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2018年9月21日 (金)

SPEED METAL ASSAULT~HELL FREEZES OVER

 
今日はドメタル。
ああいうのはいつの頃からなんだろう?
ロックからチョット目を離しているスキに「何とかメタル」ってのがウジャウジャ出て来て、私にはサッパリわからんのよ。
私が若かった頃、ロックのカテゴリーといえば「ハード・ロック」、「プログレッシブ・ロック」、「ブルース・ロック」、「ジャズ・ロック」とか、せいぜいそんなもんで、その下は階層はなかったように記憶している。
でも、そういう細かいジャンル分けというか、やや流行りの表現で言えば「レッテル張り」を私はキライではない。(←この文章はジャズ評論家&ジャズ喫茶「メグ」の寺島靖国さんの言い回しを拝借しています。間違いではありません)
だって「エ~、そんなメタルあんの~?!」なんておもしろいじゃん?便利だし。
それに、それだけジャンルが分かれるということは、「人とは違うことをやって、何とかオリジナリティを出そう!」というアーティストの姿勢が見て取れるからね。
ところで、「レッテル」ってなんだ?
少なくても英語ではない。
調べてみると…オランダ語だってよ。
英語では当然「label」。
ご存知の通り、日本は「蘭学」といって、江戸末期までは従順にオランダをフォローしていたので、今でも我々は驚くほどたくさんのオランダ語を語源とする単語を日常的に使っている。
「エレキ」、「オルゴール」、「ガラス」、「コック」…等々。
「おてんば」も元は「otembaar」というオランダ語なんだって!
オランダ語はゲルマン語系言語なので英語と兄妹みたいなものだからして、「ガラス」や「コック」なんてのは同じようなものだが、もし、それらの単語がイギリスから入って来ていたとしたら、「グラース」とか「クック」と呼んでいるハズ。
「今年は大掃除で徹底的にグラースを磨くぞ!」とか、「オイ、この料理はなんだ?クックを呼べ!」なんてことになってた。
ナンカしまらない。
でも、長州藩や薩摩藩がイギリスとケンカなんかしないでイギリスがもっと早く深く日本に接近していたら、今の我々の英語の勉強も少しはラクになっていたかも知れない…なんてノンキなことは言っていられない。
間違いなく植民地にされてたな。
ところで、北欧の人たちってメッチャ英語ウマいじゃない?
それもそのはず、スウェーデンなんかは政府刊行物が英語だっていうからね。
でもね、私の経験から言って、第二母国語として英語を最もうまく自然に話すのはオランダ人だと思う。
ドイツ人よりゼンゼンうまい。
前に勤めていた会社でオランダ人からの電話を取って、あまりのネイティブさに驚いたことがあったし、Marshallのオランダのディストリビューターも同様だった。
多分、イギリス人の英語を「標準語」とするなら、オランダ人の英語は「関西弁」になるぐらいの違いなんじゃないかね?
イヤ、我々はあんなに上手に関西弁をしゃべりよらん。
で、「レッテル」。
コレは英語では「letter」に相当する言葉なので、「ラベル」の他に「文字」という意味もあるようだ。
英語の「letter」は「手紙」という意味だけじゃなくて「文字」という意味があるからね。
ホーソンの『緋文字』という小説があるでしょ?
アレは原題を『A Scarlet Letter』というし、楽譜でパートの冒頭につける四角で囲ったアルファベットがあるでしょ?
あれを外人に向かって読む時は「Letter B」とか「Letter F」と読む。
あ~、またずいぶん脱線しちゃったナァ。
もう少しいい?
 
どこでだったかはどうしても思い出せないんだけど、「平山秀山堂」という会社があって、中学の頃、通学の途中に毎日その看板を目にしていた。
そこに「シタダシレッテル」という文字がデカデカと出ていた。
こっちはまだ子供だから、コレが「下田シレッテル」か「舌出しレッテル」かわからなかったのだが、ある日、ロゴに使われていた子供のイラストがベロを出していることに気づき、「舌出し」が正しいことを知った。
それから40年以上経った今ッ!
今回のこの脱線のためにッ!
「シタダシレッテル」を調べてみた。
ゴメン…まだ本題まで大分あるぞ~。
この「平山秀山堂」という会社、創業は太平洋戦争真っただ中の1942年。
それに先立つこと46年、1896年(明治29年)から「シタダシレッテル」を製造販売していたという。
19世紀ですよ!
この「シタダシレッテル」って何のことかと言うと、かつては「値札」のことだったそうだ。
今ではBOOK OFFみたいに、ペロっとシール状の値札を商品に貼るだけだが、昔はシタダシレッテルの裏に塗布してあるアラビア糊をベロンチョと舐めては商品に貼り付けていた。
不衛生と言えば不衛生。
何が優れていたのかはわからないが、その需要たるや凄まじかったらしく、日本全国に流通していただけでなく、海外に輸出もしていたらしい。
レッテルを貼られるのが極端におキライの御仁はこのことをご存知かな?
創始者の平山秀雄さんの墓が谷中の墓地にあるらしいので今度訪ねてみるか…。
色んなことが知りたくてさ…今度はドライクリーニングの歴史の本を読んでみようかと思ってる。
 
さて、メタルに来た。
今日の主役が何メタルかはわからないけど、ヘッドライナーは「LECHERY(レチェリー)」というスウェーデンのバンド。
お目当てはトップに出演したHELL FREEZES OVERという若いヘヴィメタル・チームだ。

10v下はこの公演の2週間チョット前にリリースされた4曲入りミニ・アルバム『Speed Metal Assault』。
見てよ、このジャケット!
炎にたかれて今にも崩れ落ちそうな1960の壁!
いいね、ジャケットにMarshallが出てるってのは。
もうそれだけでロックの香りがプンプンじゃないか!
実はこのバンドさんはNATALでおなじみのBAZOOKA STUDIOさんの紹介で数年前に接触があったんだけど、メンバーが交代するかなんかしてずっと没交渉でいた。
そこへMarshallの本社から連絡が入って、「ある日本のバンドがCDジャケットにMarshallを登場させたいと言っているがどうしましょ?」と私に相談して来た。
それがHELL FREEZES OVERだったというワケ。
「あ~、このバンドは知ってるよ」ということで話がトントン拍子に進んだ。

30cdMarshallが登場するアルバム・ジャケットってのは、おかげさまでたくさんあるけど、私はコレが好きなの。
カナダのパット・トラヴァースの『Putting it Strait』。
1959、1987、1960Aが写ってる。
ジャケットは表裏でストーリー仕立てになっていて、パットがMarshallを持ち込んでオーディションを受けに来たって想定なのかな?
面接官のオジさんの背後に壁には、ハンフリー・ボガート、グレタ・ガルボ、ケーリー・グラント、マリリン・モンローら往年のハリウッドの大スターのポートレイトがかかっている
要するに猛烈なオールド・スクールだ。
そこへパットがブチかま~す!
曲は「Gettin' Betta」かな?「Snortin' Whisky」かな?

Ptaジャケットの裏面。
オトっつぁん、ブッたまげ!
そりゃそうだ、Marshallだもの!
私なんか、完全にこのオジさんの方の部類なんだけど、ロックのギターってやっぱりこうであって欲しいと思うよね。
最近はとうとうキャビネットもステージに持ち込まないで、足元のペダルから卓へ信号を渡して、PAのスピーカーでギターを鳴らすっていうじゃない?
ま、Marshallが将来この分野に進出するかわからないので、あんまりキツイことは言えないけど、ヤッパリいい加減にして欲しいと思うわ。
ま、大きなコンサート会場にいるお客さんは、最終的にはPAから出て来るギターの音を聞いているので、「中間を省略した」といえばそれまでだけど、あんまりじゃない?
またロックが明後日の方向へ遠のいてガッカリするわ。
ジミ・ヘンドリックスやゲイリー・ムーアなんかがこの有様を見たら何って言うだろう?
「こんなのオレら知ってるロックのサウンドじゃない」ってキッパリ言うにキマってる。
そして自分の1959を引っ張り出して来るよ。
それにAC/DCをご覧なさい…やっぱり、ロックという音楽はステージの中も大きな音で演るべきだと思うよ。
だって外に出て来る音がゼンゼン違うもん。
やっぱり「なければない」で乗り切れるような利便性は風情を殺すだけだね。
 
そんなパットもスッカリとオジちゃんサイドになっちゃったもんナァ。64歳だって。

Ptbもう1枚は、そのゲイリー。
ジミ・ヘンのポスター。
そしてMarshallにレスポール。
ココに写っているコンボはBluesbreakerではなくてオリジナルの1974。
Marshallはかつてタイトル曲の「Still Got the Blues」を2245で録音したとしたが、真相は1974。
この1974については過去何回も書いているので今日は割愛するが、実際にこの写真に写っている1974のオーナーから話を聞いた時は興奮したナァ。

Gma裏面はコレ…ゲイリーがツアー先のホテルの一室でギターを弾いている。
コレはマズイ。
だって、たとえ18Wでもホテルの部屋で1974を鳴らしたらイカンがな。
…ということはない。
マズイのは時代考証。
「Still Got the Blues」と言っても、表の少年はゲイリーではない…と思わざるを得ない。
ナゼならこの少年は、マァ8歳ぐらいか?
ゲイリーは1952年の生まれなので、8歳というと1960年。
ジミがイギリスに渡って脚光を浴びたのは1966年。
合わない。
となると、この部屋はこの子のお兄さんの部屋だったのかも知れない。よく「隠れてお兄さんのギターを弾いていた」なんて話があるじゃない?
なんてことを考えてジャケットを眺めるのは楽しい。
だからITで聴く音楽はツマらないんだよ、ジャケットがないから!
正直、あまり聴くことのないアルバムなので気が付かなかったんだけど、Guv'norを使ってるんだね。
それに『Beno』アルバムに『A Hard Road』。
まだジョン・メイオールを聴いてるんだね~。
イギリス人にブルースが与えた影響がいかに大きいかがわかる。
だから日本とは丸っきり違って、イギリスにはMarshall RECORDSが取り組んでいるようなシリアスなロック・バンドがいつでも出て来れるマーケットがある。
ジョン・メイオールって今年で85歳だって!

Gmbさて、HELl FREEZES OVERに戻って…。
ジャケットにはこんな断り書きがしてある。 
「私たちのギター・サウンドは、エフェクターを一切使わず、昔よく使われたMarshallのアンプを最大のボリュームで鳴らしているものです。どうぞ爆音で聴いてください!」
コレでいいのだ。
でも、よくエフェクターを使わずギターとアンプを直結することを「男らしい」と形容するけど、実は私はそうは思わないのね。
「シンプル」なばかりが何も「男」ではあるまい。
直でつなぐのが音が一番良いことは間違いないのだが、無理して歪み系のエフェクターを使わないで直結にして、ギターが弾きにくくなったりしたら元も子もなかろう。
「楽器は音楽を作るための道具」だから…。
職人は使えない道具を選んだり、使いにくい状態にしておいてはならない。
ウチの父は大工だったが、飛び切り自分の道具を大切にするタイプではなかったものの、いつも自分が使いやすいように道具をモディファイしていた。
HELL FREEZES OVERの場合はムリをしているワケではなく、自分たちの音楽を作るために、Marshallとギターを直接つないで弾くのが一番好ましい結果になったのだろう。
音は良くなるし、言うことなしじゃん?

40cdさて、ステージの方はというと…オープ二ングSEの後、メンバーがステージに現れた瞬間から大騒ぎ!

50TREBLE "GAINER" AIDYSHO

60vRYOTO

70vHIROTOMO

80vTAKUYA MASHIKO

90vTom Leaper

100v1曲目は「BURN YOUR LIFE」。

05_2イケイケ~!
問答無用のスピードチューン。
ギャハハ、何だか気持ちいいな~!

110vもちろんギター・ソロ炸裂!
こういう曲でシュレッド・タイプではないギターを耳にするのは久しぶりだナァ。

120スゲエ歓声!

130みんな前から知ってたの?って感じ。

140下手からもHIROTOMOくんのギターがガンガン聞こえて来る。
もちろんMarshall!

150vいいね~、うれしいね~、上下で1959!
まるで70年代の屋根裏やロフトにタイムスリップしたようだ!
彼ら自身は80年代のヘヴィメタルを標榜しているようだが、もっとトラディショナルな響きを感じる。
シュレッド・オリエンテッド以前のへヴィメタル。

160cまた一心不乱にバンドをドライブさせるリズム隊がいい。

170汗みどろのドラミング!
Tomくんはこの時はサポートでの参加だったが、9月8日にめでたく正式メンバーに迎えられた。
こうして見ると刃の和太鼓の茂戸藤さんに似てるんだよナァ。
そういえば、ロックの人は「トラ」という言葉を使わないね。普通「サポート」って言う。

180v2曲目は「HAWKEYE」。

185コレまた火花を散らすドライビング・ナンバー。
冒頭の転調がカッコいいね。
225いかにも!いかにも!のGAINERくん。
ステージさばきもバッチリなのよ!

190曲間には仕掛けも用意されていて、ただただブッ飛ばすだけのナンバーとは一線を画している。

200vMCをはさんで「END THE BREATH OF THE NIGHT」。
コレは『SPEED METAL ASSAULT』には入っていない曲。
220vドラムとベースリフからスタートするのは「WRITING ON THE WALL」。
このタイトルにはちょっとタートルズの「Tears Began to Fall」を思い出しちゃった…我が中学時代の青春の1曲なの。
気持ちイイね~。このぐらいのテンポもとてもいい。

200出番の最後を締めくくったのは「OVERWHELM」。
この曲はメッチャ印象に残ったナ。
「Overwhelming」が「Jaw-dropping」か…タイトル通りのド迫力の1曲。

230全5曲。
『SPEED METAL ASSAULT』の全収録+1曲という構成でまとめ上げた。
ナンカ久しぶりにメンバー全員が寸分の狂いもなく同じ目標に向かっている若いバンドに出くわした感じがするな。

240vところで「Hell Freezes Over」とは何ぞや?
そう、彼らは本当は隠れイーグルス・ファンなのです…なワケない!
コレは正式な英語の慣用句で、言葉としては「地獄が氷つく」ということ。
転じて「想像が付かないぐらい途方もなく長い時間」みたいな意味になる。

250v何でか?
我々が地獄をイメージする時、針の山とか血の池とかを初めとして、色んな現場を思い浮かべるでしょう?
実際に行ったことのある人はいないと思うけど。

260vところがクリスチャンの人たちは「地獄」といえば、もっぱら「火」なんだって。
ズッと燃えてる阿鼻叫喚の焦熱地獄。
そんだけアッチッチなので、その地獄を凍りつかせるとしたら相当な時間がかかるでしょ?
そこから来ているんだそうです。

270vまた、そんな火の地獄を凍らせることは不可能でしょう。
そこで、このバンドは「不可能なことを可能にして見せましょう!」という意気込みをバンド名に込めたのだそうだ。

280v終演後の5人。
短い時間だったとはいえ、会心の出来を示すいい笑顔!
まだ平均年齢が25歳だからね。
このまま続けて頑張っていって欲しい!
絶対に簡単に止めちゃダメだぜ!
ちなみにいつもは盛大にスモークをたくらしいのだが、「初めなのでクリアな写真が撮りたい」という私のリクエストを聞き入れてノンスモークにしてくれた。
RYOTOくん、ありがとう!
うれしいことにRYOTOくんが中学の時からのMarshall Blogの愛読者なんだって!
290ところでHELL FREEZES OVERは来る9月28日に渋谷TSUTAYA O-EASTで開催される『RedBull Music Festival "METAL MANIA"』への出演が決定している。
LOUDNESSと同じステージ。
楽しみだ~!

Mm しかし、このチーム、絶望的なメタル少子化の環境下にあって、まるで宝石のような存在ではなかろうか?
『SPEED METAL ASSAULT』、HELL FREEZES OVERのメンバーと同世代の若い人たちにもジャンジャン聴いてもらいたいね。
今、もう若いメタラーは、自分たち自身の力で、自分たちの世代の人たちに、自分たちが作った音楽をコマメに広めないとダメだ。
がんばれ!Marshallがついてるぞ!
 
HELL FREEZES OVERの詳しい情報はコチラ⇒Official website

300cd 

200_2 
(一部敬称略 2018年7月27日 新宿ZIRCO TOKYOにて撮影)