金属恵比須~後藤マスヒロ還暦記念ライヴ<前編>
先日、FEEL SO BADのドラマー「山口PON昌人」が還暦を迎え、60回目の誕生日当日に記念コンサートを開催した。
それから19日後、今度は金属恵比須がドラマーの「後藤マスヒロ」の還暦をお祝いするコンサートを開いた。
こんな偶然ってあるのかネェ?…だって同じ月に2人のNATALのドラマーが還暦を迎えたんですよ!
お2人の還暦もおめでたいけど、コリャNATALにとっても大いにめでたいわ!コンサートの会場は高円寺の「HIGH」。
初めて金属恵比須のライブにお邪魔して高木さんにお会いしたのがココだった。
2022年4月30日のことだった…アレからもう3年半も経ったのかよッ!
開演前、BGMでマスヒロさんのCDが場内に流れる中、まずはおなじみの高木さんの前説。「本日は『後藤マスヒロ還暦記念コンサート』にお越し頂きありがとうございます」
いつも通り、上演中の注意事項が述べられる。
「自分だけで楽しまないで拡散するなら撮影OK」ってヤツね。
他に配信や物販についての説明があった。「あともう少しで始まりますんで、もうしばしご歓談を…よろしくお願いします」
定刻となり金属恵比須のメンバーがステージに現れた。
おお!いきなりマスヒロさんが背中で「60」のアッピール!そして正面を向いて前見頃を開くと、ダイナマイトじゃない…内側にはスティックがズラリ!
本日の主役、後藤マスヒロのフィルでショウはスタ―ト。
曲はマスヒロさんが2017年に発表したソロ・アルバム『IMITATION』から「That」。
マスヒロさんからこのアルバムを預かった時「ウェザー・リポートみたいなことがしたかったんです」と言葉を添えていらしたが、確かにその手の音楽が好きな人にシックリくるバラエティに富んだ曲が詰まった好盤だ。 高木大地がギターで奏でる民謡っぽいメロディが被さり…
稲益宏美の歌が加わり…
埜咲ロクロウのベースが早速ゴリゴリとうねりを上げる。
オルガンの分厚いサウンドでバンド全体を覆うのは香珀(こはく)。
鮮やかなドラムスのピックアップ・ソロ!
「本日の大主役」のスティックさばきが冴えたる。マスヒロさんはNATAL。
素材はウォルナット。
マスヒロさんは10"、12"、14"、16"、22"とすべて偶数のシェルでキットを組み上げる。一方、高木さんはMarshall。
「1959SLP」と「1960」のフル・スタック。
やっぱりいいね~。
コレが当たり前だった時代はヨカッタなぁ。
「ロック」が本当に「ロック」だった時代だ。 そのMarshallから高木さんが繰り出すおなじみのギター・リフは…
「武田家滅亡」!
「♪武田家!」
「♪滅亡!」
今更なんだけど、この曲はどのパートもバッキングが猛々しくてカッコいいな。
MCで「武田さんに失礼」なんて言っていたけど、武田さんが聞くと実際どう感じるんだろうね。
昔ジャズの連中の間で「『食用ガエル』が自分がそう呼ばれていることを知ったらイヤな気がするだろね」というジョークがあったが、それと同じか?…チガウか。コージー・パウエル的な壮大なドラム・フィル。
マスヒロさん作曲の「う・ら・め・し・や」が続く。香珀さんが奏でる「うらめし」というより「ねこめし」的なピアノが素晴らしい!
ワウワウ・ペダルを効果的に使ったギター・ソロが炸裂!
何度聴いても「♪Yeah Yeah 嫌な予感」、「♪嗚呼 嗚呼 赤い鳥居」のパートがやたらと耳に残る。
この曲はイナマスさんとマスヒロさんの「マス・コミュニケーション」による作品。「今日は後藤マスヒロ60歳の還暦パーチィにお越し頂きありがとうございます!
実は昨日が誕生日だったんですよね。
おめでとうございま~す!」「夕方6時半くらいに生まれたらしい。
同級生はいますか?」
ココでマスヒロさんが客勢調査を実施して客席の年齢層を確認。
「ちゃんと払ってればあと5年で年金もらえるんだぜ!
すみませんね…この身の丈に合わないようなイベントにお集まりいただきまして誠に感謝しております。どうもありがとうございます!」「ドラマー生活35年です。
アマチュアの時代を入れたら40数年ぐらい経ってるんです。
今日はバンドの持ち曲じゃない曲をワリと多めに盛り込んだ構成でお送りいたします。
で、次も『IMITATION』に入っている普段はまず演ることのない曲です。
アルバム・バージョンと丸っきりアレンジを変えてあるんですけど、この曲を作った時の初期のデモテープ3曲入をパッケージにして今日持って来ました」 稲益さんが紹介しているのがその3曲入りCD。
『IMINATION』の元だから『MOTHERS OF IMITATION』だって!
ウマい!プロッグ・ロック・バンドが「ファンク」にチャレンジしたというコンセプトの「White Refrain」。
マスヒロさんの重いファンク・ビート。
そこにロクロウくんが「♪ゴリッ、ゴリッ」とゴキゲンな低音をからませてくる。
テーマを提示するのは高木さんのギター。
コンパクトに仕上げたファンキーめのインスト・ナンバー。
なるほど「いつもの金属恵比須と違う感」を大いに醸し出した。香珀さんがメロディを奏でるバンド・アンサンブルで次の曲がスタート。
やがてステージに姿を現したのは「箱男」。
「♪死ね!死ね!」
箱男が姿を消すと替わりに現れたのが高木さん。
ステージ中央で存分にソロをお見舞いした!
やっぱり真空管アンプが出すギターのサウンドはどんなデジタル機器にも負けん。
「真空管アンプしか勝たん」というヤツだ。「今、チョット思ったんだけど『箱男』のお着換え…普通はオレがやるよね?
それと還暦の祝いとか言いながら『♪死ね、死ね』って失礼じゃない?って思ったんだけど…」
アハハハ!「レインボーマン」だったかな?「死ね死ね団」という悪党のチームがあったね。「ちなみにコノ曲を選んだのは埜咲ロクロウなんで」
「へへへ」
「リハーサルを演っている時にオレが『箱男』を演って、稲益さんにドラムスを叩いてもらおうかなってことを一瞬考えてたんだよね。
でも、ドンドンややこしくなっていって失敗すると思って黙っといた。
稲益さんはきっとドラム叩きたいんだろうなって言うのはいつも思ってる。
今日どっかで叩いてみれば?」「今日?私、下駄だし!あははは!」
次もマスヒロさん作の新しい曲。
題名はまだない。
強くトレモロをかけたギター・リフでスタート。
ミディアム・ファストのストレート・アヘッドなロック・ビート・チューンだ。まだ歌詞がついていないので稲益さんはスキャットで歌のメロディをなぞるに留まった。
歌と高木さんのソロが交互に繰り返されながら曲は一旦締めくくられるが、香珀さんがシンセサイザーで息を吹き返させる。
そしてハードなバンド・アンサンブルが再展開するのだ。
随所に挟み込まれるマスヒロさんのフィルが素晴らしい!
それこそフランク・ザッパ&ザ・マザーズのチェスター・トンプソンみたいでエラくカッコいいのだ。ココでゲストの登場。
那由他計画の「塚田円」。
「60歳になるまでに6.8%の男性が亡くなるんですよね。
なぜか男性が亡くなるんですよね」「3年前に塚田さんが還暦をお迎えになった時、記念の還暦ライブにゲストで参加させて頂いて『ハリガネムシ』を一緒に演りましたよね?
面白かったですね。
塚田さんが完全コピーされててすごくビックリした…CDのまんまでした」さて、そんな塚田さんを交えての1曲では「彼岸過迄」。
ロクロウくんと…
マスヒロさんの鉄壁のコンビネーションがバンドを快適にドライブさせる。
この曲のリード・ボーカルズは高木さん。
気合のこもった絶唱だ。塚田さんはワイルドなオルガンのサウンドで曲をハードに演出する。
「♪彼岸過ぎまで歩き続ける」…
「♪彼岸過ぎまで歩き続ける」
塚田さんがボコーダーで追いかける!
コレが実にいいのよ~。ふくらはぎの下の方にピリリと傷みが走るようなシャープなギター・ソロ。
そして高木さんが塚田さんに接近して2人のハーモニー・パートが始まった!
曲は様々な表情を見せてクライマックスに突入する。
「暑さ寒さも彼岸まで」…ようやく涼しい日を迎えられるようになりましたな。この曲は金属恵比須と塚田さんの共演で昨年発表した『邪神<ライヴ>覚醒』に収録されているのでゼヒ聴いてみてください。
那由他計画の詳しい情報はコチラ⇒Official X
金属恵比須の詳しい情報はコチラ⇒Kinzoku-Yebis Official Web<後編>につづく