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2017年1月24日 (火)

四人囃子ニュー・アルバム発表記念 岡井大二スペシャル・インタビュー <vol.4:最終回>

さて、発売がいよいよ明日に迫った四人囃子のニュー・アルバム、『四人囃子 ANTHOLOGY~錯~』。
大二さんのスペシャル・インタビューを交えてここまで三回にわたり、ヘタな文章で熱弁を振るってきたが、もうオールド・ファンだの若者だの言ってはいられない。
四人囃子の名前しか知らない人、ゼンゼン知らない人…エエイ!とにかくこれを機にひとりでも多くの人に四人囃子が作った音楽を聴いてもらうことを願っている。
決戦前夜の戦国武将みたいなことを言っているが、それもこれも、大二さんのセリフのせいだ。
「メンバーが直接制作に関わった作品を世に出すのはこれが最後になるかも知れない」…なんて寂しいことをおっしゃるから!
  
大二さんの狙い通り、今回初めて四人囃子の音楽に接する人もいるだろう。
もちろん誰にでも、何事にも、「好み」というものがあるだろう。
しかし、四人囃子の音楽がつまらないと思ったら、その人はもうロックを楽しむことができないのでないだろうか?
イギリスの文学者、サミュエル・ジャクソンの名言と同じだ。
「ロンドンに飽きた者は人生に飽きた者だ」
もちろん「ロンドン」のところに「四人囃子」を代入してもらうワケだが、この名言には続きがあって…
「ロンドンに飽きた者は人生に飽きた者だ。ロンドンには人生が与え得るもの全てがあるから」
後半の「ロンドン」には「四人囃子」を、「人生」のところを「ロック」という言葉に置き換えて読んで頂きたい。
チョット大上段に構えてみたが、とにかく!明日このアルバムをゲットして、永久に日本のロックの歴史に残り続けるであろう、40年の風雪に耐えた名曲の数々でロックが持つクリエイティヴィティを存分に味わって頂きたいと思う。
しかも高音質で!

9_さて、『錯』紹介の最終回はDVD。
収録されているのは、まず『ROCK LEGEND』の名のもと、2008年4月19日にJCBホール(現東京ドームシティホール)で開催されたクリエイションとのダブル・ヘッドライナー・ショウ。「ツーマン」ではない…そんな言葉はない。
ショウとしてはCSですでに放送されたものだが、今回はその際にカットされた「おまつり」を収録。
アンコールで演奏したピンク・フロイドの「Cymbaline」を除いたその日の公演のすべてが収録されている。
この公演では「オレの犬」と「SAKUMA#1」という新曲が披露され、ここにDVDの形で収録されることになった。
さらにもう一曲の新曲「Rumble」も収録。
コチラは2003年11月1日の、同じく『ROCK LEGEND』の追加公演であるCLUB CITTA'でのもよう。
すなわち、プロコル・ハルムとのダブル・ヘッドライナー。「ツーマン」ではない…そんな言葉はない。
私もこの公演を厚生年金会館で観たことは大二さんとのインタビューの中で触れた。
そして、DVDは「眠い月(Nemui-Tsuki)」で締めくくられる。
コレは2002年10月25日に同じく新宿厚生年金会館で収録されたものだ。
頭脳警察とのダブル・ヘッドライナーだった。「ツーマン」ではない…そんな言葉はない。
コレも観たな。二階席まで超満員だったよ。
頭脳警察のオープニングSEが「Who Are the Brain Police?」だったけな~。
CD同様、DVDも高画質&高音質で、いつでも四人囃子のコンサートを体験できることになったワケだ。
  
さて、大二さんに『錯』のサンプル盤を送って頂いてからの約三週間、この記事を書くために、ほぼ毎日四人囃子の音楽を聴いて来た。
『錯』だけではなく、聴き比べのために、他のアルバムのほとんどをCD棚から引っ張り出してきて改めて聴き直したのだ。
私もこれほど集中的に四人囃子の音楽を聴くことは、この先もうないかも知れない。
元より大好きなグループなのでとても楽しかった。
四人囃子というと、必ず「プログレッシブ・ロック」、それから「高い演奏能力」という枕詞がついて回る。
私は四人囃子に「プログレッシブ・ロック・バンド」のレッテルを貼ることを良しとしない事はすでに書いたし、同じ意見をお持ちの方も多いようだ。
しかし、演奏能力の高さについては何人(なんぴと)も否定できまい。
『一触即発』を21歳(大二さん基準)で、『ゴールデン・ピクニックス』をたった23歳で作り上げた能力は「奇跡」としかいいようがない。
そして、今回根を詰めて四人囃子の音楽を聴いて、その奇跡を実現させた要因のひとつに「歌詞」があると思った。
初期の歌詞を書いているのは末松康生さんではあるが、その内容の独創性については今更ココに書くまでもないだろう。
興味を引いたのはその言葉の選び方だ。
「おまつり」の「♪文句を忘れてフシだけで歌ったのさ」の「文句」なんて和風でいいな。そういえば、歌詞のことを昔は「文句」と言っていたよ。
「空と雲」の「♪長く細い坂の途中に お前の黄色いウチがあったよ」の「ウチ」。「ウチ」というのは江戸っ子の言葉だ。江戸っ子は「イエ」とは言わない。
そう、四人囃子は東京のバンドなのさ!
「ネッシー」だって「♪水はやさしい」だなんて…最近は恐ろしい水が多くなってしまったが、なんて素敵な言葉の連なりだろう。
どれもこの歌詞あっての曲、そしてこの曲あっての歌詞…に仕上がっていると思うのだ。
とにかく音楽は曲のクォリティがすべてだということを教えてくれる。
四日間ホメ続けたのでさすがにもう言葉がないが、「いまさら四人囃子」だの「たかが四人囃子」だのと間違えても言ってくれなさんなよ!
    

お待ちかねの大二さんのスペシャル・インタビューの最終回は、日本の音楽マーケットの話やNATALについて語っていただいた。

Img_0414

日本のマーケット

 M:(Marshall、以下「M」)こと音楽に関して言えば、日本はやっぱり昔から独特のマーケットということになるとお思いですか?
O:(岡井大二、以下「O」)数字だけで見れば日本の音楽マーケットは世界二位の国ですよね。
でも、残念ながらとにかくファー・イーストで「東洋の島国」。
で、90年代の後半あたりから、ポピュラリティを持つ音楽の傾向が圧倒的にドメスティックになってしまいました。
要するに海外の情報がたいして重要ではなくなっちゃった。
国内で何でも手に入るようになって、元の発想ネタが海外のナニから来ているかとかは、興味の

Img_0012先ではなくなってしまったみたい。
M:まったくそうですよね。
自分と考え方の方向性が同じで安心しました!
O:今の音楽業界を憂えているか?憂えていないか?と訊かれたら「憂えている」と答えますね。
M:とにかく売れればいい…という感じしかして来ない。
O:制作する側に「制作マインド」みたいなものがあるとしたら、「いいものが売れるようになっていって欲しい」と思うのが「制作マインド」なんじゃないかなと思います。
M:そうあって欲しい!
O:そう思いたいんだけど現実は違っていて、制作する側の人たちがチャンと対峙して自分にとっても大切な「いい音楽」を聴くのは、家に帰ってからのプライベートだけ…仕事とは別なのかな。
仕事で徹底的に叩き込まれるのは、売れたものが「いい音楽」ということ。
M:苦痛だろうな~。でも今の世の中にあっては、それこそが仕事ですから。
O:売れたもん勝ち…ということです。
M:まったく。
若いバンドさんたちの会話を聞いていてすごくそう思います。
小さいライブハウスをやって、中型のライブハウスに出るようになって、ホールでコンサートができるようになって、次は武道館でハイ上がり!…と、まるで双六のよう。
そこに音楽が存在していないような感じがします。
ステージのMCで「いい音楽」とか「音楽が好き」とやたらと「音楽」という言葉を口にするのがまた変な感じがする。


  
名盤の秘密

  
M:私もいい加減色んな音楽を聴いてきましたが、どのジャンルでもやっぱり「いいモノ」と呼ばれ

Img_01042_2ているものは良いですよね。
駄盤の類も好きで、いろいろ買い込んで来ては聴いていますが、やっぱり「名盤」と呼ばれているものには最終的にどう転んでもかなわない。
一般の人なら死ぬまで知らないような無名のプログレ・バンドのアルバムなんかもおもしろいんですが、それらはどうやっても『宮殿』を駆逐することはできません。結局何回も聴くことはない。
「名盤」といわれているジャズのアルバムもそうです。
O:その曲とか、そのテイクに行きつくまでにナニがあったかということなんです。
やはり名盤というものはその「ナニか」がふんだんに詰め込まれているから名盤になるんです。
M:なるほど!そんなこと考えてみたことなかった。
O:コレは100m走で例えれば、コンマ何秒早かったから名盤になったのではなくて、誰もやらない走り方で100m走ったから名盤になったんです。
M:とってもよくわかります。言い得て妙ですね!

    

☆この辺りでふたりとも大分アルコールが回ってきて完全に雑談タイムとなった。ナニせ笑い声で言葉が聞き取れない箇所も少なくなかったのです。

 

外タレの思い出
 
O:昔、高校生の時にバンド・コンテストに出ましてね、高中くんが出ていたんですよ。
ボクらよりひとつ年上でね。
M:何を弾かれていたですか?
O:テン・イヤーズ・アフターの「ウッド・チョッパーズ・ボール」…すごくウマかった。
その時に半ズボンはいてジェスロ・タルを演奏した小学生ドラマーがいたんですよ。

Img_0015「This Was」かなんかを演ったんですけど、すごく上手だった。
M:どなただったんですか?
O:古田たかしだったんです。
M:しーたかさん?!
O:そう。こっちは高校生で、負けまいとシャカリキになりましたね。
M:天下の大二さんでも!?
当然タルはご覧になっていますよね?
O:もちろん!
伝説の厚生年金。「あの素晴らしさを語れ」と言われたら今でも30分は余裕で語れます。
M:いいな~!うらやましい。
ご覧になった方はみんな「アレはよかった!」っておっしゃいますもんね。
私は何年か前に「『アクララング』全曲演ります」の時にようやく観ることができました。
O:音楽もライブ・パフォーマンスも「時代の違う音楽」として完成したものを見せられて、スゴイな!って思うわけです。
それまでにない音楽ですから。
M:そんな感覚に浸ってみたい…。
O:同じように、すごくそう感じたのはピンク・フロイドが最初に来た時、それからデヴィッド・ボウイの初来日…。
M:サンフランシスコから船で来たってヤツですね?オルセイア号。
帰りはウラジオストックまで船で行って、シベリア鉄道でイギリスまで行ったとか…。
O:アレ、本当にそうなの?
M:噂ではフィリピンあたりまで飛行機で来てそこから船で日本に来たとか…。
O:やっぱり?
あと正統派ロックスタイルの外タレで理屈抜きに「やっぱり外タレすごい!」、「気持ちいい!」…と思ったのはハンブル・パイとロリー・ギャラガーですかね。
M:ああ!スティーヴ・マリオットの肉声って聴いてみたかったな~!
  

コーラスの妙

  
M:外タレの話で思い出すのは、野音で楽屋のモニターで四人囃子の皆さんとルネッサンスを観ていた時、「コーラスがうまいね~」と騒いでいたら、大二さんが「向こうの連中ってコーラスする時って声を似せれんるんだよ」っておっしゃった。
O:そう。あのサウンドの音楽をやるにはこの声…みたいな発声の仕方っていうのがごく自然にあるんですよ。特に白人。
我々も民謡とか演歌って特に習わなくても何となくわかる部分があるでしょ?アレと同じなんです

Img_0103よ。
ホリーズなんかを聴いているとよくわかる。
M:「バス・ストップ」の?
O:そう。
マージー・ビートの発声の仕方とハモリ方なんですよ。
そのマッチングの具合がいいんです。ビートルズも最初の頃はそうだった。
で、そのコツを覚えた元がカリフォルニアのコーラスなんですね。喉の絞り方っていうのかな?
M:ビーチ・ボーイズみたいな?
O:そんな感じ。アレは日本でいったら例えば関西弁の発声で全部歌う感じ。
M:エエ~?
O:だからあの発声でコーラスをやっているバンドってアメリカの東海岸にはほとんどいないんですよ…(間)…ウン、確かに出ていない。
M:ハモリ方も教わらなくてもわかっている。
DNA的にそういう能力を持っているようですよね。
O:そう!我々にはそういうDNAはない。
ところが「間」には滅法強い!
M:ハハハ!リズムではなくて「間」!
O:そう。
「間」なの。イヨ~、ポン!の「ポン」を入れるところが自然にわかるでしょ?外人にはそれがケッコー苦手。

 

フランク・ザッパの思い出

M:フランク・ザッパのお話を…。
O:コワかった~。
M:エレベーターで二人きりになっちゃったんですよね?
O:そう!でもリハも本番も全部見ることができました。
M:小川銀次さんもリハをご覧になったとおっしゃっていた。
「一体リハなんかどうやって入ったんですか?」と尋ねたら「エ、円谷英二の息子って言ったら入れてくれたよ」って。

S41a1399今となっては本当かどうかはわかりませんが、まったく銀次さんらしい。
O:ハハハ!
M:で、サウンド・チェックの時にザッパがPAミキサーの人に向かって「○○HzをXXだけ上げて…」とかいちいち細かい指示を出していたそうです。
すると外の音が劇的に変わったとか。
O:そうでしょうね~。
ボクはあの時、テリー・ボジオのドラム・キットに座ったんですよ。
で、あんなかわいい顔をしていて、身体がデカいの知らなかったもんだからキットが大きいんでビックリしました。
ツーバスなんか思いっきり足を広げないと届かなかった。
M:私も15年ぐらい前にバーミンガムのドラム・ショップで実物を見ました。
テリーがイギリスに行くとそのキットが出動するんだとか。
今の冗談みたいなキットになる前でしたけど、点数は多かった。やっぱりデカいと思いました。
O:そうでしょ?
M:その時の実際の演奏はいかがでした?
今はその時のツアーのオーストラリア公演の音源が公式にCDになっています。
日本公演といえば、私は西部講堂と大阪の音源も聴いているんですが、マァ、「手抜き感」は拭えないかと…。
O:手抜と言えば手抜きなのでしょう、リラックスしてて。
でも、存在も、曲も、演奏も、世界中のどこにコレと同じものがあるんだ?というぐらいスゴイものでしたよ。
M:やっぱり?いいな~。
しかも会場は国際劇場。記者会見は吉原。裕也さんも実にイキなことをされた!
それで、若かりし日のテリーをご覧になってどう思われました?
私は高校生の時、すなわちその3年後の1979年にUKの来日公演でテリーを初めて観たんですが、ドラム・ソロに腰を抜かしました。
O:それはもうスゴかった!それしか言えない!

 

NATALについて

 

M:ちょっとドラムの話をしますと、大二さんぐらいの大御所になられると…。

S41a0198O:ゼンゼン、大御所じゃないですよ!
M:イエイエ、大の大御所でいらっしゃる!
で、ゼンゼン道具なんてお気にされないのかと勝手に思い込んでいたんです。
ところが、NATALをお試しになられた時、すごくシビアで、実は結構驚いたんです。
「ああ、なんでもいいよ!」っておっしゃるかと思ったらすごく真剣だった。
決して変に「細かい」という印象はありませんでしたが…。
O:イヤ、こちらもNATALが思った以上にいい楽器だったので、チャンと試してみようと思ったんです。
M:それで、大二さんがバスドラムにミュートを入れていないのを発見して、いつか向山テツさんがすごくビックリされていましたよね?
アレはどういうことなんですか?
O:だって、バスドラムにミュートを入れるとか入れないのは、趣味とか意地では済まない問題ですからね。
もはや入れるのが当たり前。でもNATALのバスドラはそれが不要。
アレはNATALだからできるんですよ!
M:お、うれしい予感!
O:なんでミュートを入れるかと言ったら、スッピンだとペダルを踏んだ時に「バイ~ン」とヘッドのうねりが鳴ってしまうのがうるさいから入れるワケです。
ミュートを入れなくて済むのはそうならないからで、あのNATALの作りだからこそ、そういうことができるんです。

Img_0017M:なるほど。
O:NATALのドラムは胴の鳴りがチャンと出るから、あとは何を好きにやっても出てくる音がすごくいいんですね。
M:NATALが要因ということは言うつもりはありませんが、とにかく大二さんのドラムは音もプレイも外人っぽい。
O:もしウシさんがそう思ってくれているのならとてもうれしいですし、本当にそうであったとすれば、それには自分なりの理由があるんです。
かなり持論なんだろうな…と思う。
M:え?どんな?
O:あのね、チョットこれは書いて欲しくないんですけど…

<筆者注:…と。ここでカット。

大二さんドラミングの秘密をご自身でご説明頂いた。なるほど~。テクニックというよりもリズムに関すること。
ちなみにこれは「企業秘密」とかいう理由で大二さんが文字お越しをご希望されなかったのではない。大二さんはそんなケチな人ではない。

ご考察が個人的なものであり、普遍性が低いという大二さんの謙虚な態度によるものであることをご了解頂きたい>

M:なるほど。そういう意味では森さんもそうだし、チャーさんなんかも同じような外国の空気を感じますよね。
モノマネではないオリジナルのロックをダイレクトに体験できた世代。
O:その通り。
あと、山岸(潤史)も昔からそうだよね。
M:よくわかります。
NATALが大二さんのおメガネにかなって心底ヨカッタと思っています。
O:イエイエ…「おメガネ」だなんて!

 

ドラムの音

 M:それで、いつも思うんですが。大二さんのドラミングはかなり音が大きいですよね?
すごく軽く叩いているように見えても大きい。
ところが、ゼンゼン耳障りではない。いわゆる「遠鳴り」っていうヤツ。

Img_0556エルヴィンとかポール・モチアンなんかもそうでした。
手をチョットしか動かしていないのに出てくる音がすごくクリアで大きい。
何より音が美しく、音楽的です。
で、反対に最近の若いドラマーってシャカリキになって叩いているのに音がすごく小さいように思えます。
それと、手足がすごく早く動いてテクニカルなんだけど、バッチンバッチンいってるだけで、まったく音楽的ではないように聞こえる若いドラマーをよく見かけます。
このあたりどうお思いになりますか?
O:アレは相当小さい音ですよ。
ウシさんは90年代のイギリスのバンド…例えばブラーとかオアシスとかのドラムを聴いてどう思いますか?
M:ゴメンナサイ。双方Marshallなんですが…印象にまったくありません。
O:そうか…。
あのね、いわゆる「ハード・ショット」とか「ストロング・ショット」のドラミングというのは、アメリカではなくて、実はイギリスから出てきたモノなんですね。
ボーナムとか、コージーとか…。イアン・ペイスはこんなに太いスティックで、あのスピードでアレをやったんです。
それで、正統派のハードロックを見渡した時に、そういうドラマーって、80年代になるまでアメリカから出てこなかったんですよ。アピスくらいか…。
正統派なハードロックはあってもそういうドラマーはいないんです。
M:確かにそうですね。
70年代のアメリカのドラム・ヒーローって聞いたことがない。まさかのドン・ブリューワー?
O:そう、ヒーローはそれほどいないんですよ。
コレは注目すべきことだと思うんですが、「個性的なドラム」っていうのは圧倒的にイギリスのバンド・ドラマーになるんです。
ボーカルとギター以外のパートで個性的なサウンドを作った…つまり、個人的なスタイルがサウンドを作って注目されたのは圧倒的にブリティッシュ・ドラマーなんです。
ボーナムもペイスもアメリカにはいなかった。
M:なるほど。考えたことなかった。それだけマーシャルがうるさかったってことかな?
O:ハハハ!
それで、その「ハード・ショット」なんですが、90年代になって、PAとモニターの技術が発達して、その出元のイギリスのバンドからドラムの音がちっちゃくなっちゃったんです。
M:ギター・アンプと同じですね。
O:イギリス勢から率先して音が小さくなっちゃった!
ボクはブラーが大好きだけど、あの時代からハード・ヒッターがいなくなって、ガックンと音が小さくなったんです。

Img_0053_2M:そういうハード・ショットを必要とする音楽がなくなってしまったということですよね。
O:もちろんそれもありますし、ステージの上で大きい音を出す必要が一切なくなってしまったんです。
結果、ハード・ヒッターが残ったのはアメリカを中心としたヘヴィ・メタルとデス・メタルぐらいでしょう。
M:ギターというか、ギター・アンプと同じ流れですね。
O:後はメタリカ系?
そういうバンドはとことんやり続けると思ったら、そのメタリカですら最近はキレイに音を出していますよね。
M:しかし、大二さん、ブラーとかオアシスとかそういう新しいものまでご熱心によくカバーされますよね。
私はMarshall Blogなんてのをやっていて、本当はすべてのロックに対して全方位外交をしなければならない立場だと思うんですが、その前に、もうリスナーに徹して思いっきりワガママにやらせてもらおうと思って…。
O:うん。
でも、これはボクが作る側の人間だから「勉強」のためにそういう若い世代のロックを聴いている…とかいうことではないんです。
ボクは手足をもがれようと、何をされようと一生オープンな音楽ファンでいるつもりなんです。
    

…と、大二さんが音楽への尽きぬ興味と愛情を宣言されたところでこの三時間半に及んだインタビューの幕を降ろすことにする。
途中の私の無駄話や笑い声で聞き取れない箇所、書いても第三者には通じないような話題もあって、内容はだいぶスリムになった。
大二さんのお話をお聞きしていてとにかく思ったのは、「いいミュージシャンはいいリスナーたれ」ということだ。
かつて井上ひさしが言っていたが、何かの本を書く時、最低でも書架二つ分の関連書籍を読むと言っていた。彼がタヌキかなんかの本を書くことになった時、神保町からタヌキに関する本が無くなったという話も聞いたことがある。
こうして何かをクリエイトする人というものは、常にアウトプットをはるかに上回るインプットの蓄積があるのもだ。
大二さんはロックの日本上陸とともに、当時のオリジナリティあふれる音楽を浴びるようにインプットし続けた傍ら、自分たちの音楽を創造した稀有な存在である。
そんなアーティストの話が面白くなかろうハズがない。
ここまで三回のインタビューへの反応はすこぶる良好であった。
今日でこのシリーズは完結するが、大二さんの狙い同様、老若男女を問わずひとりでも多くに方にこのインタビューを読んで頂くことを切望する。
って最後に書いてもしょうがないじゃんね!
インタビューを読んで「おもしろい」と思った人はゼヒ拡散して頂きたい。
そして、これが少しでもロックの延命対策に役立てばうれしく思う。
大好きなバンドの、最も好きなドラマーを三時間半にわたって独り占めし、自分の好きな話をうかがうことができたのは最高の幸せだった。
大二さん、ご協力ありがとうございました。

Img_0273  

四人囃子よ永遠に…。

<アウトロ>
昨日登場していただいた四人囃子研究家の灘井さんから『Fullhouse Matinee』に関する資料を追加して頂いた。
コンサートのプログラムだ。
コレは欲しいな~!尚、灘井さんには『Fullhouse Matinee』周りの情報以外にもたくさんの貴重なご助言を頂戴しました。
この場をお借り致しまして厚く御礼申し上げます。

9_pg1_4 大二さん若ッ!
念のため記しておきますが、右端が1989年ごろの岡井大二さんです。

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(一部敬称略 ※協力:灘井敏彦氏)

1965年創業のNATAL(ナタール)はMarshallのドラム・ブランドです。

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★NATALの詳しい情報はコチラ⇒NATAL Drums Official Web Site(英語版)
★NATAL製品は全国有名楽器店にてお求めください。
★NATALドラムは高田馬場バズーカスタジオでお試しになれます。バーチ、メイプル、そしてアッシュのキットの他、各種スネアドラムも用意しています。ドラマーの方、「NATALの部屋」ご指名でお出かけください。 詳しくはコチラ⇒バズーカスタジオ公式ウェブサイト

(一部敬称略 2016年10月20日 下北沢楽園にて撮影)