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2021年11月22日 (月)

今一度マーシャル・スタジオ:ビデオに字幕を入れて思い出しちゃった!

 
以前にMarshall Blogでご紹介したMarshall本社に隣接するスタジオのビデオに字幕を入れたのでゼヒご覧くださいまし!

今日の本編はコレでおしまい。
後は<オマケ>というか、<脱線>。
 
ところで、この字幕ね…。
作業をしていて昔携わっていた楽器の教則ビデオの仕事のことをスッカリ思い出してしまった。
昔はビデオに字幕ひとつ入れるのも大変な作業だった。
「昔」ったって本の20年ぐらい前のこと。
字幕を入れたビデオを紹介するだけじゃMarshall Blogの名がすたるので、昔を懐かしむ思いでどんなことをしていたがココに書き記しておくことにしよう。
あんな仕事をした人はそうは多くないであろうし…。

7subt12 このビデオなんか、Marshallに頼んでオリジナルの素材をデータ転送サービスで送ってもらって、字幕の原稿を作って、それらを組み合わせて、YouTubeにアップロードして「ハイ終わり」でしょ?
ま、実は今回のヤツはニーヴの人の英語が難しくて翻訳原稿を作るのに少々頭をヒネらされたんだけど…いずれにしてもさほどの大事ではない。
しかも一番の難関の英語の聞き取りも、最近では字幕が出ちゃうもんね。
でもね、あの字幕は決して正確ではないので、一旦捕らわれてしまうとドツボにはまったりもするので要注意。
やっぱり自分の耳が一番。
 

 昔はというと…
(Time warp! ♪Way back when in 1998←Steely Danの「Hey Nineteen」の節でどうぞ!字余り)
 

まず、字幕を入れたいと思う、つまりそれなりに売れそうな作品のビデオを作品をアメリカのビデオの制作会社あるいは音楽出版社に頼んで送ってもらい、それを翻訳家に転送する。
ひと月ぐらいするとビデオの中のセリフを翻訳した字幕の原稿が出来上がってくる。
仕事の一番のキモとなるのは、やはり元となるこの字幕原稿だ。
その内容を私がチェックする。
今では今回みたいに私が好きなように翻訳して「読みやすい長さかどうか」だけを考えて字幕にしているだけだけど、プロの仕事は違う。
日本語の場合、一般の人が1秒間に読むことができる文字の数は「6文字」とされていて、それを考慮すると、概ね字幕1枚に入れられることができる文字の数が14文字になるらしい。
プロの翻訳者はそれを常に頭に入れながら字幕の文章を書くワケだ。
7subt1それと、この仕事の場合、つまり「教則ビデオ」にはセリフの原稿、いわゆる「ドラフト」が存在しない。
言い換えると、映画の字幕は脚本家が書いた元の言語のセリフ原稿があるので、それを読みながらジックリと訳文を考えることができる。
ところが、教則ビデオの場合はデモンストレーターがしゃべっていることを一言一句漏らさずすべて聴き取る必要がある。
外国の言葉を正確に聴くのはしゃべるよりムズカシイでのう。
しかも、ビデオの中には一般の人が口にしないような音楽の専門用語がジャンジャン出て来るでしょう?
例えばギターの場合、「クランク・アップ」だとか「チャンク」だとか。
また「チョーキング」だとか「シールド」なんていうのは日本の方言だからその辺りのことも知っておかなければならない。
いつもお願いしていた翻訳家の女性は帰国子女で、一度そんな情報を伝えると二度と間違いを起こすことのない大変に頭脳明晰な方だった。
私はその方と映画や英語についてのおしゃべりをするのが大好きだった。
映画の知識に関しては私の方が断然上だったけどね。
そんな方でも専門用語にはお手上げになっちゃう…そこで登場するのが私なワケよ。
要するに「監修」が私の仕事…英語で言えば「スーパーバイザー」よ。
 
そして並行してアメリカから字幕を入れるためのマスター・テープを送ってもらう。
コレが「ベータカムD2」とかいう規格のテープで、下の写真ではわからないだろうけど「VHSの大魔王」みたいな出で立ちで、ベラボーにデカくて重いときてる。
で、コレを持って字幕を入れるスタジオに行く。
何本もある時は重くても~大変。
もちろんスタジオは予約しておかないといきなりは対応してくれない。72d2 スタジオにある専用の機材で持参したテープに制作した翻訳の原稿データを流し込んでもらう。
原稿の訳文には「〇分X秒」という字幕を入れるタイミングの目安が書いてあって、ビデオを流しながらリアルタイムで映像の内容と字幕が合致しているかどうかを厳しくチェックする。
それ以前はもっと手間のかかる方法を採っていたのだが、私が無理をお願いしてこうして作業を簡略化してもらった。
とにかく、こうして指定したタイミングで字幕がキチンとマスター・テープに入れられるかどうかを日がな1日チェックする。
も~、コレが忍耐のいる仕事でね~。
私は横でウツラウツラしているだけだったけど…。
で、こうしてマスター・テープに字幕が入ればこっちの作業は完了。
7d1 今度はジャケット。
元々英語で表記されている部分を日本語に置き換える作業がまた面倒な作業なのだ。
「今に比べると…」という意味ね…当時はこうした作業が当たり前だったから何とも思っていなかったけど。
このアートワークも今みたいにパソコンだけで完結するのとは違って、「版下フィルム」というモノを作らなければならなかった。
「Lay over」とか言ったっけかナァ?
Tt3やはりアメリカから素材のデータを送ってもらって、コチラで作った日本語の原稿と組み合わせて、版下を制作してオリジナルと同じ体裁に仕上げるワケ。
私はこの日本語にする作業やジャケットに入れる解説文を書いていた。
コレも基本はビデオのパッケージに書いてある元の英文を翻訳するのが基本なんだけど、それが一本調子でツマんない不愛想な文章なのよ。
それで、結構アレンジさせてもらったナァ。

73spine_2

 このジミヘンのビデオの時は、お店の棚に収めた時に目立つように、背表紙にこのJimi Hendrix Experienceの3人がロンドンのキュー・ガーデンズで撮った「ジャケット用の写真を入れたい」と申し入れた。
すると、出版社の方から「いいアイデアだけど、ヘンドリックス家の許可を取らなければならないので少し時間をください」という返事があってビックリしたことがあった。
結果OKが出て、その後のNAMMでその出版社の担当者(レッチリのチャド・スミスのお兄さん)からジミの妹さんのジェイニーを紹介された時は「フジヤマ、テンプラ!ああ、アノ時の!アレはアナタだったのねッ?」ということになった。
まさか、かのジミ・ヘンドリックスの家の人と関われるなんてそのデザインの申し入れをした時は夢にも思わなんだよ。Hal コレは脱線の脱線だけど、他に書く機会がないだろうから記しておこう。
こんな本知ってる?
パット・メセニーのソング・ブック。
パットとライル・メイズが作った167曲が載っている。
この本も同じ出版社から上梓されているんだけど、パットがスゴったらしい。
パットはもう殺人的に忙しくて、こんな本に携わっている時間が全くなくて、「採譜してくれれば2日でチェックする」ということになった。
それで、パットはミルウォーキーのこの会社に来て一室に閉じこもりその作業に取り組んだ。
パットは2日間、食事とトイレ以外は一度も部屋から出てこなかったらしい。
ものスゴイ集中力なんだって。
やっぱ人間、集中欲と記憶力だナァ。70r4a0757 さて、ジャケットの日本語の版下が出来上がったら、字幕の入ったマスターテープと一緒にアメリカの出版社に送り返し、後は商品になって出荷されてくるのを待つだけ…なんてことをやっていた。
このビデオを送る運賃だけで数万円よ。
懐かしいナァ。
今となってはこの一連の作業がパソコンの前に座ってひとりでチャチャチャと出来ちゃうんだから恐ろしい。
反対に…考えてみるとこの一連の作業を完遂するのに、テープや字幕入れのためのデッキやスタジオが必要だったり、版下のフィルム等の材料や機材が必要で、今ではそれがすべて不要になってしまった。
つまりこれらのモノを作っていた人の日ごとが消滅しちゃった。
それだけじゃない。
材料を入れる容器を作っている業者、それを販売している商社、運送屋なんかも一蓮托生でみんな仕事が減ってしまった。
モノが動けば必ず伝票が必要になって来る。
その伝票を作る紙屋、印刷屋、インク屋、そしてそれには必ず運送屋と商社が絡んでくる。
まだあるよ。
素材をアメリカに送る業者、スタジオに行くための交通費、スタジオに出前してもらう弁当等にかかる支出も消滅した。
もっと言うと、スタジオのトイレットペーパーも減らない、電気代や水道代もかからない、靴も減らない…パソコンでひとつナニかができるようになるとこれだけ経済に影響を及ぼすことになる。
儲かるようになったのはパソコン屋とインターネットのプロヴァイダーだけか?
取りあえずひとつだけ変えることができないのは、翻訳業者の仕事だ。

7r1536113315903040192393jpeg

でも、これとてAIに置き換わろうとしているでしょ?
今のところはビジネス・レベルでは全然使い物にならないみたいだけど、近い将来それも克服することだろう。
スゴイね。

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Bad_touch今日のビデオに出ていたBAS TOUCH!

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