鈴木聖美 with TZ's Acoustic Live vol.2
今日のライブ・レポートは久しぶりにお邪魔した原宿の「La Donna」さんから。
普段は「やれメタルだ、爆音だ」なんてやっているものだから、コチラにお邪魔する機会は滅多にないのです。レポートするのは鈴木聖美のライブ。
聖美さんの新しい曲「奇跡のような日」のリリースを記念するアコースティックのステージだ。
冒頭、バックを務めるアコギ・デュオ・チーム「TZ's(ティーザーズ=トコロザワーズ)」の2人がステージに上がった。
「こんばんは。ようこそお出でくださいました。
前座のTZ'sと申します。
少々お付き合いください…2曲ばかりですので。
よろしくお願いします」…と、アナウンスしたのは伊賀武氏(いがたけうじ)。
伊賀さんはしばらく前に「J Street R&R Band」でMarshall Blogにご登場頂いている。
聖美さんのダンナ様。ナント、以前から伊賀さんにはMarshallのアコースティック楽器用アンプ「AS80R」をご愛用頂いているのだ。
さすが!…アコギ・アンプの優位性をご存知でいらっしゃる。そして、Marshall Blogではsimoでおなじみの関雅樹。
関ちゃんも当然のごとくMarshallで「AS100D」を使用。
関ちゃんの周囲のようす。
エレクトリックの時と同様、アコースティックのセットでも何やら物々しいシステムを持ち込んだ。Marshallは上で紹介したAS80RもAS100Dも生産していないのが残念。
現在はこの50Wの「AS50D」に集約された。 2曲のウチの1曲はプリズムの「Morning Light」。
2本のアコースティック・ギターの美しいアンサンブル。
私も長年Marshallの仕事をして来たけど、実はこうして2台の「AS」がステージに上がった場面に立ち会うのは初めてのことなのです。
ありがとう、TZ's!
というのも、昔、ずいぶんとこの「ASシリーズ」の普及に務めてみたことがあったんだけど、日本ではラチが開かん!
いつまでたっても「ライン、ライン」とラーメン屋みたいなことを言っているんだな。「ラーメン屋」と言ったのはチョット苦しかったんだけど…「ライライ」ね。
で、このマンガに出て来ないような「来々軒」という名前のラーメン屋が水天宮前にある。
かつて私が勤めていた会社が近かったのでよく食べに行った。
カレコレ四半世紀以上通っていることになる。
下がその「来々軒」。
こう言っちゃナンだが、昔はお世辞にも「キレイ」とは言えないビンテージな店構えだった。
もちろん冷房設備は付いていたが、一度真夏に行って熱い麺類を食べて熱中症に罹り、その猛烈な頭痛に耐えきれず仕事を早引けしたことがあった。私がココでオーダーするモノといえばほぼキマってこの「ニラ肉そば」。
まず、スープがタップリでうれしい。
麺の食感もチョット独特で、スープが全く塩辛くないのが大変ありがたい。
最近、お互いに歳をとってココの主人とよく話すようになったのだが、「他では味わうことができないモノ」を提供するように努めているとのことだ。
確かに他のラーメン屋では出くわしたことがないオリジナルのおいしさなのだ。
いきなり変な脱線でゴメンなさい。
TZ'sの「おいしい演奏」を思い出してつい書きたくなってしまったのです。さて、アコースティックのギター・デュオと言えば、古くはジョン・マクラフリンとラリー・コリエル、フィリップ・キャサリンとラリー・コリエル、スティーヴ・カーンとラリー・コリエルが即座に頭に浮かぶが…ん?こうしてみるとラリー・コリエルばっかりだな。
コリエルは女流ジャズ・ギタリストのエミリー・レムラーともギター・デュオのアルバムを吹き込んでいる。
下はそのコリエルの1970年のアルバム『Spaces』で、このアルバムに収録されているマクラフリンとのアコースティック・ギターのデュエット曲が「Rene's Theme(ルネのテーマ)」。
この「ルネ」というのはベルギーの名ジャズ・ギタリスト「Rene Thomas(ルネ・トーマ)」のこと。
マクラフリン(コリエルだったかも知れない)はかつてこの演奏を指して「アコースティック・ギターが2本集まるとマジックが生まれるんだ」みたいなことを言っていたような記憶がある。
そこがアコースティック・ギター・デュオの魅力ということなのだろう。
TZ'sもそんなマジックを生み出す可能性が大きい2人組なのだ。 TZ'sが演奏したもう1曲は聖子ちゃんの「Sweet Memories」。
伊賀さんの丁寧な歌を…関ちゃんのギターが優しく包み込む。
この曲は私が大学のビッグバンドでギターを弾いていた時のダンス・パーティのチークタイムの定番曲だった。
ギターが歌メロを奏でる間奏のパートはいつもドキドキだったわ。伊賀さんのリードで、いよいよご登場!
鈴木聖美
1曲目は1991年の「ファンタジー」。
TZ'sのコーラスと客席からの手拍子を得て軽快に歌う聖美さん。
もう雰囲気はバッチリ出来上がった!「ありがとうございます、鈴木聖美です。
今日は私のこの形式のスタイルでのライブの第2弾でございます。
ようこそお出でくださいました!
今日は自分のオリジナル曲を中心に演っていきたいと思います。
楽しんでいってください」 続いては2018年の『Groovy Soul』から「東京Bay」。
聖美さん作の歌詞がユッタリとした曲調にとてもマッチする。
「GIジョー」、私は持っていなかったんだけど、近所の中村くんが集めていて一時期夢中になって一緒に遊んだな~。
女の子は「リカちゃん」だった。関ちゃんのギター・ソロ。
Marshallが出す輪郭がハッキリしたあたたかい音がとても心地よい。続く「Downtown Story(下町のふたり)」は1992年のアルバム『VOICE』に収録されている曲。
ゴージャスなコード進行に乗って聖美さんの歌声が冴えわたる!
ダブル・ストップ・フレーズが耳を惹く関ちゃんのソロ。
「伊賀武氏!」と聖美さんが名前を呼んでヴォーカルズが伊賀さんに渡った。
祭り囃子、花火の匂い、4つ違いの弟とお揃いの手作りの浴衣…もう二度と帰って来ない幼い頃の思い出を綴った歌…いいナァ。
この曲も作詞は聖美さん、そして作曲は伊賀さんだ。
この曲の歌詞にも「東京Bay」という言葉が登場する。
きっと聖美さんにとって東京湾は特別な存在なのであろう。
私も子供の頃のことが猛烈に懐かしくなることが多くなりました。
一番は夏休みのプール。「ありがとうございます。
久しぶりに『Downtown Story』をお送りしました。
私はサッサと曲へ行っちゃうんですけど…ココで洋楽をひとつ歌おうと思います。
『Don’t Play That Song」という曲なんですが、初めて歌ったのは確か長野の白馬のスキー場でしたよね?」「真夏だったんですが、割とドレッドのウィッグをつけたんですよ。
その時、ダイアナ・キングも出ていて、楽屋も一緒だったんです。
それで、夏ですから歌い終わって楽屋に帰って来て『あ~暑い!』ってバァ~っとドレッドのウィッグを取ったの。
そしたらダイアナ・キングが『オーマイガー!』ってすごくビックリしちゃったんだよね!
まさかカツラをかぶっているとは思っていなかったみたい…あの人たちは地毛でやるから!」
伊賀さんの説明によるとそれは長野オリンピックのために建造した白馬のジャンプ台の下で開催されたレゲエのイベントで、日本人で出演したのが聖美さんたちとナゼか森山良子だったという。
森山さんが野原いっぱいのレゲエを歌うところを聴いてみたかった!
ちなみに、あのジャンプ台を造るための生コンの大半を供給したのは、私がセメントの仕事をしていた時に長年担当していた生コン屋さんです。ということで洋楽。
聖美さんが取り上げたのは「Stand by Me」でおなじみのベン・E.キングの1962年の「Don't Play That Song」。
1962年か…アメリカでこの曲がヒットした頃、ロンドンの西のはずれではMarshallアンプが、東京の東のはずれでは私が生まれました。
そんな時代の曲。原曲は、イントロも「I-VIm-IV-V7」というコード進行も「Stand by Me」と同じなんだけど、聖美さんの力強い歌い回しと…
伊賀さんの大胆なアレンジで全く違う曲のように聞こえる。
実際に違う曲ではあるんだけど…。
コード進行のサブドミナント、すなわち「IV」を「IV9(かな?)」にチョチョイと入れ替えただけで曲全体の雰囲気がガラリと変わっちゃうからアラ不思議。その「C9」で思いっきりブルージーなフレーズを突っ込んで来る関ちゃんのソロは快感!
「大分涼しくなりましたね。
今年の夏はみんな大変だったよね!
私なんて夏生まれなんだけどダメなの…ホントに夏に弱いの。
反対に寒さには強い。
高校の時、スキー部だったからサ…自慢じゃないけど。ところが夏はダメでね。
でも何とか乗り切ったと思います。
70過ぎたら皆さんにもこの気持ちがわかるから!
そんな季節に合った曲をこれから歌いますので、皆さんもご存知でしょうから一緒に歌ってください」何を歌うのかと思ったら唱歌の「もみじ」。
「もみじ」か~!
イヤ、実は前回のアコースティック・ライブの時に聖美さんは同じく唱歌の「浜辺の歌」を取り上げていらして、そのビデオを見てブッたまげてしまったのです。
どう「ブッたまげた」のかというと、「浜辺の歌」が伊賀さんのアレンジであまりにもブルージーに、そしてソウルフルに変身していたから!今回は演奏しなかった曲なのでサラっとやるけど、元々私は「浜辺の歌」という曲を知らなくて、映画を通じて知ったのね。
その映画とは木下恵介監督の昭和29年(1954)の『二十四の瞳』。
この映画を観て涙が出ない人は、病院に行って何がしか少し強めの薬を処方してもらった方がよいであろう名作。
日本の映画史上、もっとも観客が泣いた映画と言われ、この年のキネマ旬報のベストテンであの『七人の侍』を3位にネジ伏せてしまった(2位も木下恵介の『女の園』という作品)。
映画の最後のシーン。
あの美しい月丘夢路が海を見ながら、戦争前、自分たちが子供だった時代にみんなで歌ったことを思い出しながら「浜辺の歌」を歌うシーンは観るたびに頭が痛くなる。
涙がこぼれてしまうのをガマンするからだ。
静かで優しいが、強烈にして強力な反戦映画だった。
もうひとつは昭和26年の(1951)の新藤兼人の監督デビュー作『愛妻物語』。
この物語の中で薄幸の新妻を演じる乙羽信子が「浜辺の歌」をハミングするシーンが何度か出て来る。
「百万ドルのエクボ」で宝塚のトップスターだった可憐な乙羽ちゃんが歌うもんだからコレがヤケクソに可愛らしい。
ちなみに月丘さんも乙羽ちゃんも宝塚の出身なので歌はバッチリだ。
こうして映画のことを書き出すと音楽のことよりしつこくなってしまうのでココでカットアウト! ドワ~!またしても伊賀さんのダイナミックなアレンジが大炸裂!
「もみじのブルース」よ! 関ちゃんがボトルネックでさらにブルース・カラーを強めた。
聖美さんがそこにタップリとソウル・フィーリングを注ぎ込むもんだからたまったもんじゃない!
MCで「一緒に歌って」なんておっしゃっていたけど…ムリムリ!
とても一緒になんて歌えませ~ん!
聖美さんの「もみじ」は、赤や黄色ではなく完全に「聖美さん色」に彩られた。「ありがとうございました。
コレはアレですよね…1部と2部があるんですよね?
じゃあ、1部の最後の歌にいきましょうか。
私ね、トイズ(The Toys:アメリカのガール・ヴォーカル・トリオ)が歌ってる時、ティーンエージャーの時に電話リクエストで『トイズの「Lover’s Concerto」をかけてください」って言ったの。
そしたらかけてくれたんですよ!
この曲にはそんな思い出があります」ということでその「Lover's Concerto」。
まず「Stop in the Name of Love」の一節を用いたイントロがまず耳を惹く。昔からお好きな歌とだけあってノビノビとした歌声が素晴らしい!
恥ずかしながら私はこの曲ってはサラ・ヴォーンの曲かと思っていた。
調べて見ると、オリジナルのトイズは1965年、サラはその1年後の1966年にそれぞれヒットさせていた。
カーペンターズじゃないけど「リクエストした曲がラジオで流れる」なんてうれしかったんでしょうネェ。「Lover's Concerto」でとてもさわやかに締めくくった第1部。
TZ'sが奏でるアウトロを背に聖美さんはステージを降りた。
この後はしばしのご休憩。
そして、第2部。
まずは再びTZ'sの演奏から。伊賀さんの歌で「君はバラより美しい」。
オリビア・ハッシー、懐かしいですね。歌だけでなくギターでメロディをナゾる伊賀さん。
やっぱりいい音!…だってMarshallだもん!もう1曲は「I Wanna be with You」。
伊賀さんが初めて歌うというラズベリーズ(Raspberries)の曲は聖美さんからのリクエスト。1972年のヒット曲でナゼか邦題は「明日を生きよう」だった。
オリジナルはギンギンのロック調だが、こうしてアコギ2本での演奏もとてもよし。…と思っていたら衣装を替えた聖美さんがタンバリンを手にしてコーラスで合流!
この曲自体はかなり作りがポップ調なんだけど、ラズベリーズって可愛らしい名前の割には結構粗削りでハードな演奏をするバンドなんだよね。
すごくカッコいいんだよ。
私には何となく「アメリカのバッド・フィンガー」というイメージがある。
バッド・フィンガーもBBCのライブなんかを聴くとその演奏はハード・ロックバンドですからね。
ロイ・ウッドとジェフ・リンのThe Moveなんかもそうだった。 聖美さんのコーラスとタンバリンのサポートもあって第2部の冒頭から盛り上がった!
「この曲は私のリクエストです。大好きでね。
でも今年、メンバーのエリック・カルメンが亡くなったんですよね。
それでこの曲を演ってね…とチョット前に言って、今日初めてお披露目してくれたんだよね。
大変でしたね?」
「思ったよりキーが高かったんですが、キーを下げるとイントロが弾けなくなっちゃうのが難しいところ」
「うん、うん、うん…そうだよね」
客席から「普通の会話!」という声が飛んだ。
伊賀さんによると「普段の会話」だそうです。
そう「All by Myself」の大ヒットを飛ばしたエリック・カルメンね…この3月に74歳で亡くなってしまった。次、関ちゃんがセンシティブなメロディを奏でるイントロは…
聖美さん自ら「私の唯一の歌謡曲」と称する「恋のゆくえ」。
1994年のアルバム『For my Friends』から。ハラハラと落ち葉が舞い落ちるような切ないメロディ。
伊賀さんのコーラスがそのドラマを味わい深く演出する。エンディングにも関ちゃんのギター・ソロがフィーチュアされて曲は静かに幕を降ろす。
雰囲気を替えて「Good-bye」。
聖美さん作詞、伊賀さん作曲のコンビによる1993年発表の1曲。聖美さんの歌声がやわらか~い歌のメロディを紡ぐメジャー・バラード。
最後の「♪Never say good-bye」の絶唱が耳に残る!
「今回はね、何年ぶりかに新曲を配信でリリースしましてね。
『奇跡のような日』という曲を杉真理さんが作ってくれたんです。
その前にもう1曲…大好きな曲があって、コレは杉真理さんとデュエットした曲なんです。
今日は私の夫と一緒に歌いたいと思います」
客席から笑い声が漏れる
「笑わないでください…いきますよ!」
客席から今度は「頑張れ~!」のかけ声がかかった。伊賀さんのファンク・ストラミングと…
関ちゃんのオブリガードがゴキゲンな1曲は「プレシャス・フレンド」。
聖美さんと…
伊賀さんが交互に歌ったり、ハーモニーを奏でたり聴きどころ満載!
「杉さんの曲って詩がナンとも言えず好きなんですけど、ビートルズがお好きでネェ。
色んなことをよく知ってますよね。
(伊賀さんに)あなたもビートルズ大好きだから勉強になるでしょ?
それではいきますか?…いっちゃいますか?」すると、ココで成り行きでお客さんから「Blackbird」のリクエストが寄せられ、伊賀さん、サービス満点なもんだからホントに演っちゃった!
そういえば、さっき「Lover's Concerto」のところで名前を出した女性ボーカル・ジャズの大御所、サラ・ヴォーンも「Blackbird」を吹き込んでいるんですよ。そして杉さんと一緒に演ったことがあるという「Eight Days a Week」に取り掛かった。
説明不要のビートルズ・ナンバー…ビートルズの曲はどれも不要か?
オリジナル通りのノリではあるけれど、しっかりと聖美さん節のビートルズになっていた。伊賀さんから質問。
「どっちが先なんですかね?五月みどりさんとね」…とは五月みどりの「一週間に十日来い」のこと。調べて見ると「Eight Days a Week」のリリースは1964年。
五月みどりは1962年だった。
「軽井沢に来ていたジョンが影響を受けて作った…とか?」なんて話になったが、それはないでしょう。
ジョンがロンドンの「インディカ・ギャラリー」というところで小野さんに初めて会ったのは1966年ということだから。
ジョンが日本にお近づきになる前に「Eight Days a Week」を発表している…と見た。ご存知の通り、小野洋子さんはおジイちゃんが日本興業銀行の元頭取でお父さんが横浜正金銀行(本店は現在の「神奈川県立歴史博物館」)のサンフランシスコ支店勤務、母方は安田財閥の血筋というすさまじく高貴な家柄でいらっしゃいますからね。
洋子さんは、「Eight Days a Week」が発表された頃はアンソニー・コックスというアメリカの映画業界と結婚していた。
その前のダンナさまは一昨年亡くなられた現代音楽の作曲家の一柳慧(とし)さん。
で、3番目のダンナ様がジョン・レノンって、どんだけ~?
下は2019年にマンチェスターへ行った時、街中で撮った写真。
同地で開催された国際的なイベントでヨーコさんが平和に関する講演で登壇した。
日本ではいまだに「ジョン・レノン未亡人」の認識しかなかろうが、海外ではこうして尊敬されていることを思い知った。 この「Eight」問題に関する伊賀さんの「星加ルミ子さんに訊いた方が良いかもしれませんね」という発言には思わず吹き出してしまったわ。
星加さんも東郷かおる子さんも、若い人は誰ひとりその名前を知らないだろうナァ。
そもそも「ミュージックライフ」自体に全く馴染みがないのも無理からぬことなのだから。
この東郷さんの本はオモシロかったですよ。 さて、この日のメイン・イベント。
冒頭で触れた「奇跡のような日」を披露したのだ。
聖美さんの35周年のために杉さんが作ってくれた曲。
レコーディングには杉さんも歌で参加し、桑野信義さんが間奏でトランペットをプレイしてくれた。 万感の思いを込めた感動的な歌を聴かせてくれた聖美さん。
いい曲だナァ~。伊賀さんがつけるコーラスがその感動を倍加させるのだ。
「それじゃあ、最後の曲ですよ」
「最後に近いですね。アッという間に最後」
「今年はパリでオリンピックがあって、セリーヌ・ディオンがフランス語で『愛の賛歌』を歌ったのね。
私、今年1番かな?と思うくらい感動しました。
FENでこの歌を初めて聞いたのは小学生の時でブレンダ・リーが歌っていたんですよ。
子供だからフランスのシャンソンなんて全然知らない。
でもなんて良い歌なんだろうなぁ~って思いました。
それが今年、セリーヌが病気ながらすごい良い感じで歌って、チョット子供の時のことを思い出しましてね。
まだチョット覚えきっていないんだけど…演ってみようと思います」 「愛の讃歌」とは、もちろんエイディット・ピアフの、あるいは越路吹雪のあの「愛の讃歌」。
そういえば、越路吹雪って偶然にも上に出て来た月丘夢路や乙羽信子の宝塚の同級生だったんだよ。
それと淡島千景もそう。
手塚治虫は宝塚時代の淡島千景の大ファンで、淡島さんをモデルにして『リボンの騎士』の「サファイヤ王子」を誕生させた。
皆さん、大正13年生まれ…宝塚ではないけれど高峰秀子も同じ年。スゴイ年だ。
Marshallの父、ジム・マーシャルのひとつ年下に当たる。勝手ながら「愛の讃歌」は聖美さんにピッタリなのではなかろうか?思っていたら…
ピッタリだった!
この熱唱に耳を奪われた客席からはもの音ひとつしなかった。
当然の反応だと思う。本編を締めくくったのは1987年リリースの人気曲「Taxi」。
やさしくも力強い聖美さんの歌…
そして、関ちゃんはジャズ・フレーズを織り込んだソロを披露。
「♪I love you tonight」のアンサンブルが聴く者の心に染み入るあたたかい演奏で本編の幕を降ろした。
そして、アンコール。
伊賀さんからライブ関連の告知があって…まずは「この胸のときめきを」。
そうか、このイタリアの曲はモノスゴイ数の人が取り上げているけど、ダスティ・スプリングフィールドが最初に有名にしたのか…。
アタシャ、てっきりエルヴィスなのかと思っていた。この曲もまた聖美さんのためにあるようなフィット感。
メジャーに転ずるパートのダイナミックな歌い回しがタマらん!そこに伊賀さんのコーラスがサウンドを分厚くする。
関ちゃんのストラミングが曲のクライマックスを大胆に演出した。
そして最後の最後に持って来たのはハロルド・アーレンの「虹のかなたに(Over the Rainbow)」。
新旧、緩急、強弱、明暗…様々なタイプの曲を織り交ぜて構成したステージ。
聴きどころ満載の内容だった。
ひとつ思ったのは、聖美さんご自身でもおっしゃっていたが、こうしたショウにしてはMCが驚くほど短く、本当に「音楽に次いでまた音楽」という音楽コンサートの本来の姿を見ることができたことは私個人としてはうれしかった。
今ではヘヴィメタルのバンドでも長々とおしゃべりするのが普通になってしまったからね。
とても感動的なショウだった!
新曲のリリース、おめでとうございます!そして、聖美さんがステージから降りてし、一部同様TZ'sの2人がアウトロを演奏してこの日のステージを完了した。
鈴木聖美の詳しい情報はコチラ⇒Kiyomi Suzuki Official site
TZ'sの詳しい情報はコチラ⇒TZ's Offical facebook
<オマケ>
関雅樹さんによるMarshall STUDIOシリーズのデモンストレーション・ビデオ!
(一部敬称略 2024年10月1日 原宿La Donnaにて撮影)