1st0~Dramatic Dream 6th
今回初めてMarshall Blogにご登場頂く「1st0」のセカンド・アルバム発売記念ライブのレポート『Dramatic Dream 6th』。
全部で4バンドが出演し、そのウチのひとつであるSilexのステージのもようを前回お届けした。もちろんこの日のトリは「ドラマチック・ロック・バンド」を標榜する「1st0」。
「1st0」という字面を初めてご覧になるMarshall Blog読者のために…
「1st」は「1」の序数。「0」は「零」。
そこで「1st0」は「ファースト・ゼロ」と読む。
「最初の零」ね。
「0を発見したのはインド人だった」ということはつとに知られているが、こんな本をご存知か?『零の発見ー数学の生いたち―(岩波書店刊)』という吉田洋一という立教大学の名誉教授だった数学者が書いた1冊。
とても古い本で、戦前に上梓されて2012年の時点でナント106刷に達している超ロングセラー。
当然「1st0」に触れているが、インド人がいつ「0」を発見したということはハッキリわかっていないそうだ。
ただインド人が6世紀あたりには「0」を使って「位取り記数法(数字の場所でケタを表現する方法)」を行っていたことがわかっているらしい。
インド人もビックリ!なのだ。
世界史かなんかの授業で「世界4大文明」ってのを習うでしょ?
ナイル川の「エジプト文明」、チグリス=ユーフラテス川の「メソポタミア文明」、インダス川の「インダス文明」、黄河の「中国文明」。
なつかしいでしょ?
コレは別の本で読んだのだが、実はこの中で一番文明の発達を遂げたのは中国だったらしい。
それは紙。
いち早く紙の発明に成功した中国は、記録を残すことができるようになったからなのだそうだ。
意外ね。さて、コレが1st0が『1st Chapter』に続いて3月末に発表したセカンド・アルバム、その名も『2nd Chapter』。
「レコ発ってのはこうやるもんだ!」と言わんばかりに今回のライブは徹底的にこのアルバムの収録曲を取り上げた。YUHYA
Ryo
TAKAAKI
LEA
アルバムのオープナーでもある「Live out my Life」でスタート。
ギンギンに転調を繰り返す垂直移動型ナンバー。
早速Ryoさんのギター・ソロが炸裂した!Ryoさんが使用したのは「JVM210H」と「1960A」。
やっぱりチャンとMarshallのプリアンプを使って作る音はヌケるわ~!
コシも太さも最上級!矢継ぎ早にアルバム2曲目の「不夜城Fake Love」。
どこまでものびやかなYUHTAさんの歌声。
この曲も頻繁に転調を取り入れて曲を立体的に演出しているが、サビのメロディの処理にハッとさせられる。場面がガラリと替わってドラムスと…
ベースの2人だけになるパートが何ともスリリング!
そして、ギターが奏でるメロディで曲をビシっとしめくくるという寸法。
「みんな元気だったかぁ~!
こんばんは、1stoです。
これだけたくさんお集まり頂きありがとうございます!
今日は皆さんと一緒に本家本元の『ドラマチック・ロック』をお見せしますよ~!」「1曲目、2曲目は、かなりメタルな感じで攻めさせて頂きましたけど…皆さま、どうでしたでしょうか?
『2nd Chapter』聴いて頂けましたか?
(客席から大きな「オー!」のレスポンス)
ありがとうございます!
まだ聴いていない方も、今日初めて1st0を見ると言う方も、サブスクやこの会場にも用意していますのでゼヒ聴いて頂けたいと思います」「『2nd Chapter』を聴いて頂いた方はおわかりだと思いますが、このアルバムは今演奏したドラマチック・ロックから始まり段々と明るくなっていくでございますよ。
そういうチョットポップだったり、明るかったり、イイ感じにキラキラした感じの…自分で言うな!って話なんですが、そういうのも出来る、というところも今日はお見せしていきたいと思います」
…と挨拶をしてメンバーを紹介した。イントロなしでサビからスタートするのはアルバムの8曲目に収録されている「Night Travel」。
コレよ、このことよ。
メロディ単位の切れ目を半音階でつなげているでしょ?
とても印象に残るでしょ?
人間って半音の移動に感動しやすい…と思っている。
20世紀初頭から1930年代にニューヨークのティンパンアレイから送り出されて来た曲の数々を聴いているウチにこのことに気が付いた。
「曲のフック」とでもいうのか、1st0の曲にはそういう感動の瞬間がいくつもあって他のチームとは一線を画していると思う。バンドが入って心地よいハードさで曲はポップに進行する。
TAKAAKIさんがソロをキメて…
タッピングを交えたメロディアスなギター・ソロにリレーする。
魅惑のメロディの後の曲の〆方もすごくいい感じ!
するとLEAさんのドラムスが一閃!
アルバムの曲順通りに「Acceleration」をつなげる。
それこそハードな要素が「アクセル」されたブッちぎりのドライビング・ナンバー。
「すさまじい!」としか言いようがないLEAさんのドラミング。
私もずいぶん長いことロックのそばにいるけど、バス・ドラムの役割というモノがスッカリ変わってしまったことを感じるわ。
ミュージカル映画のタップダンスのアフレコよろしく、ヘタをすると手で叩いているより速いもんね。
そのドラミングは1st0の「ロマンティック・ロック」に完璧にマッチしていると思う。
聴いていてとても気持ちがいい! 「ありがとうございます。Ryoでございます。
『Dramatic Dream 6th』、楽しんで頂けておりますでしょうか?
1st0のドラマティックでポップな曲を2曲連続で聴いて頂きましたが、ココからはちょっとダークな曲をお送りしたいと思います。
その前に紹介したいヤツがいます。
普段1st0は4人で活動しておりますが、今日は特別にキーボーディストに参加してもらうことになりました」…と、呼び込まれたのはSilexのKohtaくん。
Kohtaくんは『2nd Chapter』のレコーディングにゲスト参加しているのだ。「Silexとはズッと対バンしたいなと思っていたんですが、こうやって呼ぶことができて本当にうれしいのと同時に『メチャメチャ恐え~な~』とも思いながら今日という日を迎えました。
今日はKohtaには2曲付き合ってもらいます」ドロップ・チューニングによるダークなギター・リフ。
やっぱり真空管アンプの押し出し感の強いサウンドってはいいね~。
こういうリフがバッチリとキマる!そして会場の隅々までハードなギターのサウンドが直接行き渡る。曲はアルバムの3曲目の「The Abyss id Calling」。
「♪Just calling you」
ダークながらもキャッチ―な部分をキープしたサビ前からサビへなだれ込むところが強烈至極だわ!
このチームはホント曲づくりが上手だと思う。全曲を通してKohtaくんのシンセサイザーがサウンドに厚みを加える。
トラディショナルなロック・ギター・フレーズを散りばめたゴキゲンなソロ。
後半はタッピングを取り入れてスリリングに仕上げた。続けての曲のタイトルをYUHTAさんが絶叫する。
「Endless Blood!!!!」この日演奏した唯一セカンド・アルバムに収録されていない曲は『1stChapter』からのチョイス。
問答無用のストレートなドライビング・チューンに…客席は大盛り上がり!
爆走するギター・ソロ!
イケイケ~!Kohtaくんのオルガンのソロが続いて熱気に拍車をかけまくった。
「盛り上がって頂いてありがとうございます。
『Dramatic Dream』、6回目にして最高のライブでございます。
会場にお集まり頂きました皆さまに今のウチからお礼を申し上げます。
配信をご覧になってくださっている皆さんもどうもありがとうございます!」
そして「夢のようだった」と、ドラマチックな演奏してくれた対バンの皆さんにも感謝の言葉が述べられた。
「悔いが残らないようにあと2曲、新曲で〆ます!
本日は最後まで我々のドラマティック・ロックにお付き合いください。
ありがとうございます!」残りあと2曲。エエ~!
さらに気合が入ったところでアルバム4曲目の「Dreamer's Syndrome」。
さっきから「アルバム〇曲目」と書いているのは、これだけキレイに新しいアルバムの曲ばかりでセットリストを組んでくれているのが気持ちいいんですわ。
それが冒頭に書いた「レコ発ってのはこうやるもんだ!」ということ。
せっかく新しいアルバムをリリースしたのにチョットしか新しい曲を演らない「レコ発」なんてのもあるからね。今度はワルツ。
しかも徹底的にハードなワルツ!
続けて本編最後の曲に取り掛かる。
アルバムでも最後を飾っている「Everlasting Shine」だ!
本編全8曲…どこまでも自分たちの「ドラマティック・ロック」を追求した情熱溢れるステージは見ごたえ&聴きごたえ満点だった!
アンコール。
「今日はありがとうございます!」
LEAさんがまずひとりで登場して物販のご案内。
そしてメンバーをステージに呼び入れた。
「まだ演ってない曲があると思うんです。
皆さん、MVを観て頂けましたでしょうか?…評判でございます。
Xで『王子様メタル』という風に言われましたが、我々はメタルじゃないので『王子様ドラマティック・ロック』ということで…」ライブの告知をして…
「さてさてラスト。
『王子様メタル』という言葉も出たので、またYUHYAの超絶ハイトーンから始まる、泣けるコノ曲で今日のライブを〆たいと思います」『2nd Chapter』のジャケット・デザインをあしらったお揃いのTシャツを身にまとってメンバーが登場。
ちなみにこのジャケットのデザインはYUHTAさんの「山好き」にちなんだそうだ。
アンコールで取り上げたのはMVを制作したアルバムのリード・チューン「Planetary Nebula」。「ドラマティック・ロック」の真骨頂!
いい曲だわ~。
演奏がヤケクソにハードなので敢えて「メタル」という言葉を使わせてもらうけど、なかなかこういう曲を演るメタルのチームってないんだよね。
誇り高き「ドラマティック・ロック讃歌」。
誰もがこの希望に満ちた主旋律に耳を奪われることと思うけど、中盤の「♪ウォ~ウォ~」とやるパートのメロディもスゴイ。
そして、この曲をアルバム最後から2曲目に収録したのも大胆といえば大胆不敵。
これだけ曲に力がある作品はアルバムのどこに入れるか悩むだろうナァ。
今回初めて拝見しましたが、1st0の4人のドラマティック・ロック…恐れ入りました!
1st0の詳しい情報はコチラ⇒1st0 Official
<おしまい>
(一部敬称略 2025年4月6日 巣鴨獅子王にて撮影)