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2017年1月24日 (火)

四人囃子ニュー・アルバム発表記念 岡井大二スペシャル・インタビュー <vol.4:最終回>

さて、発売がいよいよ明日に迫った四人囃子のニュー・アルバム、『四人囃子 ANTHOLOGY~錯~』。
大二さんのスペシャル・インタビューを交えてここまで三回にわたり、ヘタな文章で熱弁を振るってきたが、もうオールド・ファンだの若者だの言ってはいられない。
四人囃子の名前しか知らない人、ゼンゼン知らない人…エエイ!とにかくこれを機にひとりでも多くの人に四人囃子が作った音楽を聴いてもらうことを願っている。
決戦前夜の戦国武将みたいなことを言っているが、それもこれも、大二さんのセリフのせいだ。
「メンバーが直接制作に関わった作品を世に出すのはこれが最後になるかも知れない」…なんて寂しいことをおっしゃるから!
  
大二さんの狙い通り、今回初めて四人囃子の音楽に接する人もいるだろう。
もちろん誰にでも、何事にも、「好み」というものがあるだろう。
しかし、四人囃子の音楽がつまらないと思ったら、その人はもうロックを楽しむことができないのでないだろうか?
イギリスの文学者、サミュエル・ジャクソンの名言と同じだ。
「ロンドンに飽きた者は人生に飽きた者だ」
もちろん「ロンドン」のところに「四人囃子」を代入してもらうワケだが、この名言には続きがあって…
「ロンドンに飽きた者は人生に飽きた者だ。ロンドンには人生が与え得るもの全てがあるから」
後半の「ロンドン」には「四人囃子」を、「人生」のところを「ロック」という言葉に置き換えて読んで頂きたい。
チョット大上段に構えてみたが、とにかく!明日このアルバムをゲットして、永久に日本のロックの歴史に残り続けるであろう、40年の風雪に耐えた名曲の数々でロックが持つクリエイティヴィティを存分に味わって頂きたいと思う。
しかも高音質で!

9_さて、『錯』紹介の最終回はDVD。
収録されているのは、まず『ROCK LEGEND』の名のもと、2008年4月19日にJCBホール(現東京ドームシティホール)で開催されたクリエイションとのダブル・ヘッドライナー・ショウ。「ツーマン」ではない…そんな言葉はない。
ショウとしてはCSですでに放送されたものだが、今回はその際にカットされた「おまつり」を収録。
アンコールで演奏したピンク・フロイドの「Cymbaline」を除いたその日の公演のすべてが収録されている。
この公演では「オレの犬」と「SAKUMA#1」という新曲が披露され、ここにDVDの形で収録されることになった。
さらにもう一曲の新曲「Rumble」も収録。
コチラは2003年11月1日の、同じく『ROCK LEGEND』の追加公演であるCLUB CITTA'でのもよう。
すなわち、プロコル・ハルムとのダブル・ヘッドライナー。「ツーマン」ではない…そんな言葉はない。
私もこの公演を厚生年金会館で観たことは大二さんとのインタビューの中で触れた。
そして、DVDは「眠い月(Nemui-Tsuki)」で締めくくられる。
コレは2002年10月25日に同じく新宿厚生年金会館で収録されたものだ。
頭脳警察とのダブル・ヘッドライナーだった。「ツーマン」ではない…そんな言葉はない。
コレも観たな。二階席まで超満員だったよ。
頭脳警察のオープニングSEが「Who Are the Brain Police?」だったけな~。
CD同様、DVDも高画質&高音質で、いつでも四人囃子のコンサートを体験できることになったワケだ。
  
さて、大二さんに『錯』のサンプル盤を送って頂いてからの約三週間、この記事を書くために、ほぼ毎日四人囃子の音楽を聴いて来た。
『錯』だけではなく、聴き比べのために、他のアルバムのほとんどをCD棚から引っ張り出してきて改めて聴き直したのだ。
私もこれほど集中的に四人囃子の音楽を聴くことは、この先もうないかも知れない。
元より大好きなグループなのでとても楽しかった。
四人囃子というと、必ず「プログレッシブ・ロック」、それから「高い演奏能力」という枕詞がついて回る。
私は四人囃子に「プログレッシブ・ロック・バンド」のレッテルを貼ることを良しとしない事はすでに書いたし、同じ意見をお持ちの方も多いようだ。
しかし、演奏能力の高さについては何人(なんぴと)も否定できまい。
『一触即発』を21歳(大二さん基準)で、『ゴールデン・ピクニックス』をたった23歳で作り上げた能力は「奇跡」としかいいようがない。
そして、今回根を詰めて四人囃子の音楽を聴いて、その奇跡を実現させた要因のひとつに「歌詞」があると思った。
初期の歌詞を書いているのは末松康生さんではあるが、その内容の独創性については今更ココに書くまでもないだろう。
興味を引いたのはその言葉の選び方だ。
「おまつり」の「♪文句を忘れてフシだけで歌ったのさ」の「文句」なんて和風でいいな。そういえば、歌詞のことを昔は「文句」と言っていたよ。
「空と雲」の「♪長く細い坂の途中に お前の黄色いウチがあったよ」の「ウチ」。「ウチ」というのは江戸っ子の言葉だ。江戸っ子は「イエ」とは言わない。
そう、四人囃子は東京のバンドなのさ!
「ネッシー」だって「♪水はやさしい」だなんて…最近は恐ろしい水が多くなってしまったが、なんて素敵な言葉の連なりだろう。
どれもこの歌詞あっての曲、そしてこの曲あっての歌詞…に仕上がっていると思うのだ。
とにかく音楽は曲のクォリティがすべてだということを教えてくれる。
四日間ホメ続けたのでさすがにもう言葉がないが、「いまさら四人囃子」だの「たかが四人囃子」だのと間違えても言ってくれなさんなよ!
    

お待ちかねの大二さんのスペシャル・インタビューの最終回は、日本の音楽マーケットの話やNATALについて語っていただいた。

Img_0414

日本のマーケット

 M:(Marshall、以下「M」)こと音楽に関して言えば、日本はやっぱり昔から独特のマーケットということになるとお思いですか?
O:(岡井大二、以下「O」)数字だけで見れば日本の音楽マーケットは世界二位の国ですよね。
でも、残念ながらとにかくファー・イーストで「東洋の島国」。
で、90年代の後半あたりから、ポピュラリティを持つ音楽の傾向が圧倒的にドメスティックになってしまいました。
要するに海外の情報がたいして重要ではなくなっちゃった。
国内で何でも手に入るようになって、元の発想ネタが海外のナニから来ているかとかは、興味の

Img_0012先ではなくなってしまったみたい。
M:まったくそうですよね。
自分と考え方の方向性が同じで安心しました!
O:今の音楽業界を憂えているか?憂えていないか?と訊かれたら「憂えている」と答えますね。
M:とにかく売れればいい…という感じしかして来ない。
O:制作する側に「制作マインド」みたいなものがあるとしたら、「いいものが売れるようになっていって欲しい」と思うのが「制作マインド」なんじゃないかなと思います。
M:そうあって欲しい!
O:そう思いたいんだけど現実は違っていて、制作する側の人たちがチャンと対峙して自分にとっても大切な「いい音楽」を聴くのは、家に帰ってからのプライベートだけ…仕事とは別なのかな。
仕事で徹底的に叩き込まれるのは、売れたものが「いい音楽」ということ。
M:苦痛だろうな~。でも今の世の中にあっては、それこそが仕事ですから。
O:売れたもん勝ち…ということです。
M:まったく。
若いバンドさんたちの会話を聞いていてすごくそう思います。
小さいライブハウスをやって、中型のライブハウスに出るようになって、ホールでコンサートができるようになって、次は武道館でハイ上がり!…と、まるで双六のよう。
そこに音楽が存在していないような感じがします。
ステージのMCで「いい音楽」とか「音楽が好き」とやたらと「音楽」という言葉を口にするのがまた変な感じがする。


  
名盤の秘密

  
M:私もいい加減色んな音楽を聴いてきましたが、どのジャンルでもやっぱり「いいモノ」と呼ばれ

Img_01042_2ているものは良いですよね。
駄盤の類も好きで、いろいろ買い込んで来ては聴いていますが、やっぱり「名盤」と呼ばれているものには最終的にどう転んでもかなわない。
一般の人なら死ぬまで知らないような無名のプログレ・バンドのアルバムなんかもおもしろいんですが、それらはどうやっても『宮殿』を駆逐することはできません。結局何回も聴くことはない。
「名盤」といわれているジャズのアルバムもそうです。
O:その曲とか、そのテイクに行きつくまでにナニがあったかということなんです。
やはり名盤というものはその「ナニか」がふんだんに詰め込まれているから名盤になるんです。
M:なるほど!そんなこと考えてみたことなかった。
O:コレは100m走で例えれば、コンマ何秒早かったから名盤になったのではなくて、誰もやらない走り方で100m走ったから名盤になったんです。
M:とってもよくわかります。言い得て妙ですね!

    

☆この辺りでふたりとも大分アルコールが回ってきて完全に雑談タイムとなった。ナニせ笑い声で言葉が聞き取れない箇所も少なくなかったのです。

 

外タレの思い出
 
O:昔、高校生の時にバンド・コンテストに出ましてね、高中くんが出ていたんですよ。
ボクらよりひとつ年上でね。
M:何を弾かれていたですか?
O:テン・イヤーズ・アフターの「ウッド・チョッパーズ・ボール」…すごくウマかった。
その時に半ズボンはいてジェスロ・タルを演奏した小学生ドラマーがいたんですよ。

Img_0015「This Was」かなんかを演ったんですけど、すごく上手だった。
M:どなただったんですか?
O:古田たかしだったんです。
M:しーたかさん?!
O:そう。こっちは高校生で、負けまいとシャカリキになりましたね。
M:天下の大二さんでも!?
当然タルはご覧になっていますよね?
O:もちろん!
伝説の厚生年金。「あの素晴らしさを語れ」と言われたら今でも30分は余裕で語れます。
M:いいな~!うらやましい。
ご覧になった方はみんな「アレはよかった!」っておっしゃいますもんね。
私は何年か前に「『アクララング』全曲演ります」の時にようやく観ることができました。
O:音楽もライブ・パフォーマンスも「時代の違う音楽」として完成したものを見せられて、スゴイな!って思うわけです。
それまでにない音楽ですから。
M:そんな感覚に浸ってみたい…。
O:同じように、すごくそう感じたのはピンク・フロイドが最初に来た時、それからデヴィッド・ボウイの初来日…。
M:サンフランシスコから船で来たってヤツですね?オルセイア号。
帰りはウラジオストックまで船で行って、シベリア鉄道でイギリスまで行ったとか…。
O:アレ、本当にそうなの?
M:噂ではフィリピンあたりまで飛行機で来てそこから船で日本に来たとか…。
O:やっぱり?
あと正統派ロックスタイルの外タレで理屈抜きに「やっぱり外タレすごい!」、「気持ちいい!」…と思ったのはハンブル・パイとロリー・ギャラガーですかね。
M:ああ!スティーヴ・マリオットの肉声って聴いてみたかったな~!
  

コーラスの妙

  
M:外タレの話で思い出すのは、野音で楽屋のモニターで四人囃子の皆さんとルネッサンスを観ていた時、「コーラスがうまいね~」と騒いでいたら、大二さんが「向こうの連中ってコーラスする時って声を似せれんるんだよ」っておっしゃった。
O:そう。あのサウンドの音楽をやるにはこの声…みたいな発声の仕方っていうのがごく自然にあるんですよ。特に白人。
我々も民謡とか演歌って特に習わなくても何となくわかる部分があるでしょ?アレと同じなんです

Img_0103よ。
ホリーズなんかを聴いているとよくわかる。
M:「バス・ストップ」の?
O:そう。
マージー・ビートの発声の仕方とハモリ方なんですよ。
そのマッチングの具合がいいんです。ビートルズも最初の頃はそうだった。
で、そのコツを覚えた元がカリフォルニアのコーラスなんですね。喉の絞り方っていうのかな?
M:ビーチ・ボーイズみたいな?
O:そんな感じ。アレは日本でいったら例えば関西弁の発声で全部歌う感じ。
M:エエ~?
O:だからあの発声でコーラスをやっているバンドってアメリカの東海岸にはほとんどいないんですよ…(間)…ウン、確かに出ていない。
M:ハモリ方も教わらなくてもわかっている。
DNA的にそういう能力を持っているようですよね。
O:そう!我々にはそういうDNAはない。
ところが「間」には滅法強い!
M:ハハハ!リズムではなくて「間」!
O:そう。
「間」なの。イヨ~、ポン!の「ポン」を入れるところが自然にわかるでしょ?外人にはそれがケッコー苦手。

 

フランク・ザッパの思い出

M:フランク・ザッパのお話を…。
O:コワかった~。
M:エレベーターで二人きりになっちゃったんですよね?
O:そう!でもリハも本番も全部見ることができました。
M:小川銀次さんもリハをご覧になったとおっしゃっていた。
「一体リハなんかどうやって入ったんですか?」と尋ねたら「エ、円谷英二の息子って言ったら入れてくれたよ」って。

S41a1399今となっては本当かどうかはわかりませんが、まったく銀次さんらしい。
O:ハハハ!
M:で、サウンド・チェックの時にザッパがPAミキサーの人に向かって「○○HzをXXだけ上げて…」とかいちいち細かい指示を出していたそうです。
すると外の音が劇的に変わったとか。
O:そうでしょうね~。
ボクはあの時、テリー・ボジオのドラム・キットに座ったんですよ。
で、あんなかわいい顔をしていて、身体がデカいの知らなかったもんだからキットが大きいんでビックリしました。
ツーバスなんか思いっきり足を広げないと届かなかった。
M:私も15年ぐらい前にバーミンガムのドラム・ショップで実物を見ました。
テリーがイギリスに行くとそのキットが出動するんだとか。
今の冗談みたいなキットになる前でしたけど、点数は多かった。やっぱりデカいと思いました。
O:そうでしょ?
M:その時の実際の演奏はいかがでした?
今はその時のツアーのオーストラリア公演の音源が公式にCDになっています。
日本公演といえば、私は西部講堂と大阪の音源も聴いているんですが、マァ、「手抜き感」は拭えないかと…。
O:手抜と言えば手抜きなのでしょう、リラックスしてて。
でも、存在も、曲も、演奏も、世界中のどこにコレと同じものがあるんだ?というぐらいスゴイものでしたよ。
M:やっぱり?いいな~。
しかも会場は国際劇場。記者会見は吉原。裕也さんも実にイキなことをされた!
それで、若かりし日のテリーをご覧になってどう思われました?
私は高校生の時、すなわちその3年後の1979年にUKの来日公演でテリーを初めて観たんですが、ドラム・ソロに腰を抜かしました。
O:それはもうスゴかった!それしか言えない!

 

NATALについて

 

M:ちょっとドラムの話をしますと、大二さんぐらいの大御所になられると…。

S41a0198O:ゼンゼン、大御所じゃないですよ!
M:イエイエ、大の大御所でいらっしゃる!
で、ゼンゼン道具なんてお気にされないのかと勝手に思い込んでいたんです。
ところが、NATALをお試しになられた時、すごくシビアで、実は結構驚いたんです。
「ああ、なんでもいいよ!」っておっしゃるかと思ったらすごく真剣だった。
決して変に「細かい」という印象はありませんでしたが…。
O:イヤ、こちらもNATALが思った以上にいい楽器だったので、チャンと試してみようと思ったんです。
M:それで、大二さんがバスドラムにミュートを入れていないのを発見して、いつか向山テツさんがすごくビックリされていましたよね?
アレはどういうことなんですか?
O:だって、バスドラムにミュートを入れるとか入れないのは、趣味とか意地では済まない問題ですからね。
もはや入れるのが当たり前。でもNATALのバスドラはそれが不要。
アレはNATALだからできるんですよ!
M:お、うれしい予感!
O:なんでミュートを入れるかと言ったら、スッピンだとペダルを踏んだ時に「バイ~ン」とヘッドのうねりが鳴ってしまうのがうるさいから入れるワケです。
ミュートを入れなくて済むのはそうならないからで、あのNATALの作りだからこそ、そういうことができるんです。

Img_0017M:なるほど。
O:NATALのドラムは胴の鳴りがチャンと出るから、あとは何を好きにやっても出てくる音がすごくいいんですね。
M:NATALが要因ということは言うつもりはありませんが、とにかく大二さんのドラムは音もプレイも外人っぽい。
O:もしウシさんがそう思ってくれているのならとてもうれしいですし、本当にそうであったとすれば、それには自分なりの理由があるんです。
かなり持論なんだろうな…と思う。
M:え?どんな?
O:あのね、チョットこれは書いて欲しくないんですけど…

<筆者注:…と。ここでカット。

大二さんドラミングの秘密をご自身でご説明頂いた。なるほど~。テクニックというよりもリズムに関すること。
ちなみにこれは「企業秘密」とかいう理由で大二さんが文字お越しをご希望されなかったのではない。大二さんはそんなケチな人ではない。

ご考察が個人的なものであり、普遍性が低いという大二さんの謙虚な態度によるものであることをご了解頂きたい>

M:なるほど。そういう意味では森さんもそうだし、チャーさんなんかも同じような外国の空気を感じますよね。
モノマネではないオリジナルのロックをダイレクトに体験できた世代。
O:その通り。
あと、山岸(潤史)も昔からそうだよね。
M:よくわかります。
NATALが大二さんのおメガネにかなって心底ヨカッタと思っています。
O:イエイエ…「おメガネ」だなんて!

 

ドラムの音

 M:それで、いつも思うんですが。大二さんのドラミングはかなり音が大きいですよね?
すごく軽く叩いているように見えても大きい。
ところが、ゼンゼン耳障りではない。いわゆる「遠鳴り」っていうヤツ。

Img_0556エルヴィンとかポール・モチアンなんかもそうでした。
手をチョットしか動かしていないのに出てくる音がすごくクリアで大きい。
何より音が美しく、音楽的です。
で、反対に最近の若いドラマーってシャカリキになって叩いているのに音がすごく小さいように思えます。
それと、手足がすごく早く動いてテクニカルなんだけど、バッチンバッチンいってるだけで、まったく音楽的ではないように聞こえる若いドラマーをよく見かけます。
このあたりどうお思いになりますか?
O:アレは相当小さい音ですよ。
ウシさんは90年代のイギリスのバンド…例えばブラーとかオアシスとかのドラムを聴いてどう思いますか?
M:ゴメンナサイ。双方Marshallなんですが…印象にまったくありません。
O:そうか…。
あのね、いわゆる「ハード・ショット」とか「ストロング・ショット」のドラミングというのは、アメリカではなくて、実はイギリスから出てきたモノなんですね。
ボーナムとか、コージーとか…。イアン・ペイスはこんなに太いスティックで、あのスピードでアレをやったんです。
それで、正統派のハードロックを見渡した時に、そういうドラマーって、80年代になるまでアメリカから出てこなかったんですよ。アピスくらいか…。
正統派なハードロックはあってもそういうドラマーはいないんです。
M:確かにそうですね。
70年代のアメリカのドラム・ヒーローって聞いたことがない。まさかのドン・ブリューワー?
O:そう、ヒーローはそれほどいないんですよ。
コレは注目すべきことだと思うんですが、「個性的なドラム」っていうのは圧倒的にイギリスのバンド・ドラマーになるんです。
ボーカルとギター以外のパートで個性的なサウンドを作った…つまり、個人的なスタイルがサウンドを作って注目されたのは圧倒的にブリティッシュ・ドラマーなんです。
ボーナムもペイスもアメリカにはいなかった。
M:なるほど。考えたことなかった。それだけマーシャルがうるさかったってことかな?
O:ハハハ!
それで、その「ハード・ショット」なんですが、90年代になって、PAとモニターの技術が発達して、その出元のイギリスのバンドからドラムの音がちっちゃくなっちゃったんです。
M:ギター・アンプと同じですね。
O:イギリス勢から率先して音が小さくなっちゃった!
ボクはブラーが大好きだけど、あの時代からハード・ヒッターがいなくなって、ガックンと音が小さくなったんです。

Img_0053_2M:そういうハード・ショットを必要とする音楽がなくなってしまったということですよね。
O:もちろんそれもありますし、ステージの上で大きい音を出す必要が一切なくなってしまったんです。
結果、ハード・ヒッターが残ったのはアメリカを中心としたヘヴィ・メタルとデス・メタルぐらいでしょう。
M:ギターというか、ギター・アンプと同じ流れですね。
O:後はメタリカ系?
そういうバンドはとことんやり続けると思ったら、そのメタリカですら最近はキレイに音を出していますよね。
M:しかし、大二さん、ブラーとかオアシスとかそういう新しいものまでご熱心によくカバーされますよね。
私はMarshall Blogなんてのをやっていて、本当はすべてのロックに対して全方位外交をしなければならない立場だと思うんですが、その前に、もうリスナーに徹して思いっきりワガママにやらせてもらおうと思って…。
O:うん。
でも、これはボクが作る側の人間だから「勉強」のためにそういう若い世代のロックを聴いている…とかいうことではないんです。
ボクは手足をもがれようと、何をされようと一生オープンな音楽ファンでいるつもりなんです。
    

…と、大二さんが音楽への尽きぬ興味と愛情を宣言されたところでこの三時間半に及んだインタビューの幕を降ろすことにする。
途中の私の無駄話や笑い声で聞き取れない箇所、書いても第三者には通じないような話題もあって、内容はだいぶスリムになった。
大二さんのお話をお聞きしていてとにかく思ったのは、「いいミュージシャンはいいリスナーたれ」ということだ。
かつて井上ひさしが言っていたが、何かの本を書く時、最低でも書架二つ分の関連書籍を読むと言っていた。彼がタヌキかなんかの本を書くことになった時、神保町からタヌキに関する本が無くなったという話も聞いたことがある。
こうして何かをクリエイトする人というものは、常にアウトプットをはるかに上回るインプットの蓄積があるのもだ。
大二さんはロックの日本上陸とともに、当時のオリジナリティあふれる音楽を浴びるようにインプットし続けた傍ら、自分たちの音楽を創造した稀有な存在である。
そんなアーティストの話が面白くなかろうハズがない。
ここまで三回のインタビューへの反応はすこぶる良好であった。
今日でこのシリーズは完結するが、大二さんの狙い同様、老若男女を問わずひとりでも多くに方にこのインタビューを読んで頂くことを切望する。
って最後に書いてもしょうがないじゃんね!
インタビューを読んで「おもしろい」と思った人はゼヒ拡散して頂きたい。
そして、これが少しでもロックの延命対策に役立てばうれしく思う。
大好きなバンドの、最も好きなドラマーを三時間半にわたって独り占めし、自分の好きな話をうかがうことができたのは最高の幸せだった。
大二さん、ご協力ありがとうございました。

Img_0273  

四人囃子よ永遠に…。

<アウトロ>
昨日登場していただいた四人囃子研究家の灘井さんから『Fullhouse Matinee』に関する資料を追加して頂いた。
コンサートのプログラムだ。
コレは欲しいな~!尚、灘井さんには『Fullhouse Matinee』周りの情報以外にもたくさんの貴重なご助言を頂戴しました。
この場をお借り致しまして厚く御礼申し上げます。

9_pg1_4 大二さん若ッ!
念のため記しておきますが、右端が1989年ごろの岡井大二さんです。

9_pg2_2 四人囃子フェイスブックはコチラ⇒Official facebook   
      スマートホンをご利用の方はコチラ
四人囃子のウェブサイトはコチラ⇒四人囃子ウェッブ・サイト


(一部敬称略 ※協力:灘井敏彦氏)

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。 詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2016年10月20日 下北沢楽園にて撮影)

2017年1月23日 (月)

四人囃子ニュー・アルバム発表記念 岡井大二スペシャル・インタビュー <vol.3>

大二さん、読売新聞にご登場されてましたな…紙幅の関係もあり、記事の内容は四人囃子のプロフィールと『錯』の紹介にほぼとどまっているが、それほど『錯』の話題性が高いということ、あるいは四人囃子の音楽への再注目の兆しの表れであると信じたい。
こうした過去の素晴らしい音楽に耳目が集まりチョットした「社会現象」にまでなってくれるとうれしいのだが…。
そこまでが私の「野望」の第一章。
そうした社会現象で若い人たちがそうしたカッコいい昔のロックに興味を持ってもらうことが野望の第二章。
そして野望の最終章は、その若い人たちが過去のチャンとしたロックのエキスを吸収して、自分たちの感性で今のロックを作ってもらうことだ。
ま、マーブロに書いていることよ。
大二さんの言葉を借りれば「日本のオリジナルロック第一世代を知らない世代にも体感してほしい(読売新聞のインタビューより)」ということだ。
『錯』の発売まであと二日…25日の夜、または26日の朝のフェイスブックの投稿が「『錯』買いました!四人囃子最高!」という投稿で埋め尽くされることを期待している。

さて、『四人囃子ニュー・アルバム発表記念 岡井大二スペシャル・インタビュー』の第三回目の今日は『錯』の「Live Takes」を聴いてみよう。

9_今日も試聴に当たってはmarantzのCDデッキをMarshall HEADPHONESのWOBURNにつないだオーディオ・セットを使用した。

Wbさて、この「Live Takes」に収録されている内容は、『From the Vaults』と『Fullhouse Matinee』、さらに『'73四人囃子』から一曲が選ばれた音源であり、すでに世に出回っているもので、初出の音源は含まれてはいない。
「なんだよ、未発表の音源入ってないのかよ!」なんて文句を言うことなかれ。
だからはじめっから「ない」と言ってる。
その代わりに、それらの歴史的音源がデジタル・テクノロジーの進化を得てさらに良質な音源で楽しむことができる。
選曲や音質において、まさに大二さんがおっしゃるように、「四人囃子という名前しか知らない人にも楽しめるアルバム」ということが「Live Takes」でもいえるワケだ。
さて、収録曲は10曲のうち、9曲が『From the Vaults』からの選曲。
「一触即発」、「おまつり」、「泳ぐなネッシー」、「ピンポン玉の嘆き」、「機械しかけのラム」、「Nocto-Vision For You」と、四人囃子の活動を俯瞰して選ばれた代表曲が惜しげもなく収められている。
ちなみに「ピンポン玉の嘆き」は1973年7月21日、杉並公会堂における初演のもの。
私ごとながら…1978年か1979年に「Plumage」という民間のロック・サークルのコンサートがココで開かれ、サークルに参加していた高校生だった私もそこでギター弾かせてもらったのだが、ヘッドライナーで出演したBAD SCENEと同じ舞台に立ててうれしかったのを覚えている。
さて、四人囃子というと必ず「日本を代表するプログレッシブ・ロック・バンド」というキャッチが付いて回る。
話を戻して…私は大のプログレッシブ・ロック好きだが、四人囃子の音楽をプログレッシブ・ロックと感じて聴いたことがほとんどない。
大二さんは四人囃子の活動を「ポピュラー音楽でエポック・メイキングなことをする、というのが基本理念だった(読売新聞より)」とおっしゃっている。
まさにその通りのことをされたとは思うが、「プログレッシブ・ロックのバンド」という感覚が今でもないのだ。
ところが、この「ピンポン玉の嘆き」だけは別で、四人囃子を「プログレッシブ・ロックのバンド」たらしめているのは、この7/8拍子の一曲だけなのではないか?とまで思ったりするのだ。
「プログレッシブ・ロック」というカテゴリーの定義が極めて曖昧なので、コレはあくまで個人的な意見なんだけどね。

9_img_0225そして、9曲のうち、5曲が1989年9月22日と23日にMZA有明で開催されたリユニオン・コンサート『Fullhouse Matinee』で収録されたものだ。
二日のうち23日は昼夜の二回公演。すなわち「マチネー」があったワケだ。
一応記しておくと、「matinee(アメリカじんは『マリニー』みたいに発音する)」というのは昼間興行のことで、ブロードウェイの人気ミュージカルでは週末と水曜日にマチネーがある。
ロンドンのウエスト・エンドは木曜日、あるいは水曜日と土曜日とショウによって異なる。ちなみにウエスト・エンドは日曜日はお休みだ。
当然のごとく、主役級の役者さんは一日にミュージカルを二回演ることは体力的に難しいのでマチネーは代役を立てることが結構ある。
当然代役となると人気も落ちる。
すると、当日売りのチケットがものスゴイ値引きをされて売り出される。
ショウの内容自体はまったく同じなので、安くショウを楽しむにはコレを利用するのも一興だ。
私はといえば、もうだいぶ前の話だが、ブロードウェイに行った時、ジュリー・アンドリュース主演のミュージカルがかかっていて、マチネーで格安チケットが出ていた。
「ヨッシャ!」と思い、チケットを買いに行くと、案の定代役。で、やめた。
変にプライドの高い私としては「代役が演じたミュージカル」は後で自慢が効かないと計算したのだ。
ま、私なんかそんなもんですわ。
それで、四人囃子、ご存知の通り、このコンサートの音源はすでに二枚組のライブ・アルバムとして発表されている。
下の写真がそれ。
1989年といえば、私はロックから離れていたどころか、転勤で東京からも離れて信州で安穏としたサラリーマン生活を送っていた。当然ネクタイとスーツを着用していた。
したがって、このコンサートが開かれたことも知らなかったし、MZA有明なんて小屋も知らなかった。
そういう意味では「日清パワーステーション」も経験していないのです。
その時代のライブハウスいえば、東京に帰って来て辛うじて渋谷の「On Air East」でTower of Powerを観たぐらいか?(Galibardi氏の無事を祈る!)
それじゃダメじゃん!って?
ナンノナンノ!「それじゃダメだ」と笑わば笑え。
アタシャ後楽園ホールでロイ・ブキャナンやフランク・マリノを観た。後楽園ホールだぜ!ボクシングの試合じゃないぜ!ワイルドだろう?
浅草国際でキング・クリムゾンの初来日も観てるから!国際劇場だぜ!
ま、どうあがいてもこの後のインタビューに出てくる大二さんの話にはかなわないんだけどサ…。
さて、話を戻す。
『Wish You Were Here』を連想せずにはいられないヒプノシスっぽいジャケットがカッコいい。
9_img_0223_2
元の音源も何ら文句の付けようもない音質なのに、今回はそれに「迫力」というスパイスを存分に振りかけたイメージに仕上がった。
まぁ、この味を知っちゃうと、そうおいそれとは元には戻れないだろうナァ。
今回、『錯』の音質をチェックするために、『Fullhouse Matinee』と『From the Vaults』と、三枚の音を聴き比べていた。
すると、『Fulhouse Matinee』と『錯』では、一曲目の「Nocto-Vision For You」の満さんの歌いだしのピッチが異なることを発見した!…と喜び勇んでいた。
しかし、「待てよ…」と思い、ココに書く前に念のため確認をすることにした。
教えを乞うたのはMarshall GALAでの稲葉囃子のスタッフもお願いした四人囃子研究家である灘井氏だ。
ちなみに灘井さんは、四人囃子やCharさん、金子マリさんらが参加した、四人囃子の初代ベーシストである中村真一さんの追悼コンサートにご出演されギターの腕も披露されている。
そして、私の研究の結果は当然のごとく空振り。
私は『Fullhouse』→『Vaults』→『錯』と同じ音源を三段構えでリマスターしているものと思い込んでいたのだ。
今回の『錯』の音源は、『Vaults』にすでに収録されているコンサートの23日のマチネーの音源をリマスターしたものであって、『Fullhouse Matinee』のモノとは異なる音源だったのだ。
ああ、単なる私の勘違いでこんなに紙幅を割いてしまった!
お詫びに全公演をご覧になった灘井さんからの情報を付け足すことにしよう。
セットリストは基本的に全公演共通だったそうだ。
衣装も同じで森さんの髪型に少々変化があった程度。
そして、23日夜の最終の公演のみ二度アンコールに応えた。その時は出演者全員がお揃いのTシャツを召していたそうだ。
下は灘井さんからお借りしたその時のチケットの半券。
おもしろいのは、初めの二公演の席が「G列」と前の方であるのに対し、一番下の23日の夜の公演のみ「T列」と大分後ろの方になっている。
もちろん皆さん最終公演のみのダブル・アンコールを見越していたワケではないのであろうが…そうか、みんな最後の方を見たいんだな~…と、東京にすらいなかった私はそんなことしか分析できません。
灘井さん、どうもありがとうございます!

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Mza_tick3 もうひとつ。
『From the Vaults』以外の音源は『'73四人囃子』の「円盤」だ。
『錯』には「(Full Length Version)」と記されているが、『'73』と内容は同じ。
何をもって「Full Length」なのかを灘井さんと話したのだが、我々の間では「シングルの短いバージョンとは異なり、丸々一曲全部を演奏しているという意味で『Full』なのではないか?」という結果に落ち着いた。
再三書いている通り、音質はオリジナルに比べて格段に良くなっている。
まるで見慣れたモノクロの映画が総天然色になったかのようだ。
そして、若さあふれるパワフルな演奏!
こうして「ロックがロックだった時代」の素晴らしい音源の質が向上することも若く、新しいリスナーがひとりでも増やしてくれるキッカケになることを願ってやまないい。
黙ってりゃいいんだけど、知ってることは言わないと気が済まない性質なので書いてしまうが…このジャケットに写っている1959のフルスタック(UNIT3)は四人囃子のものではなく、対バンの安全バンドのものだったとか…あ~書かなきゃヨカッタ。

73さて、大二さんのインタビューの三回目。
今回はまたビートルズの話に始まって、大二さんの音楽論について語って頂いた。

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さらにビートルズ

O(岡井大二、以下「O」):もう一度、ビートルズについて言うと、彼らが日本に来たのは1966年の6月です。
あの時に飛行機から降りてきた彼らの格好はご存知ですよね?
M(Marshall、つまり私、以下「M」):マッシュルーム・カットに日本航空の法被。
O:そうです。
そしてあのツアーの後に「もうレコーディングしかやらない」と宣言しますでしょ?
M:フィリピンで散々な目に遭ってしまってツアーにウンザリ…。
O:それでスタジオに引きこもって1966年中に『リボルバー』を出してるんですよ。
M:はい。

SffO:さらに引きこもって、年が明けて1967年になった途端「ストロベリー・フィールズ」のシングル盤を出してるんですね。
そして、その年の夏に、つまり、日本に来た1年後に『サージェント・ペパーズ』を出してるんですよ!
1枚のアルバムを挟んで(『リボルバー』のこと)、曲からファッションから全部変わっちゃった!
M:そういうことだったんですね。
O:日本に来た時の新曲が「ペイパーバック・ライター」です。
サウンドはハードになって何かを予感させるものあっても、ビート・バンドの域は出ていない。
それが『リボルバー』から変わっていって『サージェント・ペパーズ』ですよ。
それで、ケンカしたりしても最後には『アビィ・ロード』を作ってしまったワケですよね。
M:大二さんたちの世代の方はナマでそれを見続けたんですもんね~!

Img_0019_3O:ビートルズのこの変化の順番を目の前で同時期に見ていたという「幸福感」は、申し訳ないんですが、後の世代の方々にはわからないでしょうね。
M:私の世代になりますと、『ラバー・ソウル』が65年、『リヴォルバー』が66年、そして『サージェント・ペパーズ』が67年ということは後で教わって知っていても、その間の「一年」に起きた変化にまったく実感が湧かない。
生まれてはいたんですが…。

言ってみれば、本能寺の変が1582年、関ケ原が1600年、それから徳川幕府ができたということを知っているのとまったく同じなんですよ。
こんなことに実感が湧くワケはありません。

それと同じこと…うらやましすぎます。
マァ、最近は「いい国作ろう江戸幕府」なんて言っている若い人もいるようだから「実感」も何もありませんが…。
でも大二さん!私だってダテに年を喰ってはいませんよ!
O:ほう?!
Mもう大分前の話になりますけど、イギリスに行って、若い楽器店の連中と大勢で食事をする機会がありましてね…話題はもう自然と音楽の話になる。
私が「生でレインボウを観た」、「ライブ・イン・ジャパンの時に客席にいた」なんて話をするとそのイギリス人の若い子たちが「スゲエ!握手してください!」って言うんですよ!

Img_0679_3O:ワハハ!
M:大分スケールが小さいですね、こっちは!もう5年早く生まれていればナァ。
O:そうか~。
もうちょっとビートルズの話をすると、人気に乗じて初めて4チャンネルを駆使して「コレがマルチ・チャンネル・レコーディングの極致」というサウンドを作ったのが『ラバー・ソウル』ですよね。
M:はい。
Oで、『サージェント』は4チャンネルのテレコを2台用意して、1チャンネルをシンク信号に使って7チャンネルで録音した。
でも今、7チャンネル渡されて「サージェントと同じ音づくりしてみろ」と言われても誰もできない。
M:そうでしょうね~。
O:で、なんでそんなことができたのかというと、時代の空気みたいなものもあったと思いますが、とにかく発想がブっ飛んでいた。
ビートルズだけじゃなくて、ストーンズも色々やっていたし、ザ・フーは『トミー』を作る、『ラバー・ソウル』のエンジニアだったノーマン・スミスが『サージェント』を作っているとなりのスタジオでプロデューサーとしてピンク・フロイドのファースト・アルバムを作る。
あの1枚目の衝撃たるやスゴかったですからね。
宇宙みたいな、夢みたいな、コワイような、気持ちいいような…またまたナンダこりゃ?となったワケです。
M:今では「ピンク・フロイドのファースト・アルバム」以外のモノではないかもしれませんが、当時はあの音楽が相当新しく響いて本当に『夜明けの口笛吹き』だったんでしょうねェ。
O:音楽雑誌を見れば、アメリカではフランク・ザッパみたいのが出て来る…。

Pfボブ・ディランがどうして変わっちゃったのか?
グレイトフル・デッドも出て来た。
デッドの2枚目(註:Anthem of the Sun、1968年)なんかも少年にはスゴイと興奮しても、どうなっているのか分析なんかできないんです。生活も健康的だったし…(笑)。
M:わかってます、わかってます!
Oとにかく英米で何が起こっているかわからない。
無知な少年だったから、元よりビートニクの文学のことも、ティモシー・リリーの精神世界のことも知らない、ヒッピーってなに?
ベトナム戦争は泥沼化してる、世界が混沌の極み…こうしたことが1960年代の終わりにいっぺんに起こちゃったワケです。
それで、ビートルズはアメリカで名声を得てからたった3年でそういうムーブメントの中心になっちゃったんですね。
このあたりは世界の音楽界の明治維新みたいなものだったんです。
M:私は幼稚園で、パーマをかけたら、それを見た親戚のオバさんが「ビートルズか?」と言ったのを覚えています。
そうした世の中の文化的な大きな変化は英米のお話しでしょ?
O:そうですね。日本にはそれに関するハンパなデータしか入ってこなかったですね。
レコードは一応手には入りました。どんな人たちかは雑誌の写真で何となくでわかるんですが、どんなことが起こっているのかがわからないワケです、少年からすると…。

S41a9510M:そういう感覚がピンと来ないですね。
O:そのあたりのことがわかってきたのはようやく90年代に入ってからですね。
さすがにインターネット以前に本や映画を通じてわかってきたんです。
M:90年代?
O:そんなもんです。
60年代の歴史上の人たちの本当の姿や、何が行われていたのかを広く日本人が知ったのは90年代に入ってからでしょうね。
M:時差が10年どころじゃない!

 

オリジナル曲で勝負!

M:オリジナルで勝負しよう…ということになった時、「何をどうしよう」ということはご自分たちなりのお考えというものはあったんですか?
O:何をしていいかということはわからなかったけど、何となく勘が働いたんでしょうね。
M:たとえば「ブエンディア」なんていきなりボサノバだったりしますでしょ?
あの時代にああいうアイデアはどこから出て来たんですか?
O:「一触即発」、「おまつり」、坂下(秀実さん)による「泳ぐなネッシー」なんかは『一触即発』を作る前からのレパートリーなんです。
M:「ネッシー」のコード進行のアイデアなんかはI-I7-IV-IVm-I、いわゆるターンバックっていえばいいのかな?
基本的なコード進行。アレをすごくゆっくり弾いていたりしますよね?
でも、「ブエンディア」のボサノバのアイデアは不思議。

Se_2O:まぁ、あれは「こういうの好き~」ってだけでやった感じですよ。
ジョビンの「Wave」あたりがようやくピンときて、「こんな気持ちいい音楽があったか~。こういうの演りて~な~」っていう感じでしたからね…なんて時に、「空飛ぶ円盤に弟がのったよ」をシングルで出すことによってバーターで移籍ができることになったんです。
M:お、またバーター。
O:「円盤」をシングルで出すのは忍びなかったんですけど…。
M:え、いいじゃないですか。
O:でも、出すことになって…ところがイザとなると今度はカップリング曲がない!
それで、「四人囃子用の曲じゃないけど、オレ、インストが一曲あるよ」ってB面に入れたのが「ブエンディア」だったんです。
だからアレは四人囃子向けの曲ではなかった。個人的な趣味です。
M:へぇ~。

 

昔のライブハウス

M:その頃、ライブハウスの状況というのはどんな感じだったんですか?
O:「グループ・サウンズの先輩達が出ているところ」ということになりますね。
M:さっきの話ですね?
O:で、伴奏を聴かせるスペースと音楽に合わせて踊るスペースに分かれているところが多く、そういうところでは踊るスペースの方が圧倒的に広いんです。
M:昔のジャズみたいに、要するに踊るためのバンド演奏だったワケですよね?

Img_0003O:そういうことです。ゴーゴー・バンドです。
それで、人気の出たグループ・サウンズの歌や演奏だけを聴かせるスペースとしてできたのが、ACB(アシベ)でいえば、「ニューACB」というところだったんです。踊る方は「ゴーゴーACB」。
で、そういう演奏だけを聴かせるスペースが増えていったんですが、あくまでも女の子たちがあこがれのグループを観に行くところでしたね。
M:なるほど。
O:だから、今の感覚で言う「ライブハウス」というのはロック・ポップ系にはなかったですね、当時は。
で、やっとそれらしいものが出て来た…。
M:え、どこですか?
O:…というのが、実は渋谷で言えば「ジァンジァン」だったんですね。
M:へ~。子供の頃、アレは芝居小屋だと思っていました。
O:そうそう。
だから「ありとあらゆるパフォーマンスに開放する」という意味合いがあるスペースだったんです。
M:色んなのが出てましたもんね。他には?
O:「ロック・バンドのためのスペース」ということであれば、吉祥寺のOZ(筆者注:1972年6月から翌年の9月という短期間に渡り営業していたライブハウス。久保田麻琴と夕焼け楽団、裸のラリーズ、南正人、タージ・マハル旅行団、カルメン・マキ&OZ、安全バンド、四人囃子、クリエイション、頭脳警察、ウエスト・ロード・ブルース・バンド等が出演した)なんてのもそう。
あとは屋根裏、そしてロフトですよね。
M:当時は吉祥寺なんてまだ閑散としていたんじゃないですか?
O:かなりさびしかったですね。
M:あとはホール・コンサートですか?
杉並公会堂なんかよく使われていましたよね?アレは何か特別な意味があったんですか?
O:ゼンゼンなかったです。ひとこと「地元」だから。
当時は各町の公会堂がグループ・サウンズのTV収録の場だったりもしたんですよ。
M:それと昔は学園祭が盛んでしたよネェ?「学園祭の女王」なんてね。
今はもうゼンゼンですよね?
O:今は実行委員会とかイベントのサークルとかの人たちが、「企画を立ててビジネスが成立するか?」みたいなシミュレーションの勉強の場になってしまったんですよ。
昔は、「ロックの息吹」なんて時代ですから、「学園祭」というイベントで晴れて自分たちの好きなバンドを呼んで演奏してもらうことができる場だったんですね。
そんな機会ですから呼ばれる方も張り切って演った。

 

音楽を作るということ

M:いつもMarshall Blogで騒いでいるんですが、今の若い人たちのロック界を見渡すと、「ロック」という言葉は残っていても、我々が持っている感覚で言うところの「ロック・バンド」というものはほとんど存在しない。
かといって歌謡曲もなくなってしまった。

Img_0524O:そうですね。
我々の世代が言う「正統派ロック・バンド」というのはいないですね。
それで言うと、最近の傾向として、デスクトップだけで音楽を作る人も多いですよね?
ウシさんはそういう人をミュージシャンとして認めていますか?
M:それなら「作曲家」ということになって、「ミュージシャン」っていう感じがしないかも。
O:「作曲家」は「ミュージシャン」ではない?
M:ミュージシャンは生の楽器を演奏する人のことを指すようなイメージがありますね。
O:そういうことね。「演奏」ということを重視するワケですね?
ボクはチョット考え方が変わっていて、絵に例えましょうか?
M:お願いします。
O:「匠」とか「道」の世界で考えれば、まずデッサン2,000枚描けということになるんですね。(筆者注:大二さんのお父上は、武蔵野美術大学の教授や同美術学園の学園長を務めたデザイナーの岡井睦明さん)
でも「絵を描く」ということになった時、最初からペンキを壁に投げつけたいヤツもいるんですよ。
M:ジャクソン・ポラックみたいな?
O:ダリのように細密な絵を描く人もいれば、谷岡ヤスジみたいに(筆者注:古すぎて鼻血ブー!)ドヘタ風味の四コマ漫画でいい味を出しちゃう人もいるんですね。
M:確かに。
O:要するに「出来上がり」なんですよ。
「何を生み出すか?」が一番だと思うんです。
家づくりに例えて言うと、大工さんにあたるのが 「プレーヤー」で、腕・技術を通してセンスを発揮するスタンスだと思うんです。
でもボクは設計の具合に一番興味があって、アホなものでも独創的なものにワクワクするんです。音楽の場合は発想に具体的な規制は無く自由ですから、例えば半分フランス庭園で半分日本庭園なんてことをしてもいいし、フランス庭園のド真ん中に鳥居を建てちゃうことだってできる。
出来ることなら月までハシゴ立てたい…みたいな。
M:できません!
Oだから自分の感覚で言葉を使い分けると、大工として名工を目指すのが「プレーヤー」の世界、設計図を提出して未完の想像物を世に問うのが「ミュージシャン」の世界、と考えています。
もちろん、ひとりの音楽家においてくっきり境目がある訳ではないのですが…。

S41a0872_2「プレーヤーとして」と話題にする時と、「ミュージシャンとして」と話題にする時とボクにとっては違うんです。
M:なるほど。
そういう言葉の使い分けであれば、私の感覚は作曲する人が「アーティスト」、それを演奏する人が「ミュージシャン」っていうのはあります。
もっともコレは私が考えたワケではなく、西欧人の受け売りです。横文字だけあって彼らはそれらの言葉を使い分けているように見えます。
O:で、一番大切なのは設計することからなんじゃないかということなんです。
M:はい!
O:「音楽」で言うと、「曲を創造する」ということになる。
コピーして演奏するより、どんなにボロクソに言われようと、落ち込んでしまおうと、自分はオリジナル曲を作るということの方が「ものづくり」ということにおいては、はるかに尊いと考えちゃうし、個性的な発想の人を尊敬するし、憧れてしまう。
「創作物」の積み重ねがあっての音楽の歴史だと思うんですよ。
M:私は何も作ることができませんが…まったく同感です。
O:「創作」や「ものづくり」に制約はありません。
例えばコンピュータしかイジれない人が何か曲を作る。
それに対して聴く側には賛否両論があったとしても、また、実際に上手に演奏できたとしても、コピー・バンドをやっている人達よりは、ボクはそのデスクトップ・ミュージックで画期的な作品を生み出す方の人を評価したいんですね。
M:よくわかりますが、実際そういう人はいるんですか?
O:ん~(笑)ま、そうは滅多にいませんね、確かに。
絵心・筆心のようなことが、奏でるという場には重要ですもんね。
M:それでは、スイートやエアロスミスのように職業作曲家に曲を作ってもらうというスタイルはどうお思いになりますか?
例えば、スイートはニッキー・チンとマイク・チャップマンというソングライティング・チームの曲を演奏して、たて続けにヒットを飛ばしました。(註:このふたりはスージー・クアトロやスモーキーなどにも曲を提供した大ヒット・メーカー。スージーの「Wild One」なんていいもんね~。チョット郁恵ちゃ

S41a5215_3んの「夏のお嬢さん」みたいだけど…)
エアロスミスも復活後は曲の提供を受けていますよね?
ロックはもうチャンとした音楽教育を受けたプロの作詞家や作曲家に「創作」の主導権を渡したらどうかと思うんですが…。
他の人が同じ曲を演らない限りは「持ち歌」ということでオリジナル・ソングになるワケですから。
O:それはまったくその通りですね。
M:曲は職業作曲が作って、あとはバンドがピロピロしようが、ドカドカやろうがそれは自由。
そこで腕自慢をすればいい。
O:わかります。
M:しかし、あのピロピロ系の方々というのは大変だと思いますよ。
「様式」にとらわれて他のことをするのが罪悪となってしまっているように見えます。
それこそが個性でもあるのかもしれませんが…。
O:最初にアレから入っちゃうとね~。抜け出すのがムズカシイのかも…。

<vol.4:最終回>につづく。

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(一部敬称略 ※協力:灘井敏彦氏)

2017年1月18日 (水)

四人囃子ニュー・アルバム発表記念 岡井大二スペシャル・インタビュー <vol.2>

昨日から岡井大二のインタビューつきで紹介している1月25日発売の四人囃子の新作『錯』。
「シンサクサク」というぐらいベテラン・ファンも初心者もサクサク聴けちゃうベスト盤。
四人囃子の世界には誰が入ってきてもいいし、誰でもそばにくれば、その素晴らしさを教えてくれる…そんなアルバムだ。

9_ 今日は2枚のCDのうち、『Studio Takes』を聴いてみよう。
鑑賞に当たっては、一昨日紹介したMarshall HEADHONESのBluetoothスピーカー、WOBURNに…

400 marantzのCDデッキをRCAで接続したセットを使用した。

Ncd_2

Bo『Studio Takes』の一曲目は、1978年の『包』収録の「Mongoloid-Trek」。
市ヶ谷の一口坂スタジオでのテスト・テイク。
いきなり脱線になってしまうが…いつも混んでる角ッコの小諸そばの交差点を降りて行った左側が一口坂スタジオだった。
私は、高崎晃さんが菅沼考三さんの『Convergence』というソロ・アルバムのレコーディングに客演した時、MarshallのJMD-1のお伴で丸一日お邪魔させて頂いたことがある。
その時、「あ~四人囃子もココでレコーディングしたのか!」と感慨にふけったのを覚えている。
レコーディングは昼頃から始まって、プレイバックをチェックする時以外、ほとんどスタジオから出てくることもなく、夜中までブっ続けで取り組んでいたにはビックリした。ものすごい集中力!(ベースはMASAKIさんだった)
その一口坂スタジオも5年前になくなってしまった。

さて、せっかくなので、このアルバムに託した大二さんの狙いにまんまと引っかかったことにして、「バンド名は知っているけど四人囃子の音楽を聴いたことがない人物」に成りきって聴いてみることにしよう。
  
ふ~ん、コレが四人囃子ってヤツか…まず普通にバンド名がいいんだよね~。でも普通に一回も曲を聴いたことがないからな…普通に楽しみだ。
ん~、ジャケットが普通にいいな~。
この曲は普通に歌がないな。四人囃子ってのは普通にインストのバンドだったのか?
なかなか普通に変わったメロディだな…普通にドラムがスゴイな。
ウワ!なんだこのキメ!普通にカッコいい!
なんだ、普通にメッチャかっこいいじゃねーの!もっと普通に聴いておけばよかったよ!
次の曲はナンダ?「カーニバルが普通にやってくるぞ」ってか?お、普通に歌入りだな?
  

Gpあ~、ダメだダメだ!ヤメヤメ!
今の若い人になったつもりでやってみたけど、満さんの「♪こわれかかった真っ赤な車に乗って」の声が聴こえた途端に顔が普通に浮かんじゃって!
とても四人囃子を初めて聴いている体の小芝居なんて普通にできない!…あ、「普通」が伝染っちゃった。
ということで「普通モード」に戻ることにする。(この「普通」は正しい使い方だ)
  

「円盤」みたいな言い回しになるが、佐藤満さんは2000年に開催した「マーシャル祭り」にご出演して頂いたことがあるのだ。
そう、この新しい四人囃子のベスト・アルバムは満さん時代のレパートリーから始まる。
ココからして今までの編集盤とは違う雰囲気満点。
『ゴールデン・ピクニックス』収録の「カーニバル」にしても満さんバージョンを持ってきたところがおもしろい。
この「カーニバル」と続く「ハレソラ」は1977年のFMの番組のスタジオ・ライブ。
アタマ3曲を満囃子で構成したのはものすごく新鮮な感じがするね。

Pjこうしたアンソロジー系のアルバムとなると、どうしても時系列を重視した曲順にすることが多いが、思いっきりタブーを破ったところがいかにも四人囃子らしくていい。
大二さんがよく口にする「エポック・メイキング」だ。
私は森園囃子も満囃子も両方大好きなので、抵抗があるどころか、むしろ大歓迎。
ところでこの音!…ナンダこれ?
昨日の記事で説明した通り、今回のアルバムは、既発の『From the Vaults』とその続編の音源をリマスターしたものが中心になっている。
リマスターのやりようでこんなに音が変わっちゃうのか~?
『From the Vaults』の発売からそう時間は経っていないのにもう技術が進歩しちゃったのかしらん?
どうして最初からこうしなかったんじゃ?!…という感じ。
私は貧乏性なのか、「音質が良くなったので同じCDを買い直す」なんてことにはほとんど興味がなくて、その分の資金があれば、一枚でも聴いたことのないCDを買いたいのね。
別に余命を宣告されているワケでは決してないんだけど、死ぬまでに一枚でも多くのいい音楽を聴きたいと思ってるの。
でも、コレはチョットそれを考え直した方がいいかも!って思っちゃったよ。
写真で言うと、以前の音はjpeg。今回の音質はRAWで撮って、明暗や彩度等を最良の手を加えて補正した感じ。
「デジタル処理」ということではまったく作業は同じか!
そうだナァ、わかりやすく言うと、メンバーが10歳ぐらい若返って演奏している感じがする。
大二さんのドラムの暴れ方が激しくなっているのもスゴイが、満さんのギターが以前のものとはゼンゼン違う!ピッキングのひとつひとつが「必殺」という感じ?

Is今回のCDの目玉のひとつでもある「おまつり」と「一触即発」は『From the Vaults 2』に収録されていた、小分けのパーツをガッツリとひとつにまとめ上げて微調整を加えたもの。
すなわち、小分けにされていたパーツを組み合わせて作ったオリジナル・バージョンの元、すなわち小分けされたパーツを聴かせてくれたのが『Vaults 2』。
今回は、また別の手法でそのパーツをつなぎ直して一編にしたということ。
あのハエ人間の映画があったじゃない?瞬間移動装置のヤツ。
人間の体を細胞まで分解して、それを別の場所に電送して組成し直すとかいう。
アレに似ていると言っていいのかな?
映画では移動中にハエが入ってしまってハラホロヒレハラになってしまう。
一方、『錯』では移動中に「岡井大二」という音楽を知り尽くした最高プロデューサーに入って頂いて、『Vaults 2』の音源より尚一層聴きやすい二編が出来上がった。
コレにも「四人囃子の音楽を普通に知らない人」にも聴いてもらいたい…という例の目論見がカラんでいる。

その他、「なすのちゃわんやき」、「泳ぐなネッシー」、Marshall GALAでも演奏してくれた(私が頼んだんだけど)「機械じかけのラム」等、各アルバムの人気曲がガチッと収録されている。
個人的には「昼下がりの熱い日」を入れてくれたのがうれしいな。この曲の満さんのソロは「ロック・ギターかくあるべし」を聴かせてくれる。
『Studio Takes』に収録された曲をアルバム別に分類すると、12曲中、森園期の曲が7曲、満期の曲が5曲。
そして、パフォーマンスというくくりで数えれば、双方6曲ずつのちょうど半々となった。
いいバランスじゃないか!
四人囃子に関する文物には、まるで枕詞のように「20歳そこそこでこんなスゴイ音楽を作っていた」という一節がいつも出てくる。
なのでMarshall Blogでは今回それを避けようと思っていたんだけれど、ここ数日この音源を聴いていて、また新しい刺激を受けちゃうとやっぱりそれに触れざるを得ないね。
今の同年齢の若い人達がやっていることを九九だとすれば、四人囃子がやったことは微積分ぐらいになるのではなかろうか?
こんなことを書いたら若いミュージシャンは「ほんとに普通にそうなのかよ!」ということになるだろう。
そう思うったら、このアルバムを聴いてみればいい。作戦は成功だ!
  
さて、大二さんのロング・インタビューの第二回目。
おかげさまで昨日の第一回目のインタビューは各方面から大好評を頂戴した。
ありがとうございました!
今日はまず、大二さんの大好きなプロコル・ハルムの話からスタートだよ!

Img_00312

プロコル・ハルムの魅力

 
M:ところで、四人囃子の皆さんはプロコル・ハルムがお好きですよね~?
結果、共演もされましたし。
O:ウン。

Img_0013M:どういうところこにシビれちゃってるんですか?
O:たぶん、ジェスロ・タルなんかも同じ理由で好きということになると思うんですけど、ボクは、一般にクラシックとかジャズのテンション・コードなんかを必死に取り入れて作ったイギリスのロックミュージックって、かえってダサく感じちゃうんです。
で、人によっては、ツェッペリンのこのフレーズだったら許せるけど、こっちはベタでイヤだとかいう部分が分かれている。
やっていることは近くてスレスレなんですよ。
イギリス特有の産物であるプログレ系とかのフレーズなんていうのは、アメリカ人からしたらベタで聴いていられないか、えらくカッコいいかのどっちかしかない。
ジェネシスなんかがまさにそうですよね。
M:童謡か~?みたいな。
O:そう。
それで話を戻すと、ボクなんかにすると、プロコル・ハルムみたいにクラシックのエレガンスさを作曲の段階でごく自然に取り入れている部分なんかがすこくカッコよく感じるんです。
M:へ~!
O:ディープ・パープルをはじめ、色んなバンドが実験的に取り組んだ、「オーケストラとの共演」とかとは違って感じた。
M:「エドモントン・シンフォニー・オーケストラ(筆者注:1972年のライブ・アルバムでプロコル・ハルムが共演したカナダのオーケストラ)」?
O:というか、オーケストラと共演するかどうかというのではなくて、曲作りなんですね。アメリカ人と

Ghは感覚が違う…当たり前だけど。
その典型例であり最高傑作が『グランド・ホテル』ですよね。
M:同感です。
『グランド・ホテル』についてはROLLYさんも先日新宿のライブハウスの楽屋で熱弁を奮っていらっしゃいましたね。
O:ああ~、そうだったね~。
それと『Thick as a Brick(ジェラルドの汚れなき世界←この邦題こそ「thick as a brick」だ!)』もそう。

M:アレのA面の最後なんか童謡ですもんね。
O:でもね、アレも和声を色々勉強した人なんかが聴くとベタで聴いていられないんですよ。

Tab

♪ダカダカダッ、ダカダカダッ、ダダダダ…。
M:(続けて歌う)チキチキチッ、チキチキチッ、チチチチ、ビョ~ン…。
O:ベタでしょ?
M:最高です。一生聴き続けるレコード。

<ここでプロコル・ハルムの「コンキスタドール」がBGMにかかる>
O:これ(「コンキスタドール」のこと)は当時、最高にカッコいいと思ったけど、今ではベタすぎちゃうな…好きだったけど。
M:で、そのプロコル・ハルムとのご共演はいかがでした?
O:アレね、最初の話しはキング・クリムゾンだったんですよ。
M:えッ!!
アレはKさんの企画ですよね?
O:そう、で、企画を持ちかけて下さった時に「観に来るお客さんがクリムゾンと囃子じゃ同じ気持ちで楽しめないような気がするんですが…」と言ったんです。
M:私はゼンゼンOKですけど!
それでどうなったんですか?

Img_0234O:「それじゃ、誰だったら一緒に演れる感じなんですか?」とKさんが訊くので、「ん~、プロコル・ハルムだったらシャレになるかな?」と答えたんです。
「じゃ、呼んじゃおうか?」となった。
M:ギャハハ、「シャレ」?!
O:そう!
それでしばらくしてKさんから連絡があって、「岡井さん、プロコル・ハルム呼んだからね!ちゃんとやってくださいよ!」って。
M:え~!それでキマったんですか?! いかにもKさんらしい!
Kさんって私の大学の先輩なんですよ。
それで、あの時、ギターでジェフ・ホワイトホーンもやって来た!
日本酒を持って会いに行きました。
2003年か…もうずいぶん昔の話になりましたね。
今は無き厚生年金の楽屋の廊下で恐る恐る大二さんとお話させて頂いたのをハッキリと覚えていますよ!
O;そんな!ウシさんがボクに恐る恐る話していたことなんてあったっけ?!
M:今でこそこんな感じですけど、最初の頃はビビってましたよ!
O:そうだったかな~?
M:だって相手は「岡井大二」ですからね!
イカン!案の定、話が大分脱線してしまいました!

 

大二さんのロック体験

M:その頃の洋楽はどういう感じだったんですか?
O:はい、それでボクらの当時の状況をもう少し詳しく話すと、やっぱり我々もずいぶん音楽の雑誌を読みましたが、今にして思うとその情報って正直、全然アテにならなかったんです。
ファー・イーストの国に入ってくるのは抜粋して限られた情報で、それが記事になっていたんですね。
M:そうだったらしいですね。
O:さっき、「日本の音楽の状況は10年遅れている」と言いましたが、ボクらが中学、高校の時は1960年代の後半になるんですね。
M:よさそうな時代!
O:1960年代の後半と言うのは…一番わかりやすく言うと、1967年のビートルズの『サージェン

Sgtト・ペパーズ』の前後という時期なんです。
大ゲサに言うと、ポップ・ミュージック・シーンにおいては世界的に明治維新よりゼンゼン大きな出来事が起こってしまったワケ。
時代背景がまずあるのですが、世界の世相。そこから哲学も文学も急進していて、あらゆるものが変わりました。
M:私、5歳でした。「サージェント前後論」というのはよく耳にしますが、本当にそうだったんですか?
O:当然音楽もまったくそこから変わるんです。
例えば曲作り、アレンジ、録音技術、ファッション…そもそもラブソングではない曲がヒットするということはそれ以前には、ほぼあり得なかったんです。
M:ある時に気が付いたんですが、ロック史に燦然と輝く『サージェント』って意外に8ビートの曲って少ないんですよね。
O:うん、意外にハネてるのが多い。
M:矛盾していませんかね?4ビートの曲が多いアルバムがロックの歴史を変えたなんて…。
O:近田(春夫)君もそれを言っていましたね。
近田君は「みんなスゴイって言っているけど、オレはいまいち好きじゃない。♪ツッチャツッチャが多いんだよね~」って言い方でしたけど。
M:ハハハ!「♪ツッチャ、ツッチャ」っていうのがいいな!
O:ま、それは曲のタイプの話ですよね。そういう曲が多いということ。
で、『サージェント』というアルバムが総合的な仕上がりと結果的に成し得てしまったことは前人未到で、どうしようもないぐらい大きなことだったんです。
M:やっぱりお兄さんがレコードを買って帰ってきたとか?
O:イヤ、『サージェント』の頃はもう自分で買っていましたね。
M:『サージェント・ペパーズ』がある日新譜として発売されて、それをレコード屋に買いに行くっていうことにどうも実感がわきません!
O:友達と分担して別のレコードを買って貸し借りしたものです。
今でも同窓会ではそんな話で盛り上がりますよ!

 

ビートルズのすごさ

M:ビートルズの曲って、歌詞の意味がダイレクトでわかって、そして歌ってみるところに大きな楽しみがあると思っているんです。実際に歌詞を口にしてあのメロディに乗っけるとすごく気持ちがいい。
そういうところも受けたんだろうなって思います。あ、日本の話じゃないですよ。
O:それもあるでしょうね。
ボクはね、少年時代は少なくともビートルズ派じゃなかったんですよ!男の子だから。
キャーキャー言われているモノよりも、「やっぱりサ~、ストーンズ、ヤードバーズ、スペンサー・デイヴィス・グループだよね~!」って感じ…シャドウズ、デイヴ・クラーク・ファイブから入ったクセに!
M:大二さんってヴェンチャーズじゃなくて、シャドウズ派なんですよね。いつかクロコダイルで

Img_0559Charさんとそんなお話をされていた。
O:そうなんです。
で、あの頃は男の子と女の子の好みがハッキリ分かれていた。
ビートルズは海外から入って来たとびっきりのアイドルでしたからね。
M:我々の世代はクイーンが女の子、キッスが男の子かな?いずれにしても古くなりましたね!

O:ボクはビートルズに命をかけてきた熱心なマニアではまったくないんです。
でも、ビートルズについて考えてみると、録音技術にしても、ポップスでこんな曲が作れちゃうんだ!という曲作りにしても、まわりのスタッフも含めて、ビートルズというのはファウンダー的作業のとんでもない重なりでできているんですね。
まさしくエポックメイキングで。

Img_0019M:「史上初の…」づくしですね?
O:そういうことです。
曲作りについてはあらゆる作曲家が、感覚オンリーで作曲しているジョン・レノンとポール・マッカートニーって何てスゴイんだって言っていますよね?
それからほんのチョット後のエルトン・ジョンとかの世代になると音楽の知識やクオリティも上がって、ピアノから曲を作ったりするワケですが、ビートルズは本当にほぼ「感覚」だけで作曲してるワケです。
リバプールの田舎の青年たちがですよ!
元はただの「あこがれ」だったのに。
M:『ビートルズ・アンソロジー』かな?ポールが「From me to you」だったと思いますが、サビのコードを発見して時はうれしかった…なんて言っていますもんね。
「発見」ですから!
O:たった何年かの間にあれだけのメロディを作ったことは、誰がどう考えても彼らは異常なまでの天才なんですよ。
で、彼らが目指した曲も演奏も、彼らにとっては「コレが画期的というもんだ!」なんてことはなかったんですね。
ただただ、やりたいことをやっただけ。
それなのに世界中で色んなもののパロディの対象になるほど行き渡ってしまったのは、ファウンダーとしてのオリジナリティがあまりにも詰め込まれ過ぎてるんです。
M:そうか…。
そうやって指摘されないと、当たり前すぎてただただ「いいな~」で終わっちゃいます。
O:トータル・アルバムなんてモノを考えたり、演奏不可能なアレンジで曲を作ったり、そういうことをするためのプロデューサーやエンジニアとの関係までも作った。
で、『リボルバー』あたりからドンドンおかしくなっていった…ホントは『ラバー・ソウル』あたりからなんですが…。
M:『ラバー・ソウル』は本当に素晴らしい!
O:『リボルバー』と『サージェント・ペパーズ』の前に「ストロベリー・フィールズ/ペニー・レイン」のシングル盤があって…。
ココで一番最初のボクの話に戻ると、当時の日本の少年からすると、やれビートルズがヒゲを生やしてトータル・アルバムなんてのを作るは、やれジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスなんてバンドが出て来るわ…あのヤードバーズにいたギターのウマいエリック・クラプトンが始めたバンドは「ブルース・ロック」とか言うらしい。…さらにアート・ロックなんてのも出て来るし…。
そういうのがいきなり1966~1967年のたった2年の間に出て来ちゃったんです。
M:すごい時代ですよね!まさに百花繚乱!いいな~!
O:そこでビートルズ以外のアイドルのバンドは、わがデイヴ・クラーク・ファイブを含めてみんないきなり消えていっちゃうんです。

S41a0871ホンの1~2年の間にガラッと入れ替わっちゃった。
M:私はデイヴ・クラーク・ファイブって聴いて来なかったんですが、大二さんがお好きなのを知っていて、このインタビューのために色々と聴いてみたんですが、メッチャかっこいいですよね!
O:そうでしょ?!
ちょっとデイヴ・クラーク・ファイブのことをしゃべらせてもらうと…彼らのスゴイところは、当時イギリスではビートルズ全盛だったでしょ?
だからビートルズの先輩でも後輩でもみんなマージー・ビートっぽいものを強制的に演らされたんですね。
でも、デイヴ・クラーク・ファイブだけは一切ビートルズ・サウンドに関係しなかったんです。
M:へ~。チョット黒っぽくて…声もすごくカッコいいですもんね。
O:歌もうまいし、とにかくアカ抜けてた。
M:ロンドンのバンドですよね?
O:そうです。無理です…当時ああいうサウンドが作れるのはロンドンのバンドじゃないと無理だった…無理だったはずです。
M:それにしてもですよ、私がロックを聴き始めたのはビートルズが解散して5年後ぐらいの時分からだったんですが、それでも、「ストロベリー・フィールズ」なんかも先に「名曲」と刷り込まれて「フムフム、これが名曲か…」となるワケです。ゼンゼン後追いの状態。
そこへ行くと大二さんの世代の方々は「今度のビートルズの新曲って『ストロベリーなんとか』だってよ!食べ物の歌かな?」なんて言ってレコードを買いにいらしたワケでしょ?
O:そうですね。
M:それで、買って帰って来てさっそく聴くと、あのメロトロンの「♪ホエ、ホエ、ホエ」って今まで耳にしたことがないような妙に元気がない音が飛び出して来る。
こういうのってどうだったんですか?
O:まったくわかんないですよ!「なんじゃこれ!?」です。でもとにかくワクワクする。

<vol.3>につづく。明日はインタビューお休み。<vol.3>は来週の掲載となる予定です。

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(一部敬称略)

2017年1月17日 (火)

四人囃子ニュー・アルバム発表記念 岡井大二スペシャル・インタビュー <vol.1>

2017年1月25日、四人囃子のニュー・アルバムがリリースされる。
タイトルは『四人囃子 ANTHOLOGY~錯~』。
「錯」…何かPink Floydのアルバムのタイトルみたいだね。
毎年、年末に京都の清水寺のお坊さんが「今年の漢字」なんてやっているけど、四人囃子の場合だと「錯」になるのか…。
レコード会社の解説によると、「多くのメンバーの変遷を経て、アメーバのごとくその音楽性を変容させていった四人囃子のバンド・カラーを代表するイメージ」を漢字一字で表現したのだそうだ。
私だったら「金」てつけるな。
値千金の「金」…奇しくも2016年の清水寺の漢字と重なった。
  
アルバムは『Studio Takes』と『Live Takes』からなるCDが2枚と、2008年のコンサートを中心に収録したDVDが1枚という構成だ。
ウ~ム、まずジャケットがいい。
そもそも四人囃子は『一触即発』、『ゴールデン・ピクニックス』、『包』等、ジャケットがとてもヨカッタもんね。
9_CDは2001年にリリースされた未発表音源集、『From the Vaults』と『From the Vaults 2』から選ばれた曲にリマスタリングを施したトラックと、『Studio Takes』の方には岡井大二監修のもと、「一触即発」や「おまつり」のオルタネイティブ・バージョンが今回初めてCDに収録される。
当時、Frank Zappaのように頻繁にアレンジを変えていた四人囃子のオルタネイティブ・バージョンは大歓迎だ。
下がその『From the Vaults』と『From the Vaults 2』。
左は特典のボーナスCD。1974年の中野公会堂での「Cymbaline」と1976年、渋谷公会堂でのZappaの「Overture to a Holiday in Berlin」が収録されている。
残念ながら現在は絶版になっていて入手困難なのだそうだ。
ダメよ~、ダメダメ、そういうことをしちゃ。

9_img_0467私が持っている『2』には2010年に日比谷野音で開催された「プログレッシブ・ロック・フェス」の時に頂いた大二さん、森さん、佐久間さん、坂下さんのサインが入っているのよ。

Img_00182 『2』はもう一部持っていて、大二さんから頂戴した「Thank You!! ウシさん!!」のサインが入ったバージョン。ウチの宝物だ。
自慢コーナー終わり。

9_img_0470_2もう少しこの『錯』について記す。
大二さんとレコード会社のインタビューによれば、年齢やバンドの状態を鑑みて、メンバーが直接関わって音源を出すという形はこれが最後になるのではないか…という。
そんな…寂しいこと言わないで~!
佐久間さんに対しての追悼ができていないことが、ずっと大二さんの心残りだったという。その気持ちを込めた作品でもあるのだそうだ。
そして、大二さんの気持ちとしては、「四人囃子という名前は聞いたことがあっても、実際の音楽を聴いたことがない」という人たちに手軽に聴いてもらいたい…ということを意識したそうだ。
私ですら現役当時の四人囃子は見たことがないため、昔からの熱心なファンの前では決して大きな声では言えないが、今回のこのアルバム、すごくよくできていると思った。
大二さんがこだわったという選曲や曲順への配慮が手に取るようにわかる。
その配慮が奏功して、まるで新録のニュー・アルバムのように聴こえるのだ。
まさに「anthorogy(選集、名曲集)」というタイトルに偽りのない良質なベスト・アルバムに仕上がっていると思う。
  
さて、Marshall Blogでは、このアルバムの発売を記念し、CDの紹介を交えながら、大二さんのスペシャル・ロング・インタビューを今日から4回にわたって掲載する。
実はこれから皆さんに読んで頂くロング・インタビューは、今回のアルバムとまったく関係のない環境で行われた。
平たく言えば、だいぶ前に実施したインタビューということ。
したがって、インタビュー中に『錯』の話題はツユほども出てこない。
では、何だってMarshall Blogでそんなインタビューをしたのかと言うと、チョー大ゲサに言えば、日本のロックの揺籃期から現在に至るまで、実際にその変遷を体験した方のお言葉を半永久的に記録しておきたかったのだ。
とは言ってもそこはMarshall Blogのこと、固っ苦しい話は抜きで、日ごろから私が知りたいと思っていた昔の日本ロックの状況を興味本位で大二さんから聞き出した…と思って読んで頂ければそれでOK。
ただ、若いミュージシャンを指導している立場にいらっしゃるような方々、また、お子さんがロックに興味を持っているようなロック好きのご両親には、内容に満足がいけばゼヒ若い人たちに読むようにご指導頂きたいと願っている。
実際に大二さんと同じ時代を体験した方が懐かしんで読んで頂くのももちろん大歓迎だが、若い人たちに読んで頂き、少しでも元来あったロックの姿を知っておいてもらいたいと思うのだ。
それで、もしこのインタビューを読んで昔のロックに興味を持ったなら、それこそ今回の四人囃子のアルバムを聴いてみるもよし、ビートルズに興味を持つもよし、あるいはデイヴ・クラーク・ファイブでもよし、そこから始まる音楽の無限のよろこびと楽しさ、そしてカッコよさを知ってもらいたい。
若い人たちはまだ何も知らない。
  
ところで、どうしてドラマーの大二さんがMarshall Blogかと言えば~、そう、大二さんはMarshallのドラム・ブランドNATALのエンドーサー(正確にはエンドーシー)なのであ~る!

Img_0415 インタビューに際しては大二さんに拙宅にご足労頂き、アルコールをチビチビ摂取しながら行われた。
肴は刺身。ワザワザちょいと足を延ばして買い出しに行ってきた。
マグロは天然。おいしかった~!
なんてことはどうでもいいか。
何しろ、後半ではインタビュアーの私もスッカリいい気分になっちゃって、後で録音した会話を聴いて恥ずかしくなってしまった!そもそも笑い声で言葉が聞き取れない箇所があったぐらいだった。
そんな雰囲気の中でのインタビュー、はじまりはじまり~。
養殖ではない、天然のロックの時代のお話をお楽しみあれ。

  

日本のロックの今

Marshall(以下「M」):大二さん、お忙しいところ本日はどうもありがとうございます。よろしくお願いします。
岡井大二(以下「O」):いいえ!こちらこそよろしくお願いします。
M:ではさっそく…日本におけるロックを取り巻く環境が我々の頃と大きく変わって久しいですよね。
O:日本だけでなく、海外でも状況は同じですね。
M:最近の日本の若い人たちは、「ビートルズを知らない」ということが普通になってきているみたいですね。

Img_0017O:アノですね、ロックとかポップスとかに興味を持って、そういうものを好んで聴いている以上、好きとか嫌いとかいうことは別にして、まさか「ビートルズを知らない人がいる」ということは日本ならではの現象なのではないでしょうか?
イギリスは母国ですから別にして、アメリカではあり得ないことだったはず…ところが日本ではあり得ているんですよね!しかも、とっくに!

M:そう「とっくに」です。
O:2000年以降、ビートルズを知らないポピュラーミュージック界の音楽人が確かにイッパイ出て来てしまっているらしい。
で、それは果たして「世代の違い」とかいうことだけで済む話なのかな?…と思っちゃいます。
M:私もまったくそう思います。
私はイギリスへ行く機会が比較的多く、現地ではいまだにビートルズのスゴさを肌で感じる部分があって…。
とにかく日本人の音楽に対する姿勢が欧米とはまったく違うということをいつも思い知らされます。向こうの人たちは子供から大人まで本当に音楽を日常的によく聴いていて、またよく知っている。
O:私はアメリカ人になりたい…とか、イギリス人になりたい…とか、そういう憧れはまったくないんです。日本人としての誇りも持っていますから。
ですけど、たまたま興味を持って好きになっちゃった「音楽」に関してだけは別ですね。

Img_0054野球で言えば、頂点を目指したい人がいれば、今の段階ではメジャーリーグを目指すしかないでしょ?
それと同じで、ポップ・ミュージックに関して言えば、質の高さ、レンジの広さ、ディープさ…いろんな点において、日本は海外の音楽事情にいまだに多くの事柄で追いついていないと正直思うんです。
そんな状態にもかかわらず、世間全体で音楽に集まる興味が年々薄れているのは、ナンダかなあと思いますね。
M:興味が薄れているというより、ロック系の音楽に関して言えば、「J-POP」という新しいカテゴリーを作り、すべてそこに押し込んでしまって、みんな黙ってそれだけ聴いているような…。「洋楽なんかもう要らない!」という「鎖国状態」と言うと大ゲサですけど…そんな感じ?
それは島国特有のキャラクターなのかな~?
イギリスも島国ですが、ゼンゼン違う感じがする。
アソコではどんな田舎のパブでも金曜日と土曜日の夜には地元のバンドが登場して、レッド・ツェッペリンやザ・フーの名曲をお客さんと一緒に歌う。
それを見ていて、同じ島国でも音楽のあり方が日本とすごく違うのを実感しました。
連中は英語で歌えるから…というのは抜きにしてです。
だってツェッペリンの曲にしたって「Rock and Roll」みたいなスタンダードなんかじゃなくて、「Rumble On」とかを演っちゃうんですよ!
本物だってライブでほとんど演らなかったのに!
レッド・ツェッペリンが一般の人の日ごろの生活の中にある感じがしましたね。
ザ・フーにしても「The Seeker」とかを演っておじさん、おばさんが大合唱してる。

S41a9546O:いいなあ~。
M;土台、あの音楽は連中のモノですからね。
加えて、ロックが大人のためのものという部分が残っているように感じます。イヤ、残されている…というのかな?
そこへ行くと、今この国の「ロック」と呼ばれているモノはあまりにもお子様向けになってしまっていると思います。
O:「売上」ということだけでなく…、世間の「評判指数」とでも言いましょうか…。
いわゆる評価っていうモノが売上の高いアーティストの所に何でもかんでも集まり過ぎちゃって、「たまには音楽でも」という感じの人達から見たミュージック・シーンのイメージを作っているんですよね。
M:はい。それで更にみんなそれのマネをして終わっちゃう。
O:実際、世界的にはインディーズとか自主制作でワールド・ワイドに活動している人もいるじゃないですか。それも新世代、かつディープでなかなかいいものを作っている人もいるんです。
で、日本にもそういう人たちはいて、まったくいなくなったワケでは決してない。
でも、さっきの「評判指数」の高い人の音楽は「大人向けでない」というか、面と向かってジックリ相対して楽しむための音楽とは思えないものが多いのは確かですよね。

 

昔のロック・シーン

M: 公私混同かも知れませんが、今日、大二さんから正式に歴史的なお話をうかがうのをとても楽しみにしていました。
まず、四人囃子がデビューした頃の日本のロック界とかその周辺のお話を聞かせていただけますか?
O:まず、自論かもしれないけど、知っておいて欲しい「時代の背景」というものがあるんですね。
それは、当時、アメリカやイギリスと日本では音楽シーンの状況にキッパリ10年の時差があったということです。
M:10年も?
O:例えば、1955年がロックンロールの始まりと言うことになっていますよね?
M:「Rock Around the Clock」。
O:そうです。
そのあたりからビートルズが出て来るまでの10年間…ビートルズがアメリカに進出を果たしたのは1964年ですから…それまでのその約10年は「評判指数」のトップが エルヴィス・プレスリー の時代だったんです。彼の人生を総括した場合、最終的には「偉大なキング・オブ・芸能人」として殿堂入りしているワケです。
Img_0014その後、ブリティッシュ・インヴェイジョンでビートルズの時代が来ますよね。
プレスリーと何が違ったかと言うと、「オリジナル曲」の存在の有無なんですね。
プレスリーは職業作曲家が作った曲を歌う「芸能人」としての歌手でした。
それが、ブリティッシュ・インヴェイジョンをキッカケに自分たちの「創作物」を売る時代になった。
ビートルズの世代というのはストーンズにしても、ジミ・ヘンドリックスにしても、レッド・ツェッペリンにしても、1940年代生まれの人たちなんです。
それで、ボクは昭和28年ですから1953年の生まれで、ポスト団塊世代のアタマの世代なんですね。
日本のポップスとロック音楽シーンにおいて、ボクらの前の世代はグループ・サウンズの方々なんです。
先輩達は人気者となり、レコードやTV出演などの場では世間の「評判指数」の高い音楽を演った。
でもその裏では自分達が本当にやりたい音楽スタイルを色々と見せてくれたんです。
M:なるほど。
O:それとGS旋風の前のソロ歌手時代は、主にアメリカのポップスの焼き直しが若い世代向けのヒット・ソングスだったんです。
そういうソロ歌手からウエスタン・カーニバルを経て、グループ・サウンズへとつながっていった。
まず、そういう流れがあって、そこまでは「芸能界」の時代だったんです。
M:日劇何周の頃ですね?
O:そう。
そして、その後が僕らの世代なんですよ…ボクらの世代からオリジナル曲が中心になる時代に入るんです。
自分たちで曲を作って、それをどう演奏して、どう発表するか…ということをやるようになった。
そして、それがレコード・デビューする時の「カギ」になってきた。
M:大きな変化ですよね?
O:はい。
また聴く側にも変化が表れて、「この人、この連中はどういう音楽を演っているのか?」ということが興味の対象になっていったんですね。
顔を知らなくても、「聴こえてくるモノ」で興味の対象を選ぶというように変わってきた。
M:演る方も聴く方も独自性が出てきた時代?
O:そういうことですね。
で、ボクらは大方1950年代生まれのミュージシャンですよね?
そうすると…ホラ、ね?
向こうとキッチリ10年違っているんです。
M:ホントだ…。ビートルズと10年のズレ。
O:でしょ?

Img_0232そして、この図式がそのままズレて続いて行くんです。
我々の先輩たちは「本当はこういう音楽をやりたい」とか「本当はこういう音楽が得意なんだけど」という自分たちの理想の音楽を表立ってはできないので、ライブハウスなどの比較的裏のシチュエーションで演っていた。
当時は「ゴーゴー・クラブ」って呼んでいたりしたんですが…。
M:たとえば?どんな曲が取り上げられていたんでしょうか?
O:ストーンズをやったり、アニマルズをやったり…。
で、ボクらはそういう先輩たちの演奏にあこがれていたんですが、どんどん音楽の状況が変わっていく中で、ボクらは「次世代」というような強い意識もあったんです。
M:その当時の「次世代」ね。
O:もちろん。
要するに、洋楽をマネたにしても、それを更に発展させたものを作りたいと思ったんです。
批判されようが、「ダサい!」と言われようが、とにかく「オリジナル曲」という自分たちの「創作物」を世に出したかった。
ボクらがそういう志向の始まり世代に当たるんですね。
結果、日本の音楽シーンもポップスやロックの本場の国から10年ズレていることになるんです。M:確かにそういうことになりますね~。
O:そこから始まったんですね。
まあ、大ゲサに言うと、世界的に見れば「ビートルズ世代」っていうのが「次世代」の人で、日本においては、ジャンルを問わずに物作り・曲作り・スタイル作りが活動の前提になってくる「ボクらの世代」がそれにあたるんですね。

S41a0142M:「ボクら」の「ら」とおっしゃいますと?
O:バンド・スタイルのアーティストだけで言っても、はっぴいえんど、フラワー・トラベリン・バンド等の先輩バンドを始め、ミカ・バンド、クリエーション、OZ、シュガー・ベイブ、ムーン・ライダース…とにかく続々と出てきました。
キャロルはあのロックンロールのスタイルで出て来たし、一方ではウエスト・ロード・ブルース・バンドみたいなのもいました。
ホントのブルースのマニアですからねね。
M:「マディ・ウォーターズ命」みたいな。
O:「好き」だけでは済まない。
追求度がハンパない。もう洋楽に聴こえてましたもんね。
素晴らしかった。
M:ホトケさんの声と歌、メッチャかっこいいですもんね!
O:でもね、ウエストの連中と話をすると、「お前らは好きにオリジナルを作っ分だけ自由に演れたんだよ」…なんて話してくれたこともありました。
M:それは「ブルース・スタイル」…という枠の制限という意味ですか?
O:だと思います。
その他にもスモーキー・メディスンが出て来て、その後バックス・バニーでしょ。
センチメンタル・シティ・ロマンスもそうだし、そんな中でボクらもオリジナル曲でデビュー・アルバムを出したワケです。

  

ロックのレコード・ビジネス

M:で、四人囃子は「自由が利きそうだ」ということで東宝レコードを選んで『二十歳の原点』とバーターで『一触即発』を制作した…という話は以前にもうかがっていますが、果たしてその時代、レコード会社は『一触即発』のような作品が世間で受け入れられると思っていたのでしょうか?
O:そこはまず…聞いてビックリするかもしれませんが、そもそもビートルズとヴェンチャーズこそ日本でも枚数が出て、レコード会社としてのビジネスが成立していましたが、その他はですね…「まさか!」というぐらいに、まだその頃は日本国内では枚数が出ていないという時代なんですよ。
M:なるほど…。

S41a5219O:ローリング・ストーンズにおいては、かわいそうに…キング・レコードはロンドン・レーベル時代のストーンズのアルバムでは、それほど商売になっていないと思います。
M:初期の全盛期なのに!
O:ワーナーに移って『山羊の頭のスープ』の「アンジー」でやっと日本でもストーンズが商売になり出したんです。
そういう意味ではツェッペリンの方が全然ビジネスになっていたんじゃないかな?
M:レコード業界に深い関係をお持ちになる、日本を代表するレコード・コレクターの方からお聞きしたのですが、当時レコード会社の稼ぎ頭は、圧倒的にヴェンチャーズだったそうです。
ビートルズももちろん強かったけど、ヴェンチャーズの比ではなかったらしい。
O:そうでしょうね。全国津々浦々ということでいえばヴェンチャーズの方が全然上だったに違いない。
M:ストーンズですら「アンジー」までは商売にならなかった…というのはやはりそれが「ロック」だったから?つまり歌謡曲とは全然違うということ?
O:まあ、そういうことになると思います。「ロック」というものがまだ定着していなかった。
M:まだロックと歌謡曲がまったく分かれていた時代ですよね?
O:そうなんですが、実は、70年代に入ると、日本の音楽市場に歌謡曲に分類されない新しい息吹が既に生まれているんです。
M:え、それは何ですか?
O:それは日本のフォークなんです。
M:あ、フォークか!
O:ボクは本当はフォークかロックかは、サウンドのスタイルで分かれるようなものではないと思っています。
でも、とりあえず日本では「フォーク系」とか「ロック系」のジャンル分けがあって、日本中の若者に日本のフォークが届き始めていて、レコード会社は既に大きな手応えを感じていたんですね。
M:社会的な背景もありましたもんね。
O:そうです。
そして、そこへ更に加わりそうなものとして 「日本のロック」 が登場してきました。
だから最初のウシさんの質問に答えると、四人囃子がレコード会社にどう受け止められていたかというのは、「新たな市場とジャンルが作られつつある、だったらそこは早めに手を出しておこう!」…ということだったのだと思います。
そしてレコード会社のスタッフもフォーク、ロックの息吹真っ只中の人達がこぞって入社している時代になっていたんですね。
M:実体験を経た方のお言葉をこうしてお聞きすると本当に「日本のロックが動き出してきた!」という感じがしてきますよ!

 

日本人とブルース

M:日本の場合、イギリスのようにブルースのムーブメントみたいなものがありませんでした。
イギリスのロックの動きを俯瞰して日本と照らし合わせると、そのブルース体験の欠落が今の日本のロックをある意味、四面楚歌にしてしまっていると私は思っているんです。
イギリスはそういう歴史的な下地があるので、いつでも先祖返りしてマーケットに熱湯を注ぐことができる。
ま、どうも今ではそれがすぐにぬるくなっちゃうようですけど…。
O:ウン。
ブルースって、例えばロバート・ジョンソンなんかは1930年代の人ですよね。30年代の音楽。
でも、アメリカにおいてですらブルースがポピュラーなシーンに根付いたのは50年代なんですよね。
今で言う有名な人たちの大半が50年代以降に名前が知れ渡った。チャック・ベリーやファッツ・ドミノとかと一緒のムーヴメントで出てきた…というのも、1955年にやっとアメリカで黒人の音楽が放送されるようになったから。
それまでは生粋の黒人の音楽と言えるものは公共の電波に乗せてもらえなかった。

M:40年代は、シナトラとかビング・クロスビーがアイドルだったワケですからね。

Img_0294_2O:そう。
ではロバート・ジョンソンの30年代のアメリカがどうだったかと言うと、グレン・ミラー楽団のようなスウィング・ジャズ・オーケストラによる高度なダンス・ミュージックの時代ですよね。
M:エリントンでもベイシーでも踊るためのジャズでしたからね。観賞用の音楽ではなかった。

O:ですよね。
で、いま我々が話しをしようとしているタイプのブルースはどうだったかというと、ジャズでも「ブルース」という形式はあったにしても、根っこの「ブルース」という音楽自体は、ローカルにそれぞれのエリアで恵まれない黒人が演っていたというレベルで、国全土に響き渡るような一般的なものでは決してなかった。
M:グレン・ミラーの「In the Mood」とか「Pennsylvania 65000」とかの大ヒット曲は普通のブルース形式でできているのに!
O:一方では近代クラシックや映画音楽なんかも含めて、1900年代に入ってから更に音楽はもうとんでもなく進化しちゃった。
その後、やっと黒人音楽が表に出て来てブルースも耳にするようになるんですけど、第二次世界大戦の間に米軍兵の手によってアメリカのレコードがイギリスに渡った。
それがイギリスの新たなミュージシャンを生んで、そこでブルースが根付いた。
R&Bなんかもそう。なぜイギリスにそういうブルース系の音楽の下地があるかというと、アメリカ軍が駐留したせいなんですよね。
M:そうだ!
O:そこで、日本のことを考えてみると「日本は10年ズレ状態」ですよね?
日本にとって多くの場合のブルースはエリック・クラプトンに代表されるような「ブルー・アイド・ブルース」なんです。
M:いわゆる「ブルース・ロック」ですよね?
少なくともイギリスにおけるロニー・ドネガンの「Rock Island Line」のような現象とは違う。英米の大分後追いの現象。
O:そうそう。
「ブルース・ロック」なんです。日本の若者が60年代、70年代にロックムーブメントと同時に好きになったスタイルのブルースは「ブルース・ロック」だったんです。
M:すごくよくわかる。

Img_0065O:それで、その頃ブリティッシュ・インヴェイジョンを成し遂げた以後のイギリスはどうなったかというと、独自で独特の進化を急速に遂げていったワケ。
で更に、クラプトンはアメリカの土臭い音楽に心頭していって、ジェフ・ベックはブルース・スタイルかどうかよりもエレクトリック・ギターの可能性を追求したし、ジミー・ペイジはレッド・ツェッペリンという音楽を作った。
ボクはレッド・ツェッペリンってのは究極のプログレッシブ・ロック・バンドなんじゃないかな…って考えてたりするんです。ある意味で、プロコル・ハルムやジェスロ・タルなんかもそう。
だから、イギリスでブルースが本当に若者の人気の的とされていたのは60年代のある時期だけなんだと思うんですよね。
M:でも、「ブルース」が「ブルース」として入ってきたところが日本とゼンゼン違う。
O:うん、キッカケが本当のブルースだったんですね、イギリスの場合は。日本は「ブルースの二世」から始まっている。
M:モノマネのモノマネから始まった。
O:そうなると思います。
M:モノマネのモノマネはくみしやすいですからね。

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<vol.2>につづく

2016年6月30日 (木)

KRUBERABLINKAニュー・アルバム発売!~先行レコ発Rock Show☆

TAGAWAのニュー・アルバムが発売となったことをレポートしたが、実は昨日、もう一枚重要なアルバムが世に送り出された。
送り主は赤尾和重率いるKRUBERABLINKA。
Marshall Blogには久々の登場となる。
今日のMarshall Blogはそのアルバムの紹介とレコ発ライブのレポートで構成する。

Img_0031

これがそのニュー・アルバム『Conicalify』。
くどいようだが、昨日発売となった出来たてのホヤホヤだ。
あ~、辞書を引いてもダメダメ。
「conicarify」という言葉は世の中にない。
では、ナニか?
よく道路工事の現場に赤い三角のヤツが置いてあるでしょ?
アレ、「コーン」というじゃない?「円錐」という意味。
だから「とんがりコーン」というのは「とうもろこし」と「円錐形」のダブル・ミーニングになってる。
で、coneの形容詞、すなわち「円錐形の」という意味の単語は「conic」。
タイトルは「conicalify」…「-fy」というのは動詞だ。
でも、この単語に「円錐形にする」という動詞はない。
そこで和重さんが「Conicalify」という言葉を作っちゃった。
このバンドは、歌詞はもちろんのこと、『Kaizu』とか『Blanko』とか、言語に対する感覚が独特だ。
今回、メタリックなアルバムにするつもりで、曲が出来る前からこのタイトルを考えていたそうだ。
和重さんにとって「メタル」のイメージは、「コニカル・スタッズ」。革ジャンやらリスト・バンドにひっついてる円錐状の金属の鋲。
今までは、メロン、キウイ、夜光虫、ピエロ…と命のあるものをテーマにすることが多かったが、今作は「円錐」を無機質なモノと捉え、KRUBERABLINKAの新境地を見出だそうとしている。
で、ただの「cone」や「conical」では味気ないので仮想の動詞をクリエイトしたというワケ。
キモは「オラオラ、トンガって行くで~!」ということだ。
そんな和重さんの思惑通り、どの曲にも他では決して聴くことのできないKRUBERABLINKAの創造的な音世界が広がっている。
ベテラン勢のこうしたオリジナル・レパートリーは大歓迎だ。まちがいなくConicalified!

550cd

個人的にうれしいのは裏ジャケとスリーブ内側の写真。
私めが撮ったものをご採用頂いた。NATALもバッチリ写ってる。
写真に関して、いつも和重さんからはもったいないぐらいのお褒めの言葉を頂戴するが、ナンノナンノ!これは完全に被写体がいいからなのです。
信念を持って命をかけて自分の音楽を成就させんと、もがき苦しんでいるようなアーティストは得てしてイイのが撮れるものだのだ。

1_img_0423_2 ここから先は5月に開催されたレコ発ライブのレポート。
実は、今回もがき苦しんだのは私の方でしてね。
何しろ暗かった~!
そのあたり割り引いてこの先読んでね。
会場は四谷三丁目の「ソケーズ。ロック(Sokehs Rock)」。
一体、何年ぶりに来たかな?
私、中学の時に「鼠径ヘルニア」を患ったことがありましてね…この店の名前を耳にするとどうもあの時のこと思い出しちゃうんだな。
「ソケース・ロック」とはミクロネシアのポンペイ島にある玄武岩でできた岩山で、その地区の大水を止めたという伝説が残っているらしい。
もちろん写真で見ただけだが、ビックリものの美しい景観だ。
お店はそこから名付けられたそうだ。

オープナーはセカンド・アルバムのタイトル・チューン「海図」。

20

赤尾和重

30v鈴木広美

40v鎌田 学

60v
泉谷 賢

50vそうか、言われてみると、コレって初の東京でのワンマン・コンサートなんだね。
おめでとうKRUBERABLINKA!

70続けて「Mandarin」という曲。
相変わらずのド迫力なお声と素晴らしい歌いまわし!
そんじょそこらの楽器じゃこのヴォイスをサポートできゃしない…ということで…

80v広美さんはMarshall。

90vJVM210Hと1936。
1960を使わなかったのは店のスペースを考慮してのこと。

100v鎌田さんはEDENの上下。

110WT-800とD410XLTだ。

120vとくれば当然ドラムはNATAL。

130v12"、13"、16"、24"のメイプル。
フィニッシュはシルバー・スパークル。

140「私、Marshall大スキなんですよ!」…と、実際に和重さんがステージでこれらのバックラインを紹介してくれた。

150_zs3曲目は「Zulu Suit」。
「♪ズ~ル~」の響きが耳に残るセカンド・アルバム『Kaizu』収録のノリのいいナンバー。

160v鎌田さんのベース・ソロもフィーチュア!

170v正統的なプレイで存在感満点のベースだ!

175_bsolo


〜MC
⑦Blanko (with solos ver,)

江戸川乱歩のようなタイトルの「夜光虫」は前作『Blanko』に入っている超シットリのバラード。

180_yc鎌田さんはフレットレスに持ち換え。
懐かしいナァ、MODULUS。
私、サウンフランシスコの工場に二度ほど行ったことがあるんよ。
その時の社長とは今でも大の仲良しだ。
初めて行った時、近所の比較的高級なレストランに連れて行ってもらったんだけど、隣のテーブルにDavid Grismanが座っていたっけ。
195
ジ~ックリと歌い込む和重さんも実に味わい深い。
そこら辺の女性シンガーとは重みが違う、重みが!
広美さんのソロも曲に絡み込んで雰囲気バツグン。

185続いては「ピエロの心臓」。
230_tb
コレは5/8拍子かな?

210v_ph

変拍子が何ともいえない重苦しいムードを醸し出している。
Z
奇数拍子がもたらす独特の雰囲気ってスゴイもんなんだな。
いつもMarshall Blogに書いているようにZappa好きな私は変拍子が飛び交うヘンテコりんな音楽ばかり聴いて悦に浸っているのだが、変拍子がこういう仕事をするという感覚はなかった。
メロディや歌詞が変拍子にマッチした好例といえるのではないか?効果バツグンってヤツ。
同じ変拍子でも、こういうのもあれば、Pat Methenyの「First Circle」みたいなのもあって、音楽ってのは面白いね~。Patのは22/8拍子とかいうんだっけ?

220

ここで広美さんのギター・ソロ。

200v

弾くわ弾くわ!
JVMとの相性もゴキゲン!

190そしてそのまま「帳」へ。
コレも『Kaizu』からのチョイス。

240この曲はリズムといい、メロディといい、私の感覚ではすごくKRUBERABLINKAを感じさせる。

260vドへヴィなドライビング・チューン。

270v和重さんの雄叫びが爆発する前半のクライマックス!

280vクライマックスのテンションはそのままに「Blanko」。

300_blkこの曲もアルバム・タイトル曲だけあって「いかにもKRUBERABLINKA」という雰囲気に満ち溢れている。

310v第一部はここまで。
レコ発ライブなのにまだ新作から1曲も演ってない!

320休憩をはさんでステージに上がったのはお召替えした和重さんと広美さんのふたり。
アコースティック・コーナーだ。

330_ac和重さんはマイクを一切使わず地声で熱唱。

340v曲は「Kiwi」。トリの方ね、果物じゃない。でも、果物のキウィはトリのキウィを連想させるから同じ名前になったらしいよ。
私はキウィ食べないナァ。
この曲CDではギターのアレンジが面白かったけど、こうしてギター一本でほのぼの演るのもすごくいいね。

350もう一曲はまた『Kaizu』から「単細胞」。
生Caz…素敵でした!

360vメンバーがステージが上がって演奏したのはあまりにも雰囲気が違う「Ghidoran」。
そう、メタル・タイムなのだ!

370_ghidoややスローでとびっきりへヴィなナンバーだ。
和重さんのはち切れんばかりのヴォイスがスゴイ!1959の声だ!

380vそして、ここでようやく『Conicalify』からの曲が披露された。
まずは「Chamber」。
6弦を全音下げたヘヴィなリフが作りだす正統派ブリティッシュ・ハードロック。

390_cham和重さんの歌が入った瞬間、「KRUBERABLINKAのロック」になる。

400v続けて『Conicalify』から「場所」。

410_bsこの曲も広美さんのエッジ―なリフでスタート。
やっぱりいいね~、こうしたシッカリした「リフ」を持った曲というのは。ロックはこうでなくちゃイカン!
CDを聴く時には大変に凝ったアレンジのギター・パートに注目してもらいたい。

430v
しかし、この声!
まさに肉食系ボーカル。
和重さんの歌を聴くと、この世にハード・ロックがあってヨカッタ!と思う。

S41a0479 和重さんの歌と歌詞、広美さんのギターと曲、そして、それらにエネルギーを注入し、ドラマチック演出する二人の鉄壁のリズム隊。

420それにハードロックの神様のバックアップ…『Conicalify』もそうした要素で出来上がっている。

450

もう一曲『Conicalify』から「Cypress」。
「Cypress」とは「糸杉」のこと。
「糸杉」といえばゴッホ。糸杉を描いた数多くの作品を残しているのはご存知の通り。
メトロポリタン美術館の「糸杉」とか近代美術館の「星月夜」なんてホンモノを見るとスゴイよ。もう絵からパワーやら空気感が出まくってんの。
この曲の歌詞を読む限りゴッホとは関係なさそうだ。
ちなみにゴッホは英語で「ゴッ」と発音する。「ホ」は言わない。

440_cy歌とギターで静かに始まり、リズム隊がバシッと入って来るところなんざトリハダものだ。
『Conicalify』は五曲入りのミニ・アルバムだが、この日その内の三曲を取り上げた。
他にも目の覚めるようなスピード・チューンの「Test tube」、パワフルでエキゾチックな雰囲気が印象的な「Caldera」が収録されている。
従来のファンならニヤリとするような典型的なKRUBERABLINKA節が満載だと思うし、彼女たちの音楽が未経験のブリティッシュ・ハードロック・ファンにとってはこのアルバムは新しい楽しみとの出会いに場になるだろう。
若い人たちにも是非聴いてもらいたい。

450v_gok本編の最後はファースト・アルバム収録の「業火」。

460vファースト・アルバムは衝撃的だったな~。
サウンドは往年のブリティッシュ・ハードながら、懐古主義的なところが微塵もなく、かといってチャラチャラと流行りの要素を取り入れるなんて愚行をまったくせず、「今」のハードロックを演じて見せた。
そして、その衝撃が『Kaizu』、『Blanko』を経て、『Conicalify』に見事つながった。
やっぱり流行りのモノはダメだよ。古くなって消えて行くだけ。

480vアンコールは「Going Down」。
コレは日本ではJeff Beckが広めたことになっているのかな?Freddie Kingかな?
作曲はDon Nixという人。
テネシー出身(田無じゃないよ)のアメリカのミュージシャン兼プロデューサーでLeon RussellのShelter Recordsに参画しているほか、たくさんの有名アーティストをプロデュースした。
ジョージと組んでバングラデシュのコンサートを手掛けたのもこの人。
470

日本のミュージシャンもジャム・セッションなんかでよく取り上げるが、和重さんが歌うとまたひと味もふた味も違うナァ~。

S41a0500 そして、KRUBERABLINKAのキラー・チューン、『Don’t be so mad』。

S41a0451四人が一丸となった素晴らしいパフォーマンスは、初の東京でもワンマン・コンサートを締めくくるにふさわしいものであった!

500v

S41a0425

530v昨日発売された『Conicalify』、ハードロック・ファンはとにかく聴いてみてくだされ!
間違いなく「Conicalified」されるから。
ショウの間、Marshallファミリー・ブランドやMarshall Blogの紹介をして頂いた赤尾和重さんにはこの場をお借りして心から御礼申し上げる次第である。
KRUBERABLINKAの益々のご活躍をお祈り申し上げております!Long live hard rock!

550cd

KRUBERABLINKAの詳しい情報はコチラ⇒KRUBERABLINKA Facebook

540v1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

M_natal_square

★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト


(一部敬称略 2016年5月21日 四谷Sokehs Rockにて撮影)


2016年6月29日 (水)

TAGAWAセカンド・アルバム『Wind』発表!~レコーディング潜入レポート

出ない
出ます
出る
出るとき
出れば
出ろ
…で今日出たのがTAGAWのセカンド・アルバム『Wind』!
2009年のLOUD PARKの再演的な意味合いで結成されたTAGAWA。(その時のようすはコチラ
一枚目のアルバム『Flying Carpet』を早速リリースしたものの、超多忙な三人のこと、果たしてそれに続くアルバムの発表などあるのかどうか、実は前々からチョット訝しんでいたのだが…。
おめでとうTAGAWA!

アルバムの話に入る前に…知ってた?
「出す」は「五段活用」して「出る」は下一段活用するんだってよ!上のヤツは「出る」の方。
んなこと知らないよね~!
意味は似てても、「出す」は他動詞で「出る」は自動詞だから活用が違うんだって。
普段、英文を書くときは自動詞と他動詞の違いを気をつけているけど、「慣れ」ってのは恐ろしいもので、我々は習わなくても正確にこれらの言葉を使うことができる。
今はどうなっているのか知らないけど、こういうの中三ぐらいで勉強したよね?
わかるワケもなければ、おもしろいと思うワケがない!


一方、おもしろかったのは当のTAGAWAの『Wind』。
ジャケットはファーストの『Flying Carpet』同様のスワロフスキー入りのゴージャス・バージョン。
シャケ写は「空飛ぶじゅうたん」に乗り込んだ三人のメンバーだ!
実は、このアルバムのレコーディングのお邪魔していたのだ。

10ちょうどこの日は浩二さんのお誕生日に当たっていた。

20vレコーディング作業に入る前にお誕生会!

30おめでとうございます!
浩二さん、51になるのか…。パワフルだナァ!
この日も「51」にふさわしい暴走機関車のような壮絶なドラミングを見せてくれた。

40vさて、レコーディング。
まずは楽器のセットをして…

50機器の調整に入る。

60スゴイね、メカが!
150年ぐらい前は蓄音機一台を囲んで録音していたのに…。

70全員のサウンド・チェックの前にまずはギター・アンプのチョイス。

80v数か月前に試してもらったASTORIAがスッカリ気に入ってしまったヒロアキくん。
今回のレコーディングに使ってみたい!ということでCUSTOMとDUALを用意した。

90v前回一番気に入ったのはDUALだった。

100さすが、ヒロアキくん。
すでに勝手知ったるところで、スラスラとセッティングして早速ニンマリ。
やっぱりASTORIAの弾き心地はタマらんもんね~。

110vで、やっぱりDUALが採用された。

120vそして、メインのアンプもサササとセッティング。

130vヘッドは愛機、JVM210H。

140ブースに入っているキャビネットはこれまたヒロアキくんの相棒、1936V。

150収録する曲の打ち合わせをして…るようには見えないか?

160絶対に妥協を許さない音にうるさい人たちばかりだもんでエンジニアさんも大変!

170vさて『Wind』、前作はバンド名にならってヒロアキくんの作品がフィーチュアされたが、今回はメンバーが曲を持ち寄ったり、太鼓と共演したり、ゴージャスなストリングスが加わったりの一大スペクタクル。
そうした新企画のひとつで、この日はてらちん作詞&歌の「Crazy Gun」の収録だった。
この曲は、ヒロアキくんの中でAC/DCっぽいサウンドを欲していたため、JVMよりはクラシカルな歪みのASTORIA DUALを使用した。

180リズム隊のお二方も準備OK!
270
残念ながら時間がなくててらちんの歌入れまでスタジオにいることができなかったが、完成した音源を聴いてビックリ!
てらちんの歌、メッチャいいのよ!
何の予備知識もない人にいきなり「Crazy Gun」を聴かせたら、誰もてらちんが歌っていることを当てられないのではなかろうか。

190v浩二さんも「Running Light」という曲を提供。
シンプルなリフでタイトなロック感を爆発させるへヴィ・チューンだ。

200vプレイバックを聴いてみよう。
ん~、バッチリ、バッチリ!と思う私はアマチュアの極み。
みなさん、チョットでも気に食わないともうダメよ。トコトンやり直す。
コレ、忍耐の要る仕事だぜ~。

210今回もライブでよく演っている田川ナンバーが再録された。
お、録音するパートが変わったのでアンプをJVMにチェンジした。

220今回収録されたおなじみの曲は「Bound」、「キミを乗せて」、「Lofty Tree」、「平和の風」等。

230vが、前作の「My Eternal Dream」同様、リズム隊が変わっているので、どれもまるで別の曲のように聞こえる。

240てらちんは冒頭のナンバー、「Jack and Coke」も提供している。

250v様々な試みがなされたアルバムだが、ストリングスの起用は意外だった。
なかんずくボーナス・トラックで収録されている「平和の風」のストリングス・バージョンには驚いた。
第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスからなる編成、人気アレンジャー本田優一郎氏による平歌パートのカウンター・メロディが素晴らしい。いわゆる「対位法」というヤツ。

260v今日はここで脱線させて頂く。
最近、武満透と立花隆の対談集、『武満徹・音楽創造への旅(文藝春秋社刊)』という本に夢中になっている。
紙幅をギリギリまで字で埋め尽くした二段組で、しかも800ページ近くの大著なのだが、メッチャクチャ面白い!重いのをガマンして寝っ転がって読んでたら肩がおかしくなっちゃった。あの時は『NAONのYAON』の数日前でかなりビビったけど何とか治った!とにかく面白すぎて読み出したら止まらない。
ご存知の通り、武満徹は正規の音楽教育を受けずして世界的な作曲家になった奇跡の大天才だが、この本の中で、「西洋音楽というのは、結局は対位法の技術なんですね。僕は正式に音楽の教育をうけていないので対位法がよくわからない。いつも引け目を感じているんです」…みたいなことを言っている。
なんかカッコよくない?
世界的に有名な大作曲家がこんなことを言うなんて…ってなことを書きたかったの。
さすがは「知の巨人」、立花隆が膨大な量のインタビューを、数々の証言を交え、すさまじく緻密な構成で読ませる名著だ。音楽好きにはタマらん一冊。
そして、そんな一曲が『Wind』には収められているというワケ。

Tttt ところで『Wind』の発売は本日だが、レコ初ツアーは先行して行われ、月曜日に千秋楽を迎え幕を閉じた。

290写真はその時のようす。

300v演奏に、トークに、と盛りだくさんの内容。

310vもちろん、後日Marshall Blogでレポートするのでお楽しみに!

320vまずはTAGAWAのセカンド・アルバム、『Wind』をお楽しみあれ!

『Wind』の詳しい情報はコチラ⇒FretPiano

330(一部敬称略)

2016年5月18日 (水)

MEJIBRAY情報!~未公開写真つき

順調に快進撃を続けるMEJIBRAY。
昨年末には『NEXT MAJORITY VENOMOS』と銘打ったワンマン・ツアーを敢行。
東京はEX THEATER ROPPONGIで千秋楽を迎えた。

10当然、ステージにはMarshallの壁!

20「猛毒」のSEでスタートした狂熱のステージ。

30

40MiA

50背後にはMarshallウォール!

60愛用のJVM410Hはステージそでにセットされている。

70恋一

80メト

90vオープニングの「枷と知能」から猛然とブッ飛ばし続ける。

100v「SECRET No.03」や「パラダイム・パラドックス」、「NENOMS」といった人気曲が次から次へと飛び出し観客をたたみ込む!

110vトーチやレーザーなどステージの演出もゴージャス!

120ひと際大きく響く「MiA~!」の歓声!

130メンバー渾身のパフォーマンスは見ごたえ十分だった!

140ほとんどMCがないのはMEJIBRAYのスタイル。
この日も演奏に集中した18曲で本編を終わらせた。

150アンコールは、3月にリリースされたシングル曲「Agitato GRIMOIRE」だった。

160v「Agitato GRIMOIRE」に続き、4月に二ケ月連続でシングルをリリース。
17枚目のシングルは「THE END」。

170cd_4今回も3種類のスリーブで登場だ。

180cdこれが通常盤。

190cdさらに!
MEJIBRAYは「THE END」を引っ提げてデビュー5周年を記念した全国ツアー『THE END to be or not to be』の真っただ中。
千秋楽は6月10&11日、赤坂BLITZの2Days。
快進撃のMEJIBRAYなのだ!

MEJIBRAYの詳しい情報はコチラ⇒MEJIBRAY Official Web Site

200(一部敬称略 2015年12月18日 EX THEATER ROPPONGIにて撮影)

2016年4月12日 (火)

杉本篤彦のニューアルバムはJVM!~公開レコーディングの現場から

ソウルフルでR&B、ゴキゲンなジャズを聴かせてくれる杉本篤彦。
Marshall Blogに登場する数少ないジャズ・ギタリストのひとりだ。
その杉本さんが公開レコーディングを敢行するということを耳にし、現場にお邪魔してきた。
30

これがそのニュー・アルバム『Tomorrow Land』。
露出を抑え、低い色温度の風合いのジャケットがまずいい。

10cdレコーディングは基本的に「せーの」の一発録りだ。
まずはリハーサルで曲を確認。
20
杉本さんのギターの他にメンバーは…
キーボードの星牧人

40ベースは平岩カツミ。

50ドラムに板垣正美

60そして、杉本さんはMarshall!
そうでなきゃMarshall Blogに登場しない。

70v今回はJVM201Hと1936。

80v_2もちろん使うのはクリーン・トーン。
CLEAN/GREENで歪まない設定にして、キャビネットにはキャスターを装着した。
杉本さんはフルアコのようにかなりボディ鳴りのよいセミアコをご使用になっていので、低音がダブつかないよう配慮したのだ。
…というといかにもこの時に試行錯誤を重ねたように思われるかもしれないが、実はこのセッティングは昨夏の葉山ジャズで実証済み。
あの時の音

があまりにも素晴らしかったので、同じ組み合わせでレコーディングに臨んだというワケ。

90杉本さんは以前、トランジスタ駆動のMarshallの汎用モデルMGシリーズをご使用されていたが、
それでもバツグンにいい音を出されていた。
トランジスタ・アンプといって侮ることなかれ、ジャズ・ギターの大巨人、Wes Montgomeryもトランジスタ・アンプで進撃を重ねたのだ。

100でも、やっぱり真空管アンプの方がいいな。
ウォームさが違う。かといって甘ったるくなりすぎず、キリっとした音像が実に気持ちいい。
とにもかくにも「いい音」としか言いようがあるまい。

110vバックを務めるのは、他の現場でも杉本さんの作品を演奏する機会がある方々だが、初めて演奏する曲もないワケではない。
それなのにシレっと曲をさらっただけでリハーサルは終了。
ま、ジャズの人はみんなこうなのは先刻承知だけど、やはり演奏技術の高さに舌を巻いてしまう。
今のMarshall Blogで書いたかどうかは定かではないが、私の大学時代からの親友で現在プロで活躍しているサックソフォニストがいる。
彼に誘われてある小編成のジャズ・オーケストラのコンサートにお邪魔したことがあった。
ゲストで有名な男性ボーカルが登場して、スタンダード曲の「Too Close for Comfort」をMel Tormeの『Swings Shubert Alley』のスコアで演奏した。
ジャスを聴き始めたころよく聴いた好きなレコードだったし、Sammy Davis Jr.も愛唱していた大スキな曲だったのでうれしかった。友人は確か2番テナーを吹いていた。
彼も無類の酒好きで、帰りに「ウチでイッパイやっていかないか?」と誘うと、気持ちよくそれに応えてくれた。
早速イッパイやり始めた。BGMは当然ジャズだ。「そうだ…」と思い出して、『Swings Shubert Alley』をかけた。
1曲目に収録されているのがその「Too Close for Comfort」なのだが、彼は曲が始まってしばらくしてこう言った…。
「アレ?コレってオレたちがさっき演った曲じゃん?」
こっちはそれをわかっていてそのCDをかけたんだけど…。
彼はこの曲を知らなくて、ステージで初見で吹いたというのである。
それに驚くと、「え、なんで?それができなきゃお金は一銭ももらえないじゃん?」と涼しい顔をして言ってのけやがった。
イヤ、音楽家なんだから譜面がスラスラ読めて当たり前なんだけど、こちとら「ロックの国から来た人間」だからして、こういうことに心底驚いちゃうんだよね。
だって、ロックのギターの連中が「譜面」と呼んでいる、コード進行とちょっとしたキメの譜割りが記してあるモノとはワケが違う。
職人ってのはホントにスゴイ。
でも、上には上がいて、モダン・ジャズの開祖にして人類史上最高のアルト・サックス奏者Charlie Parkerは、自身の『With Strings』というアルバムのレコーディングにクラシックのミュージシャンを呼んだ時、彼らの読譜力や演奏能力に舌を巻いたというのだ。Parkerが驚いたということに驚く。クラシックの曲の譜面ってホントすごいもんね。
ま、何はともあれ、家で寝っ転がって、ジャズでもクラシックでも好きなCDでも聴いているのが一番ラクでいい。
これを書いていて思い出したけど、その友人がウチに来た別の機会に飲み過ぎてヒジが滑り落ち、座っていたイスのひじ掛けに脇腹を強打してしまったことがあった。
酔いが醒めてみると、どうにもその脇腹が痛い。
何日経ってもまったく痛みが収まらないので、病院でレントゲンを撮ってみたら見事にアバラ骨にヒビが入ってやがんの。
アレ、手術するほどじゃもちろんないし、治療のしようがないっていうんだよね。放っておくより仕方がないという。
しばらくの間ものすごくツラかった。
ハイ、本番の準備ができたようなので今日の脱線終わり。

115お客さんが入って会場の空気が変わる。

120_2…といたいところだけど、4人とももう完全に音楽に入り込んでいて、周囲のことなどまったく意に介さないようす。

130_2

140v_2

150v_2

160v譜面を掲げて杉本さんが曲を紹介し、レコーディングの段取りが説明される。

170コレ、杉本さん直筆の譜面。
メッチャクチャきれい!このまま販売できる。
愛用の写譜ペンを使用されているとのことだが、コレなかなかうまく使えないんだよね。
私も昔チョットやってみたけど、グチャグチャになっちゃってとてもこうはならなかった。
杉本さんの書く譜面は「読みやすい」とミュージシャン仲間からも好評なのだそうだ。
この譜面書きの作業もかなり性格が現れるよね。

180_2杉本さんらしいハート・ウォーミングかつソウルフルな曲が聴く者の心をとらえて離さない。

200vバックの皆さんも杉本さんの頭と心の中にある音を、正確に自分の担当楽器の音に変換していく。
240
このピリピリ感がタマらんね!

210vプレイバックを聴く。

190
星さんが手直しを希望して、演奏を差し替える。
こんなところも見せてくれちゃうのだ。
でもね、どこがマズかったのかがサッパリわからん!
手直ししてもどこが良くなったのかメッキリわからん!
自分の耳の悪さと才能の無さが身にしみるわい。

220しっかしギター、いい音だな~。
Marshallを敬遠するジャズ・ギタリストもいるけど、全然使い方次第だと思うんですけどね。
John Abercrombieなんて実にいいと思うけどな。
逆にクセのあるアンプだけに、杉本さんみたいに武器にしてしまえばいいのよ。
杉本さん、今度はASTORIA CLASSICだな…絶対お気に召していただけるハズ。

230こうしてベーシック・トラックがライブ感満点でレコーディングされ、後日他のレコーディング・スタジオで若干の手直しが施された。
もちろんそちらもJVMを使って作業が行われた。

250Marshallのジャズ・サウンドにあふれた杉本さん渾身のニュー・アルバム『Tomorrow Land』…あなたにも是非お聴き頂きたい!

10cd

杉本篤彦の詳しい情報はコチラ⇒杉本篤彦オフィシャルブログ

260(一部敬称略 2015年12月26日 都内某レコーディング・スタジオにて撮影)

2016年4月 6日 (水)

Metal Never Die!~ TORNADO-GRENADEのファースト・フル・アルバム

夜中の廃工場。
時は2月の上旬。
遠いわ、寒いわ、眠いわ、の三重苦を乗り越えてでも行く必要があった。
ナゼならそこにMarshall、NATAL、EDENがあったから。
そう、私にとってはチョモランマであり、K2であり、カンチェンジュンガなのだ!
そして、TORNADE-GRANADEの連中が待っていてくれたから。
ここは3月23日に初めてのフル・アルバムをリリースしたTORNADE-GRANADEのプロモーション・ビデオ撮影の現場なのだ。

10これがそのファースト・フル・アルバム。
タイトルは『LOVERUPTION』という。
「love」と「-ruption」を組み合わせた造語かな?「loveruption」なんて英単語は存在しない…ハズ。
「-ruption」というのはラテン語を語源としていて、「破砕」とか「破壊」を意味する。
だから「失恋」という意味かな?
でも、アルバム冒頭の序曲的インストゥルメンタルのタイトルは「Love Eruption」となっている。
「eruption」は「噴火」という意味なので、やっぱり「爆発する愛情」っていう意味なんだろうね。

アルバム全体を通して聴いて、テーマは「愛」ということなのだろうが、私にはこの若い5人組の「へヴィ・メタルへの愛情」と見て取った。
以下、『LOVERUPTION』については逐一触れていく。
240cd
さて、完成したビデオは最後に見て頂くとして…。
そのビデオに出演しているモデルさんも現場に来ていたのでハイ、ポーズ…はいいんだけど、かわいそうに、寒そ~!
現場が「廃工場」と聞いて、こっちはモモヒキはいてセーター着て、ダウンを決め込んで行ったワケ。年取るといったん風邪引くとなかなか治んないだよ。
それなのにこの真冬の真夜中、火の気のないところで肩出しちゃって…風邪ひかなかったかしら?
どうもありがとう!

20vバンドさんはめ~いっぱい元気!
ヤル気満々だ~!
若いって素晴らしい。
だいたいコレで夜中の12時チョット前。
いつもなら完全に床に入って本を読んでいる時間。文庫の2、3ページも読めば一発で眠くなる時間だ。

30

ボーカルの塚本"JOE"旭。

40vギターの松浦カズマ。

50v同じくギターの真壁雄太。絶対に人見知りをしない。

60vベースの寺沢リョータ。

70vドラムのドラゴンシャドウ村田。

80v収録するのはアルバムのリード・チューン「Love Never Dies」だ。

90「love」は抽象名詞で数えられないので、動詞に三単現の「s」をつけることができない。にもかかわらず「dies」としているのは「ひとつの愛の物語」ということなのだろう。

100冒頭で触れた通り、このアルバムには「愛」や「Love」という言葉がふんだんに盛り込まれている。

110親しみやすいメロディにあまりにも甘ったるい純愛物語…。

130そんな激甘テイストが超激辛のテクニカルでシャープなメタル・サウンドと絡みあう。
コレガいい。
140vこの辺りは我々の世代のロックにはまったくあり得ない感覚だ。
現実的に我々が若い頃には絶対にこんなロックの曲はあり得なかった。
ロック・チューンに「愛」なんて言葉を乗せるのは御法度だったのだ。それは歌謡曲とフォーク、あるいはニュー・ミュージックの仕事だった。
まず、このあたりの感覚がおもしろい。

150vMarshall Blogでは、よく「今の世代の感性を生かした上での温故知新」を実践する若いバンド期待していることを書いているが、このバンドはそのひとつの理想形だと思っている。

170v
サウンドとしては、伝統的なハード・ロック・サウンドと遠慮会釈のないシュレッディングで特段新しいものないが、コレでいいのよ。
「新しい」ということだけがいいというワケでもないし、「新しい」と思ってやってるつもりで、おもしろくも何ともない音楽いかに多いことよ。
170

黄金時代のロックのテイストをそのまま復元している若いバンドもいて、それはそれでとてもうれしいのだが、チョット違うような気がしている。
ナゼなら、70年代のサウンドが聴きたければレコードやCDで実物を味わえばいいワケだし、当時のホンモノの空気感を体験している世代は(私だけかもしれないが)、はるかに年下の若いバンドのそういうサウンドに違和感を覚えてしまうことにある時気がついたのだ。
そう、コレは「空気感」の違いとしかいいようがなくて、そうしたバンドのストイックな姿勢に息苦しい印象を受けてしまうのだ。
まったくうるさいことを言うジジイだ、私は。

160vそういう意味ではTORNADO-GRENADEはゲーム世代の、アニメ世代の、スマホ世代しかできない「肉食ロック」をノビノビと演っているように見えるのだ。
例えば8曲目に収録されている「Love Bliazzard」。
ブギである。
これまたいつもMarshall Blogに書いていることで、令文さんの受け売りでもあるが、「最近の若いバンドには『3』の感覚が欠落している」…つまり若いバンドはシャッフルやブギを知らないのではないか?ということなのだが、TORNADO-GRENADEはドロッドロの愛の言葉を乗せてブギを演奏して見せている。
しかも、胸のすくようなハードなブギだ。
そう、Status Quoのように演奏する必要はない。
ナゼなら君たちは若いんだから。
フト考えたのは、この曲のタイトルはリョータくんからお父さんへのプレゼントかな?と一瞬思ったのだが、JOEくんの作品なので私の期待は邪推に終わった。

190v本人たちにとっては不本意かもしれないが、私なんか彼らのステージを見ていると、カッコつけているのがカッコ悪くておもしろいし、カッコつけていないところが自然ですごくカッコよく見える…。
だいたい「♪荒神見ない、荒神見ない」なんて料理を忌み嫌う曲かと思っちゃったよ。
そうしたら「Cause in Midnight」だった。
ちなみに「荒神様」は台所の神様とされている。

180この2人のギター・アンサンブルも見事だ。
最近雄太くんはJubileeを愛用して、お揃いのグレーのキャビを狙っている。

200収録曲すべての編曲を担当しや数曲の作品を提供しているカズマくんは1987で「Marshall Eruption」してくれている。

210もう、眠くて付き合っていられないんで、トットと失礼させて頂いたが、撮影は朝まで続いたようだ。
あ~、早く帰って来てヨカッタ。

220お待たせしました!
それではトクとご覧あれい、「Love Never Die」!

上で触れた以外にも聴きどころ満載の若メタル。
是非、ご注目頂きたい。

240cd

TORNADO-GRENADEの詳しい情報はコチラ⇒Official Web Site

230
(一部敬称略 2016年2月上旬 埼玉某所にて撮影)

2016年1月18日 (月)

LOUDNESS情報

1985年、アルバム『THUNDER IN THE EAST』を引っ提げてアメリカへの進出を果たしてから早や30年。
「世界のLOUDNESS」の礎を築いたそのアルバムを完全網羅した構成で大好評を博した『LOUDNESS WORLD TOUR 2015 ″THE SUN WILL RISE AGAIN″
~30th Anniversary THUNDER IN THE EAST~in JAPAN』 と銘打った国内ツアーも昨年の12月に大好評のうちに終了した。
この時のもようはMarshall Blogでもレポートしている。
そして、年が明けて15日、その追加公演が東京で開催され、これまた大盛況であった。

10「これが見納め」というセットリストに観客全員が貪るようにして30年前に作り上げたLOUDNESSの音楽に入り込んでいる姿は感動的でもあった。

20…と書き出すと、今日はその時のレポートかな?とお思いかもしれないが、さにあらず。
この追加公演のレポートはまた別の機会にユックリとさせて頂く。
今日は別の話題。

25昨年は『THUNDER IN THE EAST』リリース30年の年であったが、本年2016年はLOUDNESSのデビュー35年の年に当たる。

210

当然、世界に誇るロック・バンドであるからして色々な企画が目白押しだ。

40v_2そのひとつがコレ。
『雷神~Rising 高崎晃自伝』の上梓だ。

70

コレがですね~、実に面白かった。
幼少期、アマチュア期、LAZY期、LOUDNESSの揺籃期から成長期、成熟期、そして現在、そしてソロ作品についても詳しく触れている。
これから読む方々のためにも詳しい内容をココに記すことはできないが、「エ~?!」なんて箇所も満載だ。
口述筆記の形態で、サクサクととても読みやすい。何だか目の前で高崎さんが本当に話してるかのようだ。声が聞こえてきちゃうの。

K_h3_s41a0123

この自伝を読んでいると、世界の第一線のバンドやギタリストの名前がLOUDNESSや高崎さんと同じステイタスでたくさん登場する。
Marshall Blogでもう何回も書いているが、海外の連中と一緒になって「日本のロック・バンド」という話しになると今だにLOUDNESSだけなのね。
そして、「日本のロック・ギタリスト」として開口一番、彼らから出て来る名前は絶対に「Akira Takasaki」なのだ。
このことに尚一層合点がいった。

110v

高崎さんの並々ならぬLOUDNESSへの情熱を感じるさせる内容であるのはもちろんなんだけど、ソロ活動について紙幅を割いているのも興味深く、特にソロ2作目の『氣』に関する記述は面白かった。
テープを回しっぱなしにして、集まったミュージシャンの生のクリエイティビティを記録したというこの作品、問答無用でカッコいい。好き。
Joe Zawinulも似た手法でWeather Reportの世界を作り上げたと聞くが、『氣』も音楽制作の場の「緊張感」がそのまま伝わって来るような作品であり、高崎さんならではの所業であろう。
85cd
2010年にリリースされた菅沼孝三さんのソロ・アルバムで、高崎さんが出たばかりのMarshall JMD:1を使用され、レコーディングにご一緒させて頂いたことがあった。
あの日は午前中にスタジオに入った。
ギターの音作りなど「おちゃのこさいさい」で、Marshallであればすぐにご自分の音を出してしまう。
その後、すなわち音楽制作の段になると、もう集中力が尋常ではなくて、スタジオに籠りっきりで、…恐らく休憩もほとんど取らなかったんじゃないかな?…スタジオから出て来られた時にはもうスッカリ夜中の12時を回っていた。
それでも、高崎さんはケロっとされていて、「アレ、ええアンプやナァ」と何事もなかったかのようにおっしゃった。
「音楽の塊り」のような人だと思った。
夜中の12時までスタジオに詰めなくても『雷神~Rising』を読んでもらえばそんな高崎さんの音楽に対する姿勢が容易にわかることだろう。
中間部には高崎さんの愛器のコレクションが紹介してあり、そこにはMarshallのJMP-1や1960やGuv'norも掲載されているので是非注目してね。

60

そして、コレはMarshall Blogでも既報のアイテム、『THUNDER IN THE EAST 30th Anniversary Edition』。
私の手元にあるのは『Limited Edition』。
①アルバム『THUNDER IN THE EAST』の最新リマスター音源にボーナス・トラックを加えたCD。
②120分にも及ぶドキュメンタリーDVD、『A Documentary of THUNDER IN THE EAST』。
③1985年のアメリカ―・ツアーを収録したライブDVD、 『THUNDER IN THE EAST 1985 US TOUR LIVE』。
…からなる『THUNDER IN THE EAST』づくしの記念アイテム。
50

私は残念ながらリアルタイムでこのアルバムを聴くことはなかったが、こうして聴いてみてナニがスゴイって、やっぱり曲だね。
圧倒的に曲がいい。
もう空気からして海外のバンドだよ。
それと高崎さんのソロの密度の濃さ!コレ、ジャズでいたら完全にClifford Brownだね。ムダな音がただのひとつもない。
30
欧米の連中はね、「スシ、スシ」なんて騒いでいたって絶対に「肉」の方がいいの。
LOUDNESSのスゴイところは、最上の曲とテクニックとロック・スピリッツという「肉」で連中を唸らせたところなんだよね。
②のDVDではそのアルバムをどうやって作り、どのようにしてLOUDNESSがアメリカに浸透して行ったかが具に記録されている。
メチャクチャおもしろかったし(特にMax Normanの箇所は最高!)、日本人として、やっぱり見ていてうれしいもんだ。
海外へ行って演奏する日本のバンドはドンドン多くなっていくであろうが、LOUDNESSのような形で海外に進出するケースはもうないでしょう。そういう バンドがいるとしたら、やっぱりLOUDNESSだけでしょうな。LOUDNESSがLOUDNESSを追い抜くより仕方ない。
高崎さんならやってくれるでしょう。

コンサートのシーンではどこを切っても高崎さんの背後にはMarshallのフル・スタック。
LOUDNESSの音楽制作にMarshallが関わっていることに誇りを感じる。

それにしても、「ロック」という音楽ジャンルで考えてみるに、今の若い人たちの草食系音楽とLOUDNESSの偉業が地続きであるとは思えないんだよナァ。
きっと違う世界のモノなんでしょう。

80そして、特報!
今週末、カリフォルニアのアナハイムにてNAMMショウが開催されるが、その中で『RANDY RHOADS REMEMBERED』というRandy Rhoadsへのトリビュート・コンサートが23日に開催される。
イベントは、昨年11月に95歳で逝去したRandyのお母さんDoloresへの追悼の機会にもなっている。

100v_3Randyのお兄さんのKelle Rhoads(この方、前のMarshall Blogにご登場頂いてるの)やBrian Tichyを擁するTHE MAD MANというホスト・バンドをバックに、Doug Aldrich他の錚々たるギタリストが競演を繰り広げる。
そこへ登場するのが我らが高崎晃!
チョット小さくて見にくいけど上段右列の上から四番目にクレジットされている(苗字のアルファベット順)。

Rrrf今年も全米ツアーやヨーロッパのフェスティバル等、海外での活動に忙しいLOUDNESSだが、2016年の幕開けとして高崎さんがアナハイムで一発カマしてくれるに違いない!
がんばれLOUDNESS!

LOUDNESSの詳しい情報はコチラ⇒LOUDNESS Official Website

90v

(一部敬称略 ライブ写真は2016年1月15日 赤坂BLITZにて撮影)

 

 

2015年11月20日 (金)

冥土への手紙~寺山修司と犬神サアカス團

小学校の頃、「作文」というとみんなイヤがっていたけど、私は文章自体書くことに関してはほとんど苦痛に感じたことがなかったな。書初めなんかより全然マシだった。
もちろん、文章を書くのが得意だとか、野球より読書がスキだった(今では読書の方が断然スキ)とかいうワケでもないんだけどね。
でも、湯川秀樹の伝記の感想文を書いてナンカの作文コンクールで選出されたことが一度あった。結果、賞をもらったワケでもなんでもない。だって、最後まで書いてないんだもん。
途中から書くのが面倒になってしまって尻切れトンボになっちゃったのね。子供の頃から堪え性がないんよ。それでもナゼか選ばれた。
卒業の時の文集を書いた時も「他の生徒たちとは違う」と、先生がとても面白がっていたのを覚えている。
卒業文集といえば、みんな「10年後のわたし」とか、「楽しかった6年間」みたいなこと書くじゃない?
私は小さい頃からスイミング・スクールに通っていたので(そんな時代だ)、水泳が得意で代表選手として学校対抗の水泳大会に時折出場していた。
卒業文集ではその時のことを題材に据えたのだが、普通に書いてはつまらないので実況中継の体にしてみたのだ。
ところが、そんなもの本当は面白くも何ともなくて、スゴイものを書いた女の子が他にいた。
低学年の頃はアオッパナを垂らしてゼンゼンいけてなかったけど、長い黒髪がすごくきれいな娘だった。そういえば最近はアオッパナを垂らしている子を見かけなくなったな。昔はみんなズルズル垂らしていたもんだ。食べ物が変わったからかね?知らず知らずのうちに有毒な化学物質ばかり摂取しているのでアオッパナすら出て来ないのか?
さて、彼女には恐らく年上の兄弟がいたのだろう、もうそのころからロックを聴いていたような記憶があって、高学年になるとどこか大人っぽい雰囲気が漂っていた。
あの頃、すなわち1974年ぐらいの小学六年生がロックを聴いているなんてことはまずあり得なかった。「花の中三トリオ」が関の山よ。
私も結構マセていて、父に感化され洋画を観まくっていた。アメリカの有名な俳優の名前を山ほどど知っていたが、この子にはかなわなかったと思う。
その彼女…卒業文集に散文詩を載せたのだ。
今にして思えば担任の先生もよく許したと思うのだが、そこには文章が一切なく、彼女の好きなもの、あるいは頭に浮かんだモノがただただ並べてあったのだ。つまり、句読点で句切ったただの単語または句の羅列。
ちょっとやってみると…
「大粒の涙。海。月の影。しずくの音。まっすぐな道。くぼみ。雲。雨の後。インクの香り…」
ああ、もうできん!コレが延々と続く。
言ってみれば「よこはま・たそがれ」なんだけど、アレが本当に小学生の彼女がひとりで考えて創作したものであったのであればスゴイと思うんだけど…。
私もその時点で彼女のように文芸に興味を持っていれば今頃『鼻毛』なる作品で芥川賞ぐらい獲れていたかもな…。
それは冗談にしても、もっと若い頃から日本の詩歌や戯曲、演劇に興味を持っていればよかったな…と後悔することがある。
寺山修司のことである。
残念ながらまったく通ってこなかったを悔やんでいる。

その後悔を埋めようというワケではないが、『冥土への手紙』という寺山修司生誕80年を祝うイベントにお邪魔して来た。
犬神サアカス團が出演したのである。
呼びかけは寺山作品の音楽を担当していたJ・A・シーザーさん。
会場は恵比寿のガーデン・ホール。二日とも超満員となり、寺山修司の人気と業績の偉大さを物語った。

10会場のロビーには芝居のポスターがズラリと並べられた。コレも見ものだった。

20どれも最高にカッコいいのよ。

30目を惹く横尾作品。
もう20年ぐらい前の話しだけど、ニューヨークのMOMA(近代美術館)に行った時、パッと気が付いた日本人作品の展示は横尾さんのものだけだったな。

50

横尾さんの作品は1967年からMOMAで展示され、その後個展も開催しているからね。
その関係だろうが、ニューヨークでCreamを観たと何かのインタビューで読んだことがある。あまりの爆音で気持ち悪くなってしまったとか…。
確かジミヘンもご覧になってるんじゃないかな?調べておくね。

40さて、犬神サアカス團の出番は二日目。この日のコンセプトは、『田園に死す』。
そもそも犬神サアカス團(犬神サーカス団)というバンド名は寺山さんの映画『田園に死す』に登場するサーカスの名前なのね。バンドのビジュアルも映画の世界をそのまま模倣したものなのだそうだ。
いつかMarshall Blogで犬神サアカス團の曲の世界を黒岩重吾の小説にナゾったことがあったが、出自はこっちだ。ゴメン。
だって、先述したように通ってないんだもん。
私になんざ知らないことの方が多いし、知らなかったらすぐ「知らない」と正直に言う。そして、興味があればその時点で教えてもらって勉強するだよ。
残りの人生はコレを貫徹してひとつでもいいもの、いいことを体験して死んでいくのだ!
バンド名を名乗る時には寺山未亡人から許可も取りつけたそうだ。

寺山さんの話しになるとよくROLLYさんがATG(日本アートシアターギルド)のことを引き合いに出されるのだが、どうもアレがイケなかったのかもしれない。
昔、まだ有楽町に日劇があった頃、地下に「丸の内東宝」という映画館があった。それとは別の入り口でもうひとつ地下にあった映画館を「日劇文化」といった。私は中学一年の時にココで生まれて初めてビートルズの映画を三本立てで観た。
この日劇文化はATG作品を特化して上映する映画館で、その頃洋画に夢中だった私にはATGの作品が「何やら怪しげな日本映画」にしか見えず作品に寄り付きもしなかった。
それこそ『田園に死す』とか『本陣殺人事件』とか…。
もし、あの時、ROLLYさんのように寺山さんの作品でも観ていればまた状況は違っていたかもしれない。でも、ムリだったな~、あの頃は。
日劇がなくなってもう34年も経つのか…私も年を取るワケだ。でも、あの朝日新聞社のインクの匂いと東宝のカレーライスの味はまだ覚えているな。

とにかくそんなバンドのルーツともいえる寺山さんのイベントに出演するとだけあって、メンバーの皆さんもおおよろこび。
楽屋も個室!
安心してください。「隔離」ではないですよ。

60v 出番は最初と最後の出演者大集合による合唱のパートとバンドでの演奏だ。

70 犬神凶子

80犬神情次2号

90犬神ジン

100犬神明

110凶子さんも復帰後は絶好調。
活動休止前と変わらぬ素晴らしい歌声を披露してくれた。ルックスだけでなく、声といい巻き舌唱法といい、日本の女性シンガーの大きな個性のひとつだ。
天井桟敷のメンバーの方からも「ステキな声ね~」と絶賛されていた。
実際ステキなのだ。

115v 二日間にわたる出演は、PANTA、大槻ケンヂ、カルメン・マキ、SUGIZO、瀬間千恵、山崎ハコ、近藤等則、 ROLLY、未唯、渚ようこ、元ちとせ、蘭妖子、新高けい子、そしてもちろんJ・A・シーザー等…と寺山さんを敬愛する大勢の表現者の方々。
よってドラムの交換等、舞台の大きな転換はほとんど不可能。

120そこで今回は情次兄さんのMarshallだけが持ち込まれた。
ヘッドは愛用のJCM800 2203。

130キャビは1960B。
それでも置き場所がないのでステージの造作の下に組み込まれた。

140さて、去る10月21日、犬神サアカス團は『ここから何かが始まる』と題した新譜を発表した。
コレがまたいいんだ~。
詳しいことは他の機会に譲ることにするが犬神ワールド全開の快作だ。

150cd コレはそのスリーブの一部。
安心してください。クレジットされてますよ!
こうしてMarshll、NATAL、EDENの三役ロゴが並ぶと壮観だね。うれしいです。
ありがとうごう、犬神さま!

160残念ながら持ち時間が短く演奏されたのは二曲。

170vまずは「地獄の子守歌」。
こっちは日野日出志ダァッ!

180vミディアム・テンポのヘヴィ・チューン。

190vこの場の雰囲気にピッタリのチョイスだ。

200v 二曲目は明兄さんのアイデアで、先頃お亡くなりになった天井桟敷の昭和精吾さんとのコラボレーションを実現させた。

Img_0033 曲は新作『ここから何かが始まる』のタイトル・チューン。
そこに収録された昭和さんの声だけをマスター・テープから抜き出し、その声に合わせてバンドが演奏したのだ。

220v 凶子姉さんが遺影に話しかけると、昭和さんの肉声が流れ、演奏とともに背後にスライドが映し出されるという趣向。

230これが曲の良さも相まって実に感動的だった!

240そして、昭和さんと共演したメンバーたちの満足げな表情も印象に残った。

250ちなみにここで昭和さんが語った言葉はすべて寺山修司さんのものだ。

260しかし、明兄さんの変わらぬクリエイティビティには脱帽だね~。

犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒公式家頁

270豪華絢爛、二日間にわたる長尺のイベントは大成功の内に緞帳を下ろした。

それにしても、高度成長期に青春時代を過ごした人たちは幸せだ。
音楽、芸術、文芸、出て来るものすべてが新鮮でカッコよかった。
今は何かをやろうとしても、その「何か」は何らかの形で既に過去に出てしまったものばかりで本質的に新しいものや面白いものが何もない。
過去のものの順列組み合わせか単なる異種混合ばっかりだ。
それを売り手やマスコミが美辞麗句を並べ立て、若者相手に半ば強引に「面白い」と思い込ませようとするところがコワイ。
IT技術により情報は増えたけど選択肢は極端に減ってしまった。
素直に「温故知新」すればいいと思うんだけどナァ。「温故知新」しない方が得をする連中が上の方にいるんだろうな。
文芸や美術に口を出すつもりはないが、ひとつ質したい。
日本のロックの「明日はどっちだ?」

280v (一部敬称略 2015年10月12日 恵比寿ガーデンホールにて撮影)

2015年11月18日 (水)

楠田敏之ふたたび+清水保光ファースト・ミニ・アルバム

人気声優、楠田敏之が再び鹿鳴館のステージに立った。
前回は同じく声優の近藤佳奈子ちゃんとのダブル・ヘッドライナーでの登場であったが今回は楠田さんの完全なワンマン・コンサート。
会場は大勢のファンで満員となった。

O_img_0096 楠田敏之

O_s41a0906 ギターは清水保光。

30vキーボード、高濱祐輔。

40vもうひとりのキーボード、滝口恵太。

50vベースは大舘寛幸。

60vコーラスのきゃらめるまん。

O_s41a2130 ドラムは金光KK健司。
このバンドでは「ケンケン」と呼ばれていることはもう皆さんご存知の通り。

70v清水さんはもちろんMarshall。Tシャツもスウェット・バンドもいつも通りMarshall。

80前回同様JVM210Hと1960Aだ。

90vKKもNATAL。

100アッシュのシングル・タムのキット。

110このコンサートは楠田さんの音楽活動10周年を記念するもので、趣向を凝らしたバラエティに富んだステージになった。

O_s41a0914 もちろん得意のトロンボーンも披露。
アダルトなフュージョン調の曲も楠田さんの魅力のひとつだ。

115v

10年の間に積み上げられた曲の数々。

120それを宝物ように丁寧に扱って歌う姿はとても印象的だ。

130ゲストが加わる。

140テナー・サックスのASUKA
ASUKAさんは「東京エロティカルパレード」で活躍中だ。略して「エロパレ」だって。

O_s41a1104八月に続いて二回目のステージというのに清水さんとのイキはピッタリ!

160金光さんがまたいいんだ。
Strange, Beautiful & LoudやSTANDで見せる「厳しさ」とはまったく違うドラミングがここで聴ける。

170vMarshallとNATAL、ありがたい光景ではあ~りませんか!

180メローにハードに緩急自在にステージは続く。

190ソング・ライターとしても紹介されたキーボードの滝口さん。

O_s41a1264 それにしてもASUKAさんのハードなブローっぷりがカッコいい!

200清水さんとのカラミもシックリ。

210清水さんがいつもリッチーだ、レインボーだ、アルドリッチだ…なんて言っている人には見えない。

220またね、ギターの音がいいんだ。
前回も書いたけど、おおよそMarshallらしくない。
MarshallらしくないMarshallの音ってのもなかなかにオツなもんでしてな…もちろんいい音が出てなきゃダメだよ。
ここでも清水さんはフュージョン・ギタリストもうらやむようなソフトで、そして芯がシッカリしたリッチなサウンドを出す。
そう、いつもリッチーだ、レインボーだ、アルドリッチだ…なんて騒いでる人には思えない。

O_s41a0946 楠田さんの熱唱に次ぐ熱唱でアッという間に本編が終了。

230vアンコールでは歌詞カードをお客さんに渡して「みんなで歌おう」コーナーも企画された。

240女性のお客さんが多いでね、いつもは阿鼻叫喚のデスボイスが鳴り響く鹿鳴館が、今日は女性コーラスの美しい歌声で満ち溢れた。

250アンコールでもノリノリでポーズをキメるふたり。

265

ジャンプで締めくくる皆さん。いかにライブが盛り上がっていたのかがわかるってもんだ。

260さらに、もう一回アンコール!
ここでも素晴らしいテナー・バス・トロンボーンの妙技を見せてくれた楠田さん。

270メンバー全員、華麗なプレイの連続で楠田さんの十周年をお祝いした。

271v

272

O_s41a1072 全員揃ってのエンディング。

280盛りだくさんで最高に楽しいショウだった~。

285ASUKAさんのポーズがスゴイ!まるで全盛期のSonny Rollins!

楠田敏之の詳しい情報はコチラ⇒レーベル公式WEB

290さて、今回も大活躍の清水さん。
もうすぐソロ・ミニ・アルバムを発表する。
日本のハード・ロック/メタル・シーンにおいて長い長いキャリアを誇る人の初のソロ作品集とだけあって待ち望んでいた人が多く現予約段階において品物がなくなりそうな状態だ。
でも、まだ少しだけ余裕があるようなので興味のある人は要チェック!
しかし、なんとドラマチックなジャケット。これはコンピューターで描いた「絵」なのだそうだ。

300cdタイトルは『Wind From The East』。
そんなタイトルだけ見ると、オールド・ファンはFar East Family Bandみたいな音を想像するかもしれない。しかし、それは間違い。
そう、いつもリッチーだ、レインボーだ、アルドリッチだ…なんて騒いでる人の作品として期待して大丈夫。
安心してください、シミッチョですから。


ところが!一曲目の「Geronimo' Hill」から度肝を抜かれること請け合いだ。何しろ風の音から聞こえてくるのはアコギとボトルネック・ギター。
え、コレ「清水さんの作品?」って感じ。
もちろんそこからハードに曲は展開する。ちょっとエンニオ・モリコーネを思わせるメランコリックなテーマがステキ。
しかし!
コレ、ホントに清水さんがやりたかったことなのかな?という意外な展開が続く。エレクトリック・シタールが出て来るのだ。
そして炎のシュレッディング。いいナァ、遠慮なく好き勝手に展開する曲想…好きである。
二曲目の「Song for Liberty 2015」は目の覚めるようなメタル・チューン。ハハハ、コレもヒネってるナァ~。エンディングに向けての寄り切りのソロが実にいい感じ。
三曲目はタイトル・チューンの「Wind from the East」。
清水さん、大丈夫なのか?こりゃまるで映画音楽だ。
ティンパニーがスゴイ。このやりたい放題感覚は素晴らしいナ。
そして、この図太いフロント・ピックアップの音!

310清水さんはこのアルバムのエレクトリック・ギターのほとんどをこのMG2FXを使い、マイクを立てて家で録ったのだそうだ。
曰く、「いかにDTMでうまく録音してもギターの音はどこかでアンプを通さないとダメ。
ギターはその音だけ録っても絶対うまくいかない。どんない小かろうとアンプを使って、空気を一緒に録音しないとダメなんです。ライン入力でそのまま録ったギターの音ほどつまらないものはない。
ギターは絶対にアンプが必要なんです」
何だか私と示し合わせたようなコメントだが、下打ち合わせなど何もしていない。
清水さんも私と同世代だが、コレは本当にカッコいいロックやギター・サウンドを聴いて育った世代の共通の意見なのではなかろうか?

O_mg2cfx_arm_shot_3 コレにメインのギター・パートを抜いた「Geronimo's Hill」と「Song for Liberty 2015」が収録された全五曲入りのミニ・アルバム。
ギター好きなら聴いておいて損はない作品だ。
繰り返しになるが、発売前にして商品の残りが少ないようだから要注意!

320v清水保光の詳しい情報はコチラ⇒Cyclone's Eye
オフィシャル・ウェブサイトはコチラ

O_s41a1022

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。
M_natal_square
★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版:現在日本語版作ってます!時間がなくてなかなか進みません!)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2015年9月26日 目黒鹿鳴館にて撮影)

2015年11月12日 (木)

D_Drive Driven by "R"~D_Driveのニュー・アルバムを聴く!(ライブ・レポートつき)

恥ずかしながらホンノ数年前まで「横綱」だと思っていた。
だって大相撲の街だからね。
「横網」って言われたって「横綱」って読んじゃうよね。実際、そう思っている人がゴマンといるハズだ。
何の話しかというと「両国」のこと。
両国国技館のある辺りの地名を「よこあみ」という。ここは「よこづな」だろう、フツウ。
ところがそれなりの由来がある。
何でも江戸時代初期にはこの周辺では海苔を作っていて、原料の海草を取る網を横向きに干していた。それでから「横網」という地名になったとか…。斜めに干していたらヘンな名前になってたぞ。ようするに「大相撲」とは何の関係もない。
で、この両国は昔、房総方面の始発駅だったんよ。海外風に言えば「ターミナル駅」。
かつてバカでかいビアガーデンとして再利用されていたロンドンのキングス・クロス駅のような立派な駅舎があるのはそのせい。
私が小学生の頃はまだその駅舎が使われていて、六年生の時に両国駅を始発に富津まで行ったことがあった。五人の十二歳の少年が寝袋等のキャンプ道具を買い込んで海辺でキャンプをしたのだ。死体は見なかったけどチョットした『スタンド・バイ・ミー』状態だった。四十年以上も前の話し。
その後、隅田川の下をくぐる鉄道トンネルができ、総武快速が開通すると始発駅の役割は東京駅へと移行した。
今では年に三回開かれる大相撲の時のみにぎわうちっぽけな駅だが、両国は下町の範囲内…根深い歴史があるのだ。
もうひとつ、横網にはあまりにも悲惨な歴史があるのだが、場をわきまえてここに記すのは控えることにしよう。
あ、それと「下町」について…。
何やら東京の中心の繁華街からちょっとハズれると全部「下町」にくくってしまうが冗談じゃネェってんだベラボウめッ!
テレビを見ていると商店街があって高層ビルがないとすぐ「下町情緒あふれる」なんて言うじゃない?
江戸の場合、元々「下町」というのは日本橋・神田周辺のことを指していた。「御城下町」の「下」だ。だから浅草寺があったにしても、浅草だって「浅草田圃」といわれて下町の内に入れなかった。浅草も郊外だった。
で、明治維新以降、武家屋敷がドンドン宅地として開放され、そこに比較的下層の人たちが入り込んで東方面に新しい町ができた。
今で言う「下町」はその範囲を意味していて、行政区画で言えば中央区・港区、千代田区、さらに台東区、墨田区・江東区の一部あたりまでを指す。
江戸城のあった千代田区やとなりの文京区は「山の手」だ。
だから両国は「下町」だ。
…とドンドン話が反れるので一気に本題に飛ぶことにする。

ナニが言いたかったのかというと我らがD_Driveが両国にやって来たのだ!(念のために言っときますが、私は両国の住人ではござんせん)
Neil Zazaというアメリカ人ギタリストとのカップリング・ツアーの東京公演だ。

O_img_0170 相変わらず燃えまくっているD_Drive…
Seiji

20vYuki

30vShimataro

40vChiiko

50何しろこういう状況なのでいいショットをお送りすることはとてもできないが、演奏はいつも通りの極上パフォーマンス!
こういう環境で写真を撮るのは久しぶりだナァ。
まったく見えないけど、SeijiさんもYukiちゃんもMarshall。もちろん最上のギター・トーン!

60ShimaちゃんはEDENでド迫力の大低爆音!WT-800とD410XSTをダブルで…。
95

オープニングの「Drive in the Starry Night」から新曲「Attraction 4D」、「M16」と一気に繋ぐ炎のセットリスト!

90「Mr. Rat Boots」、新曲「Now or Never」、「Cassis Orange」…

100v…と新旧取り混ぜたゴキゲンのステージが展開する!

70
Chiikoちゃん、ゴメン!どうにも撮れないよ~!

110もちろんギッチギチに会場を埋め尽くすお客さんは我を忘れての大盛り上がり!

80

もう最先端のメタル・インスト・バンドとしての風格漂う白熱のステージだった!

130そして!
満を持してD_Drive三番目のアルバムが登場する。
タイトルは『R』。
発売はまだもうチョット先の11月27日。
ヘヘヘ、役得、役得…ズルして先に聴かせてもらっちゃったぞよ!

「D_Drive」に「r」を足すと「D_Driver」となる。すなわちD_Driveのファンの皆さんのことだ。いわゆる「動作主名詞」ってヤツだね。そのための「R」。
タイトルの「R」の意味はまずそれがひとつ。
それと同時にメンバー各人の中にも固有の「R」があるようだ。
私だったらナニかな?
大好きな街「ロンドン」かな?ロンドンの「ロ」は「L」だっちゅーのッ!

140cdここから先は11月6日に開催された東京でのワンマン・コンサートの写真を交えて私なりの『R』評を展開させてもらうことにする。
もちろんこのワンマン・コンサートの模様もMarshall Blogでレポートする予定なので乞うご期待。

150Seijiさん作の序曲的小品「Run to R」で始まるこのアルバム、ギター類はすべて実際にMarshallを爆音で鳴らし、それをマイキングして録音された。
D_Driveはデジタルでギターを鳴らさない。
だからこんなにもナマナマしいド迫力サウンドでギターが鳴り響くのだ。
160v
SeijiさんはDSL100と1960AX。

151vYukiちゃんはTSL100と1960A。

152vShimaちゃんはEDEN WT-800だ。

153v二曲目もSeijiさんの作で、上のライブでも演奏された「Attraction 4D」。
コレ、このサビのメロディがよく出たね。クロマチックで上昇するところ。ハッとさせられる。
ホントにこのバンドの曲を書くのは大変なことだと思う。
インスト・バンドなので歌詞がないのは先刻承知。その分、どれだけ人の心に残るメロディを見つけるかにかかってくる。
昨日もJimi Hendrixのところで書いたけど、そんなに指が早く回っても、小技がうまくても曲が良くなければ何の意味もなさないし、聴いている方は耐えられない。
歌詞の不在を補う分の演奏上のトリックも必要だろう。
掛け合い、ピックアップ・ソロ回しなんてことは珍しくもなんともないから、その上をいかなければならない。
かといって、いいトリックが考えついても同じワザは何度も使えないと来てる。
つまり進化が進化を必要とする「作曲のアリ地獄」に陥ってしまう。
その点、D_Driveはそれらの困難を見事に克服して来たと思うね~。
そして、このサード・アルバムで音楽性を変えることなく、もうひとつの顔を見せたと言えるのではなかろうか?

170vそれは「スタジオのD_Drive」だ。
私は以前の仕事を通じて知遇を得たSeijiさんと比較的長く、そして緊密なお付き合いをさせて頂いているが、知り合った最初の頃はSeijiさんのバンドの音を聴いたことがなかった。
初めて『Something to Drink』で一曲目の「Runaway Boy」を聴いた時の新鮮な衝撃といったらなかった。「あの人こんなことやってるのかッ!ああ、まだロックにはこういうことができる余地が残っているんだ!」とひとりごちた。
『R』を聴いた瞬間、あの時の衝撃がもう一回訪れた。
このアルバムは以前からステージで演奏されている曲を数曲収録している。
「Russian Roulette」、「Among the Distraction」、「Drive in the Starry Night」などがそれに当たるが、一体どうしたことだろう?
聴き慣れているハズのそれらの曲がまったく別のものに聴こえる。
それはスタジオに入るに当たってアレンジをし直したとか、トコトン作り込んだということではない。
でも、いつもYukiちゃんが左手の人差し指をこめかみに当てて曲紹介をする「Russian Roulette」には聞こえないのだ。
ギター・リフのひとつひとつ、ソロの隅々までがクリアに聴こえ、はち切れるようなリズム隊の完璧なコンビネーションも目の前に迫ってくる。
「ウワ!こんなことをやっていたのか!」ってな具合。


ソロの長さも収録時間も絶妙だ。「もうチョット聴きたい!」と思わせるところが名人のなせる技。
店で見て気に入って買い込んで来たツボを家で磨き上げてみたらまた別の楽しみ方が出てきたような感じ。ツボ買ったことないけど。
フト思ったのはこの『R』、YesやGentle Giantは超絶なスタジオ音源を忠実にライブで再現したが、D_Driveは正反対のことを巧みに実現したのではなかろうか?
正直、惚れ直した。

180vとにかく曲がいい。
Seijiさんの作品だけでなく、「Advance and Attack」、「Now or Never」等、収録曲の半数を占めるYukiちゃんの作品がハード極まりなくてこれまた素晴らしい。
さすが、朝起きたら突然ギターを弾く宿命を感じた人だけのことはありますな。
もうロック・ギターの技術も限界に来てるでしょ。私が高校の頃は速弾きできれば学校のヒーローだったけど、今では例え小学生がどんなに速く正確に弾いたところでもう驚くこともないし、右手を指板の上に乗せてコチョコチョやってみせたところで最早珍しくもなんともなくなっちゃった。
今はそれらの技術をいかにいい曲で使うか…というところに勝敗がかかっている。
『R』を聴けばD_Driveが勝者の口であることがわかるであろう。

それとギターという楽器について…。
ひとつ思い出したのはStanley Jordanというジャズ・ギタリスト。
同時に何本かのギターを用いてタッピングでソロとバッキングを完璧に奏でる技法で80年代の初頭にキラ星のごとく現れた。理屈としてはピアノの技術をギターに移行させたというワケ。
そりゃビックリしたよ、初めてテレビで見た時は…。録画しておこうと思わずビデオに飛びついたもん。
ギター好きならジャズを聴かなくてもご存知の方は多いと思う。
この人のスゴイところはその(当時)奇抜なテクニックもさることながら、「キチンとしたジャズ・イディオムを身に付けた高い音楽性」と言われていた。
要するにチャンとした伝統に根差したジャズが出来る…というわけね。それにLed Zeppelinの「Stairway to Heaven」なんかを取り上げたりしてたカバー曲のセンスもよかった。
ところが、デビューした時、ある辛口のジャズ評論家(ジャズ喫茶のマスターだたかもしれない)がこう言ったことを覚えている。
「確かにその通りかも知れないが、果たしてギターという楽器の魅力を発揮しているといえるのだろうか?そこがこの人の最大の弱点ではないか…」
つまり、撥弦楽器であるギターは弦をはじいてこそその楽器の魅力を発揮できるということだ。
シンガーで言い換えれば声に魅力がなかった…コレは致命的でしょう。クラシックの声楽の人達は「声」を「楽器」って呼んでるぐらいだからね)
結果どうなったかはファンの方に失礼なのでココには書かないが、今、Stanley Jordanを熱心に聴いている人を私は知らない。
翻ってD_Driveはどんなだ?
先に紹介した通り、フル・ヴァルブのMarshallで鳴らしたギターの音のなんとふくよなかことよ!
『R』を聴く時には、デジタル機器の利便性に真っ向から対抗したかのようなふたりのリッチなギター・サウンドにも十分注目してもらいたい。エレクトリック・ギターの魅力のひとつがそこにある。


そして、この才気あふれるサウンドをMarshallやEDENで奏でていることに誇りと感謝の念を表したいと思う。

190CDだけでしかD_Driveを聴いたことがない人は絶対にステージを体験するべきだし、ライブでしかD_Driveを体験したことがない人は必ず『R』を聴くべきだ。
さすればD_DriveのステージやCDが「倍」どころか「何十倍」もおもしろくなるハズだ。


あ~書いた~!スッカリ『R』に興奮しちゃったのでアール。さ、もう一回聴こっと!
おススメです。
一般発売は11月27日。もうちょっと待っててチョ!

D_Driveの詳しい情報はコチラ⇒D_Drive Official Web Site

200(一部敬称略 ①2015年10月25日 両国SUNRIZE ②2015年11月6日 渋谷TSUTAYA -WESTにて撮影)

2015年3月20日 (金)

【号外】Kelly SIMONZ~New DVD 『HOLY WINTER LIVE 2014』発売!

過日Marshall Blogでレポートした、昨年末に開催されたKelly SIMONZのクリスマス・コンサート『HOLY WINTER LIVE 2014』。

10_2そのもようを収録した同名のライブDVDが発売された!
30

コレがそのDVD。
正式なタイトルは『TOKYO KINEMA CLUB "THE 8TH" HOLY WINTER LIVE 2014』。
110分で25曲が収録されている。
ジャケットがいいね~!写真がいいね~!
Marshallの壁をバックにピックを持った右手を高く上げるKellyさん。
雪がスゴイ!実際にはこんなに降ってなかったんですよ~。
40v_3
ディスクはピクチャー仕様。
内ジャケに使われている写真もいいね~。しっかりとMarshallウォールが写り込んでいて雰囲気タップリ!
誰が撮ったのかな~?
Kellyさん、ありがとう!
50
何しろ110分にわたってKelly SIMONZの魅力がテンコ盛りだ!
Marshallの壁だけでなく、次々と持ち替えるギターにも注目。
それにしても、やっぱりロック・コンサートのステージはMarshallの壁だね~。

最近はヘビメタのバンドのコンサートでもステージ上にアンプを見かけないケースがあるようだが、信じられんよ、まったく。
あまりにもステレオタイプ丸出しなことを言うのはヤボなのでイヤなんだけど、やっぱりホンモノのロック・ギターはオール真空管のギターアンプのサウンドに限るよ。そして、Marshallの壁。
これでキマリ!
♪Who could ask for anything more?
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さて、このDVDには当日ステージに登場した9歳のギタリスト、Keiji by ZEROの演奏も収録されている。

60v_2そのkeijiくん、ナント、明朝(21日)テレビに出演する!
番組はTBS系列朝8:00の『知っとこ!』。
「世界の朝ごはん」のヤツ。
楽しみだ!

Keiji by ZEROの詳しい情報はコチラ⇒Keiji by ZERO facebook

70Kelly SIMONZの詳しい情報はコチラ⇒Kelly SIMONZ Official Website

HOLY WINTER 2014のレポートは…
<前編>はコチラ
<後編>はコチラ

80じゃ、明日の朝ね!

2015年2月25日 (水)

LOUDNESSのDVD~『PRIME CUT』

実におもしろかった…ジックリ観入ってしまった。
少々時間が経ってしまったが、昨年末に発表されたLOUDNESSのDVD、『PRIME CUT』の話し。

10dvd出演はもちろんLOUDNESSの4人。
二井原実

30v高崎晃

40v山下昌良

50v鈴木政行

60v「Prime Cut」というのは「一番いい部分」とか「最もうまみのある部分」みたいな意味があるようだが、このDVDには『MATERPIECE SESSIONS dedicated to Munetaka Higuchi』というサブタイトルが付いている。
20
これまで数々のライブDVDをリリースしてきたLOUDNESSだが、今回のDVDは史上初のスタジオ・ライブとそのレコーディング風景を収録したもの。
4人が一か所に集まり、古今の名曲を再演し、各自が曲に解説を加えるという興味深いものだ。
もちろん樋口さんへの想いも存分に語られる。
「4人が集まり」…などと言うと奇異に感じるかもしれないが、音源データの受け渡しが容易にできるようになった最近のレコーディングは、別の場所に居ながらにしてレコーディングができるようになってしまった。
よってメンバーが「せーの!」で同時に演奏することがマレになっていることはご存じの通り。
もちろんマルチ・トラック・レコーディングが導入されてからはアナログ時代でも同様の手法、つまり、パート毎に別々に録音することは珍しくなかったが、現在の技術とはレベルが違う。
この『Prime Time』はLOUDNESSのそうした瞬間を捉えており、メンバーもそうした前時代的な手法にロックの録音物の本来あるべき姿を見出したかの発言を作品中で繰り返す。
100

そして、目の覚めるような素晴らしい演奏。4人が同時に演奏することによって生じる化学反応が顕著に現れている。もちろんその反応を活性化させている触媒はLOUDNESSが世界に発し続けてきた名曲たちだ。
110
すごくうれしかったのは高崎さんの言葉。
「レコーディングではヘッドホンを使うことが多いが、Marshallの音を身体で受け止めたいので、可能な限りMarshallのキャビネットと同じ部屋で弾きたい」
そして、「耳だけでなく、ロックなので身体で音を受け止めようと気をつけている」
さすが、さすがのご慧眼!けだし名言であろう。
日本人のロック・バンドとして世界への重い鉄扉をこじ開け、ロック・ギター本質を知る者が達し得るロックの摂理。

70その言葉に偽りなくこの『PRIME CUT』のレコーディングでもいつものステージと同じバックラインをスタジオに持ち込んでいる。
世界がうらやむTakasaki Rigだ。

最近ではレコーディングではおろか、ステージにもギター・アンプを置かないシチュエーションに出くわすが、やっぱりそういうのは「ロック」ではないよね。アイドルの歌謡ショウだよ。
いくらテクノロジーが進化しても「やった方がいいこと」と「やらない方がいいこと」は区別すべきだ。
こうした高崎さんの考え方や感じ方こそに「ロック」を感じる。

80収録曲は;
Stay Wild
Like Hell
Speed
Hellrider
Esper
の5曲。そして、各メンバーの貴重なインタビューが収録されている。

90世界を手中に収めた稀有な日本のバンドのロックに対する魂を見たような気がした。イヤ、これは「魂」ではなく、ロックに対する「愛」なのかもしれない。
130dvd
是非ともコンサート会場に足を運んで生のLOUDNESSの音楽に触れて頂きたいと思う。
イヤ、このDVDを観れば実物の演奏が観たくてウズウズしてくるハズだ!
おススメです。

LOUDNESSの詳しい情報はコチラ⇒LOUDNESS Official Website

120

2015年2月23日 (月)

『TAGAWA』を100倍楽しむ記事!

Marshallもそうだけど、西洋の人たちはブランドでも事業でも何かを興す時に平気で自分の名前を使うでしょ?
「オレが、オレが」のメンタリティがそうさせるのか、オリジナリティを強調せんとする一種のCIなのかわからないが、自分を殺すことを美徳とする控えめで奥ゆかしい我々日本人と西洋人の感覚が大きく異なる部分のひとつかもしれない。
コレは思いつきの域を全くでない私的分析なのだが、ひとつはどんな小道にも名前をつけたがる西洋人の「名前好き」という元来の習性が影響しているのかもしれない。
以前にも書いたが、戦後、GHQが占領下の東京にしたことのひとつは通りに名前をつけたことだったと聞く。
昭和通りは「Dark Street」と呼ばれたのはその頃の話し。
でも、通りに名前をつけるのは実にいいことだと思うけどね。もちろん都市の構造が違うため、日本ではそれが簡単にいかないことはよくわかっている。しかし、ロンドンの街を歩いているといつもコレを思ってしまう。
何しろ長さ数十メートルしかない細い路地にもちゃんと名前がついていて、街の散策と郵便配達に便利なことこの上ない。日本政府もつまらんことをマネしないでこういう合理性を西洋から学んで欲しいと思うよね。
さて、名前の話し。
もうひとつは、西洋人は公共の設備に平気で人の名前をつけるでしょう?例えば「ジョン・F・ケネディ空港」とか「ドゴール空港」とか(不思議とイギリス人は空港にコレをやらない)、「ジョン・ギールグッド劇場」とか、フランクフルトでも「シュバイツァー・プラッツ」なんてのがあった…。
偉人の名をそうした形で後世に残そうとする目的の他に、英語系言語の特徴である「モノの擬人化」がココでも表われているのかもしれない。
そうした歴史的&国民的なバックグラウンドがあるもんだから、自分が所有するものを他人のものと区別するために自らの名前をつけるなんてことは何でもないのだろう。

そこへ行くと日本人はそうはしない。会社の名前を見れば一目瞭然だ。
キャノンでも、日産でも、大日本除虫菊(キンチョウのこと)でも、他に「昭和ナントカ」とか「地名ナントカ」のようなものが多く、社名に人名を見つけることはなかなかに難しい。(これ商法で「事業の内容を表せ」とかいうことになってるんだっけ?)トヨタとホンダあたりは例外か…。松下も変わってしまった。
西洋の個人名の名前がついた会社を挙げるのは野暮な話し。
バンド名で例を挙げると西洋のそれはにぎやかだSantanaだのEmerson Lake & Palmerだの、Van HalenだのBon Joviだの、Derringerだの、Inpellitteriだの…Carpentersもそうか。決して少なくない。
日本はいないよ。チョット思い浮かばない。誰かいたっけ?「サトウ」とか「ヤマダ」とか…。
やっぱりカッコ悪いってことなんだろうね~。
昔の仕事仲間で「般若(はんにゃ=確か高岡のご出身)」さんとか「百々(ドド=京都の方だった)」さんという人がいたが、これならイケるかも…。「般若」なんてバンドはいるだろうし、TOTOがいるんだから「DODO」がいてもそうおかしくない。
「安蒜(アンビル)」さんという方もイケるな。実際いるし。安蒜さんは千葉の苗字で全国に1,500人がいらっしゃるそうだ。

ハイ、オープニング・トーク終わり!
日頃から「名前」に興味を持っているもんだからつい長くなってしまった。コンビニなんかでも店員さんの名札をいつもチェックしていて、あんまり変わったお名前だったりすると、ご出身をうかがったりもしてる。
4、5日前、どこかのコンビニで「たまむし」さんという方が応対してくれた。平仮名だった。もう、どういう字を書くのか、どこの出身か訊きたくて訊きたくてウズウズしたがガマンした。
「お弁当温めますか?」と問われて「♪あったかいんだから~」ってやろうとしたけどヤメた。あれは「クマムシ」か…。

ハイ、これでホントに前置き終わり。
で…、だ。
日本にもそうしたメンバーの名前をドン!と冠したバンドが登場した。
その名も「TAGAWA」。
おなじみ田川ヒロアキが長谷川浩二、寺沢功一と組んだへヴィ・メタルのトリオ。
そのCDがリリースされ話題を呼んでいる。
コレがそのCD、タイトルは『Flying Carpet』。

1_img_0004_2 私もLPやCDを万単位で買ってきたけど、コレは初めての装丁だ。
プラケースは使われていない。
ケースをくるむ光沢の厚紙でできたスリーヴの裏面にはどこかの銀河がプリントされている。
コレを聴けば銀河までひとっ飛びということか。

20このCDケースはゴムでできている。
そして4つの角には宝石が埋め込まれているのだが、なんと本物のスワロフスキー製だそうだ。

30そして、ゴム・ケースのフタをめくるとピクチャー仕様のCDが出てくるという仕組みなのよ!
なんたる豪華な仕様!
このトリオにかける制作サイドの意気込みが十二分に伝わってくるというものだ。

40さて、ここで未読の方は、待っているので、ご面倒でも是非コチラをご覧になっておいていただきたい。
     ↓        ↓       ↓
田川ヒロアキバースディ・スペシャル・ライブ2014

(間)

これでこのトリオの成り立ちがわかった。

それから月日の経つのは早いもんだ。アッという間にレコーディング。
このレコーディングの初日にスタジオに潜入させて頂いた。ナント素晴らしい立体企画!

50まずは打ち合わせ。
ドラムだけでなくこのアルバムのサウンド・プロデュースを担当した長谷川浩二

100v

寺沢功一

70vそして、田川ヒロアキ。

80vみんな真剣!
だってまだ何をやるかゼンゼン決まってないんだもん!

60v

意見を交換し合いまず方向性を定める。
そして、意見が合わず最後は取っ組み合いの大ゲンカ…

90…なんてことにはならない。
テーマは「田川ヒロアキをフィーチュアしたへヴィ・メタル」。打ち合わせは順調に進んだ。

120そしてスタジオに入って音出し。

140ヒロアキくんのMarshallはJVM210Hと…

1501960B。
LOUD PARKの時とまったく同じセットだ。

160歪み系の音、といってもほとんどがそうなんだけど、ODチャンネルのOrangeモードを使用する。

170v細工は流々!すげぇいい音!美しい歪みだ。そう、ヒロアキくんはどんなに激しく弾いても決して醜いサウンドは出さない。

180ギターの音作りも終わり、3人がスタジオに入った!

290いつもニコニコのてらちんもスタジオの中では真剣極まりない。

300v浩二さんもヤル気満々!
さっきまで打ち合わせで冗談ばっかり言い合っていた3人だが、今はもうコワイぐらいの気迫だ!

320…ということで、今日の記事はさらに立体度を増すよ。
このレコーディングやCDについてヒロアキくんにいろいろと話しを聴かせてもらったのだ。
以下はそのインタビュー。Marshall Blogのわがままインタビューだ。
ひとつの大仕事を終えた安堵と、その出来栄えに満足しているうれしそうなヒロアキくんをとらえることができた。

★★★★★田川ヒロアキ・インタビュー★★★★★

Introduction (Strum on the Guitar!)
Marshall Blog(以下「M」):CDはコンサート会場の歓声で始まるワケだけど、コレはLOUD PARKの再演という意味合い?アーム・ダウンするところとかすごくウマく出来てるよね?

田川ヒロアキ(以下「H」):はい。LOUD PARKの再現ですね。いくつかの音源を重ねて作ったんですが、「タガワ・コール」の部分はスタジオにいたスタッフ総動員で叫んだんですよ。

190i_2本当はLOUD PARKの歓声をそのまま使いたかったのですが、隣の会場の「君が代」が重なっちゃっていたんです。
M:ああ、あの時そうだったね!なつかしい!あの時もア・カペラでソロを演ったもんね。
コレはやっぱりあのブースに入れたキャビネットの音をマイキングしたんでしょ?
H:そうなんですけど、このソロの時は、キャビネットをブースから出して広いスタジオの真ん中に置いて弾いたんです。
M:アンビエンス。
H:はい。ライブ演奏の時の状態に近づけたかったんです。オフ・マイクでも音を拾ってもらうということは初めからお願いしていたんです。その結果、キャビネットの周りその他で5~7本のマイクを使って録ることになりました。
私もこんな録音は初めてだったのですが、エンジニアさんも「ここまでやるのは初めて」とおっしゃっていました。
M:そうするとこうなるのか…。
H:そうなんですよ。で、私はJVMの倍音が大好きなんですね。他のアンプと違う。

1_img_0022いつも使っているJMDとも違うし、このJVMの倍音の出方がピッキングの鋭さにもつながってくるんですが、そういうところを録ってもらいたかった。
M:JCM2000からJVMに乗り換えたプレイヤーはそういうところを評価したのかも知れないね?
H:それはあると思います。私もJCM800、900、2000とずいぶん使わせてもらってきましたが、JVMはそれらとは明らかに違う部分がある。他のブランドには絶対ない…。
M:マ、同じじゃ意味ありませんので。
H:それと、サスティンがすごくいい。音の減衰していく時間が長いんです。それで、アームで音を揺らしたりすると倍音が鋭くなる。一体どういう回路になっているのか設計者に話しを聴いてみたいぐらいです。
M:サンチャゴ(・アルヴァレス=JVMの設計者)が聴いたら喜びますわ~。
H:このソロのアイデアは長谷川さんなんです。それで、長谷川さんが口三味線で出してくれた指示に従ってソロを弾いたんですよ!「ここは上がって、何秒で下がって」とか言うのに合わせて弾いたんです。
M:そりゃスゴイわ!

Stranger Destroys Arms
M:そして「Stranger Destroys Arms」。ここから浩二さんとてらちんが入って来るワケなんだけど、聴いた瞬間、「ああ、ヒロアキくんが本当にやりたいのはコレだったんだな…」って思った。イキイキと楽しそうに弾いているのが目に浮かびますね。
H:おっしゃる通りです!おっしゃる通りです!!
M:LOUD PARKの時の1曲目は「My Eternal Dream」だったのに、CDではこの曲を1曲目に持ってきたのは何か意味があるのかしら?

200vi_2H:曲順は長谷川さんが決めたんです。私も思い描いていた曲順があったのですが、長谷川さんのものとほとんど一致していたので任せました。
結局、6弦を刻むメタルの王道的なフレーズを最初に持って来たかったんです。
それと、「My Eternal Dream」でナニかを始めることはいつもやっているので、普段と変えてみたいというのもありました。
それとあの曲だと雰囲気がチョット明るくなってしまう。ギター・ソロから続けて「極悪さ」みたいなものも出したかった。すると自然にこの曲が1曲目になったんです。
M:なるほど…。ソロのサビは何か考えた?
H:以前、日本人のギタリストを集めたギターのオムニバス・アルバムがあって、この曲と「Fly Away」で参加したんです。コレはその時からある曲で、ファースト・アルバムの『Fly Away』にも入れました。
それで、ソロは全部同じなんです。コレはライブでもよく演る曲で、つまり若い頃に作ったソロをズッと弾いている。コレが大変なんです。
M:それはまたどうして?上達しているからラクになっているのでは?
H:イエイエ、若い時はシュラプネル系のテクニカルなソロばかりをやっていましたが、段々色々な仕事をやっているうちにその手のプレイをする機会が無くなって来たんです。

1_img_0035_2作曲とかプロデュースみたいなことをやっていると、こういうギターを弾くことがない。だからこそ弾きたかった。
でも、大変だった、最初は弾けなくて。
それと、数は少ないにしろ、20年前のプレイを知っている人もいて、その人たちが今回のプレイを聴いた時に、「ああ、また無難に同じことをやっている」と思われたくなかったんです。
「同じことをやっているのにスゴくなっている!」と思わせたかったんです。
M:ワザと同じことをやって、進化しているサマを見せたというワケね?
H:そう。新しいことをやるより難しかった。

My Eternal Dream
M:一番最初に送られてきた音源には曲名の情報がなかった。で、浩二さんの派手なドラム・イントロに続いておなじみのメロディが出て来た時は驚きました。スゲエ新鮮!

330v_2『Fly Away』でのオリジナル音源ではキーボードを使って荘厳なイメージだった。でも今回のはとても生々しくて、まるで『Let It Be..Naked』みたいな。問答無用でカッコいい。
H:ホントですか?!
M:うん。それにてらちんのベースが何ともスゴイ。まるで曲が生まれ変わったような…。
H:ホントですか?! ありがとうございます。
コレは寺沢さんに好きに弾いて頂きました。他の曲では注文をお願いしたりしたんですが、コレは100%寺沢さんが自由に弾かれています。195i
M:曲がグレードアップしたのが目に見えるよう。素材がいいのかな?聴き慣れたのかな?
H:アヤヤヤヤヤ。ありがとうございます。

360vM:サビのハモリはオリジナルとゼンゼン違って聞こえるんだけど、同じだよね?
H;そうなんです!同じことをやっているんですが、コレが元。曲を作った時のイメージはコレだったんですね。元々こういう風にしたかった。
M:ナニがそうさせているんだろう?
H:色々な要素があると思うんですが、まずはスタジオやエンジニアリング。でも、一番はMarshallとこのギターの組み合わせでしょうね。ゼンゼン機材が違う!
自分の出したい音が前に出るようになったから、こうなったんだと思います。
M:楽器が弾き手を鼓舞するいい例だね。だからいい楽器というものはスゴイ。
H:イメージを膨らませてくれますね。「そうだ!コレこそが頭の中にあったイメージだった!」と感じました。
M:それとチョコチョコっとしたキメ。これが快感!
H:ホントですか?!
M:ソロも密度が濃くてカッコいい。どうせ勢いで弾き切っちゃったんだろうけど…。
H:ハハハ!その通り!勢いで弾きました!コレもJVMのおかげで気持ちよく弾けましたね。
実は高いハーモニクスのところにディレイをかけてもらったりしているんですよ。

270viThat's Over
M:コレはてらちんと浩二さんがフィーチュアされている曲だね?ほとんど聴かない曲だけど、どっから出てきた曲ですか?
H:コレはビクターの配信レーベルから一度リリースしたんです。LOUD PARKの日に配信しました。
この曲を選んだのは長谷川さんのご提案ですね。
M:なるほど。コンサートでも演らないよね?
H:はい、元々キーボードがたくさん入っていて、それを全部ギターに替えました。
M:サビのバッキングがカッコいい!
H:そうですね。バッキングのパターンから曲ができたみたいなところもありましたからね。
M:ギターの音もスゴくいい。クランチ加減がすこぶる気持ちいい。
H:ココはJVMのCLEAN/CRUNCHチャンネルのORANGEモードを使ったんです。コレがものすごくよくて!
以前、三宅さんがこのチャンネルをお使いになられているとお聞きしまして、その音がとても気になっていたんです。もちろんプレイもフレーズも違うので同じ音にはならないことはわかっていましたが、ものすごくよくて!
M:他は全部ODのOrangeですよね?
H:はい。後はギターのボリュームをイジって音を変えたりしています。
それと長谷川さんのドラム・ソロになると音量が上がるという…。
M:まったくこのドラムが四六時中冗談を言っている人のプレイとはとても思えませんな!
H:まったく!


Space Walker
M:大作。『Fly Away』でもおなじみ。名付けて「校歌ロック」。
H:ギャハハハハハハ!
M:校歌で始まってドンドン変わっていく場面が素晴らしい。
H:長谷川さんには「パン喰い競争」って言われました!
M:ちょっとコミカル。でも紆余曲折を経て、また校歌に戻るところはもはや快感ですらある!
H:ホントですか?!(←もう読者の皆さんもお気づきのことと思うが、「ホントですか?!は彼のクチグセのようだ)

230vi_2M:4ビートかなんか取り入れちゃって、オリジナルより格段の進化を遂げましたな!
H:ホントですか?!(←あ、また!)
M:せっかくの4ビートなんだからバリバリのバップ・フレーズを作り込んじゃえばよかったのに!
H:その通りなんですよ!でも、良くも悪くも、長谷川さんも寺沢さんも私もジャズのテイストがまったくなかったんですよ!
寺沢さんもラジオに出た時にそんなことをおっしゃっていましたし、長谷川さんも「オレらにジャズをやらすか~?」って!
怒られましたよ!
で、「ジャズ・メタル」…邪道って言われていいからやりましょう!って。
だから、今その4ビートのパートの指摘をして頂いてすごくうれしいんですよ!
M:なるほどね。自然の結果が目標通りになって喜んでいるワケね?
H:そうなんです!開き直りです。
M:そんなの当たり前じゃん!だって元々できないんだから!
H:ギャハハハハハハハ!
M:でもさ、この曲、オリジナルとこんなに派手に内容を変えているのに時間が5秒しか違わないっ

350_2て知ってた?
H:お~、ホントですか?!(←また!)
コレ、途中でギターが裸になるパートがあるんですけど、『Fly Away』とまったく同じにしてみたんです。
M:録り直したっていうこと?
H:そうです。でもすごく苦労しました。
コレ、とても長い曲でバンドの皆さんが嫌がるのでライブで演らないんですね。以前、孝三さんと演ったぐらい。自分ひとりのライブでは演っていますが…。
つまり、『Fly Away』のレコーディングの時からバンドの中でほとんど弾いていないんですよ。
すごく時間が経っているので、どうやって弾いていたのかわかりませんでした。今、弾いていないフレーズが多いし。20年以上前に作った曲なんです。
M:ホントですか?!(←ア、うつちゃった!)そんな古い曲なの?
H:ええ、それまで書き溜めていた曲を集めたのが『Fly Away』ですから。
M:今回のアレンジは全部自分ひとりで練り直したの?

220i_2H:はい。ですけど、まずは元はどうやって弾いていたのか思い出す作業から始まりました。「アレ、おんなじ風に弾けないな…」って。
M:ホントですか?!(←ア、また!)なかなかこういう曲って日本のロックにないからすごく貴重だよね。でも、4ビートのところのソロがナァ。せっかくやったのに!
H:ギャハハ!でもそうやってイジってもらえるとうれしいですよ!
M:あんまり言ってもナァ~。「校歌」とまで言っちゃってるから…。
H:ギャハハハハハハハ!皆さん、それぞれ解釈が違いますから!みんなで笑い飛ばしてくれればそれでいいんですよ!
長谷川さんなんか「パン喰い競争」ですもん!
M:でもこういうのはすごくいい。以前の「Symphony」もヨカッタし…。
H:ホントですか?!
M:ナントカ前進しようともがき苦しんでいるのがいい。それがあなたの魅力じゃない?

390H:「若い頃の方がスゴかった」なんて言われるのがイヤなんですよね。歳をとって無難になったことを「味が出た」と言い換えてもらうとかいうのもイヤだし。
昔と同じことをやっているのもスゴイけど、それ以上のことをやっている…という風になりたいですね。
さっきも言いましたが、以前のことを知っている人をガッカリさせたりはしたくない。いくら時間が経っても「無難になっったな…」なんて思われたくない。
だから、今回はレコーディングはサラっとやりましたが、その準備は大変だった。
M:なるほどね。思い当りますよ。今までもう何十回も観て来ているけど、「ああ、またコレかよ」っていう感じがない。いつもナンカ工夫してるもんね。前進してるってことですよね。
H:ホントですか?!身体が続く限りはそうしていたいですね!
M:SPICE 5みたいな経験はとてもヨカッタのではないですか?
H:そうですね。手数セッションとか。周りのミュージシャンに鍛えて頂いたと思います。

Luminous
M:コレはバラードを1曲入れておこう…みたいな?
H:はじめはなかったんですよ。全曲突き進むような感じだったんですが、どうしても入れたくなって…。
長谷川さんにシンバルで手伝ってもらいました。「波」のイメージ。
M:キーボードも入ってますね?

260vi_3H:はい。はじめはギターだけだったんですが、後から重ねました。
M:せっかくこんなにスゴいリズム隊がいるのにナンでまたこんなルバートっぽい、というかア・カペラに近いシンプルなものにしてしまったんだろう?
H:へへへ、それまではアルバム全体にスキ間なく、音が詰まっている感じだったのでインターバル的にこういうのを入れたいと長谷川さんにワガママをお願いしたんです。
そしたら「やろうよ、やろうよ!」って。
このアルバムの中では異色の存在で、結果的に聴いて頂いた人の印象に残っているようで、やってヨカッタと思っています。
M:確かに。このフレーズ(私が実際に弾いて聴かせる)、バラードの時に必ず出て来るよね?バラード用の手グセ・フレーズだ。
H:ハハハハハ!よく聴いてるナァ。

Fly Away
M:最後はおなじみのコレね。どうしたかったって感じ?
H:「Eternal Dream」と同じで、まずオリジナル・バージョンのキーボードのパートを全部ギターに置き換えました。
それと、元々のギター・パートはそのままで、ベースやドラムが変わるとどうなるか…ということに重きを置きました。
ギターも変えちゃうと、元々の曲のイメージがスっ飛んでしまうと思ったからです。
M:コレも古い曲だよね?
H:20年以上前に書いた曲です。それでギターも20年以上前のもの。それで。リズム隊を変えるとこうだ!みたいな。

240vi_2この曲は透さん、孝三さん、ファンキーさんとも演奏しましたが、やっぱりバックが変わるとゼンゼン違って来る。本当に面白いです。

M:アルバム全体、ギターの音がいいね。ひとつひとつの音が実にクリアでナニを弾きたがっているのかがよくわかる感じ。
H:録音にあたっては色々なことをさせて頂きました。そういう意味では20年前より伝えたいことがより明確になったと思います。
やっていることは同じでもメッセージ性が違う。それは機材であったり、環境であったり、バンドであったり、色んな要素に助けられたんです。
M:今後はどうなるんでしょう?
H:ま、雑談のレベルですけど、「2枚目の時はこうしよう」みたいな話しも出ています。
M:曲が大変だね?考えてみると、今回は3人の曲みたいなものはないですよね?
H:そうなんです。提案もさせて頂いたんですが、「アコースティックやピアノの曲もあるけど、とにかく田川ヒロアキのへヴィ・メタルの部分だけを切り出そう」という長谷川さんのアイデアが原点ですので、まずはそれに従って作ったワケです。
ですから、次はみんなで曲をつくったりしたら面白いと思いますね。

380
田川ヒロアキのバンド

M:フト考えてみると、ヒロアキくんのパーマネントなバンドってなかったじゃない?ベースになるようなバンド。
H:このバンドがそうかな?という気もしますね。せっかくTAGAWAという名前ですし。「田川ヒロアキの曲」を演奏するバンドということではなくて、ひとつのバンドとして何かを作っていければいいな…と思います。
そして、おこがましいようですが、かつてのマイク・ヴァ―二―の時のように、このアルバムを通じてギターの音楽が見直されたり、新しい人たちがギターの音楽に目覚めてくれたりしたらとてもうれしいですね。
M:特に若い人たちですよね。
H:はい。
M:そこにはいつもMarshallがある!って付け加えておいて!
H:もちろんです!Marshallがなければ何もできませんから!
M:ありがとう!今後の活動に大いに期待しています。

…ということで本人もご満悦のようす。
レコ発ツアーも敢行され、早くも明後日が千秋楽。
会場は八王子のLive Bar X.Y.Z→A
お見逃しなく~!
Marshall Blogは初日の公演を取材したので、そのもようはまた明日!バイバ~イ!

田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒fretpiano

1_img_0039(一部敬称略 レコーディング風景はBattle Cry Soundにて撮影)

2015年1月28日 (水)

JTM45とレス・ポールで弾くブルース・ロック~松浦善博のDVD

現実的に「エレクトリック・ギター」と来れば、今でも東はストラトキャスター、西はレス・ポールが横綱の地位に君臨していることは誰も否定できまい。
それこそ優勝した場所の数は、白鵬や大鵬のそれはストラトやレス・ポールの足元にも及ばないだろう。
その点アンプはずいぶん波乱含みだナァ。最近は「デジタル」と言う外国の力士がハバをきかせちゃったりしてね…。

ギターに話しを戻すと、よく「ギターは完成されていない楽器」と言われる…イヤ、よく言われていた。
一方、完成された楽器としては、ピアノとジャズにおけるアルト・サックスが挙げられていた。
ピアノは悠久の歴史の中で音楽も種類も出尽くし、キーを押せば誰でもひと通りの音が出て、何の拘束もなく自由に和音が出て、独奏にも協奏にも向いている。つまり、何ら進化する必要がないことからそう言われるのであろう。
もうちょっと言えば、音楽の三要素である「メロディ、リズム、ハーモニー」の全部が得意でこれ以上楽器に望むことがない…すなわち「完成している」ということと見た。
アルト・サックスは"Bird"ことCharlie Parkerが現れ、テクニック的に頂点に達してしまい、こちらももう楽器として変化しても意味がないところまで一気にやりつくしてしまったからだと思う。
Parkerが活躍したのは1940年代。それから70年経った今でも、アルトサックス界は音楽的・技術的にBirdを超えることができないでいる。

そこへ行くと、百花繚乱、エレクトリック・ギター界はにぎやかだよね~。やれスイープだのライトハンドだの、次から次へと魅力的な奏法が出て来て活性化を図って来た。そして、流行の音楽に合わせて積極的に姿や機能を変えてきた。
このスィープもライトハンドもジャズの世界では、ロックより20年ぐらい前に用いられていた手法だけど、それらをガッチリと吸収してビジネスの域にまで持っていってしまう「ロック」という音楽の貪欲さはたくましいとしか言いようがない。

しかし!ナニが起こっても、ナニがあってもギターはストラトかレス・ポール。
輝くことを太陽が拒んでも、山が海に落っこちても、はたまた「6」が「9」になったとしても…ね。
別項の冒頭でLeo Fender氏がボヤいたという話しを書いたことがあった。Leoには気の毒だが、もうこの2大名器の勢力図は人類とロックがこの世にある限り誰も描き変えることはできないだろう。
ロックを作って来た楽器という驚異的に豊富な実績だけでなく、やっぱりカッコいいもんね。音がどうの前に問答無用でまずカッコいい。
当然、それらに関する文物も豊富に流通して人気を博しているようだ。私は買ったことないけど。
最近では三宅庸介によるストラトキャスターの完全解剖DVDが大好評だった。

そして、今度はレス・ポールに関するDVD。
Marshall BlogではShrimpheadsでおなじみ、稀代のレス・ポール弾き、松浦善博が案内してくれる。

10vShrimpheadsでは何種類かのギターを使われているが、確かに松浦さんといえばレス・ポール。実にシックリくるコンビネーションだ。
オガンちゃんの影響なんかもあるんだろうけど、フト気が付くと、何となく関西系の人の方が南部っぽい感じがして、レス・ポール度が高いような印象があるな。
もちろん例外はたくさんあるのはわかっている。
でも、レス・ポールの太く、粘っこく、濃い音色が私にはお好み焼きやたこ焼きを連想させるのである。
ストラトキャスターなんかだと「生そば」とか「江戸前寿司」っていう感じがしない?ネタは「こはだ」とか「サバ」とか「アジ」みたいな光物のイメージを持っているのは私だけであろうか?

20vコレは私のレス・ポール。
約20年前にニューヨークのグリニッチ・ヴィレッジはブリーカー・ストリートにある「Matt Umanov」という楽器店で買った中古品。
このお店はBob Dylanが通ったことでも有名。
まだ、私も若かったんだな…試奏を勧められて店員の前でバリバリ弾いて見せた。
店員があんまり私の腕をホメるもんだから、いい気になって買っちゃった!雰囲気にも完全に飲まれてたな。
その店員、ヤケにホメるなと思ったら、このギター、そいつの委託品でやがんの!
でも、ものすごく軽くて鳴りがよく、とても気に入っていて、「掴まされた」という感覚はまったくない。
その店員に言わせると、ココでしか手に入らないメチャクチャ珍しい仕様で、何しろピックアップはSeth Loverが本当に手巻きしたピックアップが搭載しているということだった。
フレットが減りまくってしまって、今は静養中。

で、このギターの写真(下のものとは異なる)を撮ってLes Paul本人に見せたことがある。
やはり約20年前、その時はもうFat Tuesdayが閉店していて、Lesがレギュラーで出演していたリンカーン・センターの向かいのIridiumでのこと。
彼はもうかなり耳が遠くなっていたが、私が言っていることを解すると、「ありがとう!ものすごくきれいなギターだね!」と言ってくれた。
そして、裏面にサインを入れてもらった写真はどこへ行っちゃったかナァ~。ここでお見せしたくてずいぶん探したんだけど出て来なかった。
また忘れた頃どっかからポロっと出てくるはず。

40vさて本題。
コレがその松浦さんのDVD。
すごく面白かった。
歴史や裏話、関連ミュージシャンの興味深いエピソードを交えてレス・ポールにまつわる情報がふんだんに盛り込まれている。
ちなみにジャケットやブックレットには私が撮った松浦さんの写真を採用していただいた。

50dvd_2もちろん模範演奏もタンマリ。
サブタイトルにあるように、ゴキゲンなヴィンテージ・トーンで、渋いブルース・ロック・フレーズをバリバリ弾いている。
やっぱりヴィンテージ・トーンってのはいいね。コレハ音がいいだけでなく、その時代の音楽自体がいいということでもある…ということを忘れてはなりません。
だって、今テレビに出ているようなバンドさんがビンテージ・トーンでフォークまがいの音楽をやっていてもヴィンテージ・トーンの魅力は伝わらないでしょ?

そうそう、日本では判を押したようにブルースやブルース・ロックというとキマってアルファベットの6番目の文字から始まるアメリカの有名ブランドのコンボを使うけどね、言っときますけど60年代後半にイギリスでブルース・ロックが猛威を振るった時、Marshallはスタンダードなギター・アンプのチョイスだったんよ!
もちろんその理由の一番はEric Claptonの影響。そしてMarshallの方が安いということもあった。
170v
今、58年のレス・ポール・スタンダードって2,800万円とかするんだって?
私が若い頃は1,000万円ぐらいで、それでもビックリ仰天したもんだけどね。
でもね、そんなお宝ギターも、ちゃんとしたアンプがなければ意味がないんよ。
もちろん素敵なヴィンテージ・トーンを出すなんてことも無理。
今はデジタル技術が進んで、ギター・アンプの類がどうにもヘンテコリンな方向に進んじゃっているけど、どんなにデジタル技術が進化しても、さっきのBirdみたいに、ホンモノのいいギターとアンプの組み合わせが出すいい音を超えることは絶対にできないだろうし、またトレンドも変わることだろう。
そんなことを熟知しているかのように、DVDの中で使った松浦さんの選んだアンプは…

30

Marshall JTM45 Offsetのリイシューだった。
以下の写真はMarshall Museum Japan蔵のアイテム。

50いわずと知れた1962年に誕生したMarshallの第一号機がJTM45。そのリイシューだ。

55世界でアメリカで250台、日本で50台のみ販売された超レア・アイテム。
なぜそのレアぶりを強調するのかというと、Marshallは「二度と作らない」と決めこんでいるので、世に出回った300台かオリジナルを手に入れる以外、将来ゲットする方法がないからだ。
いうまでもなくオリジナルのOffsetなんて言ったらアータ、58年のレス・ポールまではいかないにしても、その値段たるや目の玉が飛び出すことは間違いない。

60マァ、とにかく素晴らしい。これぞ「いいギター・アンプ!」としかいいようがない。
音だけでなく弾き心地も夢心地。
どういう感じかと問うばらば、「あ~、ギターをやっていて本当にヨカッタ!この世に生まれて来てヨカッタ!」と思わせてくれるほど。
でも、ギターがなければただの箱。重い箱。ギターとギター・アンプは最も仲のいい夫婦なのだ。

70最近のギターをやっている若い人たちはアンプを持たないことが多いと聞く。
やっぱりギターを志したからには、こうした優れた真空管のギター・アンプでお気に入りのギターをかきならす快感を知って欲しいものだ。

80利便性や流行を追いかけるのもよいし、楽器を嗜むうえで道具に凝ることがひとつの大きな楽しみであることもよく理解している。大いにやればいい。新しもの好きはごく自然な人間の性だ。
ただし、それをやるのは、本当にいい道具を味わってからでも遅くあるまい。
ナニをやるにもオリジナルのスゴさを知っておくことは大変重要なことだと思う。
このJTM45 Offsetのリイシューはそんな体験をさせてくれる稀有な製品だった。

90そんじゃ私がコレをゲットしたかって?答えはノー。
そりゃ欲しかったよ。価値を考えればそれほど高い買い物でもなかったし、お金のことならナントカなる。誰かに借りてもいいし、分割払いで買うこともできた。
でもね、問題は置き場所なんですよ。
1960ほどでないにしても、やはり4x12"キャビとなれば大きいからね。
昔、1959と1960AXを自分の部屋に入れていた時期があったけど、デカい、デカい。ライブハウスなんかでは小さく見えるMarshallもイザ民家に入れてみると実に巨大なのだ。
でもさ、この松浦さんのDVDを見ていたら、後悔の念が湧き上がって来ちゃたよ!
♪もしかしてだけど…場所だってナントカなったんじゃないの?…って!

100せっかくだからもうすこしJTM45を…。
これは1962年製のオリジナルJTM45 Offset。

110世間では目の玉が飛び出すような値段がついている。

120こちらは1964年製のPA用アンプ。

130裏面には電源ケーブルやスピーカー・ケーブルを収納するためのキャビティがついていた…というかスキ間があった。
シャーシが端っこに設置されてたからね。だから「Offset」。

140シャーシを取り出したところ。

160回路の状態。

170さらに、ついでに、もうチョットJTM45をさかのぼろう。

180Marshall社のミュージアムに展示されているシリアルナンバー1番のJTM45。

190見ただけでヴィンテージ・サウンドが聞えてきそう。完動品だ。

200回路はこんな感じ。

210JTM45についてはここではこれ以上詳しく触れない。
興味のある人は是非下の拙著をご覧頂きたい。

Marshall Chronicle (シンコーミュージック・エンタテイメント刊)

Mc_2アンプ大名鑑[Marshall編](スペースシャワーブックス刊)

220book本当はDVDの内容ももっと詳しく書きたいんだけど…ガマン、ガマン。
ひとつだけ…DVDの中で松浦さんはJTM45のセッティングを変えて実際に演奏し、音色について語ってくれたりしている。
おススメです。
あ~、弾きたくなってきた!早くレス・ポールのリフレットしてもらわなきゃ!

50dvd_2

松浦善博の詳しい情報はコチラ⇒松浦善博オフィシャルサイト

DVDの詳しい情報はコチラ⇒アトスインターナショナル公式ウェブサイト

230v(一部敬称略 ※協力:Marshall Museum Japan)

2014年11月19日 (水)

猫騙(ねこだまし)

今日は初登場のバンド、「猫騙(ねこだまし)」。
「猫騙し」というのは相撲の立会の時、激突する寸前に相手の鼻っツァきでパチンと手を打つヤツね。
一般的に、どう考えても体力的にはかなわないようなデカい力士を相手にするときに使用される小兵力士のための奇策とされている。
相手がビックリしているスキに何とかしちゃおうという作戦だが、相手がまったく反応しなかったりすると、一気に無防備になってしまい、簡単にすっ飛ばされてしまうかもしれないという「一か八かの」あるいは「ノルかソルか」のスリリングかつギャンブル性の高い小ワザなのだ。

昨日のデーモン閣下(姿は見えないけど)に続いて相撲の話題になるなんて何かの符号かな?

さて、こちらの猫騙は、2006年に元WANDSの上杉昇が結成した「エスニック・ファンクロック」を標榜するバンドだ。
そのレコーディングにNATAL起用され、現場にお邪魔してきた。

10ドラマーは安部川右亮。

20vキットはメイプルのメタリック・ホワイト。

30コンフィギュレーションは12"、13"、14"、16"、22"。

40それに14"x5.5"のスネア。

50v「鳴りが良く、音質も申し分なし!」と大変に高いご評価をいただいた。

60そして、レコーディング。
ドライブ感あふれるソリッドなサウンドが気持ちいい!

70vそして、この時の音源3曲がシングル『PROTOTYPE CD4』として10月1日から配信開始となった。
ドラムはNATALサウンドだよん!

80cdそして、そのレコ発ライブが10月11日に開催された。
この日はガッツリと先約があって遠方へ赴いていたので私はお邪魔できなかったのよ~、悔しいですッ!

90でも、minzoku、すなわち安部川さんが写真を送ってくれた。
同じくメイプルのシー・スパークルのキットでプレイするminzokuさん…カッコいい!
この写真だけでもライブの熱気が伝わってくるというものだ。

これからも活動に期待している。

100猫騙の詳しい情報はコチラ⇒Official Web Site

110NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)

NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 ライブ写真提供:安部川右亮氏)

2014年11月 3日 (月)

Holy Winter~Kelly SIMONZのクリスマス・アルバム

テレビや新聞で盛んに報じていたが、最近のハロウィンの喧騒ぶりはなかなかにスゴイものがありますな。
様々な出で立ちで街を行き交う姿を目にするのはにぎやかで楽しくなくもないが、このイベントの意味を正しく理解している若者も少ないだろう。
「ハッピー・ハロウィ~ン」と声を掛け合って自慢の仮装装束を見せ合う若者の多くは毎年10月31日は「コスプレの祭典の日」と思っている人も多いのではないだろうか?「この日だけはコスプレで街を歩いても許される」みたいな…エイプリルフールじゃありませんよ~。
少なくとも私が学生の頃にはこんなトレンドは日本には全く存在しなかったし、「Trick or treat!」の意味を知る者もいなかった。

ご存知の通り、これは古代ケルトに端を発する秋の収穫や悪霊を祓うアメリカのお祭りで、海外では仮装するのは基本的には子供の仕事だ。
それがここ最近、ものすごい勢いで盛り上がるようになったのは、まさしくかつて「万聖節」と呼ばれていたこの異教徒の祭典が、大きなビジネスの対象になると認知されたからであろう。
そして、あの渋谷での乱痴気騒ぎ。昔の若者はあんなことはしなかった。
犬神サアカス團の「VIVAアメリカ」という曲に「♪あなたもアメリカ病、わたしもアメリカ病」という一節が出てくるが、ハロウィンの顛末を見ているとこの曲を思い出すのだ。

我々は、ハロウィンでワケもわからず仮装して大騒ぎするよりも、4月8日が何の日かを先に知るべきだと思うけどね。

一方、日本人に完全に溶け込んだ西洋のお祭りといえばなんといってもクリスマス。
こちらはビッグ・ビジネスの温床としてもはや避けては通れないイベントのひとつになって久しい。

そのビジネスの一環としてクリスマス・ソングがある。
ビング・クロスビーの美声で「ホワイト・クリスマス」を聴きながら、七面鳥を頂き、プレゼントにワクワクする。これがアメリカ人のステレオタイプのクリスマスの過ごし方。
もちろん、BGMはビング・クロスビーでなくてもいいワケで、クリスマス・ソングを集めたアルバムがなんとたくさんあることよ!
クラシック、ジャズ、ロック、カントリー…ジャンルを超越してこれほど素材に供される音楽は、クリスマスとビートルズを除いて他にないだろう。

まさか灼熱のビーチで「そりすべり」を聴く人もいなければ、桜の時期に街で「ホワイト・クリスマス」を耳にすることはまずあるまい。
つまり、このクリスマス・ソング・アルバムが商売になるのは一年に一度きり、クリスマスの前だけなのだ。
にもかかわらずこれほど多くの種類のアルバムが世に存在するのはよほそクリスマスが大きなビジネスになっているということなのだろう。

Bing 私はヘソ曲りで誰もがやることはよしとしないので、どちらかというと「アンチ・クリスマス」派だ。
したがって、クリスマス・アルバムといえば上の『White Christmas』ぐらいしか持っていない。

イヤ、持っていなかった。

それが、今では2枚に増えたのだ。
新しく我が家にやってきたクリスマス・アルバムの送り主はなんとKelly SIMONZだった。
以前よりKellyさんがクリスマス・アイテムの制作に取り組んでいたのはもちろん知っていたが。いよいよ出来上がり、発売直前となった。

それにしてもクリスマス・ソングを料理するのは難しいと思うね。
先に書いた通り、すでにあらゆるジャンルの音楽でアレンジされているし、元の曲が宗教歌だけに、何の毒もないアヴァイラブル・ノートだけの音列であることに加え、誰もが知っているおなじみのメロディが多いので自分エッセンスを織り込むことが困難なハズだ。

ただし、やはり曲はどれも素晴らしい。トラディッショナル・ソングは当然だが、Mel Tormeの「The Christmas Song」なんてのは名曲中の名曲だよね。もっとも私がこの曲を好きなのはクリスマス臭さが希薄だからなのかもしれないが…。

Xcd Kellyさんのクリスマス・アルバム…どうやってスタンダード中のスタンダードを料理したのか…楽しみだ。
コレがKelly SIMONZのクリスマス・アルバム『Holy Winter』。
実は、私は勘違いをしていて、クリスマスのコンピレーション・アルバムに1曲とか2曲で参加している…そんな企画かと思っていた。それにしてはずいぶん長いこと根を詰めて取り組んでるな~と不思議に感じていたところ、出てきたのがフル・アルバム。
コンピレーションどころか収録された全15曲、すべてKellyさんのパフォーマンスじゃないの!
なるほどコレは大変だった!

ホッコリしたジャケットのイラスト。
冬は好きだ~。このジャケット、真夏には一種の清涼剤になるかもしれないよ。

10cdいかにもKellyさんらしい壮大にオーケストレーションを施した「Joy to the World」で幕を開けるこのアルバムは、おなじみのクリスマス・ソングと2つのKellyさんのオリジナル曲で構成されている。

20まるで1曲目の第二楽章のようにするどく切り込んでくるアップテンポのパワー・コードの刻み。
そしてオクターブで奏でる「White Christmas」の美しい旋律。
こうした手法は誰しも知っているメロディをロックにする時の常套手段だが、ヘタをするとパンクになってしまう。イヤ、逆か?パンク・ロックがそうしたスタンダード曲を演っているのか?
いずれにしても、めくるめくテクニックで「白いクリスマス」を「銀(メタル)のクリスマス」にうまく塗り替えた。楽しそうに弾いているKellyさんの姿が目に浮かぶな…。

30v続く「Ave Maria」にはナイロンによるVerseがつけられていると思ったら、この「Ave Maria」は17世紀のイタリアのカッチーニの「Ave Maria」。知らなかったッチーニ。いつもの「Ave Maria」ではない。
この曲、おっそろしくJerome Kernの名曲「All the Things You Are」に似てるな~。というか一部コード進行が同じだわ…ということは~?
かの大作曲家Jerome Kernがパクったのかと思ったら、なんと、この「Ave Maria」は1970年代にロシアのウラジミール・ヴィヴァロフという人がカッチーニの名前をかたって世に出したらしい。
要するに逆佐村河内状態。そして、「All the Things You Are」は1940 年代の曲なので、Jerome Kernの方が先ということ。もっともこのロシアの人が「All the Things You Are」を真似たかどうかは知らないが、ジャズを知っている人なら、この曲を聴いたら絶対にギョっとするハズ。
あ、いかんいかん脱線しちまった。
Kellyさんのアコースティックはエレキの時の正反対で、ナイロンを弾いても、スティールを弾いてもとてもやさしい響きがする。

40大きな聴きどころのひとつはアルバート・ケ・リー。ワザワザTelecasterを用意して吹き込んだカントリー調の「Winter Wonderland」。
ダブル・ストップを使ったテーマと爽快なソロはDanny Gattonもビックリ?!

60
そして、2曲のKellyさんのオリジナル曲。「All In One Piece」はアコースティック・ソロによるあたたかくやさしい一編。
そして、「H-I-K-A-R-I」はKellyさんが内面のすべてをさらけ出しているかのような深遠な演奏。ほとんどただメロディをなぞるだけというストレートさが感動を誘う。
70
「When You Wish Upon a Star」、「Amazing Grace」等アルバムのコンセプト上どうしても静謐なテイストの曲が多いがどれもKellyさんのギター魂を詰め込んだ入魂のパフォーマンスが全15曲で展開している。
80
とはいえ、「We Three Kings of Orient Are」のようにダークなイメージでKelly節をしっかり聞かせてくれたりもする。
とにもかくにもノリにノっているKellyさんの今とアイデアと普段とは違ったギター・テクニックがテンコ盛りになった力作だ。
あとひと月とチョット、へヴィ・ローテーションで12月24日と25日は「Guitar Christmas」とキメ込んで欲しい。

50v2014年4月5日に開催された東京キネマ倶楽部でのコンサート『BLIND FAITH The Brave New Wolrd Order 2014』 を収録したDVDも好評発売中だ。

Dvd

『Holy Winter』は2014年11月5日の発売。

Kelly SIMONZの詳しい情報はコチラ⇒Kelly SIMONZ Official Website

10cd_2

※本稿に掲載されているの写真はすべて9月28日に開催された『Guitar☆Man#19』で撮影したものです。
Kellyさん出演の『Guitar☆Man#19』のレポートも近日中に登場します。乞うご期待!

2014年7月28日 (月)

原田喧太のDVD~GUITAR CIRCUS 2014

先日レポートした原田喧太のソロ・ライブ『GUITAR CIRCUS 2014』がDVDになった!
このことはショウの中で喧ちゃん自身が触れていたが、いよいよ昨日発売となったのだ。

これがそのDVD。
ん~、まずはジャケ写がよい!アレ?どっかで見た感じのヤツじゃん?…という方はご名答。
ハイ、恐れ多くも私めの写真を使っていただいております。

Kenta_dvd Marshall Blogではすでにレポートを掲載したので、内容についてはここではツベコベ言わず、制作したアトス・インターナショナルさんの惹句を引くことにしよう…

「その実力と個性でミュージック・シーンに欠かせないギタリストとして大活躍中の原田喧太の2014年のソロ・ライヴを収録。
バックを固めるのは、ドラムにそうる透、ギターに伊藤可久、ベースに太田要、そしてゲスト・ギタリストにはジョン・メイヤー等海外の有名ギタリストが師事するTomo Fujitaを迎え、スリリングで大胆、且つ繊細なギター・プレイを聴かせてくれる」

これでいいのだ。
DVDの詳しい情報はコチラ⇒アトス・インターナショナル公式ウェブサイト

尚、Marshall Blogの記事はコチラをご参照あれ!⇒原田喧太~SOLO LIVE 『Guitar Circus 2014』

せっかくだから、喧ちゃんが登場した主なMarshall Blogの記事を振り返ってみよう。
すでにご覧になっている方もゼヒ再チェック!見てない人は要チェック!

★まずはコレ。20年目を迎え、幕を閉じる日本を代表するロック・イベント。今年も喧ちゃんは出演するよ。
CLASSIC ROCK JAM 2013 -王道回帰- アメリカン・ロック・ナイト<前編>    
CLASSIC ROCK JAM 2013 -王道回帰- ブリティッシュ・ロック・ナイト<前編>   

50v ★そしてコレ。日本の美しいメロディを名手たちがギターで奏でるCDのライブ版。再演が望まれるイベントだ。
LIVE ROKUGENSHIN~ROCK DAY <前編>    
LIVE ROKUGENSHIN~ROCK DAY <中編>  

190 ★これは感動的だった!桑名正博氏を偲んで集まった人気ミュージシャンたちの饗宴。
マサヤン天国ロック生誕60祭 ~HeavenS MASAYAN ConnectioN LIVE 2013~<前編>
マサヤン天国ロック生誕60祭 ~HeavenS MASAYAN ConnectioN LIVE 2013~<後編>

370 ★今年も大ツアーを敢行しているDAMIJAW。おかまいなしに暴れまくる喧ちゃんが見事!
DAMIJAW 47都道府県 tour“Be with You!!!!!”2~原田喧太 Plays Marshall!

120v …とことあるごとにMarshall Blogに登場してくれる喧ちゃんは日本のMarshallになくてはならない存在なのだ!

原田喧太の詳しい情報はコチラ⇒原田喧太Official Web Site