THE LOVEROCK VIOLENT & ZEP道楽~乙部ーオトチーヒロ還暦ROCK
NERVOUS BREAKDOWN、THE LOVEROCK VIOLENT、王様、そしてかつてはCALAVERASでMarshall Blogではおなじみのドラマー、乙部ーオトチーヒロの還暦を祝うイベントのレポート第2弾。
2番手でステージに上がったのはTHE LOVEROCK VIOLENTだった。
幻想的なSEがピタリと止んでタイミングよく入って来たのは「臼井OZMA孝文」のベース。
2小節すると本日の主役「乙部ーオトチーヒロ」のドラムスが加わる。
4小節にしなかったこの短さがタマらなくカッコいい!
そして「清水賢治」のオルガンに…
「Atsuo」のギターが加わる。
一心不乱にアコースティック・ギターをストラミングする「木村直樹」。
まずはいつも通りインストから。
THE LOVEROCK VIOLENTのステージのルーティンだ。
この演出がいいのよ。
曲は「No.5」…といってもぺレス・プラードとはゼンゼン違いますからね。
「盛り上がっていくゼ!」
このインストゥルメンタル・ナンバーでもうすでに盛り上がってしまう。
2曲目は「Fallen Angel」。
直樹さんのロック・ボーカルズはいつ聴いてもゾクっと来るね。
やっぱりロックはこういう声で、こうやって歌い方で演って欲しいのよ。
ノッケから「オトチ・ビート」爆発!
Atsuoさんのソロ。
もちろんAtusoさんはいつもちゃんとした使い方でMarshallを鳴らしてくれる。
今日は「JCM900 4100」と「1960A」。
フットスイッチをつないでアンプで歪みを作っている。
だから猛烈に音が太く、そして音ヌケが良いのだ。
しかしカッコいいよな、Atsuoさん。
ストレートな長髪、Marshallにレス・ポールという組み合わせがそうさせるのか、Atusoさんを見るといつもスコット・ゴーハムを思い出してしまう。
ゴーハムよりAtsauoさんの方がカッコいいけどね。
直樹さんの「♪Do what you wanna do」の歌声が何とも耳に残る1曲。
「皆さん、今日はオトチの祝いに駆けつけてくれてどうもありがとう!
オレら、短い間だけど最後まで楽しんでいってください!」
正装の直樹さん。
以前からズッと気になっていたのが、このゼムクリップのような直樹さんのスーツのガラね。
アルファベットがプリントされているのかと思っていたらそうでもないのね?
こんなの直樹さんじゃなきゃ着られないよ。とってもよくお似合いだ。
私が着ているところを想像してご覧よ。
この模様が広がって全部「〇」になっちゃって…我ながらオモシロイわ。
パワフルなバンド・アンサンブルでスタートする3曲目。
サングラスをハズした直樹さんが歌うのは「激情」。
♪ズンズンガンガラ、ズンズンガンガラと猛り狂うオトチ・グルーヴが気持ちいい!
ディレイを少し深めにかけたAtsuoさんのソロが炸裂。
直樹さんが「♪堕ちていく 堕ちていく」と歌うパートがすごく好き。
清水さんのピアノからスタートするバラードは「異邦人」。
手を上げて徹底的に感情を移入して歌い込む直樹さん。
OZMAさんのスケールの大きいベース・ラインが曲をドラマティックに演出する。
こうした曲には欠かせない「泣きのギター・ソロ」はAtsuoさんがバッチリとMarshallでキメてくれた。
やっぱりチャンと使った時のMarshallサウンドは無敵だわ。
思い入れタップリの直樹さんの熱唱が聴く者に大きな感動を与え…
曲は再び清水さんのピアノで幕を下ろす。
「今日はもう雨止んでますよね?
昨日も降っちゃって…ウチは、ホラ、いるから。
まだいるんですよ、雨男と雨女が。
っつーことは×2とか×3で考えなきゃいけないと思って覚悟して来たんですけど、×1ぐらいで済んでヨカッタ。
「なんの話?」
「マァマァ…嵐を呼ぶ男OZMAです!」
ココで乙部さんの還暦をみんなでお祝いしよう…と、直樹さんとお客さんのコール&レスポンス。
「♪オ~トチ~、おめで~とう」
「♪オ~トチ~、おめで~とう」
バス・ドラムを踏みながらみんなの祝福を一身に受け止める乙部さん。
「♪オ~トチ~を祝おう」
「♪オ~トチ~を祝おう」
そのまま曲は「Escalation」へ!
コレも好きな曲。
実は私は時々「♪エ~スカレーション、エ~スカレーション」と直樹さん気分で口ずさんでいる時があるのだ。
しかし、カッコいい声だナァ~。
直樹さんのストラミングのピックアップ・ソロ。
続いて展開していくインストゥルメンタル・パートがことの他カッコいい。
再びそのまま続けて乙部さんのビート・スタートで次の曲が始まる。
ギターを降ろした直樹さんがシャウトしまくるのは「She's so Good」。
リズムから曲想からLOVEROCKテイスト満点の1曲。
メンバー紹介を兼ねて全員のソロがフィーチュアされた。
「オン・ギター、Atsuo~!」
「今日の主役!オトチがイクぞ~!」
「嵐を呼ぶ男、オン・ベースOZMA!」
「オン・キーボード、清水賢治!」
このバンドは直樹さんの歌の下、メンバーそれぞれの持ち味がとてもいい具合に発揮されていて、
ショウのつくり方も上手だし、ポップさとロックさが絶妙な匙加減でミックスされている曲もいいし、とても魅力的なバンドだと思うのです。
去る5月18日、LOVEROCK VIOLENTはニュー・アルバム『COLORS』を発表した。
それに関してアルバムの視聴会の開催やツアーを案内。
続いて…
「乙部さんの赤い帽子…チャーミングじゃないですか?
実はボクが乙部さんのファンの方から預ったんですよ。
わざわざオーダーで作ってもらったらしいですよ。
見ていてわかると思うんですが、彼はLOVEROCKの中ではマスコット的な役割というか、かわいらしいじゃないですか…カッコいいって言った方がいいのかな?
かわいいヤツなんですよ。だからツアーになると必ずイジくられる。
どんだけイジられるかを個人的にすごく楽しみにしているんです」
そのプレゼントの赤い帽子をかぶってご満悦の乙部さん。
ジョン・ボーナムゆずりのボーラー・ハットもいいけれど、この赤い帽子もとてもお似合いですぞ!
ココでOZMAさんのMC登場。
恒例の「Atsuoさん殺害計画」で大爆笑が沸き上がった。
「殺意を憶えたことは、2度3度。京都ではひき殺しそうになりました。
みんなで機材を降ろしてる時に、角で隠れて待っていて、終わった頃を見計らって、こんな風(髪を指でサラっとなびかせる仕草)にしながら『降ろしました?』やて。
見てたやろ?殺す!
機材車でそのままひき殺しそうになりました」
「マァマァ、すごく仲良いですから…ね!
そんなLOVEROCKがツアーに出ますのでよろしくお願いします」
続いて直樹さんの弾き語りから始まる『COLORS』に収録された「彼方」。
作者は乙部さん。
イメージだけでモノを言ってはいけませんが、おおよそドラムスの人が作った曲とは思えない心おだやかな1曲。
清水さんの分厚いキーボードをはじめとしたバックに支えられて…
直樹さんが切々と歌い上げた。
LOVEROCK VIOLENTの出番最後の曲は「MISERABLE」。
前の曲とはガラリと雰囲気を変えたイケイケ・ナンバーに大盛り上がり!
そのまま続けてエンディングのインストゥルメンタル・ナンバー「Rage」へとつなげた。
そして、最後はいつも通り直樹さんのジャ~ンプ!
「ありがとうございました!」
THE LOVEROCK VIOLENTの詳しい情報はコチラ⇒OFFICIAL WEBSITE
LOVEROCK VIOLENTの屋台村。
この日は10日だったので『COLORS』はまだ店頭に並んでいない。
コチラはおとなりの「ZEP道楽」の屋台村のようす。
そしてこの日のトリ、その「ZEP道楽」がステージに上がった。
見ても聴いてもわかるようにレッド・ツェッペリンのサウンドを追求するチーム。
もちろんオープニングは「Rock and Roll」だ!
ロベルト岩崎
Motoi
ジョンジー中野
そして本日の主役3回目の登板、乙部ーオトチーヒロ。
続いて「Celebration Day」。
中学生の時、あのライブ・アルバムが出てすぐに「石丸電気のレコード館」へ買いに行ったっけナァ。
この「Rock and Roll」からこの曲につながる流れにエラく興奮したものだった。
そして「Black Dog」が続いた。
Motoiさんは「JVM210H」と「1960A」を使用。
驚いたのは新しいペダルがボードに入っていたこと。
コレをプリアンプとして使用していた。
「アリガトウ!
改めて乙ちゃん、還暦おめでとうございます。
コレを叩くためだけに生まれて来た男!
コレを演らせたら世界で1番上手いんじゃないかと。
いつも3時間半ぐらい演っているZEP道楽にしては短いんですが、最後までよろしくお願いします!」
レッド・ツェッペリンについてナニか書きたいとも思うんだけど、乙部さんがサポートしている王様の『レッド・ツェッペリン研究会』のライブ・レポートの時に「私の研究結果発表」としてほとんど全部レッド・ツェッペリンに関するウンチクを吐き出してしまったので今回は書きません。
その記事はコチラ。
↓ ↓ ↓
①直訳ロッカー 王様『ツェッペリン研究会ライヴ 』<前編>
②直訳ロッカー 王様『ツェッペリン研究会ライヴ 』<後編>
ひとつだけ…もうとっくの昔に辞めてしまったんだけど、Marshallにとても仲のいいエンジニアがいた。
ニューカッスルの出身で大のレッド・ツェッペリン・ファン。
彼は何回かツェッペリンを観たそうだが、『Physical Graffitti』を発表した頃、地元ニューカッスルで観た時の演奏は腰を抜かすほどスゴかったそうだ。
とにかく音のデカさに押しつぶされそうになったという。
向こうの電圧は230Vでしょう?
もうMarshallの音が日本とは全く違うんですよ。
そして、やっぱりジョン・ボーナムのプレイが最高だったそうだ。
今、その友人はAC/DCのブライアン・ジョンソンが在籍していたことで知られる「Geordie」というバンドでギターを弾いている。
「Geordie」というのはニューカッスル出身者のアダ名。
リバプールは「Scouser」、バーミンガムは「Brummie」、マンチェスターは「Mancunian」、ロンドンは「Londner」他いろいろ。
以上、ご参考まで。
Motoiさんがダブルネックに持ち替えて「The Song Remains the Same」。
乙部さんの気魄が生半可じゃないわ!
曲を重ねるごとに入り込んでいく感じ?
そもそも「ZEP道楽」というチーム名は「ZEPドラッグ」のモジリなんですってね。
ウマいな。完全に「アディクテッド」ですな。
アレ?
客席の一番前で「KANREKI60オトチ」と書いた派手なウチワを手にした女性は……LOVESTORMのYuko-rinさんではないの!
何でも気合を入れて真剣にZEP道楽を観ていたのでこんな固い表情だったとか。
ウチワは隣に座っているお友達が作ってくれたのだそうだ。
強力な乙部さん応援部隊だ!
「どうですか、皆さん?コレが乙ちゃんの本来の姿ですよ!
次は去年の秋に演ったんですが滅多に演りません。
でも、ホントに乙ちゃんじゃなきゃ出来ない。
日本にはレッド・ツェッペリンのコピー・バンドがい~っぱいあるけど、コレを演ってるのは絶対ウチしかいません!」
「ありがとうございます。
長々とやっていて、やっぱり身体の中に入っているのがボンゾ。
せっかくのメモリアルな機会ですから特別なことをしようと…マァ、リズムのソロなんです。
ほとんど針の穴に糸通すようなフレーズばっかし…出来る限り演ってみます。
途中で失敗しても笑ってください。
出来る限りのことは演りますので…」
キーボーズに転向した中野さんと乙部さんだけで演奏するのは『CODA』に収録されている「Bonzo's Montreux」。
本家も完全に再演したことがなく、1977年に本人が「Moby Dick」のソロの中でその一部を演奏したことがあるにとどまっているのだそうだ。
それを乙部さんが丸々演奏してしまったというワケ。
スイスのモントルーのスタジオで録音したジョン・ボーナムの演奏にジミー・ペイジが後からスティール・ドラム他の音を重ねたりした打楽器曲。
集中力のカタマリのような乙部さん。
「集中力」といえば中野さんもスゴイ!
楽譜のようなモノからほんの一瞬たりとも目を離さずに指と足で鍵盤を操った。
ジョン・ボーナムになり切っての狂熱のパフォーマンス!
客席から大きな歓声が送られた!
ちなみにジョン・ボーナムが使っていたコンガはNATAL製でした。
「長いことお付き合い頂いてありがとうございます。
右足がツってしまいました。
大変なことになってしまいました」
♪ドドドドンドドドドとズ~っとバス・ドラムを踏み続けですからね、大変なことです。
そういえば、ジョン・ボーナムの訃報が新聞に出た日のことを覚えているナァ。
私は高校3年生で、物理の授業中、「先生!ジョン・ボーナムが死んじゃいましたよ!」と言うと、若い三井先生は「え?レッド・ツェッペリンのか?」と驚いていたのがとても印象に残っている。
乙部さんの大熱演の後はシブ~く「Since I've Been Loving You」。
そして最後はハデに「Achilles Last Stand」で締めくくった。
「皆さん、ありがとうございました!」
乙部さん、3バンドをめでたく完走!
お疲れさまでした!
するとケーキを手にしたRiekoさんがステージ袖から登場。
還暦祝いのケーキだ!
大きなリボンでナントかわいいことよ。
一気にローソクを吹き消して…
乙部さんからお礼とご挨拶。
「ありがとうございます。
遅くまで付き合って頂いて本当にありがとうございました。
『健康で叩いていられる』ということは、ZEP道楽をはじめ、NERVOUS BREAKDOWN、THE LOVEROCK VIOLENTというオレにとって『かけがえのないバンド』ということなんですね。
売れたいですね…アハハハ!これだけガンバっているんだからね。
17歳の時にドラム初めてスティックを握って、これまでいろんな所を旅してきました。
これからも続いていくと思います」
「もう60ですのであと10年か20年ぐらいしたらおサラバだとも思うんですが、それまでは手を抜かずにガンバります。
音楽のお友達に巡り合えたことに感謝しかないです。
また聴いてくださるお客様のお陰でドラムスを叩くことができるという環境も本当にうれしく思います。
今日はZEP道楽が始まった頃は右足がずっとツっていて、左手がパキって全く動かなくなってしまったのでちょっとゴマかしながら色々やっていたんですが…マァ、年齢なんでしょうがないですね。
コレを機にまたLOVEROCK VIOLENT、NERVOUS BREAKDOWNをよろしくお願いします。
カレコレ20年ぐらいやっているZEP道楽もよろしくお願いします。
長々と遅くまでお付き合い頂きまして本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願いします!」
アンコールでもう1曲、あのカウントを乙部さんが再現して「The Ocean」を演奏した。
「ありがとうございました!」
ZEP道楽の詳しい情報はコチラ⇒OFFICIAL X
最後はみんなで記念撮影。
乙部さん、おめでとうございました!
<おしまい>
(一部敬称略 2025年5月10日 巣鴨獅子王にて撮影)