60年になんなんとするMarshallの歴史の中心に君臨する1959とJCM800 2203。
それらが数々の名演/名盤誕生の瞬間に立ち会い、ロック・ギターの発展に計り知れない業績を残してきたことに異論を唱えるロック・ギタリストはいないだろう。
しかし、そのサウンドはとにかくラウド!
「♪大きいことはいいことだ」の時代はいずこへ…今ではスッカリちいさいものばかりがもてはやされるコンパクトな時代になってしまった。
ってんで、Marshallも時代のニーズに呼応するべくリリースしたのがSTUDIOシリーズ。
1959と2203、加えて2555Jubileeの3つの100Wモデルを20Wにパワー・リデュースしたモデル。
おかげさまで世界中で好評を頂戴しております。
そのSTUDIOシリーズの1959の方、つまりSTUDIO VINTAGEシリーズを若きギター・ヒーロー、Johnny Yoshi Hiroにデモンストレーションにお願いし、その動画を公開した。
Johnnyくんは今年2月に解散したLuther Smoke Dokeyes時代に何度かMarshall Blogにご登場頂いている。
とにかく若い。
24歳になったか、ならないか…それなのこのTシャツ。
よくこんなの売ってるな。
JohnnyくんはチャンとTシャツのオジちゃんの顔が見えるように撮影時にわざわざギターを掛け直してくれた。
誰かこのオジちゃんを知ってる人いますか?
この人は、Little Jimmy Dickens(リトル・ジミー・ディケンズ)というカントリーの大御所。
「Little」というぐらいで、150cmの伸長を活かし(?)、ギランギランのスパンコールの衣装をまとって人気を集め、1983年にカントリーの殿堂入りを果たした。
え?私は知ってるのかって?
現代音楽から民族音楽まで、「音楽」とあれば何でも楽しむ私だけど、自慢じゃないがジャズ以外の黒人音楽とカントリー・ウェスタンだけはダメだ。
他にも苦手な音楽はあるけれど、ソウルとカントリーは私の二大天敵なのだ。
ブルーグラスはまだいんだけど、どうしてもカントリー&ウエスタンは受け付けない。
やっぱり私はレッドネックからはほど遠い、根っからのイギリス紳士なんだな。(ウソこけ!)
だからこのお方を知るワケがない。
でも、「Grand Ole rpry(グランド・オール・オープリー)」に参加してたのね?
「Grand Ole Opry」だけはDoyle Dylesのおかげでかろうじて知ってる。
この1965年の「May the Bird of Paradise Fly up Your Nose」という曲が最大のヒット曲なのだそうだ。
聴いてみるとスゴいのよ…ギターが。
もうさすがにコレはフザけているんじゃないか?と思うぐらい威勢の良いディレイのかけっぷり!
そのギターはGrady Matinという人。
ハハハ!やっぱりな…エコープレックスがちょうど発売された頃だったんだって!
誰でもこうやりたくなる気持ちはわかる!
グラディ・マーチンは、ロニー・ホーキンス、ロイ・オービソン、エルヴィス、レオン・ラッセル、ジョーン・バエズ、J.J.ケールなんかとも共演している人。
写真だけ見るとひと昔前まで浅草演芸ホールに出ていたようなイメージだ。
マルベル堂でブロマイドを売っていそう?
この人、カイ・ウィンディングの『Modern Cowboy』というアルバムに参加しているのには驚いた。
トロンボーンでカントリー?
さすがに気になって聴いてみたが、ま、トロンボーンのイージー・リスニング・ミュージックみたいな?
悪くはないけど、やっぱりJay & Kaiの方がケタ違いにカッコいい。
カントリーの脱線ついでに…。
あったんですよ、Marshallにも。
「4140 Club & Counry」というカントリー用のモデル。
ゼンゼン歪まなかったらしい。
お、それと、今日の記事のタイトル。
「スタジオ・ジョニー」というのは、ブレヒト=ワイルの「Surabaya Johnny(スラバヤ・ジョニー)」という曲のシャレ。
私はワイルが大好きなので、Johnnyくんに許可をもらった上でこういうタイトルにさせてもらった。
Johnnyくんはワイルを知らなかった。
ヒヒヒ、コレでおあいこね。
こんな具合で、Johnnyくんがウチに来るとそっち方面の音楽の話で盛り上がる。
「リッチー」や「イングヴェイ」の名前はただの1回も出て来ない。
何となく方向性がピッタリだったのは、オーネット・コールマンの『Dancing in Your Head』ぐらいか?
Johnnyくんはサザン・ロックにも造詣が深くてね。
Marshall Tucker BandだのBlack Oak Arkansasとかいう名前が毎回出て来る。
こないだはHydraの話もしたな。
私はサザン・ロックはそれほど聴いていないんだけどね。
一方、彼はプログレのようなヨーロッパ然とした類の音楽がカラッきしダメ。
こうしてゼンゼン話が合わないようだけど、だからこそ実に面白い。
24歳とは全く思えん。
この動画を撮影の後、お疲れさん会で酔っぱらって、Status QuoやFoghatを一緒に弾かせてもらったの実に楽しかった。
ウチのセガレより全然若いんだよ。
こんな若い人と楽しく仕事ができるなんて、私はなんてシアワセなんだ!
さて、Johnnyくんにデモをしてもらったのは、20WヘッドのSV20H。
それを2x12"のSV212と…
1x12"に組合わせる。
そして、同じく20Wのコンボ、SV20Cも弾いてもらった。
STUDIOシリーズは完全真空管仕様。
ECC83が3本と…
EL34が2本搭載されている。
やっぱりね…真空管アンプですよ。
タイトルにある「いいこと」とはこのことなの。
ご存知のようにMarshallはCODEというデジタル・アンプをやっているでしょ?
おかげさまでコチラも好評で、本当にレコーディングで使っているプロ・ギタリストがいるぐらいのサウンド・クォリティなワケ。
それで今頃それのデモ動画をセッセと作っていることもご存知でしょう?
CODEもSTUDIOも同じ場所で撮影しているんだけど、特に防音の処理をしていない部屋なので、外には丸聞といえば丸聞こえなの。
ところが!
同じような音量にしているつもりでも、外へ漏れ聞こえて来る音の大きさが真空管アンプとデジタル・アンプとではゼンゼン違うのよ!
コレが「音のヌケ」というヤツなのね。
真空管アンプは文字通りジャンジャン音が外へ抜けていってしまう。
長いコトやっていたら間違いなく「オワマリさんコース」だろう。
こんなにも違うモノかと今更ながら驚いた。
道理でデジタル・アンプのギターの音が、大きな会場では後ろまで届かないことがよくわかった。
もうひとつ…。
ビデオ・カメラに収録される音が全く違う。
機械はしょうじきだよ~。
コレも同じ音量でやってても、真空管アンプの方は収録している音が簡単に割れてしまうんよ。
音の周波数の加減なのかナァ?
そこでその場でビデオ・カメラのメーカーに電話して、音声入力の調整の仕方を教えてもらい、最小にセットして試してみた。
結果…ダメ。
どうしても音が割れちゃうの。
こんなことを体験したら、いくらPAの技術が進化しても大きなコンサート会場では真空管アンプを選ぶべきということがわかりますね。
「ギター・アンプはやっぱり真空管に限る」ということへの理解が深まったのはとても「いいこと」でした。
CODEのコスパも素晴らしいけどね。
一応、両方立てておかないと…。
でも、とにかくアレにはビックリした。
そんなことがあって、実は今回の撮影は3回目のチャレンジだったのよ!
毎回、事後の「音楽飲み会」の方が楽しみだったりして…。
STUDIOシリーズは元のモデルのルックスも忠実に再現しているところがうれしい。
この黒と金と白のカラー・コーディネーションはジム・マーシャルの偉大な発明だと思うよ。


リア・パネルは今風にアレンジされている。
SV212のハンドルはこれまたうれしいメタル仕様。
この1x12"がまたいいんだ~。
それでは、Johnnyくんの新曲「Daydream Waltz」をフィーチャしてお送りしましょう!
『スタジオ・ジョニー <STUDIO VINTAGE編>』をどうぞ~!
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今日はココまで。
<STUDIO CLASSIC編>につづく。
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