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2017年4月 5日 (水)

THE CLASSY ROCK GIG / Koki Tetragon <後編>

休憩の間も広規さんはステージに居座って「クリスマス・イブ」のベース弾き語りを披露するというサービスぶり!
「本物だ~!」とお客さんは大喜び。歌はさておいて、ベースは本物!
ところで、<後編>になってからでナンですが、このギグに「THE CLASSY GIG」というタイトルがつけられた経緯は…CDのライナー・ノーツをご参照あれ!

20_3さて、「固い、固い」と言っていた第一部もアッという間に終了し、Koki Tetragonの「THE CLASSY ROCK GIG」も第二部に突入する。

30窪田晴男

40v_2松川純一郎

50v_3岡井大二

60v_3伊藤広規

70v_3第二部のオープニングは「Red Baron」。
Jeff Beckが取り上げてからというもの「Stratus(ストラトゥス)」が一種のスタンダードになっちゃったね。
下手すると「Stratus」がJeff Beckの曲だと思っている人もいるようだけど、違うからね。
この「Red Baron」も「Stratus」もBilly Cobhamの『Spectrum』収録のナンバーだ。
オリジナルのギターはTommy Bolin。
ベースはLealand Sklar。
LeeってNAMMへ行くと毎日会場をウロウロしていて、やたらと見かけるんだよね。あの猛烈なヒゲなもんだからすごく目立つ。
『Spectrum』のドラムスって誰だっけ?…ってBilly Cobhamか!

Img_0341最近Billy Cobhamの『The Art of Three』というピアノ・トリオ・アルバムを聴いたんだけど、これが存外にヨカッタ。
ナゼかというとピアノがKenny Barronなのね。好きなピアニストなのだ。
ベースはRon Carter。
Billy Cobhamも実にいいんだけど、ドラム・ソロになるとあの調子なもんだからズルっと来ちゃう。でも、それが彼のスタイルだからね。
「Red Baron」と「Kenny Barron」を引っ掛けてみた。
あ、イカン、今日は脱線しないつもりだったんだ!

171bu3miul_sl1500_松川さんと話したんだけど、もう猫も杓子もの「Stratus」はチトご勘弁…ということで「Red Baron」を選んだそうだ。
「Burn」、「Spain」は私の「家では聴かない曲」の東西の横綱。それに引っ張られてロドリーゴの「アランフェス協奏曲」も第一楽章しか聴かない。こうなると第一楽章の方が断然カッコいい。
そんな「Red Baron」を艶っぽく弾く松川さんの相棒は…

90_2Marshall ASTORIA CUSTOM。

100_3窪田さんの後ろにおいてある緑のASTORIA CLASSICとセットで「抹茶とあずき」って言ってた人がいたけど、うまいこと言うな~。

80_rb

「Stratus」のいつ終わるかもわからない、果てしなく延々と続く単調なベース・ラインから逃れた広規さん。
自在に曲の中を泳ぐ。やっぱり「Red Baron」で正解。
この曲はアルバムに収録されていないので、お聴きになりたい方は初回盤特典で音源をゲットするべし!
130_2
窪田さんのスペイシーなソロがスリリング!

120_2ここでも重量感に満ちた円熟のドラミングを聴かせてくれる大二さん。

140_3大二さんのドラム・キットはNATALのメイプル。

150_3スネア・ドラムはNATALの人気商品Staveシリーズのアッシュだ。Staveとは「桶」という意味。

160v_2続いてはそのTommy Bolinの「Teaser」。

170v_ts早逝した天才アメリカ人ギタリストの人気アルバムのタイトル曲。
若い頃、『Come Taste the Band』を聴いて、Ritchie Blackmore在籍時との変わりように「Tommy BolinがDeep Purpleをおかしくした」とTommyをウラんでいるヤツがいたけど、そんなバカな…。
それに『Come Tastes the Band』ってすごくいいアルバムだと思うんですけど。

180vKoki Tetragonバージョンはオリジナルよりチョイとハードな演奏。
その気風の良さが買われてのことか、アルバムのオープナーに選ばれている。

190v_2広規さんのMC。
「固さもチョットはチョットほぐれた感じがあるね…」
お客さん拍手←なんで?
「レコーディングしていることをスッカリ忘れてました。忘れちゃうぐらいじゃないとダメだよね。そうじゃないとチャンと弾こうとしちゃう危ない自分がヤバいよね。」
え~ッ?
窪田さん、「広規さんはどれだけマジメにならないかということで今までの人生やって来られたんですよね?」
広規さん「(即答で!)そうなの!どうでもいい気持と的確なプレイがいいものを生むんですよ。ところが、『どうでもいい気持』ってのがまた難しいんですよ」
…と、何だかわかるような、わかんないような…。含蓄があるような、ないような…。

270v_2

大二さん、それを聞いて後ろで大爆笑!大二さんもそうなんでしょう?
そこかしこに挟まれた脱力系MCがまた最高に面白かった。
「みんなノッてるか~?」なんて絶対やらないから。
せいぜい「みなさんのアルコール血中濃度の方は上がってますか?(窪田さん)」ぐらい。
でも、広規さんも大二さんも、演奏中は全身全霊を自分の出す音に傾けていることはよ~くわかっていますから!

275v
お次はそれこそJeff Beck。
JeffとTony Hymasの共作で「Brush with the Blues」。
これもCDには収録されなかった一曲。

230_bb

演奏の直前、「あ、ゴメン!晴男ちゃんにこの曲のコードを書くの忘れてた!」と松川さんの告白が!
それを聞いた広規さん、「じゃ、演ろう!」

1img_0702_2 ま、何ら問題なく演っちゃいましたが…。
今度はジミヘンで「The Wind Cries Mary」。

200_wcmこの曲はCDをお聴き頂ければおわかりのように、ほとんどオリジナル通りの演奏となった。

210ジミヘン・スタンダードの中ではどちらかと言えば地味な部類に入るが、そういえば、この曲をガツンとアレンジして演っている人って見たことがないな。
Gil Evansも取り上げていないし。
小品ながら完成度が高いということなのだろう。

220v_2いくら音楽の化学反応を期待する偶発性の高いギグとはいえ、基本的な曲順はキマっていた。
しかし、次の場面は違った。
松川さんが「どうしようかな…『ウエイト』しようか?」と言ってダンベルでも持ち出すのかと思ったら(ウソ、ホントは思いませんよ)、The Bandの「The Weight」をプレイ。

240v_wtいくら人気のある有名曲とはいえ、一番の聴かせどころのコーラスまでバッチリなのには驚いた。
残念ながらCDには収録されなかったが、第一部の「The Joker」に呼応したかのような第二部のいいアクセントになった。

250_3そういえば、こんなシーンも…。

130_ld_jc「え、コレな~に? ’D'なの?」…とその場でコードを確認。
広規さんのバンドなのにゼンゼン曲が頭に入っていない!
で、笑っちゃったのは譜面のこと。
松川さんの「もったいないから五線紙は使わないで広告のウラにサインペンでコードを書いている」という話。
こういう皆さんはセッションの時、コード進行とキメだけを書いた簡易な譜面を使っているのね。
曲を知っているので、そういう譜面はほぼ備忘録のような役割にすぎない。
で、広規さん、「だいたい、オタマジャクシが書いてあっても読めないからね(←コレはご謙遜でしょう)。
だってさ~、ヘ音の譜面なんて’ラ’が’ド’だなんて信じられる~?オレなんか「毎回(ラのところから)ドレミファソラシドって勘定しているんだから!幅で読んでるのよ、幅で。」
これには大爆笑。
そうなんだよね。ま、しくみと気持ちはわかるけど、あのヘ音記号の譜面ってのは、ト音の楽器をやっている人には実に煩わしいんだよね。
私もハコバンをやっていた時にずいぶんベースの譜面を書いたんだけど、初めのうちは、知らない間に途中からト音で記譜しちゃたりして。
でも、他に「ハ音記号」ってのがあって、ヴィオラが使うことは知っていたんだけど、コレは「ソプラノ記号」とか「アルト記号」とかそのパートによって基音となる「ド」の場所が移動させて使うんだってね~。
そんなの意味があるのかと疑問に思うが、記譜する方も読譜する方も慣れると使いやすいんだろうね。
反対にサックスの連中がフルートの譜面を読むのがすごく面倒だ…というのもわかる。
でも、「幅で読む」というのは本当らしいね。
マァ、とにかく広規さんほどの大音楽家がそんなことを言うもんだからひとり吹き出しちゃったよ!

140_2 先ごろ亡くなったLeon Russellが好きだという松川さん。
何かLeonの曲を演ろうと思って取り上げたのが「I Got the Same Old Blues」。
それで、よくよく調べてみたらJ. J. Caleの曲だったという。

280v_sob
9小節のブルース。
Lynard SkynardやBryan Ferryもカバーしている不思議な曲。そんな半端な小節数がまったく気にならない。
Lynardの演奏はまるで自分たちの曲であるかのようにメッチャかっこよく演ってる。
Koki Tetragonの演奏はナチュラル。
ココにこなければ生涯知ることのなかった曲。
そういう曲に出会うのもこういうギグの大きな楽しみのひとつだ。

320

ギグもいよいよ佳境。
コレもこのメンバーなら出るべくして出たといってもおかしくはないであろうJoe Walshのスタンダード、「Rocky Montain Way」。

330_2「Teaser」が終わった時、「Tommy Bolinできたから今日はもういいや!」なんてご満悦な松川さんだったけど、この曲って何となくすごく松川さんっぽいイメージがあるんだけどいかがなもんだろう?
ASTORIA CUSTOMのハードな部分がすごくうまく活かされたギター・サウンド!

340vザッコザッコと快適なビートに乗って皆さん気持ちよさそうだ!

350vやっぱりこうした3連の曲にリズム名人の至芸が現れますな。

360v大二さん、今日も終始ニコニコとゴキゲンのドラミング!

370v最後を締めくくったのは、Bob Dylanのバラード、「To Make You Feel My Love」。
Billy JoelとAdelにカバーされたラッキーな曲だ。
そうそう、浅草博徒一代のDylanもとうとうノーベル賞を受け取ったんだってね。
(浅草博徒一代とボブ・ディランの関係が気になる方はShige Blogをどうぞ)

390vシットリと締めくくった本編。
それに続くアンコールも味わい深いバラードだった。
Princeの「Purple Rain」。
分厚いコーラスもすこぶる素敵だったが、延々とリフレインされる二本のギターのフレーズが最高に感動的だった。

400しかし、アメリカだったね。
今日のブリティッシュ勢の要素といえば、元はアメリカとはいえEric Claptonアレンジの「Steady Rollin' Man」、最初にロンドンでブレイクしたJimi Hendrixの「The Wind Cries Mary」、後はAdelぐらいか…これとてDylanのカバー。
イギリス人が作った曲はゼロだった!
イザとなるとアメリカ勢はやっぱり強いか…。
今度はThe Kinks、The Who、Dave Clark Fiveあたりの60年代の名曲を特集したTHE CLASSY ROCK GIGもいいな。ね~、大二さん!
最後はワザワザ熊本から駆けつけてくれた広規さんファンも交えて会場に残ったお客さんと記念撮影。
お疲れさまでした~!

410さて、<中編>、<後編>と二回にわたってお送りした「THE CLASSY ROCk GIG at Yokohama STORMY MONDAY」。
その様子を具にとらえたCDとDVDは本日正式発売です!

420で、ココで<前編>に戻ってアイテムをチェック!

1dvd広規さん、改めまして40周年おめでとうございます!

80_5

せっかくの機会なのでMarshall BlogとShige Blogの過去の広規さん関連の記事のリンクをココに記しておきますので未読の方はゼヒ!
  

★Shige Blog 2012年5月1日初出
名盤誕生!伊藤広規ライブ・アルバム『Relaxin' at IWAKI ALIOS』 

★Marshall Blog 2012年12月5日
ミート・ザ・リズム・セクション~A*I(青山純&伊藤広規)登場!

★Shige Blog 2012年12月5日初出
青山純&伊藤広規『A*I』のライナー・ノーツと撮影

★Marshall Blog 2013年10月30日
本日発売の伊藤広規ニュー・アルバム、そしてチャリティ・コンサート

 

<広規さんとのイギリス珍道中はコチラ>
★Shige Blog 2012年8月23日初出
Relaxin' in London 伊藤広規、ロンドンを往く 1 <マーシャルとアビィ・ロード>

★Shige Blog2012年8月24日 初出
Relaxin' in London 伊藤広規、ロンドンを往く 2 <いつでもどこでもリラキシン!>

★Shige Blog2012年8月31日 初出
Relaxin' in London 伊藤広規、ロンドンを往く 3 <ウォータールー・ブリッジにて>


★Shige Blog2012年9月11日 初出
Relaxin' in London 伊藤広規、ロンドンを往く 4 <バトラーズ・ワーフでシェー!>

   
1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

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★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
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詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2017年1月30日 関内LIVE CAFE STORMY MONDAYにて撮影)