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2022年11月 9日 (水)

【I REMEMBER 令文】Marshall Mania

  
大谷令文さんの追悼特集はまだまだ続く。
ウチの「大谷さん」は「翔平」ではなく、徹頭徹尾「令文」だから!
今回からは今のMarshall Blogでは見れなくなっていた記事を加筆訂正して、かつ新たに現像した写真を交えて紹介していく。
今日は私の手元に残っている一番古い令文さん関連の記録。
2006年に開催された『Marshall Mania』というイベントのレポート…と言っても、この記事は今のMarshall Blogにも復刻掲載していたことがあるので見覚えのある読者も少なくないと思う。
局面によって内容を書き換えていたのではジャーナリズムとして成り立たないことはわかっているけど、令文さんの追悼に主眼を置くとどうしてもリライトせざるを得ず、大幅に内容を書き換えて再々掲載させて頂くことにした。
つまり書下ろし!
 
それでは早速はじめましょう。 
『Marshall Mania』が開催されたのは2006年4月16日のこと。
「昨日のことのよう」と言いたいところだが、ずいぶん昔の話だナァ。
会場は名古屋伏見の老舗ライブハウス『Heartland Studio』。
『Marshall Mania』は中京地区のMarshallファンの皆さんが自慢のMarshallを持ち寄って展示するという企画。
そして、ゲストの令文さんのギター・クリニック、さらに夜の部ではMarshallゆかりのミュージシャンが集ってのスペシャル・ライブ…というMarshallゾッキのイベントだった。
Marshall Blogが始まる2年前のことで、私は「Marshallの輸入代理店の担当者」としてVBA等、夜のスペシャル・ライブで使用する機材のサポートをする格好で参加させて頂いた。
この日、イベントが終了したのがかなり遅い時間で、お客さんが全員お帰りになった後に機材を地下の会場から人力で地上まで運び出すのがメチャクチャ大変だった。
また、よりにもよって、8x10"のベース・キャビネット「VBC810」を持って行っていたんだよね。
営業所の若者と2人で大騒ぎしながら何とか階段で運び上げた。
その後、松屋かなんかに食事に行った時は午前1時を過ぎていた。
16年前…私もまだ若かったんだネェ。
今じゃとてもそんなことできないわ。
 
さて…。
昼の開場と同時にお客さんがポツポツ集まりだした。
所狭しとズラリと並んだ新旧のMarshall。
右を見ても左を見てもぜ~んぶMarshall!
101959は当然のこと、JCM800 2203、JCM900 2100SL-Xや4100、JCM2000 TSL60、6100と様々なモデルが並んだ。
この当時はまだJVMが出る前だった。
よってフラッグシップ・モデルはまだJCM2000のTSLシリーズ。
この半年後ぐらいにVintage ModernとJVMシリーズが発表になったのです。
壁に貼ってあるジミヘンのポスターもなつかしいね。201974X、2061X等のハンドワイアード・シリーズに加えてJTM45 Offset(右端)まで並んでいた。
JTM45 Offsetは思い出のある商品でしてね~。
真相は恥ずかしくてとてもココに書くことはできないが、土壇場でアメリカに頼んで50セット分けてもらったんだよね。
コレは本当に素晴らしいアンプだった。
お金のことなら何とでもなる!…と、職権を濫用してマジで1台買おうかと思ったが、家に置くスペースがないので泣く泣く諦めた。
Marshallもコレを復刻するのが大変だったそうで、「もう二度とやらない」と以前言っていた。
買ったお客さんは「ラッキー中のラッキー」と言えよう。
30「White Special」も並んでいる。
白い1959、白い1960、そしてPower Brake PB-100まで白で揃えたラインナップはMarshallの35周年を記念するモデルだった。
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ココは1959族がズラリ。
一番右は1994年に世界限定で200セットを生産し、発表とほぼ同時に完売した「Barney(バーニー)」とアダ名されたモデル。
紫色のカバリングをまとい、Bキャビが背高の1959のフル・スタックだ。
別名「The Hendrix Stack」。60「Barney」というのはアメリカの子供向けテレビ番組に出て来る紫色のティラノサウルスのこと。
当該のスタックはこのキャラクターと同様、紫色でサイズが大きいということから海外で「Barney」と呼ばれた。
コレは多分アメリカだけの話だと思う。
イギリスのMarshallが「バーニー」と言う時にはバーニー・マースデンだし、日本で「バーニー」と言えば日下部正則さんと相場がキマっとるからね。
 
9bd_2

目の玉が飛びだすようなウルトラ・レアなアイテムが並んだワケではないが、オーナーの皆さんが自分のMarshallに愛情を注いでいることが伝わって来るうれしい展示だ。
しかし、これはさぞかし設営/撤収が大変だったことだろう。
今更ながらに主催者に感謝を申し上げたい。
50Marshallを手に入れること、Marshallをステージにセットすること、Marshallを弾くこと…すべてが「ロック」ですからね。
その「ロック」に直結しているのがこの光景は圧巻だった。70楽屋に行くと、出番を控えた令文さんがウォーミングアップをしていた。
しばらくすると令文さんのギター・クリニックが始まるのだ。
追悼記事『私の令文さん』の中で触れた通り、この時に初めて令文さんと面と向かってお話をした。
もちろん私から声をおかけして、「〇〇の時の私です」と過去の接触事例を引き合いに出して自己紹介すると、とても気さくに対応してくれて、早速Marshallの話をしたのであった。
 
ほどなくして令文さんのギター・クリニックがスタート。
この内容がまたスゴかった。
こう言っちゃナンだが、「ギター・クリニック」とは名ばかりで、バッキング・トラックもナニもなしに令文さんがコアなロックの曲を好き放題に弾きまくるというスタイル。
グワ―ン!と弾いて「フリートウッド・マック…ピーター・グリーン…知ってる?」とやるだけ。
こんなの令文さんだからできるし、許される。
他にロビン・トロワ―の曲なんかを持ち出して「コレ知ってる?知ってんの?知らないだろうな~」なんてお客さんに向かってやってる。
そのようすが滅法オモシロかった。
80その代わりサウンドは抜群だった。
だって、この後のライブのためにご自分のMarshallを持ち込んでいたんだもん。
もちろんスライダック&コーラスエコー付きのフル装備。
ナンのことはない、令文さんが一番の「Marshall Mania」だったんだよ。Rimg0186 途中で加わったのがGEORGIE PIEの原マサシ。
当時マサシさんはロンドンのテムズ川南岸のパットニーというところにお住いで、この時がご縁となって翌年私が渡英した時にMarshallの工場にご案内した。Rimg0192_2 マサシさんもご自分のMarshallを持ち込まれていた。
フル・フェイスの1962。
その後ろに見えているのがVBC810。Rimg0185 マサシさんは「本当はトロロのブルースブレイカーが好きなんです」とおっしゃっていたナァ。
「トロロ」というのは下の写真のフレットクロスのこと。
「とろろ昆布」のトロロね。
トトロじゃないよ。Img_0905 そして、令文さんが「それじゃ、アイルランドの民謡でも一発やりますかな…」と言って2人で弾き出したのがThin Lizzyの「Black Rose」のあの真ん中のギター・アンサンブルのパート。
ココもバッキング・トラック全くなしのア・カペラ。
生身の人間が目の前であのパートを完璧に弾くのを見てビックラこいたわ!
だって、スコット・ゴーハムが「こんなもんできるかい!」と投げ出してしまったもんだから、あのパートはゲイリー・ムーアがひとりでレコーディングしたっていうんでしょ?
もう、音は十二分にスゴイいし…というか、鳴っている音がギターだけなのでそれはそれはスゴイことになった。
一生忘れることができないパフォーマンスだったな。
そして、この2人にはもう一生会うことができない。Rimg0202 この時から数年経って…。
Fairport Conventionは私のガラではないんだけど、勉強のために名盤と呼ばれているアルバムを大かた揃えて(ガマンして)聴いていたらビックリ!
『Liege & Lief』に収録されている「Medley: The Lark in the Morning」という曲に「Black Rose」のあのパートの最後の方のメロディがそのまま出て来るじゃないの!
きっとアイリッシュ・ミュージックを好んで聴く人には基本中の基本なんだろうけど、私は全く興味がなかったのでコレを見つけて結構感激した。
そして、さっそく令文さんに報告した。
令文さんもおおよそFairport Conventionは守備範囲でなかったらしく、私の報告を聴いて驚き、「ええ!聴きたい!」とおっしゃていた。
当時はYouTubeもSpotifyもなかったので、確か音源をCDに焼いてお渡ししたように記憶している。Ll そして、夜。
マーシャル弾きが集まって熱気あふれるライブ・パフォーマンスが繰り広げられた。
もう会場はこれ以上はひとりとして入れないような満員状態!90出演は令文さんの他に、トーベンさん、The Sons、Shigeo Rollover、マサシさん、メリケン・バンドのコヤマタケシさん等々の豪華メンバー。
Rimg0227コレだけのメンバーだからして当然最後は大セッション大会になるわな。
まぁ~みんな弾くわ弾くわ!
もう完全にコントロール不能になってしまい、まさしく阿鼻叫喚のギター地獄!
誰かが「Child in Time」に出て来る「♪A、C、E、Eb~」のフレーズを弾き始めたらセッション内で流行っちゃって、トーベンさんまでベースでそのフレーズを弾き出す始末。
楽しかったナァ~。
ところが、いっくら弾いても終わる気配を見せず、そのウチ終電に乗り遅れそうな人も出て来てしまい、会場のお客さんが少しずつ減り出して来た。
まさにジミ・ヘンドリックスが登場した時の月曜日の朝のウッドストック状態!
ま~、冗談抜きにゲップが出るほどギター聴かせてもらいました。Rimg0249セッション・リーダー的な存在だった令文さんも思う存分弾きまくっていた。Rimg0250しかし、人間ってナンだってこんなにギターを弾くかネェ?
答えはカンタン!…そこにMarshallがあるから。
Rimg0257とにかく素晴らしいイベントだった。170このイベントは翌年、『HeartLand 30th Anniversary HTV MARCYのロック道場 Presents Marshall Mania2 in NAGOYA』と銘打って再演され、令文さんも出演されたが私はお邪魔しなかった。Mm2

200_2(一部敬称略 イベントの写真は2006年4月15日、名古屋HeartLand Studioにて撮影)