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2015年11月27日 (金)

LOUDNESS WORLD TOUR 2015 "THE SUN WILL RISE AGAIN"~30th Anniversary THUNDER IN THE EAST~ in JAPAN

一昨日のこと、タマタマ久しぶりに大阪のロック・ショウ・ビジネスの大御所の方とご一緒させて頂いた。ちょうど帰り道のホテルにその方が投宿されていたので、雨が降っていたこともあって、車でお送りして差し上げた。
道々、こんな話しになった。
「ナゼ、こうまでハード・ロックやヘヴィ・メタルは関西勢が強いのか…」
リアルタイムで、あるいは関係者の中心としてその成り行きをご覧になっていたその方によると…東京では80年代の初頭、ヘヴィ・メタルが受け入れられない風潮が強かったというのだ。
フーム、確かに。
当時はロックが市民権を得ると同時にポップ化や多様化を進め、歌謡界に急接近していたように記憶している。
東京ではその傾向が強く、ハードな音楽が受け入れられにくい状況にあったのだろう。
名前はとても出せないが、それまでトンガリにトンガっていた大好きなミュージシャンが「アララ?どしちゃったのかしらん?」と思わざるを得ないような甘い内容のアルバムをリリースしてガッカリした頃でもあった。
そんなこともあって私はその頃から新しいロックを熱心に聴かなくなってしまったのだが、関西はそんなことはどこ吹く風…お構いなしにヘヴィ・メタルが隆盛を極めていたのである。
信じられない話しだが、今では社会的にも地位を保証されているようなヘヴィ・メタルの大人気グループが東京のライブハウスに出演できず、その方に泣きついて大阪で活躍し、東京に凱旋したこともあったというのだ。
そうして関西出身のヘヴィ・メタル・グループは確固たるポジションを確立し、今も、イヤ今でこそその猛威を振るっていると言っても過言ではなかろう。
現実的にこのMarshall Blogひとつをとってもハードな音楽の話題となると、関西のバンドやミュージシャンがナント多いことよ。
その代表、そして、まず名前が挙がるのがLOUDNESSであることに異論を持つ輩はあるまい。
そして、LOUDNESSは東京どころか、世界でも有数のヘヴィ・メタル・バンドとなり、日本のロック界の頂きに君臨し続けているワケだ。
その世界進出のキッカケとなったのが1985年のアルバム『Thunder in the East』。
15cd

アニメもゲームもなかった時代、音楽だけで世界に挑んだバンドだ。
何回も書いているが、海外の連中とロックの話しをする時、私は本当にLOUDNESSがいてくれたことをありがたく思う。
イギリスやアメリカの連中は別格にしても、ドイツのヤツを相手にすればアイツらにはScorpionsを伝統に据えたメタルの血筋がある上にジャーマン・プログレが盛んだ。
イタリアと来ればPFMやBancoやAreaをはじめとするあまりにも偉大なイタリアン・プログレがある。スウェーデンやフィンランドはヘヴィ・メタルの激戦区だ。フランスならGongやMagmaがいるし、オランダにはFocusやTraceやFinchがいる。
しかし、私には切り札がある…LOUDNESSだ!
Akira Takasakiの名前を連中に出して見ろ!ほとんど水戸黄門の印籠状態なのだよ。
それも『Thunder in the East』というマスター・ワークがあるからなのだ。
今日はそのリリースから30年目を記念してアルバムを再現するコンサートのレポートだ。


開演前のステージに飾られた高崎さんの二本の愛器。

10老若男女を問わず新旧のファンが入り乱れる客席。
客電が落ちた瞬間からいつもとはチョット異なる興奮の空気が会場に充満する。

30ドッカ~ン!まるで雷が落ちたかのようなステージの爆音と大歓声!こりゃタマラン!

40二井原実

50v高崎晃

60v山下昌良

70v鈴木政行

80v世界がうらやむTakasaki Tone。今日も最高のサウンドだ。

90今日はLCフレットの1960は見えないが、高崎さんの傍らには2台のJMP-1を組み込んだいつものラックが屹立していた。

100vオープニングは「Crazy Nights」。
そして「Like Hell」、「Heavy Chains」とつなげる。

110アルバム通りの展開に客席はもう大騒ぎ!

120すさまじい「タッカン」コール!
高崎さんの一挙手一投足に歓声が上がる。

130v「Get Away」、「We Could be Together」、「Run for Your Life」、「Clock Work Toy」とアルバム通りに曲は続く。

14030年前のイメージをよみがえらすビジュアル演出も功を奏した。
当時、リアルタイムに『Thunder in the East』に夢中になった人達は感無量だったハズだ。

190

高崎さんの左足には「神風」の鉢巻きが!当時、どんな気持ちでアメリカに乗り込んだのかを物語っているように見える。

160

「No Way Out」、「The Lines Are Down」…

170vそして、短いMCをはさんで「Never Change Your Mind」。

150v

『Thunder in the East』をそのまま再現したセットリスト。
この快挙に観客の興奮は大爆発!
日本を代表するロック・アルバムの30周年記念の証人となったのであった。
ここまでが第一部。

200第二部までの間休憩となるが、恐らくロック・コンサート史上もっともお客さんが席を立たない休憩だったのではないだろうか…。
そのままステージにはスクリーンが用意され、デビューからアメリカ進出の時期を具に捉えたLOUDNESSの当時のドキュメンタリー・フィルムが上映されたのだ。
面白かったナァ~。
ライブの場面では必ずステージにお目見えするMarshallのロゴ。MarshallもLOUDNESSの世界進出のお手伝いが出来たことを日本人として誇りに思ったね。

アルバム『Thunder in the East』は30周年を迎えたが、実はLOUDNESSは一昨日、11月25日からデビュー35周年イヤーに突入した!
長いね~、35周年。
チョット調べてみると、この年はロッキード事件の公判で大騒ぎになり、ピンクレディが解散し、LOUDNESSがデビューを果たした五日後には鈴木善幸内閣が発足している。『なんとなくクリスタル』が上梓された年。私は大学の二年生だった。
210当時の流行歌を見てみると出て来るのは、聖子ちゃん独壇場、「ルビーの指環」、「スニーカーぶる~す」、「長い夜」、「ハイスクールララバイ」、「もしもピアノ が弾けたなら」、「お嫁サンバ」、「すみれ色の涙」、「まちぶせ」、それに「みちのくひとり旅」、「帰って来いよ」等の演歌の大ヒット…コレ、ほ~んの一 部。
いつもMarshall Blogに書いているように私はずっと海外のロックに夢中で、子供の頃から流行歌に夢中になったことはただの一度もない。
それでもココに挙げた曲は正確ではないにしろ、全部歌えるもんね。私の世代だけでなく、チョット上下の世代の人はみんな同じだろう。1981年にまだ生まれていない人でも知っている曲は多いハズだ。
もう一度書くが、コレらの曲は氷山の一角だ。
ここで改めて思い知るのは、それだけ誰もが歌える音楽が生活の中に自然に存在していたという事実がひとつ。
そして、何しろ曲のクォリティが高かったよね。
今、35年後の子孫に渡せる新しいメロディは皆無だろう。
もうひとつ…この頃は歌謡曲とロックがまだハッキリと分かれていたことも忘れてはなるまい。
先にも書いた通り、そのロックのポップ化が急速に進んだ現象を尻目に、アメリカの本場の連中をメロメロにさせたのだからLOUDNESSはエライ。
相撲で言えば逆「高見山」だよね。

220そして、デビュー35周年をも記念して『Thunder in the East』の特別仕様盤が一昨日発売となった。
まずはCDとDVD2枚を擁する「Limited Edition」。

230さらに、3,000セット限定で発売された「Ultimate Edition」。
こちらは3枚のCD、2枚のDVD、LP、EP、カセットテープ、Tシャツ他貴重な記念グッズゾロゾロ。
ファンにはタマらない内容になっている~!

双方の内容をココに記しているとキリがないほどの濃い内容なので、気になる人は特設サイトをチェックしてくだされ!
Thunder in the East 30th Anniversary特設サイト

240さらにさらに!
コレらの記念アイテムの発売に際し、イベントが催されることとなった。
日時は11月27日。すなわち今日。開場は18:30、開演は19:30。ドリンク代のみの入場無料。
場所は渋谷のTSUTAYA O-EASTってんでタイトルが「THUNDER IN THE O-EAST」!
ウマい!
立ち見の方の整理券が17:30よりO-EAST入り口のところで配布するそうなのでファンの方は見逃さないで!

Soeast そして、第二部。
トイレ行き損じてしまった!

250二井原さんと山下さんがセットの上に現れる。

260曲は「In the Mirror」。

270第二部は第二部でコレまた濃い~構成!
ヒットパレード+最近作チラリ…つまりLOUDNESSの35年を俯瞰してしまう内容なのだ。

280「Crazy Doctor」、「Shadows of War」と立て続けに三曲ブッ放す。

290この祝賀ムードを楽しんでいるのだろう、メンバーもノリノリだ!

300冴えわたる高崎さんのギター。
この音!このフレーズ!やはり日本人のソレではない!

310ここでMC。
「LOUDNESSといえば渋谷公会堂…」と切り出した二井原さんは、翌月に敢行した全米ツアーのことについて触れた。
続いて演奏したのは1984年『Thunder in the East』前夜の『Disillusion』から「Dream Fantasy」。
320v
二井原さんが触れたその全米ツアーも終了してしまったが、高崎さんは現地調達のJVMを使用してくれたそうだ。
そういえば、JVM410Hが発売された時にいち早く高崎さんに試奏してもらったことを思い出した。
JVM4に搭載されているOD2チャンネルのREDモードは、当時Marshallにしては新機軸のドンシャリ・サウンドで、往年のプレイヤーはそれよりも従来型のOD1/ORANGEモードに注目していた。
その中でただ一人、高崎さんだけは「コレ、エエな~」とそのOD2/REDモードを気持ちよさそうに爆音で鳴らしていた。ま、もっともどのチャンネルやモードを使っても出て来るのは「高崎さんの音」なんだけどね。
でも、それは高崎さんの進取の気性を見た瞬間だった。
JVMを試したことのあるギター・プレイヤーならご存知だと思うが、このOD2/REDモードは破天荒にGAINが高いためハウリングを起こしやすいのだが、その時、高崎さんはただの一度もハウリング音を出さなかった。

340

1987年の『Hurricane Eyes』から「In my Dreams」。
ここから最終コーナーに入る。
360

続いてはLOUDNESSの今。
昨年リリースした『The Sun Will Rise Again』からタイトル曲と「Mortality」を…。

Img_0223

35年を一気に駆け抜けた鈴木Ampan政行。

350v二井原さんからファンに感謝の言葉が述べられた後に出てきたのは「S.D.I.」。
もちろん大合唱で締めくくった。

330

従来の渋谷公会堂で見るLOUDNESSも今日で見納めだ。
この記念すべきステキな音楽の場に居合わせたことを私は忘れない。

370当日このステージを目の当たりにしたお客さんたちは興奮して眠れなかっただろうナァ~。

Simg_0377観客に手を振るメンバー。
アンコールはなし。ク~、カッコいい~!
全18曲。これだけの充実した内容だ、アンコールなど必要あるまい。

390LOUDNESSの詳しい情報はコチラ⇒Official Website

400 (一部敬称略 2015年9月7日 渋谷公会堂にて撮影)