【緊急掲載!!】本日発売の伊藤広規ニュー・アルバム、そしてチャリティ・コンサート
『Water Color』、『ON EARTH/NEBULA』とここのところギタリストの松下誠とのコラボ作品のリリースが続いている伊藤広規。
そして本日、その3作目『FUTURE DAYS』がリリースされた。これにて3部作完結!
さて、自分の音楽活動、山下達郎をはじめとするさまざまな音楽家との活動に並行して広規さんが力を入れているのが東日本大震災のチャリティ活動だ。
『FUTURE DAYS』発売のちょうど前日、つまり10月29日の昨日、シリーズで開催しているチャリティ・コンサートを取材してきた。
冒頭に広規さんからのごあいさつ。
そして、福島県南相馬市から駆けつけてくれた『いちばん星南相馬プロジェクト』というチャリティ団体の星巖理事長からさまざまな被災とその後の状況の説明があった。
テレビでは食品偽装や原発汚染水のニュースなどで毎日ゴッタ返していて、2年半前に被災されたたくさんの方が今でもさまざまな形でご苦労されていることを我々は忘れがちだ。
現地の方の生の声を聞くと、その現状に驚かされる一方だ。こうして普段と何ら変わりのない生活が遅れることに感謝せずにはいられない。
そうした被災者の方々の援助をし続けているのが広規さんのチャリティ・コンサートなのだ。
震災直後はずいぶんとあちこちで盛り上がったチャリティ活動だが、今ではあまりそんな声も聞えなくなった。広規さんはずっ~と続けている。
さて、コンサート。
今日はドラムレス。
ベース、サックス、ピアノというJim Hallもビックリの編成!
テナー・サックスは北海道の広規さんの仲間、小野健吾。
同じくピアノの工藤拓人。拓ちゃん。
達郎さんやいわき等、大きいステージでは必ずMarshall 1992のフルスタックを使う広規さん。
今日のような小ぶりのギグにはさすがにフルスタックは不釣り合いだ。
で、今日はEDENの180W、2×10"のコンボ、EC210が使用された。
このNAMM2013で発表されたコンボ、すでにMarshall BlogではD_DriveのShimataroがデモ演奏で使用してその音質のよさやヌケの良さがズバ抜けて素晴らしかったことをレポートしているが、なるほどやっぱりスゴイ!
Marshall社のエラリー社長がMarshall Blogの1周年を記念するメッセージの中で触れているように、EDENはMarshallの保有するベース・アンプのブランドだ。
実は、今日のバンド・フォーマットがドラムレスと聞いて、正直楽しみにしていた。
ナゼか?
広規さんのお宝グルーヴが裸で味わえるから。裸ったって広規さんが脱ぐワケじゃないよ。脱ぎたがる人は後で登場する。
ベース1本でどれだけバンドをドライブさせるかが楽しみ…ということね。
また、ドラムがいないんだからよせばいいのに、ノッケからゴリゴリのハード・フュージョン・チューン!
ところがコレがスゴイ!
ドラムがいない間隙を全部広規さんが埋めてっちゃう!
演奏だけでなく、小野さんとはゆッる~いMCのコンビネーションもバッチリ!
ついに『Water Color』、『ON EARTH』、『FUTURE DAYS』の3部作を完成させたNEBULAコンビ。
ひとりでカッチリとリズムを背負う広規さん。やはり最高の組み合わせだ。
イヤ、しかしこのコンボ、EC210ってよくできてるな~。このヌケの良さは一体なに?ま、広規さんが弾いていることを大分割り引いても音が良い。
180Wなんでドラムが入ったらチトきついかもしれないが、今日はこれであまりにも十分。
音に芯があって、何よりも音色が深い!
ここからは歌入り。
歌うは浦田Amazing健志。
Tom Waitsの曲やLeon Russellの「Tight Rope」、The Beatlesの「A Day in the Life」などなかなかクセのある選曲がうれしい。
「A Day in the Life」ではポールのベース・ラインを完璧に押さえる広規さん。タマラン!メッチャかっこいい!
しかし、にぎやかで愉快な人だ、浦田さん。自分で「Amazing」と呼ぶ。
でも、本当にAmizingな声と歌いっぷりだと思う。また「Helter Skelter」聴きたい。
浦田さんはポール派なんだな?「A Day in the Life」のポールのパートを成り切り気分で歌っているのがほほえましい。
浦田さんの声で「Oh! Darling」や「Got to Get into my Life」や「I've Gotta Feeling」あたりを聴いてみたいと思う人は私だけでなあるまい。
この「A Day in the Life」、オーケストレーションは40人編成。それをもっと分厚くするために4回ダビングして160人編成のオーケストラにした。とか、最後のピアノの大フェルマータは3台のピアノを4人で同時に弾いて、ハーモニウムを加えて3回ダビングしたとか…。
昔の人は本当に偉大だ。
クリックひとつで何でもできちゃうデジタル・テクノロジーも便利だが、こうした先人が苦労して仕上げた音楽的遺産の前ではナント軽佻浮薄なことか…。ボカロはその一番いい例だろう。
石垣島出身の華菜枝。
済んだ愛らしい声で「なだそうそう」と「ハナミズキ」を熱唱した。
広規さん、譜面ガン見。もっと譜面台を高くすればイイのに!でもおかげで写真が撮りやすいです。
難関をスリ抜けて汗ばんだ広規さん。それを華菜枝がチャリティ・バンダナであおいでいるところ。
そして全員集合。
このバンド、実はすごい。ナニが?って、北海道から石垣島までの人たちを網羅している!温度調節がムズカシイ?!
Young Rascalsの「Groovin'」。
これはもう広規さんの『Relaxin' at IWAKI ALIOS』でおなじみね。
色っぽいソロに、深いバッキングにとスケールの大きなギター・プレイの誠さん。
リハの時、Pat Methenyの「James」、Herbieの「Dolphine Dance」、Joe Hendersonの「Recoda Me」なんかを吹いていた小野さん。「My Foolish Heart」も吹いてな。
次回は広規さんとこれらの曲を本番で演って欲しいな。
どの曲だったか忘れちゃったけど、ものすごいソロがあったっけ。もちろんすべてが素晴らしいプレイの拓ちゃん。
こういうフォーマットではピアニストのプレイが大きなカギを握る。
最終曲、The Band の「The Weight」でコーラスをつける広規さん。
やっぱりすごうベース・プレイだった!
なんで、こう違うんだろうな~。広規さんとかオガンちゃんのベースってのは一度弾き出すと、まるで音を立てて(実際に音は出してるんだけど…)バンドが動き出すよのがわかるような感覚を受ける。
今日もタップリそれを味あわせて頂いた。
さて、さてさて、ここで話題はチト変わる。
今日、2013年10月30日、広規さんと誠さんのコラボ作品の第3作にして最終作の『FUTURE DAYS』が発売された。
2人の他に青山純。Ma*To、マック清水、ゲストで北島健二なども加わった重厚なる一撃。
内容は他2作同様過去に録音されたものだが、何でまた今までオクラに入ってたのと誰もが首をかしげたくなるような仕上がりだ。
『Water Color』、『ON EARTH/NEBULA』同様、今回もライナー・ノーツを書かせていただいた。
これで『Relaxin' at IWAKI ALIOS』、『A*I』に引き続き、連続で5作ライナーを担当させていただいているが、毎回書いていて実に楽しい。
ま、大した文章でないのが申し訳ないが、今まで書き澱んだということがない。聴いてすぐにドバーっと書いて、後は文字を切り詰める作業に時間をかける。実はコレが大変な作業なのだ。
何しろ書きたいことや言いたいことが山ほどあるから。
『Relaxin'』は文字数無制限だったので、1曲ずつ解説して、9,000字ほどブチ込ませて頂いたが、他の諸作は紙幅が限られていたので、もう縮めるのに一苦労!
この『FUTURE DAYS』をお手にされた時、我が拙文にもお目を通して頂ければ光栄至極である。
ジャケットのデザインはやましたみか。みかさんとも『Relaxin'』からずっと一緒にお仕事をさせていただいている。私のヘタな写真を選んで、並べる。つまらん文章をスペースに押し込む。そのご苦労には感謝して余りある。
今回も3作を通して統一した雰囲気の中に一作ずつ内容を主張させているかのようなデザインが素晴らしい。
ノリにノッてる広規さん。益々のご活躍を期待するばかりである。
伊藤広規の詳しい情報はコチラ⇒伊藤広規オフィシャル・ウェブサイト