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2025年7月27日 (日)

【訃報】クレオ・レーンのこと

  
またしても強力な「虫の知らせ」に驚いている。
一昨日、「MIDDLETON II」という新しいMarshallのBluetoothスピーカーが発売となり、メディアの方々を招待して発表会が催された。
私は「Marshallの歴史」の講義を依頼され、そういう仕事が嫌いではないので喜んでお引き受けした。
ただ、普段やる専門学校での講義であれば2~3時間かけてミッチリやるところを「15~20分に収めて欲しい」とリクエストされて、超短く内容をまとめ上げるのに四苦八苦してしまった。
結局、時間を持ち時間を少々オーバーしてしまいご迷惑をおかけしてしまった。
「Marshallの歴史」とくれば「ジム・マーシャルの人生」に他ならないので、その講義の内容にジムとのお別れ会のことを少し盛り込んだ。
その会が開か入れた場所はMarshallの工場からほど近い「ウィルトン・ホール」というところ。
Img_5850時は2012年5年27日。
会は「A celebration of a legendary life(伝説の人生を祝福する)」と題され、日本人どころか列席した東洋人は私ひとりだけだった。
Img_5966この時、私は前職から離れ、浪人の身だった。
とてもイギリスへ行く旅費を持ち合わせていなかったが、先代の社長からお誘いを頂戴し、「コレはナニがナンでも行かなくては!」と当時持っていたギターを9本ほど売りさばいて何とか旅費をヒネリ出した。
Img_5794一昨日の講義の持ち時間の中では細かい説明は一切できなかったが、資料を用意するために13年前のこの時の写真を引っ張り出しては懐かしく眺めていた。
Img_5790ジム・マーシャルはチャリティ精神に満ちた篤志家として有名だった。
生前は恵まれない子供たちの施設、病院、慈善団体に莫大な寄付を施して社会に貢献した。
その功績が認められて「大英帝国勲章(OBE=Order of the British Empire)」の称号を得た。
この時、そちら方面の関係者が大勢この会に集い、ジムに最後の謝意を表した。
その中にはジムがギター・アンプを作っていたことを知らない人も少なくなかったらしい。
この辺りのジムの所業を一昨日の講義で説明したかったワケ。Img_5927上に書いたようにこの時私はMashallから離れていたが、かつての仲間が大歓迎してくれてとてもうれしかった。
これは今年Marshall勤続40年を表彰されたスティーブ・ヒルとカール・タッカー。
Img_5803_2ケン・ブランと。
一度お会いしたかったのでこの時は本当にうれしかった。
そのケンもこの時から6年後に亡くなってしまった。
Img_5796前述のように音楽関係者より福祉関係の出席者が多かったのだが、ディープ・パープルのニック・シンパ―も出席していた。
私は元より顔を知らなかったのだが、エンジニアのスティーブ・ドーソンが「おいシゲ、ニック・シンパ―が来ているぞ!」と教えてくれたのだ。
ピート・タウンゼントからビデオ・レターも届いていた。
そうして音楽や楽器業界の関係者や福祉関係の方々が次々に登壇し、ジムへ感謝と惜別の言葉を贈った。
下はニコ・マクブレインのスピーチ。
親子ほども齢が違うニコは同じドラマーとしてジムからとても可愛がられ、この日のニコは司会の大役も務めた。
Img_5816そうしているウチに司会者から紹介され、壇には上がらず自分の席でスピーチをした女性がいた。
司会者が口にした女性の名前は「Cleo Laine DBE」。
「DBE」は「Dame Commander of the Order of the British Empire」の略。
いわゆる「デイム」。
すなわち男性の「ナイト(Knight)」に相当する女性への敬称だからかなり地位の高い人。
イヤイヤ、そんなことよりも、私にとってはイギリスの大御所ジャズ・シンガーの「クレオ・レーン」なのだ!Img_5837私も詳しいワケではないが、シェイクスピアの言葉を題材にしたアルバム『Shakespeare and All That Jazz』というアルバムや…008a0003メル・トーメと共演したコンコルド盤『Nothing Without You』なんてアルバムを聴いていたのでこの時はビックリしたね。008a0002そのクレオ・レーンが24日に94歳で亡くなった。
ちょうどその日、上に書いたように資料を作成するためにこのあたりの写真を目にしていたので本当に驚いた。
Img_5835_21927年(昭和2年)の生まれでジムの6歳年下。
周囲の人にジムとはどういう関係なのかとこの時尋ねたところ、「幼友達らしいよ」という答えが返って来た。
確かにスピーチではそんな昔話をしていた。
 
デイム・クレオ・レーン…
イギリスの大ジャズ歌手のご逝去を心より悼み謹んでお悔やみ申し上げます
Img_5836会の詳しいレポートはコチラ⇒ジム・マーシャルの生涯を祝う会Img_5851 

200_3 (敬称略 2012年5月27日 Bletchley Wilton Hallにて撮影)