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2025年7月

2025年7月18日 (金)

田川ヒロアキ~MUSIC TRAVELING 2025 <後編>

 
田川ヒロアキの『MUSIC TRAVELING 2025』の後半のレポート。Img_3898まずはヒロアキくんが1人で登場。
「それでは、続きだぁ~!
珍しくアコギを持って来ました…というワケで第2部は弾き語りから始めたいと思います。
先ほどデザート・タワーを出してもらって、後で頂くのを楽しみにしているんでが、皆さんはデザートも含めてお料理をお楽しみ頂けましたか?
ピアシスのお料理は最高ですよね!
さて、ココで皆さんにアンケートをしたいと思います。
挙手だと私には結果がわかりませんので拍手で答えてください。
今日、6月7日がお誕生日だという方はいらっしゃいますか?(シーン)
じゃあ、昨日か、明日か…前後2日も含めて6月がお誕生日もの方は?(パチパチ)
あ~、いらっしゃるんですね。おめでとうございます。
1年に1回誕生日があるというのは、それまで無事に周りの方々と生きてきた表彰状みたいなものかな?なんて私は思っています。
齢を重ねると『誕生日がめでたくない』なんて言ったりしますが、ここまで無事に生きて来ることができた…近年はそんな感じに考えるようになりました」
10「アンケートの2問目です。
今日、初めて田川のライブに来てくださったという方はどれぐらいいらっしゃいますか?(パチパチ)
お~、ありがとうございます!
Nice to meet you!你好!
今日は初めましてですが、2回目以降は常連だと思っていますからね!
最後の質問です。
東京や関東圏にお住まいの方はどのくらいいらっしゃいますか?(パチパチ)
お~、ありがとうございます。
では、関東以外の遠くからお越しの方…あるいは遠くの出身だという方はどのくらいいらっしゃいます?(パチパチ)
結構いらっしゃいますね!遠くからありがとうございます。
さて、私は生まれも育ちも山口県下関市で妻の美瑞穂は宮城なんです。
福岡に取材で来た時に出会いまして、それから縁あって東京に一緒に来ることになり十数年が経ちました。
今でも2人でガンバって夢を追いかけています。
そして気が付いたら今日はココにいた…みたいな感じです」20v_2「つい先日、六本木のBauhausというところで『長州友の会 ライブ懇親会フューチュアリング田川ヒロアキ」というライブがありました。
故郷の山口県の方々が定期的に集まる会合でもう10年ぐらい前から参加しています。
色々な企画があるんですが、気が付いたら『私を応援する会』みたいなのが出来てきて、その関係のライブだったんです。
そこで私からテーマをひとつ提案して『山口県にまつわる、または故郷にまつわるキーワード』を会員の皆さんから募ったんです。
するとモノスゴクたくさんキーワードを頂戴しまして、それらを読んでいて胸が熱くなりました。
そして、そこからひとつ曲を作りました。
故郷は誰にでもあって、たとえ東京で生まれ育ったにしても、子供の頃の思い出とかがあると思うんですね。
そんな思いを曲にしてみたいナァ思って作った新曲を今日は聴いて頂きます」30_2Marshall Blogでもレポートした「長州友の会」の時に初披露した「ふるさとの声」。40_fkホッコリ~…みんなやっぱり故郷がいいのね~。60v山口県の皆さんの間でも大変にウケがヨカッタ1曲。
落ち着いた雰囲気でショウの後半がスタートした。
118a0445MCでは私のことを指してヒロアキくんが言ってくれたような気もするんだけど、私は生まれも育ちも東京で、小学生の時「夏休みには田舎のおバアちゃんの家に行く」というクラスメイトのことが猛烈に羨ましかった。
「一度でいいから『田舎』というところへ行ってみたい!」
私のおバアちゃんは浅草と横浜にいたのでいつでも会えた。
その代わり「東京」に関する思い出はたくさんあるよ。
そして、歳を重ねるごとにそれらがどうしようもなく懐かしく思えるようになってきた。
そんな気持ちから以前こんな文章を書いたことがあった。
東京の映画に関する思い出…ウサギも小鮒も出て来ないけど私の故郷なのです。
古い映画がお好きな方はゼヒどうぞ。
【Shige Blog】
I Remember The Town~私の銀座/日比谷/有楽町<その1>
I Remember The Town~私の銀座/日比谷/有楽町<その2>
I Remember The Town~私の銀座/日比谷/有楽町<その3>120 「ありがとうございます。
少し先になるかも知れませんが、皆さんの元でもこの曲を聴いて頂けるようにしたいと思っております。
それでは、お呼びしたいと思います!」
石黒さん登場。
「あきらく~ん!」
石黒さんご登場。
「見えなくても石黒さんは背が高いナァと思います。
なんかチョット圧があるじゃない?
オーラがあるって言う意味ですよ。
石黒さんが入って来るというだけでパァ~としたオーラを感じるじゃないですか?」80「ついにきましたね。
チョット説明をしますと、今からお送りするのは『たんぽぽと風』というかわいいタイトルの曲です。
コレはこちらのピアシスを経営する『株式会社無洲』の社歌なんです。
12年か13年前、現在相談役になられている当時の無洲の会長が社歌を作って欲しいということで一所懸命取り組んだ曲です。
この曲を毎年ココで演奏するのが定番になっているんですが、3年前か4年前、石黒さんがこの曲のイントロで思いっきり間違えてくれましてね~。
でも石黒さんともなると、間違える練習もしていたような気がするんですよね。
なかなか難しい芸だと思いますね。
みなさんの印象に残るためにガンバってワザと間違えたのではないか…」118a0439 「やっぱり一流となるとね!
ホント、いつも完璧すぎちゃうんだよね~。
タマに間違えてみんなを安心させてあげる。
でも、ぶっちゃけ社歌じゃないですか。
色んな仕事をしていますけど、社歌を弾くことってあんまない…イヤ、まったくないと思うよ。
だからすごく緊張しますよね。
だって無洲さんの社員の方々がご覧になっていますから!
社歌なのに間違いやがって!…なんてネ!」
それは「まシャカ」の出来事でしたね~。
110話とは関係ないけど、コレがこの日の石黒さんの作業現場。
パッチ・ケーブルがウジャウジャつながっていて、コリャ組むのもバラすのも大変だ。
でも完璧に「石黒サウンド」をお客さんにお送りするには仕方がない。
ヒロアキくんがMarshallの真空管アンプで最高のギターのサウンドを聴かせてくれるように、お客様からおアシを頂戴して演奏する以上、完璧で本物の音をお送りしようとされているワケだ。0r4a0069「石黒さんがミスの練習をされている」の話で思い出した。
下は「黒門町の師匠」八代目桂文楽。
五代目古今亭志ん生と人気を二分した「昭和の大名人」。
豪放磊落でナニが起こるかわからないといった風の志ん生師匠に対し、長い話を何度演じても数秒と時間が変わらない緻密な芸のスタイルを誇ったのが文楽師匠。
晩年のその文楽が得意ネタの「大仏餅」を演じた時、登場人物の名前がどうしても口から出て来ず高座で絶句してしまった。
その時文楽は「勉強し直してまいります」と客席に向かって深々と頭を下げて潔く高座を降りた。
どうも文楽はその時が必ず来ることを覚悟していて、「勉強し直してまいります」というセリフを日頃から練習していたというのだ。
そして、黒門町の師匠はその後二度と高座に上がることがなかった。
一流だね~。8 さて…少々緊張した面持ちの石黒さん(?)。
今、この険しい表情からはとても想像できない可愛らしいフレーズを奏でている。130v_2タンポポの種のようにフワフワと柔らかい声で歌いあげるヒロアキくん。50_2光り物を手にして演奏に聴き入る「株式会社無洲」の皆さん。
ナンと言っても「社歌」ですからね。
石黒さん、ご心配なく!無洲の皆さんはとっても優しいから!140_2「たんぽぽと風」を楽しげに演奏して、後半のアタマは2曲のホンワカ・チューンでなごやかにまとめ上げた。110_tk雰囲気がガラリと替わって「ムーディな雰囲気になるといいナァ」と紹介した「Swing Picking~ Evolution」。
ヒロアキくんのファンク・ストラミングでスタートするフュージョニーなインスト・ナンバー。
160_spe軽やかな透さんのドラムスと…170_3ドッシリと落ち着いたてらちんが出す低音が絶妙なコンビネーションを生み出す。
180そしててらちんのソロ。
190v_2リズムがスイング・ビートになって石黒さんのソロが続く。118a0055_2 テーマもソロもほとんどクリーン・トーンで弾き通したヒロアキくん。
実にいい音!
220v今日のヒロアキくんのMarshall。
愛器「JVM210H」とこの日初めて使った1x12インチのスピーカー・キャビネット「1912」が2台。
詳しくは<前編>を参照のこと。
さんざん紹介しておいてナンですが…残念ながらこの1912は現在生産していません。
代りにMarshallでは現在STUDIOシリーズの1×12インチ・キャビ数種と「MX112」というモデルをラインナップしています。160「さまざまな道、道路、線路、空路、仕事、日常、夢…。
その道を歩んだり、走ったり、迷ったり、助けられたり…。
今よりも、もっとよくなるためにと、そして、これからも将来に向かって…。
そして、明日へ…」と、ヴァースのように一編の詩をつけて演奏した「道~Road To Tomorrow」。230イントロのギターから…118a0577歌から、キメまで「田川メロディ」を満載したかのようなナンバー。
250v続けて「Ave Maria」。
アルバムでこの曲のアレンジを担当したのは石黒さんだ。255_amこれまで何回聴いたかナァ。
少なくともカレコレ3回は聴いたか?…ウソウソ!
もう何回聴いたかわからないが、それでも飽きない。
名旋律を名手が最高の音色でいつも聴かせてくれるからだ。
256この「まったりセクション」を締めくくったのは2022年に配信でリリースした「またどこかで」。
これもヒロアキの魅力にあふれた静かな1曲。
260_md1箇所だけギターが歌の代役を務めるパートをお聴き逃しなく!
そうそう、最近またCDが売れ出しているんですってよ。
配信は「モノが存在しない」ということで敬遠する若い人が増えているんだって。
んなこと、はじめっからわかり切ってるでしょうに。
ハイ、この曲もCD化ですね。
私は当然配信よりもLPよりも、CDを支持しております。270v「さぁ~それでは、ここからはテンポアップしていきます。
皆さんと素敵な音楽旅行の思い出を残したいと思います!」280ヒロアキくんがスキャットをキメまくるのは「Driving Jam!」。
300vてらちんのソロ!
ディストーションをきかせて弾きまくったでやんす!310_2続いてジャズっぽいフレーズを交えた石黒さんのゴキゲンなピアノ・ソロ。118a0051 ココぞ!とばかりにヒロアキくんがハードなソロをブチ込んで…
118a0695さらに透さんの爆発的なソロ!330v_2ムチャなキメも楽しい聴きどころ満載のヒロアキくんのキラー・チューンだ。340_2「Driving Jam!」が終わるやいなやヒロアキくんが無伴奏でソロを弾き出した!118a0698すると石黒さんがそれに呼応して激しいソロを繰り出してくる!118a0716_2 ナンダナンダ?旅の途中で仲間割れか?370_2…とも思いたくなるぐらいの激しいソロの応酬。360 本編最後の曲のプレリュードにしてはあまりにも魅力的な展開!390v本編の最後を飾ったのは田川スタンダードの「キミを乗せて」。
Marshall GALAを思いだすナァ。
もうあれから9年も経ってしまったよ!400_kn大盛り上がりの客席に向かって熱唱するヒロアキくん。410v_2ソロのパートになるとジリジリとてらちんににじり寄り…420てらちんの肩に腕を回した。430こうして音楽の旅を終えて無事帰着したのであった。440vさっそくアンコール。
「ありがとうございます。イヤ~、うれしい限りです。
ピアシスで毎年こうして演奏させてもらっていて、今年はタイトルを『田川ヒロアキ MUSIC TRAVELING 2025』としたんですが、いつの間にかバースデイ・ライブみたいになってしまいました。
そう謳っていなくても皆さんがそのように認識してくださってうれしく思っています。
ピアシスは初めてお邪魔してから今年でちょうど15年になるんですね。
そのご縁は、私のセカンド・アルバムの『Ave Maria』のプロデューサーの奥島吉雄さんからご紹介して頂き連れて来てもらったんです。
それから15年もずっと関係が続いていて、もう生涯の縁だナァと思っています。
それ以降、7、8年前かな?
美瑞穂と私のウェディング・パーティもココで開いて頂いて、ピアシスには色々な思い出があるんですね」
70v「また無洲さんのご縁から『がんばっぺ福島』という福島の復興イベントにも10年以上参加させてもらっています。
そこでデーモン閣下と出会うことになって、一緒にツアーをすることにもなった…というのもコチラの会長さんと閣下が同級生なんですね。
やはり人との縁というのは、本当にかけがえのないものだと思います。
そんな関係でピアシスでの1年に1度の私の記念のライブを今年も開かせて頂き、また皆さんにもこうしてお越し頂いてとてもうれしいです!
ありがとうございました」450「先ほど美瑞穂に説明してもらったんですが、『バースデイ・ライブ』と謳っていなくてもこうして店内を誕生日の仕様に装飾して頂いたことも大変うれしいです。
お越し頂いたお客さんやスタッフの皆さんのおかげで今年も無事に開催することができました。
ありがとうございます!」460vアンコールで取り上げたのは『THE ROAD SEEKER』収録の「翔KAKERU」。470_kkrロードスター・パーティ・レースのテーマ曲。
この新しいヒロアキくんのキラー・チューンを思いっきりドライブさせてすべてのプログラムをこなした4人!480v 490v 500v_2  118a0135_2 「Fly high!」
520v「ありがとうございました!」530v_2お疲れさまでした!
来年の旅も楽しみにしています。008a0252 最後はみんなで記念撮影。
ん~、いい写真だ!
 
田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒FretPiano540_2<おしまい> 

200(一部敬称略 2025年6月7日 レストラン ピアシス芝浦にて撮影)

2025年7月16日 (水)

田川ヒロアキ~MUSIC TRAVELING 2025 <前編>

 
去る5日、故郷の下関で大凱旋コンサートを開催して成功を収めた田川ヒロアキ。
それよりひと月前にお邪魔したのが久しぶりのヒロアキくんのバースデイ・ライブ…じゃないんだよ、コレが!
下はそのライブの告知資料。
どこをどう見ても「バースデイ」の「バ」の字もなければ、「誕生日」の「誕」の字もない。
あるのはデカデカとした『MUSIC TRAVELING』という14のアルファベット。
そのアルファベットとは…
「ミロスラフ・ヴィトウス」の「M」
「ウルフ・ワケニウス」の「U」
「サン・ラ」の「S」
「アイク・ケベック」の「I」
「セシル・テイラー」の「C」
もういいか…ああ、全部やりたいナァ。
こういうのは「フォネティック・コード(phonetic alphabet)」といって、NATOあたりが定めたモノが世界標準になっている。
例えば「m」は「MikeのM」、「UniformのU」とか…。
上はもちろん私が作った「ジャズ版フォネティック・コード」なんだけど、我ながらオモシロイと思ったのは、私は「I」に「Ike Quebec」というテナー・サキソフォニストの名前を当てたが、NATOは「Q」にカナダの地名の「Quebec」を当てているのだ。
オモシロイね~…ツマんないか?
とにかく、このショウこのライブの建付けは「バースデイ・ライブ」ではなくて『MUSIC TRAVELING』なのだ!
ああ、また「Go Toトラベル」やってくんないかな…。
ちょうどアレをやっている時にヒロアキくんを取材で萩へ呼んでもらったんだっけ。
あの時も楽しかった!
10v会場はいつものバースデイ・ライブと同じ芝浦のレストラン「ピアシス」。
でも今回はバースデイ・ライブじゃないから。20v…って、会場内は完全に「バースデイ・ライブ」仕様じゃないの~!
30どうなってんだ?
この辺りについては<後編>の最後の方でヒロアキくん自身が説明してくれます。40誕生日の祝い花の数々。
みんなバースデイ・ライブだと思っているんだな?
50
ヒロアキくんの誕生日は、この日の2日後の6月9日、いわゆる「ロックの日」。
何か歴史的にこの日に大きな出来事が起こっていないか調べてみたが…どうもないね。
約2000年前にローマのネロがオクタヴィアと結婚したとか…。
コレはヒロアキくんには不向きだけど、ちょうど160年前に徳川家茂が2回目の長州征伐で江戸を出発したとか…。
イヤ、あった!
1915年(大正4年)の6月9日にレス・ポールが誕生している!
ヒロアキくんにピッタリじゃん?!
それじゃ~、自慢してもよかですか?60下の写真。
左は私が持っているレスポール・スタンダード。
この写真を持って1996年にニューヨークへ行って、「イリジウム」というクラブに出演していたレス・ポール本人に見せた。
ホンのごあいさつ程度だったが言葉を交わし、この写真を見せるとレスは「ああ、キレイなギターだネェ」と言って裏面にサインをしてくれた(私が頼んだんだけど…)。
それが右の上。
もちろんショウをジックリと拝見したが、レス・ポールが出す美しい音色に驚いた。
ヒロアキくんがMarshallのクリーン・トーンで弾く音色と同じぐらいキレイだった。
下はこのレス・ポールの前の所有者のサイン。
この人はかつてボブ・ディランが通ったグリニッジ・ヴィレッジの楽器店「マット・ユマノフ」の店員で、試奏したところ「うまい、うまい」とホメ上げて私にこのギターを買わせてしまった。
でも本当に良いギターで後悔はまったくしていません。
自慢脱線終わり。
12_lp2この日の屋台村のようす。70バラエティに富んだ品ぞろえになりましたナァ。80v定刻となり『MUSIC TRAVELING』がスタートした!90田川ヒロアキ100v石黒彰110v寺沢功一120vそうる透130v1曲目は最新アルバム『THE ROAD SEEKER』のオープナー「Open Road~旅のはじまり」。
そう、音楽の旅の始まりなのだ!
140今日のヒロアキくんの「Marshall号」はいつもとチト違う。
アンプ・ヘッドはいつもの愛器「JVM210H」なのだが、スピーカー・キャビネットを1x12インチの「1912」2台に替えてみた。
このスピーカー・キャビネットは故小川銀次さんが「世界で一番低音が出る1x12"キャビ」と評価していたモデル。
ケースが小ぶりなので、少々コンボっぽいコンパクトな鳴りとなるが、バランスの取れたほどよい低音の出具合がヒロアキくんのギターの音色を尚一層美しく演出した。
ホントはね、2x12"キャビの「1936」も持っていったんだけど、1912を弾いた瞬間、「あ、コレがいいです!」と一瞬でキメてしまったのです。
JVMにはパワー・アンプがひとつしか搭載されていないので、いくらキャビを2台セットしたところでステレオではありません。
しかし、キャビネット間の距離を取ることで、会場内に広くヒロアキくんが奏でるMarshallの生音が届けられた。
150続けて『FACE』収録の「ZERO」。
透さんの景気のよいカウントからスタートする疾走感溢れるリズムに…
670v早くもお客さんたちがノリノリ!170_zrてらちんと…118a0494石黒さんの鉄壁のバッキングに乗って…190vヒロアキくんがノビノビとメロディを歌い上げ、必殺のソロをブチかます!
180vやっぱり旅の出発はこうして賑やかでないとね。
湿っぽい旅立ちはまっぴらゴメンだ!
200「皆さん、こんばんは~!ようこそお越し頂きました。
今年も始まりました『MUSIC TRAVELING』…皆さんのお越しをメンバー、スタッフ一同でお待ちしておりました。
我々との音楽旅行をゼヒとも最後までお楽しみください。
一緒に乗り物に乗ったり、景色を見たり、皆さんそれぞれがご自由に感じて楽しんで頂けたらうれしく思います」210v「では、さっそくこういう乗り物に乗ってみようかなと思います。
透さんのカウントで一斉に行きましょうか。
まず田町から出発しますましょう…電車だぁ~」
「こういう乗り物」って電車か!
ピアシスの最寄りの駅は山手線の田町なのです。
そういえば昔はコレ、「やまてせん」って言っていた。
いつ「やまのてせん」に読み方が変わったのか調べてみてドッキリ!…1971年3月だってよ!
いい加減古いナァ、私も。
118a0207『ようこそ田川ナイトへ』から「Train」。220_tr♪ダダンダダン…230v♪ドドンドドン…240v電車の鉄輪がレールのジョイントを通過する時の音を模したイントロが楽しい。
この曲にはとても印象に残っている演奏がありましてね…2014年3月、高円寺のショウボート。
それと、ヒロアキくんは2010年から2012年まで生産していたMarshall初のデジタル・アンプ「JMD:1」を愛用してくれていて、「Denbigh Road Run Down」というウェブサイト用のデモ・ソングを作ってくれた。
「Denbih Road(デンビー・ロード)」というのはMarshallの本社工場の前の道のことね。
「Train」はその曲と雰囲気が似ていて、いつも思い出してしまうのだ。
ヒロアキくんと2人でJMDのスピーカーを入れ替えたりしたこともあったっけナァ。
思い出はいつも楽しい。250「石黒さんのソロ駅」を過ぎるともう終点。260「ふくしま~、ふくしま~」
エエエ!ずいぶん遠くまで来たな~!
田町から福島まで296kmだぞ!
270『FACE』から「Spacecraft」。
いきなり山手線から宇宙船!
310ギターとキーボーズの掛け合いで進行するサビのメロディがとても印象的だ。300メロディアスにまとめ上げたソロが曲全体の雰囲気にマッチし、最後は短いながらも強烈なカデンツァで締めくくった。
280v_sc「ありがとうございます。
というワケで続けて私の曲を聴いて頂きました。
お持ちの方もいらっしゃると思いますが、コロナ禍の時に作った『FACE』と、昨年は『THE ROAD SEEKER 』というアルバムを続けてリリースしました。
私はCD他、過去に10何枚かの作品を発表していますが、おかげ様でこの2枚が1番売れているアルバムになりました。
本当に皆さまのご協力のおかげでございます。
今演った『Spacecraft』は『アストロサーブ』という会社のテーマ・ソングとして作った曲です。『FACE』も『THE ROAD SEEKER』も結果的にワリとこうしたテーマ曲とかタイアップ曲が多く収録されている感じに仕上がりました」330v「『FACE』の制作がコロナ禍の頃から始まったので、ミュージシャンとスタジオにこもって…とかいうことがなかなか出来ませんでした。
そこで1人でスタジオでドラムを叩いて、ベースを弾いて、歌って、マスタリングも自分でして…もう2度と演らない!というぐらいコレがスゴく大変だったんですが、ウッカリもう1回『THE ROAD SEEKER』でもそれをやってしまって!
結局懲りていないんじゃないか?とか、学習能力がないとか言われています。
ま、ナニかを作ること自体は子供の頃から好きではありました。
待っていてくださる方がいらっしゃると思うとガンバって作れるんですね。
アルバムの制作はそういう感じでしたが、今日はこんなに素敵なメンバーが揃ってサポートしてくれています。
そこでメンバー紹介をしたいと思いますが、今年はチョット趣向を変えて私が担当楽器を言いますので、皆さんでその楽器の担当者の名前を答えてください。
そういうお客さん参加型のメンバー紹介です」
320「恥ずかしい…」
「みんな『てらちん!』って言ってるじゃないの~。
はい。大きい声でね。オン・ベース!…」340お客さんから元気よく「てらち~ん!」の呼び声がかかった。
「皆さん、ありがとうございます!寺沢です…よろしくお願いします」
てらちんはもう100本を数える『ベース1本一人旅』というソロのツアーを展開していて、話題がそのことに。
「田川くんの曲も演奏させてもらっています。
田川くんの悪口を言っています」
と冗談を交えながらのトークを展開。
650「次は透さんですが、『オン・ドラムス』の次に皆さんからどう呼んで頂くのが一番いいのかな?と思ったんですが…『とおる~!』がいいのかな?」
透さんのOKが出て…「オン・ドラムス!」390「とおる~!」
透さんはヒロアキくんのほぼ初めてのソロ・ツアーでドラムスをプレイした長いおつきあい。
10連チャンで全国を回ったこともあった。
「ネ~、10連チャン懐かしいね!」
1月に仕上がったという新しいドラム・キットを紹介。
時折ココに書いているけど、私も透さんとは長くて、初めて見たのは45年ぐらい前の池袋のパルコの屋上だった。
初めて仕事でご一緒させて頂いたのは、私が台本を書いて2001年に今はなき六本木のスウィート・ベイジルで開催したジルジャン・シンバルの記念イベントの時だった。
だからもう24年。
透さんは全国を回られて珍しいMarshallを見つけると今でも「ウッシ~、こんなMarshall見つけたよ~」と写真を送ってくださる。
私の家内は家内で、この日全く止まらないセキに苦しんでいると、透さんがその様子を見るに見かねて「コレ、効くよ~!」といくつもアメを分けてくださった。
何でも「OKストア」で売っているというプロポリスのアメで、実際家内はそのアメに助けられた。
翌日、さっそく浅草のOKストアにそのアメを買いに行っていたわ。
この場をお借りして…透さん、ありがとうございました!
来月は葉山でよろしくお願いします。380v「今日は以上のメンバーで…」220「オイオイ~!」…という定番の展開から「あきら~」と紹介された石黒さん。
「ありがとうございます。
コレ1年に1回なんですよ…誕生日だから当たり前ですね。
帰って来たって感じがありますね。
田川くん、もうすっかり立派になられて…。
こんなにちっちゃい時から…それを思うともう感慨深いですよ」
こんな具合に気心知れた仕事仲間同士で好き勝手なことを言い合う楽しいトーク。
410v「コロナ禍の頃、皆さんも経験があったかと思いますが、その時にナンとかして音楽を作りたいと思って作曲しました。
それが次の曲です。
私は3歳の頃には太陽の光がちょっと目に痛いぐらいの記憶はあったのですが、虹を見た記憶がありません。
虹には7つの色がついていて、言葉から仕組み的にはナンとなくわかるんですが、実際にはどういう風になるのかな~?と思ってマネージャーの美瑞穂に色々と教えてもらい、虹の様子を想像しながら作りました。
赤とかだいだい色とか、青とか…虹の7つの色をドレミの絵具のようにして曲を彩ってみようと思いました」420vココでヒロアキくん最初の歌。
曲は『FACE』から「ニジノート」。430v正式音源は琴や他の和楽器まで取り入れて凝った作りとなっている愛らしい1曲。
歌のメロディのパターンを減らしたことで、反対にその歌のメロディの印象がグっと強くなった。440コロナの真っ最中、東京都が主催した『アートにエールを』というキャンペーンに出品。
ナンカあれもモノスゴク昔のことのように感じるネェ。
私はこの曲が好きで「田川バラード」を代表する1曲だと思っている。450v続けて元スティーブ・ミラー・バンドのボズ・スキャッグスの1曲。
ボズといえばまず「We Are All Alone」だわネェ。460v_waaコレはギターでメロディを歌わせることにかけては大名人のヒロアキくんにもって来いの1曲。
音がまたヨカッタ!
470石黒さんのメロウなエレピのソロを交えながら…
580最後の最後まで名曲のメロディをギターで丁寧に、そして切々と歌い上げた。490ボズ脱線。
1971年のボズのアルバム『Boz Scaggs & Band』に「Here to Stay」という曲が収録されている。
この曲って四人囃子が日本のロック史に残した名曲「Lady Violetta(レディ・ヴィオレッタ)」と丸々全くコード進行なのね。
この曲を収録したアルバム『ゴールデン・ピクニックス』の発表が1976年なので四人囃子の方が後追いになるのだが、ボズは歌モノ、四人囃子はインストゥルメンタルで曲の雰囲気はかなり異なる。
ボ~っと生きていたら恐らくわからないだろう。
ところが、コピーしてみるとコード進行だけではなくてキーも同じなのだ。
コレはどういうことかと言うと、全くの偶然なんだって。
作曲した森園勝敏さんご本人がおっしゃっていたので間違いはあるまい。
ま、コード進行としてはアリがちなパターンではあるんだけどね。
個人的には四人囃子の方がズッと好き。
ボス失脚す…ナンチャッテ。12_4bz 「ありがとうございます。
色々なメニューでお届けしております今年の『Music Traveling』です。
皆さんに景色を思い浮かべて頂くにはどういう風にするのがいいかな?と考えました。
私も旅をするのが好きですし、美瑞穂と2人でギターを持って全国を回ったりする中で、こういうことを仕事にできるというのは幸せなことだナァとタマに思うワケです。
そして各地で待っていてくださる方にがお会いできるのは何よりも大きな楽しみなんです。
そして、東京に戻って来るとこうして大勢の方に集まって頂けて…つくづくうれしく思いました。
ありがとうございます!
ココで終わりかい!? みたいな感じですけれども…」500v「先ほど2枚のアルバムの話をしました。
『FACE』は2022年のリリース、その後に『THE ROAD SEEKER』を作りました。
私は『マツダファンフェスタ』のようなサーキットとかレース場のイベントによく出演しているんですね。
そこで乗り物とかレースをテーマにした曲を集めたCDも作っちゃおうと思って出来たのが『THE ROAD SEEKER』です。
私はこのアルバムのタイトルがすごく気に入っていまして…実は私がずっと長年愛用してるギター・アンプのMarshallの牛澤さんに考えてもらったんです。
皆さんはもうお馴染みかと思いますが、Marshall Blogを執筆している某牛澤さんですね。
『道の探求者』…ね。まさに私そのものだナァと。
私だけではなくて、皆さんもきっとそうだと思いますし、毎日色んな道を模索して明日に向かっている。
この共通点からもすごいくいいタイトルだなと思っています」
ご紹介ありがとうございます。
540うれしいことに、私は時折ミュージシャンの皆さんからバンド名とか曲名とかのご相談を頂戴するのね。
「THE ROAD SEEKER」の命名についてはオモシロがって「短編小説」に認めたけど、美瑞穂さんからご相談の電話を頂戴して、彼女の「ああでもない、こうでもない」という誘導尋問に引っ掛かる感じで「じゃ、ROAD SEEKERってのはどうよ?」とツルっと出て来たように記憶しています。
今でも活躍しているバンドの名前のアイデアを乞われた時は30個近く考えたからネェ。
今回は美瑞穂さんの話の持って行き方がウマかったに違いない。
コレが『THE ROAD SEEKER』。
ジャケットのデザインは『Ave Maria』や『THEME PARK』、『Sky』を手掛けた「梅村デザイン研究所」の作品。
やっぱりいいデザインだね。
ちなみにD_Driveのセカンドアルバム『DYNAMOTIVE』も梅村デザイン研究所の作品で、イタリアの音楽雑誌から「ステキなデザイン」とおホメの言葉を頂戴したんよ。
520cd「では、続いて今度は皆さんと一緒に空の旅をしてみたいと思います。
私の郷里である下関の海上自衛隊には飛行機の勉強をしてパイロットを目指す学生たちの『ホワイト・アローズ』というアクロバット飛行のチームがあります。
3年ぐらい前に作ってそのチームに提供した曲で、これがアメリカ他の番組のエンディング・テーマになったりとかしておりまして、私自身はまだ行ったことがありませんが、最近ではカナダとか、ハノイとか、世界の色んなところに私の曲だけが行っています…後は本人が行くだけだ!みたいな?」
530v曲はアクロバット飛行のチーム名をそのまま冠した「WHITE ARROWS」。550_wa急上昇、急降下、急回転しながら大空を優雅に飛ぶWHITE ARROWSの姿を描く。
今、てらちんが急上昇中!
570vそしてアクロバチックなギター・ソロで急降下!560v大空を飛び行くヒロアキくん!600「それでは前半の最後にもう1つ海外に行った曲を聴いて頂きます。
皆さんに参加して頂くパートがあります。
実は次の曲はカナダ人とか日本人とか多国籍の100人以上のメンバーで構成しているカナダのよさこいチームに提供した曲です。
今、結構流行っているらしいんですが、日本語と英語の歌詞を現地の人たちが作って私がそれに曲をつけました。
曲の途中でみなさんとの掛け合いのパートがあります。
例えば私が『笑え!』とが歌うと皆さんは『スマイル!』と叫ぶ。
その後に、『叫べ!』と歌ったら皆さんは『シャウト!』。
そして『踊れ!』は『デァンス!』…この3つです」
630するとてらちんがひと言…「デァンスでいいんでやんすか?…デァンス、デァンス
ずっと「デァンス」と言っているてらちんにお客さん大爆笑。
360v「はい、というワケでこのバンドが和風の曲を演奏したらどうなるか?
とにかく適当に付いて来てくれれば…そんな感じでお楽しみください!」
640「ところで『デァンス』の発音の話はどうなっちゃったの?」
まだ言ってるてらちん!008a0050 透さんのカウントに続いて三味線で奏でるリフが飛び出した。
曲は「APPARE YOSAKOI VANCOUVER(アッパレよさこいヴァンクーバー)」。118a0523 三味線とてらちんの豪壮な低音でリフが奏でられると…
680vヒロアキくんの力強い歌声が響き渡り…118a0280曲は予想外の展開を見せる。690v「バンクーバーは雨が多い。それではお手を拝借!」
『マイ・フェア・レディ』かと思ったら…
118a0411ココで完全にお祭りムードに!008a0085そして「踊れ!」
660_ayv「デァンス!」
おお~、キマった!008a0088前半を締めくくるにふさわしい盛り上がり!720vMarshall Blogで毎回レポートしている『がんばっぺ福島』の司会でおなじみの無洲の会長、浅野さんに手を引かれてステージを降りたヒロアキくん。
ン?ナニかあるのかな?
730「ありがとうございました~!」750振り向くとこんな仕掛けが!760果物を満載したワゴンでヒロアキくんのバースデイをお祝いしたのだった!
今日はバースデイ・ライブではないんですけど…ま、いっか!770v<後編>につづく
 
200(一部敬称略 2025年6月7日 レストラン ピアシス芝浦にて撮影)

2025年7月14日 (月)

BARAKA~Superior Force Tour Final<後編>

 
今年の1月に『Superior Force』という新しいアルバムを発表したBARAKA。
「superior」という単語は辞書を引くと形容詞で、「優れた」とか「優位な」みたいな意味が並んでる。
要するに「上にある何かしら」を指す言葉なワケで、それもそのハズ「superior」の単語の語源は、ラテン語からそのまま借用していて、元々「上にある」という意味なのだそうだ。
誰でも知っている「super-」という接頭辞がついているからイメージが湧きやすい。
私の経験から言うと、英語圏の人と話す時は「superior」という言葉を「上司」の意味の名詞で使うことが多かった。
確かに上にいますからね、「上司」は。
また「最上の」とか「最高位の」という意味の「supreme」なんて単語はご推察の通り「superior」のかなり近いの親戚。
だからコルトレーンの『A Love Supreme』を『至上の愛』としたのはけだし名訳だと思うのです。
ま、あの不気味でハードな音楽を聴くと、コレのどこが「至上の愛」なんじゃろかな?と思わなくもないが、「私は聖人になりたい」と発言するような人がやっていることですからよくはわかりませんな。
音楽としては確かに「superior」で滅法カッコいいけどね。
12_alsさて、アルバム発売記念ツアー『Superior Force Tour Final』のレポートの<後編>。
 
ショウも後半に突入する。
『Superior Force』収録の「Samsara」。10_2タイトルの「サムサーラ」というのはサンスクリット語で「संसार」と書く…皆目読めない
意味は「輪廻転生」。
平石さんがシンセパッドのタング・ドラムの音色を用いて5/4拍子のフレーズを奏でる。
とにかく延々と奏でる。
今時、普通のバンドであればココは打ち込みを使うことだろう。
それをBARAKAは人力でやってのける。
20v「タング・ドラム」というのは「スリット・ドラム」とも呼ばれる「スティール・ドラム」の一種。
出元もトリニダード・トバゴとかあっちの方だという。
音色もよく似ている。
マレットで叩くスリットが入った部分を舌に見立てて「タング・ドラム」という名前がつけられたのであろう。Std_2依知川さんのベースと平石さんのタング・ドラムが奏でるパターンに時折音を重ねる一生さん。30多少キメのパートは出て来るものの、とにもかくにも約6分の間ずっと5/4拍子の同じパターンが繰り返される。
生まれては死に、死んでは生まれる流転の様子をその繰り返しで表現したのであろうか?
40vそして概ね何も起こらず曲は幕を閉じる。
スゴい。
コレはもはや「現代音楽」のジャンルに繰り入れても良いのではないか?
こんなことを演っているロック・バンドは日本ではBARAKAしかいまい。50_2続いての曲は『Superior Force』にインストゥルメンタルのバージョンを収録した沢田研二さんの1999年のアルバム『いい風よ吹け』のタイトル・チューン。
アルペジオのイントロ。
60_iikfクリーン・トーンを使って丁寧に歌メロをナゾる一生さん。
ク~、いい音だな~。
118a0346もちろん一生さんが使っているギター・アンプはMarshall。100この日は「1987X」と「1960AX」を使用してこの美しいトーンを送り出した。110v_2Bメロ(っていうのかな?)のパートはモジュレーションをかけて依知川さんが奏でる。
70_2途中のマーチ風のスネア・ドラムのプレイがオモシロイ平石さんのドラミング。
80vやわらかめのクランチ・トーンで弾いた一生さんのソロは、音も雰囲気もバッチリと曲の流れに沿った印象的なモノだった。90vBARAKAのコンサートの見どころのひとつ、一生さんのご挨拶。
「ハッ!皆さん、ありがとうございます。
元気?……元気ッ?
ヨッシャ~、じゃあ2階席もいってみるか!?」
コレは一生さん一流のギャグ。私は大いに吹き出してしまった!
「ありがとうございます。
ボク達も28年やっておりますが、人生、ナニが起こるかわからへん…って感じですよ。
思ってもみないことが急に起こったりしますからね。
ピンチがパンチですか?
パンチって『平凡パンチ』…ピンチがある時はチャンスですな。
チャンスがある時はピンチ、みたいな…それはおかしい。
ココはイコールにならないんですよ。
ピンチの時はもう笑うしかないんですよ!」
118a0377…と、一生さんが笑っているのは、この時深刻なピンチを迎えていたから。
もう正式に発表されていたので、ココに書いても差支えがないと思うで書いてしまうが、一生さん、この日の2、3日前に転倒して左手の指を何本が骨折してしまっていたのだ。
開演前に楽屋にご挨拶に伺うと、「チョットこれ見てや!」と患部を見せてくれた。
少し紫色になって腫れあがった左手は、見るからに激痛のカタマリ。
「これじゃトミー・ボーリンみたいにボトルネックで演奏するしかないですな」と私が言うと「おお!その手があったか!」なんて笑っていらしたが、極めて重篤な状態にあるように私には見えた。
ところが、演奏が始まってみると、一生さんの演奏があまりにも自然で完璧だったので、すぐに手のことをスッカリ忘れてしまった。
一生さんは顔にも音にも苦痛の表情を一切出していなかったが、さぞかしシンドかったことと思う。
さすがに直後のライブはキャンセルされていた。
手は皆さんの重要な商売道具ですからね、くれぐれもお大事になさってください。
120「さぁ、身体をほぐしますよ。発声練習いきます!
♪ふふふふふ~…これを『はひふへほ』で。
腹筋に力入れていきますよ~。
♪はひふへほ~ハイ!」
180「素晴らしいね。今日は。
準備運動も出来たところで、笑っていこうか!
ネ、笑わなぁ~アカンよ!
じゃあボクが笑いますんで皆さん、コール&レスポンスでお願いします。
とりあえずみんな口角を上げて!」
130v「ハッハッハッ!
ヒッヒッヒッ!
ヘッヘッへッ!」とお客さんとにぎやかに笑い声を交換し合った。118a0382_2ココで一生さんからメンバーの紹介。
「いつものメンバー紹介じゃオモシロくないんで、ボクが『シン!』ってて言ったらみんなで『シン!』って言うてくれます?
『シン』の発音は『Shing』ですからね…最後『ング』を『グー』言うたらアカンよ」
118a0373「いきまっせ。
せ~の…Shing!」
チャンとお客さんも「ング」で返してくれました。140「Shing」に手を上げて応える依知川さん。160_2平石さんは「ン~マックス」。
コチラもお客さんが器用にこなしてくれて無事平石さんが紹介された。170v「オレ、自分でやるの?」
150_2「ま、ココは普通にいこうか」と依知川さんが普通に「一生!」と紹介してくれて一生さんのトーク・コーナーは終了。118a0731さぁ、曲のコーナーに戻ろう!
この日のハイライトと呼んでいいでしょう。
「Special Medley」と題したBARAKAのキラー・チューンを接続して演奏した。
まずは「Bharmad」。
190_smed10/8拍子って数えるのかな?…変拍子を全く感じさせないリフと一糸乱れぬハードなアンサンブルが気持ち良い!
200v_cr_5_4
時折差し込まれるベースのピックアップ・ソロがまたとてもスリリングだ。280v平石さんのドラム・ソロ。220_2タムタムの連打でスタート。
230_2そしてスネア・ドラムでのプレイを経てドラム・キットとシンバルの全てを鳴らしていく。
最後はバスドラムが猛り狂い、平石さんのパワーが場内に響き渡る。245v4分46秒にわたって平石さんが組み立てたドラムスの物語に大きな喝采が送られた。250そのまま依知川さんのソロのパフォーマンスが続く。
『BARAKA IV』から「It」。260v_2もの音ひとつしない客席に向かってディレイをかけて放つ深みのある低音。270_2ダブル・ストップ・フレーズを繰り返すと…118a0513_2バンド演奏に入る。
メドレーは他に6枚目のアルバム『BARAKA VI』に収録されている組曲「Five Rings」の中の「The Wind Book」や「The Book of the Void」へとつなげていく。340一生さんのソロから続々と変わっていく情景。
激しさが激しさを呼んでいよいよクライマックスに達したかと思うと…360vクリーン・トーンを用いた無伴奏のソロを弾き、レゲエのリズムを導き出す。410vリズムはレゲエでもタイムは7/4拍子。380_rgeこの大メドレー、この先も幾多もの場面を迎え立体的に進行していく。390v_2その長さたるや約35分。
この日のショウの本編の演奏時間はほぼ90分ちょうど。
本編の40%弱がこのメドレーに費やされたことになる。
グスタフ・マーラーもビックリだ。400vその大メドレーは一生さんのしめやかなギターで幕を下ろす。
この時に沸き上がる感動はこの場に居合わせなければわかるまい。
しかし、コレは28年もの長きにわたって3人で育んで来た経験と技術と作品の蓄積の賜物ですナァ。
そうでなきゃこんな演奏はおいそれと出来ません。
370v_2本編最後の曲は当然新作から。
アルバムのリード・チューン「Superior Force II」だ!
2022年の「スーパー・フォーミュラー」のテーマソングに採用され、テレビやレース会場で頻繁に使用された。
ニューアルバムには①2022年バージョン②2025年の新録音③アコースティック・バージョンの3様が収録されている。
420_sf猛然と疾駆するリズム隊!430v依知川さんはソロに足鍵盤にと大忙し!440v印象的なテーマのメロディ。
そして合間に現れる仕掛けの数々。450vストレートにドライブするBARAKAの魅力満載の1曲で本編を終了した。470_228年ですからね。
その間、メンバーが変わっていないというのだからスゴイ。
今の若いバンドなんてヘタをするとデビュー前に解散したりするからね。
いくつもバンドをかけ持ちして、うまくいかないと何の惜しげももなくヤメちゃうんだから。
28年…メンバー間でお互いによっぽど大きな弱みを握り合っているか、一心不乱に自分たちだけのの音楽づくりを目指して続けて来たとしか思えない。
480_2アンコール。
まず2010年の『Inner Resonance』から「Palm Trees of the Maldives」。490_ptmBARAKAのコンサートではおなじみのナンバー。
依知川さんのとても低いところでゴリンゴリンと演るベースが何とも豪壮。500vバラエティに富んだフィルで華やかに曲を彩る平石さん。510_2クリーンからクランチへと音を変化させて展開するギター・ソロ。520_2ステージ前に歩み出て…530行った~!540一生さんの得意技「客席弾き」。
550ノッシノッシと場内をひと通りして…008a0202 「おかえりなさい」
580_ctそのままステージでも大爆発!560アンコールの2曲目は依知川さんの歌で「Come Together」。590BARAKAはビートルズ曲集を以前に発表しているがこの曲は取り上げていない。600vベース・ソロから…610再び歌に戻る。
BARAKAの仕業にしては比較的原型を尊重したアレンジだが、それでも派手にコードを差し替えてあったりしてBARAKA風味は濃厚。620v最後を締めくくったのは「Purple Haze」だった!008a0158Marshallに向かって延々とフィードバックさせた後…
570「みんな元気?!」
最後に一生さんがメンバーを紹介。118a03822メンバー紹介といっても「オン・ベース!」しか言わない。640v「オン・ドラムス!」650v再び依知川さんが一生さんを紹介して曲は幕を下ろし…118a0142『Superior Force Tour Final』のすべてのプログラムを終了した。008a0216_2「ありがとうございました!」
ツアー完走おめでとうございました!
670BARAKAの詳しい情報はコチラ⇒BARAKA Official Web Site

680 200(一部敬称略 2025年5月29日 LINE CUBE SHIBUYAにて撮影)

2025年7月11日 (金)

BARAKA~Superior Force Tour Final<前編>

 
久しぶりの「渋谷公会堂」…じゃない、「CCレモンホール」…じゃない、「LINE CUBE SHIBUYA」。
ナンカ渋谷公会堂の現在の名称を口にするのが恥ずかしい…と感じるのは私だけではないのでは?
この一帯は戦後まで陸軍の練兵場で、渋谷公会堂や区役所の場所には「衛戍(えいじゅ)監獄(陸軍の刑務所)」があって、「ニ・ニ六事件」の15名の首謀者の死刑はそこで執行されたというのだから、どうしたって驚いちゃうよね。
でも、ナンでも知らないよりは知っておいた方がいい。
10今日はBARAKAのコンサート。20今年1月に発表したニュー・アルバム『Superior Force』の発売を記念するツアーの千秋楽だ。30vロビーに飾られた祝い花の数々。40後ろに映っている人はBARAKAのメンバーではない…当たり前か。
50屋台村もにぎやか。
70「Superior Force」Tシャツが人気を集めていた。60会場にスペイシーなSEが流れる中、BARAKAの3人がステージに現れる。801曲目は10枚目のアルバム『Trinity』から「Jupiter」。
とても3人で出しているとは思えないスケールの大きなサウンドがさっそく会場内に充満する。
90高見一生100v依知川真一110v平石正樹120vユッタリとしたリズムの中、一生さんが絶妙なクランチ加減のトーンと独特の音使いでソロを展開していく。130依知川さんはベースを弾きながらペダル・シンセサイザーを操り浮遊感にあふれた背景を演出する。140v依知川さんの足元のようす。
向かって右側の黒っぽいヤツがペダル・シンセサイザー。
150シレっとリズムが7/4拍子に変わり…160一生さんのソロを経て…
230曲は静かに終わる。
スゴイ緊張感。
これから広がっていくBARAKAの音の世界を提示するかのような深遠なアンサンブル。008a0207 2曲目は『Superior Force』収録の「Superior Force I」。190一生さんがクリーン・トーンで奏でる無伴奏のギターで曲はスタート。200_sf1そこへ平石さんのシャープなフィルが切り込んで来る!210v依知川さんが出す低音が平石さんのドラミングと混ざり合ってバンドは猛烈にドライブ!220依知川さんはかつてMarshallが扱っていたEDENを使用。
音がいいナァ。とにかくその美しいクリーンなトーンには何の澱みもない。
4x10インチのキャビネットが2台と2x10インチ1台の組み合わせがこのヌケのよい低音を送り出している。225テーマの提示から展開部を経てギター・ソロへ。
一生さんが超高速でスっ飛んで行く感じだ!
008a0084ステージに並んだこの日の一生さんのMarshall。2401997年、Marshallが創業35周年を記念して生産した白いビンテージ・モデル。
通称「ホワイト・スペシャル」。
ステージに上がっていたのは「1959WSP」と「1960AXWSP」。
この他、50Wの「1987XWSP」と2x12"コンボの「1962WSP(=BLUESBREAKER)」、そしてアッテネーターの「PB100WSP」が同時に発売された。250v今日、一生さんが実際に鳴らしているのはコチラ。
「1987X」と「1960AX」。
一生さんは「ジャンプ」して1987Xを使用している。
260v1987Xは現在も流通しているが、一生さんが所有しているのは昔のタイプ。
Marshallは2000年から2年の間、海外ではビンテージ系のモデルの販売を休止していた。
そして2002年、40周年を迎えた時…Marshallは以前生産していたすべてのビンテージ・モデルにセンド&リターンの回路を搭載して復活させた。
下の写真の通り一生さんが所有している1987Xは2000年以前のセンド&リターンがついていないモデル。
コレ、今探している人が結構いらっしゃる。
「え、センド&リターンが付いていた方が便利チヤウの?」とお思いになるかもしれないが、BARAKAのコンサートに来て一生さんのギターの音を聴けばすぐにその理由がすぐにわかる。
白い1959も同様にセンド&リターンが付いていない。
ちなみに「JCM900 4100」も海外では同じ状況で、1999年に生産を一旦終了させ、40周年に近いタイミングの2003年に「Vintage Reissue」として生産を再開し現在に至っている。118a0007 コチラは一生さんの足元。280一生さんの出すギターの音は「ああ、Marshallってそもそもはこういう音だったんだよな~」と思わせてくれる。
1970年代、私が高校の頃に新宿ロフトや渋谷の屋根裏でよく聴いた音だ。
そのカギはまずクリーンにあり。
絶対にMarshallからしか出て来ない独特のクリーン・トーン。
かつてのウリ・ジョン・ロートも1959でこういう音を出していた。
そして、そのクリーンにオーバー・ドライブを軽くかけてやる。
後は両手をうまく操って音を作る。
最上にして最良のロック・ギターのサウンドの出来上がりだ。
「デジタル」だのナンダのと騒いでいる中、ナンのことはない、一生さんは今でもこの方法で最高のギターの音を聴かせてくれているのだ。290v厳選した音だけで沈着に組み立てていく依知川さんのべース・ソロから…300v曲は再びドライビング・パートへ突入して「最上級の宇宙エネルギー」を発散した。008a0106 「こんばんは、BARAKAです!
今日は平日にもかかわらずこんなにたくさんのお客様にお越し頂きましてありがとうございます。
1月15日にBARAKAとして通算18枚目、オリジナル・アルバムとしての12枚目の『Superior Force』をリリースしました。
次の日からツアーが始まったんですが、今日はいよいよそのツアーファイナルのLINE CUBE SHIBUYAです」320v「今日初めてBARAKAを観に来る方がたくさんいらっしゃるらしいので、メニューを皆さんにお配りしました。
曲目とどんな感じの曲かということを皆さんにわかって頂きたいと思ったのです。
今年、BARAKAは結成28年目を迎えました。
28年間休むことなくずっと曲を作り、ライブ・ツアーを行ってまいりました。
今年もたくさんライブをやって来ましたが、今日を本当に楽しみにしてまいりました。
最新アルバム『Superior Force』からの曲をたくさんお届けしますが、それ以外のアルバムからの曲もお届けしていきますので最後までゆっくりお楽しみください」330依知川さんが触れた「メニュー」とはコレ。
BARAKAからのご挨拶と裏面には当日演奏する曲目の解説を掲載している。12_prog今回初めてMarshall Blogをご覧頂いている方もたくさんいらっしゃるでしょうからご存知のない方のために依知川さんのことについて書かせて頂くと…。
依知川さんは「依知川風人」という雅号を持ち、千葉の八日市場に「書の工房 風人堂」というギャラリーを運営している書道家でもある。290ある時、依知川さんからお手紙を頂戴した。
さすが書道家…そこに書いてあった文字が「井上ひさし」の原稿のようで私にはとてもステキに見えた。
そこで、筆運びのマネをすることは不可能なので、せめてどんなペンをお使いになっているのかを教えてもらい、早速同じパイロットの万年筆を購入して私も使い始めた。
このことは以前にもココに書いていて、「その万年筆を手に入れた前年に長崎に行き、有名な万年筆専門店を訪れたが臨時休業していた」という話を添えた(上下の2枚の写真は『風人堂』で撮影したものではありません)10去年再び長崎に赴き、とうとうその万年筆店にお邪魔してきた。
その名も「マツヤ万年筆病院」…病院なんです。
私が尊敬してやまない作家の吉村昭先生が商売道具である万年筆はココでしか買わなかった…という専門店。
ちなみに先生の原稿用紙は浅草の「満寿屋」製だった。
川端康成、丹羽文雄、井上靖、吉川英治、壷井栄、司馬遼太郎、吉行淳之介、舟橋聖一、井上ひさし、石原慎太郎、大江健三郎、瀬戸内寂聴、林芙美子…エエイ、キリがない!
皆さん、満寿屋の原稿用紙を愛用していた。
夏目漱石は神楽坂の「相馬屋」という業者だったらしい…残念!
300何しろ人生において私が家内の他に本当に夢中になったのは、フランク・ザッパと黒澤明と吉村昭先生だけでしてね。
もちろんほぼ全作品読んだ。
Marshall Blogの脱線のネタの多くは吉村先生の書籍から得た知識を元にしている。
今でも下の文庫本の他に単行本や関係書籍を集めていて、最近では小説の舞台となった場所を訪れるのが年寄りの最大の愉しみになっている。
それほど好きなワケよ。
310vそんなことを「マツヤ万年筆病院」の女将さん(「院長」っていうのかな?)に話すと、も~懇切丁寧に私を扱ってくれて、万年筆や吉村先生のことを教えてくれた。
そして、私に合った万年筆を選んでくださるという。
「じゃココに字をチョット書いてみてください」なんて言われて大いに緊張してしまった。
ところが私、こう見えても「達筆」である…イヤ、達筆らしい。
ウチは父とその母が達筆だった。
そんなことが関係しているとも到底思えないが、私が書いた字を目にした人がよくそう言ってくれる。
まぁ、悪筆とも思わないけど、私自身としては字がウマいだなんて全く思っていないのね。
そこで、その時覚えたてだった四文字熟語の「右顧左眄」他の文字を恐る恐る書いたように記憶しているが、院長先生はその文字をご覧になって「ウワ~!字がお上手ですね~!」とおっしゃる。
ちっともウマくない…要するに商売上手なのだ。
「もうコレは買わないでは帰れないヤツだ!」と覚悟した。
すると院長は私におススメだというパイロットの万年筆を陳列棚から取り出した。
そして、買って帰ってビックリ!
320ナント、院長が私のために見繕ってくれたオススメの万年筆は依知川さんご愛用の万年筆と同じだったのだ!
さすが風人書聖!
2本同じモノではあるが、ペン先の太さが異なるので双方楽しみながら使っている。
私に合っている!しかしも依知川さんとお揃い!
その後、万年筆病院から手紙とともに吉村先生や「三菱重工長崎造船所」に関する資料が送られて来た。
大変な親切にビックリしたのはいいんだけど、返事の手紙の字を上手に書くのにまたひと苦労してしまった!
脱線終わり。
330_2フェイザーを深めにかけた一生さんのギターからスタートする「Maverick」。
この音の揺れのすき間から聞こえて来る「♪ジャリンリンリンリン…」というシングルコイル・ピックアップ特有のサウンドがタマりません。
340_mavフィルとともに入って来る平石さんが打ち出すリズムは5/4拍子。350v_5_4続いて登場するヘヴィなリフは4/4拍子。
そのリフを4回繰り返すと今度はその拍子が7/4になる。360v_4_4また場面が変わりファンキーなリズムで一生さんがソロを奏でる。
ココは4/4拍子。
ワーミー・バーを巧みに使いながら独特のソロを展開していく。
そう、毎回書いているが、一生さんは既成のロック・フレーズにとらわれず「自分の言葉」で語る日本では稀有なギタリストの1人なのだ。
370vドラムスのピックアップ・ソロがまた次に現れる場面をつなぐ。118a0128 コレぞBARAKAサウンド。
次から次へと情景が変わってパノラミックな世界を作り上げる。
こんな音楽を演っているバンドは世界広しと言えどもそう簡単には他にいないでしょう。380ミディアム・テンポのパターンで平石さんがビート・スタートさせるのは「The Infinite Wall」。
390vオクターバーでサウンドを分厚くした依知川さんが弾くラインは4/4と5/4拍子のコンビネーション。
コレが尽きることなく延々と続いて行くまさに「Infinite Wall」なリズム隊のプレイ。
400そのリズムにこれまた一生さんならではソロ・プレイが乗ってくる。118a0142曲は若干の展開のパートを見せるが、とにかく基本は例の「無限の壁」。450さっき依知川さんがMCで紹介したメニューでは「BARAKAの新たなる境地」とこの曲を紹介しているが、「Barakish」とでも言おうか、徹底的にBARAKA色が出ているところがスゴイ。
118a0440徹頭徹尾、依知川さんと平石さんがやることは約7分の間変化なし。
以前、ビリー・コブハムの「Stratus」の延々と繰り返すベース・ラインに「いい加減、早く終われ!」と怒ってしまった若い女性のベーシストがいたが、イヤイヤ、コレはそんなもんじゃない。
こういう演奏ってかえって大変だと思う。
たいていナンカやりたくなっちゃうからね。
このリズム隊の2人の強靭な精神力は並大抵のものではないと見た!
460v「皆さん、今日は平日の早めの時間にもかかわらずたくさん集まって頂きまして本当にありがとうございます。
さっき始まる前に曲順表を見て『あっ、オレがしゃべるのはこの辺か…大分先だな』って思っていたらもうしゃべる時間になってしまいましたよ!
1月にアルバムを出して、その後ずっとツアーを回って今日がファイナルです」
480「昔からBARAKAをご存知の方もたくさんいらっしゃっていると思いますが、初めて知ったという方のために説明しますと、BARAKAはライブが好きでアッチコッチでいつも演奏しているバンドなんですね。
普通ツアーっていうと『何月何日から何日まで、なんとかツアー』って打ち出しますが、友人とかに『BARAKAって今ツアー中?』ってよく訊かれるんですよ。
答えに詰まっちゃうんですね。
ボクらは好きで年中ライブを演っているので『ココからココまでがツアー、ココで休んでまたツアー』とはならないんですね。
ライブの時には、いつもヤル気を感じて演奏しています。
とにかくステージに立って皆さんの前で演奏することがとても好きなバンドですので、そういう感じでまた1年間ガンバっていきます。
これからも応援よろしくお願いします。
『BARAKAって今ツアー中?』って訊かないようにしてくださいね!」
490v「やっぱりツアーの醍醐味は久しぶりの方と再会したりとか、新しい出会いがあったりとかなんですね。
今日初めてBARAKAをご覧になる方、10年、15年応援してくれている方、色んな方がいらしゃると思いますが、今日ココに集い、こうして会えたことをとてもうれしく思っています。
『思ったよりいいナァ』とか『歌がないんだ?』と思われる方もいらっしゃると思います…歌、ないんですよ、ボクら。
『ずいぶんイントロが長いな~』と思っていると曲が終わってしまいますからね。
なので、『初めて観たけど意外といいなぁ~』なんて思ってくださった方はゼヒとも応援に来て頂きたいと思います。
今日は我々も楽しみにしてましたLINE CUBE SHIBUYAを迎えておりますが楽しんで頂いておりますでしょうか?
こういう楽しみにしていたステージは時間の過ぎるのが早いというか、アッという間に終わってしまうものです。
これから後半に入って行きますが、最後まで全力で演奏しますので楽しい時間をご一緒できたらと思います」500続いては「海の星」を意味するラテン語がタイトルの「Stella Maris」。
レスポールに持ち替えた一生さんがクリーン・トーンで静かにソロを弾くところから始まる。510依知川さんが弾くハネるパターンのリズムは5/4拍子。520オート・ワウをかけた一生さんのギターが被さる。530vジョー・パスが時折使うジャズの常套フレーズを組み込みながら、今度は足でワウワウ・ペダルを操作してクランチ・トーンによるソロを作り上げた。118a0306ジャズといえば、『欲望と言う名の電車』の登場人物のように女性の名前を題名に組み入れた「Stella by Starlight(星影のステラ)」という人気のスタンダード曲がある。
なんかこの曲が発するおだやかさに「美」という共通項を見出してしまった。
今日のBARAKAは実に幽玄だ。
 
BARAKAの詳しい情報はコチラ⇒BARAKA Official Web Site

008a0094<後編>につづく
 

200(一部敬称略 2025年5月29日 LINE CUBE SHIBUYAにて撮影)

2025年7月 9日 (水)

THE GOOD-BYE 40周年記念コンサートDVD付属マーブロ写真館<B館>

 
「THE GOOD-BYE40周年記念イヤー」の最後を飾るコンサート・ツアーの東京公演の様子を丸々収録したDVDが発売された。
今日は前回に引き続き、Marshall Blogが勝手に開館したそのDVDに付属する写真館の<B館>をご案内。0r4a0092ショウは中盤。
バンドがステージを離れ、THE GOOD-BYEの3人によるアコースティック・セットが始まった。
野村さんがベース、ヤッチンはアコースティック・ギター、そして今回の衛藤さんはウクレレではなく、ブラシを手にして「エド・シグペン(Ed Thigpen))ばりにスネア・ドラムを操った。
エド・シグペンは長年にわたってオスカー・ピーターソンのバックを務めた名ドラマー。
やっぱり「Ed」と「花のお江戸」でつながっているんだネェ。
そういえば…エドはもう15年前に亡くなってしまったが、それよりズッと前のこと、NAMMショウで誰も気が付かないエドを見かけて「あ、エド・シグペンだ!」とひとりで色めき立っている私にエドも気づき、微笑みながら私に向かってパチリと片目を閉じてくれたことがあった。
それがすごくカッコよくて、うれしかった。
今だったらスマホで一緒に写真を撮ったんだけどナァ。
「男性のウインク」なんて日本人がやったら絶対に気持ち悪いよ。30_2そんな衛藤さんのブラシ・ワークと歌で2019年に30年ぶりに発表した10枚目のアルバム『Special ThanX』から「笑顔がICHIBAN」を披露。20_eiMCをはさんで加賀八郎さん作の「僕らの祈り」。50_bi情感豊かに歌い上げるヤッチン。60_2衛藤さんはハーモニカも披露した。
3人の加賀さんへの想いが込められた感動的な演奏だった。70_2バンドがステージに戻って、添田さんの柔らかなシンセサイザーのサウンドをバックに…90_2のっつがシタールの音でエキゾチックなフレーズを重ねる。80_oot曲は「OUT OF THE TIME」。
ココから「裏グッバイ」。
「グッバイってこんな曲を演るの?」というような曲を取り上げるコーナー。
コレがいいのよ!
100_2ナポレオン・ジャケットを身にまとった3人がまず演奏したのは…110ポップ度をゆるめたロック要素が濃いナンバー。
120_2こういう曲もまたTHE GOOD-BYEの音楽の大きな魅力だ。130_2そのまま次の曲へ。
和佐田さんの重く太いベースが唸るのは…140「白夜のREVOLUTION」。150_brワウワウ・ペダルを踏み、歌詞に出て来る「Purple Haze」をクォートする野村さんのソロ。160さらにヤッチンのギター・ソロも飛び出してくる。180ヤッチンはいつも通りMarshall。
この時はMarshallのフラッグシップ・モデル「JVM210H」と「1960A」をプレイした。190v_2そしてツイン・リード・ギターのパートに突入。
ハードなTHE GOOD-BYE…すごく好き。200_2続けては再びキーボーズ・チームの出番。
例のエキゾチックなアンサンブルから…
210v_awヤッチンのストラミングが加わって「Another World」。
240vこの曲もヤッチンがソロのコンサートで時折取り上げる1曲だ。230バッチリとキマりました!245v_omakeジャケットを脱いで「Mass-Communication」。250_mcTHE POLICEっぽいサウンドにシリアスな歌詞。
「♪Mass-communication people」のコーラスがバツグンにカッコいい。
260衛藤さんのビート・スタートによる次の曲は…290_cm『Special ThanX』から「ちょっと待って」。
エキサイティングな野村さんの歌に…
300_2ヴァイオリンを弾かないsourcesの2人の「♪ちょっと待って」のコーラスが鉄壁の布陣でかぶさってくる!310_2ヤッチンのソロ!を交えて…320「♪帰えらなきゃ!」
野村さんと完璧に同期するフォーメーションはお見事!330再び衛藤さんのビート・スタート。118a0098同じく『Special ThanX』から「アカンBe love」。
実際に何かよっぽど「アカンこと」でもあったかのように、ヤッチンがクレッシェンド気味に歌っていく「♪アカン、アカン、アカン、アカン」のパートには強い気魄が感じられた。
350そんなアカンほど熱のこもった演奏に客席は大興奮!
340_ablコーラスや振り付けでも大活躍のsourcesのヴァイオリンの綾太郎くんと…360v_2隼人くん。
今回はほとんどの曲に2人のヴァイオリンのバッキングが加わり、そのカッコいいアレンジが曲を華麗に彩った。370v添田さんが弾く愛らしいメロディのピアノが導くのは「Real Me」。118a0748ゴキゲンなロック・ビートに乗って野村さんがストレートに歌い込む。380_rmヤッチンのソロ。
芯がシッカリしたとても良い音色だ。
390_2曲の最後はお客さんの掛け声を得て大エキサイト!400_aiaiさぁ、いよいよクライマックス!
ヤッチンのソロのライブでも欠かすことのできない「YES! YES!! YES!!!」が続く。118a1217 「♪Nice!!」420衛藤さんのコーラスも大活躍して…118a0488 「♪Nice!!」440野村さんのソロから…450v_2最後の「♪Nice!!」
3回ともバッチリとタオルが宙を舞った!460「祭り気分でTAKE A CHANCE」はヤッチンが弾くイントロ・リフでスタート。
ムムム、コレもカラっとしていてとてもいいギターの音!118a1153ボーカルズを分け合い、そしてハモる。
野村さんが歌うハモリのパートがまたどの曲もカッコいいんだよね。470_mktcスリリングなバンド・アンサンブルからのっつのシャープなシンセサイザーのソロ。490_2曲がブレイクするとヤッチンがステージの前に歩み出てリフをプレイ。0r4a0091_2すごい歓声!
500一方、下手では野村さんも前に出て来てソロをブチかます!510ステージの両端でギタリスト2人が大きな喝采を浴びた。520アッと言う間に本編最後!
『Special ThanX』から「LOVE」。530_lvココでも2人でボーカルズを分け合った味わい深い演奏を聴かせてくれた。540_lv本編全18曲。
シングルA面、B面、レア曲、最新曲、最高な盛りだくさんなプログラム。
ヤッチンがピックを遠投してメンバー全員がステージを離れた。550そしてアンコール。
全員お揃いのツアーTシャツに着替えてステージに登場し、まずは1989年7月発表のシングル「25ans」を演奏。560_25続いて同じく1989年にリリースしたアルバム『Revolution No.9』収録の「Hong Kong Blues」。
この曲を発表した頃は香港ってまだイギリスの租借地だったんだよね。
キャリアを感じるナァ。570_hkb最後のTHE GOOD-BYEの40周年記念コンサートの東京公演を締めくくったのはこの曲。580_krg「♪You!」…590v「悲しきRadio Girl」だ!600THE GOOD-BYEの40周年おめでとうございました!610完璧な演奏で3人を盛り立てたバンド・メンバーの皆さん。
素晴らしい演奏だった!
620v 630v 640 650感動のエンディング!660「どうもありがとうございました!」670最後に野村さんがベースを片手に加賀八郎さんを紹介した。680大きな大きな歓声を浴びてステージを去って行くTHE GOOD-BYEの3人。690お客さんは手を振りながら3人を送り出し、「THE GOOD-BYEのテーマ」を大合唱した。
ああ、実にいいコンサートだった!
 
THE GOOD-BYEは8月30日の札幌を皮切りに全国7ケ所を回るツアーが予定されている。
それも楽しみ!
700曾我泰久の詳しい情報はコチラ⇒soga21.com710vDVDのお買い求めはコチラ⇒Guts EntertainmentSleeve<おしまい>
 200(一部敬称略 2024年8月18日 昭和女子大学人見記念講堂にて撮影)

2025年7月 7日 (月)

THE GOOD-BYE 40周年記念コンサートDVD付属マーブロ写真館<A館>

  
2023年、THE GOOD-BYEはデビュー40周年を迎え、それを記念するコンサートが開催された。0r4a0035東京公演は9月10日、場所は昭和女子大学人見記念講堂。
その様子はMarhall Blogでレポートした。35そして、年が明けて2024年。
その40周年記念イヤーを締めくくるコンサートが催された。008a0005_2 場所は同じ、昭和女子大学人見記念講堂。
人見に始まり、人見に終わるいかにも「元気」が出そうな企画だったのだが…THE GOOD-BYEファンやヤッチン・ファンの皆さんのうち、1人か2人は気が付いていらっしゃるのではなかろうか?
イヤ、気が付いてチョーダイ!
そう、そのコンサートのレポートがMarshall Blogに載らなかったのである!
コレは大事件でしょう?
エ、そうでもない?
20理由はコレ。
その2024年8月18日の公演が全編収録されていて、この度その模様が2枚組DVDとなって発売されたのだ。
要するにいわゆる「ネタバレ」を避け、このDVDの発表を待ってMarshal Blogにレポートを掲載するという段取りだったのだ。0r4a00027 さて、そのDVDが出来上がってジャケットを見てビックリ仰天有頂天(←コレは古すぎるか?)!
私が撮影した写真がジャケットの表裏合計でナント108+1枚も使われているではないの~!
どうもありがとうございます!15Marshallアンプをご愛用頂いているヤッチンの流れから、THE GOOD-BYEを初めて撮影させて頂いたのは30周年の時のこと。
それからもう10年に渡ってシャッターを切らせて頂いているんです。
上質の音楽をこの上なく楽しく聴かせてくれるTHE GOOD-BYEやヤッチンのコンサートの様子を写真に収める仕事に私が大きな誇りを抱いて臨んでいることは改めて申すまでもないでしょう。10さて今回のDVD、ショウの内容が本当に丸々収録されている。
ココまで充実した内容ともなるとファンの皆さんが羨ましいね。
もちろん競っているワケでは全くないけれど、こうなると動きもしなければ音も出ないMarshall Blogのレポートは到底DVDに太刀打ちできませんな。
そもそもDVDで観られる内容をワザワザ写真と文字で綴ったところでファンの皆さんがよろこんでくれる道理はあるまい。
ということは…DVDで見ることができないモノをMarshall Blogでお見せすればいいんでないの?とハタと閃いた。
で、考えた。
その答えはジャケットに使われていないロング(=ヒキ)とヨコ組みの写真と見た!
メンバーのソロのタテ組の写真は虫メガネ片手にジャケットで楽しんで頂くとして、今回のMarshall BlogのTHE GOOD-BYEの「40周年記念ファイナル・コンサート」のレポートは、記事のタイトルにあるようにDVDに付属している「写真館」というスタイルでお届けします。
 
さあ、開場の時間が近づいて来ましたよ~!30ハイ、満員御礼!40「右、左、右、左」…開宴時間となり、「赤いポルシェ」のインストゥルメンタル・バージョンをBGMに、隊列をなしてステージに姿を現したTHE GOOD-BYEとサポート・ミュージシャンの皆さん。501曲目は「赤いポルシェ~TAKE OFF」。50_ap野村義男60曾我泰久70衛藤浩一8040周年イヤーを締めくくるTHE GOOD-BYE。901曲目からいきなりハイライト!100背中を合わせてギター・アンサンブルを奏でる野村さんとヤッチン。110vそして、奥の方からは衛藤さんの歌声。120チョット照れた感じも初々しく、楽しそうにこのアクションを決めた2人。130MCを経て曲は1983年9月に発表したデビュー・シングル「気まぐれOne Way Boy」。
DVDには楽しいMCも丸々収録されていますからね。
ココからしばらくはTHE GOOD-BYEのシングルA面の特集。
140_kowbヤッチンがキメのフレーズを弾いてエンディングへ。118a0402ヤッチンはいつも通りMarshall。
この時はMarshallのフラッグシップ・モデル「JVM210H」と「1960A」をプレイした。160vギター・アンサンブルのイントロがうれしい「涙のティーンエイジ・ブルース」。
150_ntbこの曲は1983年のシングル…40年前にはこんな3連リズムのロック曲がシングル盤として世に出されていたんだネェ。
まだまだいい時代だった。170vスインギーなベースがゴキゲンな「モダンボーイ狂想曲」。
加賀さんのパートを担当したのは今回も名手・和佐田達彦。
190vTHE GOOD-BYEのバックを固めたのは…
 
添田啓二180vsourcesの3人、野津永恒…200加賀谷綾太郎…210日髙隼人。220「モダンボーイ狂想曲」は1984年3月の3枚目のシングル。
しつこく同じようなことを書いて恐縮ですが、こうしたジャズ・ビートの曲で勝負に臨むことができた時代でもあったんですナァ。
というか、THE GOOD-BYEってホントに色んなことをやっていたんだよね~。230_mbk「モダンボーイ狂騒曲」の4か月後にリリースした「YOU惑-MAY惑」。
歌詞は野村さん、曲はヤッチン。
私は大学4年生でジャズに狂ってロックは全く聴いていない時期だったんだけど、この曲は知ってる。
うまいことやるナァ…とタイトルに感心したことを覚えている。240_nnその4か月後の「にくめないのがニクイのさ」。
コレもリリース当時に聴いた記憶がある。250_nnTHE GOOD-BYEって、歌詞もメロディもシッカリしたフックを曲の中に組み入れるのがとても上手なんだよね。
「フックのある曲ってナンですか?」て問われたら、最近私は「ブックオフへ行ってごらん」と答えるようにしている。
店員さんが「いらっしゃいませ、こんにちは!」と歓迎してくれる店内に流れているBGMは古今のヒット曲なんだけど、何となく人の耳に残りやすいパートを持っている曲ばかりを選んでかけているように思うのね。
イギリスでいえば「Old Grey Whistle Test」を通過した曲とでもいいましょうか?
この曲でいえば、歌の最後のつい口ずさみたくなっちゃう「♪にくめないのがニクイのさ」のパート。
40年前に耳にしたこのパートが今でもスッとでて来るワケ。
コレがフック。260v以上5曲、ヤッチンがシングルA面ナンバーをリリース順に演奏したことを説明。
もちろん客席は大盛り上がり!270v替わって今度はシングルB面曲特集。
まずは「Dance×3」。
「気まぐれOne Way Boy」のB面。
A面の作詞&作曲家が手掛けた曲だが、「Dance×3」は野村さんとヤッチンのコンビで作られた。
B面曲とはいえ、もうデビューシングルの時点で自作曲を世に問うていたんだね。
作者にしてみれば、本当はこっちをA面にしたかっただろうナァ。
280_dddヤッチンのスカ・ビートのスクラミングから「二人だけのクリスマス」。
「涙のティーンエイジ・ブルース」のB面。
も~、本当に律儀というか、さっきリリース順に演奏したA面曲に呼応する形でB曲も演奏しているの。290_2ch中間部のストリングスのパートがステキ!
310次も楽しい「浮気なロンリーガール」。
380「Da Doo Ron Ron」を思い出しちゃう。
つまりコレも3連曲。
今、テレビを見ていても3連のリズムの曲って流れて来ないでしょう?
やっぱりチャンと伝統に根差したバンドって3連の曲を演るんだよね。
300「YOU惑-MAY惑」のB面「Love Again」。340コレも実にいい曲。370_dmmb衛藤さんも絶好調!
実に楽しそうだ!
360vシングルB面特集の最後は「Don't make me blue」。
320_urgこの曲はヤッチンのソロでも時々取り上げられるからよく知っています。
350_la野村さんのソロがハードに炸裂!400v「シングルのA面よりB面の曲やアルバムの方が評判がヨカッタ」と毎回ヤッチンがMCで説明してくれるけど、両方いいわ。
言い換えると、今演奏したどの曲をA面に据えても十分に通用すると思う。
「どっちをA面にするか?」…バンドも制作サイドもリリースの際には毎回悩んだのではないでしょうか?390しばし3人でトーク。
ココもオモシロかったね。008a0240次のセクションはTHE GOOD-BYEのミュージカル『ラ・ボエーム'85 ミュージカル 原宿物語』からの2曲。
1996~2008年までロングランしたブロードウェイのミュージカル『RENT』の下地はプッチーニの「ラ・ボエーム」ですからね。
このミュージカルが始まった頃、ちょうどブロードウェイに行ったんだけど、チケットを手にれるために何日も寝袋で過ごす若い人が劇場の前にたくさんいてビックリした。
THE GOOD-BYEは『RENT』より10年以上前に「ラ・ボエーム」を演っていたんですな。
まずは「ペパーミントパティTelephone」。420_pptオールディーズっぽい曲調がうれしい。430続けて「Two Nights」。440v_tnこれも問答無用でいい曲。
このミュージカル、観てみたかったナァ。
また演ってくれないかナァ?450v綾太郎くんのソロ、カッコよし!118a0248このあたりから衛藤さんコーナー。
「衛藤さんコーナー」といえばヤッチンのファンク・ストラミングから始まるコレ。480vヨイショっと!
おなじみの「花のお江戸は華盛り」!
470衛藤さんが歌にトークに盛り上げに盛り上げてコンサートの前半を終了した。
 
曾我泰久の詳しい情報はコチラ⇒soga21.com
  
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200(一部敬称略 2024年8月18日 昭和女子大学人見記念講堂にて撮影)

2025年7月 2日 (水)

マルタ・ガブリエル~METAL QUEEN'S DESCEND TO UTOPIA 2025 JAPAN

 
去る5月17日と18日の2日間にわたって開催されたポーランドのメタル女王「マルタ・ガブリエル」のライブ。
Marshall Blogは18日のショウにお邪魔した。
10v当日まずステージに上がったのは日本のチーム、「エンシェント・ミス(ANCIENT MYTH)」。
「古代神話」のバンド名がふさわしいスケールの大きなシンフォニック・メタルを奏でるチーム。20流麗なプレイと独特なアクションを見せてくれるkayaくんはいつか一緒に仕事がしてみたいギタリスト。30vビックリしちゃったんだけど、ボーカルズのMichalちゃんがモーツァルトの『魔笛』で「夜の女王」が歌うアリア、「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え(以下「夜の女王」)」を歌ったんだよね。
部分的にしろコレをレパートリーに取り入れているロック・バンドに初めて出くわしたわ!
モーツァルトの生涯最後のオペラ作品である『魔的』を作ったのが1791年。
もうその時代にもなると、クラシック音楽は取りあえず考えつくアイデアがすべて出尽くしてしまって、人間の限界に迫る楽器演奏の超絶技巧や高い声がどれだけ出るか?などを競う「音楽のオリンピック」みたいな様相を呈していた。
そんな中、モーツァルトがスコアにブチ込んだのが「夜の女王」というアリアの「ハイF」という超ハイトーンだったという。
それをMichalちゃんが演ってくれたというワケ。40vこの曲は「Coloratura(コロラトゥーラ)」という声を転がすようにして歌う技法が取り入れられていて、「エディタ・グルベローヴァ」というオペラ歌手はこの曲をオハコにして大ブレイクした。
グルベローヴァは「コロラトゥーラの名手」で『The Art of Coloratura』というアルバムをリリースしているんだけどコレがいいのよ~(写真右)。
このアルバムに収録されている「グリエール」というウクライナの作曲家による『コロラトゥーラとオーケストラのための協奏曲』の「アレグロ」って曲がものすごく良くてぶっタマげた。
あのディズニーの人気曲、「星に願いを(When You Wish Upon a Star)」はこの曲を下地にしたのではないか?と私は考えている。
テルミンで演奏しているかのようにも聞こえる「夜の女王」の上を行くハイトーンで歌うグルベローヴァが驚異的にして感動的だ。50そんなMichalちゃんの歌声を擁する純正メタル・サウンドがANCIENT MYTH。55トップ・バッターとして堂々たるパフォーマンスを見せてくれた。008a0006続いての登場は「サイレント・ウインター(SILENT WINTER)」。60コチラはギリシャから。
国旗を手にして熱唱するマイク・リヴァス。
ギリシャのメタルってのは初めて耳にした。
S41a0054でも、ジャズではオモシロいモノがあるんですよ。
たとえば左のディジー・ガレスピーの『Dizzy in Greece』というアルバム。
ま、コレはガレスピーがジャケットの中でギリシャの民族衣装を身にまとっているだけなんだけどね。
でも右のアルト・サックスのフィル・ウッズの1967年の作品はドンズバ。
その名も『Greek Cooking』。
「cook」はジャズのスラングで「アドリブをする」という意味なので、アルバムのタイトルは「ギリシャ料理」と「ギリシャ人との演奏」のダブル・ミーニングになっている。
ギリシャ風のメロディをふんだんに取り入れて「ウード」だの「ブズーキ」だのと一緒に超絶技巧でギンギンにスイングしまくっちゃう。
「ゲテモノ」といえば「ゲテモノ」だけどタマらなくカッコいい。
レコーディングしたのがニューヨークだったのが玉にキズか?
95バルカン地方の音楽ってメロディもリズムもアンサンブルも実に魅力的なんだよね。
大分前になるけど「トゥルクソイ」というそっちの地方の民族音楽のコンサートに行ったことがあったが大変に感動的だった。
また観たい。
75一方かつての「ギリシャのロック」ということになると、やっぱり「エヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウ」かねぇ?
ひとことで言うと「ヴァンゲリス」。
「プロッグ・ロックの名盤〇〇選」みたいな企画になると大抵出てくるのが彼がやっていた「Aphrodite's Child」というバンドの『666』というLP2枚組。
まだ「666」の意味も知らない頃、好きでよく聴いた。
他方、ギリシャには「ヤニス・クセナキス」という現代音楽の大作曲家がいるね。100とにもかくにもマイク・ヴァリスの歌声がすこぶるカッコいい!120v「It's Greek to me」なんてことが一切ないストレートなメタル・パフォーマンスは爽快そのものだった!
85そしてトリの出番となる。
下はこの日の屋台村のようす。140来日バンドのサイン入りのCDが人気を呼んでいた。150最後にステージに上がったのは…
160Marta Gabriel(マルタ・ガブリエル)170vJien Takahashi(以下「ジエンくん」)180vPaulo Awazu190vKazuhiro Watanabe200vRitti Danger210vマルタは2003年に結成したポーランドのベテラン・バンド「クリスタル・ヴァイパー(CRYSTAL VIPER)」のボーカリスト。
…ってんでポーランドについてもマーブロ的におさらいしておきましょう。220vポーランドの音楽家といったらやっぱり断トツで「フレデリック・ショパン」でしょうナァ。
でもショパンの音楽とは似ても似つかない現代音楽もスゴイ。
「クシシュトフ・ペンデレツキ」とか「ヘンリク・グレツキ」とか…タマ~に聴くとなかなかいいもんです。
とてもいつもは聴いていられないけどね。230ジャズでは「マイケル・ウルバニアク(Michael Ulbaniak)」というとてもいいヴァイオリニストがいる。
「ラリー・コリエル」と共演した右の『A Quiet Day in Spring』というアルバムの1曲目に収録されている「Rue Gregoire Du Tour」は超名曲だ。
「Polish Reggae」なんていうポリ・リズムのウルバニアク作の変わった曲も入っている。240ロック・バンドも少なくないようなんだけど、ほとんど知らん。
その中にあって1960年代から活躍していた「チェズロー・ニーメン(Czesław Niemen)」はすごくいいな。
歌声がとにかく魅力的なのだ。
左の『Niemen Aerolit』という1975年のアルバムは「プロッグ・ロックの名盤」と言って何ら差し支えないでしょう。
それと「SBB」はひと通り聴いた。250音楽から離れて…映画となるとアンジェイ・ワイダとロマン・ポランスキーということになるか?
戦時中、「コルチャック先生」や「コルベ神父」のような博愛の偉人がいたこともつとに有名だが、戦争に関して言えばポーランドにはスゴい話がある。
それは下の機械。
Marshall Blogを欠かさず読んでくれているジエンくんであればこのタイプライターのような機械が何をするためのモノかをご存知であろう。
「CODE」を発売する時にさんざんやった。
コレは「エニグマ暗号機」。
第二次世界大戦中にドイツが開発した難攻不落の最強の暗号「エニグマ」を作り出す装置。
暗号というモノは最終的には解読者側が勝つことになっているんだけど、連合軍はどうしてもこの機械が送り出す暗号を解読することができなかった。0r4a0840それを打ち破ったのがイギリスの「アラン・チューリング」という数学者。
チューリングは「The Bombe(ボンベ)」という機械を作ってエニグマを解読し、その功績が第二次世界大戦の終結を2年早めたと言われている。
そして、そのボンベが現在のコンピュータの基礎になったという。
「今頃?」という感じがしないでもないが、一番新しいイギリスの最高額紙幣である50ポンド札のデザインにはアラン・チューリングが採用されている。
また一説によれば、アップル・コンピュータのロゴのリンゴをカジったのもアラン・チューリングだと言われている(←コレが気になる人はコチラをどうぞ⇒【イギリス-ロック名所めぐり】vol. 46 ~ ブレッチリー・パーク <その2>)。
 
ところが…50p実はエニグマを一番最初に解読したのはチューリングではなく、下の「マリアン・レイェフスキ(Marian Rejewski)」というポーランドの数学者だった。
モノの本によると、ドイツのポーランド侵攻が第二次世界大戦の発端となったように、ポーランドという国は古来より周辺の国にイジめらられがちたったのだが、「武力よりも知力で国を守る」というような精神があって、このエニグマ解読にあたってもその精神が奏功しだそうだ。
素晴らしく頭の良い人がたくさんいるのだそうですよ、ポーランドには。
Marienさて、マルタのショウは前半をクリスタル・ヴァイパーのレパートリーで固めた。
オープニングは「Still Alive」。260ノッケからストレートに大疾走!
500_mo「こんばんは東京!
とても温かく迎えてくれてどうもありがとう!
2日間にわたって皆さんにヘヴィ・メタルの夜をお届けしています。
そんな夜にふさわしいタイトルの曲を演奏します」280v_m演奏したのは「Bright Lights」。290_blサビのメロディがとても印象的な1曲。300vジエンくんのソロ。310v前回の記事で紹介したようにジエンくんは例のMODE FOURのスピーカー・キャビネットのAB上下を持ち込んだ。320v8Ω使いで400Wの入力として稼働する「MF400A」と「MF400B」。340ヘッドは「JCM900 4100」。350このキャビネットから出る音で自信に満ち溢れたギター・プレイを聴かせてくれた。360v下手ギターのPauloの背後にも…370v「1960A」と「1960B」がそびえたった。
しかし、いつ見ても貫禄のあるAキャビだナァ。380vこちらもアンプ・ヘッドは「JCM900 4100」だ。390「次の曲もクリスタル・ヴァイパーの曲でビデオにもなりました。
ビデオはお気に召して頂いたかしら?」S41a0100 ドラムスと…410_wsgdベースでスタートするヘヴィなミディアム・スロー・ナンバーは「When the Sun Goes Down」。420私のような超オールド・スクールにはこうしたトラディショナルなハードロックっぽいテイストが実にシックリくる。
カッコいいわ~。430「サンキュー!サンキュー!サンキュー!
皆さんがスロー・テンポな曲がスキだったらいいんだけど…。
ナゼなら次はスローな曲なの。
最新のアルバム『The Silver Key』のタイトル曲よ!」440v_m2ジエンくんの弾くリフに…450v_skマルタの歌声が重なる。
460vスローってほどのことでもないヘヴィ・チューン。
イヤ、別にスローでも全然構わないんですが。
この曲も少しエキゾチックがかったサビのメロディが魅力的だ。
480そのサビのメロディをマルタとユニゾンで弾いてそのままソロに突入。
典型的なロック・フレーズの連続が小気味よいぞよ!470v「以上がクリスタル・ヴァイパーのセレクションでした。
ココからはショウのパート2に入るわよ。
セカンド・セットでは私のソロ・アルバム『Metal Queens』からの曲を歌います。
80年代のオールド・スクールの女性が歌うヘヴィ・メタル・バンドのファンはココにいるかしら?
(客席の反応はバッチリ)
もちろんいるわよね~!
それじゃ、もうひとつ訊くわよ…どんなバンドが好きなのか名前を叫んでくれる?」
「$%&=!」、「|*+?!」、「>?+*!」…と客席からたくさんの声が上がったが、私はサッパリわかりませんでした。
私のオールド・スクールは60~70年代なもんで。
「完璧ッ!いいチョイスね!
かえって皆さんから教わっちゃったわ!」490v「アーユーレディ?アーユーレディ、ジャパン?!」と十分にアオっておいて…2702021年にリリースしたマルタが80年代の女性シンガーのメタル・バンドの曲をカバーしたソロ・アルバム『Metal Queens』から「エイシッド(ACID)」の「Maxoverload」。
510vコリャまた泣く子も黙るドライビング・チューンだわ!520v「リー・アーロンのファンはいるかしら?」と客席に問いかけて演奏した続いての曲は「Metal Queen」。
「ハンク・アーロン」か「アーロン・ネヴィル」なら私も知っているんだけどな…。
530v_mqこれまたミディアム・ファストのヘヴィ・チューン。
しかし、いい声だな~。ピッチは完璧だし。
キュ~っと高い声を出した時なんかアン・ウィルソンを思い出してしまう。540各曲でクールにソロをキメていくジエンくん。550v続いては「ゼッド・ヤーゴ(Zed Yago)」の「Rebel Ladies」。
590コレはドイツのバンドかな?
初めてバンド名を耳にした。
あんまり「知らない、知らない」と言っていると「それでもMarshall屋か!?」なんて怒られちゃいそうだけど、知らんものは知らん。
ヘタに知ったかぶりをするよりはるかに潔かろうぞ。
S41a0277でも、曲は知らなくてもマルタの声を聴いているだけで十分に楽しめる。600vひと時も休むことなく激しく動いて、徹底的にシャウトするその姿は感動的だ。
曲席からも「マルタ~!」と応援する声が始終上がっていた。
580_ma「さっき皆さんに好きな80年代の女性シンガーのメタル・バンドは誰か?と訊いた時に上がった名前だと思うんだけど…次はそのバンドの曲よ」S41a0225_2「You are my angel!!」と叫んだこの曲のオリジナルはイギリスの「ロック・ゴッデス(Rock Goddess)」の「My Angel」。0r4a0019 「♪You are my angel」と連呼するマルタのド迫力ボーカルズ!560vそのまま続けて「マルティーズ(Malteze)」の「Count Your Vlessings」。008a0260 次の曲ではちょっとテンポを落としてジエンくんのソロでスタート。
一旦曲を区切って…
610_gw Pauloがリフを弾くと…620v曲は胸のすくようなドライビング・ナンバーと化す。
「ウェンディ・オウィリアムス(Wendy O'Willians)」の「Goin' Wild」。
何ですか?この人はステージでギターをチェーンソーでブッタ斬ったりしちゃった人なんですって?
物騒だナァ。
マルちゃんはそんなことしないでネ。
630ベース・フィーチュアのパートから…
570vギター・ソロを経て曲はクライマックスへ!640「サンキュー・ジャパン!
また質問よ。
今回は私にとって初めての日本だから質問が多いのよ…許してね。
みんな…80年代のメタル・バンドでドロ・ペッシュのウォーロックって知ってる?」
お客さんの多くがご存知のようだった。
コレもドイツのバンドなのね?
660「ウォーロック(Warlock)」の「Mr. Gold」。670_mgいよいよ冴えわたるマルタのシャウト!
「素晴らしい!」としか言いようがないぞ!680vバンドとのコンビネーションもバッチリだ。690次の曲はエージェント・スティールの「Agent of Steel」。
コレはLAのチームか…「日本製鉄」みたいなバンド名ですな。
「次は、もしみんなが日本のメタル・ヘッズなら次の曲を一緒に歌ってもらいたいの。
歌ってくれるわよね?
みんなが『♪Maters of metal』って歌って私が『♪Agent od steel』って答えるのよ」
早速お客さんと練習。
「♪Masters of metal!」
「♪Agents of steel!」
S41a0230「大体いいわ。でもそんな小さい声ではダメ~。
バンドが入ったら聞えなくなっちゃうわよ!
もう1回練習ね!」770v_c_r練習がうまくいって曲に突入!730vコリャまたよりによって破天荒にメタルな曲だな~!
740vハイ、みんなで!
「♪Masters of metal!」008a0263 「♪Agents of steel!」
760vバッチリとキマったんじゃないスか?700vお客さんも大興奮!
「ちょっとラウドにナニか歌ってみましょうか!」
ココでジックリとマルタとコール&レスポンス。
「♪オ~オオ!」だの「♪アァァァァァ!」だの、低音から超高音まで幅広い音域を繰り出してくるマルタにお客さんが負けていない!750続けてジエンくんがア・カペラでギター・ソロを奏で出す。780_slMODE FOURキャビを背中にバリバリとシャープなフレーズを繰り出す。790vソロの最中にナニこっち見てんのサ?
おおッ!コレは!?
急にクリーン・トーンに切り替えてアル・ディ=メオラの「Mediterranean Sundance」を弾き出したではないの!
昨日は歪ませて弾いたのだそうだが、今日は私が来ているので正調派クリーン・トーンで弾いてくれたそうです。
それで私の方を見ていたのね?
ジエンくん、ありがとう!800そのまま…おおッ!?
曲はスコーピオンズの「Tha Sail of Charon」へとつながった。
高校の時、私は最初の1小節しかコピーできなかったが、あのウリが弾くエキゾチックなイントロをジエンくんはいとも簡単に流麗に弾いて見せた。
そういえばこのイントロのギター・ソロが「デューク・エリントン(正確にはファン・ティゾールという人)」作の「Caravan」のテーマに似ていると指摘した人がいたが、フムフム…それも結構言い得て妙だわな。S41a0162「Charon」は「カロン」ではなくて「シャロン」と発音するみたい。
どっちが正しいのかは知らないけど、曲を作ったウリ自身が「シャロン」って言っていた。
ギリシャ神話において、「シャロン」は「アケローン」という三途の川(ステュクス=Styx)の支流を渡る舟を有料で操る醜い老人のことらしい。
言ってみれば「矢切の渡し」の船頭さんみたいなものだ。S41a0122 この曲、『Taken by Force』が出た時に「カロンの渡し守」という邦題でシングルカットされていたけど、曲名の意味としては「シャロンの帆」とか「シャロンの帆船」とかいう意味になるハズだと思うのです。
ちなみに「sail」には「渡し守」という意味はなく、相当する英単語は「ferryman」。
この邦題だと「シャロン」が川の名前みたいに思えてしまってあまりウマくないのでは?と昔から思っていた。S41a0273 今日、初めてバンド演奏で知っている曲が出ました!
うれしいなったらうれしいな!
800_sosその私のよろこびを倍増させてくれたのが、クラウス・マイネもマッツァオのマルタの歌声!
問答無用でカッコよかったわ。
810vそういえばジエンくん、「マルタはがスコーピオンズが好き」だとか言っていたっけな。
私も高校の時に好きで2回目の来日公演を中野サンプラザに観に行った。
「マイケル・シェンカーが来る」って宣伝していたけど来なかった。
UFOの時も来なかった。
おかげで私はとうとうマイケル・シェンカーを観ずして墓に入りそうだ。
820「次はとてもスペシャルなサプライズよ!」S41a0181マルタが曲名をシャウトするやいなやジエンくんがクールなリフを弾き出した。830_ivマルタが「スペシャルなサプライズ」と言ったのは、ジエンくんがやっている「マジャスティス(MAJUSTICE)」のレパートリーを取り上げたから。
曲は「Infinite Visions」。840勇猛果敢に疾駆する今風の真性メタル・チューン。850ジエンくんは水を得た魚のように思う存分ソロを弾きまくった。
イヤ、「Marshallを得たロック・ギタリスト」のように…か?860「どうもありがとう!
今日最後の曲の時間が来てしまいました。悲しいわ。
最後に『グリム・リーパー(Greim Reaper)』の…」
メロディをつけて「♪See~ You~ in Hell~!」と曲を紹介した。
870v本編最後とあってマルタと一緒に暴れまくるバンドの皆さん!870 880v 880 890最後まで激唱の限りを尽くしたマルタ・ガブリエル。
ステージ狭しと動き回り、MCでは笑顔を一時も絶やさず、すごいショウマンシップだった…今はショウウーマンシップって言うのかな?
曲は「シャロン」1曲しかわからなかったけど、見ていて全く飽きることのないショウで、彼女の熱量にはスッカリ感動してしまった!
そして本編が終了。
900vでもね最後の「グリム・リーパー」は知っているの。
ナゼならグリム・リーパーの創設者、「ニック・ボウコット」はかつて長年アメリカのMarshallに勤めていた20年来の私の友だちなのです。
フザけて彼は私のことを「TDMF」、私は彼のことを「ADMF」と呼び合う仲で、彼がMarshallを離れてしまった現在でも時折メッセージのやり取りをしている。
この4文字のアルファベットはザック・ワイルドがサインをする時に自分の名前に添える「SDMF」のパクリ。
下は前回のMODE FOURの記事で出て来たフランクフルトの展示会の時の写真。
「フランクフルト中央駅」の前のパブでイッパイやって上機嫌になっているところ。
Vサインを出しているのがニック。
それにチューしようとしているヨッパライが私。905ニックはMarshallの50周年を記念して上梓された本をマイク・ドイルというMarshall研究家と共著し、私はその日本語版の監修を担当した。
Mbkさて、ジエンくん。
今度はイタリア。
盟友イヴァン・ジャンニーニとの「ヴァイオレット・エターナル(VIOLET ETERNAL)」の公演が近づいている。
「THE冠」とのダブル・ヘッドライナーだ。910v皆さんもご存知のように音楽の世界的な趨勢として、旧来型の激しいロックが絶滅の危機に瀕していると言っても過言ではない状況にあるでしょ?
そんな環境下、海外のミュージシャンと連携を取って独自の活動を続けているジエンくんはエライと思う。
アニメやゲームに関わるバンドや女の子バンドが海外へジャンジャン出かける中、日本国内で海外のミュージシャンと交流を重ね、マッド・サイエンティスト的に自分の理想とする音楽を追い求めているジエンくんに本来の「ロック・ミュージシャン」の姿を見出す。
今回、彼はMODE FOURというスピーカー・キャビネットの伴侶を得たが、肝心のアンプの方はまだ安定していないようなので、Marshallでしっかりした真空管アンプのシステムを構築して、最上のアナログ・ギター・サウンドで音楽づくりに邁進することを願ってやまない。
今のままではモッタイなさすぎる。
008a0268_2アンコールでは「ブラックレース(BLACKLACE)」の「Call of the Wind」を演奏した。920_encショウの最後を飾るにふさわしい鉄壁のドライビング・チューン。
バンドも客席も徹底的に燃え上がった~!925マルタ・ガブリエルの詳しい情報はコチラ⇒CRYSTAL VIPER OFFICIAl WEBSITE
Jien Takahashiの詳しい情報はコチラ⇒VIOLET ETERNAL OFFICIAL WEBSITE

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200(一部敬称略 2025年5月18日 新宿HOLIDAYにて撮影 ※取材協力:ルビコン・ミュージック