田川ヒロアキ『THEME PARk-テーマ・パーク-』の裏ライナー・ノーツの<後編>はジャケットのお話から…。
その前に…<前編>の「維新の言霊」のところに登場した「シリモンコン・ルーパスパット」さんというのは一体誰なんだ?という質問が多数寄せられているので(ウソこけ!でも本当に何人かに訊かれた)、ココでお答えしておきます。
実は、私もわからないんです。
コレは中学2年の時に、いいヤツなんだけど不良で通っていたクラスメイトの大鹿くんがいつもこの言葉を口にしていたので、意味も知らずに自然に覚えてしまったのよ。
子供ながらに音の響きがおもしろくて、40年経った今でも忘れられないでいるのです。
そういえば一度だけ大鹿君と有楽町のLo-Dブラザへ行ったことがあったナァ。
大鹿くんは他に「チャチャイ・チオノイ」のこともよく話していたので、もしかしたらムエタイかなんかで「シリモンコン・ルーパスパット」という選手が実在したのかも知れない。
チャチャイはWBCで2回、WBAで1回、それぞれフライ級の世界チャンピオンになったタイのボクサー。
大分前に、シリモンコンのこともインターネットで調べてみたのだが、手掛かりがつかめなかったのだが、今回を機に、念のためにもう一度調べてみると、エエッ?!
1997年のWBCのバンタム級の世界タイトル戦、辰吉丈一郎の対戦相手が「シリモンコン・ナコントン・パークビュー」というタイの選手だって!
すると、「シリモンコン・ルーパスパット」という人も実在した可能性は高いな…。
あ、コレ以上の情報は頂かなくて結構です。
シリモンコン・ルーパスパットは謎のまま、大鹿くんの思い出と一緒に胸にしまっておきます。
ちなみに、数学の先生のアダ名は「チャチャイ」だった。
チャチャイ・チオノイを知っているヤツなんていないに等しいのに、全校生徒から「チャチャイ」と呼ばれていたっけ。
話を戻して…ジャケットはコレね。
ジャケットの話となると、ヒロアキくんのマネージャーであり、ギター・テクであり、人生のパートナーである美瑞穂さんをフィーチュアすることになる。
美瑞穂さんファンお待たせしました!(写真はありませんが、スゴイの見せます)
ある日、マネージャーの美瑞穂さんから連絡があった。
電話の内容は、『THEME PARK』のジャケット・デザインを考えているんですけど、何かジャケットのいいアイデアはありませんか?という。
困った時はすぐこのオジさんだ。
ま、こっちもキライではないので、すぐに協力しちゃう。(デジャ・ヴ)
実はジャケットのアイデアは『THEME PARK』というタイトルより先に決まっていた。
美瑞穂さんはその電話の時にはすでに腹案を持っていて、こう説明してくれた。
「全国各地から依頼を受けて作った曲のコンピレーション・アルバムなので、いろんな人が田川の周りに集まってるイメージにしたいんですね。動物も集まっちゃうんです。
そして、その真ん中で田川はタクトを手にして、集まったみんなを指揮している…みたいな」
「ふーん、おもしろいじゃん。イラストでやりたいね!」
「そうなんですよ!」
「しからばこんなイメージで、写真とイラストを組み合わせたらどうだろう?」と『メリー・ポピンズ』を引き合いに出した。
「そうです、そうです!まさにこういうイメージ!」
…ということで指針がキマッた。
一応、美瑞穂さんには、簡単なイラストでいいから頭の中にあるイメージを描いておいて!と頼んでおいた。
デザインはどうするか?
すでに美瑞穂さんと私の頭の中には「梅村デザイン研究所」があった。
デザインは梅村さん、モデルはヒロアキくん、写真は私…すなわち『Ave Maria』チームの再結集だ。
梅村さんはとても本人のモノとは思えないような最高に可愛くて、上品で、おしゃれなイラストを描く人。
「下町のひとりヒプノシス」を標榜しているが、カル・シェンケルとソール・バスの要素も入ってる才人だ。
残念ながら『Ave Maria』の時はイラストが使えなかったので、美瑞穂さんも私も今作では絶対に梅村さんのイラストが使いたいと思っていたのだ。
最近の『汚レコード』をはじめとして、梅村さんのことはすでに何度もMarshall Blogで紹介してきた。
Marshallの2010年度版と2011年度版のMarshallの日本語版カタログの表紙のデザインを梅村さんにお願いしたこともあった。
ジョン、デケえな~。
ジョンに会うといつも思うんだけど、ペリーが来航して初めて白人を見た人たちはさぞかしコワかったろうナァ~って。
梅村さんは私同様かなりの音楽変態で、Frank Zappaの過去の全演奏を聴くことをライフ・ワークにしている。
その他、ジャズから現代音楽まで、途方もない知識を蓄えていらっしゃる。
そんな梅村さんが一目を置いているのがヒロアキくんの音楽だ。
よって今回も快く仕事を受けてくださり、最高の仕事をしてくれた。
まずは素材となる写真の撮影。
美瑞穂さんのコンセプトを梅村さんに伝え、指揮棒を持つヒロアキくんのカットから撮影に入った。
実はですね、ヒロアキくんの撮影って大変なんですよ。
…とうのは「~みたいにして!」というリクエストが一切できないのね。
かつてステージ・アクションの練習をしていて、「不動明王みたいに立ってみて!」と言われたのだが、それができなかった…イヤ、できるワケがない。
「スミマセン!不動明王って見たことないんですよ!」
「あ!そうか!」となる。
「横向いて」とか「ギターを立てて」とかいう単純なリクエストはもちろん正確に対応してくれるが、微妙な調整になると、毎回身体にタッチしてポーズを作ってあげなければならないのだ。
いつも笑顔のヒロアキくんだけど、この日は一日中ヘヴィなニコニコで疲れたと思うよ。
前回は扇風機の風でクタクタになったんだよね。
さて、本格的な撮影に入る前に美瑞穂さんのイメージを確認しておく必要がある。
お願いしてあった頭の中にあるイメージのイラストを見せてもらった。
出て来たのがコレ。
一同絶句。
「キラキラ~」はどうしても書きたかったのかな?
しかし、いくら美瑞穂さんが竹を割ったようなキャラでもコレは潔すぎるでしょう!
特に身体の描写が強烈だ。
コレって…
目の錯覚のヤツ?
どっちが長いのかな~?
実は同じで~す!
ウッソ~!ってか?
なるほどヒロアキくんの周囲に人や動物が集まって来てるわ。
ナゼか動物はネコだけ。
しかも、どういうワケか人よりネコの描写の方がはるかに細密だ。
美瑞穂さん、ネコ好きなのかな~。
そんな話聞いたことないな。
あ~、でもネコの身体も「目の錯覚」になってるわ。
イヤもう、<前編>で「竹を割ったような人」と美瑞穂さんを例えたが、このイラストの一撃で竹なんか粉々になっちゃうわ!
でも、考えていることはわかる。
ひと通り指揮棒を持っている所の写真を撮っておいて、他のカットの撮影に入った。
梅村さんはジャケットサイズの穴が開いた型紙を当ててレイアウトを考えている。
「じゃぁ、ギターを抱えてチョット歩いてみて~」
「もう一回もう一回!」と何度も何度も同じことをやってもらった。
頭の中のイメージに合うカットが撮れていそうだとすぐさま梅村さんのチェックが入る。
梅村さんもジャンジャンイメージを膨らませているのだ。
ジャケットに使うかどうかは別にしてアー写も獲っちゃおう!ということで、もう後はやりたい放題。
そして出来上がったのがコレ!
あ、違う!
こっちだった!
メッチャ気に入ってる。
こんなジャケット、最近見かけないでしょう?
コンセプトといい、レイアウトといい、色合いといい、フォントといい、写真といい…世界に出してもまったく恥ずかしくない第一級のCDジャケットになったと思っています。
ジャケットは中身を写す鏡ですからね、絶対に軽んじてはならない。
エ、指揮棒のカットはどうなったかって?
安心してください。
ブックレット他で採用されています。
ヨカッタね、美瑞穂さん!やっぱりあのイラストがヨカッタんだよ!
それでね、ココでは見せていないけど、ブックレットの中のデザインにも注目してもらいたいの。
各ページがまったく異なるイメージになっていて、描き下ろしのイラストの可愛いさったらないよ。
私の写真もとてもうまく使って頂いた。
見た目と中身の音が完全にマッチした素晴らしいパッケージに仕上がったと思う。
あ、それと忘れちゃいけないのがオビ。
梅村さんはオビにも細心の気を配ってくれた。
ちょっとレトロな雰囲気の「テーマパーク」のフォントがいいね。
それでは今回も収録曲をいとつずつ見ていこう!
9. ハンバーグのうた
ボクシングでひと汗流して、KRYで選挙速報を見た後は楽しい夕ごはん。
今日はハンバーグだよ~。
ヒロアキくんは時折「ハンバーガー・ナイト」というイベントに出演してロックとハンバーグの融合という仕事に取り組んでいる。
そのイベントにマッチさせて作ったのがこの曲。
かつてコロスケがコロッケの歌を歌っていたけど、同じ趣向。
言わずともハンバーグの方が高級だ。
カリプソというか、一時流行ったMolavoiみたいなサウンドが楽しいね。
そういえば、カリプソってのは日本ではダメだね。
誰も演りたがらない。
ユーミンの「避暑地の出来事」ぐらい?
そういう意味ではこの曲はとても新鮮だ。
「カリプソ」っていうのはトリニダード・ドバゴ等のカリブ海の島々発祥の音楽。
Van Dyke Parksの『Discovery America』の1曲目の「Jack Palance」なんて曲がモロそれ。
陽気で明るいんだけど、歌っていることはシリアスで世情を揶揄したりすることが多いようだ。
私も中村とうようさんの監修したコンピレーション・アルバムを1枚持っていて、何年かに1回聴くが、なかなかいいモノですよ。
何しろアーティスト名がどれも大ゲサで、マイティ・デストロイヤーとかロード・インヴェイダーとかマクベス・ザ・グレートとか、一聴すると「え、カリプソってヘビメタなの?」みたいな名前ばっかりで笑える。
最後の「いっただきま~す!」ってのがカワイイ。
ん、でも待てよ、コレ空気抜いてないんじゃないの?
パッチン、パッチンってやるやつ。
でもいいか、曲が可愛いから。
食べちゃおう!
10年以上前に初めてドイツのフランクフルトに行った時は驚いたね~。
ハンブルグではないにしろ、「ドイツに来たらやっぱハンバーグでしょう」ということで本場のヤツを頂いた。
「コレがホントの本場ーグ!」なんちゃって、中央駅のそばの惣菜屋でアツアツのハンバーグとフランクフルト・ソーセージ、それのビールをしこたま買い込んで、さっそくホテルの自室で頂いた。
コレがね~、とてもじゃないけど食べれなかった。
何しろとにかく塩っ辛いのだ。
ウチの食事は比較的薄味なものだから、余計にそれがツラくて。
少し食べただけで舌がビリビリとシビれてきちゃってね。
すぐ食べるのを止めたわ。
そうした惣菜ではなく、ちゃんとしたレストランに行けばおいしいものはいくらでもあるんだけど、どれも概して塩味が濃いんだよな~。
あと酢!
酸っぱすぎるんだよね。
もともと酢が苦手な私は、とてもじゃないけどドレッシングがかかっているサラダを食べることができないのよ。
もうショッパムーチョにスッパムーチョなの。
でも豚肉自体の味は最高だ。
それとヴァイツェン・ビールは大好き。あの香り…。
イングリッシュ・エールの次に好き。
下は同じ惣菜屋で買ったホットドッグ。
長いソーセージをワザワザ丸いパンにはさんで食べるのが地元式だっていうんだよね。
「どうやって食べるのが正しいのか?」とドイツ人の友達に尋ねると「好きな食べ方で食べるのが正しいんだよ」だって。
コレはハンバーグほどしょっぱくはなかったけど、ニューヨークの$1のホットドッグの方がゼンゼンおいしい。
ドイツに滞在していた友人が、直後にイタリアに移動した際、しばらくの間イタリアの食事は何の味もしなかったそうである。
こちらはハンバーガー・ナイトで供されるハンバーガーたち。
おいしそ~!
やっぱり食べ物は日本が一番よ!
ハンバーガー・ナイトではヒロアキくんの曲にちなんだオリジナル・メニューが用意される。
コレは小田原で開催した時の「KABOSSバーガー」。
テーマは『Over Drive』に収録されている「海岸通り」。
大和のPAOの時はチェッカー・フラッグを装った。
カーレースといえば、ヒロアキくんのテーマ・ソング「My Eternal Dream」だ。
もうひとつ、こちらは川崎ウッドストックの「プレミアム・ラクレット・チーズ・バーガー」。
コレのテーマは何だろう?
「チーズを乗せて」かな?
川崎の時の記念写真。
アレ?SUPER BLOODのベースの亮さんもいる!
左から2番目の塩湯さんはこの企画の立役者で、Marshall Blogのよき理解者でもある。
いつも私の文章を惜しみなくホメちぎってくれるのだ。
人間いくつになってもホメられるってのはうれしいもんです。
その塩湯さんとヒロアキくんの打ち合わせ風景。
どう見てもイッパイやっているようにしか見えんがのう…。
塩湯さんが手にしているのはハンバーガー・ナイトのチラシ。
壁に貼ってあるヤツね。 こういうヤツ。
いいデザインだ。
ま、言たかないけど、ヒロアキくんの写真は私が撮ってるね。
10. カラムーチョZ ~秘密結社コイケヤのテーマ~
ショッパムーチョの話の後はカラムーチョ。
オリジナルはファンキー末吉さんの作曲とドラム、「アニソンの帝王」水木一郎さんの歌、ヒロアキくんのギターで制作された。
それを今回ヒロアキくんの歌でリメイク。
そもそも、ファンキーさんの作った曲の仮歌はヒロアキくんが歌ったモノで、それを水木さんにお聞かせしたのだとか…。
下はPVを撮影した時のスナップ。
水木さんの「ズエッ~ト!!!!」という声が聞こえてくるようだ。
この曲についてはヒロアキくんがライブのMCでさんざん語って来たので、その他の詳しい説明は要らないだろう。
そのMCに良く出て来る「風になびく赤いマフラー」がコレ。
もらえるのかと思ったら「3,000円です」ってヤツね。
そういえば横浜のヤッチンのライブ時にこの曲を演奏するってんで、ライブハウスの向かいにあるコンビニで偶然見つけたカラムーチョを買って差し入れたんだっけ。
するとヒロアキくんはよろこんで、「ライブ中に紹介しますね!」って言ってたんだけど、スッカリ忘れられちゃったんだよナァ。
あのカラムーチョ代返してくれますか?
は~、今日はずっと座りっぱなしでコレを描いているのでお尻が痛いわ!
11~14. シンジケート・アドレス
コレはおもしろいな~。
よ~やるわ~。
<前編>の府中のところで触れた、「府中に夢中」につながったラジオのジングルがコレ。
1991年2月から2014年6月の長きにわたってJFN系全国27局で放送されたヘヴィメタルの専門ラジオ番組「Heavy Metal Syndicate」への投書の宛先を歌にしたシリーズ。
当然歌詞は住所ということになる。
途中から歌詞がメール・アドレスになるところがミソ。
つまり、1991年から2014年のある時点から、文字によるコミュニケーション・ツールの主役がeメールに替わったこともこの曲は示唆しているのだ。
実は11~14は社会派ナンバーだったのだ。
ちなみに現在は、歌詞にある住所、メール・アドレスとも無効になっている。
15. The War is Over
ココから3曲はパチスロ・セクション。
イヤ~、それにしてもコレどうしてロックとパチスロってのが頻繁にくっつくのかしらん?
アレは忘れもしない…いつだったっけナァ~。
Marshall Blogでパチスロの新機種の発表会を取材したこともあった。
まずは「真モグモグ風林火山2」の月野ワグマ武将歌。
ク~、この声!
聞き紛うことなき、二井原さんの声!
この曲は作詞作曲も二井原さんが手掛けている。
ドラムはファンキーさん。
ヒロアキくんの担当はアレンジとギターだ。
ク~、このギター!
まずイントロがいい。
そして、ギター・ソロ。
「キミを乗せて」もいい例なのだが、曲との関連性を考えてコンパクトに、そしてスリリングかつメロディアスに言いたいことを弾き切るギター・ソロにかけては、ヒロアキくんは随一の存在ではなかろうか?
どんな時でも絶対にグダグダとソロを弾かない。
やっぱりMarshall使ってるからかな~?
でも「ホンモノを使っている」というプライドがプレイに影響を与えていると信じたい。
やっぱりアナログ真空管アンプじゃないとダメね、ロック・ギターは!
16.遅い春越後
今度は「真モグモグ風林火山2」から上杉モグ信武将歌。
「ナニ!上杉は米を喰っておるのかッァァ?!」と地団駄踏んで悔しがったのは武田信玄。
そりゃマァ、越後と甲斐とじゃね~。
それでも武田信玄の軍隊というのは日本の歴史上、最も強かったらしい。
しかし、米じゃ新潟にかなわないわな。
この曲ではヒロアキくんが作曲とアレンジを担当。
ドラムはファンキーさん。
歌は渡辺英樹さんだ。
歌詞もヒロアキくんの作ったメロディに英樹さんが丁寧に言葉を乗せた。
本当に英樹さんの訃報には驚いたナァ。
私は付き合いは長くないのだが、王様とファンキーさんのはち王子様と英樹さんのトリオが好きでしてネェ。
熊谷まで取材に行ったことがあった。
下の写真はその時のもの。
高めのキーの英樹さんの張りのある声が今でも耳に残っている。
この曲ではその声で自作のロマンチックな詩を朗々と歌い上げている。
そのライブの時に、オープニング・アクトのような形で「インドの林檎」というギター漫談の芸人さんが出演した。
終演後、物販タイムの時に、あるお客さんが英樹さんに「インドの林檎さんはいらっしゃいませんか?」と訊いたのかナァ?
英樹さんはあのメッチャ抜けのいい声で「インドさ~ん!インドさ~ん!」とその芸人を呼び出した。
インドさん…おもしろくない?
すると、その芸人さんは今まで「インドさん」と呼ばれたことがなかったらしく、「イヤ、オレ、インドさんじゃないんだけどな~」と言ってお客さんの方へ寄って行った。
それを横で見ていておかしくて、おかしくて!
私の英樹さんの思い出のひとつ。
17. 風林火山
パチスロ三部作のシンガリは、「真モグモグ風林火山2」からファンキーさん作詞作曲ドラムスの武田モグ玄武将歌。
歌うは田川モグ晃。
ホラ貝の音に導かれて「♪風・林・火・山」!
コリャまたとびっきりやかましいな~!
ヒロアキくんの気合いが入りまくりの歌もいいんだけど、バッキングがカッコいいんだよね、この曲。
サビのベースがなんか変わってる。
下の写真は、2014年12月に原宿のクエスト・ホールで「真モグモグ風林火山2」の発表会が開催された時のもの。
この時のベースは英樹さんだった。
滅多にこんなことないと思って、パチスロの新機種とMarshallの記念撮影をしておいた。
いいね、四角ってヤツは。
スッキリしてる。
18. 平和の風
賭けごとの後は清らかに…。
ヒロアキくん自ら「代表曲になってきた」という重要なナンバー。
作詞は三木あずささん。
実際にいい曲だもんね。
おかげで「やっと、ずっと」を全く演らなくなっちゃった?
「平和の風」は、学校の合唱コンクールの課題曲になったり、コーラス隊のアレンジが施されたりと様々な場所で、また様々な形で愛唱されている。
ヒロアキくん自身もTAGAWAの『Wind』ではストリングスをバックに2バージョン歌っているし、今年リリースされた『Winds and Waves』というアルバムでは灘校のグリー・クラブが取り上げている。
この曲も色々スゴイ話があって、やっぱり名曲にはドラマが付きまとうね。
まずヒロアキくんのファンのシンガーソングライターの方が自分の歌のレッスンで「平和の風」を歌ったところ先生がスッカリ気に入ってしまった。
先生がファンになっちゃったワケ。
すると、その先生は自分が所属する「Nadeshiko」というコーラス・グループで「平和の風」を取り上げ、Nadeshikoがイタリアに遠征した際、大聖堂でこの曲を歌ったのだという。
下は「平和の風」を海の向こうに連れて行ってくれたNadeshikoの皆さんとヒロアキくん。
その「先生」、声楽科の薄井彰子さんと。
薄井先生は西武台千葉中学校という学校で教鞭を取っていらして、学内のコーラス・コンテストの課題曲に「平和の風」を選んでくださった。
完全に公私混同である。
イヤ、「平和の風」がそれに値するクォリティということなのだ。
そのコンクールに審査員として参加したヒロアキくん。
後姿なのに目立つ。
下は真剣に審査をするヒロアキくん。
ひとつ、すごく興味があるのは、女性がソロでこの曲を歌ったらどうなるだろうかということ。
そうだナァ、夏川りみちゃんみたいな美しく澄んだ声で、この曲をミッチリと歌い上げたら聴いた人は必ずナミダするのではないだろうか?
少なくともオレは泣くな。
30分のミニ・コンサートもやっちゃった。
当然、「平和の風」も演奏した。
生徒さんが「すいません!ギターの弾き方間違えてますよ!」と教えてくれたとか、くれないとか。
「紅」は間違いなく演っていません。
19. たんぽぽと風
今、シットリ地帯に入ってます。
<前編>でも触れた通り、私はヒロアキくんの音楽を時折「校歌ロック」と呼んでいるが、ヒロアキくん、本当に社歌を作っちゃった!
公私にわたるヒロアキくんの強力なサポーターで、レストランを幅広く営む「株式会社無州」の社歌だ。
ギターを提げているお方が社長の浅野さん。
何でT5なんですか?!コアじゃないですか!
ワタシャこの浅野さんが持っているギターのデモンストレーションを何回もやったんだよね。
なつかしいナァ。
そんなことは当然どうでもいいワケで…。
コレは浅野社長のお父様が描いたイラスト。
誰かさんのイラストとは大違いだ。
「たんぽぽと風」にピッタリのイメージ!
ホント、このイラスト通り、この曲はヒロアキくんのやさしい一面が大きくフィーチュアされた一編となった。
浅野社長は先日の『THEME PARK』発売記念コンサートにもお越し頂き、客席から花束をヒロアキくんに贈呈された。
20. すきっちゃ 好きなほ! 下関
『THEME PARK』はヒロアキくんの故郷である下関をテーマにした曲で締めくくられる。
この曲は以前にシングル曲としてこの世に出ている。
下関がある山口県って、飛び抜けて大きな都市ってないんだよね。
でも下関市の人口が一番多いとは知らなんだ。
ナンダ、ヒロアキくんってシティボーイだったのね?
山口の人口は下関、山口、宇部、周南、岩国、防府がベスト5で人口が10万以上。
秋芳洞があることでわかるように、山口というのは石灰岩質の地層なのかな?
宇部興産、徳山曹達(現トクヤマ)、小野田セメント(現太平洋セメント)といったセメント・メジャーの重要拠点がある。
一度、宇部興産の工場へ連れて行ってもらったことがあったが、あまりにもデカくてビックリ仰天したな~。
石灰の原石山からセメントのプラントの間に原石を迅速かつ効率的に運ぶための何kmにも及ぶ立派な専用道路が作ってあってね。
夜の宇部の町にも繰り出したけど、寂しかったナァ。
曲は潮騒で始まる。
関門海峡の浜に打ち寄せる波の音なのかな?
関門海峡はかつては馬関海峡と呼ばれた。
下関の「関」と門司の「門」で「関門」ならわかるけど、ナゼ「馬関」だったのかしらん?
一回気になっちゃうと調べないと気が済まない…コレが私の悪いクセ。
で、調べてみた。
下関市は、明治22年に市制が施行された時、「赤間関市(あかまがせきし)」という名称だった。
それで、誰がやったか、「赤間」の「間」の字に「馬」の字をあてて「赤馬関」とした。
そこから「馬関」という名称がひねり出されたとか。
1863年と1864年、長州藩はアメリカ、イギリス、フランス、オランダと大ゲンカをした。
いわゆる「下関戦争」というヤツ。
もちろん列強の圧倒的な火力の前に惨敗。
その講和の業務に当たった高杉晋作は「身分を取り払った、かつ最新式の兵器を備えた軍隊でなければ攘夷なんてできっこないほ!」と、馬関奇兵隊を結成する。
勉強になるな、マーブロは。
そして、この曲の作詞をしたのが、<前編>に登場したよさこいチーム「馬関奇兵隊」の総督、濱崎康一さんだっちゃ。
「府中に夢中」同様、下関の歴史と魅力がぶち歌い込まれちょる。
ライナーノーツのヒロアキくんの解説にあるように、下関を愛するスタッフがよーけボランティアで参加してくれとるっちゃ。
チョット山口弁を取り入れてみたが、「~っちゃ」と文を結ぶところを見ると、『うる星やつら』のラムちゃんってのは山口の出身なのかね?
で、ヒロアキくんは濱崎さんの詞を元に巧みに下関民謡を取り入れて曲を作った。
いくら地元賛歌とはいえ、そこはヒロアキくんのすること、当然クールでハードなギターが活躍する。
このソロのピッキングのニュアンスなんてあまりにもカッコいい!
これは完全にJVMのおかげです…ぐらい言わせてくれ!
本当にヒロアキくんは仕事の幅が広い。
そして、モノスゴイ数の人たちに支えられているということを感じた。
それもヒロアキくんと美瑞穂さんの人徳のなせるワザだろう。
2人とも熱心に頑張っているからね。
美瑞穂さんの名誉のために…さっきは凄まじいイラストを紹介したけど、皆さんも薄々感づいていらっしゃるだろうが、実は美瑞穂さんは元々イラストレーターではない。
プロのアナウンサーなのです。
文章を読ませたら、アータ、いつもとは丸っきり別人のように素晴らしい滑舌で、また鈴を鳴らすような美しい声で朗読されるんよ。
それが今ではヒロアキくんのギター・テクまで務めちゃって!
始めのウチはギターの「ギ」の字も知らないで、ステージの上や楽屋で右往左往していたが、最近では「シールド」なんて言葉も使っちゃって、すっかりステージまわりのことにも慣れちゃった。
残念ながら「シールド」という言葉は海外では通用しないんだけどね。アレは日本語だということを知っておこう。。
その他、CDの販売からブッキングの世話まで、果てはイラストまで描かされて…まったく美瑞穂さんの熱心さと活躍ぶりには頭が下がる思いなのである。
2人で力を合わせてこれからもいい音楽を作り続けて欲しい。
さて、こうして様々なところから作曲の依頼を受けているワケだけど、重要な国政選挙が終わったところでひとつヒロアキくんにお願いがある。
Marshallのことではない。
ヒロアキくんはMarshallでなければギターを弾く気が起こらないのを私は十分知っているから。
お願いというのは…軍歌の作曲を依頼されても断って欲しいのだ。
イヤ、軍歌というのは大ゲサだが、これから北朝鮮の脅威をチラつかせて、世の中はヒト、モノともに一気に軍事に傾いていくだろう。
「戦車は1,000社」っていつか書いた通り、武器を作って売れば簡単に景気はよくなるからね。
しかしそんなことをして儲けを出せば、今の状況となっては人も差し出すようになることは火を見るより明らかだ。
山下達郎さんがコンサートで口にした言葉で、この『THEME PARK』の裏ライナーノーツを締めくくりたい。
何度でも引用する。
「平和でなければ音楽なんてできない」
ヒロアキくんが「平和の風」を運んでくれ!
(一部敬称略)