Damian Hamada'S Creatures~惨月の宴<前編>
今日は去る3月16日に開催されたDamian Hamada's Creaturesの単独公演のレポート。
会場は今回初めてお邪魔する「Veats SHIBUYA」。
6年前にオープンしたというこのホール、私は全く存じ上げなくて「ビーツ・シブヤ」と聞いてテッキリ「ボルシチ専門店が渋谷にできたのか…」と思ったぐらい。
そんなことはないか?下がボルシチに使われる「ビート(beet)」、複数形で「ビーツ(beets)」。
あのボルシチの赤色を出すカブみたいな形をしているヤツ。
日本では「ビーツ」の方が通りが良いのかな?
イギリスでは「beetroot」という。
「bette」という「赤」を意味するケルト語がその名の由来だというのだから、「食べる輸血」とアダ名されるのも頷ける…実際には誰かがそんなことを言っているのを耳にしたことがないが、とにかくそういう異名を持つそうだ。
ちなみに私は、まだ一生懸命自分で音楽をやっていた43年前、慶応大学医学部の学園祭でツービートの前座を務めたことがあります。
そのVeatsで開催されたのが『惨月の宴』。
「惨月」というのはもちろん「3月」のこと。
早くももう「死月」の下旬になってしまったが、今思い出してもとても楽しいコンサートだった。ロビーのようす。
オリジナル・グッズいろいろ。
ロゴをあしらったD.H.C.のグッズは気高い雰囲気があってカッコいいね。
そしてビクターのオーディオ機器が展示されていた。
それもそのはず、「Veats」というのはビクターエンタテインメント直営のライブハウスで、「Beat」とVictor Entertainmentの頭文字である「VE」をポートマントー(カバン語)にした名称なのだそうだ。ボルシチとは何の関係もなかった。満員の客席。
開演時間が間近に迫り、上演中の禁忌事項について説明するシエルちゃんの影アナが流れる。
そして…
「さぁ~、いよいよD.H.C.『惨月の宴』の開演ですよ~!
色々なビックリをご用意しました。
ワクワク、ドキドキの宴…楽しむ準備は出来ていますか!
それではいつも通り『D.H.C.コール』をお願いします!」
「D.H.C.!D.H.C.!D.H.C.!…」
客席は早速の大興奮状態!そしてスタート。
オープニングは最新大聖典『最後の審判』から「G戦場のマリア」。
不吉な歌のメロディが大きな魅力のミディアム・ファストのヘヴィ・チューンだ。シエル伊舎堂(以下「シエルちゃん」)
RENOファウスト(以下「RENOさん」)
アックスKAZUMA(以下「カズマくん」)
リリス一ノ瀬(以下「リリスちゃん」)
KAZAMIクロウリー(以下「KAZAMIさん」)
リズムが変わる中間部のギター・アンサンブルのパートが実にスリリング!
カズマくんの背後にはもちろんMarshall。カズマくん自慢のシステムはプリ・アンプが「JMP-1」。
そしてパワー・アンプは100W×2で轟音を放つ「9200」。スピーカー・キャビネットは「1960BV」だ。
続いては定番の1曲「Tempest」。
1曲目とはガラっと替わって音速のスピード・チューン!
エンディングまでひと時たりとも目と耳を離すことができない密度の濃さ。
客席はと言えば、「オマエら最後までイケるのか~」と心配になるほどの盛り上がり。ここで陛下ご降臨。
『魔界美術館』から「魔城の翼」だ。ダミアン浜田陛下
陛下のMarshall。
ヘッドは前回から導入した「DSL100H」。
キャビネットはカズマくんと同じ「1960BV」だ。やっぱり陛下が舞台に上がると雰囲気が引き締まりますな。
そして陛下がメンバーのそばに近づき魔力を注入すると…
ステージのテンションがさらに上がり、それにつられて客席の雰囲気もますます上気していくという寸法だ。
「盛り上がっておるかぁ、Veats SHIBUYA!
『惨月の宴』を楽しんでおるかぁ!
前回のワンマン・ライブは1曲目から魔王の登場ということで結構意表を突かれた者も多かったと思うが、今回は3曲目からの登場だ。
マァ、3曲目でもなかなかのものだろ?
しかもここまで3曲しか演奏していないにもかかわらず、D.H.C.が初めてライブで演奏する曲が2曲も含まれていた。
なかなかのものだろう?
1曲目が『G戦場のマリア』だなんて一体誰がコレを想像できただろうか。
なかなかのものだろう?
ということで早速Jaguar、私の方からメンバーを紹介しようじゃないか。
なかなかのものだろう?」
陛下がKAZAMIさん、RENOさん、リリスちゃん、カズマくんの順に紹介。
各人とも紹介されてチラリとワザを見せてくれた。
「なかなか」どころではない騒ぎである。「今回は『惨月の宴』ということで『惨月』の『惨』…『ムゴい』という字にちなんで各メンバーから最近身近で起こったムゴい話をしてもらおうじゃないか。
メンバー紹介の順で…まずはKAZAMIから教えてくれたまえ」KAZAMIさんは「ムゴいうな重」の話。
思いっきりお腹を空かせて入ったうなぎ屋。
ボリュームの差と思い込み、メニューにあった「特上」を注文。
満を持して出て来たうな重に大喜びで箸を立てたところ、箸の先がすぐに「コツン」と重箱の底に当たってしまった!
ご飯の厚さたるや約1センチ。ヘタをするとうなぎの方が厚みがあるのでは?
特上を頼んだのにちっともお腹がイッパイにならなかったという話。
ところがよくメニューを見てみると「ご飯大盛り無料」と書いてあったとさ…ムゴい!
でもKAZAMIさんの気持ちはすごくよくわかる。
ガ~っと食べたかったよね~。
私もご飯の比率が大きいうな重が好き。続いてはRENOさん。
RENOさんは3歳の改臟人間。
そろそろお肌に気を使う必要を感じ、テレビでよくCMが流れている有名な美容品の「3日間お試し」のサンプルを取り寄せてみた。
早速試してみると保湿の効果が認められたので、それまで使用していたモノとは値段に大きな違いがあることを承知の上で商品を購入。
その値段の差たるや軽自動車とフェラーリ。
さすが高級品!様子を窺うメールが届いたりして購入後のケアもバッチリだ。
ところが…3日もすると吹き出物が4つもできてしまった。
メーカーに相談したところ「返品OK」ということだったが、ここまで来たら引き下がれない!
そのまま1週間ほど続けて使ってみたものの状況は一向に好転せず。
仕方なく元の軽自動車に戻したところ、ナント3日で吹き出物が消えたとさ…ムゴい!リリスちゃんのムゴいケース。
別の現場でMVを撮った時の話。
演奏のデータをリリスちゃんが一旦預かることになってハードディスクを持って来るように頼まれた。
持ち運びが出来るようなハードディスクを持っていなかったリリスちゃんはコレを好機ととらえ、「どうせ買うなら容量の大きなモノを」とアマゾンで「30テラバイト(!)」のモデルを購入。
そして意気揚々と現場に持参したところ、「それは使えません!」と言われてしまった。
ナンで!?…買ったばかりなのよ!
リリスちゃんが知ったことには「今、地球上に30テラバイトの容量のハードディスクを作る技術は存在しない」ということだった。
ガ~ン!
すなわちリリスちゃんが購入したハードディスクは中国製かなんかのインチキ商品だったというワケ…ムゴい!
陛下によると魔界にはすでに30テラバイトのハードディスクが流通しているそうだ。アックスの場合。
D.H.C.のライングループを通じてシエルちゃんから「『魔コーデ』というハッシュタグをつけてポストしよう!」ということを聞いていたカズマくん。
そこでカズマくんはD.H.C.の第二聖典『旧約魔界聖書』の収録曲に引っかけて「いいですね~!『魔皇女降臨』でいきましょう!」とノリノリでレスポンスした。
大ウケすると思ってよ。
ところが…全員に無視されてしまい、とても悲しい思いをしたとさ…ムゴい!
しかし、シエルちゃんだけは「いいね」のスタンプを付けてくれたという…やさしい!最後、シエルちゃんの場合はこうだ。
先日、出かけようとしたところ玄関のドアノブが回らなかった。
急いでいるのに困ってしまったが、業者に連絡するとすぐに対応してくれた。
そして無事にお出かけをして家に戻って来た。
ドアノブはもう直してあるので安心、安心。
ガチャリと鍵を回すと…アレ?ドアが開かない。
「そうか、2つあったんだ」ともうひとつの錠も解いてドアを開けると…ガチャン!
ドアが開いたには開いたが、アリャ?チェーンがかかっていて入れないじゃないの~!
シエルちゃんが出かけたことをスッカリ忘れた家の人が戸締りをしてしまい、シエルちゃんは完全に締め出されてしまったとさ…ムゴい!
シエルちゃんは電話と呼び鈴で猛攻勢をかけて何とか無事に中に入ることができたそうです。ところで「惨い」とか「残酷な」を意味する英単語のひとつに「cruel」がある。
私より年配でポピュラー音楽がお好きな皆さんの多くにはこの「cruel」という単語に馴染みがあるかも知れない。
「冷たくしないで」というエルヴィスの1956年の大ヒット曲の原題が「Don't be Cruel」だからだ。
もちろん歌詞にも出て来る。
ところが、この「cruel」という単語は発音が難しいんですね。
カタカナで書けば「クルーエル」ということになるんだけど、この「r」がクセモノで「クゥウーウェオ」みたいな感じにやらないとアメリカ人には通じないかも。
実際、以前アメリカの人との会話の中でこの言葉を使ったところ、なっかなか通じず、何回も言い直したことがあった…ムゴい!興味深そうにそれぞれの「ムゴい話」に耳を傾けていた陛下。
「なるほどな…。
それでは諸君、引き続き『惨月の宴』を心ゆくまでともに楽しもうじゃないか!」改臟人間の皆さんの「ムゴい話」をタップリと味わった後はドップリと「謝肉祭」。
イントロのギターを手始めに…次から次へと出て来るシエルちゃんが歌い上げる魅力的なメロディ!
リリスちゃんのコーラスも完璧!
カズマくんのソロから…
陛下のソロ!
圧倒的なバンド・アンサンブルが迫りくる!
次々と表情を変えて進んでいく曲調が何とも素晴らしい。
そして、客席からの大きな喝采を浴びながら愛用のギターを掲げて曲を締めくくる陛下。
「今回のライブに向けて富士山に魔力を充電しに行って来た。
私が魔力を充電し終わった後、富士山がこう言っておった。
『イヤ~、あっしの10年分のエネルギーを陛下に吸い取られやした!』と。
これが最近の私の身近に起きた富士山のムゴい話だ。
なかなかのものだろう?」「そんな富士山には樹海がある。
人間がひとたび足を踏み入れると二度と戻って来れなくなるという。
だが闇や恐怖に憑りつかれて樹海に足を踏み入れる人間が後を絶たない。
魔界にも似たようなところがある…それは魔界美術館だ。
魔界美術館は人間も訪れることができるが、66.6%の確率で作品の展示物の一部にされてしまい、二度と戻って来れなくなる。
しかし、それでも人間は恐ろしくも美しい魔界美術館に足を運ばずにはいられないのである」陛下のMCに導かれてイザ「魔界美術館」へ!
ワルツのリズムに乗ってシエルちゃんの美しい声が会場に響き渡る。
陛下のロマンチックなギター・ソロがビシっと曲にハマる。
上に下にステージを闊歩する陛下。
客席を極限までヒート・アップさせておいて…曲の終わりとともに陛下は一旦ステージを後にした。
美術館とか博物館はいいね。
いいんだけど日本の美術館は特別展があると、一体どこからこんなに美術好きの年寄りが(自分もそのウチの1人ですが…)出て来たんだ?と不思議になるぐらい混みあうのが悩みの種。
こないだはそれが理由でキリコをパスした。
去年の芸大美術館の『大吉原展』もヒドかった。
魔界の美術館はどうなんだろう?空いているといいナァ。
ところで「魔界」ではないんだけど、イギリスには「あの世」とつながっている「冥界美術館」ともいうべきギャラリーがある。
それはかつてのヘンリー8世の住まいだった「ハンプトンコート宮殿(Hampton Court Palace)」。リック・ウェイクマンのアルバムにあるようにヘンリー8世は生涯に6人のお妃を娶った。
外に出ることのできない天気の悪い日に退屈しないように、と5番目のお妃であるキャサリン・ハワードのために宮殿の中に作ったのが下のギャラリー。
向こうの方に立っている人を見ればこのギャラリーがいかに立派かということが容易にわかる。
ところが、キャサリンは密告されて姦通の疑いをかけられてしまう。捕まれば当然死刑。
キャサリンは命乞いをしながらこのギャラリーの中を逃げ回ったという。
しかし、あえなくキャサリンは2番目のお妃であるアン・ブーリンに続いてロンドン塔で斬首。
爾来、夜な夜なこのギャラリーからキャサリンが命乞いをする声が聞こえるとか…聞こえないとか。
なかなかのものだろう?
残念ながら私が行った時はシーンとしていた。讃美歌のような調べが会場に満ち溢れ、バンド・アンサンブルに入るとRENOくんのギターが美しい旋律を奏でる。
シエルちゃんがジックリと歌い込むバラ―ド「Tears in the Rainbow」だ。
この曲でも2本のギターがドラマチックな世界を創り出す。
後半ではカズマくんが入魂のソロを披露した。『最後の審判』から「Black Swan」。
シエルちゃんの歌うこのサビのパートを聴いてワクワクしないロック・ファンが果たしているだろうか?それだけではない。
疾駆するリズム… 効果的に挟み込まれるツイン・ギター。
この完成度の高さはこの曲を間違いなく「D.H.C.のキラー・チューンのひとつ」に数えさせていると思う。
もちろんお客さんも大喜び!
絶大な熱気を含んでショウは後半に突入した。<後編>につづく
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イギリス南西部のコーニッシュ出身のキング・クリーチャー。
本場のブリティッシュ・ハードロックを存分にお楽しみあれ!
<Lowlife>
<Can You Forgive Me>
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