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2017年5月31日 (水)

CROSSWINDの未発表ライブ音源とLo-Dプラザの思い出

よくMarshall Blogに書いていることだが、「虫の知らせ」的な現象がやたらと身の回りで起こる。
別段困ることは何もないのだが、あんまり手の込んだヤツになるとさすがにうす気味悪くなる。
コレがラッキーな知らせだったら大いにありがたいのだが、そういうのはほとんどやって来ないね。
何かがキッカケで普段はまったく興味がない宝くじを買ったら大当たりしちゃった!…「ああ、アレは虫の知らせだったんだね~」みたいなヤツ。
来いよ、虫!
寄ってくるのはハエか蚊ばっかりじゃんか!
イヤ、知らず知らずのウチに「ラッキー虫の知らせ」も受けているのかも知れなくて、それに気が付いていないだけなのかもしれない。
また、人間はどちらかというとアンラッキーな事象に「虫の知らせ」を当てはめたがる習性があるのかも知れない。
今日の話はラッキーな部類に入るだろう。
それはこういうことだ。
私はよくジャズのピアノ・トリオを聴くのだが、好きなピアニストのひとりにKenny Barronという人がいる。
先日中古CD屋で目に留まったBilly Cobhamがリーダー名義のピアノ・トリオ盤『The Art of Three』に参加しているピアニストがKenny Barronだったので早速買ってみた。ベースはRon Carter。
コレが存外によくて、時々CD棚から引っ張り出しては聴いている。
で、数日前もこのCDを聴いていたのだが、その日は何となくBilly Conhamのドラミングがすごく気になった。
バックをやっている時は、何とも言えない硬質なスウィング感がとても気持ち良いのだが、ひとたびソロになると、やかましいというか、落ち着かないというか、場所違いというか、「コブさん、今演ってんのマハビシュヌではありませんよ!」と横から耳打ちしたくなるような感じ?
ま、それもこの人ならではのスタイルなんだけどね。
そこから、ますます気になり出して他のBilly CobhamのCDに乗り換えた。  

A3_2耳タコの「Stratus」を聴くのが辛いので、ファースト・ソロ・アルバムであるところの『Spectrum』は今回敬遠させていただいて、メッチャ久しぶりに2枚目のソロ・アルバムなんぞを聴いてみた。普段はまず聴くことのないアルバムだ。
その翌日のことだった。
ある友人から連絡があり、故小川銀次さんのバンド、CROSSWINDの未発表音源をクラウドファウンディングで制作することになったというのだ。
チョット、ビックリでしょ!
なぜなら、Billy Cobhamの2枚目のソロアルバムのタイトルが『Crosswinds』だからだ。

Cw2その新譜の音源というのは、かつて有楽町にあったLo-Dプラザでのライブ演奏を収録したものだ。
Lo-Dプラザは過去何回かMarshall Blogに登場しているので、熱心なマーブロ読者(そんなのいるのか?ありがたいことにいるんです!)は実際に行ったことはないにしても、名前を耳にしたことがあるかも知れない。
今日はそのLo-Dプラザのお話から。
チっ!こんなことになるなら今までチビチビ書くんじゃなかったよ…ということで、もう一回ちゃんとおさらいしておこう。
なんとならば、その連絡をくれた友人というのは、このLo-Dプラザでエンジニアをされていた方なのだ。
  
何か月か前に「ポタフェス」というポータブル・オーディオの展示会のレポートを掲載したでしょ?
なんとマァ、音楽やギター・アンプだけでなく、オーディオ機器のスタイルもデジタル・テクノロジーの革命を経て、すっかり変わり果ててしまったことに私は驚いてしまったワケだけど、40年ぐらい前は音楽を聴く時はチャンとしたオーディオ装置、いわゆる「ステレオ」で鑑賞するのが普通だった。
それがウォークマンの登場以来、アレよアレよと小型化が進んで、今では何もかも「こんなに小っちゃくなっちゃった!」状態になってしまったのはある意味残念なことだと思っている。
私も初代のウォークマンを手に入れて以来、40年近くの間その手のポータブル・オーディオの恩恵を受けているので、決して悪く言うつもりはないのだが、せめて家で音楽を聴く時は大きなスピーカーを鳴らす正式な再生装置を使うべきだと思っている。
時代が変わったといえばそれまでなのだが、昔はオーディオ機器もひとつのステイタスだったんだろうね。居間にステレオがあるのが当たり前の時代。だから50年ぐらい前のステレオは家具調だった。
こんなヤツ。
この電話器!ウチもコレだった。
でも、何もステレオの上に電話器を置くことはないと思うのだが…。
ウチは違ったけど、昔は玄関に電話器が設置してあった家をよく見かけた。アレはどういう理由からだったんだろう?

Cst そういう時代だったので、各家電メーカーがそれぞれ独自のオーディオ機器ブランドを持っていた。
コレも以前にも書いたけどね。忘れていませんよ。
三菱はダイアトーン(スリー・ダイヤだからね。岩崎弥太郎のステレオだ)
松下はテクニクス(当時は「松下電工」だった。雷門の提灯をありがとう!)
東芝はオーレックス(東芝にもそんな時代があった。毎年武道館でジャズ・フェスまでやってたんだから!)
サンヨーはオットー(親亀コケすぎ。三洋電気もろともなくなってしまった)
シャープはオプトニカ(ココも目の付けどころがちょっとマズかったか?)
…ってな具合。
DENONは「デンオン」と読んだし、KENWOODはTRIOという名前だった。
TRIOなんてレコードもやっていて、一時ECMを配給していたもんだから私が持っている『Travels』ぐらいまでのPat Methenyの初期のLPは全部トリオ・レコード製よ。
そして、日立。
日立のオーディオ機器ブランドは「Lo-D(ローディ)」という名前だった。
すごいよね、発電所のタービンやジェネレーターやエキサイターを作るメーカーがステレオのブランドを持っていたんだから。
こうした高速回転する重量のある発電機器を設置する時には「グラウト材」という特殊なセメントを使うんだ。
どうする?「セメント」で脱線する?それとも「発電所」?いくらでもできるよ。
でも、今日はやめておこう。
さて、Lo-D。
名前の由来は「Low Distortion」なのだそう。
ASTORIA CLASSICみたいなもんだね。ASTORIA CUSTOMは当たらない。
それで、各メーカーはそうしたオーディオ機器のデモンストレーションをするために、大都市にショウ・ルームを展開したんだね。
SONYビルなんてのはそれの親玉みたいなもんだ。
で、日立は有楽町のフードセンター(現銀座インズ)という高速道路の高架下に「Lo-Dプラザ」というショウルームを設置したというワケ。
コレがいつ始まったのかはわからないんだけど、クラスメイトの安藤君に教わって私が初めて行ったのは1976年ぐらいのことだったと思う。
私は最初映画キチガイだったので、有楽町にはなじみがあり、とても行きやすかったのだ。
ずいぶん通ったよ。
当時は土曜日にも学校があったので、日曜日になると毎週有楽町に足を向けた。
ナゼかというと、Lo-Dプラザには、オーディオ機器の視聴用に無料で聴けるレコードがたくさんあったからなのだ。
当時はLPレコードが一枚2,500円。
2,500円といえば子供にとっては大金だ。
大人になった今でも大金なのが情けなくもあり、不思議でもあり…。
当然YouTubeなんてあるワケがないので、今みたいに聴きたい音楽を無料で聴くなんてことは一切できなかった。
「もっと色んなレコードを聴きたい!」という欲望はもちろん激烈に強かったが、「不便」だと思ったことは一度もなかったし、音楽はお金を出して手に入れることに何の違和感もなかった。今でもそれが当り前だと思っている。
時代はまだCDが一般化するより十年も前の話で、「レンタル・レコード」なんていうのが登場するのはそれから四年ぐらい後のことだ。
だから、Lo-Dプラザに行って、レコードをそこで借りて、まったく買う気のないオーディオ機器を試すふりをして、次に買うべきレコードの下調べやロックの勉強をしたワケだ。
今にしてみると、何に興味を持って聴きに行っていたのかはほとんど覚えていないのだが、一枚だけハッキリと記憶しているのはサディスティック・ミカ・バンドの『ライブ・イン・ロンドン』だったが、何回か貸してもらって聴いたものの結局LPは買わずじまいだったな。
そうやって買った一枚のLPを大事に大事に何回も聴いたものだった。
不幸にして買ったLPが気に食わない内容だったとしても、ひたすら聴き込んで強引にお気に入りにした。
Cld
Lo-Dプラザにはスピーカーから盛大に音を出して聴く小部屋があって、日曜日はいつも満室で順番待ちだった。
一方、ヘッドホンを使って聴く装置が何台も並んでいて、私はいつもこっちだった。
他にもラジカセ等の小型オーディオ機器をディスプレイするコーナーや高級オーディオを体験するリスニング・ルームがあったのを覚えている。
…と、こんな説明をするより、その友人から写真をお借しりて、ココでお見せすればどんな様子だったかが一目瞭然なのだが、奇妙なことに写真がまったく残っていないらしいのだ。
今ならチョチョイとスマホで撮って残しておくところだろうが、昔は写真一枚撮るにしても、カメラを持って行って、撮影して、写真屋にフィルムを持って行って現像してもらわねばならなかったのだから大事だ。だからそう簡単に写真に残しておくなんてことなどできなかったんだね。
  
チョット脱線になるが、このLo-Dプラザの奥に「モーニング・サン」という輸入&中古レコード屋があった。
今はもう見る影もないが、昔は数寄屋橋の西銀座デパートとSONYビルの地下にハンターがあって、レコード好きにとっては有楽町も捨てたモノではなかった。
数寄屋橋のハンターは私が学校を出て就職した頃でもまだ残っていたな…と言っても1985~1986年ぐらいの話だからもう30年も経ってるか。
下の写真は数寄屋橋のハンターがあった場所。
私は14歳か15歳の時にココで生まれて初めて中古レコードというものを買った。ELPの『Tarkus』だった。
昔はこんなにきれいな内装ではなかった。

C2img_2499 ハンターは規模を拡大し、上の写真から50mほど離れた場所にもう一軒店を構えた。
そこで手に入れたのが下のTony Williams Lifetimeの『Energency!』。
大学の頃、どうしてもコレが手に入らなくてネェ。聴きたくて、聴きたくて…まんじりともしない日々を送っていた。
それがある日、その新しい方のハンターで発見したのだ。
まだカウンターの中にあって、値札も付いていない状態だったのだが、頼み込んで何とか売ってもらった。
当時は万単位のプレミアが付いていたやに聞いていたが、1,400円だった。
「へへへ、コレだから中古レコードはやめられまへんナァ」とか何とか言いながら家に持ち帰ったのではなかろうか?
で、聴いてガックシ。期待しずぎちゃったんだね。
今ではCDで簡単に手に入るが、コレはまだCDが世に現れる前の話。

C0r4a5836 まだ脱線中ね。
さて、そのLo-Dプラザの奥にあった「モーニング・サン」というレコード屋、いつまで営業していたんだろうか?
気が付いてみるとなくなっていて、洋品店になったのかな?
それでも二枚ほどその店でレコードを買ったことがあった。
一枚はコレ。
King Crimsonの『Earthbound』。
やっぱり15、16歳の時だった。
コレも以前に書いたことがあったが、当時このアルバムは音質が劣悪ということで国内盤が制作されておらず、聴くためには輸入盤を手に入れるしかなかった。
どうしても聴きたくて、Lo-Dプラザに行ったついでに、多分このお店で探したんだろうね。
店員さんが「ボク、何を探してるの?」…ま、本当に「ボク」と呼ばれたのかどうかは定かではないんだけど、とにかく店員さんに話しかけられて、「あ、キング・クリムゾンの『アースバウンド』です」と答えると、「あ~、今ないな~。イギリスから取り寄せてあげるよ!」と言うではないの。
「イ、イギリスから!?」とかなりビビった。
だって、コストがどれだけかかるかわからないじゃない?…と心配していたら「値段は普通のレコードと同じ」だというのでお願いすることにした。
すると今度は「やっぱりIsland盤がいいんでしょ?」と来た。
「あ、あいらんどぉ?」
こっちはロックを聴き始めて数年の15、16歳の子供だ。何のことかサッパリわからなかったが、「ええ、マァ…」と答えておいた。
そして、数か月後に「入荷した」という連絡を受けて手に入れたのが下のIsland盤の『Earthbound』。
2,000円だった。消費税などない時代のお話し。
Cimg_0096

もう一枚はKevin Ayers他の『JUNE1,1974』。
コレも聴きたかったのだが、当時国内盤は廃盤になっていてどうにも手に入らなかった。
それで、もう勝手がわかっていたので、コレは「モーニング・サン」にこちらからお願いしたような記憶がある。
私はこのアルバムでPeter Ollie Halsallという素晴らしいギタリストを知った。やはり15、16歳の頃。
世間的には決して貴重品というワケではあるまいがそれぞれ青春の思い出のアイテムとして今でも大切に保管してある。
私の青春はロックだったから。

Cimg_0097

話をLo-Dプラザに戻す。
そのオーディオ機器ブランドの戦国時代、Lo-Dプラザが他のブランドのショウルームと大きく異なっていたのは、今でいう「ライブ・スペース」があって、歌謡曲からロックまで広範囲なジャンルにわたるアーティストが頻繁に出演していたことだろう。
当時私は国内のアーティストにほとんど興味がなかったので、満員になっているそのスペースを横目に見て、「ああ、また今日も誰か出ているのか…」程度のものだった。
それよりも自分の聴きたいレコードの方が優先だった。
当時はこんなプログラムを発行していたそうなのだが、見事に記憶がない。
「ヤングと音楽のふれあう広場」だもんね。
「ヤング」か…。
名実ともに「ヤング」もずいぶん遠くなったもんだ。
人間、ヤングよりオールドの時期の方がはるかに長いということを知るのは、オールドになってからなんだよな~。
右は1981年8月の発行。表紙の人…有名な方なのかな?こんな二重アゴの写真、今なら絶対NGでしょう。ノンビリしてたナァ。
左の人が肩からブラ下げているのは日立製のウォークマンか?
ヤケにデカいな。
あ!今気が付いた!
このお姉さんが右手をかけている白い複数の板!
このケースにレコード・ジャケットが入っていたの。
コレをめくっていって気に入ったレコードを探す。ケースには番号が付いていて、その番号を受け付けのお姉さんに伝えると当該のレコードを出して来てくれる…というシステムだった。
Cpg
さらにLo-Dプラザがスゴかったのは、抽選で当たった10人のお客さんに16チャンネルのミキサーが設置された客席に座ってもらい、目の前の生の演奏をマルチで録音させていたのだ。(ミキサーを8チャンネルで使う時は20名)
録音媒体はカセット・テープ。
当然、そこで売っている日立Maxellのモノを使用する。
私は高校の時にコレを二度ほどやらせて頂いた。
ひとつはPANTA&HAL。
実はこの時は生の演奏ではなくて、卓に8チャンネル分の音源が送られてきて、それをミキシングして、その場で2チャンネルにトラックダウンするというものだった。
正確な演奏日時はわからないが、まだ『マラッカ』をリリースする前だったのだろうか?「マラッカ」の歌詞がレコードとは異なっている。
まだ今さんがHALにいた頃で、卒倒もののすさまじいギター・ソロを聴かせてくれている。
特に「マーラーズ・パーラー」のオブリガードは人間ワザとは思えないほどの出来で、ずいぶんコピーさせて頂いた。
もう一回はBAD SCENEだった。
この時は本当の生の演奏で、3曲演奏した後、BAD SCENEに銀次さんがジョインして更に3曲を演奏した。
どの曲も銀次さんらしいプレイにあふれていて、とりわけ「Rising Dream」のソロはあまりにも素晴らしい。Maj7thのアルペジオがクロマチックで上がっていくアイデアがカッコよくてね、コレも高校の時にコピーさせて頂いた。
下がその時のカセット・テープ。
アレ?富士フィルムのテープだね。
ったく、エチケットを知らねーな、若いヤツは!って、私ですわ。
とにかく大切な宝物のひとつ。
しかし不思議なのは、実施日が異なるのにどうして同じテープに音源が収まっているんだろう?
二回分を考慮して初めから90分テープを用意していたワケはないので、「PANTA&HALのテープにまだ空きがあったな…」とワザワザ家から持って行ったのだろうか?
あの頃はカセット・テープだってそう安くはなかったからね。

50

これでLo-Dプラザがわかった。
そして、今回のCROSSWINDの未発表音源は、1981年9月13日、1982年1月30日と5月15日にLo-Dプラザに出演した時のモノが収録されているのだそうだ。
私の友人がその音源を蔵出しし、ナント35年ぶりに陽の目を見ることになる。
下はLo-Dプラザのステージで演奏するCROSSWIND。
こんなだったかな~。もっと広い感じがしたんだけど。
そうそう、各ミキサー卓に「録音中」っていうサインがついていたな。

Ccw4 下の写真は渋谷の屋根裏ね。
しかし、こうしてみると屋根裏もいい加減小さかったな~。
でも、そんな感じはまったくしなかった。
私は高校二年の時にこのステージで銀次さんを観たことがあった。
RCサクセションで活動していた時のことだ。
大ブレイク寸前で、当時屋根裏でもっとも集客力の大きい二大バンドのウチのひとつだっただけに息もできないほどの超満員だった。
もうひとつの人気バンドはPANTA& HALだった。

Yu_2

持っているクラスメイトにカセットに録音してもらってよく聴いていたので、私はCROSSWINDのレコードはとうとう買わずじまいだった。
銀次さんのギターが殺人的にカッコよくてね~。
2001年の『マーシャル祭り2』にご出演頂いたのも、その時分のあこがれ感によるものだった。
結局大分後になってCDを買い込んだ。
「フュージョン」と形容するにはあまりにもハードなサウンで、当時の日本のロック・シーンでは他に類を見ないバンドだった。
日本人ばなれしていてジャケットもいいよね。真ん中のセカンド・アルバムなんてまるでフランスのAngeのアルバム・ジャケットのようだ。

60そして、今回のアルバムは今はやりのクラウド・ファンディングでの制作となる。
クラウドファンディングっていうのも私のような古い人間から見るとナンカ違和感のカタマリなんだよね~。
この手法について深い知識を持ち合わせているワケではないので大言は控えるべきだが、要するに「カンパ」っていうことなんでしょ?
私なんかが思うには、本当にいい音楽なら、やっぱりレコード会社が率先して作るべきだと思うんですよ。
そんなにね、誰も彼もが音楽をやったって、いいモノができる可能性なんか万にひとつもありゃせんって。
コレね、音楽だけじゃなくて、今の世の中何でも同じで、食べ物なんかもそうなんだけど、いいモノを教えないからドンドンおかしなモノばかりになってるんだよ。
それで、そのおかしなものばかりの中でラクして商売をしようとするから、ますます状況が悪くなっているんだと思う。
音楽に関して言うと、傍で見ていて今の若い人は本当に憐れだと思いますよ。
いい音楽を厳選して、レコード会社がコッテリと金をかけていいモノを作るだよ。
とにかくミュージシャンがタオルやシャツやチェキを売らなければ生活できないような状況を打破してやらないと!
「ミュージシャン」という職業は自分たちだけのいい音楽を作ってそれを形にすることなんだから。
断じてタオルやシャツを作って売るのが仕事ではない。
ま、古いと思ってもらって結構。
とにかくコンピュータの利便性が「無償」を武器に、「風情」どころか「芸術」までも壊滅的な状態に追い込んだことを人類はよく見つめ直すことですな。
私は「CD」というフィジカルな製品がある限り、それを支持します。
お、ナニが言いたかったかというと、小川銀次のような不世出のギタリストが作った音楽をナニが悲しくてカンパで形にしなきゃならないのか?ってことよ。
久しぶりに毒づいてみたけど、逆らったところで時代の趨勢にかなうワケがないこともわかってる。
結果、形はどうあれCROSSWINDの新しい音源が世の中に出て来ることは大歓迎であることは間違いない。
私は内容を耳にしているワケではないが、この時点で既にひとつ言いたいのは、「若い人」、特にひとりでもの若いギタリストやギターの勉強をしている人たちに聴いてもらいたいということだ。
銀次さんのギターを通じて「オリジナリティ」という言葉の意味を自分なりに分析してもらいたいと思う。
Cwc
さて、そのクラウドファンディングの案内がこの動画だ。
6月2日から出資者を募るそうだ。
興味のある人はゼヒご参加あれ。

今年の8月で三回忌を迎える銀次さん。
このプロジェクトがその三回忌に合わせた動きであることは言うまでもない。
また、「CROSSWIND」という唯一無二のバンドの名前を後世に残すことを目的にもしている。
さらに、経費を差し引いた売上金はすべて銀次さんの奥様のご遺族に贈られるとのことだ。
  
今日は過去の記事と内容が重複してしまうので銀次さん自身のことについてはほとんど触れなかった。
代わりに銀次さんの思い出や関連情報を掲載した過去のMarshall Blogの記事を紹介しておく。
★【訃報】 小川銀次さんのこと

★Ginji Lives!~小川銀次、新譜をリリース!

10v_2※今日のバナーは、銀次さんが2001年の『マーシャル祭り2』にご出演された際、JCM2000 DSL50をステレオでお使いになられたことより現行のDSL100の図柄を採用しました。

(Marshall並びにMarshall Blogは記事内のクラウドファンディング事業には関わってはおりません。ご質問他、いかなるトラブルも関知いたしませんこと予めご了承ください)

2017年5月 9日 (火)

川島だりあ LIVE SHOWCASE 3・2・1 GO!~の巻

私は一切できませんが、ARESZの音楽に合わせてみんなで頭を振り狂った後は、いよいよヘッド・ライナーの登場だ。

06川島だりあバンドだ。

10コレが3月15日、すなわちこのライブの二日前に発売となった川島だりあのソロ・アルバム『LIFE=NOW』。
2016年4月に配信でリリースされた同名のサード・ソロ・アルバムにボーナス・トラックを追加。
さらに全曲のベース・パートをFEEL SO BADの新メンバーであるSYOIが差し替え。
加えて数曲のギター・ソロを新しく取り直した強力盤。
地球がサッカー・ボールになってるのね?

30cdアルバムの4曲目に収録されている「Introduction Goal」のSEが流れる中、メンバーが登場。
だりあさんを支えるメンバーは…

50vARESZから那都己<なつき>。

60vFEEL SO BADからCHRIS。

80v
その両方から翔己<しょうい>。

70vドラムスは、ひこ。

90vそして、一曲目は「Goal」。

100コレがまた実に独特なんだよね~。
20
パワフルなこのライブ・バージョンも結構だけど、CDの方のこの曲のアレンジはスゴイよ。こんなの他にない!

110vショッパナっから一発でだりあムード!

120v続けてはアルバム二曲目の「Judgment Day」で突っ走る!

130ドライブ感満点のCHRISのギターもMarshallが鳴らしてる!

140vヘッドはJVM410H、キャビネットは1960Bだ。

145v那都己くんももちろんARESZから引き続きMarshall。
JCM2000 TSL100と1960A。

150続いて「Dive Into Myself」。

Img_0352翔己くんの鍵盤のようなベースが面白い。

S41a0231へヴィにしてシットリ感濃厚の印象的な一曲だ。

170ここで、だりあさん、Chris、那都己くんの三人がステージを降りる。
そして代わって登場したのがFEEL SO BADの倉田冬樹!

180vそう、冬樹さんもインストゥルメンタルのソロ・アルバムをリリースしたのだ。
タイトルは『Tyrannosaurus The Guitar World with SYOI』。
だりあさんの『LIFE=NOW』同様、配信でリリースしていた『Tyrannosaurus』のインスト曲に新曲を二つ追加。
さらにだりあさんの『LIFE=NOW』に収録されている「Going My Way」とさっきオープニングで実際に演奏した「Goal」のインストゥルメンタル・ヴァージョンを収録した。
そして、タイトルにあるように、コチラでも全編で翔己くんの六弦ベースが大活躍している。

190cdまずはアルバムから「Journey to the Planet」をプレイ。

200今回、冬樹さんは那都己くんのTSLを使用した。

210vアルバムではMichael Schenkerに捧げた曲も収録されているが、今日はSatriani。

270

先日の来日公演でも演奏していた「Surfin' with the Alien」をカッコよくキメでくれた。

Img_0404 冬樹さんと翔己くんのスリリングにして濃密な演奏が続く。

230

ちなみにひこくんが叩いているドラム・キットはNATALのアッシュね。

220翔己くんの六弦ベースをフィーチュアして一曲。
ココでの前回のステージでも披露した「6弦Bassの為の超絶技巧曲1番 ロ短調」だ。

250
フィンガーボードの上を縦横無尽に両手の指が舞う!

260
この冬樹さんが奏でる奇抜なフレーズがタマりませんな。
自身のアルバムだけでなくだりあさんの『LIFE=NOW』でもその奇天烈感が大爆発している。

240v

冬樹さんのセットを締めっくくったのは、もちろんアルバム収録曲の「火の鳥」。
コレも前回このステージで演奏され喝采を浴びた一編だ。

290しかし、今日は盛りだくさんだね~。
今度はだりあさんとCHRISがステージに戻ってZARDのカバーを一曲。
『LIFE=NOW』の最後に収録されている「あの微笑みを忘れないで」。

300vだりあさんが作曲してZARDに提供した曲。
ZARDの中でも最も人気のある曲だ。
最前列には、曲を始める前から落涙する熱心な女性ファンの姿もあった。

310vだりあさんも感極まってこの通り。
バック陣の優しくあたたかい演奏が感動を際立てた。

320ステージはさらに転換を重ねる。
冬樹さんが退場し、那都己くんが戻る。
スタート時の状態に戻り、FEEL SO BADのレパートリーを二曲プレイした。

330まずは1995年の四枚目のシングル「憂鬱な快楽」。

340vお客さんは勝手知ったるところで大騒ぎ!

350もう一曲は1994年の「BACK YARD RAISE MAN」。

360シャープな演奏でだりあさんをガッチリとサポートするバック陣!

370vエネルギッシュなパフォーマンスも大きな見どころだった。

380v本編の最後を飾ったのは『LIFE=NOW』のリード・チューン、「譲れない場所~Hometown~」。

390思い入れタップリに熱唱するだりあさん。
ハードな曲もいいけど、こういうタイプの曲がすごくよく似合うね。

400vまぁ、とにかく「FSB TURBO DREAMS祭り」とでも形容したくなるような盛りだくさんのレコ発ライブだった。

410そしてアンコール。
今日の出演者が全員集合!

420遊びに来ていたPONさんがNATALの前に座った!

430v曲はだりあさんの右手が示してる!
もちろん「バリバリ最強NO.1」!

440やっぱコレは死ぬほど盛り上がるわな~!

450PONさんの切れ味鋭いドラミングが大爆発。
NATALのアッシュ…いい音するわ~。
イヤ、さすがPONさん、いい音出してくれるわ~!

460ナンダカンダで一番目立ってます!

465…とみんなで大騒ぎして、ライブは終了したとさ…。
おもしろかった~!

470だりあさん、冬樹さん、ソロ・アルバム発売おめでとうございます。
ふたりはソロだけでなく、FEEL SO BADとしても動き出してますからね~。
今後の活動に大注目!

FEEL SO BADの詳しい情報はコチラ⇒FSB TURBO DREAMS Official Website

ARESZの詳しい情報はコチラ⇒official website of ARESZ

10_2 1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2017年3月17日 六本木新世界にて撮影)

2017年5月 8日 (月)

川島だりあ LIVE SHOWCASE 3・2・1 GO!~ARESZの巻

終わっちゃったね~、ゴールデン・ウィーク。
今年は1日と2日を休まなくても、後半がガツンと4連休でうれしかったね~…と、いっても私は休みも週末も関係ないんだけどね。
いつもは大抵どこにも出かけないで、テレビで高速道路の渋滞情報を見て連休気分に浸っているんだけど、今年は観光というか、勉強というか、仕事というか、二か所ほどお出かけをしてきた。
ひとつは千葉の香取市の佐原というところ。
かつてMarshall Blogで栃木市や松阪を仔細に紹介したことがあるように、ロンドンを訪れて以来、古い町並みにすごく興味があって、この佐原はその手の格好の観光スポットなのです。
ユックリお邪魔できて大満足。
ココで何度も書いているように、わが街だって「東京大空襲」さえなければ、残っている古い建造物を修繕&補強して、いくらでも昔の街並みを存続することができた。そして、世界に冠たる一大観光都市になっていたハズだ…なんて話を百年以上続いているという佐原の荒物屋のおジイさんとしていたら、「水戸がそうなんですよ」とおっしゃっていた。
おジイさんは続けて…都心部の空襲を終えたアメリカの爆撃機が、余らせておいても帰路の燃料を食うだけ、と必要もないのに残った爆弾を水戸に落として行ったのだそうだ。
水戸は尾張、紀州と並ぶ徳川家の一角であり(異説あり)、戦前は昔の風情をそのまま残す、それはそれは魅力的な街だったと聞いた…ヒデエ話だよナァ。
戦時中、「あの美しい街を壊してはいけない」とルーズベルトだかトルーマンが京都への爆撃を禁止した…とかいう話があるが、これは作り話らしいね。
で、ここ佐原はさしたる工業がなかったので空襲を免れ、こうして古い町並み残すこととなった。(註:「街」と「町」は使い分けています。表記ユレではござらん)

40r4a5120でもね、この佐原を訪れたのは、古い町並みを見に行きたかっただけではない。
また、BAD SCENEが好きだったからではない。(「佐原」は「さわら」と読むのであって、「サハラ」とは読まない)
一番の理由は、佐原がチョット前まで一番興味のあった歴史上の人物の出身地だからということ。
その辺りのことはあまりにも音楽とは関係ないのでMarshall Blogで触れるワケにはいかないが、佐原が期待通り色々と興味深い町だったので、時間がある時にShige Blogで一作編みたいと思っている。
シーボルトとか間宮林蔵も関係しちゃうよ。

40r4a5091もう一か所は車。
何かと茨城がらみっぽいが、「つくばサーキット」へ行ってきた。

4img_0064こっちは仕事なので、後日Marshall Blogでレポートすることになる。
双方、道中さしたる渋滞もなかったし、結果、近年まれに見るいいゴールデン・ウィークになったかな?

4img_0393さて、本題。
時は3月にさかのぼる。
遅くなっちゃってゴメンちゃい。
再活動を始めたFEEL SO BADの川島だりあと倉田冬樹がそれぞれソロ・アルバムをリリースし、記念のライブが開催された。
今日&明日はそのもようをお届けする。

10その記念ライブの冒頭に登場したのは、FEEL SO BAD の倉田冬樹が最近作『Skill』をプロデュースしているARESZ。
Marshall Blogでももうおなじみの顔ぶれだろう。

20瑠海狐<るみこ>

30v那都己<なつき>

40v雅己<まさみ>

50v翔己<しょうい>

60vサポート・ドラムの鉄兵。

70ドラム・キットはNATALアッシュだ。

75この五人が奏でた最初の曲は「BATTLE MODE」。

80ノッケから瑠海狐さんのMarshallボイス炸裂!
ニコニコしながらこの声を出すところが恐ろしくもスゴイ!

90「♪ホイホイホイ」のデス声が瑠海狐さんの後を追う。
240v

那都己くんのコンパクトなギター・ソロ。まずは小手調べ。

100v小手調べにしろ、取り調べにしろ那都己くんはMarshall。
JCM2000 TSL100と1960Aだ。

110v「♪ロックロックロック」と続くのは「Come on baby☆ロック魂」。
「今日は精一杯キャッチーな曲を演奏している」のだそうだ…どこがやねん!

180

ARESZの大きな魅力のひとつはやはりこのふたりのツイン・ベース。

165
六弦ベースを使い、ソロの他、両手を使ってARESZのアンサンブルを分厚くするのが翔己くんの仕事。
150

音作りの基本はMarshall 3560。
パワー・アンプはEDEN等を使用。
キャビネットは1960を使うことが多いが、この日はキャビネットもEDENのD410XSTだ。
それらを併用して爆音を轟かせることもあり。

140vそれ以外の普通のベース的なパートは雅己くんが受け持つ。

160v「あのだりあ様のソロ・ライブです!光栄です。体重も、顔の大きさも3倍ある私が同じステージに立てるなんて光栄です!」とやっておいて、ダイエット中の進捗状況を報告。
ダイエットか…そういえばそんなのあったね~。

120

三曲目は三々七拍子を取り入れたという「神いづる國の祝い囃子」。

170三々七拍子はいいよね。
やっぱり運動会だな。小学生の時、先輩の応援団の演技にあこがれたもんだ。
昔、日野皓正も思いっきり三々七拍子を突っ込んだ曲をやってたっけね。
ちなみに「三々七拍子」は4/4拍子だ。

190那都己くんは七弦プレイヤー。
曲を追うごとに激しくなるソロ・プレイが小気味よい。

200v対する翔己くんもギターばりのシュレッディングで対抗する。
ギター、キーボーズ、ベース(当たり前か)の役割を六弦ベース一本でこなしている感覚か。
昔はこういうことができる楽器と言えば鍵盤楽器と相場がキマっていたんだけどね。
ベースでやっちゃうところがヘソ曲がりだ…イヤイヤ、ユニークだ。

210vそして、雅己くんは本来のベースらしいベースで着実にバンドをプッシュする。

230vお!ETとエリオット君!?
違うか…。

280v あ、片方は合ってた。

Y「だりあ様からの命令に対する答えは二文字のみ。『御意』でございます」と、だりあさんからのリクエストに応えて「闘争本能」。

220v

この和風のメロディが何ともいえんのよ~!
そこに楔を打ち込むかのようなシャープなギター・ソロ。
その楔は当然Marshall製だ!

260v

そして、瑠海狐さんの「クラ~ッシュ!」の掛け声でお客さんがジェスチャーで曲に参加。
たこ焼き、グリコ、さくら、大阪城、人形焼…と瑠海狐さんから指示が下る。
写真は「たこ焼き(ひとつ)」楽しいね~。
この日は他に、ミトコンドリアやインドイボイノシシをはじめ、ニューギニアヒメテングフルーツコウモリ、リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシなどの指示が出た(ウソです)。

290ポジションの関係でチョットうまく撮れなんだが、ベースふたりがお互いにネックをこすり合わせるという荒技も!

Img_0167 「♪ひらり、ひらり」と闘争本能をムキ出しにした後は早くもこの日最後の曲。
「血のつながらない暗黙の同志の皆さんに捧げます…Soldiers Of Cause!!」。

250v

スゴイな~。
コレだけは絶対にマネできないな。

270

「もっと~!」と猛り狂いながら客席をあおる瑠海狐さんをすさまじいパワーでバックアップする4人!

300

310v

320v

330v

340vそして~、キメのポーズへ。

350キマった~!
今日もとにかくスゴかった。

360v<お知らせ>
さて、今日も六弦ベースとMarshall、EDENを使って華麗なプレイを見せてくれた翔己くん。

130v

「特別音楽セミナー」と題して、来る5月22日、ベース・クリニックを開催するそうだ。
実はこの企画、ARESZのメンバーが順番で講師を務めていて、前回は雅己くんが担当した。
今後も続いていく予定なのでお楽しみに!
もちろん、ARESZのライブのスケジュールも相変わらずギッチギチに組まれていることはいう間でもないよね。

  
ARESZの詳しい情報はコチラ⇒official website of ARESZ

380v<つづく>

(一部敬称略 2017年3月17日 六本木新世界にて撮影)

2017年4月 5日 (水)

THE CLASSY ROCK GIG / Koki Tetragon <後編>

休憩の間も広規さんはステージに居座って「クリスマス・イブ」のベース弾き語りを披露するというサービスぶり!
「本物だ~!」とお客さんは大喜び。歌はさておいて、ベースは本物!
ところで、<後編>になってからでナンですが、このギグに「THE CLASSY GIG」というタイトルがつけられた経緯は…CDのライナー・ノーツをご参照あれ!

20_3さて、「固い、固い」と言っていた第一部もアッという間に終了し、Koki Tetragonの「THE CLASSY ROCK GIG」も第二部に突入する。

30窪田晴男

40v_2松川純一郎

50v_3岡井大二

60v_3伊藤広規

70v_3第二部のオープニングは「Red Baron」。
Jeff Beckが取り上げてからというもの「Stratus(ストラトゥス)」が一種のスタンダードになっちゃったね。
下手すると「Stratus」がJeff Beckの曲だと思っている人もいるようだけど、違うからね。
この「Red Baron」も「Stratus」もBilly Cobhamの『Spectrum』収録のナンバーだ。
オリジナルのギターはTommy Bolin。
ベースはLealand Sklar。
LeeってNAMMへ行くと毎日会場をウロウロしていて、やたらと見かけるんだよね。あの猛烈なヒゲなもんだからすごく目立つ。
『Spectrum』のドラムスって誰だっけ?…ってBilly Cobhamか!

Img_0341最近Billy Cobhamの『The Art of Three』というピアノ・トリオ・アルバムを聴いたんだけど、これが存外にヨカッタ。
ナゼかというとピアノがKenny Barronなのね。好きなピアニストなのだ。
ベースはRon Carter。
Billy Cobhamも実にいいんだけど、ドラム・ソロになるとあの調子なもんだからズルっと来ちゃう。でも、それが彼のスタイルだからね。
「Red Baron」と「Kenny Barron」を引っ掛けてみた。
あ、イカン、今日は脱線しないつもりだったんだ!

171bu3miul_sl1500_松川さんと話したんだけど、もう猫も杓子もの「Stratus」はチトご勘弁…ということで「Red Baron」を選んだそうだ。
「Burn」、「Spain」は私の「家では聴かない曲」の東西の横綱。それに引っ張られてロドリーゴの「アランフェス協奏曲」も第一楽章しか聴かない。こうなると第一楽章の方が断然カッコいい。
そんな「Red Baron」を艶っぽく弾く松川さんの相棒は…

90_2Marshall ASTORIA CUSTOM。

100_3窪田さんの後ろにおいてある緑のASTORIA CLASSICとセットで「抹茶とあずき」って言ってた人がいたけど、うまいこと言うな~。

80_rb

「Stratus」のいつ終わるかもわからない、果てしなく延々と続く単調なベース・ラインから逃れた広規さん。
自在に曲の中を泳ぐ。やっぱり「Red Baron」で正解。
この曲はアルバムに収録されていないので、お聴きになりたい方は初回盤特典で音源をゲットするべし!
130_2
窪田さんのスペイシーなソロがスリリング!

120_2ここでも重量感に満ちた円熟のドラミングを聴かせてくれる大二さん。

140_3大二さんのドラム・キットはNATALのメイプル。

150_3スネア・ドラムはNATALの人気商品Staveシリーズのアッシュだ。Staveとは「桶」という意味。

160v_2続いてはそのTommy Bolinの「Teaser」。

170v_ts早逝した天才アメリカ人ギタリストの人気アルバムのタイトル曲。
若い頃、『Come Taste the Band』を聴いて、Ritchie Blackmore在籍時との変わりように「Tommy BolinがDeep Purpleをおかしくした」とTommyをウラんでいるヤツがいたけど、そんなバカな…。
それに『Come Tastes the Band』ってすごくいいアルバムだと思うんですけど。

180vKoki Tetragonバージョンはオリジナルよりチョイとハードな演奏。
その気風の良さが買われてのことか、アルバムのオープナーに選ばれている。

190v_2広規さんのMC。
「固さもチョットはチョットほぐれた感じがあるね…」
お客さん拍手←なんで?
「レコーディングしていることをスッカリ忘れてました。忘れちゃうぐらいじゃないとダメだよね。そうじゃないとチャンと弾こうとしちゃう危ない自分がヤバいよね。」
え~ッ?
窪田さん、「広規さんはどれだけマジメにならないかということで今までの人生やって来られたんですよね?」
広規さん「(即答で!)そうなの!どうでもいい気持と的確なプレイがいいものを生むんですよ。ところが、『どうでもいい気持』ってのがまた難しいんですよ」
…と、何だかわかるような、わかんないような…。含蓄があるような、ないような…。

270v_2

大二さん、それを聞いて後ろで大爆笑!大二さんもそうなんでしょう?
そこかしこに挟まれた脱力系MCがまた最高に面白かった。
「みんなノッてるか~?」なんて絶対やらないから。
せいぜい「みなさんのアルコール血中濃度の方は上がってますか?(窪田さん)」ぐらい。
でも、広規さんも大二さんも、演奏中は全身全霊を自分の出す音に傾けていることはよ~くわかっていますから!

275v
お次はそれこそJeff Beck。
JeffとTony Hymasの共作で「Brush with the Blues」。
これもCDには収録されなかった一曲。

230_bb

演奏の直前、「あ、ゴメン!晴男ちゃんにこの曲のコードを書くの忘れてた!」と松川さんの告白が!
それを聞いた広規さん、「じゃ、演ろう!」

1img_0702_2 ま、何ら問題なく演っちゃいましたが…。
今度はジミヘンで「The Wind Cries Mary」。

200_wcmこの曲はCDをお聴き頂ければおわかりのように、ほとんどオリジナル通りの演奏となった。

210ジミヘン・スタンダードの中ではどちらかと言えば地味な部類に入るが、そういえば、この曲をガツンとアレンジして演っている人って見たことがないな。
Gil Evansも取り上げていないし。
小品ながら完成度が高いということなのだろう。

220v_2いくら音楽の化学反応を期待する偶発性の高いギグとはいえ、基本的な曲順はキマっていた。
しかし、次の場面は違った。
松川さんが「どうしようかな…『ウエイト』しようか?」と言ってダンベルでも持ち出すのかと思ったら(ウソ、ホントは思いませんよ)、The Bandの「The Weight」をプレイ。

240v_wtいくら人気のある有名曲とはいえ、一番の聴かせどころのコーラスまでバッチリなのには驚いた。
残念ながらCDには収録されなかったが、第一部の「The Joker」に呼応したかのような第二部のいいアクセントになった。

250_3そういえば、こんなシーンも…。

130_ld_jc「え、コレな~に? ’D'なの?」…とその場でコードを確認。
広規さんのバンドなのにゼンゼン曲が頭に入っていない!
で、笑っちゃったのは譜面のこと。
松川さんの「もったいないから五線紙は使わないで広告のウラにサインペンでコードを書いている」という話。
こういう皆さんはセッションの時、コード進行とキメだけを書いた簡易な譜面を使っているのね。
曲を知っているので、そういう譜面はほぼ備忘録のような役割にすぎない。
で、広規さん、「だいたい、オタマジャクシが書いてあっても読めないからね(←コレはご謙遜でしょう)。
だってさ~、ヘ音の譜面なんて’ラ’が’ド’だなんて信じられる~?オレなんか「毎回(ラのところから)ドレミファソラシドって勘定しているんだから!幅で読んでるのよ、幅で。」
これには大爆笑。
そうなんだよね。ま、しくみと気持ちはわかるけど、あのヘ音記号の譜面ってのは、ト音の楽器をやっている人には実に煩わしいんだよね。
私もハコバンをやっていた時にずいぶんベースの譜面を書いたんだけど、初めのうちは、知らない間に途中からト音で記譜しちゃたりして。
でも、他に「ハ音記号」ってのがあって、ヴィオラが使うことは知っていたんだけど、コレは「ソプラノ記号」とか「アルト記号」とかそのパートによって基音となる「ド」の場所が移動させて使うんだってね~。
そんなの意味があるのかと疑問に思うが、記譜する方も読譜する方も慣れると使いやすいんだろうね。
反対にサックスの連中がフルートの譜面を読むのがすごく面倒だ…というのもわかる。
でも、「幅で読む」というのは本当らしいね。
マァ、とにかく広規さんほどの大音楽家がそんなことを言うもんだからひとり吹き出しちゃったよ!

140_2 先ごろ亡くなったLeon Russellが好きだという松川さん。
何かLeonの曲を演ろうと思って取り上げたのが「I Got the Same Old Blues」。
それで、よくよく調べてみたらJ. J. Caleの曲だったという。

280v_sob
9小節のブルース。
Lynard SkynardやBryan Ferryもカバーしている不思議な曲。そんな半端な小節数がまったく気にならない。
Lynardの演奏はまるで自分たちの曲であるかのようにメッチャかっこよく演ってる。
Koki Tetragonの演奏はナチュラル。
ココにこなければ生涯知ることのなかった曲。
そういう曲に出会うのもこういうギグの大きな楽しみのひとつだ。

320

ギグもいよいよ佳境。
コレもこのメンバーなら出るべくして出たといってもおかしくはないであろうJoe Walshのスタンダード、「Rocky Montain Way」。

330_2「Teaser」が終わった時、「Tommy Bolinできたから今日はもういいや!」なんてご満悦な松川さんだったけど、この曲って何となくすごく松川さんっぽいイメージがあるんだけどいかがなもんだろう?
ASTORIA CUSTOMのハードな部分がすごくうまく活かされたギター・サウンド!

340vザッコザッコと快適なビートに乗って皆さん気持ちよさそうだ!

350vやっぱりこうした3連の曲にリズム名人の至芸が現れますな。

360v大二さん、今日も終始ニコニコとゴキゲンのドラミング!

370v最後を締めくくったのは、Bob Dylanのバラード、「To Make You Feel My Love」。
Billy JoelとAdelにカバーされたラッキーな曲だ。
そうそう、浅草博徒一代のDylanもとうとうノーベル賞を受け取ったんだってね。
(浅草博徒一代とボブ・ディランの関係が気になる方はShige Blogをどうぞ)

390vシットリと締めくくった本編。
それに続くアンコールも味わい深いバラードだった。
Princeの「Purple Rain」。
分厚いコーラスもすこぶる素敵だったが、延々とリフレインされる二本のギターのフレーズが最高に感動的だった。

400しかし、アメリカだったね。
今日のブリティッシュ勢の要素といえば、元はアメリカとはいえEric Claptonアレンジの「Steady Rollin' Man」、最初にロンドンでブレイクしたJimi Hendrixの「The Wind Cries Mary」、後はAdelぐらいか…これとてDylanのカバー。
イギリス人が作った曲はゼロだった!
イザとなるとアメリカ勢はやっぱり強いか…。
今度はThe Kinks、The Who、Dave Clark Fiveあたりの60年代の名曲を特集したTHE CLASSY ROCK GIGもいいな。ね~、大二さん!
最後はワザワザ熊本から駆けつけてくれた広規さんファンも交えて会場に残ったお客さんと記念撮影。
お疲れさまでした~!

410さて、<中編>、<後編>と二回にわたってお送りした「THE CLASSY ROCk GIG at Yokohama STORMY MONDAY」。
その様子を具にとらえたCDとDVDは本日正式発売です!

420で、ココで<前編>に戻ってアイテムをチェック!

1dvd広規さん、改めまして40周年おめでとうございます!

80_5

せっかくの機会なのでMarshall BlogとShige Blogの過去の広規さん関連の記事のリンクをココに記しておきますので未読の方はゼヒ!
  

★Shige Blog 2012年5月1日初出
名盤誕生!伊藤広規ライブ・アルバム『Relaxin' at IWAKI ALIOS』 

★Marshall Blog 2012年12月5日
ミート・ザ・リズム・セクション~A*I(青山純&伊藤広規)登場!

★Shige Blog 2012年12月5日初出
青山純&伊藤広規『A*I』のライナー・ノーツと撮影

★Marshall Blog 2013年10月30日
本日発売の伊藤広規ニュー・アルバム、そしてチャリティ・コンサート

 

<広規さんとのイギリス珍道中はコチラ>
★Shige Blog 2012年8月23日初出
Relaxin' in London 伊藤広規、ロンドンを往く 1 <マーシャルとアビィ・ロード>

★Shige Blog2012年8月24日 初出
Relaxin' in London 伊藤広規、ロンドンを往く 2 <いつでもどこでもリラキシン!>

★Shige Blog2012年8月31日 初出
Relaxin' in London 伊藤広規、ロンドンを往く 3 <ウォータールー・ブリッジにて>


★Shige Blog2012年9月11日 初出
Relaxin' in London 伊藤広規、ロンドンを往く 4 <バトラーズ・ワーフでシェー!>

   
1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2017年1月30日 関内LIVE CAFE STORMY MONDAYにて撮影)

2017年4月 4日 (火)

THE CLASSY ROCK GIG / Koki Tetragon <中編>

さて、いよいよ始まったKoki Tetragonの「THE CLASSY ROCK GIG」。
昨日も書いたように、ライナー・ノーツに記したことをココで繰り返したくはないのだが、ま、ほんの少し重複させて頂くことをお許し願いたい。
  
今回もバンド名をつけることになって、私の方から「Koki Tetragon」という名前を提案させて頂いた。
「4人」、「40周年」と、「4」にちなんだ名前がふさわしい…というお題を頂戴していた。
とくれば「Quartet」というのが最も一般的だ。
でもそれでは面白くも何ともない。
そこで「四角形」の意味を持つ「テトラゴン」という単語が思いついた。
怪獣みたいで強そうでしょ?

10v実うぃ言うと、この単語はいきなり頭に浮かんで来たモノではなくて、テナー・サックスの名手、Joe Hendersonの1968年のアルバム『Tetragon』が先に脳裏をよぎったのだ。
Marshall Blog読者ならAllan Holdsworth好きの方も多かろう。
彼が独自の解釈でジャズのスタンダードを演奏したアルバム、『None Too Soon』に収録されている「Isotope」と「Inner Urge」はJoe Hendersonの作品だ。ナゼにAllanがジョーヘンの曲を2曲も選んだのかが知りたいところだが、理由は不明。ま、好きなんだろうね。ちなみに『None Too Soon』はDuke Ellingtonの曲、「All Too Soon」のモジリだ。
渡辺香津美さんは17歳の時にリリースしたデビュー・アルバムでこの「Isotope」を演奏している。
この『Tetragon』、学生の時に聴きたかったんだけど、当時はLPからCDへの移行期で、どうしても手に入らなくて臍を噛む思いをした。
それだけに「tetragon」という英単語が印象に残っていたというワケ。今はCDで入手できるようになったが、結局いまだに聴いたことがない。

Tetr もうひとつ、ナゼゆえ今回のような狭隘なスペースでライブ・レコーディング並びにビデオ・シューティングをしたのか…コレもライナー・ノーツに書いたんだけど…。
それは、演者と観客がフレンドリーな空間でしか起こりえない「音楽の化学反応」のようなものを記録したかったからだ。
もちろん、音楽の化学反応を起こさせるにもってこいの材料と道具が用意された。
15_2そして、見事にその化学反応の瞬間をとらえたのがこのCD『The Classy Rock GIG at Yokohama STORMY MONDAY』と…20_2DVDの『The Classy Rock GIG at Yokohama STORMY MONDAY』だ。

1img_0769 それでは当日の演奏の模様をレポートしていくことにしよう。
オープニングはThe Metersの「Cissy Strut」。

30_cs松川さんのギターのカッティングから始まり…

40v広規さんのベースがそれに絡みつく。

50v_2そして大二さんのドラムスが加わった時には、普通の人ならトリハダが立っていることだろう。

60v_2そして窪田さんの繊細にしてダイナミックなソロ。

70v_21曲目から広規さんのソロもタップリとフィーチュアされた。
80_2
さすが、キャリア40年の重みはダテじゃない!
スラップもハーモニクスも出てこないベースらしい王道ソロだ。
しかし、音がいいナァ~。広規さんとMarshallのコンビネーションの音だ。

76v昨日も記した通り、今年は広規さんの音楽生活40年の大きな節目の年だ。
3年前にはMarshall Blogでもレポートした還暦のお祝いを開き、今年は40周年。
ノリにノッてる広規さんなのよ!

そうそう、最近こういうのを教わった。
Marshall Blogに登場するARESZという大阪のへヴィメタル・バンドのシンガーの瑠海狐(るみこ)さんが曲間のMCでこうガナリたてる…「女は80歳~、男は110歳からぁ~!!』…コレが気に入っちゃって!
瑠海狐さん的には人生のスタートラインは、女は80歳。そして、男は110歳からで、皆さん、まだまだ人生が始まってないですよ!スタートラインにも立ってないですよ!…ということ。
長ェ助走だな~。私ですら人生のスタートまで50年以上あるわ!
でも、なんか元気が出てくるセリフだな…と思って気に入ってるの。
ケンタッキー・フライド・チキンのオッサンも60歳になってアレを興したっていうもんね。
80 2曲目はRobert JohnsonのオリジナルをEric Claptonが『461 Ocean Boulevard』でカバーした「Steady Rollin' Man」。

90v_srmCDでも2曲目に収録されている。
広規さんは1曲目が終了した途端、「固いね~。緊張したときはHなことを考えればいいんだよ~」なんて変なアドバイスをされていたが、果たしてそうかな~?
早くもなかなかのレイド・バック状態で演奏を練り上げた。

100_2窪田さんの音頭でお客さんと「カンパ~イ」!

125
こんなことアータ、東京ドームじゃできないよ~!
「音楽の化学反応」もさることながら、もうすっかりアルコール反応が出ている?
まさに企画の勝利!

126

3曲目は「Lady Day and John Coltrane」という曲。
演奏する直前に「コレ、どういうヤツだっけ?」なんてセッション・リーダーである広規さんがおっしゃってマンマとお客さんの爆笑を誘っていたが、コレは私も全然知らなかった。
Gil Scott-Heronという「ジャズの詩人」を標榜する人の作品…と思ったら、ちょっと前にロフト・ジャズの中心人物であったアルト・サックスのArthur Blytheが亡くなり、その調べごとをしていたところ、この「Gil Scott-Heron」という名前を発見した。
ロフト・ジャズの人なのね?
ロフト・ジャズというのは1970年代にニューヨークで起こった、自分たちの解釈で伝統的なジャズを演奏するムーブメント。

160v

「つらいことがたくさんあるけど、ビリー・ホリディとジョン・コルトレーンを聴くと元気が出るということを歌っている」という松川さんのコメントに窪田さんも「そうかな~?!」
窪田さんに激しく同意。
何か音楽を聴いて気持ちを入れ替えようなんて時にコルトレーンを聴く人なんているのかね?
ミンガスなら経験があるけど。
何しろ「私の人生にレジャーはなかった」と言った音楽の求道者がコルトレーンだ。その音楽を聴いて「修行するぞ!」という気持ちならわかるよ。
香津美さんは後年のフリー・ジャズ期のアルバム『OM』を聴く時、体中に油を塗って電気を消して聴いてみたとかおっしゃっていた。
「何だってでそんなことをしたんですか?」とお訊きしたところ、「イヤ、そうすればコルトレーンの考えていることがわかると思って…」とのお答え。コレは修行の一種でしょう。
私も『Expression』あたりでそれをやってみようかと思っている。
120
ハイ、ライナー・ノーツからゴソッと切り捨てたパートにガッツリ加筆してここで大脱線してみたいと思います。
Marshall Blogには滅多に名前が出ることがないJohn Cortraneだからして、ココでロック・ファンの皆さんにおススメの「聴いて元気が出るかも知れない」コルトレーンのリーダー・アルバムの名盤5枚をレーベル別に紹介させて頂こうと思う。
 
【Soultrane】
まずは1959年代後半のPrestige期。
この時期の作品は「ジャズを聴く」という観点ではどのアルバムも楽しい。
「こんなのホントにあんの?」なんて曲がテンコ盛りで勉強にもなるのね。
『Traning In』とか『Lush Life』にしようかと迷ったが、Prestige期最強の人気盤にして名盤の『Soultrane』には負けるか…。

St
【Blue Trane】
このアルバムは今でもよく聴くんだけど、ビートルズで言えば『Sgt. Peppers』、Zappaで言えば『One Size Fits All』、Fleetwood Macで言えば『Rumors』をいつも連想しちゃんだよね。
要するに非の打ちどころがないんだな。
録音は上の『Soultrane』より先なのだが、ズッと先進的なイメージがあるのは曲調もさることながらやはりBlue Noteというレーベルの効果か?
「-trane」だの「Train」だの言っているのは彼のニックネームが「トレーン」だったから。

Bt
【Giant Steps】
Atlantic期。
Elvin不在のRoy Hanesによる「My Favorite Things」がさく裂する『Selflessness』は確かに聴いて元気がでそうな気もするが、やはりコレはハズせないだろう。
2拍ずつ転調する「Giant Steps」のカッコよさもあるが、コルトレーン・スタンダードが数多く収録されているという魅力も捨てきれまい。
この時期、『Coltrane Jazz』も『Coltrane Sound』もいいんだよな~。
この写真!
サキソフォニストの写真を撮る時には必ず何枚か真似してしまう構図。

Gs
【Ascension】
問題はImpulse期。
コルトレーンの代名詞的活動時期なだけにアルバムも宝の山で、一枚を選ぶことに無理があるが、黄金のカルテットの絶頂期とフリージャズをカギに選ぶと自然とコレが浮かび上がらざるを得ないんじゃない?
グジャグジャのフリー状態からイン・テンポになって、猛然とハードにスイングしていく瞬間は何度聴いても感動するわい。
「ascension」とは「上昇」という意味。
あと、『Larks' Tongue in Aspic』あたりのKing Crimsonファンには『Kulu Se Mama』なんかがハマるかもしれない。
どこにでも出てくる『A Love Supreme』や『Live at Village Vanguard』は故意にハズした。

As
【Kenny Burrell & John Coltrane】
最後、5枚目…Marshall Blogなのでギターものを1枚。
Kenny Burrellとの双頭アルバム、『Kenny Burrell & John Coltrane』。
昨日紹介したTommy Flanaganの変形ブルース「Freight Train」はこのアルバムの1曲目。
フリー期のコルトレーンがWes Montgomeryを自分のコンボに誘ったが、「イヤ、無調の音楽チョット勘弁してチョ…」と、断られたという話が残っているが、果たしてコルトレーンってギターが好きだったのかな?
ちなみに、ザッと考えてみると、コルトレーンのリーダー・アルバムに参加しているギタリストって…ひとりもいないんじゃないかな?
さぁ、これで元気になったでしょ?
え、Billy Holidayはどこへ行ったのかって?ごめん、私Billie Holidayって数枚のアルバムは持っていてもほとんど聴かないのですわ。

Kb さて、Koki Tetragon。
「Lady Day and John Coltrane」はこの日一番のアップ・テンポ・ナンバー。
イヤ、スゴかった。
ウネちゃって、ウネちゃって!

150_2

広規さんと大二さんのコンビネーションがすさまじいのなんのって!

Img_0192今、現存する日本のリズムでは最強のチームのひとつではなかろうか?

110v♪チンチキチキチン、チンチキチキチン…「機械じかけのラム」でおなじみの大二さんお得意のシンバル・レガートが気持ちいい~!
ココも間違いなくトリハダ・ポイント。

165広規さんのMCをお借りして、コルトレーンだけじゃなくてLady Dayにも触れておこう。
あ、「Lady Day」というのはBillie Holidayのニックネームね。
ビリーが時の大統領フランクリン・ルーズベルトにちなんで、恋仲だったテナー・サックスの巨人、Lester Youngに「Prez(=President)」というアダ名をつけたところ、レスターはビリーに「Lady Day」というニッネームをお返ししたという。
何でも広規さんがダイアナ・ロスが演った映画『ビリー・ホリディ物語』を観に行った時に併映していたのが『ジョニーは戦場へ行った』だったそう。先に『ジョニー』をご覧になった。
ドルトン・トランボね。
現代は『Johnny Got his Gun』というんだけど、コレ、『Annie Get Your Gun(アニーよ銃をとれ) 』にひっかけていたのかな?
「アニー」はアニー・オークレーという女流射撃名人を主役に据えたミュージカル。
「There's no Business Like Show Business(ショウほど素敵な商売はない)」や「Doin' What Comes Naturally」、英米の子供ならきっと歌える「Anything You Can Do」といった名曲が収められた楽しい作品。
映画はジュディ・ガーランドが体調不良を理由に途中で降板し、ベティ・ハットンが主役を務めたが、ジュディの声でアニーを観てみたかった!
一方、「アニー」ではなくて「ジョニー」…この映画を観たことがある人ならおわかりの通り、そう、あまりに悲惨。
その悲惨なインパクトがあまりにも大きすぎて、広規さんは『ビリー・ホリディ物語』のことをナニひとつ覚えていらっしゃらないという。
わかるわ~。
私が小学生か中学生の時に観た際も二本立てだった。新小岩の西友にあった第一劇場で観たのは覚えているんだけど、もう1本が何だったかをサッパリ覚えていない。
ジョニーが自分の身体の状態を知るシーンはかなりのショックだったし、看護婦さんがジョニーの胸に字を書いて意思疎通を図るシーンは印象的だった。
大人も夢中になってる幼稚なマンガ映画などではなく、戦争によって「ありのまま」ではいられなくなった若者を描いた、こういう悲惨な社会的な映画を今の若い人たちにドンドン見せるべきだと思いますよ。

S41a0495今回のギグはメンバーの楽器の音にも十分に注目して頂きたいのだが、松川さんのギターの音!

170vASTORIA CUSTOMのいいところが存分にフィーチュアされている。
輪郭のはっきりしたクランチ。音の芯の太さはやっぱりMarshallならではのもの。
こんな音をほぼ生音で体験できるのもこうした規模でのライブならではのことだ。

180_2「A」でスローなブルースを1曲。
本番前には「Red House」というウワサもあったように記憶しているが、違う曲だった。
曲名はわかりません。ブルース疎いから。
今度松川さんに訊いとかなきゃ!

190_sb楽しそうに演奏しているのはSteve Miller Bandの「The Joker」。
こりゃタマらん。
アメリカン・ロックをあまり好んで聴かない私だけど、Steve Miller Bandは大好き!

200_jkコレ、平坦な歌詞を覚えるのが結構大変だと思うんだけど、松川さんは正確に歌われていた。

210v_2ギター・ソロガッツリかますちょっとハードな「The Joker」もまたよきかな。

220v松川さんは選曲に歌にギターにと超大活躍!Junichiro Tetragonでもあるぞ!

230_3もちろんこのミディアムテンポの名曲でもグイグイとグルーブを送り込む広規さん!

240v_2それを受けての大二さんのドラムスにうっとり。
叩き手の良さはもちろんだけど、NATALってやっぱり音がいいナァ~。

250v…とここまでで第一部は終了。
前半は割合軽く流した感じ?いえいえ、中身はかなりハードでした。

260_3『THE CLASSY ROCK GIG 』のCDとDVDの発売は明日です! Cddvd

<つづく>

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2017年1月30日 関内LIVE CAFE STORMY MONDAYにて撮影)

2017年4月 3日 (月)

THE CLASSY ROCK GIG / Koki Tetragon <前編>

Gregg Allmanが口の中でゴニョゴニョ歌うせいにしてしまっては熱心なオールマン・ファンに怒られること必定だが、「Stormy Monday」って「♪They call me stormy Monday」と歌っているのかと長いこと思っていた。
だって「オレのこと、『嵐の月曜日』って呼んでくれ」なんてカッコいいじゃんね。ハウンドドッグみたいだ。
コレは完全に私の思い違いで、Albert Kingの「The Hunter」と混同していた。
T-Bone Walkerに謝らなくちゃいけないね。
この「Call me ~」は他でも赤っ恥をかいたことがあった。
以前にも書いたことがあるのだが、初めてMarshallに行った時、時の重役たちや関係部署の担当者たちと中華料理店で昼食を摂った。
「そうだ、自己紹介ではコレを言おう。きっとウケるぞ~!」と事前に仕込んでおいたセリフを披露した。
食事の間に「チョット自己紹介させてください」と切り出しておいて、こう言ったのだ。
「I was born in 1962.  Please call me 'Bluesbreaker'」
ドッカ~ン!大ウケ~…となる予定だったのだが、席にいた全員がビックリして私のセリフに凍り付いた。あのシラケぶりは本当にスゴかった。一世一代のドッチラケだった。
英語は通じていても、全く意味が伝わらないようだった。アータ、Marshall初のコンボ・アンプ、「Bluesbreaker」の正式な型番は「1962」じゃないのよ!
ビックリしたのはこっちだよ。
話を戻すと、この曲の正しくは正式な題名は「Call it Stormy Monday (But Tuesday is Just as Bad)」」といって、歌もこの通り歌っている。
「Stormy Monday進行」なんていうブルース・コード進行のバリエーションが有名だが、オリジナルは至ってシンプルな12小説のブルースだ。
変形ブルースだったら、Charlie Parlerの「Blues for Alice」とかTommy Flanaganの「Freight Train」の方が何枚も上手だけどね。ロックの人、誰かこのコード進行でブルースを演奏しないかナァ。
さて、「Stormy」…ここではチョット歌詞について触れたいんだけど、「一週間」っていう歌があるじゃない?「♪日曜日は市場に出かけ~」っていうヤツ。
この「Stormy Monday」って、同じようなコンセプトの歌詞で、失恋の一週間を歌っているんだよね。
月曜日は「嵐」!
火曜日は「悪」。
水曜日は「マァ、悪」。
木曜日は「哀しいわ~」。
金曜日は「鷲が飛ぶ」。
土曜日は「遊びに行くぜ!」。
日曜日は「教会へ行くのだ」。
面白いよね~。
ココで知っておかなければならないのは金曜日のこと。
歌詞は「The eagle flies on Friday」となっているんだけど、なんでいきなり「鷲」か?
コレ、「The eagle flies」とはアメリカの表現で「給料が出る」という意味なのね。
アメリカの紙幣に鷲のデザインが施してある(あった?最近見てないからわからんな)ことから、そういう表現をするようになったらしい。
だから土曜日には遊びに行けるワケ。アメリカはかつて週給がポピュラーで、金曜日が給料日だったからね。
そこで湧いてくる疑問はTraffic。
『When the Eagle Flies』というアルバムがあるでしょ?アレ、給料日の歌だったの?
イギリスの紙幣はエリザベス女王の姿が印刷されていても「鷲」の姿は見当たらない…と思って歌詞を調べると、少なくとも「給料」は全然関係ないもっと文学的な内容だった。
「給料」ということとは関係なしに、The Kinksの「Rainy Day in June」とかElton Johnの「Skyline Pegion」とか(訂正!コレは「鷲」じゃなくてもちろん「鳩」。「翼を広げてどうのこうの…」という歌詞が似通っているのでつい混同してしまった!)、「鷲」に関する歌詞の曲ってイギリスにも結構あるんだよね。
それにしても、この人、日曜日にチャンと教会に行くところがエライね。
「金持ちの彼女ができて遊んで暮らせますように…」とお願いするのだろうか。
今日のオープニング・トークは脱線が脱線を呼んでおりますが…。
いつも言っているように私は本当におつきあい程度にしかブルースを聴かないので、あんまりノメリ込むとすぐにメッキがハガれてしまうのでそろそろ結論。
  
Muddy Watersに「The Blues Had a Baby and They Named it Rock and Roll」という曲がある。
「ブルースには子供がいて、その子たちは『ロックンロール』と名付けられた」…まったく題名の通り。
この曲も歌詞がすごく面白い。
Muddy Watersも、James Brownも、Ray Charlesも、John Lee Hookerも、Otis Reddingも「ブルースには魂がある」と言ったとサ…その子供がロックンロールなんだよ」という歌なんだけど、ヴィクトリア女王そう言ったことになっているところがスゴイ!
今では現エリザベス二世女王がイギリスの在位期間最長の国家元首になったが、この曲が作られた頃まだヴィクトリア女王がトップでイギリス最強の女王だった。
もちろんコレはシャレだけど、Muddy Watersが言っていることはすこぶる正しい。
「魂」が宿る音楽がブルース、そしてその子供が「ロック」なワケ。
コレはどうしようもない事実。戸籍は歴史的な音源を聴けば容易に調べることができる。
どこでどうおかしな血が混ざってしまったんんだか、今のロックは絶対にブルースの子供じゃないよね。80年代以降、血脈が途切れて「ロック家」はお金持ちの家からやってきたヨソの子ばっかりになっちゃった。
コレが言いたかっただけ。
ブルースって歌詞がスゴイんだよ。
とにかくスゴイ。
あの歌詞がダイレクトに理解できないのは悔しいナァ。
曲は何しろ全部同じなんだから、歌詞を理解しないでブルースを聴くのは、その魅力の半分も味わっていないことになるのではなかろうか…コレが私の最新のブルース感。
何かの突然変異で今の若い人たちが若い感性で積極的にブルースを取り入れたら面白いだろうナァ…これが私のリスナーとしての最近の夢。
  
さて、今日から3日間、横浜は関内、LIVE CAFE STORMY MONDAYからお届けする。

10ドワッ!
ステージにMarshallのフル・スタック!
それにASTORIAにNATAL。
いい光景だ…私の眼がよろこんでる。
このステージに立つのは…

20ベースに伊藤広規。

30vドラムスは岡井大二。

50v下手のギターに松川純一郎。

70v
ステージ上手は窪田晴男。

60vMarshall Blogでもおなじみの日本を代表する低音にしてグルーヴ・マスターの広規さんは、今年で音楽生活40周年を迎えた。
例によってやってみるか…40年前の出来事。
40年前は1977年。昭和で言えば52年。
私は中学3年で、ハード・ロックに飽きてきてプログレッシブ・ロックに夢中になり出した頃だった。
ラーメンが260円、銭湯が120円だったって(今は460円)。コーヒーは260円。
国鉄の初乗り運賃は60円!都バスは90円、タクシーの基本料金は380円だったって。
米ドルはこの年291円に始まって、241円で終わっている。円が50円も上がった。まだグイグイと日本が国力をアップさせていたいい時代だ。
英ポンドは460円ぐらいか…今は145円/£ぐらい。Marshallがまだベラボウに高かったのもうなずける。
レコードは2,500円だった。コレはハッキリ覚えてる。
ああ、「青酸コーラ事件」ってのあったね。
このころは「ロッキード事件」で大騒ぎしていたんだ。飛行機が学校になっただけで、あの方々のやることとレコードの値段は今でも変わらんね~。
総理大臣は福田赳夫。アメリカ大統領はこの時就任したカーター。
映画は「ロッキー」に「未知との遭遇」、「幸せの黄色いハンカチ」。今みたいにマンガ映画なんか全くお呼びでない。まだ大人のエンタテインメントと子供のそれが分かれていた時代とも言えよう。
ヒット曲はジュリーの「勝手にしやがれ」と「憎みきれないろくでなし」、そして何といってもピンクレディーのオンパレード!
「ペッパー警部」、「S.O.S.」、「カルメン'77」、「渚のシンドバッド」、スゲエな…「ウォンテッド」もこの年だ。
それとキャンディーズの「やさしい悪魔」とか。
「北の宿から」や「津軽海峡冬景色」も1977年。
まだ「花の中三トリオ」も大活躍。
ダメだ!とても書ききれない!
今の音楽界とは比べ物にならない。土台、曲のクォリティが今の音楽とはケタ違いだ。
誰か、今の音楽界を忖度してやってくれよ!
こんな年から広規さんはプロでベースを弾いている。
コレは広規さん40周年記念イヤーのロゴ・サイン。三上雅浩さんのデザイン。

80広規さんはその40周年という節目にライブ・アルバムを制作した。
それが上のSTORMY MONDAYで収録した『The Classy Rock GIG at Yokohama STORMY MONDAY』。

90まず、ジャケットがいいよね。

140

ジャケットは、2012年の『Relaxin' at IWAKI ALIOS』以降、広規さんのアルバムのデザインを手掛ける「やましたみか」の作品。

100

内部に使用されているライブ写真は、今回も私が撮ったモノをご採用頂いた。

130当日、みかさんから撮り方のリクエストを頂戴してはいたのだが、撮影スペースや照明の関係でなかなか思うようにいかず大苦戦を強いられた。
しかし…
160
その状況を忖度して頂き、バッチリと写真を収めこんでくれた!

145みかさんとの仕事はこれで6作目となる。
シンプルで上品、それでいて深みのあるデザインがいつも素晴らしい。

150私はと言えば、写真の他に今回もライナー・ノーツを担当させて頂いた。
そして、またやっちまった!
制作スタッフの皆さん、ゴメンナサイ。
あれほど「3,000字」と言われていたのに、例によって書き出したら止まらない。
少しずつ長くなっていって、一時は9,000字近くまで膨らんでしまった。
John ColtraneやSteve Millerのこととかをもっと書いたんだけど、考えてみりゃ「Marshall Blogがあるわ…」と思ってバッサリとカットした。
それでも削りに削って、7,000字。
かかる状況を忖度して頂き、何とかすべて収めこんで頂いた。
この世は「忖度」でできているんだナァ。
ナニが書いてあるかはCDを買ってのお楽しみ。Marshall Blogとの重複はホンの少し。

110_ln

120_ln収録曲は全部で10曲。

170

バンド名はKoki Tetragon。
僭越ながら私のアイデアをご採用頂いた。
ナゼ、そんな名前か…はライナー・ノーツに書いてあるのでそちらをご参照いただきたい。
アッレ~、コレ、この分だと案外マーブロに書くことなくなっちゃうな…。
とにかく!広規さんを中心とした音楽達人の名人芸がテンコ盛りだ。

180まずはそのCDに収録されている極上サウンドの素を紹介しておく。
最初に触れるべきは広規さんのMarshall。

190vヘッドは1979年製の1992 SUPER BASS。
「JMP」と呼ばれているこのルックスは1981年にJCM800シリーズに移行するまで。
1972年までは「T1992」というトレモロつきのモデルも生産していた。

200vスピーカー・キャビネットはJCM800時代のベース用4×12"の1984。
「JCM800時代」というのは、この型番はベース用のキャビネットとして何度も使われており、その歴史はとても古く、最古の1984はストレート・タイプの1960として、何と1964年に登場している。
この1984は3代目のモデルで、このあと第5世代まで生産された。

1s41a0980 大二さんのNATALはメイプルのF20というキット。フィニッシュはシー・スパークル。
会場の規模を考慮し、20"バスドラムのキットが使用された。

210vキットのオーナーはサイバーニュウニュウのセミメタルA太郎氏。
この場をお借りしてご厚意に深謝申し上げます。

220_2スネアはNATALのステイヴ・シリーズ。
大二さんが叩くと説得力の塊のようなサウンドが飛び出してくる。

230_2そして松川さんはMarshall ASTORIAを使用。

240v赤いヤツね。
ASTORIA CUSTOM。
1チャンネル・モデル。
ビロードのような美しいディストーション・サウンドが身上だ。
その奥に見えるのはお店のVALVESTATE…なつかしい~!

250_2松川さんの足元のようす。
基本的にディストーション・サウンドはASTORIAで作っておいて、ブースター系のペダルでサウンドに色付けを与えていた。

260_2

窪田さんの後ろにもASTORIA。

270vこちらはクリーン・サウンド専門のASTORIA CLASSIC。
実際には使用されることはなかった。

280_2そして、広規さんのライブに欠かせない物といえば…この南阿蘇のキャラメル・プディング。
当日会場でも大人気だった。
ソロソロ食べたいな~、オーダーしよう、そうしよう!
  
キャラメル・プディングの詳しい情報はコチラ⇒オフィシャル・ブログ

285_2会場はこんな感じ。
写真ではよくわからないかも知れないが、会場の奥には数台のビデオカメラが設置され、動画の撮影も敢行された。

290そして、その動画もDVDとなってCDと同時に発売される。
タイトルはCDと同じ『The Classy Rock GIG at Yokohama STORMY MONDAY』。

1img_0769 装丁もCDと同じ鏡開きのデジパック仕様。

1img_0782 こちらの方でも光栄なことに私が撮った写真をご採用頂いた。
1img_0777
ライナー・ノーツはバンド・メンバーの対談だ。

1img_0779
ん~、みかさんうまいことやったな~。
…というのはね~、ここの現場はメンバーさんのポジションによって光の量が極端に違うんですよ。
カメラというモノは明るいものと暗いものを同時に均等に撮ることはできないでね~、どちらかに露出を合わせなければならないことになる。
それをシャッターを切るたびに考えて、判断して、カメラを操作してるんだけど、そう簡単にいくとは限らない。
要するにこのステージの場合、松川のところだけが明るすぎちゃうんだね。
それをデザイナーのみかさんが勘案してうまく写真を料理してくれたというワケ。
ですので安心してお買い求め頂けます。
1img_0775
収録曲はCDと同じ。

1img_0772で、ですね、ライブ会場やCDショップ(TOWER RECORD、HMV、ディスクユニオン)でCDやDVDをお買い上げの方には「オマケ」がつくよ!
例えば、表がKoki Tetragon、裏がSTORMY MONDAYの特製ピック。

S_1235104678_n

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または、CDジャケ・デザインの缶バッジ。
さらにCDやDVDに収録されなかった曲を収録したCDなども用意されている。
すべて初回プレス盤のみの早いもの勝ち特典。

1img_0788_2

さて、実況を元に戻して…向こう正面の私!
「はい、私です。こちら狭いです!」
  
カメラの設置場所などを確保する必要などもあったので、お客さんは20人限定。
ナゼ、こんなにタイトな環境で演奏したのかの理由は次回に譲るとして…それでもさすがにキツイ!

300広規さん、客席に入りこんじゃって…ソロソロ始めまっせ~!

310さあ、いよいよ演奏が始まったぞ!
  
伊藤広規の詳しい情報はコチラ⇒ITO KOKI official web site

330『THE CLASSY ROCK GIG 』のCDとDVDの発売は4月5日です!

Cddvd <つづく>

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2017年1月30日 関内LIVE CAFE STORMY MONDAYにて撮影)

2017年1月24日 (火)

四人囃子ニュー・アルバム発表記念 岡井大二スペシャル・インタビュー <vol.4:最終回>

さて、発売がいよいよ明日に迫った四人囃子のニュー・アルバム、『四人囃子 ANTHOLOGY~錯~』。
大二さんのスペシャル・インタビューを交えてここまで三回にわたり、ヘタな文章で熱弁を振るってきたが、もうオールド・ファンだの若者だの言ってはいられない。
四人囃子の名前しか知らない人、ゼンゼン知らない人…エエイ!とにかくこれを機にひとりでも多くの人に四人囃子が作った音楽を聴いてもらうことを願っている。
決戦前夜の戦国武将みたいなことを言っているが、それもこれも、大二さんのセリフのせいだ。
「メンバーが直接制作に関わった作品を世に出すのはこれが最後になるかも知れない」…なんて寂しいことをおっしゃるから!
  
大二さんの狙い通り、今回初めて四人囃子の音楽に接する人もいるだろう。
もちろん誰にでも、何事にも、「好み」というものがあるだろう。
しかし、四人囃子の音楽がつまらないと思ったら、その人はもうロックを楽しむことができないのでないだろうか?
イギリスの文学者、サミュエル・ジャクソンの名言と同じだ。
「ロンドンに飽きた者は人生に飽きた者だ」
もちろん「ロンドン」のところに「四人囃子」を代入してもらうワケだが、この名言には続きがあって…
「ロンドンに飽きた者は人生に飽きた者だ。ロンドンには人生が与え得るもの全てがあるから」
後半の「ロンドン」には「四人囃子」を、「人生」のところを「ロック」という言葉に置き換えて読んで頂きたい。
チョット大上段に構えてみたが、とにかく!明日このアルバムをゲットして、永久に日本のロックの歴史に残り続けるであろう、40年の風雪に耐えた名曲の数々でロックが持つクリエイティヴィティを存分に味わって頂きたいと思う。
しかも高音質で!

9_さて、『錯』紹介の最終回はDVD。
収録されているのは、まず『ROCK LEGEND』の名のもと、2008年4月19日にJCBホール(現東京ドームシティホール)で開催されたクリエイションとのダブル・ヘッドライナー・ショウ。「ツーマン」ではない…そんな言葉はない。
ショウとしてはCSですでに放送されたものだが、今回はその際にカットされた「おまつり」を収録。
アンコールで演奏したピンク・フロイドの「Cymbaline」を除いたその日の公演のすべてが収録されている。
この公演では「オレの犬」と「SAKUMA#1」という新曲が披露され、ここにDVDの形で収録されることになった。
さらにもう一曲の新曲「Rumble」も収録。
コチラは2003年11月1日の、同じく『ROCK LEGEND』の追加公演であるCLUB CITTA'でのもよう。
すなわち、プロコル・ハルムとのダブル・ヘッドライナー。「ツーマン」ではない…そんな言葉はない。
私もこの公演を厚生年金会館で観たことは大二さんとのインタビューの中で触れた。
そして、DVDは「眠い月(Nemui-Tsuki)」で締めくくられる。
コレは2002年10月25日に同じく新宿厚生年金会館で収録されたものだ。
頭脳警察とのダブル・ヘッドライナーだった。「ツーマン」ではない…そんな言葉はない。
コレも観たな。二階席まで超満員だったよ。
頭脳警察のオープニングSEが「Who Are the Brain Police?」だったけな~。
CD同様、DVDも高画質&高音質で、いつでも四人囃子のコンサートを体験できることになったワケだ。
  
さて、大二さんに『錯』のサンプル盤を送って頂いてからの約三週間、この記事を書くために、ほぼ毎日四人囃子の音楽を聴いて来た。
『錯』だけではなく、聴き比べのために、他のアルバムのほとんどをCD棚から引っ張り出してきて改めて聴き直したのだ。
私もこれほど集中的に四人囃子の音楽を聴くことは、この先もうないかも知れない。
元より大好きなグループなのでとても楽しかった。
四人囃子というと、必ず「プログレッシブ・ロック」、それから「高い演奏能力」という枕詞がついて回る。
私は四人囃子に「プログレッシブ・ロック・バンド」のレッテルを貼ることを良しとしない事はすでに書いたし、同じ意見をお持ちの方も多いようだ。
しかし、演奏能力の高さについては何人(なんぴと)も否定できまい。
『一触即発』を21歳(大二さん基準)で、『ゴールデン・ピクニックス』をたった23歳で作り上げた能力は「奇跡」としかいいようがない。
そして、今回根を詰めて四人囃子の音楽を聴いて、その奇跡を実現させた要因のひとつに「歌詞」があると思った。
初期の歌詞を書いているのは末松康生さんではあるが、その内容の独創性については今更ココに書くまでもないだろう。
興味を引いたのはその言葉の選び方だ。
「おまつり」の「♪文句を忘れてフシだけで歌ったのさ」の「文句」なんて和風でいいな。そういえば、歌詞のことを昔は「文句」と言っていたよ。
「空と雲」の「♪長く細い坂の途中に お前の黄色いウチがあったよ」の「ウチ」。「ウチ」というのは江戸っ子の言葉だ。江戸っ子は「イエ」とは言わない。
そう、四人囃子は東京のバンドなのさ!
「ネッシー」だって「♪水はやさしい」だなんて…最近は恐ろしい水が多くなってしまったが、なんて素敵な言葉の連なりだろう。
どれもこの歌詞あっての曲、そしてこの曲あっての歌詞…に仕上がっていると思うのだ。
とにかく音楽は曲のクォリティがすべてだということを教えてくれる。
四日間ホメ続けたのでさすがにもう言葉がないが、「いまさら四人囃子」だの「たかが四人囃子」だのと間違えても言ってくれなさんなよ!
    

お待ちかねの大二さんのスペシャル・インタビューの最終回は、日本の音楽マーケットの話やNATALについて語っていただいた。

Img_0414

日本のマーケット

 M:(Marshall、以下「M」)こと音楽に関して言えば、日本はやっぱり昔から独特のマーケットということになるとお思いですか?
O:(岡井大二、以下「O」)数字だけで見れば日本の音楽マーケットは世界二位の国ですよね。
でも、残念ながらとにかくファー・イーストで「東洋の島国」。
で、90年代の後半あたりから、ポピュラリティを持つ音楽の傾向が圧倒的にドメスティックになってしまいました。
要するに海外の情報がたいして重要ではなくなっちゃった。
国内で何でも手に入るようになって、元の発想ネタが海外のナニから来ているかとかは、興味の

Img_0012先ではなくなってしまったみたい。
M:まったくそうですよね。
自分と考え方の方向性が同じで安心しました!
O:今の音楽業界を憂えているか?憂えていないか?と訊かれたら「憂えている」と答えますね。
M:とにかく売れればいい…という感じしかして来ない。
O:制作する側に「制作マインド」みたいなものがあるとしたら、「いいものが売れるようになっていって欲しい」と思うのが「制作マインド」なんじゃないかなと思います。
M:そうあって欲しい!
O:そう思いたいんだけど現実は違っていて、制作する側の人たちがチャンと対峙して自分にとっても大切な「いい音楽」を聴くのは、家に帰ってからのプライベートだけ…仕事とは別なのかな。
仕事で徹底的に叩き込まれるのは、売れたものが「いい音楽」ということ。
M:苦痛だろうな~。でも今の世の中にあっては、それこそが仕事ですから。
O:売れたもん勝ち…ということです。
M:まったく。
若いバンドさんたちの会話を聞いていてすごくそう思います。
小さいライブハウスをやって、中型のライブハウスに出るようになって、ホールでコンサートができるようになって、次は武道館でハイ上がり!…と、まるで双六のよう。
そこに音楽が存在していないような感じがします。
ステージのMCで「いい音楽」とか「音楽が好き」とやたらと「音楽」という言葉を口にするのがまた変な感じがする。


  
名盤の秘密

  
M:私もいい加減色んな音楽を聴いてきましたが、どのジャンルでもやっぱり「いいモノ」と呼ばれ

Img_01042_2ているものは良いですよね。
駄盤の類も好きで、いろいろ買い込んで来ては聴いていますが、やっぱり「名盤」と呼ばれているものには最終的にどう転んでもかなわない。
一般の人なら死ぬまで知らないような無名のプログレ・バンドのアルバムなんかもおもしろいんですが、それらはどうやっても『宮殿』を駆逐することはできません。結局何回も聴くことはない。
「名盤」といわれているジャズのアルバムもそうです。
O:その曲とか、そのテイクに行きつくまでにナニがあったかということなんです。
やはり名盤というものはその「ナニか」がふんだんに詰め込まれているから名盤になるんです。
M:なるほど!そんなこと考えてみたことなかった。
O:コレは100m走で例えれば、コンマ何秒早かったから名盤になったのではなくて、誰もやらない走り方で100m走ったから名盤になったんです。
M:とってもよくわかります。言い得て妙ですね!

    

☆この辺りでふたりとも大分アルコールが回ってきて完全に雑談タイムとなった。ナニせ笑い声で言葉が聞き取れない箇所も少なくなかったのです。

 

外タレの思い出
 
O:昔、高校生の時にバンド・コンテストに出ましてね、高中くんが出ていたんですよ。
ボクらよりひとつ年上でね。
M:何を弾かれていたですか?
O:テン・イヤーズ・アフターの「ウッド・チョッパーズ・ボール」…すごくウマかった。
その時に半ズボンはいてジェスロ・タルを演奏した小学生ドラマーがいたんですよ。

Img_0015「This Was」かなんかを演ったんですけど、すごく上手だった。
M:どなただったんですか?
O:古田たかしだったんです。
M:しーたかさん?!
O:そう。こっちは高校生で、負けまいとシャカリキになりましたね。
M:天下の大二さんでも!?
当然タルはご覧になっていますよね?
O:もちろん!
伝説の厚生年金。「あの素晴らしさを語れ」と言われたら今でも30分は余裕で語れます。
M:いいな~!うらやましい。
ご覧になった方はみんな「アレはよかった!」っておっしゃいますもんね。
私は何年か前に「『アクララング』全曲演ります」の時にようやく観ることができました。
O:音楽もライブ・パフォーマンスも「時代の違う音楽」として完成したものを見せられて、スゴイな!って思うわけです。
それまでにない音楽ですから。
M:そんな感覚に浸ってみたい…。
O:同じように、すごくそう感じたのはピンク・フロイドが最初に来た時、それからデヴィッド・ボウイの初来日…。
M:サンフランシスコから船で来たってヤツですね?オルセイア号。
帰りはウラジオストックまで船で行って、シベリア鉄道でイギリスまで行ったとか…。
O:アレ、本当にそうなの?
M:噂ではフィリピンあたりまで飛行機で来てそこから船で日本に来たとか…。
O:やっぱり?
あと正統派ロックスタイルの外タレで理屈抜きに「やっぱり外タレすごい!」、「気持ちいい!」…と思ったのはハンブル・パイとロリー・ギャラガーですかね。
M:ああ!スティーヴ・マリオットの肉声って聴いてみたかったな~!
  

コーラスの妙

  
M:外タレの話で思い出すのは、野音で楽屋のモニターで四人囃子の皆さんとルネッサンスを観ていた時、「コーラスがうまいね~」と騒いでいたら、大二さんが「向こうの連中ってコーラスする時って声を似せれんるんだよ」っておっしゃった。
O:そう。あのサウンドの音楽をやるにはこの声…みたいな発声の仕方っていうのがごく自然にあるんですよ。特に白人。
我々も民謡とか演歌って特に習わなくても何となくわかる部分があるでしょ?アレと同じなんです

Img_0103よ。
ホリーズなんかを聴いているとよくわかる。
M:「バス・ストップ」の?
O:そう。
マージー・ビートの発声の仕方とハモリ方なんですよ。
そのマッチングの具合がいいんです。ビートルズも最初の頃はそうだった。
で、そのコツを覚えた元がカリフォルニアのコーラスなんですね。喉の絞り方っていうのかな?
M:ビーチ・ボーイズみたいな?
O:そんな感じ。アレは日本でいったら例えば関西弁の発声で全部歌う感じ。
M:エエ~?
O:だからあの発声でコーラスをやっているバンドってアメリカの東海岸にはほとんどいないんですよ…(間)…ウン、確かに出ていない。
M:ハモリ方も教わらなくてもわかっている。
DNA的にそういう能力を持っているようですよね。
O:そう!我々にはそういうDNAはない。
ところが「間」には滅法強い!
M:ハハハ!リズムではなくて「間」!
O:そう。
「間」なの。イヨ~、ポン!の「ポン」を入れるところが自然にわかるでしょ?外人にはそれがケッコー苦手。

 

フランク・ザッパの思い出

M:フランク・ザッパのお話を…。
O:コワかった~。
M:エレベーターで二人きりになっちゃったんですよね?
O:そう!でもリハも本番も全部見ることができました。
M:小川銀次さんもリハをご覧になったとおっしゃっていた。
「一体リハなんかどうやって入ったんですか?」と尋ねたら「エ、円谷英二の息子って言ったら入れてくれたよ」って。

S41a1399今となっては本当かどうかはわかりませんが、まったく銀次さんらしい。
O:ハハハ!
M:で、サウンド・チェックの時にザッパがPAミキサーの人に向かって「○○HzをXXだけ上げて…」とかいちいち細かい指示を出していたそうです。
すると外の音が劇的に変わったとか。
O:そうでしょうね~。
ボクはあの時、テリー・ボジオのドラム・キットに座ったんですよ。
で、あんなかわいい顔をしていて、身体がデカいの知らなかったもんだからキットが大きいんでビックリしました。
ツーバスなんか思いっきり足を広げないと届かなかった。
M:私も15年ぐらい前にバーミンガムのドラム・ショップで実物を見ました。
テリーがイギリスに行くとそのキットが出動するんだとか。
今の冗談みたいなキットになる前でしたけど、点数は多かった。やっぱりデカいと思いました。
O:そうでしょ?
M:その時の実際の演奏はいかがでした?
今はその時のツアーのオーストラリア公演の音源が公式にCDになっています。
日本公演といえば、私は西部講堂と大阪の音源も聴いているんですが、マァ、「手抜き感」は拭えないかと…。
O:手抜と言えば手抜きなのでしょう、リラックスしてて。
でも、存在も、曲も、演奏も、世界中のどこにコレと同じものがあるんだ?というぐらいスゴイものでしたよ。
M:やっぱり?いいな~。
しかも会場は国際劇場。記者会見は吉原。裕也さんも実にイキなことをされた!
それで、若かりし日のテリーをご覧になってどう思われました?
私は高校生の時、すなわちその3年後の1979年にUKの来日公演でテリーを初めて観たんですが、ドラム・ソロに腰を抜かしました。
O:それはもうスゴかった!それしか言えない!

 

NATALについて

 

M:ちょっとドラムの話をしますと、大二さんぐらいの大御所になられると…。

S41a0198O:ゼンゼン、大御所じゃないですよ!
M:イエイエ、大の大御所でいらっしゃる!
で、ゼンゼン道具なんてお気にされないのかと勝手に思い込んでいたんです。
ところが、NATALをお試しになられた時、すごくシビアで、実は結構驚いたんです。
「ああ、なんでもいいよ!」っておっしゃるかと思ったらすごく真剣だった。
決して変に「細かい」という印象はありませんでしたが…。
O:イヤ、こちらもNATALが思った以上にいい楽器だったので、チャンと試してみようと思ったんです。
M:それで、大二さんがバスドラムにミュートを入れていないのを発見して、いつか向山テツさんがすごくビックリされていましたよね?
アレはどういうことなんですか?
O:だって、バスドラムにミュートを入れるとか入れないのは、趣味とか意地では済まない問題ですからね。
もはや入れるのが当たり前。でもNATALのバスドラはそれが不要。
アレはNATALだからできるんですよ!
M:お、うれしい予感!
O:なんでミュートを入れるかと言ったら、スッピンだとペダルを踏んだ時に「バイ~ン」とヘッドのうねりが鳴ってしまうのがうるさいから入れるワケです。
ミュートを入れなくて済むのはそうならないからで、あのNATALの作りだからこそ、そういうことができるんです。

Img_0017M:なるほど。
O:NATALのドラムは胴の鳴りがチャンと出るから、あとは何を好きにやっても出てくる音がすごくいいんですね。
M:NATALが要因ということは言うつもりはありませんが、とにかく大二さんのドラムは音もプレイも外人っぽい。
O:もしウシさんがそう思ってくれているのならとてもうれしいですし、本当にそうであったとすれば、それには自分なりの理由があるんです。
かなり持論なんだろうな…と思う。
M:え?どんな?
O:あのね、チョットこれは書いて欲しくないんですけど…

<筆者注:…と。ここでカット。

大二さんドラミングの秘密をご自身でご説明頂いた。なるほど~。テクニックというよりもリズムに関すること。
ちなみにこれは「企業秘密」とかいう理由で大二さんが文字お越しをご希望されなかったのではない。大二さんはそんなケチな人ではない。

ご考察が個人的なものであり、普遍性が低いという大二さんの謙虚な態度によるものであることをご了解頂きたい>

M:なるほど。そういう意味では森さんもそうだし、チャーさんなんかも同じような外国の空気を感じますよね。
モノマネではないオリジナルのロックをダイレクトに体験できた世代。
O:その通り。
あと、山岸(潤史)も昔からそうだよね。
M:よくわかります。
NATALが大二さんのおメガネにかなって心底ヨカッタと思っています。
O:イエイエ…「おメガネ」だなんて!

 

ドラムの音

 M:それで、いつも思うんですが。大二さんのドラミングはかなり音が大きいですよね?
すごく軽く叩いているように見えても大きい。
ところが、ゼンゼン耳障りではない。いわゆる「遠鳴り」っていうヤツ。

Img_0556エルヴィンとかポール・モチアンなんかもそうでした。
手をチョットしか動かしていないのに出てくる音がすごくクリアで大きい。
何より音が美しく、音楽的です。
で、反対に最近の若いドラマーってシャカリキになって叩いているのに音がすごく小さいように思えます。
それと、手足がすごく早く動いてテクニカルなんだけど、バッチンバッチンいってるだけで、まったく音楽的ではないように聞こえる若いドラマーをよく見かけます。
このあたりどうお思いになりますか?
O:アレは相当小さい音ですよ。
ウシさんは90年代のイギリスのバンド…例えばブラーとかオアシスとかのドラムを聴いてどう思いますか?
M:ゴメンナサイ。双方Marshallなんですが…印象にまったくありません。
O:そうか…。
あのね、いわゆる「ハード・ショット」とか「ストロング・ショット」のドラミングというのは、アメリカではなくて、実はイギリスから出てきたモノなんですね。
ボーナムとか、コージーとか…。イアン・ペイスはこんなに太いスティックで、あのスピードでアレをやったんです。
それで、正統派のハードロックを見渡した時に、そういうドラマーって、80年代になるまでアメリカから出てこなかったんですよ。アピスくらいか…。
正統派なハードロックはあってもそういうドラマーはいないんです。
M:確かにそうですね。
70年代のアメリカのドラム・ヒーローって聞いたことがない。まさかのドン・ブリューワー?
O:そう、ヒーローはそれほどいないんですよ。
コレは注目すべきことだと思うんですが、「個性的なドラム」っていうのは圧倒的にイギリスのバンド・ドラマーになるんです。
ボーカルとギター以外のパートで個性的なサウンドを作った…つまり、個人的なスタイルがサウンドを作って注目されたのは圧倒的にブリティッシュ・ドラマーなんです。
ボーナムもペイスもアメリカにはいなかった。
M:なるほど。考えたことなかった。それだけマーシャルがうるさかったってことかな?
O:ハハハ!
それで、その「ハード・ショット」なんですが、90年代になって、PAとモニターの技術が発達して、その出元のイギリスのバンドからドラムの音がちっちゃくなっちゃったんです。
M:ギター・アンプと同じですね。
O:イギリス勢から率先して音が小さくなっちゃった!
ボクはブラーが大好きだけど、あの時代からハード・ヒッターがいなくなって、ガックンと音が小さくなったんです。

Img_0053_2M:そういうハード・ショットを必要とする音楽がなくなってしまったということですよね。
O:もちろんそれもありますし、ステージの上で大きい音を出す必要が一切なくなってしまったんです。
結果、ハード・ヒッターが残ったのはアメリカを中心としたヘヴィ・メタルとデス・メタルぐらいでしょう。
M:ギターというか、ギター・アンプと同じ流れですね。
O:後はメタリカ系?
そういうバンドはとことんやり続けると思ったら、そのメタリカですら最近はキレイに音を出していますよね。
M:しかし、大二さん、ブラーとかオアシスとかそういう新しいものまでご熱心によくカバーされますよね。
私はMarshall Blogなんてのをやっていて、本当はすべてのロックに対して全方位外交をしなければならない立場だと思うんですが、その前に、もうリスナーに徹して思いっきりワガママにやらせてもらおうと思って…。
O:うん。
でも、これはボクが作る側の人間だから「勉強」のためにそういう若い世代のロックを聴いている…とかいうことではないんです。
ボクは手足をもがれようと、何をされようと一生オープンな音楽ファンでいるつもりなんです。
    

…と、大二さんが音楽への尽きぬ興味と愛情を宣言されたところでこの三時間半に及んだインタビューの幕を降ろすことにする。
途中の私の無駄話や笑い声で聞き取れない箇所、書いても第三者には通じないような話題もあって、内容はだいぶスリムになった。
大二さんのお話をお聞きしていてとにかく思ったのは、「いいミュージシャンはいいリスナーたれ」ということだ。
かつて井上ひさしが言っていたが、何かの本を書く時、最低でも書架二つ分の関連書籍を読むと言っていた。彼がタヌキかなんかの本を書くことになった時、神保町からタヌキに関する本が無くなったという話も聞いたことがある。
こうして何かをクリエイトする人というものは、常にアウトプットをはるかに上回るインプットの蓄積があるのもだ。
大二さんはロックの日本上陸とともに、当時のオリジナリティあふれる音楽を浴びるようにインプットし続けた傍ら、自分たちの音楽を創造した稀有な存在である。
そんなアーティストの話が面白くなかろうハズがない。
ここまで三回のインタビューへの反応はすこぶる良好であった。
今日でこのシリーズは完結するが、大二さんの狙い同様、老若男女を問わずひとりでも多くに方にこのインタビューを読んで頂くことを切望する。
って最後に書いてもしょうがないじゃんね!
インタビューを読んで「おもしろい」と思った人はゼヒ拡散して頂きたい。
そして、これが少しでもロックの延命対策に役立てばうれしく思う。
大好きなバンドの、最も好きなドラマーを三時間半にわたって独り占めし、自分の好きな話をうかがうことができたのは最高の幸せだった。
大二さん、ご協力ありがとうございました。

Img_0273  

四人囃子よ永遠に…。

<アウトロ>
昨日登場していただいた四人囃子研究家の灘井さんから『Fullhouse Matinee』に関する資料を追加して頂いた。
コンサートのプログラムだ。
コレは欲しいな~!尚、灘井さんには『Fullhouse Matinee』周りの情報以外にもたくさんの貴重なご助言を頂戴しました。
この場をお借り致しまして厚く御礼申し上げます。

9_pg1_4 大二さん若ッ!
念のため記しておきますが、右端が1989年ごろの岡井大二さんです。

9_pg2_2 四人囃子フェイスブックはコチラ⇒Official facebook   
      スマートホンをご利用の方はコチラ
四人囃子のウェブサイトはコチラ⇒四人囃子ウェッブ・サイト


(一部敬称略 ※協力:灘井敏彦氏)

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。 詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2016年10月20日 下北沢楽園にて撮影)

2017年1月23日 (月)

四人囃子ニュー・アルバム発表記念 岡井大二スペシャル・インタビュー <vol.3>

大二さん、読売新聞にご登場されてましたな…紙幅の関係もあり、記事の内容は四人囃子のプロフィールと『錯』の紹介にほぼとどまっているが、それほど『錯』の話題性が高いということ、あるいは四人囃子の音楽への再注目の兆しの表れであると信じたい。
こうした過去の素晴らしい音楽に耳目が集まりチョットした「社会現象」にまでなってくれるとうれしいのだが…。
そこまでが私の「野望」の第一章。
そうした社会現象で若い人たちがそうしたカッコいい昔のロックに興味を持ってもらうことが野望の第二章。
そして野望の最終章は、その若い人たちが過去のチャンとしたロックのエキスを吸収して、自分たちの感性で今のロックを作ってもらうことだ。
ま、マーブロに書いていることよ。
大二さんの言葉を借りれば「日本のオリジナルロック第一世代を知らない世代にも体感してほしい(読売新聞のインタビューより)」ということだ。
『錯』の発売まであと二日…25日の夜、または26日の朝のフェイスブックの投稿が「『錯』買いました!四人囃子最高!」という投稿で埋め尽くされることを期待している。

さて、『四人囃子ニュー・アルバム発表記念 岡井大二スペシャル・インタビュー』の第三回目の今日は『錯』の「Live Takes」を聴いてみよう。

9_今日も試聴に当たってはmarantzのCDデッキをMarshall HEADPHONESのWOBURNにつないだオーディオ・セットを使用した。

Wbさて、この「Live Takes」に収録されている内容は、『From the Vaults』と『Fullhouse Matinee』、さらに『'73四人囃子』から一曲が選ばれた音源であり、すでに世に出回っているもので、初出の音源は含まれてはいない。
「なんだよ、未発表の音源入ってないのかよ!」なんて文句を言うことなかれ。
だからはじめっから「ない」と言ってる。
その代わりに、それらの歴史的音源がデジタル・テクノロジーの進化を得てさらに良質な音源で楽しむことができる。
選曲や音質において、まさに大二さんがおっしゃるように、「四人囃子という名前しか知らない人にも楽しめるアルバム」ということが「Live Takes」でもいえるワケだ。
さて、収録曲は10曲のうち、9曲が『From the Vaults』からの選曲。
「一触即発」、「おまつり」、「泳ぐなネッシー」、「ピンポン玉の嘆き」、「機械しかけのラム」、「Nocto-Vision For You」と、四人囃子の活動を俯瞰して選ばれた代表曲が惜しげもなく収められている。
ちなみに「ピンポン玉の嘆き」は1973年7月21日、杉並公会堂における初演のもの。
私ごとながら…1978年か1979年に「Plumage」という民間のロック・サークルのコンサートがココで開かれ、サークルに参加していた高校生だった私もそこでギター弾かせてもらったのだが、ヘッドライナーで出演したBAD SCENEと同じ舞台に立ててうれしかったのを覚えている。
さて、四人囃子というと必ず「日本を代表するプログレッシブ・ロック・バンド」というキャッチが付いて回る。
話を戻して…私は大のプログレッシブ・ロック好きだが、四人囃子の音楽をプログレッシブ・ロックと感じて聴いたことがほとんどない。
大二さんは四人囃子の活動を「ポピュラー音楽でエポック・メイキングなことをする、というのが基本理念だった(読売新聞より)」とおっしゃっている。
まさにその通りのことをされたとは思うが、「プログレッシブ・ロックのバンド」という感覚が今でもないのだ。
ところが、この「ピンポン玉の嘆き」だけは別で、四人囃子を「プログレッシブ・ロックのバンド」たらしめているのは、この7/8拍子の一曲だけなのではないか?とまで思ったりするのだ。
「プログレッシブ・ロック」というカテゴリーの定義が極めて曖昧なので、コレはあくまで個人的な意見なんだけどね。

9_img_0225そして、9曲のうち、5曲が1989年9月22日と23日にMZA有明で開催されたリユニオン・コンサート『Fullhouse Matinee』で収録されたものだ。
二日のうち23日は昼夜の二回公演。すなわち「マチネー」があったワケだ。
一応記しておくと、「matinee(アメリカじんは『マリニー』みたいに発音する)」というのは昼間興行のことで、ブロードウェイの人気ミュージカルでは週末と水曜日にマチネーがある。
ロンドンのウエスト・エンドは木曜日、あるいは水曜日と土曜日とショウによって異なる。ちなみにウエスト・エンドは日曜日はお休みだ。
当然のごとく、主役級の役者さんは一日にミュージカルを二回演ることは体力的に難しいのでマチネーは代役を立てることが結構ある。
当然代役となると人気も落ちる。
すると、当日売りのチケットがものスゴイ値引きをされて売り出される。
ショウの内容自体はまったく同じなので、安くショウを楽しむにはコレを利用するのも一興だ。
私はといえば、もうだいぶ前の話だが、ブロードウェイに行った時、ジュリー・アンドリュース主演のミュージカルがかかっていて、マチネーで格安チケットが出ていた。
「ヨッシャ!」と思い、チケットを買いに行くと、案の定代役。で、やめた。
変にプライドの高い私としては「代役が演じたミュージカル」は後で自慢が効かないと計算したのだ。
ま、私なんかそんなもんですわ。
それで、四人囃子、ご存知の通り、このコンサートの音源はすでに二枚組のライブ・アルバムとして発表されている。
下の写真がそれ。
1989年といえば、私はロックから離れていたどころか、転勤で東京からも離れて信州で安穏としたサラリーマン生活を送っていた。当然ネクタイとスーツを着用していた。
したがって、このコンサートが開かれたことも知らなかったし、MZA有明なんて小屋も知らなかった。
そういう意味では「日清パワーステーション」も経験していないのです。
その時代のライブハウスいえば、東京に帰って来て辛うじて渋谷の「On Air East」でTower of Powerを観たぐらいか?(Galibardi氏の無事を祈る!)
それじゃダメじゃん!って?
ナンノナンノ!「それじゃダメだ」と笑わば笑え。
アタシャ後楽園ホールでロイ・ブキャナンやフランク・マリノを観た。後楽園ホールだぜ!ボクシングの試合じゃないぜ!ワイルドだろう?
浅草国際でキング・クリムゾンの初来日も観てるから!国際劇場だぜ!
ま、どうあがいてもこの後のインタビューに出てくる大二さんの話にはかなわないんだけどサ…。
さて、話を戻す。
『Wish You Were Here』を連想せずにはいられないヒプノシスっぽいジャケットがカッコいい。
9_img_0223_2
元の音源も何ら文句の付けようもない音質なのに、今回はそれに「迫力」というスパイスを存分に振りかけたイメージに仕上がった。
まぁ、この味を知っちゃうと、そうおいそれとは元には戻れないだろうナァ。
今回、『錯』の音質をチェックするために、『Fullhouse Matinee』と『From the Vaults』と、三枚の音を聴き比べていた。
すると、『Fulhouse Matinee』と『錯』では、一曲目の「Nocto-Vision For You」の満さんの歌いだしのピッチが異なることを発見した!…と喜び勇んでいた。
しかし、「待てよ…」と思い、ココに書く前に念のため確認をすることにした。
教えを乞うたのはMarshall GALAでの稲葉囃子のスタッフもお願いした四人囃子研究家である灘井氏だ。
ちなみに灘井さんは、四人囃子やCharさん、金子マリさんらが参加した、四人囃子の初代ベーシストである中村真一さんの追悼コンサートにご出演されギターの腕も披露されている。
そして、私の研究の結果は当然のごとく空振り。
私は『Fullhouse』→『Vaults』→『錯』と同じ音源を三段構えでリマスターしているものと思い込んでいたのだ。
今回の『錯』の音源は、『Vaults』にすでに収録されているコンサートの23日のマチネーの音源をリマスターしたものであって、『Fullhouse Matinee』のモノとは異なる音源だったのだ。
ああ、単なる私の勘違いでこんなに紙幅を割いてしまった!
お詫びに全公演をご覧になった灘井さんからの情報を付け足すことにしよう。
セットリストは基本的に全公演共通だったそうだ。
衣装も同じで森さんの髪型に少々変化があった程度。
そして、23日夜の最終の公演のみ二度アンコールに応えた。その時は出演者全員がお揃いのTシャツを召していたそうだ。
下は灘井さんからお借りしたその時のチケットの半券。
おもしろいのは、初めの二公演の席が「G列」と前の方であるのに対し、一番下の23日の夜の公演のみ「T列」と大分後ろの方になっている。
もちろん皆さん最終公演のみのダブル・アンコールを見越していたワケではないのであろうが…そうか、みんな最後の方を見たいんだな~…と、東京にすらいなかった私はそんなことしか分析できません。
灘井さん、どうもありがとうございます!

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Mza_tick2

Mza_tick3 もうひとつ。
『From the Vaults』以外の音源は『'73四人囃子』の「円盤」だ。
『錯』には「(Full Length Version)」と記されているが、『'73』と内容は同じ。
何をもって「Full Length」なのかを灘井さんと話したのだが、我々の間では「シングルの短いバージョンとは異なり、丸々一曲全部を演奏しているという意味で『Full』なのではないか?」という結果に落ち着いた。
再三書いている通り、音質はオリジナルに比べて格段に良くなっている。
まるで見慣れたモノクロの映画が総天然色になったかのようだ。
そして、若さあふれるパワフルな演奏!
こうして「ロックがロックだった時代」の素晴らしい音源の質が向上することも若く、新しいリスナーがひとりでも増やしてくれるキッカケになることを願ってやまないい。
黙ってりゃいいんだけど、知ってることは言わないと気が済まない性質なので書いてしまうが…このジャケットに写っている1959のフルスタック(UNIT3)は四人囃子のものではなく、対バンの安全バンドのものだったとか…あ~書かなきゃヨカッタ。

73さて、大二さんのインタビューの三回目。
今回はまたビートルズの話に始まって、大二さんの音楽論について語って頂いた。

S41a9563

さらにビートルズ

O(岡井大二、以下「O」):もう一度、ビートルズについて言うと、彼らが日本に来たのは1966年の6月です。
あの時に飛行機から降りてきた彼らの格好はご存知ですよね?
M(Marshall、つまり私、以下「M」):マッシュルーム・カットに日本航空の法被。
O:そうです。
そしてあのツアーの後に「もうレコーディングしかやらない」と宣言しますでしょ?
M:フィリピンで散々な目に遭ってしまってツアーにウンザリ…。
O:それでスタジオに引きこもって1966年中に『リボルバー』を出してるんですよ。
M:はい。

SffO:さらに引きこもって、年が明けて1967年になった途端「ストロベリー・フィールズ」のシングル盤を出してるんですね。
そして、その年の夏に、つまり、日本に来た1年後に『サージェント・ペパーズ』を出してるんですよ!
1枚のアルバムを挟んで(『リボルバー』のこと)、曲からファッションから全部変わっちゃった!
M:そういうことだったんですね。
O:日本に来た時の新曲が「ペイパーバック・ライター」です。
サウンドはハードになって何かを予感させるものあっても、ビート・バンドの域は出ていない。
それが『リボルバー』から変わっていって『サージェント・ペパーズ』ですよ。
それで、ケンカしたりしても最後には『アビィ・ロード』を作ってしまったワケですよね。
M:大二さんたちの世代の方はナマでそれを見続けたんですもんね~!

Img_0019_3O:ビートルズのこの変化の順番を目の前で同時期に見ていたという「幸福感」は、申し訳ないんですが、後の世代の方々にはわからないでしょうね。
M:私の世代になりますと、『ラバー・ソウル』が65年、『リヴォルバー』が66年、そして『サージェント・ペパーズ』が67年ということは後で教わって知っていても、その間の「一年」に起きた変化にまったく実感が湧かない。
生まれてはいたんですが…。

言ってみれば、本能寺の変が1582年、関ケ原が1600年、それから徳川幕府ができたということを知っているのとまったく同じなんですよ。
こんなことに実感が湧くワケはありません。

それと同じこと…うらやましすぎます。
マァ、最近は「いい国作ろう江戸幕府」なんて言っている若い人もいるようだから「実感」も何もありませんが…。
でも大二さん!私だってダテに年を喰ってはいませんよ!
O:ほう?!
Mもう大分前の話になりますけど、イギリスに行って、若い楽器店の連中と大勢で食事をする機会がありましてね…話題はもう自然と音楽の話になる。
私が「生でレインボウを観た」、「ライブ・イン・ジャパンの時に客席にいた」なんて話をするとそのイギリス人の若い子たちが「スゲエ!握手してください!」って言うんですよ!

Img_0679_3O:ワハハ!
M:大分スケールが小さいですね、こっちは!もう5年早く生まれていればナァ。
O:そうか~。
もうちょっとビートルズの話をすると、人気に乗じて初めて4チャンネルを駆使して「コレがマルチ・チャンネル・レコーディングの極致」というサウンドを作ったのが『ラバー・ソウル』ですよね。
M:はい。
Oで、『サージェント』は4チャンネルのテレコを2台用意して、1チャンネルをシンク信号に使って7チャンネルで録音した。
でも今、7チャンネル渡されて「サージェントと同じ音づくりしてみろ」と言われても誰もできない。
M:そうでしょうね~。
O:で、なんでそんなことができたのかというと、時代の空気みたいなものもあったと思いますが、とにかく発想がブっ飛んでいた。
ビートルズだけじゃなくて、ストーンズも色々やっていたし、ザ・フーは『トミー』を作る、『ラバー・ソウル』のエンジニアだったノーマン・スミスが『サージェント』を作っているとなりのスタジオでプロデューサーとしてピンク・フロイドのファースト・アルバムを作る。
あの1枚目の衝撃たるやスゴかったですからね。
宇宙みたいな、夢みたいな、コワイような、気持ちいいような…またまたナンダこりゃ?となったワケです。
M:今では「ピンク・フロイドのファースト・アルバム」以外のモノではないかもしれませんが、当時はあの音楽が相当新しく響いて本当に『夜明けの口笛吹き』だったんでしょうねェ。
O:音楽雑誌を見れば、アメリカではフランク・ザッパみたいのが出て来る…。

Pfボブ・ディランがどうして変わっちゃったのか?
グレイトフル・デッドも出て来た。
デッドの2枚目(註:Anthem of the Sun、1968年)なんかも少年にはスゴイと興奮しても、どうなっているのか分析なんかできないんです。生活も健康的だったし…(笑)。
M:わかってます、わかってます!
Oとにかく英米で何が起こっているかわからない。
無知な少年だったから、元よりビートニクの文学のことも、ティモシー・リリーの精神世界のことも知らない、ヒッピーってなに?
ベトナム戦争は泥沼化してる、世界が混沌の極み…こうしたことが1960年代の終わりにいっぺんに起こちゃったワケです。
それで、ビートルズはアメリカで名声を得てからたった3年でそういうムーブメントの中心になっちゃったんですね。
このあたりは世界の音楽界の明治維新みたいなものだったんです。
M:私は幼稚園で、パーマをかけたら、それを見た親戚のオバさんが「ビートルズか?」と言ったのを覚えています。
そうした世の中の文化的な大きな変化は英米のお話しでしょ?
O:そうですね。日本にはそれに関するハンパなデータしか入ってこなかったですね。
レコードは一応手には入りました。どんな人たちかは雑誌の写真で何となくでわかるんですが、どんなことが起こっているのかがわからないワケです、少年からすると…。

S41a9510M:そういう感覚がピンと来ないですね。
O:そのあたりのことがわかってきたのはようやく90年代に入ってからですね。
さすがにインターネット以前に本や映画を通じてわかってきたんです。
M:90年代?
O:そんなもんです。
60年代の歴史上の人たちの本当の姿や、何が行われていたのかを広く日本人が知ったのは90年代に入ってからでしょうね。
M:時差が10年どころじゃない!

 

オリジナル曲で勝負!

M:オリジナルで勝負しよう…ということになった時、「何をどうしよう」ということはご自分たちなりのお考えというものはあったんですか?
O:何をしていいかということはわからなかったけど、何となく勘が働いたんでしょうね。
M:たとえば「ブエンディア」なんていきなりボサノバだったりしますでしょ?
あの時代にああいうアイデアはどこから出て来たんですか?
O:「一触即発」、「おまつり」、坂下(秀実さん)による「泳ぐなネッシー」なんかは『一触即発』を作る前からのレパートリーなんです。
M:「ネッシー」のコード進行のアイデアなんかはI-I7-IV-IVm-I、いわゆるターンバックっていえばいいのかな?
基本的なコード進行。アレをすごくゆっくり弾いていたりしますよね?
でも、「ブエンディア」のボサノバのアイデアは不思議。

Se_2O:まぁ、あれは「こういうの好き~」ってだけでやった感じですよ。
ジョビンの「Wave」あたりがようやくピンときて、「こんな気持ちいい音楽があったか~。こういうの演りて~な~」っていう感じでしたからね…なんて時に、「空飛ぶ円盤に弟がのったよ」をシングルで出すことによってバーターで移籍ができることになったんです。
M:お、またバーター。
O:「円盤」をシングルで出すのは忍びなかったんですけど…。
M:え、いいじゃないですか。
O:でも、出すことになって…ところがイザとなると今度はカップリング曲がない!
それで、「四人囃子用の曲じゃないけど、オレ、インストが一曲あるよ」ってB面に入れたのが「ブエンディア」だったんです。
だからアレは四人囃子向けの曲ではなかった。個人的な趣味です。
M:へぇ~。

 

昔のライブハウス

M:その頃、ライブハウスの状況というのはどんな感じだったんですか?
O:「グループ・サウンズの先輩達が出ているところ」ということになりますね。
M:さっきの話ですね?
O:で、伴奏を聴かせるスペースと音楽に合わせて踊るスペースに分かれているところが多く、そういうところでは踊るスペースの方が圧倒的に広いんです。
M:昔のジャズみたいに、要するに踊るためのバンド演奏だったワケですよね?

Img_0003O:そういうことです。ゴーゴー・バンドです。
それで、人気の出たグループ・サウンズの歌や演奏だけを聴かせるスペースとしてできたのが、ACB(アシベ)でいえば、「ニューACB」というところだったんです。踊る方は「ゴーゴーACB」。
で、そういう演奏だけを聴かせるスペースが増えていったんですが、あくまでも女の子たちがあこがれのグループを観に行くところでしたね。
M:なるほど。
O:だから、今の感覚で言う「ライブハウス」というのはロック・ポップ系にはなかったですね、当時は。
で、やっとそれらしいものが出て来た…。
M:え、どこですか?
O:…というのが、実は渋谷で言えば「ジァンジァン」だったんですね。
M:へ~。子供の頃、アレは芝居小屋だと思っていました。
O:そうそう。
だから「ありとあらゆるパフォーマンスに開放する」という意味合いがあるスペースだったんです。
M:色んなのが出てましたもんね。他には?
O:「ロック・バンドのためのスペース」ということであれば、吉祥寺のOZ(筆者注:1972年6月から翌年の9月という短期間に渡り営業していたライブハウス。久保田麻琴と夕焼け楽団、裸のラリーズ、南正人、タージ・マハル旅行団、カルメン・マキ&OZ、安全バンド、四人囃子、クリエイション、頭脳警察、ウエスト・ロード・ブルース・バンド等が出演した)なんてのもそう。
あとは屋根裏、そしてロフトですよね。
M:当時は吉祥寺なんてまだ閑散としていたんじゃないですか?
O:かなりさびしかったですね。
M:あとはホール・コンサートですか?
杉並公会堂なんかよく使われていましたよね?アレは何か特別な意味があったんですか?
O:ゼンゼンなかったです。ひとこと「地元」だから。
当時は各町の公会堂がグループ・サウンズのTV収録の場だったりもしたんですよ。
M:それと昔は学園祭が盛んでしたよネェ?「学園祭の女王」なんてね。
今はもうゼンゼンですよね?
O:今は実行委員会とかイベントのサークルとかの人たちが、「企画を立ててビジネスが成立するか?」みたいなシミュレーションの勉強の場になってしまったんですよ。
昔は、「ロックの息吹」なんて時代ですから、「学園祭」というイベントで晴れて自分たちの好きなバンドを呼んで演奏してもらうことができる場だったんですね。
そんな機会ですから呼ばれる方も張り切って演った。

 

音楽を作るということ

M:いつもMarshall Blogで騒いでいるんですが、今の若い人たちのロック界を見渡すと、「ロック」という言葉は残っていても、我々が持っている感覚で言うところの「ロック・バンド」というものはほとんど存在しない。
かといって歌謡曲もなくなってしまった。

Img_0524O:そうですね。
我々の世代が言う「正統派ロック・バンド」というのはいないですね。
それで言うと、最近の傾向として、デスクトップだけで音楽を作る人も多いですよね?
ウシさんはそういう人をミュージシャンとして認めていますか?
M:それなら「作曲家」ということになって、「ミュージシャン」っていう感じがしないかも。
O:「作曲家」は「ミュージシャン」ではない?
M:ミュージシャンは生の楽器を演奏する人のことを指すようなイメージがありますね。
O:そういうことね。「演奏」ということを重視するワケですね?
ボクはチョット考え方が変わっていて、絵に例えましょうか?
M:お願いします。
O:「匠」とか「道」の世界で考えれば、まずデッサン2,000枚描けということになるんですね。(筆者注:大二さんのお父上は、武蔵野美術大学の教授や同美術学園の学園長を務めたデザイナーの岡井睦明さん)
でも「絵を描く」ということになった時、最初からペンキを壁に投げつけたいヤツもいるんですよ。
M:ジャクソン・ポラックみたいな?
O:ダリのように細密な絵を描く人もいれば、谷岡ヤスジみたいに(筆者注:古すぎて鼻血ブー!)ドヘタ風味の四コマ漫画でいい味を出しちゃう人もいるんですね。
M:確かに。
O:要するに「出来上がり」なんですよ。
「何を生み出すか?」が一番だと思うんです。
家づくりに例えて言うと、大工さんにあたるのが 「プレーヤー」で、腕・技術を通してセンスを発揮するスタンスだと思うんです。
でもボクは設計の具合に一番興味があって、アホなものでも独創的なものにワクワクするんです。音楽の場合は発想に具体的な規制は無く自由ですから、例えば半分フランス庭園で半分日本庭園なんてことをしてもいいし、フランス庭園のド真ん中に鳥居を建てちゃうことだってできる。
出来ることなら月までハシゴ立てたい…みたいな。
M:できません!
Oだから自分の感覚で言葉を使い分けると、大工として名工を目指すのが「プレーヤー」の世界、設計図を提出して未完の想像物を世に問うのが「ミュージシャン」の世界、と考えています。
もちろん、ひとりの音楽家においてくっきり境目がある訳ではないのですが…。

S41a0872_2「プレーヤーとして」と話題にする時と、「ミュージシャンとして」と話題にする時とボクにとっては違うんです。
M:なるほど。
そういう言葉の使い分けであれば、私の感覚は作曲する人が「アーティスト」、それを演奏する人が「ミュージシャン」っていうのはあります。
もっともコレは私が考えたワケではなく、西欧人の受け売りです。横文字だけあって彼らはそれらの言葉を使い分けているように見えます。
O:で、一番大切なのは設計することからなんじゃないかということなんです。
M:はい!
O:「音楽」で言うと、「曲を創造する」ということになる。
コピーして演奏するより、どんなにボロクソに言われようと、落ち込んでしまおうと、自分はオリジナル曲を作るということの方が「ものづくり」ということにおいては、はるかに尊いと考えちゃうし、個性的な発想の人を尊敬するし、憧れてしまう。
「創作物」の積み重ねがあっての音楽の歴史だと思うんですよ。
M:私は何も作ることができませんが…まったく同感です。
O:「創作」や「ものづくり」に制約はありません。
例えばコンピュータしかイジれない人が何か曲を作る。
それに対して聴く側には賛否両論があったとしても、また、実際に上手に演奏できたとしても、コピー・バンドをやっている人達よりは、ボクはそのデスクトップ・ミュージックで画期的な作品を生み出す方の人を評価したいんですね。
M:よくわかりますが、実際そういう人はいるんですか?
O:ん~(笑)ま、そうは滅多にいませんね、確かに。
絵心・筆心のようなことが、奏でるという場には重要ですもんね。
M:それでは、スイートやエアロスミスのように職業作曲家に曲を作ってもらうというスタイルはどうお思いになりますか?
例えば、スイートはニッキー・チンとマイク・チャップマンというソングライティング・チームの曲を演奏して、たて続けにヒットを飛ばしました。(註:このふたりはスージー・クアトロやスモーキーなどにも曲を提供した大ヒット・メーカー。スージーの「Wild One」なんていいもんね~。チョット郁恵ちゃ

S41a5215_3んの「夏のお嬢さん」みたいだけど…)
エアロスミスも復活後は曲の提供を受けていますよね?
ロックはもうチャンとした音楽教育を受けたプロの作詞家や作曲家に「創作」の主導権を渡したらどうかと思うんですが…。
他の人が同じ曲を演らない限りは「持ち歌」ということでオリジナル・ソングになるワケですから。
O:それはまったくその通りですね。
M:曲は職業作曲が作って、あとはバンドがピロピロしようが、ドカドカやろうがそれは自由。
そこで腕自慢をすればいい。
O:わかります。
M:しかし、あのピロピロ系の方々というのは大変だと思いますよ。
「様式」にとらわれて他のことをするのが罪悪となってしまっているように見えます。
それこそが個性でもあるのかもしれませんが…。
O:最初にアレから入っちゃうとね~。抜け出すのがムズカシイのかも…。

<vol.4:最終回>につづく。

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(一部敬称略 ※協力:灘井敏彦氏)

2017年1月18日 (水)

四人囃子ニュー・アルバム発表記念 岡井大二スペシャル・インタビュー <vol.2>

昨日から岡井大二のインタビューつきで紹介している1月25日発売の四人囃子の新作『錯』。
「シンサクサク」というぐらいベテラン・ファンも初心者もサクサク聴けちゃうベスト盤。
四人囃子の世界には誰が入ってきてもいいし、誰でもそばにくれば、その素晴らしさを教えてくれる…そんなアルバムだ。

9_ 今日は2枚のCDのうち、『Studio Takes』を聴いてみよう。
鑑賞に当たっては、一昨日紹介したMarshall HEADHONESのBluetoothスピーカー、WOBURNに…

400 marantzのCDデッキをRCAで接続したセットを使用した。

Ncd_2

Bo『Studio Takes』の一曲目は、1978年の『包』収録の「Mongoloid-Trek」。
市ヶ谷の一口坂スタジオでのテスト・テイク。
いきなり脱線になってしまうが…いつも混んでる角ッコの小諸そばの交差点を降りて行った左側が一口坂スタジオだった。
私は、高崎晃さんが菅沼考三さんの『Convergence』というソロ・アルバムのレコーディングに客演した時、MarshallのJMD-1のお伴で丸一日お邪魔させて頂いたことがある。
その時、「あ~四人囃子もココでレコーディングしたのか!」と感慨にふけったのを覚えている。
レコーディングは昼頃から始まって、プレイバックをチェックする時以外、ほとんどスタジオから出てくることもなく、夜中までブっ続けで取り組んでいたにはビックリした。ものすごい集中力!(ベースはMASAKIさんだった)
その一口坂スタジオも5年前になくなってしまった。

さて、せっかくなので、このアルバムに託した大二さんの狙いにまんまと引っかかったことにして、「バンド名は知っているけど四人囃子の音楽を聴いたことがない人物」に成りきって聴いてみることにしよう。
  
ふ~ん、コレが四人囃子ってヤツか…まず普通にバンド名がいいんだよね~。でも普通に一回も曲を聴いたことがないからな…普通に楽しみだ。
ん~、ジャケットが普通にいいな~。
この曲は普通に歌がないな。四人囃子ってのは普通にインストのバンドだったのか?
なかなか普通に変わったメロディだな…普通にドラムがスゴイな。
ウワ!なんだこのキメ!普通にカッコいい!
なんだ、普通にメッチャかっこいいじゃねーの!もっと普通に聴いておけばよかったよ!
次の曲はナンダ?「カーニバルが普通にやってくるぞ」ってか?お、普通に歌入りだな?
  

Gpあ~、ダメだダメだ!ヤメヤメ!
今の若い人になったつもりでやってみたけど、満さんの「♪こわれかかった真っ赤な車に乗って」の声が聴こえた途端に顔が普通に浮かんじゃって!
とても四人囃子を初めて聴いている体の小芝居なんて普通にできない!…あ、「普通」が伝染っちゃった。
ということで「普通モード」に戻ることにする。(この「普通」は正しい使い方だ)
  

「円盤」みたいな言い回しになるが、佐藤満さんは2000年に開催した「マーシャル祭り」にご出演して頂いたことがあるのだ。
そう、この新しい四人囃子のベスト・アルバムは満さん時代のレパートリーから始まる。
ココからして今までの編集盤とは違う雰囲気満点。
『ゴールデン・ピクニックス』収録の「カーニバル」にしても満さんバージョンを持ってきたところがおもしろい。
この「カーニバル」と続く「ハレソラ」は1977年のFMの番組のスタジオ・ライブ。
アタマ3曲を満囃子で構成したのはものすごく新鮮な感じがするね。

Pjこうしたアンソロジー系のアルバムとなると、どうしても時系列を重視した曲順にすることが多いが、思いっきりタブーを破ったところがいかにも四人囃子らしくていい。
大二さんがよく口にする「エポック・メイキング」だ。
私は森園囃子も満囃子も両方大好きなので、抵抗があるどころか、むしろ大歓迎。
ところでこの音!…ナンダこれ?
昨日の記事で説明した通り、今回のアルバムは、既発の『From the Vaults』とその続編の音源をリマスターしたものが中心になっている。
リマスターのやりようでこんなに音が変わっちゃうのか~?
『From the Vaults』の発売からそう時間は経っていないのにもう技術が進歩しちゃったのかしらん?
どうして最初からこうしなかったんじゃ?!…という感じ。
私は貧乏性なのか、「音質が良くなったので同じCDを買い直す」なんてことにはほとんど興味がなくて、その分の資金があれば、一枚でも聴いたことのないCDを買いたいのね。
別に余命を宣告されているワケでは決してないんだけど、死ぬまでに一枚でも多くのいい音楽を聴きたいと思ってるの。
でも、コレはチョットそれを考え直した方がいいかも!って思っちゃったよ。
写真で言うと、以前の音はjpeg。今回の音質はRAWで撮って、明暗や彩度等を最良の手を加えて補正した感じ。
「デジタル処理」ということではまったく作業は同じか!
そうだナァ、わかりやすく言うと、メンバーが10歳ぐらい若返って演奏している感じがする。
大二さんのドラムの暴れ方が激しくなっているのもスゴイが、満さんのギターが以前のものとはゼンゼン違う!ピッキングのひとつひとつが「必殺」という感じ?

Is今回のCDの目玉のひとつでもある「おまつり」と「一触即発」は『From the Vaults 2』に収録されていた、小分けのパーツをガッツリとひとつにまとめ上げて微調整を加えたもの。
すなわち、小分けにされていたパーツを組み合わせて作ったオリジナル・バージョンの元、すなわち小分けされたパーツを聴かせてくれたのが『Vaults 2』。
今回は、また別の手法でそのパーツをつなぎ直して一編にしたということ。
あのハエ人間の映画があったじゃない?瞬間移動装置のヤツ。
人間の体を細胞まで分解して、それを別の場所に電送して組成し直すとかいう。
アレに似ていると言っていいのかな?
映画では移動中にハエが入ってしまってハラホロヒレハラになってしまう。
一方、『錯』では移動中に「岡井大二」という音楽を知り尽くした最高プロデューサーに入って頂いて、『Vaults 2』の音源より尚一層聴きやすい二編が出来上がった。
コレにも「四人囃子の音楽を普通に知らない人」にも聴いてもらいたい…という例の目論見がカラんでいる。

その他、「なすのちゃわんやき」、「泳ぐなネッシー」、Marshall GALAでも演奏してくれた(私が頼んだんだけど)「機械じかけのラム」等、各アルバムの人気曲がガチッと収録されている。
個人的には「昼下がりの熱い日」を入れてくれたのがうれしいな。この曲の満さんのソロは「ロック・ギターかくあるべし」を聴かせてくれる。
『Studio Takes』に収録された曲をアルバム別に分類すると、12曲中、森園期の曲が7曲、満期の曲が5曲。
そして、パフォーマンスというくくりで数えれば、双方6曲ずつのちょうど半々となった。
いいバランスじゃないか!
四人囃子に関する文物には、まるで枕詞のように「20歳そこそこでこんなスゴイ音楽を作っていた」という一節がいつも出てくる。
なのでMarshall Blogでは今回それを避けようと思っていたんだけれど、ここ数日この音源を聴いていて、また新しい刺激を受けちゃうとやっぱりそれに触れざるを得ないね。
今の同年齢の若い人達がやっていることを九九だとすれば、四人囃子がやったことは微積分ぐらいになるのではなかろうか?
こんなことを書いたら若いミュージシャンは「ほんとに普通にそうなのかよ!」ということになるだろう。
そう思うったら、このアルバムを聴いてみればいい。作戦は成功だ!
  
さて、大二さんのロング・インタビューの第二回目。
おかげさまで昨日の第一回目のインタビューは各方面から大好評を頂戴した。
ありがとうございました!
今日はまず、大二さんの大好きなプロコル・ハルムの話からスタートだよ!

Img_00312

プロコル・ハルムの魅力

 
M:ところで、四人囃子の皆さんはプロコル・ハルムがお好きですよね~?
結果、共演もされましたし。
O:ウン。

Img_0013M:どういうところこにシビれちゃってるんですか?
O:たぶん、ジェスロ・タルなんかも同じ理由で好きということになると思うんですけど、ボクは、一般にクラシックとかジャズのテンション・コードなんかを必死に取り入れて作ったイギリスのロックミュージックって、かえってダサく感じちゃうんです。
で、人によっては、ツェッペリンのこのフレーズだったら許せるけど、こっちはベタでイヤだとかいう部分が分かれている。
やっていることは近くてスレスレなんですよ。
イギリス特有の産物であるプログレ系とかのフレーズなんていうのは、アメリカ人からしたらベタで聴いていられないか、えらくカッコいいかのどっちかしかない。
ジェネシスなんかがまさにそうですよね。
M:童謡か~?みたいな。
O:そう。
それで話を戻すと、ボクなんかにすると、プロコル・ハルムみたいにクラシックのエレガンスさを作曲の段階でごく自然に取り入れている部分なんかがすこくカッコよく感じるんです。
M:へ~!
O:ディープ・パープルをはじめ、色んなバンドが実験的に取り組んだ、「オーケストラとの共演」とかとは違って感じた。
M:「エドモントン・シンフォニー・オーケストラ(筆者注:1972年のライブ・アルバムでプロコル・ハルムが共演したカナダのオーケストラ)」?
O:というか、オーケストラと共演するかどうかというのではなくて、曲作りなんですね。アメリカ人と

Ghは感覚が違う…当たり前だけど。
その典型例であり最高傑作が『グランド・ホテル』ですよね。
M:同感です。
『グランド・ホテル』についてはROLLYさんも先日新宿のライブハウスの楽屋で熱弁を奮っていらっしゃいましたね。
O:ああ~、そうだったね~。
それと『Thick as a Brick(ジェラルドの汚れなき世界←この邦題こそ「thick as a brick」だ!)』もそう。

M:アレのA面の最後なんか童謡ですもんね。
O:でもね、アレも和声を色々勉強した人なんかが聴くとベタで聴いていられないんですよ。

Tab

♪ダカダカダッ、ダカダカダッ、ダダダダ…。
M:(続けて歌う)チキチキチッ、チキチキチッ、チチチチ、ビョ~ン…。
O:ベタでしょ?
M:最高です。一生聴き続けるレコード。

<ここでプロコル・ハルムの「コンキスタドール」がBGMにかかる>
O:これ(「コンキスタドール」のこと)は当時、最高にカッコいいと思ったけど、今ではベタすぎちゃうな…好きだったけど。
M:で、そのプロコル・ハルムとのご共演はいかがでした?
O:アレね、最初の話しはキング・クリムゾンだったんですよ。
M:えッ!!
アレはKさんの企画ですよね?
O:そう、で、企画を持ちかけて下さった時に「観に来るお客さんがクリムゾンと囃子じゃ同じ気持ちで楽しめないような気がするんですが…」と言ったんです。
M:私はゼンゼンOKですけど!
それでどうなったんですか?

Img_0234O:「それじゃ、誰だったら一緒に演れる感じなんですか?」とKさんが訊くので、「ん~、プロコル・ハルムだったらシャレになるかな?」と答えたんです。
「じゃ、呼んじゃおうか?」となった。
M:ギャハハ、「シャレ」?!
O:そう!
それでしばらくしてKさんから連絡があって、「岡井さん、プロコル・ハルム呼んだからね!ちゃんとやってくださいよ!」って。
M:え~!それでキマったんですか?! いかにもKさんらしい!
Kさんって私の大学の先輩なんですよ。
それで、あの時、ギターでジェフ・ホワイトホーンもやって来た!
日本酒を持って会いに行きました。
2003年か…もうずいぶん昔の話になりましたね。
今は無き厚生年金の楽屋の廊下で恐る恐る大二さんとお話させて頂いたのをハッキリと覚えていますよ!
O;そんな!ウシさんがボクに恐る恐る話していたことなんてあったっけ?!
M:今でこそこんな感じですけど、最初の頃はビビってましたよ!
O:そうだったかな~?
M:だって相手は「岡井大二」ですからね!
イカン!案の定、話が大分脱線してしまいました!

 

大二さんのロック体験

M:その頃の洋楽はどういう感じだったんですか?
O:はい、それでボクらの当時の状況をもう少し詳しく話すと、やっぱり我々もずいぶん音楽の雑誌を読みましたが、今にして思うとその情報って正直、全然アテにならなかったんです。
ファー・イーストの国に入ってくるのは抜粋して限られた情報で、それが記事になっていたんですね。
M:そうだったらしいですね。
O:さっき、「日本の音楽の状況は10年遅れている」と言いましたが、ボクらが中学、高校の時は1960年代の後半になるんですね。
M:よさそうな時代!
O:1960年代の後半と言うのは…一番わかりやすく言うと、1967年のビートルズの『サージェン

Sgtト・ペパーズ』の前後という時期なんです。
大ゲサに言うと、ポップ・ミュージック・シーンにおいては世界的に明治維新よりゼンゼン大きな出来事が起こってしまったワケ。
時代背景がまずあるのですが、世界の世相。そこから哲学も文学も急進していて、あらゆるものが変わりました。
M:私、5歳でした。「サージェント前後論」というのはよく耳にしますが、本当にそうだったんですか?
O:当然音楽もまったくそこから変わるんです。
例えば曲作り、アレンジ、録音技術、ファッション…そもそもラブソングではない曲がヒットするということはそれ以前には、ほぼあり得なかったんです。
M:ある時に気が付いたんですが、ロック史に燦然と輝く『サージェント』って意外に8ビートの曲って少ないんですよね。
O:うん、意外にハネてるのが多い。
M:矛盾していませんかね?4ビートの曲が多いアルバムがロックの歴史を変えたなんて…。
O:近田(春夫)君もそれを言っていましたね。
近田君は「みんなスゴイって言っているけど、オレはいまいち好きじゃない。♪ツッチャツッチャが多いんだよね~」って言い方でしたけど。
M:ハハハ!「♪ツッチャ、ツッチャ」っていうのがいいな!
O:ま、それは曲のタイプの話ですよね。そういう曲が多いということ。
で、『サージェント』というアルバムが総合的な仕上がりと結果的に成し得てしまったことは前人未到で、どうしようもないぐらい大きなことだったんです。
M:やっぱりお兄さんがレコードを買って帰ってきたとか?
O:イヤ、『サージェント』の頃はもう自分で買っていましたね。
M:『サージェント・ペパーズ』がある日新譜として発売されて、それをレコード屋に買いに行くっていうことにどうも実感がわきません!
O:友達と分担して別のレコードを買って貸し借りしたものです。
今でも同窓会ではそんな話で盛り上がりますよ!

 

ビートルズのすごさ

M:ビートルズの曲って、歌詞の意味がダイレクトでわかって、そして歌ってみるところに大きな楽しみがあると思っているんです。実際に歌詞を口にしてあのメロディに乗っけるとすごく気持ちがいい。
そういうところも受けたんだろうなって思います。あ、日本の話じゃないですよ。
O:それもあるでしょうね。
ボクはね、少年時代は少なくともビートルズ派じゃなかったんですよ!男の子だから。
キャーキャー言われているモノよりも、「やっぱりサ~、ストーンズ、ヤードバーズ、スペンサー・デイヴィス・グループだよね~!」って感じ…シャドウズ、デイヴ・クラーク・ファイブから入ったクセに!
M:大二さんってヴェンチャーズじゃなくて、シャドウズ派なんですよね。いつかクロコダイルで

Img_0559Charさんとそんなお話をされていた。
O:そうなんです。
で、あの頃は男の子と女の子の好みがハッキリ分かれていた。
ビートルズは海外から入って来たとびっきりのアイドルでしたからね。
M:我々の世代はクイーンが女の子、キッスが男の子かな?いずれにしても古くなりましたね!

O:ボクはビートルズに命をかけてきた熱心なマニアではまったくないんです。
でも、ビートルズについて考えてみると、録音技術にしても、ポップスでこんな曲が作れちゃうんだ!という曲作りにしても、まわりのスタッフも含めて、ビートルズというのはファウンダー的作業のとんでもない重なりでできているんですね。
まさしくエポックメイキングで。

Img_0019M:「史上初の…」づくしですね?
O:そういうことです。
曲作りについてはあらゆる作曲家が、感覚オンリーで作曲しているジョン・レノンとポール・マッカートニーって何てスゴイんだって言っていますよね?
それからほんのチョット後のエルトン・ジョンとかの世代になると音楽の知識やクオリティも上がって、ピアノから曲を作ったりするワケですが、ビートルズは本当にほぼ「感覚」だけで作曲してるワケです。
リバプールの田舎の青年たちがですよ!
元はただの「あこがれ」だったのに。
M:『ビートルズ・アンソロジー』かな?ポールが「From me to you」だったと思いますが、サビのコードを発見して時はうれしかった…なんて言っていますもんね。
「発見」ですから!
O:たった何年かの間にあれだけのメロディを作ったことは、誰がどう考えても彼らは異常なまでの天才なんですよ。
で、彼らが目指した曲も演奏も、彼らにとっては「コレが画期的というもんだ!」なんてことはなかったんですね。
ただただ、やりたいことをやっただけ。
それなのに世界中で色んなもののパロディの対象になるほど行き渡ってしまったのは、ファウンダーとしてのオリジナリティがあまりにも詰め込まれ過ぎてるんです。
M:そうか…。
そうやって指摘されないと、当たり前すぎてただただ「いいな~」で終わっちゃいます。
O:トータル・アルバムなんてモノを考えたり、演奏不可能なアレンジで曲を作ったり、そういうことをするためのプロデューサーやエンジニアとの関係までも作った。
で、『リボルバー』あたりからドンドンおかしくなっていった…ホントは『ラバー・ソウル』あたりからなんですが…。
M:『ラバー・ソウル』は本当に素晴らしい!
O:『リボルバー』と『サージェント・ペパーズ』の前に「ストロベリー・フィールズ/ペニー・レイン」のシングル盤があって…。
ココで一番最初のボクの話に戻ると、当時の日本の少年からすると、やれビートルズがヒゲを生やしてトータル・アルバムなんてのを作るは、やれジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスなんてバンドが出て来るわ…あのヤードバーズにいたギターのウマいエリック・クラプトンが始めたバンドは「ブルース・ロック」とか言うらしい。…さらにアート・ロックなんてのも出て来るし…。
そういうのがいきなり1966~1967年のたった2年の間に出て来ちゃったんです。
M:すごい時代ですよね!まさに百花繚乱!いいな~!
O:そこでビートルズ以外のアイドルのバンドは、わがデイヴ・クラーク・ファイブを含めてみんないきなり消えていっちゃうんです。

S41a0871ホンの1~2年の間にガラッと入れ替わっちゃった。
M:私はデイヴ・クラーク・ファイブって聴いて来なかったんですが、大二さんがお好きなのを知っていて、このインタビューのために色々と聴いてみたんですが、メッチャかっこいいですよね!
O:そうでしょ?!
ちょっとデイヴ・クラーク・ファイブのことをしゃべらせてもらうと…彼らのスゴイところは、当時イギリスではビートルズ全盛だったでしょ?
だからビートルズの先輩でも後輩でもみんなマージー・ビートっぽいものを強制的に演らされたんですね。
でも、デイヴ・クラーク・ファイブだけは一切ビートルズ・サウンドに関係しなかったんです。
M:へ~。チョット黒っぽくて…声もすごくカッコいいですもんね。
O:歌もうまいし、とにかくアカ抜けてた。
M:ロンドンのバンドですよね?
O:そうです。無理です…当時ああいうサウンドが作れるのはロンドンのバンドじゃないと無理だった…無理だったはずです。
M:それにしてもですよ、私がロックを聴き始めたのはビートルズが解散して5年後ぐらいの時分からだったんですが、それでも、「ストロベリー・フィールズ」なんかも先に「名曲」と刷り込まれて「フムフム、これが名曲か…」となるワケです。ゼンゼン後追いの状態。
そこへ行くと大二さんの世代の方々は「今度のビートルズの新曲って『ストロベリーなんとか』だってよ!食べ物の歌かな?」なんて言ってレコードを買いにいらしたワケでしょ?
O:そうですね。
M:それで、買って帰って来てさっそく聴くと、あのメロトロンの「♪ホエ、ホエ、ホエ」って今まで耳にしたことがないような妙に元気がない音が飛び出して来る。
こういうのってどうだったんですか?
O:まったくわかんないですよ!「なんじゃこれ!?」です。でもとにかくワクワクする。

<vol.3>につづく。明日はインタビューお休み。<vol.3>は来週の掲載となる予定です。

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(一部敬称略)

2017年1月17日 (火)

四人囃子ニュー・アルバム発表記念 岡井大二スペシャル・インタビュー <vol.1>

2017年1月25日、四人囃子のニュー・アルバムがリリースされる。
タイトルは『四人囃子 ANTHOLOGY~錯~』。
「錯」…何かPink Floydのアルバムのタイトルみたいだね。
毎年、年末に京都の清水寺のお坊さんが「今年の漢字」なんてやっているけど、四人囃子の場合だと「錯」になるのか…。
レコード会社の解説によると、「多くのメンバーの変遷を経て、アメーバのごとくその音楽性を変容させていった四人囃子のバンド・カラーを代表するイメージ」を漢字一字で表現したのだそうだ。
私だったら「金」てつけるな。
値千金の「金」…奇しくも2016年の清水寺の漢字と重なった。
  
アルバムは『Studio Takes』と『Live Takes』からなるCDが2枚と、2008年のコンサートを中心に収録したDVDが1枚という構成だ。
ウ~ム、まずジャケットがいい。
そもそも四人囃子は『一触即発』、『ゴールデン・ピクニックス』、『包』等、ジャケットがとてもヨカッタもんね。
9_CDは2001年にリリースされた未発表音源集、『From the Vaults』と『From the Vaults 2』から選ばれた曲にリマスタリングを施したトラックと、『Studio Takes』の方には岡井大二監修のもと、「一触即発」や「おまつり」のオルタネイティブ・バージョンが今回初めてCDに収録される。
当時、Frank Zappaのように頻繁にアレンジを変えていた四人囃子のオルタネイティブ・バージョンは大歓迎だ。
下がその『From the Vaults』と『From the Vaults 2』。
左は特典のボーナスCD。1974年の中野公会堂での「Cymbaline」と1976年、渋谷公会堂でのZappaの「Overture to a Holiday in Berlin」が収録されている。
残念ながら現在は絶版になっていて入手困難なのだそうだ。
ダメよ~、ダメダメ、そういうことをしちゃ。

9_img_0467私が持っている『2』には2010年に日比谷野音で開催された「プログレッシブ・ロック・フェス」の時に頂いた大二さん、森さん、佐久間さん、坂下さんのサインが入っているのよ。

Img_00182 『2』はもう一部持っていて、大二さんから頂戴した「Thank You!! ウシさん!!」のサインが入ったバージョン。ウチの宝物だ。
自慢コーナー終わり。

9_img_0470_2もう少しこの『錯』について記す。
大二さんとレコード会社のインタビューによれば、年齢やバンドの状態を鑑みて、メンバーが直接関わって音源を出すという形はこれが最後になるのではないか…という。
そんな…寂しいこと言わないで~!
佐久間さんに対しての追悼ができていないことが、ずっと大二さんの心残りだったという。その気持ちを込めた作品でもあるのだそうだ。
そして、大二さんの気持ちとしては、「四人囃子という名前は聞いたことがあっても、実際の音楽を聴いたことがない」という人たちに手軽に聴いてもらいたい…ということを意識したそうだ。
私ですら現役当時の四人囃子は見たことがないため、昔からの熱心なファンの前では決して大きな声では言えないが、今回のこのアルバム、すごくよくできていると思った。
大二さんがこだわったという選曲や曲順への配慮が手に取るようにわかる。
その配慮が奏功して、まるで新録のニュー・アルバムのように聴こえるのだ。
まさに「anthorogy(選集、名曲集)」というタイトルに偽りのない良質なベスト・アルバムに仕上がっていると思う。
  
さて、Marshall Blogでは、このアルバムの発売を記念し、CDの紹介を交えながら、大二さんのスペシャル・ロング・インタビューを今日から4回にわたって掲載する。
実はこれから皆さんに読んで頂くロング・インタビューは、今回のアルバムとまったく関係のない環境で行われた。
平たく言えば、だいぶ前に実施したインタビューということ。
したがって、インタビュー中に『錯』の話題はツユほども出てこない。
では、何だってMarshall Blogでそんなインタビューをしたのかと言うと、チョー大ゲサに言えば、日本のロックの揺籃期から現在に至るまで、実際にその変遷を体験した方のお言葉を半永久的に記録しておきたかったのだ。
とは言ってもそこはMarshall Blogのこと、固っ苦しい話は抜きで、日ごろから私が知りたいと思っていた昔の日本ロックの状況を興味本位で大二さんから聞き出した…と思って読んで頂ければそれでOK。
ただ、若いミュージシャンを指導している立場にいらっしゃるような方々、また、お子さんがロックに興味を持っているようなロック好きのご両親には、内容に満足がいけばゼヒ若い人たちに読むようにご指導頂きたいと願っている。
実際に大二さんと同じ時代を体験した方が懐かしんで読んで頂くのももちろん大歓迎だが、若い人たちに読んで頂き、少しでも元来あったロックの姿を知っておいてもらいたいと思うのだ。
それで、もしこのインタビューを読んで昔のロックに興味を持ったなら、それこそ今回の四人囃子のアルバムを聴いてみるもよし、ビートルズに興味を持つもよし、あるいはデイヴ・クラーク・ファイブでもよし、そこから始まる音楽の無限のよろこびと楽しさ、そしてカッコよさを知ってもらいたい。
若い人たちはまだ何も知らない。
  
ところで、どうしてドラマーの大二さんがMarshall Blogかと言えば~、そう、大二さんはMarshallのドラム・ブランドNATALのエンドーサー(正確にはエンドーシー)なのであ~る!

Img_0415 インタビューに際しては大二さんに拙宅にご足労頂き、アルコールをチビチビ摂取しながら行われた。
肴は刺身。ワザワザちょいと足を延ばして買い出しに行ってきた。
マグロは天然。おいしかった~!
なんてことはどうでもいいか。
何しろ、後半ではインタビュアーの私もスッカリいい気分になっちゃって、後で録音した会話を聴いて恥ずかしくなってしまった!そもそも笑い声で言葉が聞き取れない箇所があったぐらいだった。
そんな雰囲気の中でのインタビュー、はじまりはじまり~。
養殖ではない、天然のロックの時代のお話をお楽しみあれ。

  

日本のロックの今

Marshall(以下「M」):大二さん、お忙しいところ本日はどうもありがとうございます。よろしくお願いします。
岡井大二(以下「O」):いいえ!こちらこそよろしくお願いします。
M:ではさっそく…日本におけるロックを取り巻く環境が我々の頃と大きく変わって久しいですよね。
O:日本だけでなく、海外でも状況は同じですね。
M:最近の日本の若い人たちは、「ビートルズを知らない」ということが普通になってきているみたいですね。

Img_0017O:アノですね、ロックとかポップスとかに興味を持って、そういうものを好んで聴いている以上、好きとか嫌いとかいうことは別にして、まさか「ビートルズを知らない人がいる」ということは日本ならではの現象なのではないでしょうか?
イギリスは母国ですから別にして、アメリカではあり得ないことだったはず…ところが日本ではあり得ているんですよね!しかも、とっくに!

M:そう「とっくに」です。
O:2000年以降、ビートルズを知らないポピュラーミュージック界の音楽人が確かにイッパイ出て来てしまっているらしい。
で、それは果たして「世代の違い」とかいうことだけで済む話なのかな?…と思っちゃいます。
M:私もまったくそう思います。
私はイギリスへ行く機会が比較的多く、現地ではいまだにビートルズのスゴさを肌で感じる部分があって…。
とにかく日本人の音楽に対する姿勢が欧米とはまったく違うということをいつも思い知らされます。向こうの人たちは子供から大人まで本当に音楽を日常的によく聴いていて、またよく知っている。
O:私はアメリカ人になりたい…とか、イギリス人になりたい…とか、そういう憧れはまったくないんです。日本人としての誇りも持っていますから。
ですけど、たまたま興味を持って好きになっちゃった「音楽」に関してだけは別ですね。

Img_0054野球で言えば、頂点を目指したい人がいれば、今の段階ではメジャーリーグを目指すしかないでしょ?
それと同じで、ポップ・ミュージックに関して言えば、質の高さ、レンジの広さ、ディープさ…いろんな点において、日本は海外の音楽事情にいまだに多くの事柄で追いついていないと正直思うんです。
そんな状態にもかかわらず、世間全体で音楽に集まる興味が年々薄れているのは、ナンダかなあと思いますね。
M:興味が薄れているというより、ロック系の音楽に関して言えば、「J-POP」という新しいカテゴリーを作り、すべてそこに押し込んでしまって、みんな黙ってそれだけ聴いているような…。「洋楽なんかもう要らない!」という「鎖国状態」と言うと大ゲサですけど…そんな感じ?
それは島国特有のキャラクターなのかな~?
イギリスも島国ですが、ゼンゼン違う感じがする。
アソコではどんな田舎のパブでも金曜日と土曜日の夜には地元のバンドが登場して、レッド・ツェッペリンやザ・フーの名曲をお客さんと一緒に歌う。
それを見ていて、同じ島国でも音楽のあり方が日本とすごく違うのを実感しました。
連中は英語で歌えるから…というのは抜きにしてです。
だってツェッペリンの曲にしたって「Rock and Roll」みたいなスタンダードなんかじゃなくて、「Rumble On」とかを演っちゃうんですよ!
本物だってライブでほとんど演らなかったのに!
レッド・ツェッペリンが一般の人の日ごろの生活の中にある感じがしましたね。
ザ・フーにしても「The Seeker」とかを演っておじさん、おばさんが大合唱してる。

S41a9546O:いいなあ~。
M;土台、あの音楽は連中のモノですからね。
加えて、ロックが大人のためのものという部分が残っているように感じます。イヤ、残されている…というのかな?
そこへ行くと、今この国の「ロック」と呼ばれているモノはあまりにもお子様向けになってしまっていると思います。
O:「売上」ということだけでなく…、世間の「評判指数」とでも言いましょうか…。
いわゆる評価っていうモノが売上の高いアーティストの所に何でもかんでも集まり過ぎちゃって、「たまには音楽でも」という感じの人達から見たミュージック・シーンのイメージを作っているんですよね。
M:はい。それで更にみんなそれのマネをして終わっちゃう。
O:実際、世界的にはインディーズとか自主制作でワールド・ワイドに活動している人もいるじゃないですか。それも新世代、かつディープでなかなかいいものを作っている人もいるんです。
で、日本にもそういう人たちはいて、まったくいなくなったワケでは決してない。
でも、さっきの「評判指数」の高い人の音楽は「大人向けでない」というか、面と向かってジックリ相対して楽しむための音楽とは思えないものが多いのは確かですよね。

 

昔のロック・シーン

M: 公私混同かも知れませんが、今日、大二さんから正式に歴史的なお話をうかがうのをとても楽しみにしていました。
まず、四人囃子がデビューした頃の日本のロック界とかその周辺のお話を聞かせていただけますか?
O:まず、自論かもしれないけど、知っておいて欲しい「時代の背景」というものがあるんですね。
それは、当時、アメリカやイギリスと日本では音楽シーンの状況にキッパリ10年の時差があったということです。
M:10年も?
O:例えば、1955年がロックンロールの始まりと言うことになっていますよね?
M:「Rock Around the Clock」。
O:そうです。
そのあたりからビートルズが出て来るまでの10年間…ビートルズがアメリカに進出を果たしたのは1964年ですから…それまでのその約10年は「評判指数」のトップが エルヴィス・プレスリー の時代だったんです。彼の人生を総括した場合、最終的には「偉大なキング・オブ・芸能人」として殿堂入りしているワケです。
Img_0014その後、ブリティッシュ・インヴェイジョンでビートルズの時代が来ますよね。
プレスリーと何が違ったかと言うと、「オリジナル曲」の存在の有無なんですね。
プレスリーは職業作曲家が作った曲を歌う「芸能人」としての歌手でした。
それが、ブリティッシュ・インヴェイジョンをキッカケに自分たちの「創作物」を売る時代になった。
ビートルズの世代というのはストーンズにしても、ジミ・ヘンドリックスにしても、レッド・ツェッペリンにしても、1940年代生まれの人たちなんです。
それで、ボクは昭和28年ですから1953年の生まれで、ポスト団塊世代のアタマの世代なんですね。
日本のポップスとロック音楽シーンにおいて、ボクらの前の世代はグループ・サウンズの方々なんです。
先輩達は人気者となり、レコードやTV出演などの場では世間の「評判指数」の高い音楽を演った。
でもその裏では自分達が本当にやりたい音楽スタイルを色々と見せてくれたんです。
M:なるほど。
O:それとGS旋風の前のソロ歌手時代は、主にアメリカのポップスの焼き直しが若い世代向けのヒット・ソングスだったんです。
そういうソロ歌手からウエスタン・カーニバルを経て、グループ・サウンズへとつながっていった。
まず、そういう流れがあって、そこまでは「芸能界」の時代だったんです。
M:日劇何周の頃ですね?
O:そう。
そして、その後が僕らの世代なんですよ…ボクらの世代からオリジナル曲が中心になる時代に入るんです。
自分たちで曲を作って、それをどう演奏して、どう発表するか…ということをやるようになった。
そして、それがレコード・デビューする時の「カギ」になってきた。
M:大きな変化ですよね?
O:はい。
また聴く側にも変化が表れて、「この人、この連中はどういう音楽を演っているのか?」ということが興味の対象になっていったんですね。
顔を知らなくても、「聴こえてくるモノ」で興味の対象を選ぶというように変わってきた。
M:演る方も聴く方も独自性が出てきた時代?
O:そういうことですね。
で、ボクらは大方1950年代生まれのミュージシャンですよね?
そうすると…ホラ、ね?
向こうとキッチリ10年違っているんです。
M:ホントだ…。ビートルズと10年のズレ。
O:でしょ?

Img_0232そして、この図式がそのままズレて続いて行くんです。
我々の先輩たちは「本当はこういう音楽をやりたい」とか「本当はこういう音楽が得意なんだけど」という自分たちの理想の音楽を表立ってはできないので、ライブハウスなどの比較的裏のシチュエーションで演っていた。
当時は「ゴーゴー・クラブ」って呼んでいたりしたんですが…。
M:たとえば?どんな曲が取り上げられていたんでしょうか?
O:ストーンズをやったり、アニマルズをやったり…。
で、ボクらはそういう先輩たちの演奏にあこがれていたんですが、どんどん音楽の状況が変わっていく中で、ボクらは「次世代」というような強い意識もあったんです。
M:その当時の「次世代」ね。
O:もちろん。
要するに、洋楽をマネたにしても、それを更に発展させたものを作りたいと思ったんです。
批判されようが、「ダサい!」と言われようが、とにかく「オリジナル曲」という自分たちの「創作物」を世に出したかった。
ボクらがそういう志向の始まり世代に当たるんですね。
結果、日本の音楽シーンもポップスやロックの本場の国から10年ズレていることになるんです。M:確かにそういうことになりますね~。
O:そこから始まったんですね。
まあ、大ゲサに言うと、世界的に見れば「ビートルズ世代」っていうのが「次世代」の人で、日本においては、ジャンルを問わずに物作り・曲作り・スタイル作りが活動の前提になってくる「ボクらの世代」がそれにあたるんですね。

S41a0142M:「ボクら」の「ら」とおっしゃいますと?
O:バンド・スタイルのアーティストだけで言っても、はっぴいえんど、フラワー・トラベリン・バンド等の先輩バンドを始め、ミカ・バンド、クリエーション、OZ、シュガー・ベイブ、ムーン・ライダース…とにかく続々と出てきました。
キャロルはあのロックンロールのスタイルで出て来たし、一方ではウエスト・ロード・ブルース・バンドみたいなのもいました。
ホントのブルースのマニアですからねね。
M:「マディ・ウォーターズ命」みたいな。
O:「好き」だけでは済まない。
追求度がハンパない。もう洋楽に聴こえてましたもんね。
素晴らしかった。
M:ホトケさんの声と歌、メッチャかっこいいですもんね!
O:でもね、ウエストの連中と話をすると、「お前らは好きにオリジナルを作っ分だけ自由に演れたんだよ」…なんて話してくれたこともありました。
M:それは「ブルース・スタイル」…という枠の制限という意味ですか?
O:だと思います。
その他にもスモーキー・メディスンが出て来て、その後バックス・バニーでしょ。
センチメンタル・シティ・ロマンスもそうだし、そんな中でボクらもオリジナル曲でデビュー・アルバムを出したワケです。

  

ロックのレコード・ビジネス

M:で、四人囃子は「自由が利きそうだ」ということで東宝レコードを選んで『二十歳の原点』とバーターで『一触即発』を制作した…という話は以前にもうかがっていますが、果たしてその時代、レコード会社は『一触即発』のような作品が世間で受け入れられると思っていたのでしょうか?
O:そこはまず…聞いてビックリするかもしれませんが、そもそもビートルズとヴェンチャーズこそ日本でも枚数が出て、レコード会社としてのビジネスが成立していましたが、その他はですね…「まさか!」というぐらいに、まだその頃は日本国内では枚数が出ていないという時代なんですよ。
M:なるほど…。

S41a5219O:ローリング・ストーンズにおいては、かわいそうに…キング・レコードはロンドン・レーベル時代のストーンズのアルバムでは、それほど商売になっていないと思います。
M:初期の全盛期なのに!
O:ワーナーに移って『山羊の頭のスープ』の「アンジー」でやっと日本でもストーンズが商売になり出したんです。
そういう意味ではツェッペリンの方が全然ビジネスになっていたんじゃないかな?
M:レコード業界に深い関係をお持ちになる、日本を代表するレコード・コレクターの方からお聞きしたのですが、当時レコード会社の稼ぎ頭は、圧倒的にヴェンチャーズだったそうです。
ビートルズももちろん強かったけど、ヴェンチャーズの比ではなかったらしい。
O:そうでしょうね。全国津々浦々ということでいえばヴェンチャーズの方が全然上だったに違いない。
M:ストーンズですら「アンジー」までは商売にならなかった…というのはやはりそれが「ロック」だったから?つまり歌謡曲とは全然違うということ?
O:まあ、そういうことになると思います。「ロック」というものがまだ定着していなかった。
M:まだロックと歌謡曲がまったく分かれていた時代ですよね?
O:そうなんですが、実は、70年代に入ると、日本の音楽市場に歌謡曲に分類されない新しい息吹が既に生まれているんです。
M:え、それは何ですか?
O:それは日本のフォークなんです。
M:あ、フォークか!
O:ボクは本当はフォークかロックかは、サウンドのスタイルで分かれるようなものではないと思っています。
でも、とりあえず日本では「フォーク系」とか「ロック系」のジャンル分けがあって、日本中の若者に日本のフォークが届き始めていて、レコード会社は既に大きな手応えを感じていたんですね。
M:社会的な背景もありましたもんね。
O:そうです。
そして、そこへ更に加わりそうなものとして 「日本のロック」 が登場してきました。
だから最初のウシさんの質問に答えると、四人囃子がレコード会社にどう受け止められていたかというのは、「新たな市場とジャンルが作られつつある、だったらそこは早めに手を出しておこう!」…ということだったのだと思います。
そしてレコード会社のスタッフもフォーク、ロックの息吹真っ只中の人達がこぞって入社している時代になっていたんですね。
M:実体験を経た方のお言葉をこうしてお聞きすると本当に「日本のロックが動き出してきた!」という感じがしてきますよ!

 

日本人とブルース

M:日本の場合、イギリスのようにブルースのムーブメントみたいなものがありませんでした。
イギリスのロックの動きを俯瞰して日本と照らし合わせると、そのブルース体験の欠落が今の日本のロックをある意味、四面楚歌にしてしまっていると私は思っているんです。
イギリスはそういう歴史的な下地があるので、いつでも先祖返りしてマーケットに熱湯を注ぐことができる。
ま、どうも今ではそれがすぐにぬるくなっちゃうようですけど…。
O:ウン。
ブルースって、例えばロバート・ジョンソンなんかは1930年代の人ですよね。30年代の音楽。
でも、アメリカにおいてですらブルースがポピュラーなシーンに根付いたのは50年代なんですよね。
今で言う有名な人たちの大半が50年代以降に名前が知れ渡った。チャック・ベリーやファッツ・ドミノとかと一緒のムーヴメントで出てきた…というのも、1955年にやっとアメリカで黒人の音楽が放送されるようになったから。
それまでは生粋の黒人の音楽と言えるものは公共の電波に乗せてもらえなかった。

M:40年代は、シナトラとかビング・クロスビーがアイドルだったワケですからね。

Img_0294_2O:そう。
ではロバート・ジョンソンの30年代のアメリカがどうだったかと言うと、グレン・ミラー楽団のようなスウィング・ジャズ・オーケストラによる高度なダンス・ミュージックの時代ですよね。
M:エリントンでもベイシーでも踊るためのジャズでしたからね。観賞用の音楽ではなかった。

O:ですよね。
で、いま我々が話しをしようとしているタイプのブルースはどうだったかというと、ジャズでも「ブルース」という形式はあったにしても、根っこの「ブルース」という音楽自体は、ローカルにそれぞれのエリアで恵まれない黒人が演っていたというレベルで、国全土に響き渡るような一般的なものでは決してなかった。
M:グレン・ミラーの「In the Mood」とか「Pennsylvania 65000」とかの大ヒット曲は普通のブルース形式でできているのに!
O:一方では近代クラシックや映画音楽なんかも含めて、1900年代に入ってから更に音楽はもうとんでもなく進化しちゃった。
その後、やっと黒人音楽が表に出て来てブルースも耳にするようになるんですけど、第二次世界大戦の間に米軍兵の手によってアメリカのレコードがイギリスに渡った。
それがイギリスの新たなミュージシャンを生んで、そこでブルースが根付いた。
R&Bなんかもそう。なぜイギリスにそういうブルース系の音楽の下地があるかというと、アメリカ軍が駐留したせいなんですよね。
M:そうだ!
O:そこで、日本のことを考えてみると「日本は10年ズレ状態」ですよね?
日本にとって多くの場合のブルースはエリック・クラプトンに代表されるような「ブルー・アイド・ブルース」なんです。
M:いわゆる「ブルース・ロック」ですよね?
少なくともイギリスにおけるロニー・ドネガンの「Rock Island Line」のような現象とは違う。英米の大分後追いの現象。
O:そうそう。
「ブルース・ロック」なんです。日本の若者が60年代、70年代にロックムーブメントと同時に好きになったスタイルのブルースは「ブルース・ロック」だったんです。
M:すごくよくわかる。

Img_0065O:それで、その頃ブリティッシュ・インヴェイジョンを成し遂げた以後のイギリスはどうなったかというと、独自で独特の進化を急速に遂げていったワケ。
で更に、クラプトンはアメリカの土臭い音楽に心頭していって、ジェフ・ベックはブルース・スタイルかどうかよりもエレクトリック・ギターの可能性を追求したし、ジミー・ペイジはレッド・ツェッペリンという音楽を作った。
ボクはレッド・ツェッペリンってのは究極のプログレッシブ・ロック・バンドなんじゃないかな…って考えてたりするんです。ある意味で、プロコル・ハルムやジェスロ・タルなんかもそう。
だから、イギリスでブルースが本当に若者の人気の的とされていたのは60年代のある時期だけなんだと思うんですよね。
M:でも、「ブルース」が「ブルース」として入ってきたところが日本とゼンゼン違う。
O:うん、キッカケが本当のブルースだったんですね、イギリスの場合は。日本は「ブルースの二世」から始まっている。
M:モノマネのモノマネから始まった。
O:そうなると思います。
M:モノマネのモノマネはくみしやすいですからね。

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<vol.2>につづく

2016年6月30日 (木)

KRUBERABLINKAニュー・アルバム発売!~先行レコ発Rock Show☆

TAGAWAのニュー・アルバムが発売となったことをレポートしたが、実は昨日、もう一枚重要なアルバムが世に送り出された。
送り主は赤尾和重率いるKRUBERABLINKA。
Marshall Blogには久々の登場となる。
今日のMarshall Blogはそのアルバムの紹介とレコ発ライブのレポートで構成する。

Img_0031

これがそのニュー・アルバム『Conicalify』。
くどいようだが、昨日発売となった出来たてのホヤホヤだ。
あ~、辞書を引いてもダメダメ。
「conicarify」という言葉は世の中にない。
では、ナニか?
よく道路工事の現場に赤い三角のヤツが置いてあるでしょ?
アレ、「コーン」というじゃない?「円錐」という意味。
だから「とんがりコーン」というのは「とうもろこし」と「円錐形」のダブル・ミーニングになってる。
で、coneの形容詞、すなわち「円錐形の」という意味の単語は「conic」。
タイトルは「conicalify」…「-fy」というのは動詞だ。
でも、この単語に「円錐形にする」という動詞はない。
そこで和重さんが「Conicalify」という言葉を作っちゃった。
このバンドは、歌詞はもちろんのこと、『Kaizu』とか『Blanko』とか、言語に対する感覚が独特だ。
今回、メタリックなアルバムにするつもりで、曲が出来る前からこのタイトルを考えていたそうだ。
和重さんにとって「メタル」のイメージは、「コニカル・スタッズ」。革ジャンやらリスト・バンドにひっついてる円錐状の金属の鋲。
今までは、メロン、キウイ、夜光虫、ピエロ…と命のあるものをテーマにすることが多かったが、今作は「円錐」を無機質なモノと捉え、KRUBERABLINKAの新境地を見出だそうとしている。
で、ただの「cone」や「conical」では味気ないので仮想の動詞をクリエイトしたというワケ。
キモは「オラオラ、トンガって行くで~!」ということだ。
そんな和重さんの思惑通り、どの曲にも他では決して聴くことのできないKRUBERABLINKAの創造的な音世界が広がっている。
ベテラン勢のこうしたオリジナル・レパートリーは大歓迎だ。まちがいなくConicalified!

550cd

個人的にうれしいのは裏ジャケとスリーブ内側の写真。
私めが撮ったものをご採用頂いた。NATALもバッチリ写ってる。
写真に関して、いつも和重さんからはもったいないぐらいのお褒めの言葉を頂戴するが、ナンノナンノ!これは完全に被写体がいいからなのです。
信念を持って命をかけて自分の音楽を成就させんと、もがき苦しんでいるようなアーティストは得てしてイイのが撮れるものだのだ。

1_img_0423_2 ここから先は5月に開催されたレコ発ライブのレポート。
実は、今回もがき苦しんだのは私の方でしてね。
何しろ暗かった~!
そのあたり割り引いてこの先読んでね。
会場は四谷三丁目の「ソケーズ。ロック(Sokehs Rock)」。
一体、何年ぶりに来たかな?
私、中学の時に「鼠径ヘルニア」を患ったことがありましてね…この店の名前を耳にするとどうもあの時のこと思い出しちゃうんだな。
「ソケース・ロック」とはミクロネシアのポンペイ島にある玄武岩でできた岩山で、その地区の大水を止めたという伝説が残っているらしい。
もちろん写真で見ただけだが、ビックリものの美しい景観だ。
お店はそこから名付けられたそうだ。

オープナーはセカンド・アルバムのタイトル・チューン「海図」。

20

赤尾和重

30v鈴木広美

40v鎌田 学

60v
泉谷 賢

50vそうか、言われてみると、コレって初の東京でのワンマン・コンサートなんだね。
おめでとうKRUBERABLINKA!

70続けて「Mandarin」という曲。
相変わらずのド迫力なお声と素晴らしい歌いまわし!
そんじょそこらの楽器じゃこのヴォイスをサポートできゃしない…ということで…

80v広美さんはMarshall。

90vJVM210Hと1936。
1960を使わなかったのは店のスペースを考慮してのこと。

100v鎌田さんはEDENの上下。

110WT-800とD410XLTだ。

120vとくれば当然ドラムはNATAL。

130v12"、13"、16"、24"のメイプル。
フィニッシュはシルバー・スパークル。

140「私、Marshall大スキなんですよ!」…と、実際に和重さんがステージでこれらのバックラインを紹介してくれた。

150_zs3曲目は「Zulu Suit」。
「♪ズ~ル~」の響きが耳に残るセカンド・アルバム『Kaizu』収録のノリのいいナンバー。

160v鎌田さんのベース・ソロもフィーチュア!

170v正統的なプレイで存在感満点のベースだ!

175_bsolo


〜MC
⑦Blanko (with solos ver,)

江戸川乱歩のようなタイトルの「夜光虫」は前作『Blanko』に入っている超シットリのバラード。

180_yc鎌田さんはフレットレスに持ち換え。
懐かしいナァ、MODULUS。
私、サウンフランシスコの工場に二度ほど行ったことがあるんよ。
その時の社長とは今でも大の仲良しだ。
初めて行った時、近所の比較的高級なレストランに連れて行ってもらったんだけど、隣のテーブルにDavid Grismanが座っていたっけ。
195
ジ~ックリと歌い込む和重さんも実に味わい深い。
そこら辺の女性シンガーとは重みが違う、重みが!
広美さんのソロも曲に絡み込んで雰囲気バツグン。

185続いては「ピエロの心臓」。
230_tb
コレは5/8拍子かな?

210v_ph

変拍子が何ともいえない重苦しいムードを醸し出している。
Z
奇数拍子がもたらす独特の雰囲気ってスゴイもんなんだな。
いつもMarshall Blogに書いているようにZappa好きな私は変拍子が飛び交うヘンテコりんな音楽ばかり聴いて悦に浸っているのだが、変拍子がこういう仕事をするという感覚はなかった。
メロディや歌詞が変拍子にマッチした好例といえるのではないか?効果バツグンってヤツ。
同じ変拍子でも、こういうのもあれば、Pat Methenyの「First Circle」みたいなのもあって、音楽ってのは面白いね~。Patのは22/8拍子とかいうんだっけ?

220

ここで広美さんのギター・ソロ。

200v

弾くわ弾くわ!
JVMとの相性もゴキゲン!

190そしてそのまま「帳」へ。
コレも『Kaizu』からのチョイス。

240この曲はリズムといい、メロディといい、私の感覚ではすごくKRUBERABLINKAを感じさせる。

260vドへヴィなドライビング・チューン。

270v和重さんの雄叫びが爆発する前半のクライマックス!

280vクライマックスのテンションはそのままに「Blanko」。

300_blkこの曲もアルバム・タイトル曲だけあって「いかにもKRUBERABLINKA」という雰囲気に満ち溢れている。

310v第一部はここまで。
レコ発ライブなのにまだ新作から1曲も演ってない!

320休憩をはさんでステージに上がったのはお召替えした和重さんと広美さんのふたり。
アコースティック・コーナーだ。

330_ac和重さんはマイクを一切使わず地声で熱唱。

340v曲は「Kiwi」。トリの方ね、果物じゃない。でも、果物のキウィはトリのキウィを連想させるから同じ名前になったらしいよ。
私はキウィ食べないナァ。
この曲CDではギターのアレンジが面白かったけど、こうしてギター一本でほのぼの演るのもすごくいいね。

350もう一曲はまた『Kaizu』から「単細胞」。
生Caz…素敵でした!

360vメンバーがステージが上がって演奏したのはあまりにも雰囲気が違う「Ghidoran」。
そう、メタル・タイムなのだ!

370_ghidoややスローでとびっきりへヴィなナンバーだ。
和重さんのはち切れんばかりのヴォイスがスゴイ!1959の声だ!

380vそして、ここでようやく『Conicalify』からの曲が披露された。
まずは「Chamber」。
6弦を全音下げたヘヴィなリフが作りだす正統派ブリティッシュ・ハードロック。

390_cham和重さんの歌が入った瞬間、「KRUBERABLINKAのロック」になる。

400v続けて『Conicalify』から「場所」。

410_bsこの曲も広美さんのエッジ―なリフでスタート。
やっぱりいいね~、こうしたシッカリした「リフ」を持った曲というのは。ロックはこうでなくちゃイカン!
CDを聴く時には大変に凝ったアレンジのギター・パートに注目してもらいたい。

430v
しかし、この声!
まさに肉食系ボーカル。
和重さんの歌を聴くと、この世にハード・ロックがあってヨカッタ!と思う。

S41a0479 和重さんの歌と歌詞、広美さんのギターと曲、そして、それらにエネルギーを注入し、ドラマチック演出する二人の鉄壁のリズム隊。

420それにハードロックの神様のバックアップ…『Conicalify』もそうした要素で出来上がっている。

450

もう一曲『Conicalify』から「Cypress」。
「Cypress」とは「糸杉」のこと。
「糸杉」といえばゴッホ。糸杉を描いた数多くの作品を残しているのはご存知の通り。
メトロポリタン美術館の「糸杉」とか近代美術館の「星月夜」なんてホンモノを見るとスゴイよ。もう絵からパワーやら空気感が出まくってんの。
この曲の歌詞を読む限りゴッホとは関係なさそうだ。
ちなみにゴッホは英語で「ゴッ」と発音する。「ホ」は言わない。

440_cy歌とギターで静かに始まり、リズム隊がバシッと入って来るところなんざトリハダものだ。
『Conicalify』は五曲入りのミニ・アルバムだが、この日その内の三曲を取り上げた。
他にも目の覚めるようなスピード・チューンの「Test tube」、パワフルでエキゾチックな雰囲気が印象的な「Caldera」が収録されている。
従来のファンならニヤリとするような典型的なKRUBERABLINKA節が満載だと思うし、彼女たちの音楽が未経験のブリティッシュ・ハードロック・ファンにとってはこのアルバムは新しい楽しみとの出会いに場になるだろう。
若い人たちにも是非聴いてもらいたい。

450v_gok本編の最後はファースト・アルバム収録の「業火」。

460vファースト・アルバムは衝撃的だったな~。
サウンドは往年のブリティッシュ・ハードながら、懐古主義的なところが微塵もなく、かといってチャラチャラと流行りの要素を取り入れるなんて愚行をまったくせず、「今」のハードロックを演じて見せた。
そして、その衝撃が『Kaizu』、『Blanko』を経て、『Conicalify』に見事つながった。
やっぱり流行りのモノはダメだよ。古くなって消えて行くだけ。

480vアンコールは「Going Down」。
コレは日本ではJeff Beckが広めたことになっているのかな?Freddie Kingかな?
作曲はDon Nixという人。
テネシー出身(田無じゃないよ)のアメリカのミュージシャン兼プロデューサーでLeon RussellのShelter Recordsに参画しているほか、たくさんの有名アーティストをプロデュースした。
ジョージと組んでバングラデシュのコンサートを手掛けたのもこの人。
470

日本のミュージシャンもジャム・セッションなんかでよく取り上げるが、和重さんが歌うとまたひと味もふた味も違うナァ~。

S41a0500 そして、KRUBERABLINKAのキラー・チューン、『Don’t be so mad』。

S41a0451四人が一丸となった素晴らしいパフォーマンスは、初の東京でもワンマン・コンサートを締めくくるにふさわしいものであった!

500v

S41a0425

530v昨日発売された『Conicalify』、ハードロック・ファンはとにかく聴いてみてくだされ!
間違いなく「Conicalified」されるから。
ショウの間、Marshallファミリー・ブランドやMarshall Blogの紹介をして頂いた赤尾和重さんにはこの場をお借りして心から御礼申し上げる次第である。
KRUBERABLINKAの益々のご活躍をお祈り申し上げております!Long live hard rock!

550cd

KRUBERABLINKAの詳しい情報はコチラ⇒KRUBERABLINKA Facebook

540v1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト


(一部敬称略 2016年5月21日 四谷Sokehs Rockにて撮影)


2016年6月29日 (水)

TAGAWAセカンド・アルバム『Wind』発表!~レコーディング潜入レポート

出ない
出ます
出る
出るとき
出れば
出ろ
…で今日出たのがTAGAWのセカンド・アルバム『Wind』!
2009年のLOUD PARKの再演的な意味合いで結成されたTAGAWA。(その時のようすはコチラ
一枚目のアルバム『Flying Carpet』を早速リリースしたものの、超多忙な三人のこと、果たしてそれに続くアルバムの発表などあるのかどうか、実は前々からチョット訝しんでいたのだが…。
おめでとうTAGAWA!

アルバムの話に入る前に…知ってた?
「出す」は「五段活用」して「出る」は下一段活用するんだってよ!上のヤツは「出る」の方。
んなこと知らないよね~!
意味は似てても、「出す」は他動詞で「出る」は自動詞だから活用が違うんだって。
普段、英文を書くときは自動詞と他動詞の違いを気をつけているけど、「慣れ」ってのは恐ろしいもので、我々は習わなくても正確にこれらの言葉を使うことができる。
今はどうなっているのか知らないけど、こういうの中三ぐらいで勉強したよね?
わかるワケもなければ、おもしろいと思うワケがない!


一方、おもしろかったのは当のTAGAWAの『Wind』。
ジャケットはファーストの『Flying Carpet』同様のスワロフスキー入りのゴージャス・バージョン。
シャケ写は「空飛ぶじゅうたん」に乗り込んだ三人のメンバーだ!
実は、このアルバムのレコーディングのお邪魔していたのだ。

10ちょうどこの日は浩二さんのお誕生日に当たっていた。

20vレコーディング作業に入る前にお誕生会!

30おめでとうございます!
浩二さん、51になるのか…。パワフルだナァ!
この日も「51」にふさわしい暴走機関車のような壮絶なドラミングを見せてくれた。

40vさて、レコーディング。
まずは楽器のセットをして…

50機器の調整に入る。

60スゴイね、メカが!
150年ぐらい前は蓄音機一台を囲んで録音していたのに…。

70全員のサウンド・チェックの前にまずはギター・アンプのチョイス。

80v数か月前に試してもらったASTORIAがスッカリ気に入ってしまったヒロアキくん。
今回のレコーディングに使ってみたい!ということでCUSTOMとDUALを用意した。

90v前回一番気に入ったのはDUALだった。

100さすが、ヒロアキくん。
すでに勝手知ったるところで、スラスラとセッティングして早速ニンマリ。
やっぱりASTORIAの弾き心地はタマらんもんね~。

110vで、やっぱりDUALが採用された。

120vそして、メインのアンプもサササとセッティング。

130vヘッドは愛機、JVM210H。

140ブースに入っているキャビネットはこれまたヒロアキくんの相棒、1936V。

150収録する曲の打ち合わせをして…るようには見えないか?

160絶対に妥協を許さない音にうるさい人たちばかりだもんでエンジニアさんも大変!

170vさて『Wind』、前作はバンド名にならってヒロアキくんの作品がフィーチュアされたが、今回はメンバーが曲を持ち寄ったり、太鼓と共演したり、ゴージャスなストリングスが加わったりの一大スペクタクル。
そうした新企画のひとつで、この日はてらちん作詞&歌の「Crazy Gun」の収録だった。
この曲は、ヒロアキくんの中でAC/DCっぽいサウンドを欲していたため、JVMよりはクラシカルな歪みのASTORIA DUALを使用した。

180リズム隊のお二方も準備OK!
270
残念ながら時間がなくててらちんの歌入れまでスタジオにいることができなかったが、完成した音源を聴いてビックリ!
てらちんの歌、メッチャいいのよ!
何の予備知識もない人にいきなり「Crazy Gun」を聴かせたら、誰もてらちんが歌っていることを当てられないのではなかろうか。

190v浩二さんも「Running Light」という曲を提供。
シンプルなリフでタイトなロック感を爆発させるへヴィ・チューンだ。

200vプレイバックを聴いてみよう。
ん~、バッチリ、バッチリ!と思う私はアマチュアの極み。
みなさん、チョットでも気に食わないともうダメよ。トコトンやり直す。
コレ、忍耐の要る仕事だぜ~。

210今回もライブでよく演っている田川ナンバーが再録された。
お、録音するパートが変わったのでアンプをJVMにチェンジした。

220今回収録されたおなじみの曲は「Bound」、「キミを乗せて」、「Lofty Tree」、「平和の風」等。

230vが、前作の「My Eternal Dream」同様、リズム隊が変わっているので、どれもまるで別の曲のように聞こえる。

240てらちんは冒頭のナンバー、「Jack and Coke」も提供している。

250v様々な試みがなされたアルバムだが、ストリングスの起用は意外だった。
なかんずくボーナス・トラックで収録されている「平和の風」のストリングス・バージョンには驚いた。
第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスからなる編成、人気アレンジャー本田優一郎氏による平歌パートのカウンター・メロディが素晴らしい。いわゆる「対位法」というヤツ。

260v今日はここで脱線させて頂く。
最近、武満透と立花隆の対談集、『武満徹・音楽創造への旅(文藝春秋社刊)』という本に夢中になっている。
紙幅をギリギリまで字で埋め尽くした二段組で、しかも800ページ近くの大著なのだが、メッチャクチャ面白い!重いのをガマンして寝っ転がって読んでたら肩がおかしくなっちゃった。あの時は『NAONのYAON』の数日前でかなりビビったけど何とか治った!とにかく面白すぎて読み出したら止まらない。
ご存知の通り、武満徹は正規の音楽教育を受けずして世界的な作曲家になった奇跡の大天才だが、この本の中で、「西洋音楽というのは、結局は対位法の技術なんですね。僕は正式に音楽の教育をうけていないので対位法がよくわからない。いつも引け目を感じているんです」…みたいなことを言っている。
なんかカッコよくない?
世界的に有名な大作曲家がこんなことを言うなんて…ってなことを書きたかったの。
さすがは「知の巨人」、立花隆が膨大な量のインタビューを、数々の証言を交え、すさまじく緻密な構成で読ませる名著だ。音楽好きにはタマらん一冊。
そして、そんな一曲が『Wind』には収められているというワケ。

Tttt ところで『Wind』の発売は本日だが、レコ初ツアーは先行して行われ、月曜日に千秋楽を迎え幕を閉じた。

290写真はその時のようす。

300v演奏に、トークに、と盛りだくさんの内容。

310vもちろん、後日Marshall Blogでレポートするのでお楽しみに!

320vまずはTAGAWAのセカンド・アルバム、『Wind』をお楽しみあれ!

『Wind』の詳しい情報はコチラ⇒FretPiano

330(一部敬称略)

2016年5月18日 (水)

MEJIBRAY情報!~未公開写真つき

順調に快進撃を続けるMEJIBRAY。
昨年末には『NEXT MAJORITY VENOMOS』と銘打ったワンマン・ツアーを敢行。
東京はEX THEATER ROPPONGIで千秋楽を迎えた。

10当然、ステージにはMarshallの壁!

20「猛毒」のSEでスタートした狂熱のステージ。

30

40MiA

50背後にはMarshallウォール!

60愛用のJVM410Hはステージそでにセットされている。

70恋一

80メト

90vオープニングの「枷と知能」から猛然とブッ飛ばし続ける。

100v「SECRET No.03」や「パラダイム・パラドックス」、「NENOMS」といった人気曲が次から次へと飛び出し観客をたたみ込む!

110vトーチやレーザーなどステージの演出もゴージャス!

120ひと際大きく響く「MiA~!」の歓声!

130メンバー渾身のパフォーマンスは見ごたえ十分だった!

140ほとんどMCがないのはMEJIBRAYのスタイル。
この日も演奏に集中した18曲で本編を終わらせた。

150アンコールは、3月にリリースされたシングル曲「Agitato GRIMOIRE」だった。

160v「Agitato GRIMOIRE」に続き、4月に二ケ月連続でシングルをリリース。
17枚目のシングルは「THE END」。

170cd_4今回も3種類のスリーブで登場だ。

180cdこれが通常盤。

190cdさらに!
MEJIBRAYは「THE END」を引っ提げてデビュー5周年を記念した全国ツアー『THE END to be or not to be』の真っただ中。
千秋楽は6月10&11日、赤坂BLITZの2Days。
快進撃のMEJIBRAYなのだ!

MEJIBRAYの詳しい情報はコチラ⇒MEJIBRAY Official Web Site

200(一部敬称略 2015年12月18日 EX THEATER ROPPONGIにて撮影)

2016年4月12日 (火)

杉本篤彦のニューアルバムはJVM!~公開レコーディングの現場から

ソウルフルでR&B、ゴキゲンなジャズを聴かせてくれる杉本篤彦。
Marshall Blogに登場する数少ないジャズ・ギタリストのひとりだ。
その杉本さんが公開レコーディングを敢行するということを耳にし、現場にお邪魔してきた。
30

これがそのニュー・アルバム『Tomorrow Land』。
露出を抑え、低い色温度の風合いのジャケットがまずいい。

10cdレコーディングは基本的に「せーの」の一発録りだ。
まずはリハーサルで曲を確認。
20
杉本さんのギターの他にメンバーは…
キーボードの星牧人

40ベースは平岩カツミ。

50ドラムに板垣正美

60そして、杉本さんはMarshall!
そうでなきゃMarshall Blogに登場しない。

70v今回はJVM201Hと1936。

80v_2もちろん使うのはクリーン・トーン。
CLEAN/GREENで歪まない設定にして、キャビネットにはキャスターを装着した。
杉本さんはフルアコのようにかなりボディ鳴りのよいセミアコをご使用になっていので、低音がダブつかないよう配慮したのだ。
…というといかにもこの時に試行錯誤を重ねたように思われるかもしれないが、実はこのセッティングは昨夏の葉山ジャズで実証済み。
あの時の音

があまりにも素晴らしかったので、同じ組み合わせでレコーディングに臨んだというワケ。

90杉本さんは以前、トランジスタ駆動のMarshallの汎用モデルMGシリーズをご使用されていたが、
それでもバツグンにいい音を出されていた。
トランジスタ・アンプといって侮ることなかれ、ジャズ・ギターの大巨人、Wes Montgomeryもトランジスタ・アンプで進撃を重ねたのだ。

100でも、やっぱり真空管アンプの方がいいな。
ウォームさが違う。かといって甘ったるくなりすぎず、キリっとした音像が実に気持ちいい。
とにもかくにも「いい音」としか言いようがあるまい。

110vバックを務めるのは、他の現場でも杉本さんの作品を演奏する機会がある方々だが、初めて演奏する曲もないワケではない。
それなのにシレっと曲をさらっただけでリハーサルは終了。
ま、ジャズの人はみんなこうなのは先刻承知だけど、やはり演奏技術の高さに舌を巻いてしまう。
今のMarshall Blogで書いたかどうかは定かではないが、私の大学時代からの親友で現在プロで活躍しているサックソフォニストがいる。
彼に誘われてある小編成のジャズ・オーケストラのコンサートにお邪魔したことがあった。
ゲストで有名な男性ボーカルが登場して、スタンダード曲の「Too Close for Comfort」をMel Tormeの『Swings Shubert Alley』のスコアで演奏した。
ジャスを聴き始めたころよく聴いた好きなレコードだったし、Sammy Davis Jr.も愛唱していた大スキな曲だったのでうれしかった。友人は確か2番テナーを吹いていた。
彼も無類の酒好きで、帰りに「ウチでイッパイやっていかないか?」と誘うと、気持ちよくそれに応えてくれた。
早速イッパイやり始めた。BGMは当然ジャズだ。「そうだ…」と思い出して、『Swings Shubert Alley』をかけた。
1曲目に収録されているのがその「Too Close for Comfort」なのだが、彼は曲が始まってしばらくしてこう言った…。
「アレ?コレってオレたちがさっき演った曲じゃん?」
こっちはそれをわかっていてそのCDをかけたんだけど…。
彼はこの曲を知らなくて、ステージで初見で吹いたというのである。
それに驚くと、「え、なんで?それができなきゃお金は一銭ももらえないじゃん?」と涼しい顔をして言ってのけやがった。
イヤ、音楽家なんだから譜面がスラスラ読めて当たり前なんだけど、こちとら「ロックの国から来た人間」だからして、こういうことに心底驚いちゃうんだよね。
だって、ロックのギターの連中が「譜面」と呼んでいる、コード進行とちょっとしたキメの譜割りが記してあるモノとはワケが違う。
職人ってのはホントにスゴイ。
でも、上には上がいて、モダン・ジャズの開祖にして人類史上最高のアルト・サックス奏者Charlie Parkerは、自身の『With Strings』というアルバムのレコーディングにクラシックのミュージシャンを呼んだ時、彼らの読譜力や演奏能力に舌を巻いたというのだ。Parkerが驚いたということに驚く。クラシックの曲の譜面ってホントすごいもんね。
ま、何はともあれ、家で寝っ転がって、ジャズでもクラシックでも好きなCDでも聴いているのが一番ラクでいい。
これを書いていて思い出したけど、その友人がウチに来た別の機会に飲み過ぎてヒジが滑り落ち、座っていたイスのひじ掛けに脇腹を強打してしまったことがあった。
酔いが醒めてみると、どうにもその脇腹が痛い。
何日経ってもまったく痛みが収まらないので、病院でレントゲンを撮ってみたら見事にアバラ骨にヒビが入ってやがんの。
アレ、手術するほどじゃもちろんないし、治療のしようがないっていうんだよね。放っておくより仕方がないという。
しばらくの間ものすごくツラかった。
ハイ、本番の準備ができたようなので今日の脱線終わり。

115お客さんが入って会場の空気が変わる。

120_2…といたいところだけど、4人とももう完全に音楽に入り込んでいて、周囲のことなどまったく意に介さないようす。

130_2

140v_2

150v_2

160v譜面を掲げて杉本さんが曲を紹介し、レコーディングの段取りが説明される。

170コレ、杉本さん直筆の譜面。
メッチャクチャきれい!このまま販売できる。
愛用の写譜ペンを使用されているとのことだが、コレなかなかうまく使えないんだよね。
私も昔チョットやってみたけど、グチャグチャになっちゃってとてもこうはならなかった。
杉本さんの書く譜面は「読みやすい」とミュージシャン仲間からも好評なのだそうだ。
この譜面書きの作業もかなり性格が現れるよね。

180_2杉本さんらしいハート・ウォーミングかつソウルフルな曲が聴く者の心をとらえて離さない。

200vバックの皆さんも杉本さんの頭と心の中にある音を、正確に自分の担当楽器の音に変換していく。
240
このピリピリ感がタマらんね!

210vプレイバックを聴く。

190
星さんが手直しを希望して、演奏を差し替える。
こんなところも見せてくれちゃうのだ。
でもね、どこがマズかったのかがサッパリわからん!
手直ししてもどこが良くなったのかメッキリわからん!
自分の耳の悪さと才能の無さが身にしみるわい。

220しっかしギター、いい音だな~。
Marshallを敬遠するジャズ・ギタリストもいるけど、全然使い方次第だと思うんですけどね。
John Abercrombieなんて実にいいと思うけどな。
逆にクセのあるアンプだけに、杉本さんみたいに武器にしてしまえばいいのよ。
杉本さん、今度はASTORIA CLASSICだな…絶対お気に召していただけるハズ。

230こうしてベーシック・トラックがライブ感満点でレコーディングされ、後日他のレコーディング・スタジオで若干の手直しが施された。
もちろんそちらもJVMを使って作業が行われた。

250Marshallのジャズ・サウンドにあふれた杉本さん渾身のニュー・アルバム『Tomorrow Land』…あなたにも是非お聴き頂きたい!

10cd

杉本篤彦の詳しい情報はコチラ⇒杉本篤彦オフィシャルブログ

260(一部敬称略 2015年12月26日 都内某レコーディング・スタジオにて撮影)

2016年4月 6日 (水)

Metal Never Die!~ TORNADO-GRENADEのファースト・フル・アルバム

夜中の廃工場。
時は2月の上旬。
遠いわ、寒いわ、眠いわ、の三重苦を乗り越えてでも行く必要があった。
ナゼならそこにMarshall、NATAL、EDENがあったから。
そう、私にとってはチョモランマであり、K2であり、カンチェンジュンガなのだ!
そして、TORNADE-GRANADEの連中が待っていてくれたから。
ここは3月23日に初めてのフル・アルバムをリリースしたTORNADE-GRANADEのプロモーション・ビデオ撮影の現場なのだ。

10これがそのファースト・フル・アルバム。
タイトルは『LOVERUPTION』という。
「love」と「-ruption」を組み合わせた造語かな?「loveruption」なんて英単語は存在しない…ハズ。
「-ruption」というのはラテン語を語源としていて、「破砕」とか「破壊」を意味する。
だから「失恋」という意味かな?
でも、アルバム冒頭の序曲的インストゥルメンタルのタイトルは「Love Eruption」となっている。
「eruption」は「噴火」という意味なので、やっぱり「爆発する愛情」っていう意味なんだろうね。

アルバム全体を通して聴いて、テーマは「愛」ということなのだろうが、私にはこの若い5人組の「へヴィ・メタルへの愛情」と見て取った。
以下、『LOVERUPTION』については逐一触れていく。
240cd
さて、完成したビデオは最後に見て頂くとして…。
そのビデオに出演しているモデルさんも現場に来ていたのでハイ、ポーズ…はいいんだけど、かわいそうに、寒そ~!
現場が「廃工場」と聞いて、こっちはモモヒキはいてセーター着て、ダウンを決め込んで行ったワケ。年取るといったん風邪引くとなかなか治んないだよ。
それなのにこの真冬の真夜中、火の気のないところで肩出しちゃって…風邪ひかなかったかしら?
どうもありがとう!

20vバンドさんはめ~いっぱい元気!
ヤル気満々だ~!
若いって素晴らしい。
だいたいコレで夜中の12時チョット前。
いつもなら完全に床に入って本を読んでいる時間。文庫の2、3ページも読めば一発で眠くなる時間だ。

30

ボーカルの塚本"JOE"旭。

40vギターの松浦カズマ。

50v同じくギターの真壁雄太。絶対に人見知りをしない。

60vベースの寺沢リョータ。

70vドラムのドラゴンシャドウ村田。

80v収録するのはアルバムのリード・チューン「Love Never Dies」だ。

90「love」は抽象名詞で数えられないので、動詞に三単現の「s」をつけることができない。にもかかわらず「dies」としているのは「ひとつの愛の物語」ということなのだろう。

100冒頭で触れた通り、このアルバムには「愛」や「Love」という言葉がふんだんに盛り込まれている。

110親しみやすいメロディにあまりにも甘ったるい純愛物語…。

130そんな激甘テイストが超激辛のテクニカルでシャープなメタル・サウンドと絡みあう。
コレガいい。
140vこの辺りは我々の世代のロックにはまったくあり得ない感覚だ。
現実的に我々が若い頃には絶対にこんなロックの曲はあり得なかった。
ロック・チューンに「愛」なんて言葉を乗せるのは御法度だったのだ。それは歌謡曲とフォーク、あるいはニュー・ミュージックの仕事だった。
まず、このあたりの感覚がおもしろい。

150vMarshall Blogでは、よく「今の世代の感性を生かした上での温故知新」を実践する若いバンド期待していることを書いているが、このバンドはそのひとつの理想形だと思っている。

170v
サウンドとしては、伝統的なハード・ロック・サウンドと遠慮会釈のないシュレッディングで特段新しいものないが、コレでいいのよ。
「新しい」ということだけがいいというワケでもないし、「新しい」と思ってやってるつもりで、おもしろくも何ともない音楽いかに多いことよ。
170

黄金時代のロックのテイストをそのまま復元している若いバンドもいて、それはそれでとてもうれしいのだが、チョット違うような気がしている。
ナゼなら、70年代のサウンドが聴きたければレコードやCDで実物を味わえばいいワケだし、当時のホンモノの空気感を体験している世代は(私だけかもしれないが)、はるかに年下の若いバンドのそういうサウンドに違和感を覚えてしまうことにある時気がついたのだ。
そう、コレは「空気感」の違いとしかいいようがなくて、そうしたバンドのストイックな姿勢に息苦しい印象を受けてしまうのだ。
まったくうるさいことを言うジジイだ、私は。

160vそういう意味ではTORNADO-GRENADEはゲーム世代の、アニメ世代の、スマホ世代しかできない「肉食ロック」をノビノビと演っているように見えるのだ。
例えば8曲目に収録されている「Love Bliazzard」。
ブギである。
これまたいつもMarshall Blogに書いていることで、令文さんの受け売りでもあるが、「最近の若いバンドには『3』の感覚が欠落している」…つまり若いバンドはシャッフルやブギを知らないのではないか?ということなのだが、TORNADO-GRENADEはドロッドロの愛の言葉を乗せてブギを演奏して見せている。
しかも、胸のすくようなハードなブギだ。
そう、Status Quoのように演奏する必要はない。
ナゼなら君たちは若いんだから。
フト考えたのは、この曲のタイトルはリョータくんからお父さんへのプレゼントかな?と一瞬思ったのだが、JOEくんの作品なので私の期待は邪推に終わった。

190v本人たちにとっては不本意かもしれないが、私なんか彼らのステージを見ていると、カッコつけているのがカッコ悪くておもしろいし、カッコつけていないところが自然ですごくカッコよく見える…。
だいたい「♪荒神見ない、荒神見ない」なんて料理を忌み嫌う曲かと思っちゃったよ。
そうしたら「Cause in Midnight」だった。
ちなみに「荒神様」は台所の神様とされている。

180この2人のギター・アンサンブルも見事だ。
最近雄太くんはJubileeを愛用して、お揃いのグレーのキャビを狙っている。

200収録曲すべての編曲を担当しや数曲の作品を提供しているカズマくんは1987で「Marshall Eruption」してくれている。

210もう、眠くて付き合っていられないんで、トットと失礼させて頂いたが、撮影は朝まで続いたようだ。
あ~、早く帰って来てヨカッタ。

220お待たせしました!
それではトクとご覧あれい、「Love Never Die」!

上で触れた以外にも聴きどころ満載の若メタル。
是非、ご注目頂きたい。

240cd

TORNADO-GRENADEの詳しい情報はコチラ⇒Official Web Site

230
(一部敬称略 2016年2月上旬 埼玉某所にて撮影)

2016年1月18日 (月)

LOUDNESS情報

1985年、アルバム『THUNDER IN THE EAST』を引っ提げてアメリカへの進出を果たしてから早や30年。
「世界のLOUDNESS」の礎を築いたそのアルバムを完全網羅した構成で大好評を博した『LOUDNESS WORLD TOUR 2015 ″THE SUN WILL RISE AGAIN″
~30th Anniversary THUNDER IN THE EAST~in JAPAN』 と銘打った国内ツアーも昨年の12月に大好評のうちに終了した。
この時のもようはMarshall Blogでもレポートしている。
そして、年が明けて15日、その追加公演が東京で開催され、これまた大盛況であった。

10「これが見納め」というセットリストに観客全員が貪るようにして30年前に作り上げたLOUDNESSの音楽に入り込んでいる姿は感動的でもあった。

20…と書き出すと、今日はその時のレポートかな?とお思いかもしれないが、さにあらず。
この追加公演のレポートはまた別の機会にユックリとさせて頂く。
今日は別の話題。

25昨年は『THUNDER IN THE EAST』リリース30年の年であったが、本年2016年はLOUDNESSのデビュー35年の年に当たる。

210

当然、世界に誇るロック・バンドであるからして色々な企画が目白押しだ。

40v_2そのひとつがコレ。
『雷神~Rising 高崎晃自伝』の上梓だ。

70

コレがですね~、実に面白かった。
幼少期、アマチュア期、LAZY期、LOUDNESSの揺籃期から成長期、成熟期、そして現在、そしてソロ作品についても詳しく触れている。
これから読む方々のためにも詳しい内容をココに記すことはできないが、「エ~?!」なんて箇所も満載だ。
口述筆記の形態で、サクサクととても読みやすい。何だか目の前で高崎さんが本当に話してるかのようだ。声が聞こえてきちゃうの。

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この自伝を読んでいると、世界の第一線のバンドやギタリストの名前がLOUDNESSや高崎さんと同じステイタスでたくさん登場する。
Marshall Blogでもう何回も書いているが、海外の連中と一緒になって「日本のロック・バンド」という話しになると今だにLOUDNESSだけなのね。
そして、「日本のロック・ギタリスト」として開口一番、彼らから出て来る名前は絶対に「Akira Takasaki」なのだ。
このことに尚一層合点がいった。

110v

高崎さんの並々ならぬLOUDNESSへの情熱を感じるさせる内容であるのはもちろんなんだけど、ソロ活動について紙幅を割いているのも興味深く、特にソロ2作目の『氣』に関する記述は面白かった。
テープを回しっぱなしにして、集まったミュージシャンの生のクリエイティビティを記録したというこの作品、問答無用でカッコいい。好き。
Joe Zawinulも似た手法でWeather Reportの世界を作り上げたと聞くが、『氣』も音楽制作の場の「緊張感」がそのまま伝わって来るような作品であり、高崎さんならではの所業であろう。
85cd
2010年にリリースされた菅沼孝三さんのソロ・アルバムで、高崎さんが出たばかりのMarshall JMD:1を使用され、レコーディングにご一緒させて頂いたことがあった。
あの日は午前中にスタジオに入った。
ギターの音作りなど「おちゃのこさいさい」で、Marshallであればすぐにご自分の音を出してしまう。
その後、すなわち音楽制作の段になると、もう集中力が尋常ではなくて、スタジオに籠りっきりで、…恐らく休憩もほとんど取らなかったんじゃないかな?…スタジオから出て来られた時にはもうスッカリ夜中の12時を回っていた。
それでも、高崎さんはケロっとされていて、「アレ、ええアンプやナァ」と何事もなかったかのようにおっしゃった。
「音楽の塊り」のような人だと思った。
夜中の12時までスタジオに詰めなくても『雷神~Rising』を読んでもらえばそんな高崎さんの音楽に対する姿勢が容易にわかることだろう。
中間部には高崎さんの愛器のコレクションが紹介してあり、そこにはMarshallのJMP-1や1960やGuv'norも掲載されているので是非注目してね。

60

そして、コレはMarshall Blogでも既報のアイテム、『THUNDER IN THE EAST 30th Anniversary Edition』。
私の手元にあるのは『Limited Edition』。
①アルバム『THUNDER IN THE EAST』の最新リマスター音源にボーナス・トラックを加えたCD。
②120分にも及ぶドキュメンタリーDVD、『A Documentary of THUNDER IN THE EAST』。
③1985年のアメリカ―・ツアーを収録したライブDVD、 『THUNDER IN THE EAST 1985 US TOUR LIVE』。
…からなる『THUNDER IN THE EAST』づくしの記念アイテム。
50

私は残念ながらリアルタイムでこのアルバムを聴くことはなかったが、こうして聴いてみてナニがスゴイって、やっぱり曲だね。
圧倒的に曲がいい。
もう空気からして海外のバンドだよ。
それと高崎さんのソロの密度の濃さ!コレ、ジャズでいたら完全にClifford Brownだね。ムダな音がただのひとつもない。
30
欧米の連中はね、「スシ、スシ」なんて騒いでいたって絶対に「肉」の方がいいの。
LOUDNESSのスゴイところは、最上の曲とテクニックとロック・スピリッツという「肉」で連中を唸らせたところなんだよね。
②のDVDではそのアルバムをどうやって作り、どのようにしてLOUDNESSがアメリカに浸透して行ったかが具に記録されている。
メチャクチャおもしろかったし(特にMax Normanの箇所は最高!)、日本人として、やっぱり見ていてうれしいもんだ。
海外へ行って演奏する日本のバンドはドンドン多くなっていくであろうが、LOUDNESSのような形で海外に進出するケースはもうないでしょう。そういう バンドがいるとしたら、やっぱりLOUDNESSだけでしょうな。LOUDNESSがLOUDNESSを追い抜くより仕方ない。
高崎さんならやってくれるでしょう。

コンサートのシーンではどこを切っても高崎さんの背後にはMarshallのフル・スタック。
LOUDNESSの音楽制作にMarshallが関わっていることに誇りを感じる。

それにしても、「ロック」という音楽ジャンルで考えてみるに、今の若い人たちの草食系音楽とLOUDNESSの偉業が地続きであるとは思えないんだよナァ。
きっと違う世界のモノなんでしょう。

80そして、特報!
今週末、カリフォルニアのアナハイムにてNAMMショウが開催されるが、その中で『RANDY RHOADS REMEMBERED』というRandy Rhoadsへのトリビュート・コンサートが23日に開催される。
イベントは、昨年11月に95歳で逝去したRandyのお母さんDoloresへの追悼の機会にもなっている。

100v_3Randyのお兄さんのKelle Rhoads(この方、前のMarshall Blogにご登場頂いてるの)やBrian Tichyを擁するTHE MAD MANというホスト・バンドをバックに、Doug Aldrich他の錚々たるギタリストが競演を繰り広げる。
そこへ登場するのが我らが高崎晃!
チョット小さくて見にくいけど上段右列の上から四番目にクレジットされている(苗字のアルファベット順)。

Rrrf今年も全米ツアーやヨーロッパのフェスティバル等、海外での活動に忙しいLOUDNESSだが、2016年の幕開けとして高崎さんがアナハイムで一発カマしてくれるに違いない!
がんばれLOUDNESS!

LOUDNESSの詳しい情報はコチラ⇒LOUDNESS Official Website

90v

(一部敬称略 ライブ写真は2016年1月15日 赤坂BLITZにて撮影)

 

 

2015年11月20日 (金)

冥土への手紙~寺山修司と犬神サアカス團

小学校の頃、「作文」というとみんなイヤがっていたけど、私は文章自体書くことに関してはほとんど苦痛に感じたことがなかったな。書初めなんかより全然マシだった。
もちろん、文章を書くのが得意だとか、野球より読書がスキだった(今では読書の方が断然スキ)とかいうワケでもないんだけどね。
でも、湯川秀樹の伝記の感想文を書いてナンカの作文コンクールで選出されたことが一度あった。結果、賞をもらったワケでもなんでもない。だって、最後まで書いてないんだもん。
途中から書くのが面倒になってしまって尻切れトンボになっちゃったのね。子供の頃から堪え性がないんよ。それでもナゼか選ばれた。
卒業の時の文集を書いた時も「他の生徒たちとは違う」と、先生がとても面白がっていたのを覚えている。
卒業文集といえば、みんな「10年後のわたし」とか、「楽しかった6年間」みたいなこと書くじゃない?
私は小さい頃からスイミング・スクールに通っていたので(そんな時代だ)、水泳が得意で代表選手として学校対抗の水泳大会に時折出場していた。
卒業文集ではその時のことを題材に据えたのだが、普通に書いてはつまらないので実況中継の体にしてみたのだ。
ところが、そんなもの本当は面白くも何ともなくて、スゴイものを書いた女の子が他にいた。
低学年の頃はアオッパナを垂らしてゼンゼンいけてなかったけど、長い黒髪がすごくきれいな娘だった。そういえば最近はアオッパナを垂らしている子を見かけなくなったな。昔はみんなズルズル垂らしていたもんだ。食べ物が変わったからかね?知らず知らずのうちに有毒な化学物質ばかり摂取しているのでアオッパナすら出て来ないのか?
さて、彼女には恐らく年上の兄弟がいたのだろう、もうそのころからロックを聴いていたような記憶があって、高学年になるとどこか大人っぽい雰囲気が漂っていた。
あの頃、すなわち1974年ぐらいの小学六年生がロックを聴いているなんてことはまずあり得なかった。「花の中三トリオ」が関の山よ。
私も結構マセていて、父に感化され洋画を観まくっていた。アメリカの有名な俳優の名前を山ほどど知っていたが、この子にはかなわなかったと思う。
その彼女…卒業文集に散文詩を載せたのだ。
今にして思えば担任の先生もよく許したと思うのだが、そこには文章が一切なく、彼女の好きなもの、あるいは頭に浮かんだモノがただただ並べてあったのだ。つまり、句読点で句切ったただの単語または句の羅列。
ちょっとやってみると…
「大粒の涙。海。月の影。しずくの音。まっすぐな道。くぼみ。雲。雨の後。インクの香り…」
ああ、もうできん!コレが延々と続く。
言ってみれば「よこはま・たそがれ」なんだけど、アレが本当に小学生の彼女がひとりで考えて創作したものであったのであればスゴイと思うんだけど…。
私もその時点で彼女のように文芸に興味を持っていれば今頃『鼻毛』なる作品で芥川賞ぐらい獲れていたかもな…。
それは冗談にしても、もっと若い頃から日本の詩歌や戯曲、演劇に興味を持っていればよかったな…と後悔することがある。
寺山修司のことである。
残念ながらまったく通ってこなかったを悔やんでいる。

その後悔を埋めようというワケではないが、『冥土への手紙』という寺山修司生誕80年を祝うイベントにお邪魔して来た。
犬神サアカス團が出演したのである。
呼びかけは寺山作品の音楽を担当していたJ・A・シーザーさん。
会場は恵比寿のガーデン・ホール。二日とも超満員となり、寺山修司の人気と業績の偉大さを物語った。

10会場のロビーには芝居のポスターがズラリと並べられた。コレも見ものだった。

20どれも最高にカッコいいのよ。

30目を惹く横尾作品。
もう20年ぐらい前の話しだけど、ニューヨークのMOMA(近代美術館)に行った時、パッと気が付いた日本人作品の展示は横尾さんのものだけだったな。

50

横尾さんの作品は1967年からMOMAで展示され、その後個展も開催しているからね。
その関係だろうが、ニューヨークでCreamを観たと何かのインタビューで読んだことがある。あまりの爆音で気持ち悪くなってしまったとか…。
確かジミヘンもご覧になってるんじゃないかな?調べておくね。

40さて、犬神サアカス團の出番は二日目。この日のコンセプトは、『田園に死す』。
そもそも犬神サアカス團(犬神サーカス団)というバンド名は寺山さんの映画『田園に死す』に登場するサーカスの名前なのね。バンドのビジュアルも映画の世界をそのまま模倣したものなのだそうだ。
いつかMarshall Blogで犬神サアカス團の曲の世界を黒岩重吾の小説にナゾったことがあったが、出自はこっちだ。ゴメン。
だって、先述したように通ってないんだもん。
私になんざ知らないことの方が多いし、知らなかったらすぐ「知らない」と正直に言う。そして、興味があればその時点で教えてもらって勉強するだよ。
残りの人生はコレを貫徹してひとつでもいいもの、いいことを体験して死んでいくのだ!
バンド名を名乗る時には寺山未亡人から許可も取りつけたそうだ。

寺山さんの話しになるとよくROLLYさんがATG(日本アートシアターギルド)のことを引き合いに出されるのだが、どうもアレがイケなかったのかもしれない。
昔、まだ有楽町に日劇があった頃、地下に「丸の内東宝」という映画館があった。それとは別の入り口でもうひとつ地下にあった映画館を「日劇文化」といった。私は中学一年の時にココで生まれて初めてビートルズの映画を三本立てで観た。
この日劇文化はATG作品を特化して上映する映画館で、その頃洋画に夢中だった私にはATGの作品が「何やら怪しげな日本映画」にしか見えず作品に寄り付きもしなかった。
それこそ『田園に死す』とか『本陣殺人事件』とか…。
もし、あの時、ROLLYさんのように寺山さんの作品でも観ていればまた状況は違っていたかもしれない。でも、ムリだったな~、あの頃は。
日劇がなくなってもう34年も経つのか…私も年を取るワケだ。でも、あの朝日新聞社のインクの匂いと東宝のカレーライスの味はまだ覚えているな。

とにかくそんなバンドのルーツともいえる寺山さんのイベントに出演するとだけあって、メンバーの皆さんもおおよろこび。
楽屋も個室!
安心してください。「隔離」ではないですよ。

60v 出番は最初と最後の出演者大集合による合唱のパートとバンドでの演奏だ。

70 犬神凶子

80犬神情次2号

90犬神ジン

100犬神明

110凶子さんも復帰後は絶好調。
活動休止前と変わらぬ素晴らしい歌声を披露してくれた。ルックスだけでなく、声といい巻き舌唱法といい、日本の女性シンガーの大きな個性のひとつだ。
天井桟敷のメンバーの方からも「ステキな声ね~」と絶賛されていた。
実際ステキなのだ。

115v 二日間にわたる出演は、PANTA、大槻ケンヂ、カルメン・マキ、SUGIZO、瀬間千恵、山崎ハコ、近藤等則、 ROLLY、未唯、渚ようこ、元ちとせ、蘭妖子、新高けい子、そしてもちろんJ・A・シーザー等…と寺山さんを敬愛する大勢の表現者の方々。
よってドラムの交換等、舞台の大きな転換はほとんど不可能。

120そこで今回は情次兄さんのMarshallだけが持ち込まれた。
ヘッドは愛用のJCM800 2203。

130キャビは1960B。
それでも置き場所がないのでステージの造作の下に組み込まれた。

140さて、去る10月21日、犬神サアカス團は『ここから何かが始まる』と題した新譜を発表した。
コレがまたいいんだ~。
詳しいことは他の機会に譲ることにするが犬神ワールド全開の快作だ。

150cd コレはそのスリーブの一部。
安心してください。クレジットされてますよ!
こうしてMarshll、NATAL、EDENの三役ロゴが並ぶと壮観だね。うれしいです。
ありがとうごう、犬神さま!

160残念ながら持ち時間が短く演奏されたのは二曲。

170vまずは「地獄の子守歌」。
こっちは日野日出志ダァッ!

180vミディアム・テンポのヘヴィ・チューン。

190vこの場の雰囲気にピッタリのチョイスだ。

200v 二曲目は明兄さんのアイデアで、先頃お亡くなりになった天井桟敷の昭和精吾さんとのコラボレーションを実現させた。

Img_0033 曲は新作『ここから何かが始まる』のタイトル・チューン。
そこに収録された昭和さんの声だけをマスター・テープから抜き出し、その声に合わせてバンドが演奏したのだ。

220v 凶子姉さんが遺影に話しかけると、昭和さんの肉声が流れ、演奏とともに背後にスライドが映し出されるという趣向。

230これが曲の良さも相まって実に感動的だった!

240そして、昭和さんと共演したメンバーたちの満足げな表情も印象に残った。

250ちなみにここで昭和さんが語った言葉はすべて寺山修司さんのものだ。

260しかし、明兄さんの変わらぬクリエイティビティには脱帽だね~。

犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒公式家頁

270豪華絢爛、二日間にわたる長尺のイベントは大成功の内に緞帳を下ろした。

それにしても、高度成長期に青春時代を過ごした人たちは幸せだ。
音楽、芸術、文芸、出て来るものすべてが新鮮でカッコよかった。
今は何かをやろうとしても、その「何か」は何らかの形で既に過去に出てしまったものばかりで本質的に新しいものや面白いものが何もない。
過去のものの順列組み合わせか単なる異種混合ばっかりだ。
それを売り手やマスコミが美辞麗句を並べ立て、若者相手に半ば強引に「面白い」と思い込ませようとするところがコワイ。
IT技術により情報は増えたけど選択肢は極端に減ってしまった。
素直に「温故知新」すればいいと思うんだけどナァ。「温故知新」しない方が得をする連中が上の方にいるんだろうな。
文芸や美術に口を出すつもりはないが、ひとつ質したい。
日本のロックの「明日はどっちだ?」

280v (一部敬称略 2015年10月12日 恵比寿ガーデンホールにて撮影)

2015年11月18日 (水)

楠田敏之ふたたび+清水保光ファースト・ミニ・アルバム

人気声優、楠田敏之が再び鹿鳴館のステージに立った。
前回は同じく声優の近藤佳奈子ちゃんとのダブル・ヘッドライナーでの登場であったが今回は楠田さんの完全なワンマン・コンサート。
会場は大勢のファンで満員となった。

O_img_0096 楠田敏之

O_s41a0906 ギターは清水保光。

30vキーボード、高濱祐輔。

40vもうひとりのキーボード、滝口恵太。

50vベースは大舘寛幸。

60vコーラスのきゃらめるまん。

O_s41a2130 ドラムは金光KK健司。
このバンドでは「ケンケン」と呼ばれていることはもう皆さんご存知の通り。

70v清水さんはもちろんMarshall。Tシャツもスウェット・バンドもいつも通りMarshall。

80前回同様JVM210Hと1960Aだ。

90vKKもNATAL。

100アッシュのシングル・タムのキット。

110このコンサートは楠田さんの音楽活動10周年を記念するもので、趣向を凝らしたバラエティに富んだステージになった。

O_s41a0914 もちろん得意のトロンボーンも披露。
アダルトなフュージョン調の曲も楠田さんの魅力のひとつだ。

115v

10年の間に積み上げられた曲の数々。

120それを宝物ように丁寧に扱って歌う姿はとても印象的だ。

130ゲストが加わる。

140テナー・サックスのASUKA
ASUKAさんは「東京エロティカルパレード」で活躍中だ。略して「エロパレ」だって。

O_s41a1104八月に続いて二回目のステージというのに清水さんとのイキはピッタリ!

160金光さんがまたいいんだ。
Strange, Beautiful & LoudやSTANDで見せる「厳しさ」とはまったく違うドラミングがここで聴ける。

170vMarshallとNATAL、ありがたい光景ではあ~りませんか!

180メローにハードに緩急自在にステージは続く。

190ソング・ライターとしても紹介されたキーボードの滝口さん。

O_s41a1264 それにしてもASUKAさんのハードなブローっぷりがカッコいい!

200清水さんとのカラミもシックリ。

210清水さんがいつもリッチーだ、レインボーだ、アルドリッチだ…なんて言っている人には見えない。

220またね、ギターの音がいいんだ。
前回も書いたけど、おおよそMarshallらしくない。
MarshallらしくないMarshallの音ってのもなかなかにオツなもんでしてな…もちろんいい音が出てなきゃダメだよ。
ここでも清水さんはフュージョン・ギタリストもうらやむようなソフトで、そして芯がシッカリしたリッチなサウンドを出す。
そう、いつもリッチーだ、レインボーだ、アルドリッチだ…なんて騒いでる人には思えない。

O_s41a0946 楠田さんの熱唱に次ぐ熱唱でアッという間に本編が終了。

230vアンコールでは歌詞カードをお客さんに渡して「みんなで歌おう」コーナーも企画された。

240女性のお客さんが多いでね、いつもは阿鼻叫喚のデスボイスが鳴り響く鹿鳴館が、今日は女性コーラスの美しい歌声で満ち溢れた。

250アンコールでもノリノリでポーズをキメるふたり。

265

ジャンプで締めくくる皆さん。いかにライブが盛り上がっていたのかがわかるってもんだ。

260さらに、もう一回アンコール!
ここでも素晴らしいテナー・バス・トロンボーンの妙技を見せてくれた楠田さん。

270メンバー全員、華麗なプレイの連続で楠田さんの十周年をお祝いした。

271v

272

O_s41a1072 全員揃ってのエンディング。

280盛りだくさんで最高に楽しいショウだった~。

285ASUKAさんのポーズがスゴイ!まるで全盛期のSonny Rollins!

楠田敏之の詳しい情報はコチラ⇒レーベル公式WEB

290さて、今回も大活躍の清水さん。
もうすぐソロ・ミニ・アルバムを発表する。
日本のハード・ロック/メタル・シーンにおいて長い長いキャリアを誇る人の初のソロ作品集とだけあって待ち望んでいた人が多く現予約段階において品物がなくなりそうな状態だ。
でも、まだ少しだけ余裕があるようなので興味のある人は要チェック!
しかし、なんとドラマチックなジャケット。これはコンピューターで描いた「絵」なのだそうだ。

300cdタイトルは『Wind From The East』。
そんなタイトルだけ見ると、オールド・ファンはFar East Family Bandみたいな音を想像するかもしれない。しかし、それは間違い。
そう、いつもリッチーだ、レインボーだ、アルドリッチだ…なんて騒いでる人の作品として期待して大丈夫。
安心してください、シミッチョですから。


ところが!一曲目の「Geronimo' Hill」から度肝を抜かれること請け合いだ。何しろ風の音から聞こえてくるのはアコギとボトルネック・ギター。
え、コレ「清水さんの作品?」って感じ。
もちろんそこからハードに曲は展開する。ちょっとエンニオ・モリコーネを思わせるメランコリックなテーマがステキ。
しかし!
コレ、ホントに清水さんがやりたかったことなのかな?という意外な展開が続く。エレクトリック・シタールが出て来るのだ。
そして炎のシュレッディング。いいナァ、遠慮なく好き勝手に展開する曲想…好きである。
二曲目の「Song for Liberty 2015」は目の覚めるようなメタル・チューン。ハハハ、コレもヒネってるナァ~。エンディングに向けての寄り切りのソロが実にいい感じ。
三曲目はタイトル・チューンの「Wind from the East」。
清水さん、大丈夫なのか?こりゃまるで映画音楽だ。
ティンパニーがスゴイ。このやりたい放題感覚は素晴らしいナ。
そして、この図太いフロント・ピックアップの音!

310清水さんはこのアルバムのエレクトリック・ギターのほとんどをこのMG2FXを使い、マイクを立てて家で録ったのだそうだ。
曰く、「いかにDTMでうまく録音してもギターの音はどこかでアンプを通さないとダメ。
ギターはその音だけ録っても絶対うまくいかない。どんない小かろうとアンプを使って、空気を一緒に録音しないとダメなんです。ライン入力でそのまま録ったギターの音ほどつまらないものはない。
ギターは絶対にアンプが必要なんです」
何だか私と示し合わせたようなコメントだが、下打ち合わせなど何もしていない。
清水さんも私と同世代だが、コレは本当にカッコいいロックやギター・サウンドを聴いて育った世代の共通の意見なのではなかろうか?

O_mg2cfx_arm_shot_3 コレにメインのギター・パートを抜いた「Geronimo's Hill」と「Song for Liberty 2015」が収録された全五曲入りのミニ・アルバム。
ギター好きなら聴いておいて損はない作品だ。
繰り返しになるが、発売前にして商品の残りが少ないようだから要注意!

320v清水保光の詳しい情報はコチラ⇒Cyclone's Eye
オフィシャル・ウェブサイトはコチラ

O_s41a1022

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。
M_natal_square
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版:現在日本語版作ってます!時間がなくてなかなか進みません!)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2015年9月26日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2015年11月12日 (木)

D_Drive Driven by "R"~D_Driveのニュー・アルバムを聴く!(ライブ・レポートつき)

恥ずかしながらホンノ数年前まで「横綱」だと思っていた。
だって大相撲の街だからね。
「横網」って言われたって「横綱」って読んじゃうよね。実際、そう思っている人がゴマンといるハズだ。
何の話しかというと「両国」のこと。
両国国技館のある辺りの地名を「よこあみ」という。ここは「よこづな」だろう、フツウ。
ところがそれなりの由来がある。
何でも江戸時代初期にはこの周辺では海苔を作っていて、原料の海草を取る網を横向きに干していた。それでから「横網」という地名になったとか…。斜めに干していたらヘンな名前になってたぞ。ようするに「大相撲」とは何の関係もない。
で、この両国は昔、房総方面の始発駅だったんよ。海外風に言えば「ターミナル駅」。
かつてバカでかいビアガーデンとして再利用されていたロンドンのキングス・クロス駅のような立派な駅舎があるのはそのせい。
私が小学生の頃はまだその駅舎が使われていて、六年生の時に両国駅を始発に富津まで行ったことがあった。五人の十二歳の少年が寝袋等のキャンプ道具を買い込んで海辺でキャンプをしたのだ。死体は見なかったけどチョットした『スタンド・バイ・ミー』状態だった。四十年以上も前の話し。
その後、隅田川の下をくぐる鉄道トンネルができ、総武快速が開通すると始発駅の役割は東京駅へと移行した。
今では年に三回開かれる大相撲の時のみにぎわうちっぽけな駅だが、両国は下町の範囲内…根深い歴史があるのだ。
もうひとつ、横網にはあまりにも悲惨な歴史があるのだが、場をわきまえてここに記すのは控えることにしよう。
あ、それと「下町」について…。
何やら東京の中心の繁華街からちょっとハズれると全部「下町」にくくってしまうが冗談じゃネェってんだベラボウめッ!
テレビを見ていると商店街があって高層ビルがないとすぐ「下町情緒あふれる」なんて言うじゃない?
江戸の場合、元々「下町」というのは日本橋・神田周辺のことを指していた。「御城下町」の「下」だ。だから浅草寺があったにしても、浅草だって「浅草田圃」といわれて下町の内に入れなかった。浅草も郊外だった。
で、明治維新以降、武家屋敷がドンドン宅地として開放され、そこに比較的下層の人たちが入り込んで東方面に新しい町ができた。
今で言う「下町」はその範囲を意味していて、行政区画で言えば中央区・港区、千代田区、さらに台東区、墨田区・江東区の一部あたりまでを指す。
江戸城のあった千代田区やとなりの文京区は「山の手」だ。
だから両国は「下町」だ。
…とドンドン話が反れるので一気に本題に飛ぶことにする。

ナニが言いたかったのかというと我らがD_Driveが両国にやって来たのだ!(念のために言っときますが、私は両国の住人ではござんせん)
Neil Zazaというアメリカ人ギタリストとのカップリング・ツアーの東京公演だ。

O_img_0170 相変わらず燃えまくっているD_Drive…
Seiji

20vYuki

30vShimataro

40vChiiko

50何しろこういう状況なのでいいショットをお送りすることはとてもできないが、演奏はいつも通りの極上パフォーマンス!
こういう環境で写真を撮るのは久しぶりだナァ。
まったく見えないけど、SeijiさんもYukiちゃんもMarshall。もちろん最上のギター・トーン!

60ShimaちゃんはEDENでド迫力の大低爆音!WT-800とD410XSTをダブルで…。
95

オープニングの「Drive in the Starry Night」から新曲「Attraction 4D」、「M16」と一気に繋ぐ炎のセットリスト!

90「Mr. Rat Boots」、新曲「Now or Never」、「Cassis Orange」…

100v…と新旧取り混ぜたゴキゲンのステージが展開する!

70
Chiikoちゃん、ゴメン!どうにも撮れないよ~!

110もちろんギッチギチに会場を埋め尽くすお客さんは我を忘れての大盛り上がり!

80

もう最先端のメタル・インスト・バンドとしての風格漂う白熱のステージだった!

130そして!
満を持してD_Drive三番目のアルバムが登場する。
タイトルは『R』。
発売はまだもうチョット先の11月27日。
ヘヘヘ、役得、役得…ズルして先に聴かせてもらっちゃったぞよ!

「D_Drive」に「r」を足すと「D_Driver」となる。すなわちD_Driveのファンの皆さんのことだ。いわゆる「動作主名詞」ってヤツだね。そのための「R」。
タイトルの「R」の意味はまずそれがひとつ。
それと同時にメンバー各人の中にも固有の「R」があるようだ。
私だったらナニかな?
大好きな街「ロンドン」かな?ロンドンの「ロ」は「L」だっちゅーのッ!

140cdここから先は11月6日に開催された東京でのワンマン・コンサートの写真を交えて私なりの『R』評を展開させてもらうことにする。
もちろんこのワンマン・コンサートの模様もMarshall Blogでレポートする予定なので乞うご期待。

150Seijiさん作の序曲的小品「Run to R」で始まるこのアルバム、ギター類はすべて実際にMarshallを爆音で鳴らし、それをマイキングして録音された。
D_Driveはデジタルでギターを鳴らさない。
だからこんなにもナマナマしいド迫力サウンドでギターが鳴り響くのだ。
160v
SeijiさんはDSL100と1960AX。

151vYukiちゃんはTSL100と1960A。

152vShimaちゃんはEDEN WT-800だ。

153v二曲目もSeijiさんの作で、上のライブでも演奏された「Attraction 4D」。
コレ、このサビのメロディがよく出たね。クロマチックで上昇するところ。ハッとさせられる。
ホントにこのバンドの曲を書くのは大変なことだと思う。
インスト・バンドなので歌詞がないのは先刻承知。その分、どれだけ人の心に残るメロディを見つけるかにかかってくる。
昨日もJimi Hendrixのところで書いたけど、そんなに指が早く回っても、小技がうまくても曲が良くなければ何の意味もなさないし、聴いている方は耐えられない。
歌詞の不在を補う分の演奏上のトリックも必要だろう。
掛け合い、ピックアップ・ソロ回しなんてことは珍しくもなんともないから、その上をいかなければならない。
かといって、いいトリックが考えついても同じワザは何度も使えないと来てる。
つまり進化が進化を必要とする「作曲のアリ地獄」に陥ってしまう。
その点、D_Driveはそれらの困難を見事に克服して来たと思うね~。
そして、このサード・アルバムで音楽性を変えることなく、もうひとつの顔を見せたと言えるのではなかろうか?

170vそれは「スタジオのD_Drive」だ。
私は以前の仕事を通じて知遇を得たSeijiさんと比較的長く、そして緊密なお付き合いをさせて頂いているが、知り合った最初の頃はSeijiさんのバンドの音を聴いたことがなかった。
初めて『Something to Drink』で一曲目の「Runaway Boy」を聴いた時の新鮮な衝撃といったらなかった。「あの人こんなことやってるのかッ!ああ、まだロックにはこういうことができる余地が残っているんだ!」とひとりごちた。
『R』を聴いた瞬間、あの時の衝撃がもう一回訪れた。
このアルバムは以前からステージで演奏されている曲を数曲収録している。
「Russian Roulette」、「Among the Distraction」、「Drive in the Starry Night」などがそれに当たるが、一体どうしたことだろう?
聴き慣れているハズのそれらの曲がまったく別のものに聴こえる。
それはスタジオに入るに当たってアレンジをし直したとか、トコトン作り込んだということではない。
でも、いつもYukiちゃんが左手の人差し指をこめかみに当てて曲紹介をする「Russian Roulette」には聞こえないのだ。
ギター・リフのひとつひとつ、ソロの隅々までがクリアに聴こえ、はち切れるようなリズム隊の完璧なコンビネーションも目の前に迫ってくる。
「ウワ!こんなことをやっていたのか!」ってな具合。


ソロの長さも収録時間も絶妙だ。「もうチョット聴きたい!」と思わせるところが名人のなせる技。
店で見て気に入って買い込んで来たツボを家で磨き上げてみたらまた別の楽しみ方が出てきたような感じ。ツボ買ったことないけど。
フト思ったのはこの『R』、YesやGentle Giantは超絶なスタジオ音源を忠実にライブで再現したが、D_Driveは正反対のことを巧みに実現したのではなかろうか?
正直、惚れ直した。

180vとにかく曲がいい。
Seijiさんの作品だけでなく、「Advance and Attack」、「Now or Never」等、収録曲の半数を占めるYukiちゃんの作品がハード極まりなくてこれまた素晴らしい。
さすが、朝起きたら突然ギターを弾く宿命を感じた人だけのことはありますな。
もうロック・ギターの技術も限界に来てるでしょ。私が高校の頃は速弾きできれば学校のヒーローだったけど、今では例え小学生がどんなに速く正確に弾いたところでもう驚くこともないし、右手を指板の上に乗せてコチョコチョやってみせたところで最早珍しくもなんともなくなっちゃった。
今はそれらの技術をいかにいい曲で使うか…というところに勝敗がかかっている。
『R』を聴けばD_Driveが勝者の口であることがわかるであろう。

それとギターという楽器について…。
ひとつ思い出したのはStanley Jordanというジャズ・ギタリスト。
同時に何本かのギターを用いてタッピングでソロとバッキングを完璧に奏でる技法で80年代の初頭にキラ星のごとく現れた。理屈としてはピアノの技術をギターに移行させたというワケ。
そりゃビックリしたよ、初めてテレビで見た時は…。録画しておこうと思わずビデオに飛びついたもん。
ギター好きならジャズを聴かなくてもご存知の方は多いと思う。
この人のスゴイところはその(当時)奇抜なテクニックもさることながら、「キチンとしたジャズ・イディオムを身に付けた高い音楽性」と言われていた。
要するにチャンとした伝統に根差したジャズが出来る…というわけね。それにLed Zeppelinの「Stairway to Heaven」なんかを取り上げたりしてたカバー曲のセンスもよかった。
ところが、デビューした時、ある辛口のジャズ評論家(ジャズ喫茶のマスターだたかもしれない)がこう言ったことを覚えている。
「確かにその通りかも知れないが、果たしてギターという楽器の魅力を発揮しているといえるのだろうか?そこがこの人の最大の弱点ではないか…」
つまり、撥弦楽器であるギターは弦をはじいてこそその楽器の魅力を発揮できるということだ。
シンガーで言い換えれば声に魅力がなかった…コレは致命的でしょう。クラシックの声楽の人達は「声」を「楽器」って呼んでるぐらいだからね)
結果どうなったかはファンの方に失礼なのでココには書かないが、今、Stanley Jordanを熱心に聴いている人を私は知らない。
翻ってD_Driveはどんなだ?
先に紹介した通り、フル・ヴァルブのMarshallで鳴らしたギターの音のなんとふくよなかことよ!
『R』を聴く時には、デジタル機器の利便性に真っ向から対抗したかのようなふたりのリッチなギター・サウンドにも十分注目してもらいたい。エレクトリック・ギターの魅力のひとつがそこにある。


そして、この才気あふれるサウンドをMarshallやEDENで奏でていることに誇りと感謝の念を表したいと思う。

190CDだけでしかD_Driveを聴いたことがない人は絶対にステージを体験するべきだし、ライブでしかD_Driveを体験したことがない人は必ず『R』を聴くべきだ。
さすればD_DriveのステージやCDが「倍」どころか「何十倍」もおもしろくなるハズだ。


あ~書いた~!スッカリ『R』に興奮しちゃったのでアール。さ、もう一回聴こっと!
おススメです。
一般発売は11月27日。もうちょっと待っててチョ!

D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive Official Web Site

200(一部敬称略 ①2015年10月25日 両国SUNRIZE ②2015年11月6日 渋谷TSUTAYA -WESTにて撮影)

2015年3月20日 (金)

【号外】Kelly SIMONZ~New DVD 『HOLY WINTER LIVE 2014』発売!

過日Marshall Blogでレポートした、昨年末に開催されたKelly SIMONZのクリスマス・コンサート『HOLY WINTER LIVE 2014』。

10_2そのもようを収録した同名のライブDVDが発売された!
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コレがそのDVD。
正式なタイトルは『TOKYO KINEMA CLUB "THE 8TH" HOLY WINTER LIVE 2014』。
110分で25曲が収録されている。
ジャケットがいいね~!写真がいいね~!
Marshallの壁をバックにピックを持った右手を高く上げるKellyさん。
雪がスゴイ!実際にはこんなに降ってなかったんですよ~。
40v_3
ディスクはピクチャー仕様。
内ジャケに使われている写真もいいね~。しっかりとMarshallウォールが写り込んでいて雰囲気タップリ!
誰が撮ったのかな~?
Kellyさん、ありがとう!
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何しろ110分にわたってKelly SIMONZの魅力がテンコ盛りだ!
Marshallの壁だけでなく、次々と持ち替えるギターにも注目。
それにしても、やっぱりロック・コンサートのステージはMarshallの壁だね~。

最近はヘビメタのバンドのコンサートでもステージ上にアンプを見かけないケースがあるようだが、信じられんよ、まったく。
あまりにもステレオタイプ丸出しなことを言うのはヤボなのでイヤなんだけど、やっぱりホンモノのロック・ギターはオール真空管のギターアンプのサウンドに限るよ。そして、Marshallの壁。
これでキマリ!
♪Who could ask for anything more?
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さて、このDVDには当日ステージに登場した9歳のギタリスト、Keiji by ZEROの演奏も収録されている。

60v_2そのkeijiくん、ナント、明朝(21日)テレビに出演する!
番組はTBS系列朝8:00の『知っとこ!』。
「世界の朝ごはん」のヤツ。
楽しみだ!

Keiji by ZEROの詳しい情報はコチラ⇒Keiji by ZERO facebook

70Kelly SIMONZの詳しい情報はコチラ⇒Kelly SIMONZ Official Website

HOLY WINTER 2014のレポートは…
<前編>はコチラ
<後編>はコチラ

80じゃ、明日の朝ね!