UNDIVIDE ワンマン・ライブ・ツアー『SAME SIDE』
DELUHI衝撃の解散から1年。
LEDAのソロ・プロジェクト、UNDIVIDE(アンディヴァイド)が注目を集めている。
2012年9月に発売されたデビュー・アルバム『UNDIVIDE』。
UNDIVIDEはギターのLEDAを中心とした3人組のユニット。
ボーカルのKihiro。
ドラムはDELUHI時代からの盟友、Sujk。
サポートでベースのShogo。
同じくDJ(っていうのかしらん?)の中山さん。
LEDAのギター・プレイは相変わらずテクニカルにして抒情的だ。そのプレイを支えるリグを見てみよう。
バンドが変わろうとマーシャルは変わらない。モデルは変わった。
DELUHIサウンドの核ともいうべきLEDAのギター・プレイを華麗に演出した2203KK(下段)はここではスペアになっていて、JCM2000 DSL100がメインに使用されていた。
足元のようす。
ズラリと並んだLEDAの愛器たち。
ショウはもうのっけからバンドと観客が組んずほぐれつの大激情大会。もう頭がクラクラしてくるほどの刺激的な照明がダイナミックにパフォーマンスを演出する。
演奏曲はもちろんアルバム『UNDIVIDE』から選ばれたが、前半がアルバムの曲順通り。いかにアルバムの出来に自信があるかがうかがえるというものだ。それとも曲順を考えるのが面倒だったのかな?イヤ、決してそんなことはないハズだ。
だから1曲目は「400 DAYS」。いきなりLEDAのぶっといギター・サウンドが飛び出す。
執拗に観客をあおるKihiro。本当にボードを使ったクラウド・サーフィンには驚いた!
どの曲も強力に観客を押さえこむかのような重圧感で、息をつくヒマもない!
2曲目は「THE CATALIST」。この曲が一番印象に残った。ギターの「♪ピロリロ」が耳に残るのだ。へヴィなギター・リフも気持ちいい。
しっかし、ドラムの役割もずいぶん変わったもんだ。ギターの早いパッセージとバスドラをシンクロさせる手法など昔は絶対なかったものだ。ツイン・ペダルの進化という機材の恩恵もあろうが、ロック・ミュージックにおいてギター・リフの地位が低下したせいもあるのだと思う。ドラム・サイドから見れば、リズム楽器がメロディ楽器の分野へ進出したということになるのだろうか。
実際、これだけペダル踏むのは大変だ。Sujkのキレのよいドラミングだからこそこのアレンジが生きる。
ステージ下手奥でもくもくと作業を進める。UNDIVIDEサウンドを分厚くしているのだ。
確かなテクニックとエキサイティングなステージ・アクションが素晴らしかったShogo。こうした音楽では低域の重さとクリアさがモノをいうからね。実にいい仕事をしている。
もう見ていてノドと血管(こめかみのあたり)が大丈夫なのか?と余計な心配をしたくなるようなパフォーマンスのKihiro。
憔悴しきったところに尚激しい曲を重ねていく姿にすさまじさを感じた。
ドラムだけではない。プレイング・スタイルというか、役割というか、アレンジというか、ギターのポジションもずいぶん変わったナァ。私のオールド・ファンには自分でもいつもギャーギャーいっている通り好みが分かれるところでろうが、LEDAくんはカッコいいと思うね。理由は最後に書くことにする。
DELUHI時代、アンコールでLEDAのアコギとデュエットした時の演奏が忘れられない。あれはカッコよかったな~。
今日のドラマティックなドラム・ソロも最高にカッコよかったSujk。DELUHIのデビューから見ているが、この人の成長ぶりは素晴らしい。
ギター・ソロに一段と大きな歓声が集まる。やっぱりマーシャルの音って抜けるな~。こうした新しいタイプのギターにも完璧にロック・フィールをブーストしてくれる。
全力投球で歌い切るKihiro。時代は変わってもまったく変わらないのはへヴィなロックのボーカルはキツイ…ということだ。いかにも燃え尽きんという姿が観る者に感動を与える。
本編15曲。汗みどろの強烈なステージのフィナーレ!
ハロウィン近し。Jack O Lantern姿でアンコールに登場したKihiro。
アンコールではかつての愛器を弾いてみせたLEDA。
実はLEDAくんとはお付き合いも長くさせてもらっていて、DELUHIのデビュー前からの彼の変容ぶりもずっと見てきたつもりだ。LEDAくんがカッコいいのは、昨日今日ギターを始めてタマタマうまくなっちゃったなどという(そんなのいないと思うけどね。ま、例えば…の話し)のではなくて、キチンとロックを聴いていることを感じさせてくれるところなんだな。
それはどういう意味かと言うと、「ブルース」なんですよ。ブルースの香りをUNDIVIDEで前面に押し出したりすることはLEDAくんはしたりしないけど、ア・カペラのギター・ソロ(これをいつも楽しみにしている)なんかではそのあたりをソツな見せてくれる。そして、その姿が至極自然なのだ。だからカッコいい。
私は熱心なブルース・ファンであったことは生涯で一度もないが、やっぱりロックはブルースだと思うね。プログレッシブ・ロックはブルースの極北と定義づけられているけど、King Crimsonだってブルースを演奏しているし、その総帥、Robert FripはPeter Gabrielのファースト・アルバムで泣きのブルース・ギターを弾いてもいる。ロックはブルースなのだ。
それゆえこのバンドは楽しみだ。
それにしてもロックは変わった…イヤ、変わっていない。ロックが変わったところは、ブルースが忘れ去られたことぐらいで、変わったのはアレンジだけのような気がする。その方法も完全に限界に来ているようにも見える。
マクロ的にロックの歴史を俯瞰すればパンクもニューウェイブもさして新しかったとは思えない。教条的に過ぎるかもしれないが、今のロックの閉塞性を打開するには、やはり温故知新しかないのではなかろうか?
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