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2022年11月18日 (金)

【I REMEMBER 令文】高円寺ShowBoat18周年記念ライブ~大谷令文

 
大谷令文さんの追悼特集の最終回は、2011年7月14日に開催された高円寺ShowBoatの18周年を記念するライブのレポート。
イベントの正式な名称は『ShowBoat18周年記念・ギターリスト プロデュースナイト』だった。
つまり、よくお店に出演する人気ギタリストたちがそれぞれ独自のライブをプロデュースするという企画。
音楽や生演奏が好きな人であれば誰しも「こういうライブがあったらオモシロイなぁ~」なんて思うモノ。
それをやっちゃおう!というまさに『Marshall GALA』みたいなイベントだった。
そのオハチが令文さんに回って来た!ということでお邪魔させて頂いた。
令文さんの企画は名づけて『これでいいのだ2011』!

Sb0714 「18周年」ってのはずいぶんハンパだな~、とこの時は思ったナァ。
昔は5年とか10年をひと区切りにしていたけど、今は皆さん「周年」と銘打って毎年記念してるもんね。
海外ではあと「25」で区切るよね。
それを知らなかったので、昔シンバルのジルジャンが「375周年」を祝った時はすごく不思議に思った。
10開演前のBGMのひとつがクリス・スクワイアの『Fish Out of Water』。
イヤ、急に思い出した!
数日前、『ライブ・アルバムの魅力~大谷令文とBEAT SOUND』という追悼記事を公開したが、そういえばこの取材の時、令文さんはこのアルバムもお持ちになっていたわ。
「ライブ・アルバムを聴く」という企画だったのに!
30cdまずステージに上がったのはNIGHT BUZZ。
30藤井重樹40v藤岡幹大50v森川肇60vそして、板倉淳。70v Trick Boxの前から幹大ちゃんにはずいぶんMarshallの仕事を手伝ってもらったことは以前にも書いた。
そんな幹大ちゃんの音楽性を知っていたのでこのチームのポップさには意表を突かれた。Img_0399今にして思うとこのチームは「藤藤」コンビだったのね?
100vポップとはいえ、当然幹大ちゃんのギターは超鋭角的だ。80それが藤重さんのド迫力な声と絡んで何とも魅力的な世界が展開する。
藤重さんはこの後に登場するSBLの金光さんらとMOONSHINEというバンドを新しく立ち上げてもうすぐお披露目をする。
Img_0396「ちょっとヒトコト言わせて!」とマイクを握ったじゅんぺーさん。
今回の追悼特集で記事を復刻したが、ココShowBoatは2009年3月に『また逢う日まで2009~板倉ジョン・ラスト・ライブ・イン・トーキョー』と題したじゅんぺーさんの壮行ライブを開催した場所。
つまり、じゅんぺーさんにとって思い出深いハコだが、この時ナニをしゃべったのかは忘れた。
90v2回ほど観たかな?…NIGHT BUZZも聴かせどころの多いチームだった。Img_0394幹大ちゃんが亡くなってからもうすぐ5年か…。
日本のロック・ギター界はスゴイ才能を次々と失い続けて来ていることを実感するナァ。Img_0405令文さん企画のイベント。
次にステージに上がったのが三宅庸介率いるYosuke Miyake's Strange,Beautiful and Loud。
この頃は「Yosuke Miyake's」と接頭辞を付けていたのね? 
まずは三宅さんがジャラ~ンと弾いたのは…ジョン・コルトレーンの「A Love Supreme」の「Acknowledgement」。
ウ~ムそうか、昔から「supreme」という形容詞に「a」が付くのはおかしいな~、と思っていたんだけど、コレ、元は「A supreme love」で、フランス語やラテン語の用法のように倒置して形容詞を名詞の後に持って来ているだけなのね?
だから「神への愛」とかいうムズカシイことではなく、スッと「最高の愛」という意味に捉えてやればいい。
だから「至上の愛」というのはけだし名訳なんですネェ。Img_0638そこからスッと「Stratify」に入る。
110三宅庸介120v山本征史130v金光健司140v三宅さんはこの時もDSL100と1960BVを使用した。Img_0461_22曲目。
記録を見ると「New Song」となっている。
150コレはナニを演奏したのであろうか…。
セカンド・アルバム『Orchestral Supreme』に収録された「Petal」ではなかったか?
160昔のMarshall Blogを読むと、三宅さんの音楽について聞いた風なことをゴタゴタと並べている私。
ケーデンスがどうの、モードがどうの…フ~ム、こんなことを考えて三宅さんの音楽に接していたのか…スゲエな私も。170そしてそのセカンドアルバムからSBLのリード・チューン「if」。190続けて「Solitary Past」。
最近はこうしてうるさくない爆音でギターをジックリと味わうライブってメッキリ少なくなったナァ。
180vこの時も「Fantasia」を演った。
この後、スッカリこの曲を取り上げなくなるのだが、その理由を三宅さんに伺ったことがある。
その時は「ずいぶん繰り返し演ったので…」というお答えでした。
そ、そんな…きっと他にもっと重要な理由がおありなのだろう。
210v三宅ミュージックをバックアップするこの2人もいい加減スゴイ。
220vこうしたフレキシブルにしてパワフルなリズム隊があるからこそ三宅さんの音楽も息吹を得るのだ!(原文ママ) 230そして、「virtue」で燃え尽きた!235v前回もお伝えした通り、三宅さんは現在活動再開に向けての準備中。
Marshallを使った今まで誰も聴いたことがないような音楽を引っ提げて我々の前に帰って来てくれることだろう。
幼稚化と高齢化が同時に進む一方の日本のロック界に、小さいながらも希望の灯がともる日が近いことをうれしく思う。240v令文さんプロデュースのイベントのトリはもちろん令文さん。
この日は「レイブン・アキ&リョウ」というチームでの出演だった。
260大谷令文
270v斎藤亮280v渡辺ナベオ320v再び板倉淳340v今回の令文さんはレスポール・カスタムでスタート。
300vその音をアンプリファイするのはもちろんMarshall。
いつもの1959に1960BX、コーラスエコーという布陣。
やっぱり令文さんや三宅さんのようにズ~っと同じ機材で自分の音楽を作り続けている人ってカッコいいよね。
楽器はミュージシャンにとってもっとも大切な相棒だからね。
そうした信頼できる相棒に巡り合えるミュージシャンはラッキーだ。290vインスト曲で固めてきた令文さんのステージの前半。310ギロ~リ…350vギロギロ…。
360vギロギロギロ。
ステージにの一番前からお客さんを睥睨する「令文ニラミ」。
令文さんのステージではおなじみの光景だったけど、この時は一体何をアタマに思い浮かべていたのであろうか。
ナンカとてもなつかしい。
もうこのニラミも永久に見ることができないのだ。
Img_0757ステージ下手では切れ味鋭いテクニックで令文さんと渡り合う亮さん。
特にニラんだりはしない。
仙台出身の亮さんはこの年の3月に発生した「東日本大震災」の被災者で、このイベントより前に伊藤広規さんが主催するチャリティ・イベントでご一緒させて頂いた。
そのチャリティ・イベントでは被災の体験を臨場感豊かに語られて、集まった人々を驚愕させていた。370v今日はその時とは打って変わって令文さんと素晴らしいギター・パフォーマンスを見せてくれた。
390「Target」、「Shimokitazawa」等のインスト曲を披露。
415「Shimokitazawa」といえば、下北沢に行くと令文さんによく出くわしたナァ。
私は取材でライブハウスに赴く時以外、下北沢にはまず行くことはないんだけど、行くと大抵令文さんに行き合った。
私が手にしているモノにMarshallのロゴを見つけると「ナニそれ、ナニそれ?」と好奇心を爆発されていた姿が忘れられない。Zzz_2 歌ではオハコの「Don't Believe a Word」をひとウナリ。380vココででも2人の灼熱のギター・ソロが炸裂した。400

410そして、チーム名通りココでジョインしたのがボーカルズの深澤AKI。
Img_0782後半はAKIさんを交えてロックのスタンダードや令文さんのオリジナル曲を演奏した。420もちろん2人のギターはフィーチュアされっぱなし。
450vナニせ令文さんのプロデュースだから!
500「Wishing Well」 かぁ…。430v令文さん、「Wishing Well」をよく演っていたナァ。480vそれからコレは覚えていなかったんだけど、Led Zeppelinの「Over the Hills and Far Away」を取り上げていたんだね。
490v好きだナァ~、この曲。
令文さんの演奏で今聴きたいわ!440v またレスポール・カスタムに持ち替えた令文さん。
今回、一連の記事を書き直していて認識を新たにしたんだけど、令文さんがこんなに頻繁にギターを持ち替えていたとは!
何となくだけど、今日はストラトキャスター、今日はレスポール、と毎回1本しか使っていなかったイメージがあったのです。
460v気合の入った魂のフレーズの連続に観客も大喜び。
音はバカでかいがちっともうるさくない!
470vアンコールではジョン・レノンの名曲「Jelous Guy」をシットリと…。
令文さんは「Jelous Guy」もよく演っていたっけ。
455アンコールも含めて全8曲。
全編を通じてとてもいいショウだった!510「翔平」がいくらホームランを打とうと、三振を取ろうと「大谷」といえばウチでは絶対的に「令文」だ。
その「大谷令文」さんを追悼するために過去の分の復刻も含めて11本の記事を掲載した。
今日の記事の後は現在のMarshall Blogで閲覧することができるので『私の令文さん』の<前&後編>をご参照頂きたい。
それで全部である。
そうした記事の中にある情報はMarshall Blogにおける「大谷令文の全記録」だ。
ご本人にも何度か記事にご登場頂いているが、記事の執筆、復刻に当たっては大谷一門会の門下生である三宅庸介さんに何度もアドバイスを頂戴した。
私がその三宅さんのライブの様子をMarshall Blogで記事にするたびに、三宅さんは昔から必ず「残して頂いてありがとうございます」というメッセージを送ってくださる。
最初は「一体ナンのコッチャ?」と思ったが、今ではエリック・ドルフィーの有名な言葉を思い出す。

When you hear music,after it's over,it's gone in the air.  You can never capture it again
つまり「音楽を聴いていて、それが終わった時、その音楽は空中へ消えてしまう。それを捕まえることは誰にもできない」ということ。
 
Marshall Blogは決してそんな大層なモノではないが、音はムリにしても写真と文章でやったことを記録することはできる。
あるライブに感動してその時のことを覚えていても、しばらくすればほとんど忘れてしまうのが人間の常だ。
一方、コンピューターの類の一番の取り柄は記録を半永久的に残しておけることだ。
三宅さんはこれらのことをよくご理解されていたのだろう。
翻ってこうして「大谷令文」という稀代のロック・ギタリストの片鱗を形に残すことができたのは我ながら価値のあることだと思う。
令文さんはMarshall Blogの中でも生き続ける。
私はそれを誇りに思う。
皆さんも令文さんに会いたくなったらいつでもMarshall Blogを訪ねて欲しい。
 
令文さん、色々とありがとうございました。
どうか安らかにお眠りください。
 
最後は令文さんが「Marshallと聞いて思い浮かべる」というジミ・ヘンドリックスでお別れしましょう。
250cd 

200(一部敬称略 2011年7月14日 高円寺SHOWBOATにて撮影)