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2012年12月19日 (水)

ク~、ELECTRIC MARYはタマランの~!~良質なロックを配給するHYDRANT MUSIC

ま~た始まった…と思われるに違いない。

でもこの興奮を伝えずにはいられない。こういうのこそを「ロック」と呼んで欲しい。ELECTRIC MARYという5人組のバンドの話し。オーストラリアはメルボルンのバンドである。

イギリスとアメリカ以外の国で世界的にビッグなロック・アーティストを輩出している国といえば、まずカナダか?次いでオーストラリアということになろうか?「世界的にビッグ」と条件がなければ、音楽王国イタリアが何と言っても素晴らしい。PFMやArea、BancoやArti&Mestieriという世界級バンド以外にも良質なプログレ系ロックをクリエイトするバンドが数多く、日本にも熱心なファンが多い。東ヨーロッパあたりの、いわゆる「辺境」と呼んでいる地区のロックもかなりおもしろい。

では、オーストラリアと聞くとどうだろう?我々の世代ではまずはOlivia Newton Johnでしょうな~。Air Supply、Split Enz、Little River Bandあたりはよく名が通っていた。80年代に入るとMen at WorkだのMidnight Oilなんてのが『ベストヒットUSA』で騒がれていたが、私は興味のカケラさえなかったな~。

Sebastian Hardie(『Four Moments(邦題:哀愁の南十字星)』は名盤!)は好きだった。もちろんAC/DCを忘れているワケではないが、ヤング兄弟はもともとイギリス人だし…。そういう意味ではThe Bee Geesもそうか?

基本的にはあんまり食指を誘われることがなかったオージー・ロックだったが、ELECTRIC MARYを無視することは到底できない。前のマーシャル・ブログで紹介したAir Bourneもそうだが、「ロック魂」全開の骨太な音があまりにも素晴らしいのである!

そのELECTRIC MARYがヨーロッパ・ツアーの途中にマーシャルに寄ってコンサートを開催したのだ。会場は工場内の「Theatre(シアター)」と呼ばれている講堂だ。

よくマーシャルを使うバンドのUKツアーの際、リハーサルに開放したりすることもある。2年前、ロンドンで開催されたHigh Voltageというロック・フェスティバルに出演したBlack Label Societyのリハーサルはここで行われた。そして、本番の前日、ザックはお礼として従業員をシアターに集め、ゲネプロを披露していた。

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もちろん、爆音を出すことが可能なので商品の音質のチェックも毎日のように行われている。これは9月の『50 YEARS OF LOUD LIVE』の前日に開催された、いまやMarshall、NATAL、EDENからなるマーシャル・ファミリーの商品説明会のための準備で、ELECTRIC MARYのライブ用のセットではない。

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そして、12月1日。ついにELECTRIC MARYがマーシャル・シアターの舞台に現れた!

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1曲目は「Let Me Out」。まずは6弦の解放を使ったギターリフにノックアウト!コレコレコレコレ!やっぱりロックなんだからさ、こうじゃないといけない。そして、こういう音はマーシャルでなければいけない。法律はないけど、そうキマッてるの。

この曲が収録されているのが2008年制作、日本では2010年に発売されたセカンド・アルバム、『Down to the Bone』に収録されている。

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また、昨年リリースされた『III』にも国内盤ボーナス・トラックとしてライブ・バージョンが収録されている。このバージョンにはイントロのギター・リフの前に荘厳な導入部がつけられている。おそらくこの曲がショウのオープニングであったのだろう。それと同じスタイルでマーシャルでもプレイされたに違いない。ギター・ソロは疑いようのないマーシャルとレスポールのフロント・ピックアップのコンビネーションの音。むやみやたらと弾き狂わないところがまたニクイぞ!

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2曲目も『III』から「Stained」。これもイイね~。ミディアム・スローなへヴィなナンバー。シンプルでソリッドなギター・リフに印象的な歌メロが乗る。

何と言ってもボーカルの声が素晴らしい。「ロック」そのものだ。

ボーカルのRusty Brown。

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3曲目はあまりにもストレート・アヘッドなアップ・テンポ・ナンバー、「No One Does it Better Than me」。ちょっとNazarethの「Razamanaz」を思い出す。なんの飾りもない曲だけど、4度進行する展開部はやっぱりロックの醍醐味を感じさせてくれる。

「No One Does it Better Than me」…その通り。今こんなにカッコいいロックができるのはELECTRIC MARYだけかも知れんて。

下手ギターのBrett Wood。

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4曲目は「Luv Me」。Sladeみたいだな。コレもミディアム・スローのへヴィ・チューン。『Down to the Bone』にスタジオ・バージョンが収録されているが、これは今年7月に日本で発売された『From the Vault』のライブ・バージョンの方がいい。真ん中の観客との「♪Luv Me」のかけ合いのところがすこぶるカッコよく、そのまま「Gasoline and Guns」と題名を告げて次の曲に入るところなんざ、アータ、鳥肌もんですよ!

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上手のギター、Pete Robinson。

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このマーシャルでのライブも「Luv Me」~「Gasoline and Guns」とつなげているところをみるとCDの内容と同じことを演ったのだろう。

「Gasoline and Guns」の最後の部分は「Toys in the Attic」あたりのころのエアロスミスを連想させなくもないが、それがどうした、何の文句があろうか!…って自分でフってんじゃんね~。

6曲目は「Hey Now」。『III』と『From the Vault』に収録。静謐なバラードかと思うと、当然のごとく途中で激しく豹変する。このバンドはこうした重くひきずるようなミディアム・へヴィのナンバーが実によく似合う。

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それも、やはりこのヘヴィなリズム・セクションによるところなのであろう。

ベースのAlex Raunjak(出身はドコ?)。

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ドラムのVenom。ヘヴィな割には小回りのきく有能なドラマーだ。当然NATALを使用。

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続いてまたセカンド・アルバム『Down to the Bone』から「Do me」。こもミディアム・テンポ。さっきから同テンポの曲が並んでいるが、まったく飽きることがない。曲のクォリティが高く、極めて演奏能力が高いうえに、ボーカルの「声」がよく、ギター・ソロがツボ得ているからであろう。要するにロックの重要なエッセンスがすべて入っているのだ。「もっと聴かせてくれ!」と言いたくなる。

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次に演奏されたのは「Helter Skelter」。そう、あの「Helter Skelter」。『From the Vault』収録。実は最初これを聴いた時、いっちばん最初ですよ、正直日本のThe Whoozeの演奏の方がカッコいいと思った。ところが、聴き進むうちに、やっぱコリャ、このラスティって歌い手がスゴイと唸ってしまった…。

それとね、このバンド1曲の尺が実にいいんですよ。長くもなく短くもなく…あ、もうちょっと、ホンノちょっとでいいからもっと聴きたい!…っていうところで曲が終わるようにできてるの。コレ、絶対に時間を決めてアレンジしてるよ。このあたりはかつてのVan Halenのようだね。

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9曲目は『III』のオープナー「O.I.C」。久しぶりにアップ・テンポ・ナンバー!ク~、気持ちいい!

それと思ったのは録音の状態。さすがに70年代そのままではないが、かなりそれ近く、若干低域を持ち上げた程度のミキシング具合でドンシャリ感はほとんどない。とても聴きやすい。ギターの音もベースの音も隅々まで何やっているのかがよく聞こえる。今の音楽で育ってきた若い人たちに「コピーして演ってごらん」って言ってもできないだろうナァ。

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1曲を挟んで「Right Down to the Bone」。何だ、このリフ?こんなのありかよッ?いいな~、観たかったな~。なんだってこんなにカッコいいんだろうね~。あ~若返る!こんなに元気を与えてくれるバンドは他にSCANDALぐらいしかないかもよ!

わかった!それとこのバンドのキレをよくしているのは歌詞のリズムだ。もちろんアタシ程度の英語力じゃすべて聴き取ることなんて不可能だけど、わかる。ハードなギター・リフに乗せたストレートな歌のメロディが音のよい単語の連続によって聴くものに快感を与えているのだ。「You get under my skin, right down to the bone!」なんてさ、キモチいいじゃん?

これはコール・ポーターの「I've got you under my skin」のヒネリかな?この曲は「あなたはすっかり私のもの」という邦題がついているんだけど、英語の意味は「私の肌のなかにあなたがいる」っていうくらい好きだという意味。このMaryはそれを通りすぎて「骨」まで到達しちゃってるということ…でしょう。もしこのバンドがコール・ポーターを意識してこの曲の歌詞を書いていたとしたら、また点数上がっちゃうよ。

なんでこういうバンドがいなくなっちまったんだ!昔はこういうバンドがいっぱいいたんだぜ!飽きられちゃったのね。みんな同じことを一斉にやっちゃうもんだから。そういう意味ではちょっと前のThe DarknessがそうだったようにElectric Maryが「はきだめに鶴(失敬!)」状態になるかもしれない。何とかうまくやってもらいたいナァ。

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アンコールは『Down to the Bone』のキラー・チューン、「Sorry」。イヤイヤ、それはこっちのセリフ。本当にマイリましたよ。アータ方には!これも歌詞がメッチャ気持ちいいな。この歌詞の気持ちよさってものすごく重要で、ビートルズの音楽の大きな大きな魅力のひとつはここにあると思っている。もし、今英語がさっぱりわからないでビートルズを楽しんでいるとする。で、英語をマスターしてまた聴けば間違いなく今の50倍は楽しめると思う。

あ~とにかく聴けば聴くほどカッコわ~。

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…といつものマーブロのライブ・レポと同じように書いていかにも自分が観てきたかのようだけど、その場にいたワケではないの。写真はホンモノだけど感想はCDを聴いてのものです。

でもね、この記事を読んで一人でもElectric Maryの音楽を聴いていただけたらメチャクチャうれしいです。

どうもThe DarknessやThe Answer以降この手のバンドが出てきそうもない。とにかくブリティッシュ・ロックがしっかりしてもらわないと困る。ギター・ヒーロー出してよ、イギリスから!

でも、もうこうなりゃイギリスもアメリカもオーストラリアも関係ない!「ホンモノのロックは何か」に対する答えは案外南半球から出されるのかも知れない。その答えにはMarshallというキーワードが含まれていることは言うに及ばないであろう。

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もう一度現在入手可能なELECTRIC MARYCDの作品をみておくと…

セカンド・アルバム『Down to the Bone』

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『ELECTRIC MARY III』
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そして『From the Vault』。

どれも素晴らしい出来だ。

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そして、これらのアルバムを日本で配給しているのがHYDRANT MUSIC。これまでにもBIG ELFやTHE UNION、3 Inched of Blood、国内のバンドでは紫、等々良質のロック・アルバムを日本に紹介しているレーベルだ。リッチー・ブラックモアの息子のJ.R.BlackmoreのアルバムもHYDRANT MUSICから配給されている。

そして、今日のELECTRIC MARYの他にもいいバンドを教えてもらったので最後に少し紹介したい。

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これもオーストラリアのバンドMT DYNAMITE。このバンドには驚いたわ。さすがの私も「君たち、若いんでしょ?こういう音楽でいいの?」というくらいトラディッショナル。決してポップというワケではないのだが、メジャーのへヴィ・ロックなのだ。印象としては、昔、ゴリゴリのハード・ロック・バンドが重苦しい曲の合間の清涼剤的に挿入する聴きやすい気軽な曲ってあったじゃない?あれの連続。でもね、これってひとつの今の音楽のスタイルではないか?という気もしてる。

つまり、70年代のロックの黄金期のエッセンスを丸ごといただいて、若い人の感性で楽しく好き勝手に作っちゃった…みたいな。楽しくカッコいいバンド。

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これはいいバンドですよ。LA出身。前のマーシャル・ブログにも登場した。アレ、なんだっけなぁLOUD PARKだったかな?私も写真を撮らせてもらった。惚れちゃってネェ。ジャケットもヒプノシスでね。このCDは、そのアルバム「PRESSURE & TIME」に、新たに2曲のボーナス・トラックを追加して、2011年「High Voltage(行きたかったな~、これプレス・パスももらえたのよん!)」でのライヴ映像やプロモーション・ビデオなどを収録したDVDをカップリングしたCD+DVDの2枚組デラックス・ヴァージョン。
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スンゲェな、バスドラ。これはすでにUKロック・チャートで第一位を獲得したRIVAL SONSのニュー・アルバム『Head Down』。今回もジャケットがいいな。マイナーなイギリスのプログレ・バンドみたいで…。

このバンドは70年代というより60年代の香りを強く発しているところが大きなチャーム・ポイントだな。それが少しもノスタルジックでもなんでもない。別に新しくしている必要もない。ただのカッコいいロックだ。それが一番!彼らがやりたいことが前作よりハッキリした。これはいいもちろん意味で言うんだけど、ハイパーなオールディーズって感じすらする。1曲1曲が輝いている。

な、なんだ、この7曲目…「All the Way」っての。これはカッコよすぎるでしょ?!もういい加減にして欲しいわ~。

でもね、あの「オールディーズ」ってあるでしょ?ニール・セダカとか、コニー・フランシスとか…あのあたりの曲ってもはや人間が作ったものとは思えないぐらいいい曲ばっかりなんだと思うこの頃なんですよ。もう人類はあのようないい曲を量産することはできないんだろうな…とテレビを見ていると、いつもそんなことを思ってしまう。もう60年も歌い継がれてるんですよ。今のテレビに流れている曲は来年には誰にも覚えてもらっていないではなかろうか。

今から50年経って、テレビがまだあったとしても「懐かしの平成メロディ!」なんて番組は到底作れない。恐ろしいことです。その時歌われているのはきっと「木綿のハンカチーフ」なんですよ、きっと!

とにかくボーカルのジェイの魅力が充満している。素晴らしい声だ。でも、このひと、歌っている間、前髪で顔が隠れちゃって写真撮りにくいんだゼ~!

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実はMY DYNAMITEもRIVAL SONSも今はMarshallを使っていないけど、いいロックだから紹介した。いいじゃない!どうせマーシャルがなければできなかった音楽をやってるんだから!孫悟空と同じで所詮ジムの手の平からは抜け出せない。なんか、あのマーボンの制作をしてからますますマーシャルが、そしてマーシャルが作った音楽が愛おしくなったよ。

今日の記事を書くために長時間新しいCDを聴いたが、楽しいことこの上なかった。若いの、結構ヤルじゃないか!

みんなでいいロックを聴こうよ!

HYDRANT MUSICの取り扱い商品の詳しい情報はコチラ⇒HYDRANT MUSIC公式ウェブサイト

(2012年12月1日イギリス、ミルトン・キーンズ、マーシャル社内シアターにて撮影 ※The stage photos were taken by Grace Pantony at Theatre of Marshall Amplification plc in Bletchley, Milton Keynes, England.  Many thanks for your hard work, Grace!!)