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2017年4月 4日 (火)

THE CLASSY ROCK GIG / Koki Tetragon <中編>

さて、いよいよ始まったKoki Tetragonの「THE CLASSY ROCK GIG」。
昨日も書いたように、ライナー・ノーツに記したことをココで繰り返したくはないのだが、ま、ほんの少し重複させて頂くことをお許し願いたい。
  
今回もバンド名をつけることになって、私の方から「Koki Tetragon」という名前を提案させて頂いた。
「4人」、「40周年」と、「4」にちなんだ名前がふさわしい…というお題を頂戴していた。
とくれば「Quartet」というのが最も一般的だ。
でもそれでは面白くも何ともない。
そこで「四角形」の意味を持つ「テトラゴン」という単語が思いついた。
怪獣みたいで強そうでしょ?

10v実うぃ言うと、この単語はいきなり頭に浮かんで来たモノではなくて、テナー・サックスの名手、Joe Hendersonの1968年のアルバム『Tetragon』が先に脳裏をよぎったのだ。
Marshall Blog読者ならAllan Holdsworth好きの方も多かろう。
彼が独自の解釈でジャズのスタンダードを演奏したアルバム、『None Too Soon』に収録されている「Isotope」と「Inner Urge」はJoe Hendersonの作品だ。ナゼにAllanがジョーヘンの曲を2曲も選んだのかが知りたいところだが、理由は不明。ま、好きなんだろうね。ちなみに『None Too Soon』はDuke Ellingtonの曲、「All Too Soon」のモジリだ。
渡辺香津美さんは17歳の時にリリースしたデビュー・アルバムでこの「Isotope」を演奏している。
この『Tetragon』、学生の時に聴きたかったんだけど、当時はLPからCDへの移行期で、どうしても手に入らなくて臍を噛む思いをした。
それだけに「tetragon」という英単語が印象に残っていたというワケ。今はCDで入手できるようになったが、結局いまだに聴いたことがない。

Tetr もうひとつ、ナゼゆえ今回のような狭隘なスペースでライブ・レコーディング並びにビデオ・シューティングをしたのか…コレもライナー・ノーツに書いたんだけど…。
それは、演者と観客がフレンドリーな空間でしか起こりえない「音楽の化学反応」のようなものを記録したかったからだ。
もちろん、音楽の化学反応を起こさせるにもってこいの材料と道具が用意された。
15_2そして、見事にその化学反応の瞬間をとらえたのがこのCD『The Classy Rock GIG at Yokohama STORMY MONDAY』と…20_2DVDの『The Classy Rock GIG at Yokohama STORMY MONDAY』だ。

1img_0769 それでは当日の演奏の模様をレポートしていくことにしよう。
オープニングはThe Metersの「Cissy Strut」。

30_cs松川さんのギターのカッティングから始まり…

40v広規さんのベースがそれに絡みつく。

50v_2そして大二さんのドラムスが加わった時には、普通の人ならトリハダが立っていることだろう。

60v_2そして窪田さんの繊細にしてダイナミックなソロ。

70v_21曲目から広規さんのソロもタップリとフィーチュアされた。
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さすが、キャリア40年の重みはダテじゃない!
スラップもハーモニクスも出てこないベースらしい王道ソロだ。
しかし、音がいいナァ~。広規さんとMarshallのコンビネーションの音だ。

76v昨日も記した通り、今年は広規さんの音楽生活40年の大きな節目の年だ。
3年前にはMarshall Blogでもレポートした還暦のお祝いを開き、今年は40周年。
ノリにノッてる広規さんなのよ!

そうそう、最近こういうのを教わった。
Marshall Blogに登場するARESZという大阪のへヴィメタル・バンドのシンガーの瑠海狐(るみこ)さんが曲間のMCでこうガナリたてる…「女は80歳~、男は110歳からぁ~!!』…コレが気に入っちゃって!
瑠海狐さん的には人生のスタートラインは、女は80歳。そして、男は110歳からで、皆さん、まだまだ人生が始まってないですよ!スタートラインにも立ってないですよ!…ということ。
長ェ助走だな~。私ですら人生のスタートまで50年以上あるわ!
でも、なんか元気が出てくるセリフだな…と思って気に入ってるの。
ケンタッキー・フライド・チキンのオッサンも60歳になってアレを興したっていうもんね。
80 2曲目はRobert JohnsonのオリジナルをEric Claptonが『461 Ocean Boulevard』でカバーした「Steady Rollin' Man」。

90v_srmCDでも2曲目に収録されている。
広規さんは1曲目が終了した途端、「固いね~。緊張したときはHなことを考えればいいんだよ~」なんて変なアドバイスをされていたが、果たしてそうかな~?
早くもなかなかのレイド・バック状態で演奏を練り上げた。

100_2窪田さんの音頭でお客さんと「カンパ~イ」!

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こんなことアータ、東京ドームじゃできないよ~!
「音楽の化学反応」もさることながら、もうすっかりアルコール反応が出ている?
まさに企画の勝利!

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3曲目は「Lady Day and John Coltrane」という曲。
演奏する直前に「コレ、どういうヤツだっけ?」なんてセッション・リーダーである広規さんがおっしゃってマンマとお客さんの爆笑を誘っていたが、コレは私も全然知らなかった。
Gil Scott-Heronという「ジャズの詩人」を標榜する人の作品…と思ったら、ちょっと前にロフト・ジャズの中心人物であったアルト・サックスのArthur Blytheが亡くなり、その調べごとをしていたところ、この「Gil Scott-Heron」という名前を発見した。
ロフト・ジャズの人なのね?
ロフト・ジャズというのは1970年代にニューヨークで起こった、自分たちの解釈で伝統的なジャズを演奏するムーブメント。

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「つらいことがたくさんあるけど、ビリー・ホリディとジョン・コルトレーンを聴くと元気が出るということを歌っている」という松川さんのコメントに窪田さんも「そうかな~?!」
窪田さんに激しく同意。
何か音楽を聴いて気持ちを入れ替えようなんて時にコルトレーンを聴く人なんているのかね?
ミンガスなら経験があるけど。
何しろ「私の人生にレジャーはなかった」と言った音楽の求道者がコルトレーンだ。その音楽を聴いて「修行するぞ!」という気持ちならわかるよ。
香津美さんは後年のフリー・ジャズ期のアルバム『OM』を聴く時、体中に油を塗って電気を消して聴いてみたとかおっしゃっていた。
「何だってでそんなことをしたんですか?」とお訊きしたところ、「イヤ、そうすればコルトレーンの考えていることがわかると思って…」とのお答え。コレは修行の一種でしょう。
私も『Expression』あたりでそれをやってみようかと思っている。
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ハイ、ライナー・ノーツからゴソッと切り捨てたパートにガッツリ加筆してここで大脱線してみたいと思います。
Marshall Blogには滅多に名前が出ることがないJohn Cortraneだからして、ココでロック・ファンの皆さんにおススメの「聴いて元気が出るかも知れない」コルトレーンのリーダー・アルバムの名盤5枚をレーベル別に紹介させて頂こうと思う。
 
【Soultrane】
まずは1959年代後半のPrestige期。
この時期の作品は「ジャズを聴く」という観点ではどのアルバムも楽しい。
「こんなのホントにあんの?」なんて曲がテンコ盛りで勉強にもなるのね。
『Traning In』とか『Lush Life』にしようかと迷ったが、Prestige期最強の人気盤にして名盤の『Soultrane』には負けるか…。

St
【Blue Trane】
このアルバムは今でもよく聴くんだけど、ビートルズで言えば『Sgt. Peppers』、Zappaで言えば『One Size Fits All』、Fleetwood Macで言えば『Rumors』をいつも連想しちゃんだよね。
要するに非の打ちどころがないんだな。
録音は上の『Soultrane』より先なのだが、ズッと先進的なイメージがあるのは曲調もさることながらやはりBlue Noteというレーベルの効果か?
「-trane」だの「Train」だの言っているのは彼のニックネームが「トレーン」だったから。

Bt
【Giant Steps】
Atlantic期。
Elvin不在のRoy Hanesによる「My Favorite Things」がさく裂する『Selflessness』は確かに聴いて元気がでそうな気もするが、やはりコレはハズせないだろう。
2拍ずつ転調する「Giant Steps」のカッコよさもあるが、コルトレーン・スタンダードが数多く収録されているという魅力も捨てきれまい。
この時期、『Coltrane Jazz』も『Coltrane Sound』もいいんだよな~。
この写真!
サキソフォニストの写真を撮る時には必ず何枚か真似してしまう構図。

Gs
【Ascension】
問題はImpulse期。
コルトレーンの代名詞的活動時期なだけにアルバムも宝の山で、一枚を選ぶことに無理があるが、黄金のカルテットの絶頂期とフリージャズをカギに選ぶと自然とコレが浮かび上がらざるを得ないんじゃない?
グジャグジャのフリー状態からイン・テンポになって、猛然とハードにスイングしていく瞬間は何度聴いても感動するわい。
「ascension」とは「上昇」という意味。
あと、『Larks' Tongue in Aspic』あたりのKing Crimsonファンには『Kulu Se Mama』なんかがハマるかもしれない。
どこにでも出てくる『A Love Supreme』や『Live at Village Vanguard』は故意にハズした。

As
【Kenny Burrell & John Coltrane】
最後、5枚目…Marshall Blogなのでギターものを1枚。
Kenny Burrellとの双頭アルバム、『Kenny Burrell & John Coltrane』。
昨日紹介したTommy Flanaganの変形ブルース「Freight Train」はこのアルバムの1曲目。
フリー期のコルトレーンがWes Montgomeryを自分のコンボに誘ったが、「イヤ、無調の音楽チョット勘弁してチョ…」と、断られたという話が残っているが、果たしてコルトレーンってギターが好きだったのかな?
ちなみに、ザッと考えてみると、コルトレーンのリーダー・アルバムに参加しているギタリストって…ひとりもいないんじゃないかな?
さぁ、これで元気になったでしょ?
え、Billy Holidayはどこへ行ったのかって?ごめん、私Billie Holidayって数枚のアルバムは持っていてもほとんど聴かないのですわ。

Kb さて、Koki Tetragon。
「Lady Day and John Coltrane」はこの日一番のアップ・テンポ・ナンバー。
イヤ、スゴかった。
ウネちゃって、ウネちゃって!

150_2

広規さんと大二さんのコンビネーションがすさまじいのなんのって!

Img_0192今、現存する日本のリズムでは最強のチームのひとつではなかろうか?

110v♪チンチキチキチン、チンチキチキチン…「機械じかけのラム」でおなじみの大二さんお得意のシンバル・レガートが気持ちいい~!
ココも間違いなくトリハダ・ポイント。

165広規さんのMCをお借りして、コルトレーンだけじゃなくてLady Dayにも触れておこう。
あ、「Lady Day」というのはBillie Holidayのニックネームね。
ビリーが時の大統領フランクリン・ルーズベルトにちなんで、恋仲だったテナー・サックスの巨人、Lester Youngに「Prez(=President)」というアダ名をつけたところ、レスターはビリーに「Lady Day」というニッネームをお返ししたという。
何でも広規さんがダイアナ・ロスが演った映画『ビリー・ホリディ物語』を観に行った時に併映していたのが『ジョニーは戦場へ行った』だったそう。先に『ジョニー』をご覧になった。
ドルトン・トランボね。
現代は『Johnny Got his Gun』というんだけど、コレ、『Annie Get Your Gun(アニーよ銃をとれ) 』にひっかけていたのかな?
「アニー」はアニー・オークレーという女流射撃名人を主役に据えたミュージカル。
「There's no Business Like Show Business(ショウほど素敵な商売はない)」や「Doin' What Comes Naturally」、英米の子供ならきっと歌える「Anything You Can Do」といった名曲が収められた楽しい作品。
映画はジュディ・ガーランドが体調不良を理由に途中で降板し、ベティ・ハットンが主役を務めたが、ジュディの声でアニーを観てみたかった!
一方、「アニー」ではなくて「ジョニー」…この映画を観たことがある人ならおわかりの通り、そう、あまりに悲惨。
その悲惨なインパクトがあまりにも大きすぎて、広規さんは『ビリー・ホリディ物語』のことをナニひとつ覚えていらっしゃらないという。
わかるわ~。
私が小学生か中学生の時に観た際も二本立てだった。新小岩の西友にあった第一劇場で観たのは覚えているんだけど、もう1本が何だったかをサッパリ覚えていない。
ジョニーが自分の身体の状態を知るシーンはかなりのショックだったし、看護婦さんがジョニーの胸に字を書いて意思疎通を図るシーンは印象的だった。
大人も夢中になってる幼稚なマンガ映画などではなく、戦争によって「ありのまま」ではいられなくなった若者を描いた、こういう悲惨な社会的な映画を今の若い人たちにドンドン見せるべきだと思いますよ。

S41a0495今回のギグはメンバーの楽器の音にも十分に注目して頂きたいのだが、松川さんのギターの音!

170vASTORIA CUSTOMのいいところが存分にフィーチュアされている。
輪郭のはっきりしたクランチ。音の芯の太さはやっぱりMarshallならではのもの。
こんな音をほぼ生音で体験できるのもこうした規模でのライブならではのことだ。

180_2「A」でスローなブルースを1曲。
本番前には「Red House」というウワサもあったように記憶しているが、違う曲だった。
曲名はわかりません。ブルース疎いから。
今度松川さんに訊いとかなきゃ!

190_sb楽しそうに演奏しているのはSteve Miller Bandの「The Joker」。
こりゃタマらん。
アメリカン・ロックをあまり好んで聴かない私だけど、Steve Miller Bandは大好き!

200_jkコレ、平坦な歌詞を覚えるのが結構大変だと思うんだけど、松川さんは正確に歌われていた。

210v_2ギター・ソロガッツリかますちょっとハードな「The Joker」もまたよきかな。

220v松川さんは選曲に歌にギターにと超大活躍!Junichiro Tetragonでもあるぞ!

230_3もちろんこのミディアムテンポの名曲でもグイグイとグルーブを送り込む広規さん!

240v_2それを受けての大二さんのドラムスにうっとり。
叩き手の良さはもちろんだけど、NATALってやっぱり音がいいナァ~。

250v…とここまでで第一部は終了。
前半は割合軽く流した感じ?いえいえ、中身はかなりハードでした。

260_3『THE CLASSY ROCK GIG 』のCDとDVDの発売は明日です! Cddvd

<つづく>

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

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★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
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★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。
詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2017年1月30日 関内LIVE CAFE STORMY MONDAYにて撮影)