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2015年12月15日 (火)

【後日譚】 『アンプ大名鑑 [Marshall編]』のこと~あらためましてのありがとう!~

Marshall Blog読者のみなさんは、仕事や宿題をする時、早めに片付けて余裕しゃくしゃくで期限の日に臨むタイプですか?
それとも、期限が目前に近づいてプレッシャーがかからないと発進しないタイプですか?
私は完全に後者の方でしてね。
思い返してみると子供の頃から比較的そうだったかな…。もう冬休みの書初めがキライでサ。
「どうせやらなきゃならないんだから、サッサとやっちゃいないさい!」…このセリフが一体何回母の口から発せられたことか…。
母は私と正反対で、笑って締め切り日を迎えるタイプなんだよな~。なんでこうなっちゃったんだろう?
…ってんで去年の11月頃は『アンプ大名鑑』で本当に大変だった。
このことである。
(↑ 私が時々使うコレは、池波正太郎の『真田太平記』からの借用なのだが、池波正太郎って関東大震災があった大正12年、すなわち1923年生まれでジム・マーシャルと同じ歳であったことを先週発見!)
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よくある話しだけど、今にして思うとどうしてあんな時間があったナァ~と思うね。
そう、あったんです。
睡眠時間を削ったんです…シンドどかった。
コレも自業自得でしてね、私の仕事は翻訳文のチェックで、内容に齟齬がないかどうかを見極めるという作業だった。
その対象となる訳文が八月ぐらいから当方に届き出した。冒頭に述べた私の性格ゆえ、「コリャ溜めちゃうとエライことになるわい…」と最初の頃は原稿が届くたびに内容をチェックしていた。
それが日々の忙しさに紛れてしまい、いつの間にか作業から遠ざかってしまったんだな~。
「コレならいつでもできるかな」とナメてしまったことも正直ある。

気がつくと「アツイ、アツイ」と騒いでいた季節はとっくに去ってしまい、シャツが長袖になり、「し・め・き・り」と言葉が頭の中で反響するようになった。
何だかコ、コワイ!
でも、「怖がってなんかいられない」なんて、宮口精二が扮するヤクザに恫喝される『生きる』の志村喬よろしく、「コリャ、マジでヤバい!」とエンジンをかけだした。
やっぱり「ああ、お母さんの言う通りだナァ。『親の意見とナスビの花は…』ってか!」ってな具合。
朝はMarshall Blogの執筆やらSNSやら、昼はMarshall他のブランドに関する細々した仕事や写真の仕事ゴチョゴチョ、夜はイギリスとの連絡、Marshall Blogの取材や執筆…コレらの時間の合間すべてに『アンプ大名鑑』の作業をブチ込んだ。
もちろん土日なし。
特設作業机を設置して、24時間いつでもすぐに作業に取りかかれるような態勢を取った。

ところがですね、チョロイと思っていた作業がさにあらず。考えていたよりはるかに作業量が多かったのだ。そして、精神的な苦痛も伴い、やればやるほどシンドくなってきた。

この本は原本に誤謬が少なくなく、まずそれに細心の注意を払わなければならなかった。
100Wのモデルなのに表記ではパワー管が二本しか搭載されていなかったり…ま、こういう仕様に関することは長年Marshallをやっていると少しはピンと来る。
だいたいネ、イングヴェイのシグネチャー・モデルのモデル名が原本では「JMY」になってたりするんだゼ!
それと、インターネット。
なまじ何でも簡単に調べられるような環境になったので、何でも調べ切らないと気が済まない。
順調にいけば、イギリス好きな私にとってこの作業は面白いことこの上ないのだが、一旦つまづくとドツボにハマってしまってどうにも抜け出せない時間浪費のアリ地獄となってしまう。
でもネ、とにかく一番苦労したのは翻訳文のチェック作業そのものだった。当たり前か。それが仕事だもんね。
長年にわたってこれだけ毎日文章を書いていると、ヘタクソながら自分の文章のスタイル、イヤ、リズムかな?のようなものが出来上がってしまっていて、他人の書いた訳文というのはどうも座りが悪い。
私は普段Marshall Blogの文章を書く時、なるべく平易な表現を使って、読者に二度読みさせないように努めている。いつもフザけているように見えるかも知れないが、実はいつもフザけているのである。
ウソウソ!でも、「これで一発で意味が通じるかな?」と悩み、何度も何度も書き直す文章も存外に多いのである。
それだけに、そうではない複雑な記述の文章に出くわすとどうしようもなくそれが気になってしまうのだ!
それと、ギター・プレイに関する独特な表現はプロの翻訳家さんでも馴染みの薄いところであるのは仕方のないことであり、少なくない箇所で訂正を要した。
私とてそういった方面に明るくないため、アメリカ、イギリスのMarshall関係の友人に指導を乞い、たまたま観光でやって来たオーストラリアのディストリビューターの友人とは、イッパイやりながら原稿を片手にその辺りの英語に関するレクチャーを授けてもらったりもした。
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つまり、日本語となった文章をチェックするのが本来の仕事だったハズの私の作業は、すぐに原本にある「英文と首っ引きで翻訳文に目を通す」という作業に拡大した。
コレは辛かった。
あまりにも時間がかかってしまったのだ。
訳文の内容に矛盾を発見し、その真偽を見極めるためにたくさんの英語に関するウェブ・サイトをひも解き、そう長くもないひとつの英文を訳すのに30分以上を要したこともザラだった。
中には一時間考え込んでも答えが出ない英文もあった。
ネイティブなら子供でも一発で読みほどく文章なのに…だ。バカでしょう、ワタシ?

今だから言うけど、実は途中で「ムリです。できましぇん。この作業は締め切りまでには終わらないかもしれない…」と出版社の担当の方に泣きを入れたこともあった。
ところが、ウマいこと言いくるめて頂いて仕事に復帰。こっちは単純を絵に描いたような人間だからね。
写真が多いとはいえ400ページにも及ぶ大著である。その英文のほとんどすべてに目を通すのはかなり苦痛を伴なう作業だった。しかもコレだけやっていたワケじゃないし。
マァ、おかげで知らなかった熟語表現なんかもたくさん発見した。もう全部忘れちゃったけど…。
これがチェックした原稿。これとほぼ同じ量の英文も読んだ。
A3で460枚。さっき量ったら2.7kgあった。
CDを並べたのは厚さがわかるかな?と思って。
脱線…この『Amplified』という二枚組CDは大分前にLAで見つけて買ったもの。70年代の英米のロックをあまりにも無造作に詰め込んだコンピレーション。選曲の無責任さがおもしろいのと、ジャケがMarshallだったもんでゲット。ケースを開けたら中に使われている写真はF社のアンプでやんの!
左は原本。この英文ほとんどすべてに目を通した。
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表記の問題も大きかった。
アルファベット表記か、カタカナか?「ヴ」か「ブ」か?「・」を入れるか入れないか?大きな問題なのだ。

また、よしゃいいのに表紙の1959SLPと1960AXの写真まで撮らせてもらった。
これがまた結構大変だった。
表1に使われているフロントの写真はそれほど難しくないのだが、リアが死ぬほど難しかったことは以前にも書いた通り。
この我が家のスタジオも今となっては完全にNATALの倉庫になってしまったが…。ありがたいことに、NATALは色んなところからお声をかけて頂き、出入りが激しいので手元に置いておかないと動きが取れないのだ。うれしい悲鳴ってヤツ。
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さて、本の方はといえば、最後には一日に何回もバイク便を飛ばして出版社と原稿のやり取りをしなければならないほど切羽詰まった状況ではあったが、何とか締め切り日までに入稿することができた(つもり)。
だいたい初めからコツコツやっていたらあんなに苦労しなかったってんだよ!…という自業自得の見本みたいな話し。
そして予定通り2014年12月19日に発売の運びとなった。
やっぱりコレだけの分厚い本だからね、製品を手にした時にはうれしかったね!
苦労はスっ飛ばなかったけど…。
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それにも増してうれしかったのは、日頃お世話になっているMarshallプレイヤーの方にこの労作を手にして頂いたことだ。

大谷令文さん!
100Wモデルのページはお気に召して頂いたでしょうか?ココ、技術的な記述が多く死ぬほど苦労したところです。
P152のウェンブリーのThe Whoの写真はご存知でした?
令文さん、ありがとうございます!

大谷令文の詳しい情報はコチラ⇒ホームページ

O_10石原SHARA慎一郎さん!
SHARAさんご使用の歴代Marshallのモデル、すべて網羅されとります!
SHARAさん、ありがとうございます!

石原SHARA慎一郎の詳しい情報はコチラ⇒Official Blog

O_30五十嵐sun-go美貴さん!
MarqueeのJCM800ありがとうございました。
JVM410Hと1960DMもしっかり掲載されておりま~す。

五十嵐sun-go美貴の詳しい情報はコチラ⇒sun-go☆彡Blog

O_40大槻啓之さん!
日本屈指のジェフ・ベッカー。
考えてみるとジェフも1987からDSL、Vintage Modern、直近のDSL100HまでかなりのMarshallistですからね~。
大槻さん、ありがとうございます!

大槻啓之の詳しい情報はコチラ⇒BEPP Official Website

O_50_2ルーク篁さん!
ルークさんは実は歩くMarshall Museumなのだ。コンテンポラリーなMarshallは最近の1959SEまでほとんどすべて実戦でご使用頂いているけんね。
それだけじゃなくて、いくつもの即戦力の極上ビンテージMarshallのオーナーでもあるのよ。
ルークさん、ありがとうございます!

CANTAの詳しい情報はコチラ⇒Official Web Site

O_60

三宅庸介さん!
この本を日本で初めて販売したのは、発売日三日前の三宅さんの『Sound Experience 14』でのことだった。
よくある会場限定先行販売ってヤツね。一般のお客様にも多数お買い上げ頂いた。
みなさん、サインがへタでゴメンね。
三宅さん、ありがとうございます!

三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Strange, Beautiful & Loud

55島紀史さん!
大好評の新生CONCERTO MOONでも大活躍してるのがノンちゃん自慢のMAJOR 1967。
このモデルもシッカリ一項目となって編み込まれている。
そのサウンドはCONCERTO MOONのライブで体験して欲しい。
ノンちゃん、ありがとうございます!

CONCERTO MOONの詳しい情報はコチラ⇒Official Site

56関西からは金谷幸久さん!
今年発表した四枚目のソロ・アルバム『CRY FOR THE MOON』も好評な根っからのMarshallistだ!
金谷さん、ありがとうございます!

金谷幸久の詳しい情報はコチラ⇒Official Blog

O_20中野重夫さん!
ウチに遊びに来て頂いた時にパチリ。
Jimi Bruce Band他でますます活動を活発にするシゲさんとMarshallは切っても切れない縁だ。
考えてみると、シゲさんって世界一のSUPER100JHのオーナーかも。なんぼ好きでも、このJimi Hendrixのシグネチャー・モデルを三セット持っている人は他にいないでしょ?
Marshallの工場にももうないかも?
シゲさん、ありがとうございます!

中野重夫の詳しい情報はコチラ⇒Jimi Bruce Band facebook

O_70田川ヒロアキさん!
最近はJVM201Hと1936VでブイブイいわせていることはMarshall Blogでレポートした通り。
生半可ではないMarshallへのロイヤルティにはいつも感謝しております!
ヒロアキくん、どうもありがとう!

田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒FretPiano

O_75関雅樹さん!
Marshall Blogには珍しいジャズ畑のギタリストにもゲットして頂きました。コレがまたMarshallでいい音出しよる!
最近は1974Xにズッポシはまってらっしゃる。
関ちゃん、ありがとう!

関雅樹の詳しい情報はコチラ⇒Offcial Website

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Anziさん!
本を手渡すと、「こういう図鑑みたいなモノって大スキなんですよ!」とうれしそうにページをめくってくれたのがうれしかった。
摩天楼オペラのステージ、Anziさんの背中にMarshallがなかったらどうするの?
Anziさん、いつもありがとう!

摩天楼オペラの詳しい情報はコチラ⇒OFFICIAl SITE

O_76ニューアルバム『R』がバカウケのD_DriveのMarshallチーム。
まずはSeijiさん。
Seijiさんが愛用している私が企画したECフレットのDSL100は掲載されていないのが残念!
でも唯一無二のインスト・メタル・バンドでMarshallが活躍しているのは誇らしいことだ!
Seijiさん、ありがとう!

D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒Official Web Site

O_80そしてYukiちゃん!
日本を代表する女性シュレッダーとしての地位を確立した感十分ありのYukiちゃん。
いつも最高のプレイとサウンドを聴かせてくれるのはうれしいナァ~。
Yukiちゃん、ありがとう!

O_90若手コーナー。
Fury of Fearから西村守くん!
ゴメンね、オジちゃんいつも「Fury of Fear」か「Fear of Fury」かわからなくなっちゃうの。
でもこれからの活躍に期待しております。
もちろんMarshallといっしょにね!
守くん、ありがとう!

Fury of Fearの詳しい情報はコチラ⇒Official Website

O_100同じくFear of Furyから…イヤ違う!Fury of Fearからベースの文月りらちゃん!
こんなことやってるからいつまでたっても正確に覚えられないんだよね~、失敬、失敬。
りらちゃんは勉強熱心でしてね、昔のMarshallのベース・アンプに関する質問なんかをしてくれる。
ステージに立って髪を振り乱して四本の弦をかき鳴らす姿は大変セクシーだ。
りらちゃん、ありがとう!

O_110最後、SHARAさんや劇団☆新感線を手伝っている中村貴くん。
考えてみると貴くんとも長いお付き合いになってきた。色々とお世話になっちゃってるんだ!
貴くん、ありがとう!
そして、左は冒頭に書いたようにこの本の監修で煮え湯を頂戴した私。

O_120…以上、『アンプ大名鑑 [Marshall編]』の発売一周年を記念して一本編ませて頂きました。

もちろん、ココにお出になってはいないものの、この本をお買い上げ頂いたミュージシャンや関係者の方々もたくさんいらっしゃることと存じます。
そして、この本をお買い上げ頂いたMarshallファン、アンプ・ファン、音楽ファンの皆様、この場をお借りしましてご厚情に心から感謝を申し上げます。
次回は2062年の出版となります…てかッ?!

(一部敬称略)