激突 vol.7 RYOGOKU GRAPPING 両国でロックがっぷり四つ~NERVOUS BREAKDOWN
『激突 vol.7 RYOGOKU GRAPPLING』のレポートの最終回はイベントを主催するOZMAさん率いるNERVOUS BREAKDOWNのご登場だ。
今回もイベント冒頭のOZMAさんの前説からスタートしよう。
「僭越ながら最後に登場させて頂くのがNERVOUS BREAKDOWNでございます。
バンドTシャツ絶賛発売中でございます…私がモデルとして今着ております。
コレが1番新しいんですが、この前のヤツ、さらにその前の前のヤツまで残っておりますのでもう言い値で売ろうかと思っておりますよ…そんなワケない!
でも昨日、新潟でホントに『言い値でいいから!3円でもエエ!』って言うたんです。
ところが新潟の人たちはホンマに3円でも買わんかった…よほどツラいことがあるんでしょうね。
そういうことになってます。
NERVOUS BREAKDOWNのセカンド・アルバム『BREAKOUT』も絶賛発売中ですのでTシャツとセットでお買い上げになって頂ければすぐに帰ってもらっても大丈夫です。
イヤイヤイヤイヤ、最後まで残っていてくださいよ!」
そう、NERVOUS BREAKDOWNはセカンド・アルバム『BREAKOUT』のレコ発記念ツアー中だったのだ。
まさにこれから始まるステージを暗示するかのようなハードなオープニングSEに導かれてステージに登場したNERVOUS BREAKDOWNの5人。
まず演奏したのは「I Don't Care」。
Rieko
臼井'OZMA'孝文
Shinji
akko
Otochi(以下「乙部さん」)
ヘヴィでファンキーなバンド・アンサンブルにパンチーな歌声。
さっそくNERVOUS BREAKDOWNの魅力が大爆発!
矢継ぎ早に2曲目に突入する。
OZMAさんとShinjiくんがオクターヴ・ユニゾンで奏でるヘヴィなリフ!
ク~、コレは無条件でカッコいいというものでしょう!
OZMA-Xもそうなんだけど、ホント、OZMAさんの曲はわかりやくて、楽しいだけでなく、「ロックはこうあるべき」みたいな伝統を感じさせてくれるところが素晴らしい。
やっぱりロックがもっともクリエイティブだった1960~70年代の血脈を携えているからだろう。
それを乙部さんがグイグイと攻め立てる。
Riekoさんが凛々しく歌い上げるのは「Love Into the Fire」。
akkoさんのオルガン・ソロから…
Shinjiくんのギター・ソロへ!
もちろんShinjiくんはMarshall。
今日は「JCM2000 DSL100」と「1960A」。
このコンビネーションで相変わらずの「Marshall+ストラトキャスター」のお手本のようなサウンドを聴かせてくれる。
2曲目にしてまるで佳境に入ったかのような盛り上がり!
ちなみに「佳境」という言葉は「最後の方」という意味ではありませんからね。
「何とも言えず素晴らしいところ」という意味。
そうした見せ場はショウの最後の方に持ってくるのが普通なので、「佳境=最後の方」と思っている方が多いようだ。
金田一さんに確認したワケではないが、MCで「さぁ、今日のライブも残すところ3曲となって佳境に入ってまいりました!」とやるのはおかしい…ハズ。
「こんばんは!NERVOUS BREAKDOWNと申します。
今日は『体育の日』改め『スポーツの日』…お越し頂き皆さまありがとうございます。
『スポーツの日』ってなんだかな~?
さっきROSE HIP GARDENの時にも話が出ましたが、最近は運動会でも赤白を付けないんですよ。
ハッキリ区別を付けない。
でも今日は『激突』というタイトルが付いていますからね。
NERVOUS BREAKDOWNが最後を務めさせて頂きます。
どうぞ終わりまで存分に楽しんでいってください」
私は当日がその「スポーツの日」だったことを全く知らなかったし、そもそも「体育の日」がそれに替わったことすら知らなかった。
いつからなの?…ドワ!2020年からだって!結構経ってるんだ?
まぁ、この仕事をしていると「土日&祝祭日」を完全に失ってしまうのでそれも仕方ないでしょう。
エ…それで「スポーツの日」をどう思うかって?もちろん反対ですよ。
だって「体育の日」というのは、私が2歳の時に連れて行ってもらった1964年の「東京オリンピック」の開会式の日にちなんで「国民の祝日」としたワケですよ。
しからばナンでオリンピックにちなんだかといえば、「国民の健康ウンヌン」とか言ってはいるけど、日本が戦争に負けたのが1945年…それから20年も経たずしてアジアで最初にオリンピックを開催できるような国に復興したことを象徴するイベントだったからでしょう?
そんな大イベントの記憶を将来に引き継ぐための祝日だったんじゃないのかしらん?
それにナンダ?…「スポーツ」って。
どうしていちいち外来語を使うんだ?
確かに「スポーツ」は日本語になっているかも知れないが、「体育の日」のままでいいじゃないか。
それなら「花まつり」も「ブッダ・フェスティバル」にするか?
「春分の日」は「イクイノックス(equinox)」か?…ジョン・コルトレーンが喜ぶわ。
5月5日は「キッズの日」だな。
もっとも4月8日がお釈迦様の誕生日を祝う「花まつり」だということを知る人も少なくなっているんだろうけどよ…実は私もかなり年齢を重ねてから知りました。
イカン、イカン、ナゼかつい興奮してしまった。
ところで、市川崑の『東京オリンピック』という記録映画があるんだけど観たことがある人はいるかな?
確かにカメラと編集はスゴイんだけど、長尺すぎてスポーツに丸っきり興味のない私はスッカリ飽きてしまい、途中で投げ出してしまったんだけど、微に入り細を穿ったような「つくり」がチョットMarshall Blogっぽくて思わず笑ってしまった。
脱線終わり!マイクをRiekoさんに戻します。
「NERVOUS BREAKDOWNのセカンド・アルバムができました。
ありがとうございます!
セカンド・アルバムを持って色々と回らせて頂いて今日は3日目の東京に参りました。
今日はそのセカンド・アルバムの中からシッカリ演っていって、皆さんがCDを買いたいと思えるようにガンバります。よろしくお願いします!」
コレがRiekoさんが紹介したNERVOUS BREAKDOWNのセカンド・アルバム『BREAKOUT』。
全部で9曲が収録されていて、今演奏した「Love Into the Fire」もこのアルバムに収録されている。
スゲエ!コレ、CDの盤面に曲目だけでなくメンバーの名前と担当楽器まで載っている!
再び脱線。
コレは前から書きたくてそのチャンスを窺っていたんだけど、チャンス到来!
「break」にちなんで…シン・リジーの「Jailbreak(脱獄)」という曲があるでしょ?
そりゃ私も50年近く前には聴き狂ったものです。
コレ、フィル・リノットが「Tonight there's gonna be a jailbreak somewhere in this town(今夜、この街のどこかで脱獄があるだろう)」って歌っているんだけど、「この街のどこか」って言ったって「脱獄」するのは刑務所にキマってんじゃんね?
しかも刑務所がある場所はわかっているんだから対策に何ら問題がないのでは?と思っているのは私だけだろうな。
RiekoさんがMCの最後に「この愛が永遠に続きますように…」と次の曲への前置きをして「This Love」。
ノッケからShinjiくんのギターが大活躍。
乙部さんと…
OZMAさんのリズム・タッグ…いわゆる「OZ部」がベラボーにダンサブルなビートを送り出す。
「♪This love」のメロディが耳に残る!
そして中間部のバンド・アンサンブルも実にゴキゲンだ。
そうそう、意表を突くフレーズを組み込んだShinjiくんのソロはとてもカッコよかった。
続いての曲はakkoさんの分厚いシンセサイザーがグバ~っと鳴って始まる。
乙部さんが出すカウントとともにすぐさまファンキーなムードに転じるのは、コレも『BREAKDOWN』収録の「Please Don't Ask Me Why」。
Marshallサウンドのようによくヌケるクランチー・ヴォイスで華やかに歌うRiekoさん。
ここでもOZMAさんのベースがグイグイとバンドをけん引していく。
「ロック・ベースの権化」みたいなOZMAさんのファンキーな面を打ち出す1曲。
OZMAさんがピックで弾く歯切れのよいベースは説得力満点だ。
「皆さん、改めましてこんばんは!NERVOUS BREAKDOWNです。
最後まで残っていてくださって感謝しております。
そして、皆さんの不退転の決意をすごく評価したいと思っております…それはどうやっても、どうしても、『最後に物販コーナーに寄る』という皆さんの固く、そして大いなる意思エネルギーですね。
今、私はそれを感じ取っております。
今日、ココでグッズがすべて売り切れてしまうんだろうな…という予測を立てております。
私、ココからすぐ近くの亀戸に在住していますので、品切れになるのであれば、演奏を止めて追加のCDを取りに家に帰ってもよいと思っております」
「…ということで、セカンド・アルバムの曲を収録している順通りに演ってきました。
1、2、3、4と来まして、CDでは6曲目にあたる曲を次に演ります。
キーボーズのakkoちゃんが作った愛と憎しみに満ち満ちた長編の大作です。
運命には逆らえないけど、それに逆らって生きようではないかという不退転の決意の歌ですね。
皆さんの『CDを買わなくてはならない』という運命は果たして覆すことができるのでしょうか?
次の曲を聴いて心をキレイにして自分はCDを買うべきか、買うべきか、買うべきか、買うべきか、買うべきや~!と、キメて頂ければいいのではないかと思っております」
ハハハ、コリャもう催眠商法みたいになってきたぞ!
最近耳にしてビックリした話し…ライブ会場でタオルを2種類販売して、曲に合わせてタオルを使い分けてお客さんに振り回させるんだとか。
周囲で青いタオルを振り回しているのに自分だけ赤いタオルを振り回すワケにはいかないから2種類買う必要がある…というワケ。
なかなかいいアイデアのような気もするが、かなり大物歌手のコンサートでもコレをやっているそうで、「物販」といえばコンサートのプログラムぐらいしかなかった時代に育った私には売る方も買う方もどうなのよ?と考えさせられてしまう。
何ならその日に演奏する全曲でタオルの色を指定をしたらどうなのか?
ドーム・コンサートなら20曲×2,000円/枚×20,000人で8億円!
愛媛の今治市がよろこぶぞ~!
そこへいくとOZMAさんの「CD買って!」なんて健全&謙虚すぎて涙が出るわ。
OZMAさんが紹介したように、続いてはakkoさん作曲の「Go Against the Fate」。
幾重にも重ねられた分厚いキーボーズのサウンドで曲が始まる。
そこに乙部さんのドラムスがヘヴィに鳴り響くハード・チューン。
ドッシリとした声でRiekoさんが歌い込む。
これは運命に逆らう気満点の歌声だ。
OZMAさんのコーラスも加わり、曲はスケールの大きな展開を見せる。
Riekoさんのスキャットをバックに流麗なソロを奏でるShinjiくん。
情景が次々と転換していくパノラミックは曲想はチョット他のレパートリーとは異なり、これもまたNERVOUS BREAKDOWNの魅力のひとつと言えよう。
「シアトリカル」というか、辺境のプロッグ・ロックまで聴いて育った私はこうして音でストーリーを編んでいくような曲が好きなのでコレはかなりシックリ。
しかし、ひと口に「運命」と言っても実戦の場で「fate」、「destiny」、「doom」を咄嗟に使い分けるのはムズかしいぞ。
ファースト・アルバム収録の人気のシットリ・ナンバー「Raindrops」。
Riekoさんの歌の合間にShinjiくんのギターが挟み込まれる。
バッキングのヴォイシングがとてもいいんだよね。
そしてakkoさんのピアノが美しく響く曲だ。
ロマンティックな曲のおかげでステージは何ともいい雰囲気。
最後もShinjiくんのギターで締めくくる。
ウン、プレイもいいけど、やっぱりギターの音がいい。
Shinjiくんはシングルコイルサイズのハムバッキング・ピックアップを載せたストラトキャスター・モデルも時折使っているが、このNERVOUS BREAKDOWNの時に活躍するシングルコイル・ピックアップのギターは「Shinjiトーン」とも呼ぶべき、まさに「Marshall+ストラトキャスター」のサウンドの特徴が出ていると思う。
ホント、コレをビンテージ系のMarshallでやったらタマらない音が出て来るのではなかろうか?
試奏会をやりたいと思っているんだけど、なかなか出来ないでいるんですわ。
「シンジです。31歳…32になりました。おめでとうございます。
最初に会った時はまだ20代でね。
今の曲はファーストに入ってるんですけど、20代の子が弾くフレーズじゃないとは思いながらも、ズッと素敵だなと思っていながら聴いています」
「オズマさん、NERVOUS BREAKDOWNもあと3曲で終ります」
「ありがとうございます。
NERVOUS BREAKDOWNの都内でのライブはですもう年内はありません。
来年の1月11日に吉祥寺のCRESCENDOでライブがあります。
お越し頂く時は『OZMAさんのバンド』で入ってくださいね。
それもお兄さんとのお約束…よろしくお願いします!」
残り3曲はすべて『BREAKOUT』からのナンバーを演奏した。
まずは「Like a Could」から。
問答無用のノリノリのハード・チューン。
akkoさんのシンセ・ソロか~ら~の~…
Shinjiくんのギター・ソロ炸裂!
キタキタキタ~!乙部さんのドラムスがうねりまくるのはご自身のペンによる「Are You Nervous」だ!
ミディアム・テンポのノリノリ・ナンバー。
私の隣にいた出番を終えたこの日の出演者が演奏を見て「スゲエな…」と言っていたのを聴き逃さなかった。
そうNERVOUS BREAKDOWNのステージはスゴいだけでなくとにかく楽しい!
…ってんでOZMAさんお得意のポーズも飛び出した!
そしていよいよ本編最後の曲。
「最後の曲となってしまいました。今日は本当に皆さん、ありがとうございます!
今日は『スポーツの日』なので、大きな声を出していきましょう。
オーイエイ!
♪テイッミーバーゲン」
Riekoさんが客席にマイクを向けてアオりを入れたのは「Take Me Back」。
乙部さんが押し出すリズムに乗って…
Shinjiくんが鬼神のようなシュレッディングをブチかました!
「オン・ギター、Shinji!今年32歳!」
Riekoさんがシャウトして…
「オン・ベース、OZMA!」
akkoさんの鍵盤とコーラスも大活躍!
こうして『激突 vol.7』のNERVOUS BREAKDOWNの熱狂のステージが締めくくられた。
ココが箱根なら「入り鉄砲に出女」ってか?…コレがお客さんがお帰りの際に運命を賭すことになるNERVOUS BREAKDOWNの関所。
前説の時にOZMAさんがモデルを務めていた新しいTシャツも含めどのアイテムも人気を集めていた。
「ありがとうございます!
『アンコール!』の声がほぼ5人ぐらいからしか聞こえへんかったのは私の気のせいでしょうか?
あ、気のせいですかね。
アンコールありがとうございます。
Shinjiくんのアクスタはアッチに飾ってあります。高さ18㎝の等身大です。
もしShinjiくんの顔を見たくないなら反対に向ければ大丈夫ですよ。
ゼヒお買い求めください」
「本当にありがとうございました。
共演者のみなさんにも感謝したいと思います。
様々なロック形態を楽しんで頂くことができたのではないでしょうか。
またいつかやれたらいいなと思います。
アンコールにお応えして、もう完売してしまって、欲しいと言われても手に入らないファースト・アルバムの中の曲を演りたいと思います」
アンコールで取り上げたのは「Come On」。
メンバー全員が気合を入れて…
最後の最後までサービス満点の激演を繰り広げた!
OZMAさん、企画から仕切り、前説、演奏と、ひとり何役もお疲れさまでした!
Marshall Blogではまたの激突を楽しみにしています。
「ありがとうございました!」
NERVOUS BREAKDOWNは明日も明後日もステージに立つ。
富士の「ANIMAL NEST」と名古屋の「@-hill」だ。
お近くの方、並びにお遠くの方、ゼヒお見逃しなきよう!
NERVOUS BREAKDOWNの詳しい情報はコチラ⇒オフィシャル・ブログ
<おしまい>
(一部敬称略 2025年10月13日 両国SUNRIZEにて撮影)