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2014年1月25日 (土)

NAMM 2014 <後編>

さて、後編。

…と、その前に。
滞在3日目にして日本食かなり恋し…。20代の頃はステーキだのハンバーガーだのさえあれば何の文句もなかったんだけどね~。毎食肉でもよかったのに…ところが!
ああ、白い炊き立てのご飯と納豆、アジの開きが恋しい…。味噌汁と漬物はなくても平気。

年齢を重ねるごとにいかに日本人が毎食(ここが肝心)おいしいものを食べているかを痛感するね。
で、海外に来て特にマイッちゃうのが朝食。
ホテルにいるから仕方ないんだけど、スクランブルエッグにカリカリのベーコンにフワフワのソーセージ。それにハッシュド・ポテトか…。味付けは塩かケチャップじゃん?ソースすらない。

イギリスにはソースあります。ところが読み方が難しい。「Worcestershire sauce」といって「ウィスターシャー・ソース」みたいに発音する。何でも昔々「ウスターシャー」のオバサンが発明したそうだ。つまりウスター・ソース。

ちなみに「shire(シャー)」というのはイギリスの行政区画のひとつで、「州」みたいなイメージ。MarshallがあるMilton KeynesはBuckighamshaireに属している。
レストランなんかで「ソース」を頼むと「何のソース?」と訊かれるので「ウィスターシャー・ソース」と言わないと我々が想像するソースは出してもらえない。
味は日本のより甘目。犬のマークのソースの方が断然ウマイ。

いかん、脱線した。
で、朝飯でもうゲンナリしちゃうんですよ。おまけにアメリカのホテルでは食パンを見かけることが少なくて、クロワッサンとか丸いヤツとか激甘の菓子パンかフレンチ・トーストばかり。食えん…朝からあんな甘いもん!キュウリも太すぎる!

またぞろイギリスに話しを飛ばすと、イギリス人は食パンをよく食べる。でもイギリスパンというものはない。むしろ日本のものよりやや小ぶりで薄切りで食べるのが普通。

イギリスにウマイものがないのは認めるが、食パンは麦の薫りが強くて総じておいしい。それにペロッとハムとかサラミを挟んで食べればかなり我慢できる。それに非課税だからかメチャクチャ安い。アレなんというサイズなんだろう…50cmぐらいの長さの食パンが£1(180円弱)だからね。
イギリスでは、さもなくばシリアルと果物ね。つまりイングリッシュ・ブレックファストだけは避けてる。あんな油のかたまり、夜でも食えんわ。


納豆、焼き魚、海苔、卵、味噌汁…なんて日本の朝食って贅沢でおいしんだろう!あ~ハラ減った。

ひと通りこぼしたところでMarshallブースへ戻ろう。
今やMarshallはMarshallだけではなくて、ドラムのNATAL、ベース・アンプのEDENを擁していることはマーブロ読者の皆さまならご存知のことだう。
今日はMarshallブースのMarshall以外のブランドのレポート。

140_2まずはNATAL。

145ちょっと前までは「ナニこれ?」的な存在だったが、今では浸透度も増し、かなり多くの人がジックリと商品をチェックしていた。

150v それものそのはず、NATALを取り扱っている数か国のMarshallのディストリビューターの友人に訊いてみると、やはりすごく評判がいいようだ。
理由はコスパ。
「値段の割には品質がよい」と好評だ。

160v展示されていたウォルナットのキット。ウォルナットのキット自体はすでにラインナップされているのだが…

170_2このモデルはハードウェアが「Brushed Nickel」という特別仕様になっている。

180これも同様。

190ちょっとしたスペックの違いで全体の雰囲気がガラッと変わるから面白い。

200こちらはNATAL自慢のPure Stave Snareシリーズ。コレ、スゴイよ。
モノスゴイ音が深い。ギター族の私でもすぐわかる。
実際にこれまで日本のドラマー数人に試していただいたが、メッチャ評価が高い。

210「Stave(ステイブ)」とは「桶(オケ)」という意味。
見るからにいい音がしそうでしょ?これがホントの「オーケー」…ナンチャッテ!

230Pure Stave Snareは材料をプライ(層)ではなくタテに組み込んだ構造になっている。すなわちコンガと同じ製法だ。
もともとNATALはパーカッションのブランドだ。その技術がここに生きている。

240パーカッションやペダル類も展示している。ここでのパーカッションの展示数は多くはないが、カタログ上では代表的なパーカッションはラインナップしている。

250このカホンもそのひとつ。
NATALのカホンはリッチな音色で評価が高い。また「NATAL」のロゴが本体にうまく溶け込んでいる。

260もちろんコンガも健在。
NATALは、もともとは60年代中ごろにアラン・シャープというパーカッショニストが市販のパーカッションに満足できず自前で作ったコンガやボンゴが発祥となっている。それだけにこのあたりのパーカッションはお手の物だ。

270v屋根にも展示はいいのだが…

280コレ、片づける時大変なのよ!

※NATALドラムは、「高田馬場駅から徒歩2分、走って1分、ほふく前進で10分、でんぐり返しではチトきつい」、バズーカスタジオにてお試しいただけます。今ならStave Snareも試せるよん。
詳しくはコチラ⇒BAZOOKA STUDIO公式ウェブサイト

290そしてEDEN。

300今回はEDENも新商品はないのだが、目玉はコレ。
300WのヘッドWTX264と1x12"のキャビを組み合わせたEGRW1264。キャリング・バッグつき。これがアメリカでは大ウケ。

Nm_img_0019 それとこの2×10”キャビネット、D210XTが売れているとのこと。

Nm_img_0022それとこのI-90。ベース用のコーラスだ。

Nm_img_0021しかし!この冷蔵庫はおっそろしいほどの人気だね~。一体一日何人の人がこの扉を開け閉めしたことやら!ま、開けてみたくなるわな、コレ見たら。

Nm_img_0024 人気のMarshallグッズも展示。
写真右のカウンターではカタログを入れるバッグを販売している。これがまたアホほど売れる!
ワタシもフランクフルトでは何回かコレの販売員をやったけど、ホント、鼻クソほじる時間もないほどひっきりなに売れちゃうの。

340Marshallはそのバッグの売り上げで「ウハウハ」するわけではなくて、すべて寄付に充てられる。ここにもJimの精神が息づいている。
今回はJoe Satrianiとともにパーキンソン病の研究に取り組んでいる「マイケル・J・フォックス基金」に謹呈されるのだ。

ちなみにマイケル・J・フォックスというのは芸名で、彼、つまりマーティ・マクフライの本名はMichael Andrew Fox。で、デビューする時に同姓の俳優がいたことより他の名前を付けざるを得ず、自身が大ファンだったマイケル・J・ポラード(Michael J Pllard)の「J」をいただいた。
ポラードは『俺たちに明日はない』でクライド・バーロウとボニー・パーカーの子分を役を演じた人…といえばわかるだろうか?あの小柄の運転手。ポラードもよかったけど、ジーン・ハックマンもよかった。
象を連れてスイスへ亡命する捕虜を描いた『脱走山脈(Hannibal Brooks)』もすごくよかった。コレ、調べてみるとイギリス映画だったんだね。昔の映画はホントにおもしろかった。今の映画と比べると脚本の出来が天国と地獄だ。

350v先日Marshallのウェブサイトが大幅にリニューアルされたという号外を出したが、2014年からMarshallはそうした宣伝材料のすべてのイメージを一新し、ブランドの統一性を強調するようになった。
このカタログもその一例。
表紙を見ただけでも今までのカタログとは全然違うでしょ?中身はもっとイメージチェンジしている。あの目玉男が表紙のカタログが懐かしいね。

360v今回はサイン会等のイベントはなし。
気のせいか、曜日のせいか、どこのスタンドでもアーティストの姿が例年よかなり少ないように感じた。
あ、またウリにはバッタリ会って、ハグハグしてくれながら「今年は日本に行くよ!」と言ってたよ。

ところで、このNAMMショウというのは純然たるトレイド・ショウで、一般のお客さんは入れないことになっている。って知ってた?
つまり、基本的には楽器のを売り買いを生業とする人たち、または音楽業界関係者しか入れないことになっている。ホンマかいな?
辺りを見回すと、どう見てもそうではないような人たちでゴッタ返している。このような傾向がどうも年々強くなっているようだ。
私はNAMMに出入りさせていただくようになってからたがだか15年程度だが、昔は間違いなくこんなに混んでいなかったように記憶している。
基本的に毎年1月のどこかの木曜日から日曜日まで開催されていて、ま、土日は昔から尋常ではない混み合いを見せていたが、木&金曜日は比較的ユッタリとしていて静かだった。

それがここ数年は初日からものすごい混みようなのだ。もう阿鼻叫喚の雑音地獄!今年は耳栓忘れてシンドかった!年末のアメ横もビックリよ。あれで「ハイ、千円でいいよ、ストラト3本で千円でいいよ!」なんてやってくれたらうれしんだけどね。

「リーマンショックも和らぎ、景気も回復基調でNAMMもにぎやかになってきた」と言えば聞こえはいいが、そうではなくてただただ雑然と混み合っている…という雰囲気なのだ。
そういえば去年のNAMM!何か変だなと思ったら日本へ帰ってさぁ大変。思いっきり熱を出して寝込んでしまった。後日ウチの社長に聞いたらイギリスから来たスタッフ10人のうち8人が倒れたとのこと。悪性のNAMM菌が会場内に充満していたのだ。マッチガイない。
開口部が極端に少ないから換気もすこぶる悪い。
それでうるさいもんだからみんな大声で話すでしょ。すると唾がいいように飛び交っちゃって、ウイルスでも発生しようもんなら簡単に飛沫伝染しちゃう。くわばらくわばら。

NAMMの本名は「National Association of Music Merchants」といって設立が1901年ときてる。メッチャ古い!
私が若い頃、そうね、70年代の一般人で「NAMM」なんて知っている人はまずいなかったんじゃないかな?
雑誌にも今みたいに簡単に「NAMMレポート」なんてのは見かけなかったような気がするな~。
それが今では楽器をやる人なら「あ、シゲさんナム行くんスか~?いいナァ~!」なんて知らない人がまったくいなくなったような感すらするよね。
それだけ浸透したとよろこぶべきことなのではあろうが、この混みようだけは何とかしてもらいたい!
一般のお客さんが入っているのを承知しているのなら、逆にフランクフルトのMUSIK MESSEのように週末だけ一般開放するとかして平日は厳然たるTrade Showにしたらどうかね。

ま、いろいろあるんでしょうな。Larryも大変だ。

もうちょっと。
このLarryというのはNAMMの会長さん。私の仲良し。イヤ、正確にいうと仲良しが会長に就任されたんだけどね。
実はこのLarry、お嬢ちゃんが世界的なプロのアイリッシュ・ダンサーで、数年前に来日した。その時のレポートをShige Blogにアップしているのでチェックしてみてくだされ。アレは絶対また観たい。
Shige Blog : 驚愕のアイリッシュ・ダンス!

あ、そういえばHappy Traum夫妻に会った。HappyはBob Dylanより前に「風に吹かれて」をレコーディングしたウッドストックの重鎮だ。亡くなった弟と組んだHappy & Artieも有名。ディランとデュエットもしている。
1969年、例のウッドストックでサブ・ステージに出演する予定だったが、家を出て、あまりの人混みでとうとうステージまでたどり着けなかったという…なんて話しをして東京で夫妻と楽しく過ごしたのが2001年のこと。
なぜ2001年とハッキリ覚えているかというと、彼らが来日したのが9月のことで、例のNYCの9.11が起きてしまい、アメリカへ帰れなくなってしまったからだ。
「どうしよう!」と相談されたが、どうにもできない。放っておくワケにはいかないから、とりあえずソバでも食べよう…と、アレコレ愕然とするふたりの相手をした。
ほどなく、彼らは何とかポートランドまで行く飛行機を見つけた。取り急ぎ太平洋さえ渡れば何とか帰れるハズと踏んだワケだ。
結果、彼らの読みが当たり、ほうほうの体でアメリカ大陸を横断してウッドストックまでたどり着いた…という報告を受けたのは離日してから数日後のことだった。
なつかしいな~。
Happyの奥さんのJaneは私をハグしながら「あの時のおそばおいしかったわよ!」なんて言われりゃ目頭も熱くなるってものです。「情けは人の為ならず」は本来の意味にしておきたいと思っている。
そう、NAMMは年に一度海の向こうの親友たちと顔を合わせるステキな機会でもあるのだ。

飛行機内のアルコールが有料!というセコイ話題で始まったマーブロのNAMMレポート。最後はNAMMの会長の話しで締めくくるなんて格調高くね?ナンチャッテ!
ああ、ニラそば食べたい。

370(2014年1月23日 Los Angels Anaheim Convention Centerにて撮影)