Damian Hamada's Creatures~Fantastic Metal Tour<後編>
【お詫び】
<前編>で今回のD.H.C.ツアーのタイトル名を『FANTASTIK METAL TOUR』と綴っておりました。
コレは告知資料にある付着し合った「I」と「C」を私が「K」と見誤ったからです。
キンクス好きが祟った全面的な私のミスであり、慙愧に耐えません。
かかる<前編>の箇所をすべて『Fantastic Metal Tour』の表記に訂正したうえ、ここに謹んでお詫び申し上げます。さて、「Black Swan」の熱演が終わると『Fantastic Metal Tour』の千秋楽も後半に入り、D.H.C.のコンサート名物、改臟人間たちが腕前を競うソロ演奏のコーナーに突入する。
まずは客席とのコール&レスポンスを交えたKAZAMIさんの華麗極まるドラム・ソロから。KAZAMIさんがパワフルなロック・ビートを叩き出すとリリスちゃんの出番!
トラディショナルなスタイルでリリス・フレーズをガンガン繰り出してくる!
耳に手を当てて客席からの歓声を独り占め!
そして2人のリズム隊の演奏に乗ってカズマくんが思う存分にシュレッディング!
カズマくんもお客さんとコール&レスポンス。
何しろノリの良いお客さんも「Fantastic」なのだ!流麗なテクニックもさることながら、真空管駆動のアンプが押し出す図太くコシの強いカズマくんのギター・サウンドはやはり大きな魅力だ。
カズマくん自慢の真空管アンプがコレ。
Marshallの「JMP-1」プリアンプと「9200」パワーアンプ。
それを「1960BV」というスピーカー・キャビネットにつないで使っている。続いてはRENOさん。
フィードバック、開放弦、ワーミーバー、タッピングと、多彩なテクニックをテンコ盛りにしてRENOさんだけがなし得るギター空間を創造して見せてくれた。最後はシエルちゃんのお出ましだ!
「次は会場の皆さんの番でございます。
一緒にお腹の底から声出してイケますか!」
やることはキマってる…シエルちゃんvs.お客さんの声だし合戦だ!「いくぜッ!
1、2,1、2、渋谷!
コイ!コイ!コイ!コイ!」
スゴイ!
シエルちゃんとお客さんとの死闘はまさに「組んずほぐれつ」のサドン・デス状態!
ホントによく盛り上がるコンサートだ。
しかもキチっと気持ちよく盛り上がるところが大いに好感が持てるところ。アコースティック・ギターの音から一転。
飛び切りハードなサウンドが鳴り響くのは「Lady into Devil」。「♪Lady into devil, Rebirth of evil~」のパートが大変にカッコいい。
今日のシエルちゃんはひと際ハードな歌いっぷりだった。ソロからツイン・リード・パートへ。
ポジションを入れ替わったりしての熱演をくり広げる。 シエルちゃんが『Fantastick Metal Tour』を開催する前から執拗に触れていた「予襲と復讐」の成果を見せる時がやってきた。
もちろん客席は予襲も復讐もバッチグーのようす。
しからばイってみましょう!「天国に棲む悪魔へ」!
前回の『惨月の宴』でも取り上げた陛下がアイドルユニット「悪魔のキッス」に提供した曲。
他の曲とは少々趣を異にした雰囲気。
でもどこまでもハード!
シエルちゃんが振り絞るようにして出す最後の絶叫がすさまじい。「次はラスト・ソングだ!盛り上がれるか!」とアオるシエルちゃんに応える客席からの歓声が一段と大きくなったのはステージ下手から陛下が登場したから。
陛下をお迎えしての本編最後の曲は「666」。
ライブでは今回のツアーでの演奏が筆おろしとなった。
客席から湧き上がる雄叫び…「予襲」バッチリではありませんか?ストレートなロック・ビートにトラディショナルなテイストを盛り込んだ1曲。
コリャ、いいわ~。
D.H.C.の新しいキラー・チューンになること間違いなし!そんな新しい曲を今回も最高の演奏で聴かせてくれた改臟人間たち!
コレにて本編落着!
D.H.C.が舞台から姿を消した途端始まったD.H.C.コール。
きっとすぐに要望に応えてくれるでしょう。
その間にレポート<前編>で発表された『Neo Apocalypse Tour』について。
東京公演は2月1日か…まだ手帳に書けないな…。
そんなに先のことでもアッと言う間に来ちゃうんですよ~…クワバラクワバラ。
またとても楽しみですね~。 さて、すさまじいまでの「D.H.C.コール」の中、ステージに姿を現したのはシエルちゃんとリリスちゃん。
男性陣はお召し替え中だ。
シエルちゃんからツアーの感想を訊かれて…
「アッという間だったね。やっぱり3か所はあっという間過ぎる。
今日新しく発表されましたけど、11月は聖飢魔Ⅱとの『地球魔界化計画 第Ⅱ章』で、その後の来年の1月は『Neo Apocalypse Tour』がありますからまだまだ忙しいよ!
今日配られるそのツアーのフライヤーを見たらわかるんだけど、ファイナルはここの会場だし。
名古屋も先週やってきた『ell. FITZ ALL』というところです。
その時はココをソールドアウトさせたいよ!
もうコイツら『WWWX』じゃチョット狭いな?って思われるぐらいの勢いを今日は見せたいなぁ~と思っていたんですけど、皆さん、どうでしたか?
今日、上ってきた階段にあふれるぐらいの人を呼んで、『コイツラもっとデカいハコでやらせないといけない』と思われるバンドに来年はなりたいです。
そのために今日も全力で弾いたんですが、まだもっと聴きたいって言ってくれるのでまだまだ弾いちゃうよ~!」着替えが終わって次にステージに上がったのはKAZAMIさん。
「ありがとうございます。
一部で話題になった有料の男です…好きな言葉は『残高照会』です。
アッという間にファイナルということで…皆さま、楽しんでいますか?
Fantasticなツアーになりましたか?
(客席から大きな歓声が上がる)
この声が夢に出て来たよ!
このD.H.C.のライブは、『ウワァァァァァ』ってすごい地響きがするんですよね。
コレでツアーが終るなんて寂しいと思ったんですけど、今日新しいツアーが発表になりました。
今から楽しみです。
そして11月には長崎もあります。
チョット遠いですが、皆さんの声が聞こえないと陛下が帰っちゃうよ!
長崎と来年のツアーもよろしくお願いします!
ありがとうございました」続いてカズマくん。
「お前たちのアックスだ!
アックスがこのお立ち台に登るとどうなるか…目線とテンションが高くなるぞ」
ステージの前でしきりに「アックス、アックス、アックス、アックス、アックス、アックス、アックス、アックス、アックス~!」と名前を連呼してくださる女性のファンがいらっしゃる。
ありがたいね~。
「今日はどうもありがとう!
1つ小話をさせてもらうかな。
大阪で初日が終わってホテルに帰って寝るよね。
夢の中でボクだけマジで名古屋公演を終わらせたんですよ。
で、パッと目が覚めたら名古屋の朝で、ボクだけこのツアーで3公演演っていたんですよ!
でもまだまだ演りたいなぁ~。
シーンとしないで…アックスだって滑る時は滑るよ!
本当にどうもありがとう!
しばらくライブが無いのは本当に淋しいけど、その間ボクらは止まってるわけじゃないので。
頑張っていくからね!…まとまらねぇ~なぁ」
その名古屋公演はリリスちゃんが触れた通り「ell. FITS ALL」だった。
チョットこの店名について説明しましょうか?
「ELL」の「平野茂平」さんがフランク・ザッパの大ファンで、昔「なぞなぞ商会」というザッパのコピー・バンドをやっていらした。
で、ザッパの1975年のザッパの作品に『One Size Fits All』というアルバムがあって、そこからお店の名前をつけたんだよ。
私もこのアルバムが超大好きで、この作品こそが旧来型のロックの頂点であり、この後はもう音楽的に新しいモノはナニひとつ出て来ていないと思っているんです。
まさに「無人島に持って行く1枚」。
1981年か1982年、私が大学の時に参加していたバンドが大阪寺田町の「スタジオあひる」というライブハウスでなぞなぞ商会と対バンをしたことがあって、とてもうれしかったのを覚えている。
私はと言えば、もちろんMarshallでギターを弾いたさ(1959と1960AX)。最後を締めくくったのはRENOさん。
他のメンバーと同様に今回のツアーへの感想とお客さんへのお礼を丁重に述べ、11月の長崎公演について触れた。
RENOさんはD.H.C.と聖飢魔Ⅱで出ずっぱりだからね!
こうしてD.H.C.の「帰りの会」が終了したところで陛下登場!早速アンコールの1曲目に取り掛かった!
ココが人気曲のオンパレードでまた見応えも聴き応えもタップリ!まずは「謝肉祭」。
陛下のソロがバッチリとキマった!
陛下もMarshall。
今回使用したのは「DSL100」と「1960A」。陛下を除く男性陣はお揃いのツアーTシャツに召し替えて、ギター・チームは…
とことん最後まで弾き抜く!
アンコールの2曲目は「嵐が丘」。
KAZAMIさんとリリスちゃんの掛け合いから…
ギター・ソロ・バトルへ!
そして『Fantastic Metal Tour』の最後を飾ったのは「Babel」だった!
無事に演奏を終えて愛器をタカダカと上げて歓声を浴びる陛下。
そしてすぐさま陛下の最後のご講話。
「会場の諸君、およびニコ生を観ている諸君。
『Fantastic Metal Tour』千秋楽への参加、大儀であった。
諸君のお陰で大変すばらしいライブになったぞ!礼を申す。
ということで恒例となった『グーでねぎらうコーナー』に入りたいと思う。
このコーナーもグーからバッチグーに進化し、そしてチョベリグへと進化した。
さらにこのツアーでFantasticへ進化した。
Fantasticでねぎらう…というよりも、お互いに称え合おうではないか!」「まずは熱いエネルギーを放出しまくってライブを盛り上げてくれた会場の諸君自身にFantasticで称えたいと思う。
自分にFantatic。
我々はそなたたちの方に向けて、キミ達は自分にFantasticだ。
せ~の!自分にFantastic!」「ケッコウケッコウ!
そしてこのライブ・ツアーを陰で支えてくれた頼りになるスタッフ。
そのスタッフにFantasticを捧げようじゃないか!
スタッフがどこにいるかわからないが…それぞれの方向に感謝のベクトルを向けてスタッフにFantasticでいくぞ!」「ケッコウケッコウ!
そして私が作った難しい曲を汗ダクになりながら演奏してくれた改臟人間にもFantasticを送りたいと思う。
最高のメンバー達に!
せ~の、改臟人間にFantastic!」「それでは私もFantasticで称えてもらってもいいか~?」
「チョット待ったぁ~」
するとシエルちゃんから物言いがついた。
この日は6月21日、そして陛下の御発生日が6月6日ということで万歳六唱でお祝いをすることになった!
バンザ~イ!バンザ~イ!バンザ~イ!…バンザ~イ!バンザ~イ!バンザ~イ!
シエルちゃんの進言通り一番気持ちのよいところで万歳を浴びた陛下。
そうして客席にピックを6枚投げ込み、改臟人間たちをひとりずつ送り出した。「それでは諸君!
またどこかのライブ会場、あるいはイベント会場で会おうではないか!
また会えることを心から楽しみにしとるぞ。
では気を付けて帰り給え。
それでは今宵はこれにてさらばである、である、である、メタル~」終わっちゃった。
あ~、楽しかった~!
Damian Hamada's Creaturesの詳しい情報はコチラ⇒Official Website
★★★オマケ★★★
<前編>の冒頭で今回の記事の内容を変更したと書いた理由について。
その「理由」とは…コレ。
ココから先はD.H.C.にも、ライブのレポート自体にも関係がないので、お時間のない方はココでMarshall Blogを閉じて頂いても大丈夫です。
ご用とお急ぎでない方はもう少しお付き合いください。私はMCでカズマくんが触れたこの豪華なダブル・ヘッドライナーの情報をライブ当日のプレスピットの中で初めて耳にした。
「な、長崎?11月2日?『地球魔界化計画』の『第II章』?」と聞いて少々腰を抜かしそうになった。
ナゼならば私は10月の下旬に長崎を旅行する計画があるからだ!
ナンでもっと早く言ってくれないのよ~。
実は私は長崎が大好きで、これまでに2度ほど訪れている。
今度の10月が3回目。
旅の目的はいわゆる「聖地巡礼」とブログのための取材。
敬愛する作家の「吉村昭」の作品の多くが長崎を舞台にしていて、そこに登場する場所や関連する箇所を実際に訪れて喜んでいるというワケ。
たとえば、下の「吉川英治文学賞」を受賞した先生の代表作のひとつ『ふぉん・しいほるとの娘』。
幕末期にオランダからやって来た医師「フリッツ・フォン・シーボルト(本当はドイツ人)」とその娘で日本初の女性産婦人科医となった「楠本イネ」の物語。
今も残る長崎市内の地名がたくさん出て来る。
私はこの作品がとても好きで、文庫で合計1,300ページに及ぶこの長編を、上巻4回、下巻3回読んで2度の長崎行きに備えた。
ちなみにおイネさんの娘の「高子」さんは『銀河鉄道999』の「メーテル」のモデルとなった女性のひとりとされているよ。ある時、先生が長崎に行く度に訪れていた「長崎県立図書館」の学芸員にそんな「吉村愛」を伝えたところ、「お願いがあります」と先生の直筆原稿を書庫から取り出してきて、「大の吉村先生ファンと見込んでこの直筆原稿の筆跡鑑定をお願いします」と私にその原稿を手渡したのだ。
コレには驚くやら、うれしいやら、恥ずかしいやら。
これまで何度も先生の直筆原稿を拝見していたので、それらとは全く異なる筆跡にその原稿が先生の筆記によるものではないことがすぐに判別できたが、一応写真を撮って東京の「吉村昭文学記念館」の知り合いの学芸員に見せて確認した…なんてことがあった。こんな長崎についての話を書き出すととんでもなく長くなってしまうので、記事本編の内容を変更してこうして巻末に長崎の情報を滑り込ませた次第。
で、コレからナニをしようかというと、コレをご覧の皆さまの中には11月2日に長崎を訪問する方がきっとたくさんいらっしゃることでしょう。
そこで記事の<オマケ>として少しだけ「私的長崎ガイド」をお届けしたいの思うのです。
と言ってもガイドブックに必ず出て来る「グラバー園」とか…「出島」とか…
「平和記念公園」などを案内しても仕方ないので、ごく私的な長崎の見どころの一部をお届けしたい。
まず…「シーボルト」が出来たところで「鳴滝」というチョット町から離れたシーボルトの住まい兼「鳴滝塾」の跡。
シーボルとその奥さんの「お滝さん」や娘のおイネさんが実際にココで暮らしていたことを想像して大いに感動した。すぐ隣には「シーボルト記念館」という施設があるんだけど、ココ、展示アイテムを出し惜しみしてやがるんだよ。
「医学」つながりで言うと、長崎大学の医学部も大変に興味深い。
言ってみれば黒澤明の『赤ひげ』の「保本登(=加山雄三)」が留学に来ていた所ですからね。
シーボルトやその後任のポンぺ、順天堂の創設者のひとりで土方歳三の主治医だった松本良順他を記念するアイテムがキャンパス内にゴロゴロしている。
江戸時代、医学を志す者はみ~んなココに留学していた。
下の写真ではわからないが、この医学部正門の左側の門柱は原爆の爆風で大きく傾いたままになっていて、その威力の大きさに驚かされる。今日は偶然にも80年前に広島に原子爆弾が落とされた日。
長崎の原爆関連の遺構もスゴイ。
もちろん「長崎原爆資料館」は見逃せないが、それ以外の原爆関連のポイントにも注目するべき。
コレは爆風で半分吹っ飛んでしまった「山王神社の一本鳥居」。戦後の大ベストセラーとなった『この子を残して』や『長崎の鐘』を著した「永井隆博士」の終の棲家「如己堂(にょこどう)」。
来日したヘレン・ケラーが何のアポもなく突然ココに現れて永井先生は腰を抜かしたという。
また、『長崎の鐘』が映画化された時には主演を務めた月丘夢路が挨拶に訪れ、先生は月丘さんの美しさに仰天したそうだ。
そりゃそうでしょう、月丘さんなら。
月丘さんは昔、美容整形で患者が希望するルックスの人気ナンバーワンだった。他にも日本で最初の英語の先生となった「ラナルド・マクドナルド」とその弟子でNHKのドラマにもなった(私は見ていません)有名な江戸時代の通訳「森山栄之助」の記念碑なんてのもある。
この2人は吉村先生の『海の祭礼』という小説になっていて、この碑文は先生の執筆。町を歩けば、至る所にそうした記念碑や史跡がゴロゴロしていて、ボ~っと歩いていると大変な損をしてしまう。
そうしたポイントに説明を記した案内板が必ずついているのもうれしい。
たとえばコレは明治の新聞人/政治家の「福地櫻痴」の記念碑。
浅草寺には「山縣有朋」が篆額を入れた櫻痴の顕彰碑が立っていたりする有名な人。
櫻痴の墓は谷中の墓地にある。「平野富二」は日本の近代印刷事業を興した人。
石川島播磨重工業の創設者で、東京で最初の鉄橋である浅草の「吾妻橋」を架けた人でもある。
この碑はごくごく普通の4階建てマンションの入り口付近に立っていて、私がこの写真を撮っていると、配達に来ていた生協のオバちゃんが「これ、有名な人なんですか?」と尋ねて来た。
現地でもそんなもんです。
富二の墓も谷中で墓地の入り口にどデカイ顕彰碑が立てられている。コレなんか「銅座」という飲み屋街の街灯の柱にくっつけられているんですよ。
上で触れたシーボルトの娘の「楠本イネ」の住居跡を示している。
「皓臺寺(こうだいじ)」という山にある楠本家の墓はもちろん、私はこの人の足跡を追って愛媛の宇和島まで行っちゃったからね。
なんたってこの人が「ふぉん・しいほるとの娘」ですからね。
お母さんが「丸山遊郭」で一番の美人ということもあったが、ドイツ人とのハーフなもんだからおイネさんはものスゴイ美人だったらしい。「勝海舟」も勉強に来ていた「海軍伝習所」他の跡。
コレなんかもスゴイ。
辛亥革命を指導した「孫文」とそのパトロンだった「梅屋庄吉」とその奥さんの像。
庄吉は日活の創設者のひとりで元の「香港上海銀行長崎支店」を改装して作った庄吉の博物館もオモシロイ。
『見果てぬ王道』という伝記があるんだけど、それを読むとまさに波乱万丈の人生を送った人であることがわかる。あの有名な坂本龍馬のポートレイトを撮った「上野彦馬」の住居跡なんてのもあるよ。
アレは彦馬ではなく弟子が撮ったらしいけど。
ホントはもっと紹介したいんだけど、コレぐらいで止めておいて…こんな具合に長崎は街全体が歴史の博物館なのです。変わったところでは「病院」の名を冠した万年筆の専門店。
スゴイよ、何本取り揃えているのかは知らないが、店内はすべて万年筆!
実は吉村先生の行きつけの店で先生はこの店でしか商売道具の万年筆を買わなかった。
私も万年筆が好きで1本買って、デヘヘ、一応「お得意さん」になった。
2、3か月前に吉村先生の案件でお店の主人からお手紙を頂戴してうれしかった。
長崎へ行く予定でタマタマ万年筆を買おうとしている人は11月まで待ってゼヒ「マツヤ万年筆病院」をお訪ねください。
皆さんの文字の書き方にピッタリの万年筆をお店の人が選んでくれます。現地の人々もとても親切でやさしいのも長崎の魅力だし、私が子供の頃には都内の大通りを我が物顔で走っていた路面電車が街中を行き交っているのも楽しい。
そしてもうひとつ、長崎のセールス・ポイントはナント言ってもグルメですな。
とにかく魚がおいしい!
それもそのハズ、長崎の漁獲量は日本一なのだとか。
下はその魚市場に隣接している「長崎水産食堂」という朝6時からやっている店の刺身定食。
刺身もさることながら、ついてくるアラ汁が呆れるぐらいにおいしい!「長崎」といえば「ちゃんぽん」と「皿うどん」。
ちなみにグラバー園には「リンガーハット」の店名になっている「ホームリンガー商会」のフレデリック・リンガーの住宅があるよ。
で、私はトンコツものがあまり好きではないので、ちゃんぽんより皿うどんの方がいいかな?
普通、皿うどんといえばチリチリの細い麺がスタンダードに思うけど、長崎には太麺と細麺タイプがあって、味付けがそれぞれ全然違うの。
下は吉村先生に「どうしてこんなにおいしいものが作れるのかわからない」ぐらいのことを言わしめた「福寿」という店の太麺の皿うどん。
おいしかったですよ。先生、ゴメンなさい。
でも、やっぱり皿うどんは細麺かも。
このガイドブックやYouTubeなどでに必ず出て来る長崎駅前の「大八」というお店の皿うどんは本当においしかった!最後。
この店がガイドブックやYouTubeで扱っているのを見たことがない。
私が知る限りただひとつ出て来るのは吉村先生のエッセイの中だけ。
先生が長崎に来ると毎晩寄るというおでんの店「はくしか」。
もうね、落語の「二階ぞめき」みたいに私の自宅にこの店を開店して欲しい。
ココのダシの味の良さといったら想像を絶するよ。
そのダシの風呂に入りたい!
長崎はおでんが盛んでラーメン屋でもガンガン取り扱っていて、透明なヤツ、黒いヤツと種々食べてみたけどこの店は世界が違う。
そのダシで作った雑炊を食べてみな。
東京へ帰りたくなくなっちゃうぐらいおいしいよ。
当然他のどのメニューもバッチリです。…と、かなりポイントを絞ったので、正直思うように書くことができなかったけど、とにかく長崎は魅力的だ。
18世紀のイギリスの文学者のサミュエル・ジョンソンに「ロンドンに飽きた時は人生に飽きた時だ」という有名な言葉があるぐらいで、私もロンドンが世界で一番オモシロイ街だと思っていた。
イヤイヤ、長崎も十分に比肩し得るのではなかろうか?
私なりに考えてみるに、そこには2つの共通点があって、ひとつは「狭い」ということ。
ニューヨークも同じだね。
つまり自分の足や公共の交通機関で行きたいところへ自由に行けるということ。
こんなに狭いエリアにこれほど見どころが詰まっているのは日本では他に京都ぐらいしかないのではなかろうか?
東京なんか広すぎちゃってとても長崎観光のようにはいかないからね。
もうひとつは、住民が街をすごく大切にしているということ。
古いモノを大事にするイギリス人は歴史も大事にしていて、何か歴史的な出来事があった場所には「いつ何が起こったか」を知らせる「プラーク」と呼ばれる銘板を街中に取り付けている。
そしてそれを自分の街の誇りにしている。
長崎の街の至る所にある記念碑や案内板も同じだし、街の人に同じ気概を感じる。
古い町名をなるべく残しているところも素晴らしい。
反対に2つの街で決定的に異なる物は「食べ物」だね。
ロンドンだって何もマズイ物ばかりではなく、チャンとお金を出せばおいしい物を食べることができるが、長崎と比べるワケにはとてもいかないね。
ちゃんぽんと皿うどん以外にも「トルコライス」やら「ミルクセーキ」やら「ハトシ」やら「カステラ」やら「茶碗蒸し」やら名物の食べ物が目白押しだ。
ま、こうした名物には「うまいものなし」というご箴言もあるにはあるが…。
さつま揚げは規格外においしいよ。
それと「若竹丸」というチェーンのすし屋がまたイカしてる。
そのコスパに驚くな!
11月に長崎へいらっしゃる皆さん、どうぞ思う存分楽しんでいらしてください。
あ、最後に…長崎には自転車が走っていません。
私が8日間のウチで自転車を漕いでいる人を見かけたのはたったの2回。
そんなだから自転車屋が1軒しかないらしい。
理由は長崎へ行けばわかります。<おしまい>
(一部敬称略 2025年6月21日 渋谷WWWXにて撮影)