LOUDNESSのDVD~『PRIME CUT』
実におもしろかった…ジックリ観入ってしまった。
少々時間が経ってしまったが、昨年末に発表されたLOUDNESSのDVD、『PRIME CUT』の話し。
「Prime Cut」というのは「一番いい部分」とか「最もうまみのある部分」みたいな意味があるようだが、このDVDには『MATERPIECE SESSIONS dedicated to Munetaka Higuchi』というサブタイトルが付いている。
これまで数々のライブDVDをリリースしてきたLOUDNESSだが、今回のDVDは史上初のスタジオ・ライブとそのレコーディング風景を収録したもの。
4人が一か所に集まり、古今の名曲を再演し、各自が曲に解説を加えるという興味深いものだ。
もちろん樋口さんへの想いも存分に語られる。
「4人が集まり」…などと言うと奇異に感じるかもしれないが、音源データの受け渡しが容易にできるようになった最近のレコーディングは、別の場所に居ながらにしてレコーディングができるようになってしまった。
よってメンバーが「せーの!」で同時に演奏することがマレになっていることはご存じの通り。
もちろんマルチ・トラック・レコーディングが導入されてからはアナログ時代でも同様の手法、つまり、パート毎に別々に録音することは珍しくなかったが、現在の技術とはレベルが違う。
この『Prime Time』はLOUDNESSのそうした瞬間を捉えており、メンバーもそうした前時代的な手法にロックの録音物の本来あるべき姿を見出したかの発言を作品中で繰り返す。
そして、目の覚めるような素晴らしい演奏。4人が同時に演奏することによって生じる化学反応が顕著に現れている。もちろんその反応を活性化させている触媒はLOUDNESSが世界に発し続けてきた名曲たちだ。
すごくうれしかったのは高崎さんの言葉。
「レコーディングではヘッドホンを使うことが多いが、Marshallの音を身体で受け止めたいので、可能な限りMarshallのキャビネットと同じ部屋で弾きたい」
そして、「耳だけでなく、ロックなので身体で音を受け止めようと気をつけている」
さすが、さすがのご慧眼!けだし名言であろう。
日本人のロック・バンドとして世界への重い鉄扉をこじ開け、ロック・ギター本質を知る者が達し得るロックの摂理。
その言葉に偽りなくこの『PRIME CUT』のレコーディングでもいつものステージと同じバックラインをスタジオに持ち込んでいる。
世界がうらやむTakasaki Rigだ。
最近ではレコーディングではおろか、ステージにもギター・アンプを置かないシチュエーションに出くわすが、やっぱりそういうのは「ロック」ではないよね。アイドルの歌謡ショウだよ。
いくらテクノロジーが進化しても「やった方がいいこと」と「やらない方がいいこと」は区別すべきだ。
こうした高崎さんの考え方や感じ方こそに「ロック」を感じる。
収録曲は;
Stay Wild
Like Hell
Speed
Hellrider
Esper
の5曲。そして、各メンバーの貴重なインタビューが収録されている。
世界を手中に収めた稀有な日本のバンドのロックに対する魂を見たような気がした。イヤ、これは「魂」ではなく、ロックに対する「愛」なのかもしれない。
是非ともコンサート会場に足を運んで生のLOUDNESSの音楽に触れて頂きたいと思う。
イヤ、このDVDを観れば実物の演奏が観たくてウズウズしてくるハズだ!
おススメです。
LOUDNESSの詳しい情報はコチラ⇒LOUDNESS Official Website