曾我泰久 LIVE! LIVE! LIVE! ~Summer 2014
みんな楽しみにしているヤッチンの『LIVE! LIVE! LIVE!』。
前回の開催は3月、ヤッチンの芸能生活40周年をお祝いするものだった。
そして、やってきました今回も!シンプルに『LIVE! LIVE! LIVE! 2014~Summer 2014』と銘打った全国5大都市を回るツアー。
その初日にお邪魔して来たのはまだかなり暑い頃…。昨年同様ツアーの初日は横浜だ。
黄金のカルテット。
見て、この写真!メッチャ気に入ってるの。まるで「セーノ!」でポーズを取ったみたいでしょ?
実物がこうだからこう写る。つまりノリノリってことなのさ!
愛用のJMD501。上に乗っているのは後で詳しく。
このJMDシリーズ、惜しまれつつ製造中止になってからすでに数年が経つが、探している人がかなり多い。「JMDどっかに残っていませんか?」とプロのギタリストからよく訊かれるんよ。
みんな無くなってから欲しがるんだから、も~。
先日号外を出したが、MarshallはこのJMDのデジタル・プリアンプを作ったスウェーデンのSoftubeというデジタル・オーディオ会社と技術提携したことを発表した。
もうJMDは製造されることはなかろうが、何やら新しい商品に期待が寄せられそうだ。
ヤッチンとのイキはピッタリ!Marshall同士サウンドもシックリ!
EDEN WT-800とD410XSTのフル・スタック。
「アノね、低音がよく出るベース・アンプっていうのはよくあるんですよ。別に珍しいことじゃない。でもね、このEDENは低音がよく出るだけじゃなくて音の輪郭がものすごくハッキリしているんです。そういうベース・アンプってありそうでなかなかないんです。とにかく弾いていてメチャクチャ気持ちがいい。」
コレ以上の説明は不要だろう。それがEDEN。
ところで、今回はヤッチンのニュー・アルバムの発売を記念してのツアーでもある。
コレがそのニュー・アルバム『SUPER RARE TRAX vol.9』。
滑り出しは快調というより快感!
まるで毎日一緒に演奏しているかのような完璧に練り込まれた完璧なパーフォーマンス。3年前の七夕に結成されたというが、もう何十年も一緒に演奏しているかのようだ。
MCでは「来年はワールド・ツアーって言っておきながら去年より規模が縮小してしまった!でも内容は濃いからね!」なんてことで笑いを取っていたヤッチン。
規模なんて関係ない、関係ない!
そりゃ大きい会場でのスペクタクルなコンサートにも大きな魅力があるし、長大なツアーをするほどの動員力はスゴイものだ。しかし、ドームのコンサートなんかでなくても、観客ひとりひとりの心を揺さぶるいいメロディを丁寧に編み上げるコンサートも最高に楽しいものだ。
今の若い人はドーム級の会場とか、数万人が集まるフェスティバル、千人を超すキャパシティを持つライブハウス(我々の世代にはこういう設備には間違えても「ライブハウス」というイメージはない)でのコンサートばかりがおなじみなのだろうが、決してキャパの大きくないライブハウスでこそ素晴らしい音楽がクリエイトされているということを知っておいてもらい。
とにかくね、最近は「いいメロディ」が少なすぎる。もっとも私が最近の音楽を注意して聴くなんてことはまずあり得ないので、すべてを知っているかのようなことは言えないが、テレビはよく見てるからね。マーブロのネタ集めで。
そうして自然に耳に入ってくる曲を聴いているだけでも、後世に残る名メロディなど皆無に近いことは容易に感じ取れる。
最近朝から晩までかかっている曲があるでしょ?生命保険のCM、スポーツ大会のテーマソング、スポーツ番組のBGM…。ホント、いい加減にして欲しい。
あのね、あれだけテレビでかけりゃ誰だって覚えますよ。それは名曲だからではない。回数を多く聞いているだけの話し。
昔はいい曲だから一日に何回もテレビから流れたし、それも1曲ではなくてヴァラエティに富んでいたよ。
今は、まず「売らんかな」の曲が先にありきで、もうノイローゼになるぐらいテレビで流して強引にヒットさせようとしているように思えてならない。音楽が「音楽」である前に完全にただの「宣伝ツール」になっちゃった。
音楽に力がない証拠であるのと同時に、いかにリスナーが不在なのかを証明しているような気がする。
すると、自然に音楽が聴衆に溶け込んでいるアニメやゲームの方が全然健全に見えて来るし、音楽がイキイキといているようにも感じる。
だいたい「楽曲」なんて言葉を使っているウチはダメだ。何回も書いてるけど「楽曲」なんてビッグ・ワードはモーツァルトやベートーベンの作品を指す言葉だよ。
その点ヤッチンは違う。
私はね、過去の音楽の巨人たちに思い切り敬意を払いつつ、偉ぶらず、ひたすらいいメロディを探して自分の音楽を創作しようとしている彼の姿が好きだ。
もちろん、それによって生み出される曲は素敵なものばかりだ。
何だかヤッチンに「音楽の宮沢賢治」を見る思いなのだ。←コレ、マジです。
「僕の月面計画」~「One more kiss you!」~「Every Single Day」。
ここからヒロアキくんはキーボードにまわる。さすがフレット・ピアノ。鍵盤楽器は朝飯前だ。
それどころか最近はカホンやら謎の管楽器やらまで手を伸ばして驚異のマルチ・プレイヤーぶりを発揮しているからね。
「キミガワカラナイ」。前曲の「Every Single Day」、そして次の曲もニュー・アルバムから。
「『衛藤浩一』と名前を言っただけで笑いが取れるっていいよね。次の曲のタイトルを聞いただけで衛藤さんでしょ?とわかると思います」…と紹介された曲は「お気楽に行こう」。
ご名答。衛藤さんと作った曲だそうだ。
ここでアコギに持ち替え。ニュー・アルバムに収録されている「Go Ahead Again!」。好きな曲。これも先人へのリスペクト感に満ちている。
ファンキーさんと和佐田さんがステージを降りて、ヒロアキ君もアコギに持ち替えてのデュオ。
曲は「遠い夏」…。
MCではところどころでメンバーの「夏の思い出」が語られた。和佐田さんの「乾いたノドにおはぎ」事件は笑ったな~。
ここで今度はヤッチンがステージを降りてファンキーさんと和佐田さんが戻ってのバンドさんコーナー。
「オオっ!なんでこんなものがココに!」と驚くファンキーさんが手にしているのは「カラムーチョZ」。
さっきヒロアキ君のMarshallの上に乗っていたのもコレ。
雰囲気がガラリと変わって灼熱のメタル地獄!
曲は「カラムーチョZ~秘密結社コイケヤのテーマ」。このあたりについてはコチラを見てね。
カラムーチョの味に合わせてか、照明真っ赤っか!ボーカルにハードなギターにとヒロアキ節が炸裂!
作曲はファンキーさん。イントロの急速調のキメがすさまじい。ガッチリと譜面に喰いつく和佐田さんの姿が見モノだった!
本番直前まで筋トレをしていたという和佐田さんのベース・ソロ。これはスゴかった。愉快痛快!
火を吹くような猛烈なスラップ!
SPICE FIVE、いわし、爆風関連、結構色々と和佐田さんのベース・ソロを拝見してきたが、今回のソロはその中でもマジで白眉だったと思う。
プレイもさることながら、音が素晴らしいのなんのって!
終演後、訊いてみた…期待通りEDENの影響は小さくなかったようだ。
やはり、いい道具は腕の立つ達人の技術をより一層引き立たせるということを目の当たりにした瞬間だった。
ところで、ヤッチンのニュー・アルバムはほとんどが自宅での録音。和佐田さんもベースを入れに楽器をかついでヤッチンの家まで来てくれたそう。5~6時間家にいてベースを弾いたのは10分ぐらいだったとか!
続いてファンキーさんのドラム・ソロ。
パワフルにして緻密な大瀑布。ファンキー・ドラミングが爆発した!
ここからがクライマックス。ブッ通しで5曲!
「約束の場所で」~「流されて」…
ゴキゲンなR&R、「Midnight Train」~「21st Century」~「Please Believe me」。
いつもギター・ソロはヒロアキ君に譲っちゃうヤッチンだけど、今回は前回よりソロを弾いてくれましたな。
「音を選ぶギター・ソロ」…飽くまで曲の一部と捉えてメロディを紡ぐことに集中するソロは実に耳にやさしい。
ヒロアキ君もそういうところがあるな。音を選ぶ。激しいところは死ぬほど激しく爆発するロック・ギターを聴かせてくれるし。
2人はじつにいいギター・コンビだと思う。
アンコール。ヤッチンもTシャツに着替えて登場。『SUPER RARE TRAX vol.9』にちなんだ「N○9」のデザインがシャレている。
アンコールでは定番「愛を育てよう」と「ハダカノココロ」を演奏して初日の幕を閉じた。
今日もやさしく、力強く、そして楽しい曲たちに囲まれたいい夜でした。
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