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2013年12月17日 (火)

おかえりバズーカスタジオ

(昨日からのつづき)…というワケで高田馬場へ発展的に移転したバズーカスタジオ。
新宿の時も駅から近かったが、今度も高田馬場駅からすぐ。まさに「歩いて2分、走って1分」!
煌々と輝く「BS」のネオンサイン!
これが今度のバズーカの入り口。

10地下に降りると細長い空間が広がる。
これがロビー。
ロビーが広いとうれしいね。
昔はスタジオなんて狭いの当たり前で、ヘタするとロビーが混んでいると楽器を持って部屋から出られないなんてところもあった。

20v_2昨日紹介したように元々バズーカスタジオはレコーディング・スタジオだが、新しいバズーカには練習用のスタジオが7部屋設置された。
壁に描かれた数字はその部屋の番号だ。

私が初めてバンドの練習でスタジオってものを使ったのは36年前。1977年か…当時はスタジオなんて今みたいにどこにでもあるものではなくて、楽器屋さんに併設しているスタジオが一般的だった。
うん、スタジオ屋さんなんてあんまりなかったよね、あの頃?
で、少しでも安いスタジオを探して都内をさまよったもんだ。
置いてある機材なんて使い古しのボロンボロンなものばかりだった。まずMarshallなんてなかったよね。ドラムのヘッドなんかおろし金みたいに凸凹になっちゃって…。

JCM800シリーズが出る前の話しだからね、Marshallといえば1959とか1987ぐらいしかなかったし、ま、たとえ置いてあったとしてもまだロクに弾けない子供の手に負える代物じゃなかった。
それが今ではMarshallが置いてあって当たり前。いい世の中になったもんだ。

もちろんバズーカスタジオもMarshall完備。来てくれたお客さんが快適な演奏ができるよう最高の機材を常備している。

30_2こちらはミキシング・ルームのうちのひとつ。
まだ他にもレコーディング・ブースとペアでいくつも用意されているのだが、取材した時点ではまだ準備中だった。
当然のごとく機材、環境ともに新宿に負けない、イヤそれ以上の快適なレコーディング設備が実現する。

40_2こちらは練習スタジオ。Marshallは各部屋にJVMのハーフスタックが常備されている。

まだJVMが「ムズカシイとかややこしい」とかいう声を耳にすることがあるが、ゼ~ンゼン簡単よ。
真空管のアンプを使える人なら誰でもすぐに使いこなせるはず。
GainとVolumeがと3バンドのEQがある3チャンネルのアンプが4個入ってるだけなんだから。それにリバーブとマスター・ボリューム、高域強調のPresenceと低域強調のResonanceが付いているというだけのもの。

4つのアンプもキャラクターがハッキリしている。
①Clean  :1959等のビンテージ系サウンド
②Crunch :JCM800 2203系
③OD1   :JCM2000系
④OD2   :ドンシャリのJCM2000系
という風なサウンドのイメージを持っているので、まずは今まで使って来たMarshallのイメージに合ったサウンドを見つけてそれを発展させていくとおもしろいと思う。
チャンネルをコロコロ変えるのもいいし、気に入ったチャンネル/モード一発で通すのも自由だ。
色々できる器用なモデルだけど、余計な機能が付いていない分、音がいいのだ。

JVMが発売された時、開発者のサンチャゴ・アルヴァレスに色々と教えてもらったり、意見を交換したりして楽しかったな~。

そして注目してもらいたいことがまだある。7部屋のうち、5部屋にNATALドラムが設置されているのだ。

50_2メイプル、バーチ、そしてアッシュの代表的な3種類の素材のキットだ。

60_2昨日、SSLのコンソールの買い付けの場面で登場したマネージャー。この方は数々の名盤を手掛けた一流のレコーディング・エンジニアでもあるんだけど、人一倍ドラムの音にうるさいときてる。
その方が、「ドラムいいね~!吸音しても吸音しても鳴りがよすぎて追いつかないよ!」と満面の笑みを浮かべて私に感想を述べていただいた。プレイヤーももちろんだけど、やっぱり「音づくり」のプロフェッショナルにほめてもらえるとうれしい!
その鳴りはやはり国産のドラムにはないものだという。元々ドラマーだったJim Marshallの夢とブリティッシュ魂がふんだんに込められたイギリスのドラムだからなのだ。

70_2NATALとともに帰ってきたバズーカスタジオ。
なお一層おもしろいことになりそうだ。

80_2そのバズーカスタジオ、来る20日に『スタジオ内覧会』が開催される!
スタジオ各々の設備が自由に見学できるのはもちろんのこと、当日はMarshall Blogでもおなじみの孤高のギタリスト、三宅庸介氏率いるStrange, Beautiful and Loudと数々の実績を持つ人気エンジニア、内藤輝和氏による公開レコーディングが催される。
演奏に興味がある人だけでなく、プロのレコーディング・テクニックに接してみたい人にも必見のイベントだ。

そして、そして!まだ日本本格上陸前のNATALドラムも叩き放題だ~!
いまのところ日本でNATAL Drumsが叩けるところはバズーカスタジオだけだからね。
Marshallブログを見ているギタリスト諸君、あなたのバンドのドラマーさんに教えてあげてチョ!

90_2ドラム・キットだけでなく、左に見えるNATAL自慢のPure Stave Snare(staveとは「桶」のこと。従来のプライ式ではなく、コンガのように桶のような構造になっているスネア・ドラム)や真ん中のHand Hammered Snare。右のMetal Snare(写真はアルミ。先日来日したPrimal ScreamのDarrin Mooneyが実際に使用したもの) も試すことができる。

100_2いよいよMarshall Blogに登場する機会も多くなってきたNATAL(ナタール)。
ドラム・ブランドとしては最後発もいいところだが、これまで若手ドラマーから日本を代表するドラマーまで驚くほど好意的で高い評価を頂戴している。大変うれしいです!
最後発といってもパーカッションのブランドとしてはその歴史は古く、1965年にまでさかのぼることができる。つまりMarshallより3歳年下なだけのイギリスのパーカッション・ブランドだ。

Natal_powerロンドンのアラン・シャープという優秀なパーカッショニストが、当時市販されているパーカッションに満足せず、パーツを集めて自分で納得のいく楽器を製作した。
アランが作ったボンゴは瞬く間に評判を集め、製作の依頼が殺到したという。そうしてビジネスとして立ち上げられたパーカッション・ブランドがNATALだ。
どこかで聞いたような話しでしょ?
そう、他でもない、Marshallだ。
マー本『Marshall Chronicle』でも詳しく触れたが、ご存知の通りJim Marshallはギタリストではない。つまり自分が使う楽器ではなかったというのは大きな違いだが、Marshallの起源はJimが作ったスピーカー・キャビネットだ。Jimは自分の歌声を美しく拡声するために自分の納得のいくスピーカー・キャビネットを製作したのだった。やっぱ同じだね。

N_logo NATALのパーカッションはそのご多くのミュージシャンに愛用された。特に当時革新的な製品であったファイバーグラス製のコンガは、Santana、T.Rex、Led Zeppelin、Fleetwood Mac、Deep Purple、The Rolling Stonesらに寵愛され大評判を得た。
ラテン・パーカッションのブランドというとすぐにアレが連想されるが、「Swingin' London」で盛り上がったイギリスでは少しばかり様子が異なったようだ。

このアルバム知ってるでしょ?そう我々が『ライブ・イン・ジャパン』として親しんでいるDeep Purpleの輸入盤『Made in Japan』だ。このジャケットの写真をよく見てもらいたい。

Mijこの写真が撮られたのは日本武道館でも大阪厚生年金会館でもない。下の写真にあるロンドンはFinsbury Parkにある有名なRainbow Theatreだ。
そして、ジャケ写の中でIan Gillanが叩いているコンガこそNATAL製なのだ。
またやT-RexやDavid Bowieを撮り続けた名カメラマン、鋤田正義さんの写真の中にも、Micky Finnが使うパーカッションにNATALのロゴを確認することができる。

Bs_img_0450そして、このイギリスを代表するパーカッション・ブランドをMarshallが引き継ぎ、ドラムの製造に着手したのである。

Maple_gloss_blackMarshallの創設者、Jim Marshallはジャズ・ドラマーだった。
元気な頃はパーティで興が乗ると、パーティ会場のステージの上のドラムに座り大勢の人の前で演奏して見せてくれたものである。

Ash_white_swirlNATALはドラマー、Jim Marshallの夢…

Bubingaブリティッシュ・ロック魂に満ち溢れたドラム…それがNATALなのだ。

KmafxblもうWhitesnakeを辞めちゃったけど、Braian Tichyはアッシュのキットを使用。もちろんWembleyの『50 Years of Loud Live』でもNATALを使っている。

BtThin LizzyのBrian Downey。Thin Lizzyというとすぐにツイン・リードだの、Gary Mooreだの、Phil Lynottだの…ま、その通りなんだけど…でもドラマーでもない私が断言しよう…Brian DowneyなくしてThin Lizzyサウンドはあり得ない。
この人のドラム、メッチャすごい。そんなBrianのキットはメイプルだ。

Bdこちらは再活動が忙しいUriah HeepのRussel Gilbrook。
再結成Uriah Heepは来日も果たしたが、私はロンドンで観た。切れ味鋭かったRussellのドラム・サウンドはバーチのキットから繰り出されていたのだ。

Rbそして、先頃Marshall BlogでレポートしたPrimal ScreamのDarrin Mooneyはメイプルのキットにメタル・スネア(上述)を組み合わせて使っている。
Darrin MooneyはGary Mooreバンドのドラマーだった。ね~、三宅さん?!

Dm_img_8789 とにもかくにも12月20日は高田馬場へGo!

おかえりバズーカスタジオ!

バズーカスタジオの詳しい情報はコチラ⇒BAZOOKA STUDIO公式ウェブサイト

110_2(12月12日 高田馬場BAZOOKA STUDIOにて撮影)