激突vol.9 Hot Melty Hard Rock~臼井OZMA孝文
臼井OZMA孝文率いる「NERVOUS BREAKDOWN」主催のイベント『激突』。
去る3月末、その第9回目を開催した。
題して『Hot Melty Hard Rock』。
ハードロックへのOZMAさんの敬慕の念がタップリと詰め込まれたいつも通り充実した内容のショウだった。
この激突の魅力はOZMAさんチョイスの愛すべき筋金入りの旧来型のバンドが競演を繰り広げるだけでなく、OZMAさんの前説も大きな味わいどころとなっている。
イヤイヤ、巷間ではむしろOZMAさん自身がこの前説をやりたいがために企画しているのではないか?とウワサされているようだ。
でもそれだけのことはあって、ショウが幕を開ける前の10分から15分の間、OZMAさんが実に巧みにオモシロおかしく、時には傍若無人なトークで目の前のお客さんを大いに楽しませてしまうのだ。
もはやオープニング・アクトを演じる「前説」という名前のソロ・アーティストとして取り扱って差し支えないのではあるまいか?
これまでMarshall Blogでは幾度となくこの激突のシリーズに限らずOZMAさんの前説を文字にしてお届けしてきたが、今回の弁舌も素晴らしかった。
その舌鋒の鋭さを完全に再現することは到底不可能だとしても、イベントの重要な瞬間をひとつの読み物として記録しておくのも大きな価値があるのではないか?と考え、今回は「前説だけの記事」を編んでみた。
Marshall Blog2,579本目にして初の試み!
そう!演奏シーンなし、前説トークだけの「ライブ・レポート」だ。
イエイエ、伊達や酔狂でやっているワケではござらんよ…真剣です。
昔で言えば「講談本」みたいなモノだ。
ちなみに「日本の三大出版社」の一角である「講談社」はその名前の通り『講談倶楽部』という講談の雑誌で成長した出版社ですからね。
ちなみに三大出版社の他の2社は「小学館」と「集英社」とされているそうだ。
そして小学館と集英社は元は同じで、小学館の娯楽誌部門を分離独立して作った会社が集英社なんだよ。
ついでにやっておくと、下は文京区千駄木にあるマンション。
講談社はココからスタートした。
1909年(明治42年)に「雑誌王」の異名をとった「野間清治」という人が「大日本雄弁会」として設立したのがことの起こり。
講談社は完全な同族経営のいわゆる「老舗企業」で、現在の「省伸(よしのぶ)社長」で7代目だというのだからスゴイ。
加えてスゴいのが省伸社長の父方のおジイちゃんがナント「阿南惟幾(あなみこれちか)」だというのだから恐れ入る。
阿南惟幾は「鈴木貫太郎」内閣の時の陸軍大臣…要するに敗戦時の陸軍大臣だった。
1931年の満州事変を主導し、「柳条湖事件」を引き起こした天才軍事作戦家「石原莞爾(いしわらかんじ)」とは陸軍大学校の同期で、石原も阿南を認めていたという。
阿南に対しては天皇陛下の信頼も厚かったが、「ポツダム宣言」が受諾された昭和20年8月15日、割腹して自決した。
以上…私の前説終わり。
開演に先立つこと15分。
客席エリアで待機していた「臼井OZMA孝文」がスックと特設ステージに上がり、まずは客席エリアを睥睨した。
そして「スーパー前セッツァーOZMA」のステージがスタートした!
「前説のために今日ココに来ました。
そのついでに『NERVOUS BREAKDOWN』でベースを弾いて帰ろうかな?と思っておりますので最後まで楽しんでいってください」
「さて、本日コチラで開催されますのは『Hot Melty Hard Rocks 激突 Vol.9』でございます。
選りすぐりのヘヴィメタル、ハードロックのバンドを私が集めたんですよ。
皆さん、感謝する先は各バンドではなくて…私です!」
「ありがとうございます!感謝していま~す!」…お客さんのノリもバッチリ!
「本日は5バンドが登場しますので各バンドを紹介しましょう」
「トップバターは紅蓮の炎『CRIMZON FLARE』」
「マァ、なんちゅ~てもココは速弾きと様式美とハイトーンですね。
それに圧倒されてください。
2番手に登場しますのは私が何気なくベースを弾いておりますNERVOUS BREAKDOWNです」
「NERVOUS BREAKDOWNは本日、ギタリストの『堀真路』が脱退します」
「32歳ですからね。
64歳の私が捨てられるという…この悲しい気持ちがわかるでしょうか?
世間でも年の差婚とかいうのは大抵ダメになるじゃないですか。
小柳ルミ子、五月みどりもそうでした。
紀州のドンファンに至っては死んでしまいました。
今回の場合、私が死ぬワケではありませんので快く堀真路を見送りたいと思っております」
「今日は堀真路くんが最後ということで来てくださった方々もたくさんいらっしゃると思いますが、彼が脱退するということは、いろいろ考えなくてはならないことが生じるワケです。
例えばこの5人の絵ヅラのTシャツも今日限りということになります。
もう昨日から1,000円で叩き売りをしております。
CDは3,500円…それを買って頂ければ付いてくるんです。付いてくるんですよ!
『イヤや』言われてもムリヤリ差し上げる!」
「そこらでバラ撒いているチラシと同じくらいの値打ちしかないとか言わんといてくださいよ。
昨日富士で花咲爺さんのようにかなりバラ撒いてきましたのであと3枚しかないんですけどね」
下はこの日の屋台村のようす。
「そんなことで渾身の40分間のステージをさせて頂きます。
その時のMCでは堀真路の脱退について触れないので、この前説の私の時間を利用して報告させて頂いているということでございます。
ワガママでスミマセン…でも主催者はいろいろなことが出来るんです。
第3番手に登場しますのは『VELL'z FIRE』。
そして4番手は『RAILROAD』」
「トリはですね…昨日?一昨日ですか?
ハッピー・ハッピー・バースデイだったギターのOKAHIROさんの『SUPERBLOOD』です」
「SUPERBLOODはナニげに昨日ワンマンをやっているんですよね…知らなかった。
なんで昨日、一緒に富士に来てくれへんのかな?と思ったらワンマンをやるので来てくれなったんですね。
ヒドい話ですね…なんて、こうやって私は敵を作っていくんです。
敵の作り方、皆さん、わかるでしょ?こういう風にしていくんです。
昨日のアニマル・ネストの打ち上げの〆がどんなやったかお話しましょうか?
『SUPERBLOODブッ殺す!』とか『ブッ飛ばす!』って言いながら燃え盛っていたんですよ。
そんなハードロック、ヘヴィメタルの5バンドの火花散るバトルが今日は展開するというワケです」
「もうすでに疲れてしまったかと思います…スミマセン。
まさか前説からお客さんに座りこまれてしまうとは!
もう終わりますからね。
昨日も4バンドで5分のつもりが10分しゃべってしまいましたからね」
ホント、短い時間で思っていることをしゃべりきるということは実にムズカシイ。
昨年、ある音響製品の関係者を前に「Marshallの歴史」を説明したんだけどアレにはマイったわ。
だって専門学校なんかでやる時には2、3時間タップリかけてやるヤツを「15分でやってください」っていうんだもん。
こっちは思い入れがタップリあるものだからそんなの土台ムリな話なんだけど、何とか詰め込んで20分で収め込んだ。
あ、ナニか「Marshallの講義」みたいなお仕事があればよろこんで引き受けますのでよろしくお願いします。
「さて、この激突シリーズですね…NERVOUS BREAKDOWNが主催でガンバっておりますが、色んなバンドと火花を散らして、そして刺激し合えるというイベントなんです。
本当にうれしいです。
お客さまもお目当て以外のバンドを観て『コレはいいな!』と思ったら物販に行かなくてはなりません。
NERVOUS BREAKDOWNいいな、NERVOUS BREAKDOWNのベースの人いいな、やっぱりNERVOUS BREAKDOWNいいな…と思ったら物販へゴーです。
もう、好き勝手言ってスミマセン…主催ということで!エヘヘ」
「そして今日はSUPERBLOOD以外は写真や動画を撮影してもらってOKです。
太っ腹です。
イエイエ、別にSUPERBLOODがケチや言うてるんじゃないですよ。
撮らせてくれないだけです。
それを世間では『ケチ』と言います。
『いいやんけ、撮らせろや』思うんですけどね。
代わりにボクがこっそりと撮ってその写真データを売ろうかな?…こうやって嫌われていくんですね」
「今日は5バンド耐久になりますので、疲れてチョット座りたいという人はアチラの方に椅子がありますのでそこで休んてくださいね。
最初から椅子を使って頂いたらヨカッタですね。今頃言うてスミマセン。
ホント気がまわらないなぁ~…と、そんな感じでございます。
さぁ、あと2分少々で始まりますよ。
いんですか、始まっても!
元気ですかッ?!
今日は天気ですか!?…最近、今頃アントキの猪木にハマっているんです」
「しかし、ハードロック好きの方がこれだけいらっしゃるんですね。
ビックリします。
X-Rayのボーカルの藤本さんがいつもこう言うんです。
『ハードロックっつうのんは、オリコンとかそういうチャートのナンバーワンになる音楽じゃないけれど、日本中にハードロックが好きな人がいるのでこれからもズッと愛しつづけてください』って。
そして『良い音楽だと言って子供やお孫さんにも引き継いであげてください』って言うんですが、お孫さんや子供さんが来た試しはありません。
この世代でハードロックは終わろうとしております」
「しかし決して終わらせてはなりませんよ…皆さん、わかっていますか!」
OZMAさんが声を荒げておっしゃっていることはホントだよ。
日本は「紫」だの「虹」だのと、ハードロックやヘヴィメタルがまだ盛んなように見えなくもないが、コレは恐ろしく小さなコミュニティの中だけの話であることを知っておいた方がよい。
従前からわかっていたことだけど、藤本さんがおっしゃる通り若い血を入れないとこのままではホントに終わるよ。
ここ数年、演者の皆さんの高齢化が極端に進んでその危険性がより一層あらわになってきたようで、特に今年に入ってからそれが一段と顕著になっているように感じる。
長~いこと同じことをやってきているから肌感覚でわかるのだ。
加えてプレイヤーもさることながら並行してリスナーの年齢層も高くなってしまったことも併せ知っておくべきだろう。
実はコレが一番危ない。
音楽に限らずどんなに良いモノを作り出しても受け取り手がいなければ何の役にも立たないからね。
戦前の琵琶語りや浪曲なんてのは、老若男女を問わず日本中の人が夢中になっていたがキレイに消滅してしまった。
浪曲ファンはまだいらっしゃるのかな?私も結構好きです。
また、ラテンやハワイアンなんてのも同じ。
かつてどんなに人気があったとしても消滅してしまった音楽なんていくらでもあるからね。
「ハードロックやヘヴィメタルは琵琶語りと違う」なんてことは誰が言えよう?
プロッグ・ロックも同様。
要するに消費者が離れて金にならなくなった時点でおしまいなのよ。
しかし、もちろん私はそうした音楽の大の味方で、それゆえMarshall Blogの内容もご覧の通りになっているワケだけど、海外の音楽関係者なんかに接すると日本のハードロック/ヘヴィメタルのおかれた状態がい~か~に~ガラパゴスになっているかを実感するよ。
Marshallだってウェブサイトを見ればモノすごく変化してしまったことが一目瞭然でしょ?
もう鋼鉄やガイコツや大蛇とは縁を切ったんだよ。
だったらOZMAさんや藤本さんが提唱するように日本だけでも強情にハードロック/ヘヴィメタルの灯を明るくともし続けようではないか!
そのためには若い人を巻き込むしかない。
そして、OZMAさんが企画するようなライブをみんなで盛り上げていこう!
「『激突 vol.9』のトップバッターは…
耳をつんざくハイトーンを聴け!ギターと鍵盤のハーモニーに酔いしれろ!
CRIMZON FLARE~!」
…ということで楽しいOZMAさんの前説に続いて『激突』の9回目の最初のバンドが紹介された。
臼井OZMA孝文の詳しい情報はコチラ⇒OZMA"HARD ROCK PRESS"
腕利きたちがブッ放す三者三様のMarshallサウンドも楽しみだ!
<つづく>
(一部敬称略 2026年3月29日 上野音横丁にて撮影)
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