Marshallもそうだけど、西洋の人たちはブランドでも事業でも何かを興す時に平気で自分の名前を使うでしょ?
「オレが、オレが」のメンタリティがそうさせるのか、オリジナリティを強調せんとする一種のCIなのかわからないが、自分を殺すことを美徳とする控えめで奥ゆかしい我々日本人と西洋人の感覚が大きく異なる部分のひとつかもしれない。
コレは思いつきの域を全くでない私的分析なのだが、ひとつはどんな小道にも名前をつけたがる西洋人の「名前好き」という元来の習性が影響しているのかもしれない。
以前にも書いたが、戦後、GHQが占領下の東京にしたことのひとつは通りに名前をつけたことだったと聞く。
昭和通りは「Dark Street」と呼ばれたのはその頃の話し。
でも、通りに名前をつけるのは実にいいことだと思うけどね。もちろん都市の構造が違うため、日本ではそれが簡単にいかないことはよくわかっている。しかし、ロンドンの街を歩いているといつもコレを思ってしまう。
何しろ長さ数十メートルしかない細い路地にもちゃんと名前がついていて、街の散策と郵便配達に便利なことこの上ない。日本政府もつまらんことをマネしないでこういう合理性を西洋から学んで欲しいと思うよね。
さて、名前の話し。
もうひとつは、西洋人は公共の設備に平気で人の名前をつけるでしょう?例えば「ジョン・F・ケネディ空港」とか「ドゴール空港」とか(不思議とイギリス人は空港にコレをやらない)、「ジョン・ギールグッド劇場」とか、フランクフルトでも「シュバイツァー・プラッツ」なんてのがあった…。
偉人の名をそうした形で後世に残そうとする目的の他に、英語系言語の特徴である「モノの擬人化」がココでも表われているのかもしれない。
そうした歴史的&国民的なバックグラウンドがあるもんだから、自分が所有するものを他人のものと区別するために自らの名前をつけるなんてことは何でもないのだろう。
そこへ行くと日本人はそうはしない。会社の名前を見れば一目瞭然だ。
キャノンでも、日産でも、大日本除虫菊(キンチョウのこと)でも、他に「昭和ナントカ」とか「地名ナントカ」のようなものが多く、社名に人名を見つけることはなかなかに難しい。(これ商法で「事業の内容を表せ」とかいうことになってるんだっけ?)トヨタとホンダあたりは例外か…。松下も変わってしまった。
西洋の個人名の名前がついた会社を挙げるのは野暮な話し。
バンド名で例を挙げると西洋のそれはにぎやかだSantanaだのEmerson Lake & Palmerだの、Van HalenだのBon Joviだの、Derringerだの、Inpellitteriだの…Carpentersもそうか。決して少なくない。
日本はいないよ。チョット思い浮かばない。誰かいたっけ?「サトウ」とか「ヤマダ」とか…。
やっぱりカッコ悪いってことなんだろうね~。
昔の仕事仲間で「般若(はんにゃ=確か高岡のご出身)」さんとか「百々(ドド=京都の方だった)」さんという人がいたが、これならイケるかも…。「般若」なんてバンドはいるだろうし、TOTOがいるんだから「DODO」がいてもそうおかしくない。
「安蒜(アンビル)」さんという方もイケるな。実際いるし。安蒜さんは千葉の苗字で全国に1,500人がいらっしゃるそうだ。
ハイ、オープニング・トーク終わり!
日頃から「名前」に興味を持っているもんだからつい長くなってしまった。コンビニなんかでも店員さんの名札をいつもチェックしていて、あんまり変わったお名前だったりすると、ご出身をうかがったりもしてる。
4、5日前、どこかのコンビニで「たまむし」さんという方が応対してくれた。平仮名だった。もう、どういう字を書くのか、どこの出身か訊きたくて訊きたくてウズウズしたがガマンした。
「お弁当温めますか?」と問われて「♪あったかいんだから~」ってやろうとしたけどヤメた。あれは「クマムシ」か…。
ハイ、これでホントに前置き終わり。
で…、だ。
日本にもそうしたメンバーの名前をドン!と冠したバンドが登場した。
その名も「TAGAWA」。
おなじみ田川ヒロアキが長谷川浩二、寺沢功一と組んだへヴィ・メタルのトリオ。
そのCDがリリースされ話題を呼んでいる。
コレがそのCD、タイトルは『Flying Carpet』。
私もLPやCDを万単位で買ってきたけど、コレは初めての装丁だ。
プラケースは使われていない。
ケースをくるむ光沢の厚紙でできたスリーヴの裏面にはどこかの銀河がプリントされている。
コレを聴けば銀河までひとっ飛びということか。
このCDケースはゴムでできている。
そして4つの角には宝石が埋め込まれているのだが、なんと本物のスワロフスキー製だそうだ。
そして、ゴム・ケースのフタをめくるとピクチャー仕様のCDが出てくるという仕組みなのよ!
なんたる豪華な仕様!
このトリオにかける制作サイドの意気込みが十二分に伝わってくるというものだ。
さて、ここで未読の方は、待っているので、ご面倒でも是非コチラをご覧になっておいていただきたい。
↓ ↓ ↓
田川ヒロアキバースディ・スペシャル・ライブ2014
(間)
これでこのトリオの成り立ちがわかった。
それから月日の経つのは早いもんだ。アッという間にレコーディング。
このレコーディングの初日にスタジオに潜入させて頂いた。ナント素晴らしい立体企画!
まずは打ち合わせ。
ドラムだけでなくこのアルバムのサウンド・プロデュースを担当した長谷川浩二。
寺沢功一
そして、田川ヒロアキ。
みんな真剣!
だってまだ何をやるかゼンゼン決まってないんだもん!
意見を交換し合いまず方向性を定める。
そして、意見が合わず最後は取っ組み合いの大ゲンカ…
…なんてことにはならない。
テーマは「田川ヒロアキをフィーチュアしたへヴィ・メタル」。打ち合わせは順調に進んだ。
そしてスタジオに入って音出し。
ヒロアキくんのMarshallはJVM210Hと…
1960B。
LOUD PARKの時とまったく同じセットだ。
歪み系の音、といってもほとんどがそうなんだけど、ODチャンネルのOrangeモードを使用する。
細工は流々!すげぇいい音!美しい歪みだ。そう、ヒロアキくんはどんなに激しく弾いても決して醜いサウンドは出さない。
ギターの音作りも終わり、3人がスタジオに入った!
いつもニコニコのてらちんもスタジオの中では真剣極まりない。
浩二さんもヤル気満々!
さっきまで打ち合わせで冗談ばっかり言い合っていた3人だが、今はもうコワイぐらいの気迫だ!
…ということで、今日の記事はさらに立体度を増すよ。
このレコーディングやCDについてヒロアキくんにいろいろと話しを聴かせてもらったのだ。
以下はそのインタビュー。Marshall Blogのわがままインタビューだ。
ひとつの大仕事を終えた安堵と、その出来栄えに満足しているうれしそうなヒロアキくんをとらえることができた。
★★★★★田川ヒロアキ・インタビュー★★★★★
Introduction (Strum on the Guitar!)
Marshall Blog(以下「M」):CDはコンサート会場の歓声で始まるワケだけど、コレはLOUD PARKの再演という意味合い?アーム・ダウンするところとかすごくウマく出来てるよね?
田川ヒロアキ(以下「H」):はい。LOUD PARKの再現ですね。いくつかの音源を重ねて作ったんですが、「タガワ・コール」の部分はスタジオにいたスタッフ総動員で叫んだんですよ。
本当はLOUD PARKの歓声をそのまま使いたかったのですが、隣の会場の「君が代」が重なっちゃっていたんです。
M:ああ、あの時そうだったね!なつかしい!あの時もア・カペラでソロを演ったもんね。
コレはやっぱりあのブースに入れたキャビネットの音をマイキングしたんでしょ?
H:そうなんですけど、このソロの時は、キャビネットをブースから出して広いスタジオの真ん中に置いて弾いたんです。
M:アンビエンス。
H:はい。ライブ演奏の時の状態に近づけたかったんです。オフ・マイクでも音を拾ってもらうということは初めからお願いしていたんです。その結果、キャビネットの周りその他で5~7本のマイクを使って録ることになりました。
私もこんな録音は初めてだったのですが、エンジニアさんも「ここまでやるのは初めて」とおっしゃっていました。
M:そうするとこうなるのか…。
H:そうなんですよ。で、私はJVMの倍音が大好きなんですね。他のアンプと違う。
いつも使っているJMDとも違うし、このJVMの倍音の出方がピッキングの鋭さにもつながってくるんですが、そういうところを録ってもらいたかった。
M:JCM2000からJVMに乗り換えたプレイヤーはそういうところを評価したのかも知れないね?
H:それはあると思います。私もJCM800、900、2000とずいぶん使わせてもらってきましたが、JVMはそれらとは明らかに違う部分がある。他のブランドには絶対ない…。
M:マ、同じじゃ意味ありませんので。
H:それと、サスティンがすごくいい。音の減衰していく時間が長いんです。それで、アームで音を揺らしたりすると倍音が鋭くなる。一体どういう回路になっているのか設計者に話しを聴いてみたいぐらいです。
M:サンチャゴ(・アルヴァレス=JVMの設計者)が聴いたら喜びますわ~。
H:このソロのアイデアは長谷川さんなんです。それで、長谷川さんが口三味線で出してくれた指示に従ってソロを弾いたんですよ!「ここは上がって、何秒で下がって」とか言うのに合わせて弾いたんです。
M:そりゃスゴイわ!
Stranger Destroys Arms
M:そして「Stranger Destroys Arms」。ここから浩二さんとてらちんが入って来るワケなんだけど、聴いた瞬間、「ああ、ヒロアキくんが本当にやりたいのはコレだったんだな…」って思った。イキイキと楽しそうに弾いているのが目に浮かびますね。
H:おっしゃる通りです!おっしゃる通りです!!
M:LOUD PARKの時の1曲目は「My Eternal Dream」だったのに、CDではこの曲を1曲目に持ってきたのは何か意味があるのかしら?
H:曲順は長谷川さんが決めたんです。私も思い描いていた曲順があったのですが、長谷川さんのものとほとんど一致していたので任せました。
結局、6弦を刻むメタルの王道的なフレーズを最初に持って来たかったんです。
それと、「My Eternal Dream」でナニかを始めることはいつもやっているので、普段と変えてみたいというのもありました。
それとあの曲だと雰囲気がチョット明るくなってしまう。ギター・ソロから続けて「極悪さ」みたいなものも出したかった。すると自然にこの曲が1曲目になったんです。
M:なるほど…。ソロのサビは何か考えた?
H:以前、日本人のギタリストを集めたギターのオムニバス・アルバムがあって、この曲と「Fly Away」で参加したんです。コレはその時からある曲で、ファースト・アルバムの『Fly Away』にも入れました。
それで、ソロは全部同じなんです。コレはライブでもよく演る曲で、つまり若い頃に作ったソロをズッと弾いている。コレが大変なんです。
M:それはまたどうして?上達しているからラクになっているのでは?
H:イエイエ、若い時はシュラプネル系のテクニカルなソロばかりをやっていましたが、段々色々な仕事をやっているうちにその手のプレイをする機会が無くなって来たんです。
作曲とかプロデュースみたいなことをやっていると、こういうギターを弾くことがない。だからこそ弾きたかった。
でも、大変だった、最初は弾けなくて。
それと、数は少ないにしろ、20年前のプレイを知っている人もいて、その人たちが今回のプレイを聴いた時に、「ああ、また無難に同じことをやっている」と思われたくなかったんです。
「同じことをやっているのにスゴくなっている!」と思わせたかったんです。
M:ワザと同じことをやって、進化しているサマを見せたというワケね?
H:そう。新しいことをやるより難しかった。
My Eternal Dream
M:一番最初に送られてきた音源には曲名の情報がなかった。で、浩二さんの派手なドラム・イントロに続いておなじみのメロディが出て来た時は驚きました。スゲエ新鮮!
『Fly Away』でのオリジナル音源ではキーボードを使って荘厳なイメージだった。でも今回のはとても生々しくて、まるで『Let It Be..Naked』みたいな。問答無用でカッコいい。
H:ホントですか?!
M:うん。それにてらちんのベースが何ともスゴイ。まるで曲が生まれ変わったような…。
H:ホントですか?! ありがとうございます。
コレは寺沢さんに好きに弾いて頂きました。他の曲では注文をお願いしたりしたんですが、コレは100%寺沢さんが自由に弾かれています。
M:曲がグレードアップしたのが目に見えるよう。素材がいいのかな?聴き慣れたのかな?
H:アヤヤヤヤヤ。ありがとうございます。
M:サビのハモリはオリジナルとゼンゼン違って聞こえるんだけど、同じだよね?
H;そうなんです!同じことをやっているんですが、コレが元。曲を作った時のイメージはコレだったんですね。元々こういう風にしたかった。
M:ナニがそうさせているんだろう?
H:色々な要素があると思うんですが、まずはスタジオやエンジニアリング。でも、一番はMarshallとこのギターの組み合わせでしょうね。ゼンゼン機材が違う!
自分の出したい音が前に出るようになったから、こうなったんだと思います。
M:楽器が弾き手を鼓舞するいい例だね。だからいい楽器というものはスゴイ。
H:イメージを膨らませてくれますね。「そうだ!コレこそが頭の中にあったイメージだった!」と感じました。
M:それとチョコチョコっとしたキメ。これが快感!
H:ホントですか?!
M:ソロも密度が濃くてカッコいい。どうせ勢いで弾き切っちゃったんだろうけど…。
H:ハハハ!その通り!勢いで弾きました!コレもJVMのおかげで気持ちよく弾けましたね。
実は高いハーモニクスのところにディレイをかけてもらったりしているんですよ。
That's Over
M:コレはてらちんと浩二さんがフィーチュアされている曲だね?ほとんど聴かない曲だけど、どっから出てきた曲ですか?
H:コレはビクターの配信レーベルから一度リリースしたんです。LOUD PARKの日に配信しました。
この曲を選んだのは長谷川さんのご提案ですね。
M:なるほど。コンサートでも演らないよね?
H:はい、元々キーボードがたくさん入っていて、それを全部ギターに替えました。
M:サビのバッキングがカッコいい!
H:そうですね。バッキングのパターンから曲ができたみたいなところもありましたからね。
M:ギターの音もスゴくいい。クランチ加減がすこぶる気持ちいい。
H:ココはJVMのCLEAN/CRUNCHチャンネルのORANGEモードを使ったんです。コレがものすごくよくて!
以前、三宅さんがこのチャンネルをお使いになられているとお聞きしまして、その音がとても気になっていたんです。もちろんプレイもフレーズも違うので同じ音にはならないことはわかっていましたが、ものすごくよくて!
M:他は全部ODのOrangeですよね?
H:はい。後はギターのボリュームをイジって音を変えたりしています。
それと長谷川さんのドラム・ソロになると音量が上がるという…。
M:まったくこのドラムが四六時中冗談を言っている人のプレイとはとても思えませんな!
H:まったく!
Space Walker
M:大作。『Fly Away』でもおなじみ。名付けて「校歌ロック」。
H:ギャハハハハハハ!
M:校歌で始まってドンドン変わっていく場面が素晴らしい。
H:長谷川さんには「パン喰い競争」って言われました!
M:ちょっとコミカル。でも紆余曲折を経て、また校歌に戻るところはもはや快感ですらある!
H:ホントですか?!(←もう読者の皆さんもお気づきのことと思うが、「ホントですか?!は彼のクチグセのようだ)
M:4ビートかなんか取り入れちゃって、オリジナルより格段の進化を遂げましたな!
H:ホントですか?!(←あ、また!)
M:せっかくの4ビートなんだからバリバリのバップ・フレーズを作り込んじゃえばよかったのに!
H:その通りなんですよ!でも、良くも悪くも、長谷川さんも寺沢さんも私もジャズのテイストがまったくなかったんですよ!
寺沢さんもラジオに出た時にそんなことをおっしゃっていましたし、長谷川さんも「オレらにジャズをやらすか~?」って!
怒られましたよ!
で、「ジャズ・メタル」…邪道って言われていいからやりましょう!って。
だから、今その4ビートのパートの指摘をして頂いてすごくうれしいんですよ!
M:なるほどね。自然の結果が目標通りになって喜んでいるワケね?
H:そうなんです!開き直りです。
M:そんなの当たり前じゃん!だって元々できないんだから!
H:ギャハハハハハハハ!
M:でもさ、この曲、オリジナルとこんなに派手に内容を変えているのに時間が5秒しか違わないっ
て知ってた?
H:お~、ホントですか?!(←また!)
コレ、途中でギターが裸になるパートがあるんですけど、『Fly Away』とまったく同じにしてみたんです。
M:録り直したっていうこと?
H:そうです。でもすごく苦労しました。
コレ、とても長い曲でバンドの皆さんが嫌がるのでライブで演らないんですね。以前、孝三さんと演ったぐらい。自分ひとりのライブでは演っていますが…。
つまり、『Fly Away』のレコーディングの時からバンドの中でほとんど弾いていないんですよ。
すごく時間が経っているので、どうやって弾いていたのかわかりませんでした。今、弾いていないフレーズが多いし。20年以上前に作った曲なんです。
M:ホントですか?!(←ア、うつちゃった!)そんな古い曲なの?
H:ええ、それまで書き溜めていた曲を集めたのが『Fly Away』ですから。
M:今回のアレンジは全部自分ひとりで練り直したの?
H:はい。ですけど、まずは元はどうやって弾いていたのか思い出す作業から始まりました。「アレ、おんなじ風に弾けないな…」って。
M:ホントですか?!(←ア、また!)なかなかこういう曲って日本のロックにないからすごく貴重だよね。でも、4ビートのところのソロがナァ。せっかくやったのに!
H:ギャハハ!でもそうやってイジってもらえるとうれしいですよ!
M:あんまり言ってもナァ~。「校歌」とまで言っちゃってるから…。
H:ギャハハハハハハハ!皆さん、それぞれ解釈が違いますから!みんなで笑い飛ばしてくれればそれでいいんですよ!
長谷川さんなんか「パン喰い競争」ですもん!
M:でもこういうのはすごくいい。以前の「Symphony」もヨカッタし…。
H:ホントですか?!
M:ナントカ前進しようともがき苦しんでいるのがいい。それがあなたの魅力じゃない?
H:「若い頃の方がスゴかった」なんて言われるのがイヤなんですよね。歳をとって無難になったことを「味が出た」と言い換えてもらうとかいうのもイヤだし。
昔と同じことをやっているのもスゴイけど、それ以上のことをやっている…という風になりたいですね。
さっきも言いましたが、以前のことを知っている人をガッカリさせたりはしたくない。いくら時間が経っても「無難になっったな…」なんて思われたくない。
だから、今回はレコーディングはサラっとやりましたが、その準備は大変だった。
M:なるほどね。思い当りますよ。今までもう何十回も観て来ているけど、「ああ、またコレかよ」っていう感じがない。いつもナンカ工夫してるもんね。前進してるってことですよね。
H:ホントですか?!身体が続く限りはそうしていたいですね!
M:SPICE 5みたいな経験はとてもヨカッタのではないですか?
H:そうですね。手数セッションとか。周りのミュージシャンに鍛えて頂いたと思います。
Luminous
M:コレはバラードを1曲入れておこう…みたいな?
H:はじめはなかったんですよ。全曲突き進むような感じだったんですが、どうしても入れたくなって…。
長谷川さんにシンバルで手伝ってもらいました。「波」のイメージ。
M:キーボードも入ってますね?
H:はい。はじめはギターだけだったんですが、後から重ねました。
M:せっかくこんなにスゴいリズム隊がいるのにナンでまたこんなルバートっぽい、というかア・カペラに近いシンプルなものにしてしまったんだろう?
H:へへへ、それまではアルバム全体にスキ間なく、音が詰まっている感じだったのでインターバル的にこういうのを入れたいと長谷川さんにワガママをお願いしたんです。
そしたら「やろうよ、やろうよ!」って。
このアルバムの中では異色の存在で、結果的に聴いて頂いた人の印象に残っているようで、やってヨカッタと思っています。
M:確かに。このフレーズ(私が実際に弾いて聴かせる)、バラードの時に必ず出て来るよね?バラード用の手グセ・フレーズだ。
H:ハハハハハ!よく聴いてるナァ。
Fly Away
M:最後はおなじみのコレね。どうしたかったって感じ?
H:「Eternal Dream」と同じで、まずオリジナル・バージョンのキーボードのパートを全部ギターに置き換えました。
それと、元々のギター・パートはそのままで、ベースやドラムが変わるとどうなるか…ということに重きを置きました。
ギターも変えちゃうと、元々の曲のイメージがスっ飛んでしまうと思ったからです。
M:コレも古い曲だよね?
H:20年以上前に書いた曲です。それでギターも20年以上前のもの。それで。リズム隊を変えるとこうだ!みたいな。
この曲は透さん、孝三さん、ファンキーさんとも演奏しましたが、やっぱりバックが変わるとゼンゼン違って来る。本当に面白いです。
M:アルバム全体、ギターの音がいいね。ひとつひとつの音が実にクリアでナニを弾きたがっているのかがよくわかる感じ。
H:録音にあたっては色々なことをさせて頂きました。そういう意味では20年前より伝えたいことがより明確になったと思います。
やっていることは同じでもメッセージ性が違う。それは機材であったり、環境であったり、バンドであったり、色んな要素に助けられたんです。
M:今後はどうなるんでしょう?
H:ま、雑談のレベルですけど、「2枚目の時はこうしよう」みたいな話しも出ています。
M:曲が大変だね?考えてみると、今回は3人の曲みたいなものはないですよね?
H:そうなんです。提案もさせて頂いたんですが、「アコースティックやピアノの曲もあるけど、とにかく田川ヒロアキのへヴィ・メタルの部分だけを切り出そう」という長谷川さんのアイデアが原点ですので、まずはそれに従って作ったワケです。
ですから、次はみんなで曲をつくったりしたら面白いと思いますね。
田川ヒロアキのバンド
M:フト考えてみると、ヒロアキくんのパーマネントなバンドってなかったじゃない?ベースになるようなバンド。
H:このバンドがそうかな?という気もしますね。せっかくTAGAWAという名前ですし。「田川ヒロアキの曲」を演奏するバンドということではなくて、ひとつのバンドとして何かを作っていければいいな…と思います。
そして、おこがましいようですが、かつてのマイク・ヴァ―二―の時のように、このアルバムを通じてギターの音楽が見直されたり、新しい人たちがギターの音楽に目覚めてくれたりしたらとてもうれしいですね。
M:特に若い人たちですよね。
H:はい。
M:そこにはいつもMarshallがある!って付け加えておいて!
H:もちろんです!Marshallがなければ何もできませんから!
M:ありがとう!今後の活動に大いに期待しています。
…ということで本人もご満悦のようす。
レコ発ツアーも敢行され、早くも明後日が千秋楽。
会場は八王子のLive Bar X.Y.Z→A。
お見逃しなく~!
Marshall Blogは初日の公演を取材したので、そのもようはまた明日!バイバ~イ!
田川ヒロアキの詳しい情報はコチラ⇒fretpiano
(一部敬称略 レコーディング風景はBattle Cry Soundにて撮影)