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2026年6月10日 (水)

杉本篤彦BIG BAND東京公演~音楽活動40周年記念&バースデーライブ<後編>

「杉本篤彦BIG BAND」初の東京公演のレポートの<後編>。
最近は時代も変わり、かつては「ハードロックやヘヴィメタル専用のツール」の感が強かったMarshallのギター・アンプも世間の音楽の嗜好性の変化とともに様々な音楽の現場で使われるようになってきた。
そんな中、長年にわたってMarshallでジャズを奏で続けてきた杉本さんは日本におけるその分野の嚆矢と言ってよいだろう。
今回のビッグ・バンドとシチュエーションでもそのMarshallによるジャズ・ギターの魅力を存分に伝えてくれた。05vしばしの休憩を挟んで杉本篤彦BIG BANDの東京公演の第2部が始まった。
進藤さんが「♪ハッピーバースデートゥーユー」を奏でると…118a0452大きなバースデイ・ケーキがステージに運び込まれた。
そう、このショウは杉本さんの音楽活動40周年を記念するだけでなく、誕生日のお祝いも兼ねているのだ。10「わぁ~スゴイ!おいししそう!
コレ、ホントに食べられるの?
今日はボクの他にバンドの中でも小林くんの誕生日がが4月の24日、それからトランペットのさつきさんが5月9日なんですよ。
おめでとうございます!」118a0291「お客様で5月生まれの方いらっしゃいますか?
何人かいらっしゃる?」
気前のよい杉本さん、誕生日が近いお客さんに何枚かCDをプレゼントしちゃった!30_2「やっと3歳になりました…還暦過ぎたらもう一緒なんで。
産んでくれた親にも感謝したいと思いますし、こうやってこの世界でなんとかやっていかれるのも皆さんのおかげでして心から感謝したいです。
そこで愛を込めて『愛のテーマ』を1曲目に演奏したいと思います。
ご存じかと思いますが、キャセイパシフィック航空のきれいな『スッチー』。
今は『キャビン・アテンダント』と言いますが、昔はスッチーって言っていたんです。
かつてのテロ事件以前はソフトケースに入れたギターを機内に運ぶことができて、それがスッチーと話すチャンスだったんです。
今はテロのせいでそれが出来なくなっちゃった」
ま、猛烈に人当たりの良い杉本さんのことだからギターが持ち込めなくてもキャビン・アテンダントとガンガンおしゃべりされているのではないかと思いますけどね。40v_2ということで第2部はアメリカのシンガーソングライターのバリー・ホワイトが「ラブ・アンリミテッド・オーケストラ」名義で発表した「愛のテーマ(Love's Theme)」。
昔の人ならだれでも知っているこのメロディ。
杉本さんがキャセイパシフィック航空の名前を出したのは、この曲がテレビCMに使われていたから。
それで誰もがこのメロディを知るようになった。
杉本さんらしい優しさあふれるチョイス。50分厚いトランペットのアンサンブルがこの名旋律を美しく歌い上げる。60フルートに持ち替えた加納さんのソロに…80池田さんのトロンボーン・ソロが続く。90そして杉本さんのソロ。
シングル・トーンで弾き始め、ところどころオクターブを織り込んでメロディアスなソロを練り上げた。100v杉本さんのギターを鳴らしているのはMarshall。
指先で弦をはじく杉本さんの奏法に音の立ち上がりが速いMarshallがベストマッチするのだ。110v今回使用しているのは50W、1x12"のトランジスタ・コンボ「MG50DFX」。120杉本さんが使っているモデルは姿を変え、同スペックで「MG50GFX」という名前でMarshallは生産を続けている。Mg50gfx続いては進藤さんが弾くあの超有名なイントロ。
ピアノ・イントロ・クイズをやればその即答率と正解率は「オブラディ・オブラダ」や「レット・イット・ビー」といい勝負になるのではあるまいか?130そんなイントロに続いて飛び出して来る鉄壁のアンサンブルは「Take the A Train」。
自然と客席から手拍子が沸き上がった!150ココではまず杉本さんのソロが先行。160続いて大野裕太さんのアルト・サックス・ソロ。175v小野塚豊さんのテナー・サックスがソロを引き継ぎ…180v定番のソロ・フレーズを織り込んだ松木さんのトランペットを経て…190v小池さんのテナー・サックスがソロ・リレーのパートを締めくくった。200vサックス・セクションでバリトンを担当しているのは宮原朋子。504vそしてこれまた有名なアンサンブルのパートが続き曲は最高潮を迎えた。210「ありがとうございました!
コレ、イントロのピアノが有名でギターで演ろうと思って練習してみたんですが、ギターであのメロディを弾くとすごくチャッチくなっちゃうんですよ!
練習中に自分で却下して、やっぱり進藤さんにピアノで弾いてもらうことにしました」220v「さて、今日は5月5日ということで私の誕生日でもあるんですが、実はボクは歴史が好きで、特に幕末の新選組の『土方歳三』が好きなんです。
旧暦にはなるんですが、実は土方歳三も5月5日生まれなんですよ。
当時の太陽暦にするとズレちゃうらしんですが誕生日が一緒なんです。
しかもボクがいた地域が歳三が若き日に剣術の腕を磨いた牛込柳町の『試衛館』の近くだったのですごくジモティを感じるんです」230「それで土方歳三の曲をいくつか作りまして、その最終版って言うんですか?…第3弾として歳三が函館で死ぬ瞬間を描いた曲を作りました。
コレも元はビッグバンドの曲ではないんですがアレンジしてみたら素晴らしいサウンドになりました。
『土方歳三に捧げるVol.3』です」240曲は「North Road」。
「北海道」を英語にして「海」を取ったという曲名。
とてもロマンティックなアンサンブルで曲はスタート。250進藤さんのピアノをバックに物悲し気なテーマ・メロディをギターで奏でる。260vトロンボーン・セクションの芳醇なバッキングを得てそのメロディが小池さんがテナー・サックスに引き継がれる。270加納さんのアルト・ソロ。
巧みなアーティキュレーションと華麗な指さばきで感動的なプレイを聴かせてくれた。280vその加納さんのソロに呼応するかのような杉本さんのソロ。
「コレが土方歳三の最期か!」
猛烈なグリッサンドでソロのドラマ性を高めた。290アンサンブルの後の長いブレイクから感動的なエンディングへと続いた。
「これでおしまい」…は勝海舟か。300しかし、ことが「幕末」となると「新選組」の人気がこうも高いのは一体どうしたことなのか?
佐幕派がそれだけ多いということでは全くなかろうに。
若~い女の子が「藤堂平助は新選組の八番隊長なんでスゥ~!」なんてやっているのも実際に目にしたことがある。
浅学にして私はどちら様か存じ上げなかったが、果たして彼女は新選組が何たるかを知っていたのであろうか?
何が言いたいのかと言うと、それだけの激動の時代、新選組以外にもオモシロイ話がたくさんあるということよ。
例えば下の写真の真ん中の『夜明けの雷鳴』。
これは「高松凌雲」というお医者さんの話。
幕府軍と五稜郭まで行って、敵味方なく負傷者の面倒を看、後に「佐野常民」らと日本赤十字社の前身である「同愛社」を設立した人。
右の『彰義隊』は説明不要でしょう。
左の『暁の旅人』は長崎で高名な「ポンぺ」の薫陶を受けた蘭方医「松本良順」を描いた一作。
良順は「順天堂病院」の創設者の1人だが「沖田総司」の主治医だった。
私はコレらを著した「吉村昭」の大ファンで、数多くの作品の舞台となっている長崎に3度ほど巡礼した。Img_5092_2本を読んだ後は機会があれば登場人物のお墓をお参りする。
下は谷中霊園にあるその高松凌雲のお墓。
コレは「掃苔家」を気取っているワケではなく、読書を楽しくするコツのひとつだと思っている。
ちなみに「今戸の狐」という落語の名作舞台の今戸には「今戸神社」という古社があって、そこには「沖田総司終焉の地」が立っている。1 ということで…
「土方歳三の次も幕末シリーズ。
今日は大阪で『杉本篤彦幕末バンド』というのを仕切っている爆破犯人みたいなベーシストの津田藤宏が来てくれています。
彼のプロデュースで『Dragon Horse』をナントを京都で制作しました」310vそして当の津田さんがステージに上がってご挨拶。
さっきケーキを運び入れてくれた方。
「せっかくならば京都の電気を使って、京都で坂本龍馬の曲を録音しました!」
ココで杉本さんとの関西での活動の告知をした。340_2v 「これから演奏する曲は『坂本龍馬』をイメージした曲なんですが、コレは龍馬の末裔の方から『曲を書いてみないか?』と直接お誘い頂いて作った曲なんです。
実は今日、その坂本家10代目の『坂本匡弘(まさひろ)』にお越し頂いています」
「幕末」を時代のムーブメントとして佐幕派と倒幕派の両方を応援しちゃうのが杉本さんのスゴイところ。320v「多分日本の偉人の中で最もファンが多いと思われる龍馬でしょう。
その坂本家のオフィシャルの曲を作るということで、私もそんなに責任を持ちたくないので、ウチにお越し頂いて1音ずつ『こんなのどうですか?』とやりながら合同で作曲したようなもんなんですけど…。
その曲を『CLUB DAZZ』というアルバムに入れました。
今日はビッグバンドのアレンジで今日初めて生で聴いて頂きます。
恐る恐る演らせて頂きます!」118a0297コレが2019年にリリースした杉本さんの25枚目のアルバム『CLUB DAZZ』。Cd さて、杉本さんキモ入りのキラー・チューン「Dragon Horse」。
これまで葉山でも取り上げられて何度も耳にしてきたが、この日はビッグバンド・アレンジということを割り引いても十分すぎる気合が感じられる演奏が展開した。350スリリングなイントロに続いて杉本さんがテーマを奏でる。
この緊張感あふれる展開はまるでクライム・ムービーのいちシーンを見ているようだ。360v赤い「Byrdland」を引っ提げた小林さんのソロがフィーチャーされる。370この表情!
これで実際のプレイがソウルフルでないとしたらもう写真なんて信用できないことになる!380v続く進藤さんのソロはリチャード・ティーのようなテイストでファンキーにまとめ上げられた。390都さんのソロはオルガン。400vここぞとばかりに徹底的にハードに攻め込んで見せてくれた!410まだまだ続くソロのリレー。
次はリズム隊の2人。
まずは田中さんの必殺スラップ!420間髪を入れず正岡さんがカチっとしたソロで応酬。
「間(かん)、髪(はつ)を入れず)」ね。430v杉本さんのソロはア・カペラで。
440v「Milestones」を引用しながら得意のファンク・ストラミングでグイグイ迫って来る!
人差し指のハラでこすりながら弦をかき鳴らすサウンドは世界広しと言えども恐らく杉本さんだけのモノであろう。450そして小池さんのテナー・サックス。460杉本さんとの掛け合いだ!470曲は盛り上がりに盛り上がって幕を下ろした。
この激烈パフォーマンスは坂本家の皆さんにも大いにご納得頂けたことであろう。
自然とレポートにも力が入ってしまった!480「ありがとうございました。
『龍馬』を英語にして『Dragon Horse』というタイトルにしましたが、匡弘さんが名付けてくれました。
もう1つ、龍馬の奥さんの『おりょうさんのテーマ』もあるんですが、今日は演りませんのでお聴きになりたい方はCDをお求めください。
『Dragon Horse』か『CLUB DAZZ』というアルバムの両方に収録されていますが、2枚お買い上げくださっても買っても結構でございます」330そして杉本篤彦BIG BANDのメンバーをひとりひとりご紹介。008a0028_2 今、杉本さんの口から「おりょう」さんの名前が出たところで最後の脱線をしておきましょう。
それは長崎について。
コレのためにさっき吉村先生で伏線を張っておいたというワケ。
そう、長崎は龍馬だらけ。
ファンにはたまらんきに!505もちろん『龍馬がいく』は読んではいるけど、吉村先生が龍馬に関する作品を残していないことに加え、ウチは基本的に佐幕派なので長崎へ行っても「亀山社中」に寄るぐらい。506中はこんな感じ。
展示品がレプリカばかりなのがチト残念。510目を惹いたのはこの月琴。
おりょうさんが弾いて楽しんでいた。520v亀山社中のすぐ近くの長崎の町を見下ろすスペースには、ブーツを履いていたという龍馬にちなんだオブジェが設置されている。530コレはあの有名な龍馬の写真を撮影したという「上野彦馬」の撮影所の跡に立てられた記念像。
彦馬は横浜の「下岡蓮杖」と並ぶ日本の写真の開祖。
でもあの龍馬の写真は彦馬のお弟子さんが撮影したと云われているんだよね。008a0149市内の中心部の万才町(まんざいまち)にある「長崎法務合同庁舎」の入り口立っている月琴を弾くおりょうさんの像。
昔、ココには「小曽根乾堂」という龍馬のパトロンをしていた豪商の家があって、龍馬のはからいでおりょうさんが身を寄せていた時に月琴を習ったとか。
私はそのウチ杉本さんが月琴でジャズを演ってくれるのではないか?とひそかに期待している。540「最後の曲になりますが、2008年にコロンビアからメジャー・デビューした時に気合を入れて作った曲です。
夏が異常なんで作った曲です。
どんどんクレイジーになっちゃって…だから演奏中もクレイジーになっちゃう曲でございます」550v杉本篤彦BIG BAND初の東京公演の本編の最後を飾ったのは「Crazy Summer Blues」。
年々暑くなっていく日本の夏への心配と憂い込めたような厳しいテーマ・メロディ。
570…なんて言っみたけど、そのサウンドはストレートなロック・ビートに乗ったドライビング・チューン!
トロンボーン、トランペット、ピアノ、オルガンとつながるハードなソロを見守る杉本さん。580ソロ・リレーの後、ガラリと表情を変えた曲は杉本さんが果敢に弾き込む新しい主題に沿ってクライマックスを目指していく。560そして劇的なエンディングを迎え本編を終了した。600「ありがとうございました!」
最後にもう一度メンバーを1人ずつ紹介。590すぐさまアンコール。
右手を振り上げて気勢を示したのは『Laure'a』収録の「荒野のギター」。610コレもタイトルがいい。
そのタイトルにイメージがマッチしたテーマ・メロディはとても魅力的だ。
008a0047ビッグ・バンドをバックに情感を込めて最後のソロを奏でた杉本さん。630v「どうもありがとうございました!」
最後に感謝の気持ちを込めたひと言があってすべてのプログラムを終了した。
実にいいショウだった!
そして、音楽活動40周年並びにお誕生日おめでとうございました!640毎年Marshall Blogでレポートしている『真夏のJAZZ葉山』。
今年の杉本さんはこのビッグ・バンドを率いてご登場される。
何しろウチは夏はコレしか出かけないからね、今年もとても楽しみだ。
でも杉本さん、この人数で楽屋はどうなっちゃうの?!
 
杉本篤彦の詳しい情報はコチラ⇒杉本篤彦公式ウェブサイト650v<おしまい>

200(一部敬称略 2026年5月5日 赤坂B♭にて撮影)