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2025年8月 4日 (月)

Damian Hamada's Creatures~FANTASTIK METAL TOUR<前編>

 
去る6月に開催されたDamian Hamada's Creaturesの『FANTASTIK METAL TOUR』。
全旅程で「3ヶ所3公演」というコンパクトな企画ではあったものの、もちろん中身は豪華絢爛。
たくさんのD.H.C.ファンを大いに楽しませるツアーとなった。
今回と次回のMarshall Blogはその千秋楽の東京公演のもようをお送りする。
実は今次の記事の冒頭には「陛下」という言葉について書こうと思い、公演当日、浜田陛下ご自身に「こんなことを書いてもよろしいですか?」と上奏し、勅許を奉戴したのだが、不敬ながら予定を勝手に変更して、それは次回以降の機会で取り扱わせて頂くことにした。
理由は<後編>の最後で開陳することにして、代りに「FANTASTIC」について少し書かせてもらいましょう。
まず、今回のツアータイトルはThe Kinksが昔得意としていたように語尾の「c」を「k」に替えているのがうれしい。
私はThe Kinksが大好きで、ロンドンのはずれのマズウェル・ヒルというところにあるThe Kinksの創始者の生家を訪れたことがあるほどなのだ。
10vさて、話は飲み物の「ファンタ(Fanta)」に変わる。
「ファンタ」…もちろんこの商品名は英語の「fantastic」から来ていると思うでしょう?
思っているでしょッ?
イヤイヤ、違うんですよ。
この「Fanta」は英単語の「Fantastic」からではなく、ドイツ語の「Fantasie(想像力)」の「Fanta」なのだそうだ。
第二次世界大戦が始まってアメリカからコカ・コーラの原液を輸入できなくなってしまったドイツのコカ・コーラの現地法人が、地元でコーラの代替品として作ったオリジナルの炭酸飲料が「Fanta」だったのだそうです。
戦争が終わり大分時間が経った1960年にアメリカの宗家のコカ・コーラが「Fanta」の商標を買い取った。
そして、国内で高いシェアを誇る「7UP」を駆逐すべく、ファンタのレモン味を「スプライト」という商品名に替えて対抗した。
私はアルコール類以外の炭酸飲料は年に1、2回ぐらいしか飲まないけど、こういう歴史話はファンタスティックですねぇ。
そういえば、昔、グレープ味に使われている合成着色料が大きな問題になって、「ゴールデン・グレープ」という琥珀色の商品に差し替えたことがあった。
アレもいつの間にか目にすることがなくなって、また紫色のファンタ・グレープに戻った。
「チクロ」だとか、「PCB」だとか、もはや懐かしい。
我々の食は今とあの頃とどちらの方が安全なのだろうか…。

Fa12

さて、今回の東京公演の会場は渋谷の「WWW」の斜め上の「WWWX」…コレは読むのが大変ですよ。
もはやライブハウスの「寿限無」と言ってよかろう。
ゴージャスな呪い花が華やかにロビーを彩った。20人気のオリジナル・グッズに…30大聖典がズラ~リ。40そして「魔界ガチャグッズ」が入っているガチャガチャ。
ひとり6回まで。もっとガチャガチャしたい人は再度列に並んでね。
「魔界ガチャ」略して「マッチャ」?
今、世界的に「抹茶」の人気が凄まじくて、お茶農家が抹茶用の茶葉しか栽培しなくなってきており、我々は早晩普通の煎茶を飲むことができなくなってしまう、あるいは煎茶の値段が激しく高騰してしまう恐れがあるとか…。
過ぎたるは及ばざるが如し…「インバウンド」もいいけれど本当にナントカしてもらいたいもんですな。50開演の15分前、上演中の注意事項がアナウンスされて、しばらくすると雨男と雨女の会話が始まった…
シエルちゃんとアックスだ。
今日の公演にいかに気合が入っているかを2人で語り、いつのもD.H.C.コールが始まった。
アックスが掛け声を発する。
「みんなツアー・ファイナルいけるかい!
1番デカい『D.H.C.コール』を聞かせて欲しいぜい!カモン!」
D.H.C.!D.H.C.!D.H.C.!…60客電が落ちてステージにDamian Hamada's Creaturesの姿が浮かび上がる。
イヤ~、コレはまたスゴイ歓声!70そして、ショウがスタートした!
1曲目は「魔城の翼」。
80ダミアン浜田陛下90vシエル伊舎堂12RENOファウスト100アックスKAZUMA(以下「カズマくん」)110vリリス一ノ瀬008a0725 KAZAMIクロウリー130爽快に疾駆するメタル・チューンとシエルちゃんの猛烈なアオリで客席は一気に沸点に達する。135陛下のソロが炸裂!140v陛下は今日もMarshall。
「DSL100H」と「1960A」を使用した。150vそのまま続けてギター・アンサンブルの哀愁のメロディが曲を導く「Running Like a Tiger」。
240v『山月記』の「李徴(りちょう)」よろしく左手を虎に変えて熱唱するシエルちゃん。
190リリスちゃんの絶妙なコーラスがボーカル・パートを分厚くする。
230v陛下とイキの合ったプレイを見せるカズマくん。195さらに、Marshallで鳴らすソロもバッチリとキマった!160v_rltカズマくんのMarshallはいつもの愛用のヤツ。
ラック・アンプにキャビネットは「1960BV」。170vラックの中身は、プリ・アンプが「JMP-1」、パワー・アンプが「9200」。
Marshallはもう両方とも生産をしていない。
カズマくんもこのパワーアンプを手に入れるのに苦労した。
そこで生きてくるのが「いつまでもあると思うな親とMarshall」という格言であ~る。180冒頭2曲、コレだけでこんなに盛り上がってしまって、この先一体どうすんの?という盛り上がりよう。
こういうのを余計なお世話というのであろうが…。
D.H.C.のステージは今日も最高に楽しくなりそうだ!185「会場の諸君、そして今宵ニコ生を観ている諸君…私だ。
存在そのものがFANTASTIKだ!
魔王ダミアン浜田である。
『FANTASTIK METAL TOUR』の千秋楽、盛り上がっておるか東京ッ!
楽しんでおるか東京ッ!」
ものスゴイ歓声!
「イヤイヤ、始まったばっかりなのにもう千秋楽って一体どういうことなの~?…って思っておる者もいるんじゃないのかぁ?
そうだろう、そうだろう…実は私もそう思っている。
まぁ…仕方ない!決まってしまったものはしょうがない」
260v「ところで1曲目からの魔王登場でビビった者もいるんじゃないのか?
まぁ、東京は2回目だからな。
大阪と名古屋ではコレをやってないので今回のツアーでゼヒ披露しておこうと思ってやってみた!
だがしかし、次はいつやるかわからない。やらないかも…」
客席から「エエエエ~!」と悲嘆に暮れる声が上がる、が…。
「こういう反応だったらまたやってもいいかもしれない。
そして、2曲目の「Running Like a Tiger」は4年前に初めてD.H.C.がライブを行った時に私が初めて観客の前で演奏した思い出の曲だ。
あの時は、ほとんど無理強いされたような感じだった。
だが、あの時の荒療治が効いて今はこんなにもイキイキとギターを弾いている。
おめでタイガー、ありがタイガー…Runing Like a Tiger!」270v「ところで『FANTASTIK METAL』は、ダミアン曲の4大要素の1つであるけれども、この『FANTASTIK』の意味は2つある。
1つは『大変すばらしい様』、そしてもう1つは『幻想的、あるいはで空想的である様』である。
今回のツアーではこの2つをハイレベルで両立しようと心がけて来た~!
そして今、それを実現しようとしているところだ」
280そのためには、諸君の熱いエネルギーが必要だ。
熱いエネルギーを大量に放出する覚悟は出来ているのかッ!
『イヤイヤ…もう1曲目と2曲目でエネルギーを全部使い果たしてしまいましたぜダンナ』…っていう人、そういう子はいねぇかぁ?
いねぇな?よろしい!
今回のツアーは『FANTASTIK』をテーマにやってきたワケだが、悪魔にとって『最もFANTASTIKなこと』とは、神が掟を破り、罪を犯すことではないであろうか…」
290v陛下がステージを離れて「天空の放浪神」。300_thシエルちゃんが強力なアオリを入れて大熱唱!310vステージ前方に歩み出て来たリリスちゃんがブチかます豪快な低音が猛烈なドライブ感を加速させる!320vココでも2人のコーラスが曲をゴージャスに練り上げる。
340美しいアンサンブル、迫力のソロと、ギター・チームの魅力がこの曲でも大爆発した。330v曲は続く。
不気味な低音が流れる中、RENOさんがシャープなリフを奏でる。350_gmミディアム・ファストのヘヴィなリズムにシエルちゃんが不吉なメロディを乗せるリフ・ナンバー「G戦場のマリア」。360カズマくんのソロからギター・アンサンブルへとつながるパートがとてもスリリング。
曲の締めくくりのカットアウトもとても印象的だ。530vまだまだ曲が続く。
今度は「Crimson Earth」だ!380_ce「♪口を開けた大地に毒を流し込んで殺す」
強烈というか「凶烈」というか、スゴイ歌詞が耳に飛び込んで来る。
「♪人間こそ悪魔だ」
もし、我々が江戸時代の暮らしに戻ることができれば、地球はアッという間に健康になる…という話を聞いたことがある。
390コワい内容にドヘヴィな演奏。
全員が一丸となった演奏が最高にカッコいい!
RENOさんのバッチリと曲調に合わせたソロもとても素晴らしかった。400もう1曲「審判の日」を続けてこのセクションを締めくくった。
410_sh要するにこのセクションは最新大聖典『最後の審判』の曲で固めたというワケ。
430魅惑のツイン・リード大爆発!440全身の力を振り絞って審判を下すシエルちゃん。
スゴイ迫力だ!
420アッパレな演奏に送られた盛大な歓声を浴びる改臟人間たち!450ココでトーク。
「盛り上がってるか、東京!
アックスがしゃべるぞ~!…そんなに期待するなぁ!
『FANTASTK METAL TOUR』の千秋楽へお越しくださいましてありがとうございます。
今日のこの会場の『渋谷WWWX』って意味をご存知ですか?
小耳に挟んだんですが、『X』には無限っていう意味があるじゃないですか。
だから、『WWWX』は『悪い、悪い、悪い、無限』…多分違うと思うんだけど、今日はそういうテイでいこうじゃないかと!
さて、ココにいらっしゃる皆さんはご存じだとは思いますが、来る11月2日、長崎ハピネスアリーナにて『地球魔界化計画 第Ⅱ章』が決定しました。
Damian Hamada’s Creaturesでドッカンドッカンやっちゃおうと思ので楽しみに待っててください!」
ナニ? な、長崎?
460v「ココでひとつ…Axe KAZUMAから個人的な告知をさせてもらってもいいですか?
SNSなんかでチョコチョコ言っているんですが、ボクはトラックのマニアなんですよ。
トラックとかデコトラが大好きなんです。
もちろん聖飢魔Ⅱの機材車も写真をいっぱい撮っているんです。
それで、皆さんコレご存知ですか?
『カミオン』というトラックの雑誌…知らない?
遅れてるぅ~。
ボクのトラックへの熱い愛がこの雑誌の編集部に伝わりましてAxe KAZUMAの連載コラムが決定しました!」
470v「ありがとう!みんな、夢は叶うぜ!
ナニを書くかと言うと、まずAxe KAZUMAって誰やねん?っていうことを説明をして、物心ついた時から好きだったトラックへの愛をひたすら書かせて頂こうかと。
そして、D.H.C.は11月までライブがないのでその間に大型貨物の免許を取って、長崎へはボクが運転して機材を運ぼうかと…。
とにかく『Axeがコラムを始めたら発行部数下がった』って言われたくないので、皆さん、ゼヒともチェックのほどよろしくお願いします!」
以前もMCで語っていたが、カズマくんのトラックへの愛情は空よりも高く、海よりも深く、何らかの理由でギターを弾くことがなくなったら即座にトラック運転手に転職する…と改臟される前から私に時折言っていたからね。
ところで「カミオン」ってナンだろう?と思って調べてみると、「camion」はラテン語で「トラック」とか「貨物車」という意味があるのだそうだ。
1984年に創刊したこのトラックの雑誌の名前の出自がまさかラテン語だとは「一番星桃次郎」も「やもめのジョナサン」も気が付くまい。
カズマくんもいつかはオリンピックの開会式でデコトラとの共演を目指すべし!
480コレは脱線。
水天宮前に「来々軒」というマンガに出て来そうな町中華がある。
この店の料理は他の店には決して味わうことができないであろうホンの少し変わったレシピが売り物で、間に長いブランクを経てはいるものの、私はもう30年近く通っている。
先週行った時、規格外に分厚いデコトラが表紙の写真集が店の奥に飾ってあるのが目に入った。
カズマくんの「カミオン」の話がなければ、絶対に気にしないシロモノだし、事実ズッ~ト目に入らないでいた。
そこで手に取ってその写真集を見てみると、目を疑うような豪奢に飾り立てたトラックの数々がゾロゾロと出て来てコレが存外にオモシロイ。
少し変わった写真の構図に撮った人の大きなこだわりを感じる。
マスターにナンでこんなものがココに置いてあるのかと尋ねると、その写真を撮った人もお店の長年の常連さんなのだそうだ。
「秦淳司」さんとおっしゃるフォトグラファー。
何しろ15年にわたって撮り続けたデコトラたちの写真なのだそうだ。
夢中になって写真集のページを繰っていたら、アッと言う間に大好きな「ニラ肉そば」が出来上がった。7_deko シエルちゃんが「D.H.C.は夢をかなえるバンド」という言葉をはさんで来年のツアーの告知をした。
そのツアーのタイトルは『Damian Hamada’s Creatures #NeoApocalypseTour』。
「ネオ・アポカリプス・ツアー…イエーイ!言えた、言えた!
も~、楽屋でみんながあることないこと言うんですよ!
『ネオ・ポカリスエット』とか、違うこと言っちゃったらどうしようかと思ってドキドキだった!
ホントに覚えるのに必死でした」
と、「アポカリプス」という言葉でひと盛り上がり。
そうか…若い人にはムズカシイのか。
1980年、私が高校3年生の時にコッポラの『地獄の黙示録(Apocalypse Now)』が封切られて、我々の世代は「apocalypse」という英単語が比較的おなじみなのではないかしらん?
私も「テアトル東京」へ観にったものの、映画はよくわからなかったナ。
「カーツ大佐」ね。
マーロン・ブランド―にロバート・デュヴァルにマーチン・シーンと、まだアメリカにもいい役者たくさんいた時代の作品。
それと、あの映画のおかげでワーグナーの「ワルキューレ」が一気に有名になった。
でも「apocalypse」ってナンだ?…当時はインターネットなんてない時代だったからその意味を調べようとしても英和辞典ぐらいしか調べる手立てがない。
で、さっそく辞書を参照してみると「黙示」とか「ヨハネの黙示録」と出ていて、宗教色が濃い言葉ということ以外ナンのことやらサッパリわからない。
その次に「この世の終りの日」という訳があって、コレのことかいな?と強引に自分たちを合点させた高校時代がなつかしい。
今となってはこっちの髪の毛がすっかりカーツ大佐である。490v深遠なクワイアのイントロから情熱的なギター・プレイへと続くのは「Tears in the Rainbow」。
540シエルちゃんが雨の日に思い出してよく口ずさむという1曲。
「いつか降る雨がここにいる皆さまの苦しいこと、悲しいことを洗い流してくれますように」という言葉を添えて文字通りシットリと澄んだ歌声を響かせた。520カズマくんがタップリと感情を込めたソロも際立っていた。
370v「今年の11月25日に我々D.H.C.は5周年を迎えることになりました。
もう5周年かぁ~という気持ちと、まだまだ5周年なんだっていう両方の気持ちがすごくあって、11月25日を迎えるにあたって私はどういう気持ちでいればいいんだろう?と悩んだ結果、デビューの時のことを振り返ってみました。
あの頃思い描いていたのはどういう『D.H.C.の5周年』だったんだろう?って。
その後、思ってもみなかったことが起こりました。
思ってもみない方々とライブが出来て、色々な場所でライブが出来て、こんなにたくさんの方に観に来て頂けて…予想していた以上のことができていました。
でも、個人的にもバンドとしても、この曲の歌詞みたいに天高く舞えていないんです。
まだまだどんどん突き抜けていかなければならない雲は本当にいっぱいあるので、だからこそ今年の11月、私は『D.H.C.まだまだ5周年だよ』という気持ちでステージに立っていたいと思います。
これから歌う曲では、いつも応援してくれてありがとう、みんなと一緒にこれからも頑張っていくからね、応援してね!と…いう言葉を私から皆さんに投げかけてきたんですが、このツアーは違う気持ちで歌いたいと思っています。
まだまだ空が見えない雲がたくさんあります。
でも必ず、絶対に…天を見渡せるくらい高いところまで私たちがみんなを連れて行くから離さないでください」540vKAZAMIさんのピアノとシエルちゃんの歌で始まる「Black Swan」。
この2人の演奏が始まった途端に何の曲かがわかる人が多い。
D.H.C.はそうなるようにずっと大切に演奏し、そしてこの曲を歌って来た。
550_bsリリスちゃんのベースがギター・アンサンブルをつなぐパートを経て…560vシエルちゃんがジックリと歌い込む。
MCでは「初めてこの曲を演奏した時、陛下が思っていたようには曲に慣れていなかった…と思っていました。
回を重ねてみんなでこの歌を共有していくことで、今となってはDamian Hamada’s Creaturesの原点、宝物のような曲になった」と語っていた。
本当にその通りD.H.C.のキラー・チューンのひとつだと思う。
580シエルちゃんの「♪高く~!」が歌声を残して前半終了。
 
Damian Hamada's Creaturesの詳しい情報はコチラ⇒Official Website590<後編>につづく
 

200(一部敬称略 2025年6月21日 渋谷WWWXにて撮影)