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2012年12月20日 (木)

【50 YEARS OF LOUD LIVE】vol.1~Opening, House Band and Billy Duffy & Coley Taylor

意地と根性と性格でどうでもいいことまで書きに書いてきたマーシャル創立50周年記念コンサート『50 YEARS OF LOUD』のレポートもいよいよ本番に突入する!

少しでも皆さんに観客席のひとりになっていただいたような気分に浸っていただければうれしいことこの上ない。

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観客席の最後尾。ロビーには夥しい数の観客が入場の列を作っている。すべての観客を収容するのにもう少し時間がかかるようだ。

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プレスピットに結集するフォトグラファーたち。ものすごい数!首にかけたパスがNMEだのUNCUTだの国内の人気音楽誌や、外国の出版社から派遣された連中であることを示している。

マーシャルからは、この写真に偶然写っているアメリカ人のマット(デカいヤツ)とマーシャル社の地元のフォトグラファー、ロブと私の3人が参加した。

ヘタすりゃマットと私だけで好き勝手に撮影できるかと思っていたらトンデモナイ!50人以上のフォトグラファーが2台も3台もガチャガチャとカメラをぶら下げて、すこしでもいい写真を撮ろうと殺気だっているのだ。コエ~!緊張するナァ。それだけに、プレス・ピットの中にも屈強な黒人のセキュリティが何人も配置されている。

しかし、イザ始まってみると、自分が撮った後は、案外「ドーゾ、ドーゾ」と場所を譲り合っていた。それでも、みんな興奮するとガッツリ立ち上がって撮影してしまう。観客の邪魔になってしまうのでセキュリティがすっ飛んできて「座れ」と指示をする。私も何回か怒られちゃった!

何しろ、大型スクリーン用の映像を撮るビデオカメラのためにステージの前にはバカデカいサブ・ステージが組まれていて、座っていようものなら思いっきりステージに立つミュージシャンが死角に入ってしまうのだ。かといって立てば叱られる…。どうしたかというと中腰よ、中腰!アータ、普通にしてても中腰のポジションなんてシンドイお年頃なのに、首からクソ重いカメラを3台もブラ下げてりゃどうなるか?ってことよ。も~、泣きたいぐらいシンドかった。しかも時差ボケ(私は時差ボケがドイヒー)と昨日からのリハ疲れや寝不足で体力がいつもの何分の一かに弱まっていたからね。マジで最後までもたないかと怖かった。ヘタすりゃ日本へ帰れなくなるかも…なんて心配もしたぐらい。でも何とか乗り切ったというワケ。

ま、それでもみんなバリバリ動いて撮影したがるのは最初のウチだけでしてね。1時間半もすればくたびれちゃって、写真にあるように柵に腰かけて自分の視界に入ってきたものだけ望遠で撮るという手法になるんだな。

海外のコンサート、しかもこれほど大きい会場でオフィシャルで写真を撮ったことなんてなかったので、とにかくいい勉強になった。

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プレスピットでマーシャルのゲイリーと話をしていたらゲイリーの携帯が鳴った。電話の主はステージに近いスタンド席に座っていたジョン・エラリー社長から!「調子はどうだい?」ってな具合。となりが奥様のエリー。ジョンの前はグラハム・ヤング重役とその奥方、その前がデヴィッド・コール重役。デヴィッドはなにやら難しい顔をしているが、仕事中かな?みんなとてもやさしい人たちだ。

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さあ会場も埋まった!いよいよスタートだ!

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最初の出番は、今日出演するギタリストたちのバックを務めるハウス・バンドの演奏。曲はEdgar Winterの「Franstein」。このリフはロックだよね~!いきなり大興奮!

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ドラムはWhitesnakeのBrian Tichy。叩いているドラムはマーシャルのドラム・ブランド、NATALのジム・マーシャル仕様のスペシャル・バージョンだ!

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ベースはJaz Lochrie(ジャズ・ロウクリー)。

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キーボードはAdam Wakeman。この写真だけはリハーサルの時に撮ったもの。

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ギター、そしてこのコンサートの総合監督を務めたChris George。

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そして総合司会が登場。イギリスでは知らない者がいない超人気コメディアンのAl Murray。

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彼が登場するショウはいつもソールド・アウトとなり、数々の賞を手にしている。また、作家としても有能で「Book of British Common Sense」「Think Yourself British」「Great British Pub Quiz Book(これ面白そうだな~)」などイギリスをテーマにした著作を発表している。こうした純粋なイギリス指向が、純イギリス企業を標榜するマーシャル社の方向性と一致したためアルが総合司会に選ばれたらしい。

また、アルはドラマーとしても有名で、実際に「The Pub Band International」というコミック・バンドの一員であった。また、2010年にはイギリス三大ロック・イベントのひとつDownload Festivalにも出演している。

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そして、アルが最初のゲスト・プレイヤーを紹介する。

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The CultのBilly Duffy!

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そしてStone Sour、SlipknotのCorey Taylor!

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1曲目はThe Cultの「Lil' Devil」。

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ストレート極まりないロック・チューンで会場は一気にヒート・アップ!

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ノビノビと歌うコリィ。まるで自分の曲を歌っているかのようだ!

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コンビネーションもバッチリ!マーシャルの50周年を祝い、イベントを楽しんでいることがよくわかるような演奏だ。

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2曲目もザ・カルトで「Love Removal Machine」。

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他のシュレッダーたちとはまったく違うスタイルのギター・ソロ。ロック・ギターの原点を見せてくれたかのようだ。

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この日、コリィはこの後のセットでも幅広いレパートリーを見事にこなし、八面六臂の活躍を見せた。

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気合の入った歌いっぷり!そういえば、以前に赤坂で観た時、MCではバリバリに日本語を駆使していたっけナァ。あの時も開演前にワザワザ楽屋から出てきてくれてマーシャル・ブログのために色々とポーズをとりながら撮影に協力してくれた。こっちは忙しいところ申し訳ないと思ってチャッチャと済ませたら「もういいの?いくらでも付き合うぜ」みたいに言ってくれた。ちょっと見るとすごく危ない感じのする人だが、実はすごくまじめであるに違いない。カッコいい人だ。

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ビリーは昨日のリハーサルに来なかったのでどんな具合にステージが進行するのかわからなかったが、スカッとする演奏で気持ちがヨカッタ!トップ・バッターの重責をイキのいいナンバーで見事果たしたビリー・ダフィであった!

今回のコンサート、実はゲスト・ギタリスト(ベーシスト除く)の中でイギリス人はこのビリー・ダフィとPhil Campbellだけである。後はアメリカ人とスウェーデン人が2人。ギター・ヒーロー完全不在の現在のブリティッシュ・ロック・シーンにあってビリーをトップ・バッターに持って来たのは大英帝国人の意地なのか?とにかくイギリスからギター・ヒーローをジャンジャン出してもらいたいものだ。そうしないとロック界は絶対におもしろくならない!

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ここでNicko McBrainが登場。Jim Marshllの思い出を優しく楽しく語ってくれた。

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ジムは大マーシャル・バンドIron Maidenのドラマーということだけでなく、同じPremierドラムのエンドーサーということもある、生粋のロンドナー同士ということもあってか、ニコと大変仲がよかった。そしてニコもジムを大層尊敬していた。

ジムがOBEを受賞した時かどうかはちょっと定かではないが、いずれの祝い事の時にロンドンの老舗の時計屋に特注の高級腕時計を発注しジムにプレゼントし友情を誓ったという話を聞いたことがある。

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少々長いが、プログラムに掲載されているニコのジムの思い出の言葉を引用しよう。

『ジムに初めて会ったのは1978年の9月、美しい夏の日でした。

ベッドフォードのゴルフ場のクラブハウスでミーティングを兼ねてランチをしたのです。私はその当時Staccatoドラムに関係していて、ジムを仲間に引き込みたいと思っていました。それが私の人生の大切な部分を占めるジムとの友情の始まりだったのです。

ジムはいつも私の心の中にいて、これからも居続けてくれるでしょう。それから数年経ち、展示会などでますますジムに会う機会が増えました。(サイン会をいっしょにて楽しんだものです) 

ジムはある時、フランクフルトのMusik MESSEのマーシャルのブースで演奏してくれないかと私に依頼してきました。「もちろんやらせてくだい!」と答えました。それから6年の間、マーシャルの仕事をさせていただきました。

そうしたイベントでの仕事、ディナーや夜更かし、伝説的な話を聞くこと…最高に楽しい時を過ごしました。ジムは完璧なホストであり、本物の紳士であり、偉大な歌手にして素晴らしいドラマーで、最良のアンプやスピーカー・キャビネットの製作者だったのです。でも、私にとってはもっとも親愛な友人でした。ジムの思いやりや音楽に対する愛情に触れることができた我々は幸せなのです。

 ”ジム、愛しています。また逢う日まで…”』

Jim

この6年間のフランクフルトでのニコの仕事を私も何回か手伝わせてもらったが、私にとってもとてもいい思い出である。

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ニコはこの後、ドラマーとしてコンサートに大輪を添えた。

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つづく

(敬称略 2012年9月22日London Wembley Arenaにて撮影)