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2014年11月14日 (金)

新しいMarshallの本!~The History of Marshall The First Fifty Years

2012年に創業50周年を迎えたMarshall Amplification。その節目を記念して大コンサートを開催したり、記念の限定モデルを発売したりしたことはみなさんよくご存じの通り。
それだけではなく、Marshallに関する書籍も発売されている。

10Marshallに関する書籍といえば、まず真っ先に思い浮かぶのは『Marshall Chronicle~50th Anniversary Edition(シンコー・ミュージックエンタテイメント刊)』(…だとうれしい)。
2012年12月に上梓されたいわゆる「マー本」。
日本人らしいキメの細かい内容で、一部のミュージシャンの間では「大人のエロ本」として愛でられていたらしいたことは記憶に新しい。

日本で唯一のMarshall社の社員として編集に参画させて頂き、文章の執筆だけでなく、企画を取り上げて頂いたり、掲載されているほとんどの写真を私が撮影したもので埋め尽くして頂いた。
私も、Marshall人生のひとつのまとめとして、また新たな勉強の機会として、徹底的に取り組ませて頂いた。
特にジムの波乱の生涯を柱にした「Marshallの歴史」に関するページには力が入り、何度も何度も読み直し、書き直し、考え直してひと夏をかけて完成させた苦心作だった。
このページのためではないにせよ、ジムの生家やMarshallの発祥地となったロンドンのはずれのジムの最初の楽器店への往訪記などは書いていて幸せを感じるほどであった。

それだけに書店に並んだ時はすごくうれしくて、周囲のお客さんの注意を促すよう、この本を開きながら何度も咳払いをしたり、本が後ろに隠れたりしていると、店員でもないのにこの本が前に来るように並べ直したりしたものだ。
この場をお借りしてシンコー・ミュージックエンタテイメントさんや関係者の皆様に改めて御礼を申し上げる次第である

15さて、日本ではギターに関する書籍はさまざまな形で編まれ、流通しているが、ギター・アンプの本となると、技術に関する本がわずかに散見されるものの、アンプという商品に関する本というとかなり少なくなってしまう。
何年かに一度、「アンプの本」的に楽器雑誌の別冊のような形でムックが出版される程度だろう。
そういう意味でも上述の『Marshall Chronicle』は手前ミソながら画期的な書籍だった。

しかしね~、アンプがなきゃギターはどうすんの?
時代の潮流なので、レコーディングならまだしも、ライブで卓に直接なんてダメよ、ダメ、ダメ。ドンとギターの音を風で受け止めなきゃ!
そこへ行くとKeith Richrdsはエライ。ダテに長いことThe Rolling Stonesやっちゃいネェ。
「ギターのことばっかり話しているけどよ、Leo Fenderが本当に偉大な知友はギター・アンプを作ったことなんだよ。そこんとこ夜露死苦」…このようなことを言ってらっしゃる。さすがのご慧眼である。

そのあたり、やはりアンプについての海外の認識や事情は違っていて、Marshallひとつ取ってもいくつかの書籍が流通している。
コレなんかはBluesbreakerに関することだけを扱った一冊。もちろん読んだ。結構おもしろい。

16これはおなじみ、英語版が輸入されて『爆音の父(The Father of Loud)』としていくらか出回っている。
コレは一体何回読んだことか…。Marshallの本ということもあるが、主役は半分Jim Marshall。
以前にも書いたが、工場へ行くたびにジムがサインを入れてお土産としてプレゼントしてくれるもんだから、ウチには裏表紙に「To Shige Jim Marshall OBE」と書かれたこの本が5冊ぐらいあって、宝物として大切に保存してある。(サインは後にDr. Jim Marshall OBEとなった)

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ちょっと脱線するが、みなさん「Jim Marshallの本」ということでお間違いなきようにして頂きたいのはコレ。
フォトグラファーのJim Marshallの写真集。
下の2冊はこれまた私の宝もので、繰り返し眺めてはライブ撮影のためのインスピレーションを受けている。

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19話しは戻って…
Marshallの本として長い間バイブル的に扱われてきたのコレ。「THE HISTORY OF Marshall(Hal Lenard Corporation刊)」。
コレもこれまでどれだけお世話になったことか…ボロボロになっちゃった。
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先の「The Father of Loud」が出版される前は、工場のお土産はこの本だった。実際に私も2002年にジムから直接プレゼントして頂いた。
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当時はもっとも立派なMarshallに関する本だっただけに、Marhall社としても大切に扱っており、こんな専用ケースまであつらえていた。
この本も英語版の原著は輸入されたものの、日本語版は結局刊行されなかった。

まぁ、いくら勉強しても英語で本を読むのはよっぽど「勉強するゼイ!」的な、ダイエットに挑む級の決心がなければなかなかにシンドイもんでしてな。英語キライじゃないけど、私だってイヤだよ。
だから日本語版の出版を望む声も多かったハズだ。

ところが、この本も1993年に出版されて以来改訂版が刊行されず、JCM900がもっとも新しい商品として扱われている、もはや古文書的な存在になっていた。

20それが、それが、それが!
装いも新たに日本語版が出ちゃうんだぜ!
じぇじぇじぇ!もはやこの快挙、「倍返し」どころの騒ぎじゃない。ワイルドだろう?!

著者は1993年版を表したMike Doyle。それにわが友、Marshallでアーティストやマーケティングの担当しているNick Bowcottが加わった。
Nichはご存知NWOBHMの旗手のひとつ、Grim Reaperの創始者であり、ギタリストだ。Nickとはお互いにTDMF(私)とADMF(Nick)と呼び合う仲。
Nickは大のMarshallマニアで長年にわたってMarshallを内から外から両面で見続けてきた人だけにここでも健筆を奮っている。

今回私は日本の出版社さんのご用命を受けて、全面的に監修のお仕事を頂戴し、苦しませて、イヤ、楽しませて頂いた。

150_2 見て!この厚さ!英語版原著のページ数は392ページにも及ぶ。
今や厚い部類にはいるであろうiPnone4Sがはるかに薄く見える!

55今回は、サブ・タイトルの「THE FIRST FIFTY YRAS」が示すように、Marshallの創業50周年を記念して上梓されたもので、思いっきり最近の情報まで盛り込まれている。
1993年版同様、シリーズごとに商品の詳細が解説されているが、前回はJCM900で終わっていたのに対し、今回は新DSLシリーズまでを網羅している。

そして何よりスゴいのは写真。
オールカラーなのだ!カルメンもビックリの総天然色!

60
何しろ以前のヤツはカラー・ページが挿入されてはいたものの80%以上の写真がモノクロで役場の書類みたいだったからね。

Capriの愛らしい赤も、Mercuryの美しいオレンジ色も…

80
6100の誇らしげなゴールドシャシやクールなブルーのカバリングも…

90
さまざまな広告もすべてカラーで再現されているのだ!
100

それとね…ココだけの話し…写真自体がスゴイのよ…。
私も何度も工場へ行っていろんなものを見せてもらって来たけどね、初めて見る写真がテンコ盛りなの。
「Marshall Chronicle」を編む時にもJimのかつての執務室(会長室)に入り込んで部屋の隅に積み上げられていたメッチャ古い販促物なんかをヒックリ返して見せてもらっったんだけど、今回この本を見て思った…「チッ…出し惜しみしやがって…」ってぐらい。
実はコレにも理由があって、今回の制作にあたってMarshallが管理している写真だけでなく、今回のために、外部からも個人蔵を含む多数の写真を集められたのね。だから決してあの時出し惜しみされてたワケじゃないということもわかった。

ハッキリ言って写真を眺めているだけでもこの本の価値があるってもんでわ。
と思ったらアータ、今回は日本語版が出るんじゃないの!
コリャ文句のつけようがないでしょうに。

70おかげで今、校正で第二の地獄を見ております。

第一の地獄は監修の作業。これがですね、ヨシャいいのに原文にはたくさんのロックや海外の文化に絡めた隠喩が使われていて、翻訳者さんがいくら正確に英文を訳してくれていても、文章を読んで意味が通じない。これを読み解くには、辞書と他のMarshallの本と、一番頼りのインターネットと都度格闘ですよ。もちろん原文もよく読まなければならない。もちろん一冊読破しました。
で、辞書でもインターネットでも、どうしてもわからないミュージシャンの専門用語のような部分はイギリスとアメリカの友達にメールをして教えてもらった。Nickやマーブロによく出て来るSteveにもずいぶん助けてもらったワケ。

またね、冗談が困るんですよ。原文でいくらうまい冗談を言っていても、日本語に訳すと何の意味もなくなっちゃうでしょ?もちろんそれを生かそうと四苦八苦したけど、うまくいくワケがない。
特に多いのがロックの名曲にひっかけるヤツ。おかげさまで、古いネタはほとんどわかるんだけど、邦題がガッチリ普及していたり、訳すと「何のことやら?」になってしまう。

これはね、結局は極上の神戸牛をハンバーグにしちゃうようなもの。だから海外の映画や音楽でどれだけ損をしているかわからない。
余談だけど、映画の字幕はスゴイ。プロから聞いたことがあるが、一般に、一行に14文字、1秒に6文字読むことを計算して日本語を付けているそうだ。みなさん何気なく字幕を読んでいるだろうけど、一流の翻訳家はこんな厳格なルールに従って字幕を付けているのだそうだ。これに不可解な冗談を織り込むんだから翻訳のウルトラCだ。
反対にスゴイのあるでしょ。比較的マイナーなミュージシャンの映像作品なんかに見られる一行30字ぐらいで三段積みになってたりする字幕。般若心経か?みたいな。
『スパイナル・タップ』とかZappaのなんかもヒドかったな。
ただ、映画の場合は聴きとる作業はなく、英語の台本が送られてきて時間があれば机上でジックリ訳を考えることができるそうだ。。

…ということで完成のあかつきにはそんな苦労も読み取っていただけるとありがたい。

110表紙は日本版オリジナルで、タイトルとしては『アンプ大名鑑 <マーシャル編>』ということになる。<マーシャル編>というのは先に<フェンダー編>という本が出ているため。
Keithのセリフの通り、FenderはMarshallの大先輩だし、JTM45の元はBassmanということはよく知られている話し。だからコレでいいのだ。

で、当然表紙をここでドーンとお見せしたいところなのだが、現在制作中。昨日ウチのハンブルなスタジオで私が使用する予定に写真をリクエストにお応えして撮影した。使われるかどうかわからないけど、コレもゼヒお楽しみに!

120_2Marshallは音を出す機械で、この爆音がロックを変えたことは否定しようのない歴史だ。それもジムなりに音楽の将来を予見して、ミュージシャンのリクエストやアイデアを具現化させただけなんだけど、いずれにしてもLeo Fender、Les Paul、Seth Loverの偉業に比肩する業績を残したことは事実だ。

この本の仕事をしている間、何百枚というMarshallの写真を見ていて思った。
StratocasterもLes PaulもP.A.Fもナニがいいってどれも例外なく見た目が抜群にいいよね。絶対に古くならない。
やっぱりとりわけMarshallは素晴らしい。
黒、金、白、一点の赤…これは、ミッキーマウスの黒と白と黄と赤と同じだ。これしかあり得ない。色だけでイメージを作っている。これはギターと大きく違うところだね。
そして流麗なMarshallのスクリプトロゴ。
ギター・アンプ数あれど、どんなに離れていてもMarshallだけはMarshallとわかる。
ハッキリ言わせてもらうけど、やっぱりMarshallが一番カッコいいよ。
したがってMarshallがステージで大活躍するロックがもっともカッコいいことも事実だ。
先に挙げたパイオニアたちのブランドとともに音の面でも、見た目の面でもMarshallはロックを格段にカッコよくしたのだ。

130v_2さて、この本のリリース情報。

タイトル : アンプ大名鑑[Marshall編]
著 者  : マイケル・ドイル、ニック・ボウコット
監 修  : 牛澤 滋由貴
訳 者  : 水科哲哉、脇阪真由
発 売  : 12月19日(金)予定
定  価    :  4,860円(税込)
出版社  : スペースシャワーネットワーク
体 裁  : B5判/並製/400頁強(オールカラー)、限定2,000部
 
詳しくはコチラ⇒amazon.com

ジムも今回の日本語版の出版をよろこんでいることだろう。
「日本の皆さんワシのMarshallをよろしくな…フォッフォッフォッ」…なんて声が聞こえてきそうだ。

M_img_0030クドイようですが下は英語版。表紙は差し替えられます。完成次第お見せします。

150音楽好きの彼にプレゼントするもよし、女流シュレッダーの彼女とのクリスマスの話題にするもよし、イングリッシュ・エールを飲みながらおコタに入ってジックリ読むもよし…。
みなさん、泣いても笑っても2,000部の限定です。
シッカリ校正やっときますんで、どうぞよろしくお願いします!

M_ale_