SKID ROW ~UNITED WORLD REBELLION TOUR~
私なんかの世代だと「Skid Row」といえば、Gary Mooreが在籍していたアイルランドのSkid Rowをまず思い浮かべちゃうんだよね。『Skid』と『34 Hours』しか持ってないけどね。どちらも荒削りなGaryが素晴らしい。
調べてみるとこのバンド、Paul Chapmanがいたんだね。UFOの2回目の来日時、ドタキャンしたMichael Schenkerの後任として来たギタリスト。サンプラで見たな~。あの時はガックリ来たけど、その後頻繁に来日するSchenkerよりよっぽどレアで見ておいてよかったかも。
…といきなり話は脱線したが、アメリカのSKID ROW、19年ぶりの来日だそうだ。
『Room Full of Mirrors(鏡張りの部屋:株式会社ブルース・インターアクションズ社刊)』というJimi Hendrixの有名な伝記があるが、ジミのシアトル時代のパートで「skid row」という言葉がしきりに出てくる。
「skid road」という言葉は「skid row」と同意で、「安ホテルや安ホテルが立ち並ぶうらぶれた通り」という意味。この「skid road」という言葉が最初に使われたのは1800年代の中頃のシアトルでだったらしい。
10c.c.の大ヒット曲、「Wall Street Shuffle」は金をテーマにした曲で、歌詞の中にGreenbacks、Buck(ドル)、Sterling(ポンド)、Yen(円)などの貨幣名が出て来て、「skid row」という言葉も出てくる。
「ウォール・ストリートではクールにキメろ。もししくじったらダウ・ジョーンズ(『ウォール・ストリート・ジャーナル』の発行元)は乞食は相手にしないぞ。さもないとスキッド・ロウで一文無しだぞ!」みたいな…。
あ、ちなみに現地イギリスではポンドのことを「quid」などと呼びます。ペンスはただの「p」。
以上が「Skid Row」で知っていること…そんなだからレパートリーなど1曲も知らなんだが、コンサートは猛烈ににぎやかなロック・ショウで、とにかくロックの楽しさを満喫した。
サポート・アクトのEARTHSHAKERのテンションの高さをそのまま引き継ぐ格好でショウはスタート。
ちょっと世代がズレているので私はSKID ROWをまったく通っていない。
偉そうにMarshall Blogかなんかをやっちゃってる割には勉強不足…と思われるのはチト残念だが仕方ない。よってScotti Hillの名を知ったのは実は昨年の爆風スランプ・トリビュート・コンサートの<前夜祭>でのこと。
その時の様子はコチラをご覧頂きたい⇒WE LOVE BAKUFU SLUMP 前夜祭 <後編>
この時は、ステージのScottiを見ただけでご挨拶をさせて頂いたワケでもなかった。何せものすごい人でゴッタ返していたからね。
ところがその後、このコンサートにいらっしゃったScottiの友人と偶然まったく別の現場で一緒になり、お声をかけていただいた。そこでScottiやMarshall Blogの話をして連絡先を交換した。
すると数日後、その方から電話をあり、一緒にいた帰国寸前のScottiとしばらくおしゃべりをした。当然話題はMarshallのことだ。「またすぐに日本に帰ってくるからその時に会おう!」と約束をした。それが今回の機会だ。
楽屋に挨拶に行くと、もう刎頸の交わりを感じさせるような再会…実際には初めて面と向かったワケだが…。
ステージの彼同様、とにかく底抜けに明るく、感じのいい人。メンバーをひとりひとり紹介してくれた。
そして一応Scottiに撮影とMarshall Blogへのレポート掲載の許可を乞うた。するとScottiは「もちろんOKさ!君がいい写真を撮るのはよくわかってるよ!それにみんな写真を撮られるのが大好きなんだよ!」なんて言ってくれた。ホントに知ってるのかな、私の写真。あ、マーブロを見たんだ。ありがたいこってす。
ScottiはMarshall。
の元々のリクエストはJCM900だったのだが、JVMに変更。
ま、強いて言えば、1960の前に置いてあるビールと水…それと向かって右に見えるのはチューナー。
元々JCM900を使うつもりでエフェクターを用意してきていたのだが、JVMを試したところ、「あ、コレなら何のペダルも要らないじゃん!」とすべて取っ払ってしまったとのこと。
本番中、一回だけアンプをイジっていたが、初JVMをいきなり自分のものにしてしまったかのような素晴らしいMarshallサウンド!
ギターのサウンドもスゴイんだけど、歪みまくっているというか、Scottiの顔がまたスゴイ!すさまじい変顔の連続で目が離せんな!
SnakeもMarshall。
SnakeもJVMだが、パワー・アンプだけを使用していた。JVMはパワー段もひとつのウリで「POWER AMP IN(=RETURN)」という端子も搭載されている。
Johnnyは今回が初めての日本なのだそうだ。
Rachelの歌。なんぞメッチャパンク調の曲だったな。SKID ROWはポスト・パンクのデビューだからこうしたレパートリーがあってもおかしくはない。
決して目立とうとはせず、ステディにバンドをドライブさせることに集中するRob。
そうそう、ひとつものすごくビックリしたことがあった。
それはSKID ROWのことではなくてお客さんのこと。
みんな大合唱なんだよね。もちろんフツーに英語。コレは一体どういうことなのかしらん?
昔は外国のバンドとコンサートで一緒に歌える部分って、タイトルのところだけだったんだけどね。
ココはスゴイ。ほぼ全編Johnnyに合わせてお客さんが英語で歌っちゃう。
それも一人や二人じゃないからね。大合唱よ。
そんなもんだから演る方も気合が入りますわな。
MCの時、何を言っても「イエー!」しか反応がないのが普通だからね、日本は。
先日、ある来日バンドの公演で、こんなことがあった…
ボーカルの人が「次の曲はニューアルバムから」と伝えると、お客さんは「イエー!」
コレは間違ってない。ボーカルの人も好反応がうれしいハズだ。以降はボーカルとお客さんのやり取り…
「おー、ありがとう!じゃアルバムの1曲目のタイトルは何だい?!」
「イエー!」
「オイオイ、イエーじゃないんだよ。こっちは質問してるんだから!」
「イエー!」
「タイトルは?」
「イエー!」
「…(ダメだこりゃ)じゃとにかく次の曲」
その点、今日のお客さんはスゴイ!まるで海外のコンサート会場のようだ!楽しさも倍増!
お!JohnnyのTシャツ!いいな~。「HERE'S JOHHNY(ジョニーだよ~ん)」…もちろんキューブリックの『シャイニング』から。
以前、SHOW-YAがこのJack Trance(ジャック・ニコルソンの役名)を子猫ちゃんに置き換えたパロディTシャツを作っていたがアレはいいアイデアだった!
勉強不足で甚だ恐縮だが、SnakeとRachelが今残っているオリジナル・メンバーなんだってね~。
…というのは楽屋でもニッコニコしているRachelが大層若く見えたもんだからテッキリ後から加入したのかと思ってた。失礼しました!
なんか、もう演ってる方が楽しそうで、楽しそうで…。私も子供の頃から数えきれないぐらいの海外バンドのコンサートを観て来たが、こんなに楽しそうに演奏する外人見たことないよ。
「いい人たちのカタマリ」みたいな…。
始終お客さんをアオるJohnny!何ていいお客さんだと思ったんじゃない?
こちらも最後の最後まで精力的に弾きまくる!
もうヤケクソにも似たラスト・スパート!お客さんもスゴイ!
「I love Cheap Trick!」と叫んで「Surrender」を演った。あの武道館行きましたよ、高校の時。
全16曲。「つべこべ言ってないでロックを楽しめ!」と、ロックの本来あるべき姿を見せられたような素晴らしいショウだった。
私はまったく曲を知らなかったけど、最高に楽しめたな~。何歳か若返ったような気がするよ!
日本公演はこの日の一回限り。Scottiによれば、この後はこのままオーストラリア、ニュージーランドの大豪州ツアーに入り、翌早朝成田からオーストラリアに向けて旅立つとのことだった。
一回きりの日本公演、値千金のコンサートだった。
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