Marshall Blogに掲載されている写真並びに記事の転載・転用はご遠慮ください。
【マー索くん(Marshall Blog の索引)】
【姉妹ブログ】
【Marshall Official Web Site】
【CODE/GATEWAYの通信トラブルを解決するには】

« 曾我泰久 ソロ活動35周年記念ライヴ~NOW HERE I AM <前編> | メイン | Silex~Dramatic Dream 6th »

2025年5月28日 (水)

曾我泰久 ソロ活動35周年記念ライヴ~NOW HERE I AM <後編>

 
ヤッチンのソロ活動の35周年を記念するライヴ『NOW HERE I AM』のレポートの<後編>はマージ―・ビート・チューンを2つ披露した後のMCから。 
「久しぶりに『On the beach』を歌ってみましたがキーが高い!
自分で作っておいてナンなんですが…。
ズ~っと高いところで歌ってるので声がチョット変になってきた」
すると即座に客席から「ガンバって!」の掛け声がかかる。
「オマエもな!」と答えるヤッチン。
会場は大爆笑。
10v_2「それではココからバンドのメンバー1人1人にゆかりのある曲をお送りします。
先ほど言いました通りデモ・テープの『Super Rare Trax』でソロをスタートしたワケですが、自分でアレンジをして5枚目のアルバムを作っていた時、『次の曲のベースを自分で弾くのはどうかな?』と思ったんです。
そこでまこっちゃんに『ベース弾いてくんない?』とお願いしました。
快く引き受けてくれて、しかも、すんごくカッコいいソロを自分で考えてくれて、それを収録したんです。
このベース・ソロ1発で曲がグンと大人っぽくなりました」
ヤッチン曰くそのベース・ソロは「カッコよすぎて腰が砕ける」という。
そこまで言われるとドキドキするナァ~。
20_2曲は2002年、その『Super Rare Trax Vol.5 N゜5』から『「秘密」』。
マージ―・ビートから一転して長短7度の音が飛び交う激オトナのムード。
ヤッチンはこういうタイプの曲も得意だよね。30_hmtフレット・ベースに持ち替えた斎藤さん。
なるほど、コンパクトながら曲想に完璧にマッチしたソロは秀逸!
ソロだけでなく、バッキングでもフレットレス・ベースの効果を大いに発揮させて厚みを加えた。
今から10年以上前のこと、山下達郎さんの右腕ベーシストである伊藤広規さんのソロ・アルバムのライナー・ノーツの執筆を6枚ほど担当させて頂いたことがあった。
その中で私はこう書いた。
「いいバンドにはいいベーシストがいる」
自分で言うのもナンだが、斎藤さんのプレイは私の言葉が正しかったことを具(つぶさ)に証明して見せてくれた。
40v荒川さんのメローなエレピもステキ!
そういえば「メロー」なんて言葉も全く耳にしなくなったな。
世の中がもう「mellow(まろやかな)」なんてことを受け付けなくなっているのかしらん?50_2ヤッチンの歌声もメローに響いて曲の魅力が余すところなく客席に伝えられた。60v「カッコいい~!
この1曲のためにあの重いベースを持って来てくれたの。
改めてまたCDで聴いていただくとして…まこっちゃんのベースソロ、ホントに秀逸でございます」118a0593「ところで、この4月の1日、雨の中に集まってくれている方は超マニアックですからね。
ボク自身が知らないボクのことも知っているかも知れない。
それぐらい知り尽くしていらっしゃるから今日のライヴを聴いて、改めてもう1度CDを聴き直して頂きたいと思います」008a0190「続きまして泰(とおる)ちゃん。
初期から中期の間、色々とキーボードを演ってくださっていたんですが、その中でチョット自分でアレンジができない曲があったんです。
『The swinging in the rain』なんですが、どうやってもジャズっぽさが出てこないんですよ。
当たり前ですよね、ピアノも弾けないし。
これはもう泰ちゃんに頼むしかないと思って『こういう曲があるんだけど、アレンジしてくれるかなぁ』と電話をしたんですが、たぶん釣りに行っていたんでしょう…いなかった」
70
「雰囲気はジャズなんだけど、よくポップ・ミュージシャンやロック・ミュージシャンがちょっとジャズっぽいようなことを演るような雰囲気。
ドジャズに持って行かないで、ちょっとジャズ・テイストがあるポップスに落ち着きたい…ということを伝えてあのアレンジをしてくれたのが泰ちゃんです。
で、ベースを弾いてくれているのが、まこっちゃんです。
そんな泰ちゃんのアレンジとまこっちゃんのランニング・ベースでお送りしたいと思います」80v_22013年の『The Swinging in the Rain』からタイトル・チューン。
曲名はもちろん『Singing in the Rain(雨に唄えば)』からでしょう。
「雨に唄えば」はジーン・ケリーの1952年の映画でよく知られているけど、実は1920年代からある古~い曲なんですよ。
そして、ヤッチンのCDのジャケットのデザインはアルト・サックスのジャッキー・マクリーンが最もノッていた時期だった1961年のブルーノート盤『A Fickle Sonance』が元。
『Swing, Swang, Swingin'(私の大の愛聴盤!)』、『Jackie's Bag』、『Let Freedom Ring』等、この時代のマクリーンはジャケットのデザインもヨカッタ。
その中から『A Fickle Sonance』を題材にしたご慧眼はお見事!
私なんかはカレコレ45年近くジャズを聴いて来ているので、こういう所業はドンドンやって欲しい。90_sir急速調のスウィング・チューン。
斎藤さんのベースが大活躍!
こういう4分音符のジャズのベースは英語圏では「ウォーキング・ベース」という。
ヤッチンも言っていたようにナゼか日本では「ランニング・ベース」ということになっている。
もっと言うとジャズで使うリズムのことを「4ビート」というけど、海外ではそのまま「ジャズ・ビート」と呼んでいるようだ。
同じく「8ビート」は「ロック・ビート」、「16ビート」は「ファンク・ビート」。
試しに日本式にそれらのリズムの呼び方をイギリスの音楽関係者に向かって使ってみたところ、「そういうムズカシイことはわからない」と言っていた。100シンセサイザーによるダイナミックなホーン・セクションとピアノ・ソロ。
予定通り荒川さんが大フィーチュアされた。110v_2初めてこの曲を聴いた時「♪なぜにイギリス人は傘をささないの?」という歌詞に大爆笑してしまった。
ホントのことだから。
強い雨でも彼らが「Hoodie(フーディー)」とよんでいるヨットパーカーのフードを頭に被せて平気で歩き回っちゃうことはヤッチンがこの曲を取り上げるたびに書いて来た。
ヤッチンもバックのゴキゲンな演奏に乗ってスウィンギーな熱唱を見せてくれた。120v「ありがとう、泰ちゃん!こんなアレンジ他ではできません」
ヤッチンの感謝の言葉に態度で応える荒川さん。
118a0545 「まこっちゃんのランニング・ベースもカッコよかった。
さて、続きましては衛藤浩一と作った曲です。
浩一くんと作った曲は結構あるんですが、THE GOOD-BYEの時には『Another World』1曲だけなんですよね。
アレは確かはっつぁんが8、9割方書いて、浩一くんがどっか歌詞をチョロチョロっと書いて曲づくりにカスっているんです」
130vヤッチンのトゲのある言葉に衛藤さんが…
「こ、言葉の、は、はし端…ゴホゴホ」
118a0549「本当にジイさんみたいな咳するからね。
このメンバーで集まってリハーサルをやってるでしょ?
すると話題が薬のこととか、健康にいい食事だとか、そういうことがホントに多いんですよ。
やっぱりみんな齢を重ねたんだナァということを痛感したリハーサルでございました。
当たり前のようにみんな年を重ねていてどこかしらにガタが来る年齢になっているんですね。
なので、そんな情報交換もありがたいものでした。
浩一くんと作った曲はこの後の『珍道中』の中でもいっぱいお送りします。
今日はボクが大好きな、言葉のはし端に勇気をもらえる曲でございます。
衛藤浩一作詞、曽我泰久作曲によります『お気楽にいこう』です」
あと、よく出るのは血圧と保険の話ね。
150この曲もヤッチンのコンサートではよく取り上げられる1曲。
今日も軽やかで楽しいビートを衛藤さんが叩き出す。160v_okriヤッチンが「お気楽感」あふれる歌を乗せて…170v_2衛藤さんも楽し気な歌声を聴かせてくれた。180v「『珍道中』では浩一くんにも歌ってもらいますのでゼヒ楽しみにしていてください。
さぁ、いよいよ大トリがやって参りました!じっちゃんです!
ボクはじっちゃんの家が近いということを知っていたので、中学生ぐらいの時に近所を結構クマなく探して『実川』さんを見つけたの。
『あっ!ココが実ちゃんの家だ!』と思っていると2階からナンカ音が聞こえて来たんです。
そこで電信柱をよじ登って外から『じっちゃ~ん!』って呼んだら家の中から『オ~!』って。
ボクはそんな時から実ちゃんを知っていて、ことあるごとにライヴを観に来てくれたりしていまだにズ~っと関係が途切れていないんです。
また実ちゃんから教えてもらったことがイッパイあって、ギターもそうですし、打ち込みも最初はじっちゃんが全部やってくれて結構細かいことまで教えてくれました」
190v「じっちゃんの家に行くと、よくカレーを作っていたの。
『カレー食べる?』って言うから『ウン、食べる』って言うとニヤニヤしながら『ハイ、どうぞ』って持って来てくれるんだけど、それが信じられないぐらい辛くて!
でもそれが好きなんだよね…クセになる。アレひき肉のカレーだよね?」
200_2「ひき肉と鶏ガラを煮込んで、ローリエとかクミンとかコクが出るように色々入れて、最後に辛いヤツをパッパって入れて、マァこんなもんかな?って思った後にさらに入れる。
でもコクがあるから美味しんだよね。
先輩の手前『おいしい、おいしい』と言って食べてくれているのかと思ったら『まだカレー残ってますか?』ってたくさん食べてくれたんだよね」
210_2「ホントお子ちゃまを扱うようにいつも見てくれていました。
それとボクはエレキ・ギターから入ってしまったのでアコースティック・ギターにはほぼ触っていなかったんですね。
じっちゃんの家に行くと、当時よくアコースティック・ギターを弾いていたんです。
じっちゃんはレッド・ツェッペリンとかが大好きだったんで普通とは違う『オープン・チュー二ング』にして弾いていたりして、それまで見たことないような世界にボクを連れて行ってくれたんです。
そこでココでまた『Another World』に連れて行って頂きたいと思います。
では、じっちゃん、どうぞ!」118a0138アコースティック・ギターに持ち替えた実川さん。118a0602 エキゾチックなメロディをつなげるソロをタップリとプレイ。
220v_2ヤッチンもアコギに持ち替えて…118a0629 演奏したのは「Another World」。230_aw「約束の場所で」なんかもそうなんだけど、この曲もヤッチンならでは曲の作りだよネェ。
『Revolver』とか『Rubber Soul』あたりのビートルズの雰囲気というか…私なんかにはグっと来ちゃうね。
そういえば、MCでもヤッチンはそれらのビートルズのアルバムもじっちゃん…じゃない、実川さんから教わったと言っていた。
私もビートルズのアルバムの中では『Rubber Soul』が一番好き。
ものスゴくどうでもいい話だけど、『Rubber Soul』とディープ・パープルの『Who Do We Think We Are』ってアルバムの存在位置がすごく似ている気がして仕方がないんだけどどうスか?
いい曲ばっかりなのに注目されにくいの。240v作詞者のひとりである衛藤さんのコーラスがまたいい感じ!118a0790 そして曲は予想だにしない展開に。
スポットライトを浴びたヤッチンのアコギ・ソロだ。250じっちゃんから教わったオープン・チュー二ングのギターを気持ちよさそうにストラミングするヤッチン。270_2以前にも何度かこのシチュエーションに接してきたが、この日のソロはいつになくタップリ。
ショウのひとつの見どころとなったと言っていいでしょう。
もちろんその熱演には大きな大きな歓声が送られた。
275v「どうもありがとう。
今の曲のチューニングを教えてくれたのが実ちゃんです。
レコーディングでも実ちゃんが弾いてくれてるんですよ」280v「ヤッチンがここまで成長するとは思わなかった。ビックリ!
後でギター教えてね!」
300v_2「イエイエ、じっちゃんのおかげでございます」
師弟共演も実現し、ますます会場の熱気が高まって来た。
「暑いからコレ脱ぎたいんだけど下がタンクトップなんだよ。
生々しんだよタンクトップって。
日焼けしている夏ならいいんだけど、色白の今は申し訳ないけど見せられたモノではございません。
本当に生々しいから!
それでは皆さん、後半いきますよ~!
ノンストップで最後まで演りきりたいと思います!」355v ヤッチンのコンサート後半の名物「マラソン・セッション」スタート!
まずは「僕の月面計画」。
335_ybいつも書いているけど、この曲のサビがとても好き。330v_2続けざまにヤッチンが弾き出したのは「約束の場所で」のイントロ・リフ。118a0703 ヤッチンの背中にはMarshall。345v<前編>で詳しく書いた通り、ヤッチンは上段の新商品「STUDIO SN20H」を使用。
この日、日本で初めて公の場で使われた。346コンサートの盛り上がったパートできっと取り上げられる重要な1曲。
シャッターを切っていていつもこの曲のサビにもワクワクさせられている。336グングン盛り上がる!
ギターを弾きながらヤッチンが客席に呼び掛ける。
曲は「気になる女の子」。
冒頭の「♪アアンアッアツアン」をお客さんに歌ってもらおうというワケだ。
でも今日はいつもと少し様子が違う。
320_bgk 「さ、いつものように声を出して頂くところです。
今日はリクエストがあります。
夜の渋谷でございます。
しかもココはボクが高校の時に入れなかった街でもあります…円山町。
円山町が怪しかった頃を知っている方もいらっしゃると思います。
その夜の円山町を意識して♪アアンを聞かせて頂けたらと思います」
簡単に言えば「♪アアンアアアンアアン」と色っぽくやってくれということ。
お手本をやって見せるヤッチン。
お客さんは大喜び…イヤ、大笑い!
340v_knoでも、やっぱり普通にやっちゃうお客さん。
「ボクがここまでやってるのに!それじゃ全然ダメ!」
118a0554「今のは健全な渋谷のハチ公前みたいな感じだった。
夜ももういい時間になっております…夜もいい時間になった円山町シリーズです」
350「1、2,1、2、3!」
「♪アアンアッアツアン」」
360やっぱりお客さんは普通になっちゃう。
ま、やらないってば!
コレを何度か繰り返して…
「あのネェ~…じゃあいいや、普通でいこう!
でも一生懸命やってくれたことは伝わってきた。
まだ恥じらいがあるような感じが…。
じゃあ、それでいこう!」
380vようやくあきらめたヤッチン。
お客さんも少しぐらいやってやりゃぁいいじゃないの!
ココはヤッチンの意地の見せどころだったのか、意外にネバってようやく曲が始まった。
ナニを演っていたんだっけ?
あ、そうだ、「気になる女の子」だ!
370とにもかくにも盛り上がりに盛り上がった~!118a0531 本編最後の曲。
『Super Rare Trax Vol.5 N゜5』から「ハダカノココロ」。
久しぶりの顔合わせとなった5人のバンド・メンバー。
最初から最後までブランクを全く感じさせないイキ合った演奏で17のヤッチン・ミュージックを奏で上げた。118a0706 118a0712  118a0570  118a0539   440v_2ヤッチン、とても楽しそうだった!450vそしてアンコール。
まずは1人でステージに姿を現したヤッチンからご挨拶。
「皆さん、本当に最高な35周年になりました。ありがとうございました!」
460「アッという間の35年だったような…すごく長かった35年だったような…いろんな感情が沸き上がります」
こうやって昔のメンバーと演奏すると、不思議なもので当時のそのステージの様子がフワ~っと浮かんで来たりするんです。
でもこうやって雨が降る寒い中、皆さんと素敵なミュージシャンが集まってくださってボクは本当に恵まれていることを改めて思います。
心から感謝いたします。ありがとうございます」470v「だいたい60歳を過ぎると急に『いつまで桜が見れるんだろう?』みたいな気持ちになっていくようなんですよ。
でも、ボクも行けるとこまでは行ってみたいと思っていますが、それも皆さまがあっての話でございます。
行けるとこまで行って、後ろを振り返ったら誰もいないなんてのは困りますからね。
これからも皆さまと一緒に走っていきたいと思います。
よろしくお願いします」480_2最後にもう一度バンドのメンバーを紹介してこの日最後の曲にとりかかった。490最後の曲はコレ。
このヤッチンのポーズは…「UP BEAT」。
510まるでこれからコンサートが始まるようなギンギンなパフォーマンス!500vこうして曾我泰久のソロ活動の35周年を記念するライヴが締めくくられた。520「どうもありがとうございました!」530ステージにひとり残ったヤッチンから最後のご挨拶。
「本当に皆さまありがとうございました。
イヤ~、メチャメチャ楽しい時間でございました!
今日一夜限りのライブにしておくにはモッタイないというか、機会があったらこのメンバーでまた演奏してみたいと思います」118a0851 「今日は真冬のような寒さで、まだ冷たい雨が降っているようですし、皆さまもいい汗をかいてると思いますのでお身体を冷やさないように。
もうすぐに次のツアーが始まります。
またこうやって皆さまと笑顔で会えるのを楽しみにしております。
今日は本当に最高の時間でした。
どうもありがとうございました!」118a0859あ~、楽しかった!
ヤッチン、ソロ活動35周年おめでとうございました!
 
曾我泰久の詳しい情報はコチラ⇒soga21.com550v<おしまい>
 

200_2(一部敬称略 2025年4月1日 渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて撮影)