通って舞台に向かう。

320_2

つづく


(敬称略 2010年7月24日 ロンドンにて撮影)

2017年2月 7日 (火)

HIGH VOLTAGEの思い出 <その2>

コレが1日目のパス。
スポンサー特権のパスだったのかどうかはわからないが、どこでも超スイスイのVIP扱いだった。

10場内の物販コーナー。
世界中どこでも同じようなモノを売ってる。

30

このフェスティバルは開催の2か月前にガンで亡くなったRonnie James Dioのへのトリビュートの意味合いも含まれ、『RONNIE JAMES DIO Stand Up & Shout Cancer Fund』というガン撲滅団体への寄付を募った。
「レジ袋(=Plastic bag)をご要望の方は寄付をご考慮ください。そしてロック・レジェンドの公式チャリティにご協力願います」

20v私もふたつほど買い物をした。
ひとつはフェスティバルのプログラム。
記念品ね。
「Official Programme」とイギリス綴りになっているところがうれしい。

40表4にはRonnie。

50コレも売り物。
ラミネート・パスみたいに見えるけど、パスはあくまでブレスレット。
コレには会場の地図とタイム・テーブルが載ってるの。
すごく便利。
日本のフェスでは、よくタイムスケジュールが載った紙を持って歩くけど、アレはたいていクシャクシャのなっちゃうじゃない?
コレは首から下げておいて、サッと見ることができるので存外に使い勝手がよい。
もちろん、いい記念になる。

60当時の為替レートで1,500円ぐらいだったかな~。
ランヤードが付いてこの値段が安いのか高いのかサッパリわからんが…イヤ、高いか…とにかく記念、記念!

70それと売店で配っていたチラシ。
ELP、Malilion、Asia、Argentの当日の演奏が録音されて終演後にはCDになっているという。
この4組が選ばれた理由は、このフェスティバルの目玉だかららしい。
Argentが気になったが買ってはこなかった。

80場内は色々なアトラクションがあってことの他にぎやかだ。

110こんなオブジェから…

120クラシック・カーの展示まで。

130売店もいくつか散在している。

100
さて、こちらはパスがないと絶対に入れない舞台裏。

140「Cabin」と称する文字通り「小屋」を設置して、出演者にMarshallを試してもらうワケ。
当時はまだMarshall Fridgeはなかったが、連中はこういう時は必ず冷蔵庫を持って来てスタッフやお客さんに冷たいものを提供する…でも、今回はなし。
しかも、普通の水じゃなくて、なんか変なスポーツ・ドリンクみたいなヤツだったのですごくイヤだった。
普段からそんなものを口にしない上に、激ヌルなんだもん!

150vま、狭いし、暑いし、正直それほど繁盛してはいなかったな。

170vさて、いよいよライブを観に行くよ~!
昨日、完全書き下ろしと言ったけど、セットリストなんかはさすがに覚えていないので、昔の記事を参考にしたことを正直に申し添えておく。
  
さすがProgステージ、こんなTシャツの人を発見!
私も同感!
この人、きっといい人だよ。チョット理屈っぽいかも知れないけど。

190vまずはFocus!
フランクフルトでJan AkkermanやThjis van Leerに会ったことはあっても、Focusは観たことがなかった。
ようやく観れる!
残念ながらJanはいなかったけど、ドラムはオリジナル・メンバーのPierre van der Lindenだった。
私にとっては、「Focus」という名前で「Focus」の形をして「Focus」の曲を演奏してくれるだけで十分なのだ…なんて書くと、「ダメだそんなの!オレは1974年に厚生年金で観たぞ!」なんていう人がきっと出てくるんだよね~。
いいんだよ、そんなの。早く生まれている分、早く死んじゃうぞ!…なんて失礼なことも言えないわな。逆転もあり得るからな。
その時の演奏はあまりにも不愛想で、粗削りで、評判が大層悪かったとか…それでもそっちが観たかったよ!
でもこのFocusの始終ニコニコで楽しい演奏も捨てたもんじゃない。
さすがにThjisも年老いて、声はレコードとに同じというワケにはいかないようだが、フルートの音色が実に美しく力強い。
少しだけ最初の方を見逃してしまったが、「Focus II」、「House Of The King」、「Sylvia」など有名曲をバッチリ演奏してくれた。
もちろんハイライトは「Hocus Pocus」。
観客全員でライララ、ライララと大合唱だよ!
その場にいてみなよ!…泣けるぜ~。
まさか生きてる間にロンドンで本物のFocusとみんなで「♪ライララ、ライララ」と大合唱できるとは思わなかった。
いいね、歌詞がない曲は!

180終わり次第メインのClassic Rock StageにThe Answerをチラリと観に行って、すぐさまProg Stageに戻る。
Focusの次に出たBIGELFを観るためだ。
しかし、The Answerもスゴイよね。
メイン・ステージ出演者の中で最もキャリアが浅いというか、格が下なのに大舞台に登場できたのは、CLASSIC ROCK誌が力を入れていたからなのであろう。
Cormac Neeson、カッコいいもんね~。
ギターのPaul MahonはVintage Modernを使っいて、終演後、Marshallのキャビンに訪れた時少し話をした。
名刺を欲しがったので渡した。
  
あ~、中に入って写真撮りたいな~。
いくら最強のパスでも「Press Pass」がないと絶対にプレス・ピットには入れない。当たり前だけど。
210v
さて、BIGELF。
メロトロンを多用したLA出身のプログレ・バンド。
そういえばコレはスティーブに教えてもらったんだっけ。

200ボーカルズ/キーボーズのDemon Foxのカッコよさといったらない。
もちろん曲がいいからなんだけどね。
BIGELFはこの2週間後にサマソニで来日した。
配給しているレコード会社の友人のおかげでステージやインタビューの写真を撮らせてもらい、メンバーに間近で会うことができた。
最近どうしてるんだろう?
いいバンドなのにな~…Marshallじゃないけど。

1_ph_44 BIGELFが終わらないうちにClassic Rock Stageに走る!忙しい~!
Gary Moore!
スゴイ人気だった。

220Garyはこの年の4月、ブルース・セットで21年ぶりに来日していた。
持参した1959SLPの調子が悪くなってしまい、わたしが会場のJCBホール(当時)まで引き取りに行って、修理してまた配達したのだった。
その時のギター・テクが来ていて、当然「ヤアヤア!」ということになった。
グレッグっていったけかな~。すごく感じのいいヤツだった。
あ~、中に入って撮りたいな~。
というのは、その4月の来日公演で、連絡がうまく取れずプレス・パスがゲットできなかったのだ。
また来年日本に来るかもしれないから…と、この時は気楽に考えていた。

230vGaryはこの時も1959SLPと1960Xキャビ。
やはりもんのすごくデカイ音だった。
野外で後ろの方にいてもMarshallの生音が耳元までスッ飛んでくるような感じだった。
やっぱり、今まででGary Mooreのギターの音が一番大きかったかな?
この時はハード・ロックのセットだった。
先にチョット触れたように、日本人のファンの多くがこのフォーマットでの来日を期待し、翌年再度日本にやって来るという話もあったようだが、永遠に実現しなくなってしまった。
皆さん、ご存知の通り、この7か月後、帰らぬ人となってしまったからだ。
したがって、私はGaryの最後のハード・ロック・セットも観た少ないであろう日本人のひとりとなった。
2月6日の昨日がGaryの命日だった。

240ハイ、今度はProg Stageに急げ!
だんだん疲れて来た…。
お互いのステージの音が干渉しないように結構ステージの距離があるのよ。自転車が欲しい!
BIG ELFの次にProg Stageの登場したのはZappa Plays Zappa。
これまたスゴイ人気!
コレで観るのは3回目かな?

250Dweezilのユッタリとした手拍子でスタート。
1曲目は「Purple Lagoon」だった。
お客さんのノリもスゴイ!
メドレーでそのまま「Florentine Pogen」へ。わたしなんかはもうこの時点でめまいがしちゃうよね。
前回の来日時、ボーカルズのRay WhiteがドタキャンしてしまったおかげでドラムのJoe Traversが歌わなくてはならなかった。
今回はそんなこともなく、ドラミングに専念できて、演奏自体は前回の来日時よりも格段によくなった。
あの時は撮らせてもらった写真は宝物だ。
その後、「Cosmik Debris」が続く。"Look here brother~"のところは結構お客さんも大合唱!日本じゃ考えられない。
そして「Inca Roads」!
ようやく聴けた。過去2回の来日、総計4回、東京の全公演を観たけど演らなかったけんね。
それだけに感無量。
いつもダラ~と長尺で演奏する曲がセットリストに入るが、今回は「Big Swifty」。相変わらずジャズ・オリエンテッドのJamie Kimeのソロが最高にカッコいい!
Jamieどうしてるかな?
さらに「Easy Meat」。
ドワッ!「Latex Solar Beef / Willie The Pimp」が出て来た!うれしい!
次の「Apostrophe(')」は大ウケ!
クライマックスはリズム隊が大爆発する「Keep It Greasy」。
そして最後は「Peaches En Regalia」で〆た。やっぱりこの曲は世界中で大人気だね。
アンコールはなし。
ナンダカンダいって2日間でステージを最初から最後まで丸々観たのはコレだけだったわ。

260楽屋にDweezilを訪ねると、「エ~!何でここにいるの?!」と私を見てメチャクチャ驚いていた。
当たり前か。
同じくJamieもビックリしていた。
前回の来日時、下の写真を見せてDweezilにサインを入れてもらった。
Dweezilはこの時のことを覚えていてくれて、「私のことがわかるの?」と尋ねると、「もちろん!ダディのコレクターだろ!」と言い当ててくれた。
ま、大したコレクションではないので気が引けますが…。

1_img_0283_2 そして、この1週間後、フジ・ロックでまたDweezilとJamieに会った。
この時もDweezilはビックリしながら…「ねぇ、キミは一体どこに住んでいるんだい?」と真顔で尋ねられたよ。
そりゃそうだよね、行くところ、行くところに現れるんだもん。でも2回だけです。偶然です。
下はこのロンドンのステージのそででスタッフの人に撮ってもらった。
写りはすこぶる悪いけど大切な一枚。

270vForeignorをチョコっと観る。
やっぱりハイライトは「Cold as Ice」。
メンバーは異なれど、1978年、高校の時に武道館で観た初来日公演と同じだ!
ステージそでにアルト・サックスを投げるIan McDonaldがカッコよくて、とても印象に残っている。

280このフェスティバルはとにかく時間がかぶってしまうのが泣き所だ。
観たいものが多いので仕方ないのだが…。
で、空き時間にはベース・キャンプであるMarshallのキャビンに帰る。
キャビンに居るとSteve Howeなんかがチラリとのぞきに来たりするんよ。
この時は…グワッ!
Billy Gibonsが来てる!

350v_2Dusty Hillも!

320

この身のこなし…カッコいい~。
イヤ、正直ZZ Topのファンであったことは一度もないんだけど、やっぱ興奮するよ~。
1974Xにとても興味があったようだ。

310

Marshallのスタッフが「彼は日本のShigeだよ」と紹介してくれると、Billyはキチっと礼儀正しく私に挨拶をしてくれて、「今度日本に行った時にはMarshallを頼むよ!」と言った。
「も、もちろんです!」なんて答えたけど、ゼンゼン来ないね。
とても物腰が柔らかくて大人の雰囲気が濃厚な人だった。
Dustyも気さくとても感じがヨカッタ。

330

記念撮影の悪い例。
みっともないな、私は!テレビに映った小学生か?!
写真を撮るなら撮るで、お願いしてチャンと撮らせてもらわんか!

340
この頃、Prog StageにはAsiaが出ていた。
今にして思えばJohn Wettonの姿をもう一度見ておくべきだった…と思わないこともないが、何しろAsiaは苦手で…。
それと、もうクタクタになって来ていて、Prog Stageまで往復するのがあまりにもシンドかったのね。
もちろん、それがAsiaでなくてKing Crimsonだったら飛んでっちゃったけどね。
   
ということで、Classic Rock Stageに居続け。
さてさて、1日目の観客のお目当てのひとつは間違いなく、HEAVEN & HELL 'A Tribute To Ronnie James Dio' だろう。
今回のシンガーはノルウェイのMASTERPLANというバンドのJorn Landeという人。
290
そして、Glenn Hughes!
Glennはこの2年後、Marshallの50周年記念コンサートで近くで拝見することになったワケだが、この時は初めてだったもんだからあまりにもスゴイ声にビックリしたわ。
  
ほとんどBLACK SABBATH系を通っていない私だが、すっかり見入ってしまった。
何といってもTonny IommiとGeezer Butler、Vinnie Appiceたちのの存在感が尋常ではない!
お客さんも大喜びで、「Heaven & Hell」では当然の大合唱となった。「♪オ~オ~オ~オ~、オ~オ~オ~オ~オオオ~」って。
今、急に思い出したんだけど、Zappa Plays ZappaがO-EASTの時に「このバンドはもうこのツアーで終わりなのよ。今度はHeaven & Hellに付くのよ」って言っていたっけ。

300ようやくMetal Hammer Stage!
何か雰囲気がエラク違うな~。平均年齢が30歳ぐらい下がるのよ。
でもコレだけは観とかないと!
Black Label Societyだ!

360緞帳が落ちると…出たァ~、これぞロックのステージ!
やっぱり鳥肌が立つゼイ!
4段積みが10列!やっぱりマーシャルの壁はサマになるネェ。
問答無用でカッコいい!

370ところでこのBLS、前日までマーシャルの工場でこの日のためのリハーサルをやっていた。
泊まっているホテルがいっしょだったので毎晩レストランやバーでいっしょになった。
明るくていい人たちなのよ。
ホテルのバーで見ていて気が付いたんだけど、Zakkって財布を持っていなくて、お札をグルグル恵方巻みたいにして丸めて輪ゴムで留めてるのよ。
で、イギリスのホテルのバーはキャッシュ・オン・デリバリーだから一回ごとにカウンターで支払わなければならない。
すると、Zakkはポケットに手を突っ込んで、その恵方巻を取り出して、輪ゴムをハズして、ピッとバーテンに札を渡すワケ。
その所作がカッコいいんだ!
アレ、日本人じゃサマにならないよ~。
ところで、Zakkってサインするときに「SDMF」って書くんだけど、コレ、「Strength, Determination, Merciless, Forever」の略なの?
私は「Society of Dwellers of Mother F*#cker」ってアメリカのニックから教えてもらったんだけど。
だからニックは私のことを「TDMF(Tokyo Dweller of Mother F*#cker」と呼ぶワケ。
私も彼を「ADMF」と呼び返している。「A」は「Arizona」だ。
いつか私の見ている前でニックがこのことをZakkに説明したことがあって、恥ずかしかったわ!

390もう9時を過ぎた。
いよいよヘッドライナーの登場だよ!

400ZZ Top!
イヤ~、カッコよかったな~。

410やっぱり長年トップの地位を確保し続けるだけあって、もう非の打ちどころのない完璧なパフォーマンス。
もうこういうのは演奏がウマいとかヘタとか、音がいいとか悪いとか、そういう次元ではなくて、「空気」だね、「空気」。
もう「ZZ Top」という空気をドンドン吐き出されてきて、辺り一面「ZZ TOP」になっちゃうの。
やっぱり洋楽を学ばないとダメだね。
相変わらず洋楽のエキスを取り入れて国内の音楽が作られている部分はあるんだろうけど、「目黒のさんま」と同じで、骨を抜いてすり身にしたさんまなんて食えたもんじゃない。
あるいはお子様向けの「離乳食」と言ったほうが適切か…。
離乳食ばかりじゃ歯は丈夫にならない。この場合は「耳」だね。
こんなステージを目の当たりにすると、日本人はエンターテイメントに関しては子供のままだと思わざるを得ない。あるいは「幼稚化」の一途をたどっているとでも言おうか。
それとね、お客さんも大人なのよ。出し物が出し物だけに、実際ジジババが多かったんだけど、音楽の楽しみ方がよくわかっている…という感じ。
見ていてお客さんもカッコいい。
最後まで観たかったけど、そんなことをしたら地下鉄が混みまくっていつホテルに帰ることができるかわからなくなっちゃうので、ダニーと早めに退散。
もちろん「Tush」を口ずさみながら…。

430コラ~、バカどもめが!
ゴミを捨てるんじゃない!
Zakkがヘッドライナーを務めてひと足先に全プログラムを終了したMetal Hammer Stage。
こういうところだけはイヤだな。
でも、格差社会のイギリスのこと、コレってもしかしたら一種のNoblesse Oblidgeで、故意にゴミを持ち帰らずその場で捨てていくことによって、「ゴミ拾い」という仕事を作り出すようにしているのかな…そんなことないか?
イヤ、オジさんはそんなことは許さん!
ゴミを捨てるな~!

440つづく

(敬称略 2010年7月23日 ロンドンにて撮影)

2017年2月 6日 (月)

HIGH VOLTAGEの思い出 <その1>

<はじめに>
Marshall Blogは昨年の10月に1,000回目の更新を迎えたが、それ以前にも900回以上の記事を書いていたことを折に触れて記してきた。
それらの古い記事はもう見ることはできないが、すべてデータで残してあって、中には我ながら興味深い記事や貴重な情報も含まれている。
そこで、だいぶ前にそれらを今のMarshall Blogにアーカイヴとして再掲することを思いついた。
さすれば雨傘記事がジャンジャンできて毎日の更新がすごくラクになるじゃん?
ところが権利面での問題が出て来て、そのまま記事を掲載することは断念…ラクはできませんな~。
イヤイヤ、それよりも何よりも…ダ~メ、ゼンゼン。
ヘタで…。
初期の頃の記事を読み返してみると、写真も文章も全くなっとらん!
写真はまだヤングな感じが伝わって来て許せるにしても、昔の文章を読み直した日にゃ顔から火が出らぁ。
9年も前のことだからね。
今も大したことはないけど、こんな私でも少しは成長するもんだと感動したりして。
ま、ひとりでこの調子で2,000回も書いてりゃどんなバカでも少しは物事上達するわな。
…というワケで滅多にやることはないかも知れないが、皆さんにお伝えしておきたい、もしくは記録として半永久的に残しておきたい過去の出来事を「Marshall Blog Archive」として再掲することにした。
アーカイヴと言っても、先に書いた理由によりすべて書き下ろすことになるけどね。
その第1弾が今日の記事。
内容は2010年の7月にロンドンで開催された『HIGH VOLTAGE』というロック・フェスティバルのレポートだ。
当時は確か5回連載でお届けしたように記憶している。
「確か5回…」とうろ覚えな表現をしたのは、過去の記事を確認していないから。
決して横着をしているワケではなく、元の記事を読んでしまうと、どうしても文章がそれに引っ張られてしまうから。
記憶を頼りに完全書き下ろしで臨もうという企画だ。
なので、以前ご覧になって、内容にご記憶にある方にも是非ご再読頂きたいと思う。
本邦初公開の写真もいくつか加えておいた。
  
<背景>
さて、実はこの記事、あるいは企画は、もっと早い時期に取り組もうと思って用意をしていたのだが、毎日の更新や雑事に追われて長い間ほったらかしになっていた。
しかし、今こそ掲載すべき!と一念発起した。
理由は、「CLASSIC ROCK」という名前が昨年の11月に日本中のロック・ファンの間を駆け巡り、多くの人の知れる存在となったこと…コレがひとつ。
この『HIGh VOLTAGE』というロック・フェスティバルは、イギリスの「CLASSIC ROCK」という雑誌(出版社)が主催したものだったのだ。
そう、あの両国国技館で開催された『CLASSIC ROCK AWARD』というイベントの冠ブランドである。
加えて、この「CLASSIC ROCK」誌に大きな変動が起こったこと(後述)。
そして、今ひとつの理由はジョン・ウェットンの死だ。
言い換えると、このフェスティバルに出演したビッグ・アーティストがこの7年間の間にずいぶん他界したことだ。
これらが重なり今ココでまとめ上げておこうと思い立ったワケ。
  
<CLASSIC ROCKについて>
さて、昨11月のこともあったので、簡単にCLASSIC ROCKという雑誌について記しておくことにする。
CLASSIC ROCK誌は古き佳き時代のロックにスポット・ライトを当てた音楽雑誌で、まさに私のような頑固ジジイが泣いてよろこぶような内容。
日本でも手に入れることができるが、私の場合、CLASSIC ROCKを買うのがイギリスに行った時の楽しみのひとつだった。
いつもMarshall Blogに書いているように、私はパンク/ニューウェイブ、あるいは80年代以降のロックにまったく興味がないので、そうでない60~70年代前半のロックがフィーチュアされている時は例外なく買って持ち帰っていた。
ま、買ったところで熱心に中身を読むワケでは決してないんだけどね。
でも、そこはさすが本場モノで、今まで見たことのないような写真がたくさん掲載されているのがすごく魅力的で、他にも『ベスト100ブリティッシュ・ロック・アルバム』なんていう特集はMarshall Blogのネタとしてもとても有用だった。他にも『トップ30プログレ・アルバム』だの、『トップ100ソングライター』だのという企画もすごくおもしろかった。
こうしたチャートものは、本場のイギリス人たちが自分たちのロックをどう捉えているかを物語っているかを知ることができ、私にはものすごく興味があるのだ。
どんなに情報の伝達手段が発達しても、岡井大二さんとのインタビューにあった通り、土台ロックの礎がイギリスとは全く異なるこの極東の島国と、世界の中央との間には大きな隔たりがあることを常に意識しておくべき、という立場を私は採っている。

10そうだ…実はコレは先日の専門学校での授業でも紹介したのだが、ここでもやらせて頂こう。
コレは我々が生まれた時から見てきている世界地図。
ユーラシア大陸とアメリカ大陸の間に位置する世界の中心、日本!まるでアメリカ合衆国が脇役に見える。
正確ではないにしろ、もし「世界地図を書いてください」と言われたら老若男女を問わず、日本人は100%この地図に近いレイアウトで描くだろう。
ところが…

1_j_2 世界はコレだ。
あ~あ~、日本がずいぶん端っこに行っちゃったな~。
こうして見ると、日本がなぜ「far east」なのかが本当によくわかるでしょ?
これだけ世界の中心から離れた末端にいればロックの在り方も変わってしまうのかも仕方のないことなのかも知れない。
でも、もはや音楽に関して言えば日本は洋楽をほとんど受け入れない鎖国状態だから関係ないか?

1_e さて、話を元に戻して…CLASSIC ROCK。
文字通り60~70年代のクラシックなロックを中心に取り扱う傍ら、注目の新人を含めたコンテンポラリーな内容も併催することにより発行部数を順調に伸ばし、やがてイギリスで最も売れる音楽雑誌となった。
そして、通算150号を発売した2010年には、ナントNME(New Musical Exress。1952年創刊のイギリスで初めてヒット・チャートを掲載した老舗音楽雑誌)の発行部数を追い越したという。
それが2013年からの運営母体であったTeamRockという会社が経営に行き詰まり、2016年には姉妹誌のMetal HammerとProgともども出版を中止。
ああ、コレでCLASSIC ROCK誌も一巻の終わりか!…と思っていたら、先月、Future Publishingという元のオーナーが80万ポンド(約112百万円)で三誌を買い戻したのだそうだ。
  
実は以前はMarshallも関係を持っていて、『CLASSIC ROCK ROLL OF HONOUR』というイベントのスポンサーを務めたことがあった。

202010年にカムデンの有名なRoundhouseでそのイべントが開催され、司会はアリス・クーパーだった。
ライブ・パフォーマンスはCheap TrickとSlashをフィーチュアしたAlter Bridgeというバンド。
それに色々な部門の授賞式が執り行われた。
ようするに去年コレを国技館でやったワケですな。

30ようやく本題!
これからレポートする『HIGH VOLTAGE』なるロック・フェスティバルは2010年の7月24日と25日の二日間にわたって開催された。
もちろんこのフェスティバルを観にイギリスに行ったワケではない。その前の週にMarshallで会議があってそれに出席するために赴いたのだ。
このフェスティバルが開催されることは事前に知っていたが、行くつもりなど全くなく、大好きなロンドンの街を散策することに時間を費やすつもりだった。
ところが工場にいる間、仲良しだったスティーヴ・ドーソン(Vintage ModernやJTM45/100のリイシューを担当したエンジニア)から「シゲ、明日以降もロンドンにいるならHIGH VOLTAGEに行ってみたら?シゲのためのフェスティバルみたいなもんだぜ!」と強く勧められた。
そして「アレも出るし、コレも出るし」と出演者の名前を挙げだした。
その中にはArgentの名前もあって、「シゲならもちろん知ってるだろ?」と「Hold Your Head Up」を口ずさみ出した。
聞くところによれば、Marshallがフェスティバルのスポンサーもしているという。
私は暑いのも苦手だし、そうしたフェスティバルものが好きではないので、正直あまり乗り気ではなかったが、私が若いころ好きだったバンドがゴチョゴチョたくさん出るので行ってみることにした。
このことを当時のMarshallの副社長に話すと、インターネットに出ているフェスティバルの情報や会場への地図を親切にプリントアウトして持たせてくれた。
翌日、ロンドンに出ていつもの通りオックスフォード・ストリートをブラつき、HMVの前を取りかかった。

35vすると店先にフェスティバルの看板が出ていた。
中には全く知らなかったり、興味のないバンドもあったが、だんだん楽しみになって来た。
このフェスティバル最大の目玉は、「この日一度だけ再結成する」というEmerson Lake & Palmerだった。
私的にはさっきのArgentやFocus、Zappa Plays Zappa、UFO、Foreignor、BTOっぽいヤツ、Big Elf、ZZ Top、Wishbone Ash、そしてGary Moore等がお目当てだった…ってコレだけ出れば十分じゃんね!ゼンゼンすごいわ。

 
最近は日本もロック・フェスティバルがスッカリ当たり前になった。
皆さん複数のバンドが出るイベントにはあまり行かないのに、フェスティバルはお盛んですよね。
ま、それはいいか…。
そうした大型のフェスティバルに出演バンドの一覧を見ても、残念ながらもうサッパリわからんのよ。
名前ぐらいは知ってるというバンドも多いことは多いが、中には完全に海のモノとも山のモノとも、空のモノとも土の中のモノとも判別できないバンドが多い。
そして、恐らく私の同輩諸兄も同じだと思うのだが、いつもこう思う、「ああ、コレが我々の時代にあったらナァ」と…。
そして妄想がコレに続く…「今年の『サマー・ロック・サミット(仮)』は誰が出るんだって?
1日目のメインのヘッドライナーはツェッペリンか。2日目はディープ・パープルね。またリッチーか。
他にはエエ~ッと…BBAにFree、Procol HarumにTen Years Afterね。Humble PieにSweetにSlade、Nazarethに、ハハ、Budgieも出るのか。
オープニング・アクトはQueenとThin Lizzyか。Queenはまだオープニング・アクトやってるのか?
プログレ・ステージは…クリムゾンとフロイド、今回はYesがヘッドライナーか?
アメリカン・ステージはCCRにグランド・ファンク、ChicagoにBSTね。前座はAerosmithね。最近人気が出て来たからな~」…コレやってるとキリがないんだわ。
で、今の若い子ってフジロックとかサマソニでまさにコレを味わってるワケでしょ?
うらやましいよな~。
でも、私は一種コレに似た経験をHIGH VOLTAGEでしたのであった。

36vさて、開催の当日。
副社長からもらった地図を持って地下鉄で会場に向かう。
会場はヴィクトリア・パークという所で、最寄りの駅はロンドン市内を東西に走っているセントラル線の東のやや外れのマイル・エンド。
どうだろう、東京で言ったら小岩とか市川って感じかな?
中心から30分近く乗ったような記憶がある。

40サマソニの時の幕張駅のような混雑感はまったくなし。
「ホントにこの駅でいいのかよ?」みたいな。

50それでも、若い人たちがポツポツと歩いて行くのでそれについて行った。
途中、お腹がすいたので、小さなハンバーガー屋に入って昼食を摂った。
コレがまた不愛想のトップ・モデルみたいなオヤジがやっていて、オーダーをする時にちょっとビビったが、ゼンゼン親切で、焼きたてで結構おいしかった。

60vおお~、ココが会場か!…なワケはなくて、ただのパブ。
さすが、名前も「The Victoria」。
土曜日のパブはどこも昼間っからこんな感じだ。

70どこの街にも必ずある立派な教会。

80

こういう建造物を見て歩くのが大好きだ。
でも、この教会は他のと意匠が大分違うね。なんか変わった宗派なのかしらん?

90v「BOW WHARF」というのは東ロンドンで最初にできた蒸留所で、100年以上前からウォッカ、ジンやウィスキーを作っている…というのを知ったのは後になってからのこと。
ちなみに「ウォッカ」の発音は、英語では「ヴォドカ」なので要注意。

100「Canal」と呼ばれる運河。そのままか。

120v市内の至る所に横たわる大小の運河が景観に大きなアクセントを与える。
ロンドン・タウンをブラつくのが大好きだ。

130さて、見えてきました、会場のヴィクトリア・パークの入り口。

140面積86ヘクタールにも及ぶ大きな公園。
計算してみると東京ドーム18個分だって。そんなに大きくないのかな?
浅草寺で換算すると。境内の総面積の5倍。
コレでようやくわかった…結構デカイわ。

150さすがに人が増えて来た。

160でもね、一切、急ぐ様子がないのよ。誰も走ったりしない。
焦って会場に入って、少しでも前の方の場所をゲットしたい!…なんて顔つきのヤツがひとりもいない。
ま、出し物が出し物だけに年寄りが多いってのもあるけどね。

180チラリと屋根が見えてきたのは、CLASSIC ROCKの姉妹誌、METAL HAMMERの名を冠したステージ。
すなわちメタル用ステージ。
何やら音は聞こえてくるがまだラウドではない。

190

コレが入り口のゲート。
実に簡素。
テントを張ってテーブルを置いただけ。ま、どこもこんなもんか。

200入り口の壁にはZappa!

210イヤでも目に入る『Apostrophe (')』の凛々しいお顔!

220vこの4か月後にさっきのRoundhouseで開催された、「Zappaの音楽と70回目の誕生日」を祝うイベントの告知ポスター。
Zappaファンのために記しておくと、出演は…
Dweezil Zappa
Gail Zappa
Jeff Simmons
London Contemporary Orchestra(当日「Yellow Shark」を演奏)
Royal Academy of Music(王立音楽アカデミー。ZappaのCDを出していることを以前紹介した
Ali N. Askin(ドイツの映画音楽作曲家)
Ian Underwood
Scott Thunes他… 
観たかったな~。

230vコレはネブワースで毎年開催されるイギリス最大のロック・フェス『Sonisphere』の宣伝。

240vコチラは日本でもおなじみ『Ozzfest』。

250vIan Hunterも頑張ってる。
国内ツアーの告知でマンチェスター、グラスゴー、ブライトン、ロンドン、ニューキャッスル、バーミンガム、ブリストルを回る。
Ian Hunterって以前AVTを使っていたんだよね。

260vそれがですね~、さっきの入り口のゲートのところで少しモメちゃってね~。
入場に際してはすでに中に入っているMarshallのアーティスト担当のジョエルと電話でやり取りをして、ゲートまで迎えに来てもらうことになっていた。
それは問題なかったんだけど、荷物検査を担当したサン・ラみたいなコワイ顔をした黒人のオッサンが、私が持って行ったキャノンの愛機を「絶対に持ち込ませない」ってすごむワケよ。
今から7年前、当時日本はどうだったか知らないけど、向こうはプロフェッショナル・カメラ以外であれば無遠慮にステージの写真を撮っていいことになっていた。
反面、プロフェッショナル・カメラの使用には大変厳しく、「絶対に使わないから!」とそのサン・ラに言っても「ダメだ!ココへ置いて行け!」という。
冗談じゃないよ!
大事な商売道具だし、こんなところへ置いていったら二度と返してもらえないにキマってるだろーがッ!
するとジョエルがパスを見せてチョコチョコと説得してくれた。
そしてOK。
何せスポンサーだからね。
それでもサン・ラはジロジロこっちを見ていたな。
晴れて入場できることに相成った。
もっと早いうちに来ることがキマっいて、事前にプレス・パスを出してもらっておけばこんなことにはならなかったんだけどね。ナニせ急だったから。
中はこんな感じ。

270向こうの方に見えるのが「CLASSIC ROCk STAGE」と呼ばれるメイン・ステージ。
すさまじくホコリっぽい!

280_2ステージは3つあって、それぞれに雑誌の名前が付けられている。
すなわち…
CLASSIC ROCK STAGE
METAL HAMMER STAGE
PROG STAGE
の3箇所だ。

290この頃はまだエア・ギターが盛んだったんだね。
でも、客が2人しかいない!

300後になって盛り上がったようだ。
ま、往年の名バンドが山ほど出て実際に演奏しているのに、何が悲しゅうてエアギターを観なきゃならないのよ!

310v 色んな所に他のイベントの告知ポスターが貼られていたりする。
「PROGPOWER EUROPA」か…なんだコリャ、ナニひとつ知らんわ!

320vチラシもいろいろあって、Jon AndersonとRick Wakemanが『THE ANDERSON WAKEMAN PROJECT 360』なる名義でYesの曲を演奏するコンサートの告知なんてのもあった。

330


つづく

(敬称略 2010年7月23日 ロンドンにて撮影)