【Marshall60周年記念イベント】Marshall60周年記念展
今日のテーマは「Marshallと美術館」、あるいは「Marshallと博物館」…とくれば、記事の書き出しとして、これまでに何度かご登場頂いている福島の「郡山美術館」にまたしてもお出まし頂くしかない。
2010年の5月~7月まで郡山美術館で開催されていた『スウィンギン・ロンドン 50's-60's ビートルズたちが輝いていた時代』展。
もう12年も前か…私の「Marshall仕事」の思い出に残る仕事のひとつ。
その時のようすはコチラ⇒【SHEENA & THE ROKKETS 35周年記念特別企画】鮎川さんとMarshallとわたし
ロンドンが最もにぎやかだったとされる1950~60年代に巻き起こった「スウィンギン・ロンドン」のムーブメントを考察す返る展示だ。
この展示会は郡山を皮切りに全国の博物館や美術館を周った。
我がMarshallからは、Marshallアンプ第1号の「JTM45 Offset」と…
世界初の100Wギター・アンプ「JTM45/100」のリイシューを出展させて頂いた。
壁にはThe Whoのアルバム、ヨコにはリッケンバッカーが展示されているが、1965年ごろ、ピート・タウンゼンドがステージでブッ壊したリッケンバッカーはジム・マーシャルが修理していたそうだ。
さて、イギリスはMarshallの本社工場があるバッキンガムシャーのミルトン・キーンズ。
もう何十回も行っているにもかかわらず知らなかったんだけど、そこには「ミルトン・キーンズ博物館」という施設があるらしい。
ゼンゼン知らなかった!
…と言いたいところだが、2017年に書いた「ミルトン・キーンズの開発50周年記念」の記事の中に名前だけ登場していたわ。
恐るべし、Marshall Blog! ココで脱線…。
一方、Marshallの本社工場は同じミルトン・キーンズの中の「ブレッチリー」という行政区画にあるんだけど、ココには世界的に有名なスゴイ博物館が2つある。
ひとつは映画『イミテーション・ゲーム(The Imitation Game)』の舞台となった「ブレッチリー・パーク(Bletchkey Park)」。 『イミテーション・ゲーム』は難攻不落のドイツの暗号「エニグマ」を解読したイギリスの数学者のアラン・チューリングの活躍を描いた物語。
チューリングは下の写真のブレッチリー・パークでその偉業を達成した(実は、チューリングより前にポーランドの学者が「エニグマ」の解読にほぼ成功していたんだけどね)。
で、その偉業を称えて、チューリングは昨年、イギリスの最高額の紙幣である50ポンド札の顔になっちゃった。
偉人変人が引きも切らないイギリスのこと、紙幣の顔になる有名人はいくらでもいうだろうに、ナゼにチューリングが選ばれたのか…。
私が勝手に想像するに、ひとつは、第二次世界大戦の終結を2年早めたと言われている「エニグマの解読」に成功した功績。
もうひとつは、同性愛者だったチューリングを歴史から抹殺したイギリス政府の罪滅ぼしではないか?…と。
ココでサブ脱線。
コレはどこたったのか忘れてしまったんだけど、見ての通り駐車場の普通の精算機。
この中で私が感動した部分がひとつある。
さて、どこでしょう?それはですね、「紙幣」を挿入するスロットの表記なのです。
アメリカの自動販売機は「紙幣」を「bill」と表現しているハズ。
だから「INSERT BILL FACE UP」。
「Face up」なんていいね。コインは「Head」なのにね。
紙幣には顔が印刷されているからかしらん?
コチラはイギリス。
ロンドンの地下鉄の自動券売機。
コレには「Insert notes here」と書いてあるでしょ?
そう、イギリスでは紙幣のことを「Note(ノート)」というワケ。 そして、もう一度さっきの駐車場の精算機に目をやると…おお!「NOTE」って書いてある!
うれしいな~。
アメリカ英語に毒されたこの国で見かけるイギリス英語…貴重です。
どうでももいいことをスミマセン。
アタシャこういうことが大好きなのです。
脱線終了。
ブレッチリーにあるもうひとつのスゴイ博物館が「国立コンピューティング博物館(The Natipnal Museum of Computing)」。
このルックスで「国立」だぜ。
その2つの博物館を訪問した時のレポートがコレ。
調べたワケではないけれど、この2つを連続してココまで詳しくレポートしている媒体は恐らく日本には2つとないじゃないかしらん?…なんて思っていますのでゼヒご覧あれ。
★【イギリス-ロック名所めぐり】vol. 46 ~ ブレッチリー・パーク <その1>
★【イギリス-ロック名所めぐり】vol. 47 ~ ブレッチリー・パーク <その2>
★【イギリス-ロック名所めぐり】vol. 48 ~ 国立コンピューティング博物館<その1>
★【イギリス-ロック名所めぐり】vol. 49 ~ 国立コンピューティング博物館<その2:真空管まつり>
さて、今日の本題。
コレがそのミルトン・キーンズ博物館。ココで去る4月9日から5月2日までの約ひと月にわたって「Marshallの60周年」を記念して『60 YEARS OF MARSHALL』というMarshallの特別展が開催された。開催にあたって、おなじみ社長のジョナサン・エラリーが寄せた言葉。
「今やMarshallはひとつのブランドのもと、音楽を創造し、鑑賞し、そして楽しむイクイップメントのすべてを取り扱っています。
我々はこの画期的な瞬間とブランドの歴史を刻んだアイテムを音楽ファンと分かち合うことができてとてもうれしく思っています。しかもそれが我々の記念すべき年に実現できたことは喜びもひとしおです。
ボリュームを上げて、名声の向こうにいる男の名前を思い出してもらえれば完璧です。
ジムは自分のしたことがミルトン・キーンズ博物館に祝福されていることを知って興奮していることと思います。
ミルトン・キーンズは彼の家なのですから」 では展示を拝見させて頂きましょう。
ただいま絶賛設営中。
前回紹介したデイヴ・ムスティンのサイン入りJVMのハーフ・スタック。おお、「マーシャル牛」!
捨ててなかったんだ?!2017年にミルトン・キーンズ開発50年を記念(前出)して地元の企業が制作した牛のオブジェのひとつ。
牛はミルトン・キーンズのシンボルなのだ。 ココは「周年モデル」のコーナー。
25周年のJubilee、30周年の6100、40周年のJaguar Bluesbreaker、50 周年の1Wチビッコ・モデル他が並んでいる。
コレはOriginのOne-off(一点モノ)。何人かのアーティストがOrigin50Cのボディにペイントを施した。
これらのモデルは2020年のNAMMで大きくフィーチュアされた。
その時のようすはコチラ⇒NAMM2020レポート vol.2~MarshallブースとD_Driveデモ初日
ココはシグネチャー・モデル・コーナー。
ジミ・ヘンドリックス、ランディ・ローズ、ザック・ワイルド、ポール・ウェラー、スラッシュ…どれも懐かしいな。
その中でも特別扱いされていた感のあるのがコレ。レミーのフル・スタック。
コレも懐かしい。
向かって右下の赤いコーナー・ガードが話題になったっけナ。スパイナル・タップのコーナー。
何でも映画の<続編>が出て来るらしいね。CODEのコーナー。
やっぱりいまだに世界中の人気の的だ。ココはSTUDIOシリーズの展示。
親と子が並んでいる。
やはりSTUDIOも世界的に大きな支持を得続けているそうだ。
CODEのすぐ後でこんなことを書くのもどうかとは思うが、デジタル機器にあふれているシーンの中にあって、「音がいい」という評価がそのキメ手らしい。
やっぱりホンモノは残っていくな。
ココは商品開発の場面…ということかな?Marshallの工場に行くと、秘密の小部屋があって(社内ではゼンゼン秘密になっていない)、その中でいろいろな試作機の制作が行われているのね。
その小部屋のイメージ。
ああ、このコンセント…イギリス行きたいな~。ありとあらゆる外観の素材を詰め込んだサンプル・モデル。
キャビネット・バージョンもあるよ。
ジョンが挨拶で触れていた通り、Marshallはアンプ以外にもビジネスの幅を広げていることは皆さんもご存知の通り。
ココはその一部として、
Marshall Records(レコード・レーベル)
Marshall Live Agency(ブッキング屋)
Marshall Studio(レコーディング・スタジオ)
を紹介している。
D_Driveの世界デビュー・アルバム『Maximum Impact』もチャンと展示されている。
右端の「EDUCATION」というのは、MLC(Music Learning Collective)という音楽学校のサポートに取り組んでいることに触れている。
MLCについてはコレね。
そして、アクセサリー関連。Tシャツやビール。
BMWとのコラボやジュークボックス。冷蔵庫ももちろん。
しかし、改めてこうして見てみると色んなことやってんな~。オーディオ機器も世界的に絶好調だ。
この辺りは工場のレセプションから持ち出してきたメモラビリア。
昔、Marshallはプレミアムリーグのミルトン・キーンズのフランチャイズチームである「MK DONS」のスポンサーをしていたからね。MK DONSはミルトン・キーンズに元からあったチームとウィンブルドンのチームが合併してできたチーム。
MK DONSの「ドン」はウィンブルドンの「ドン」。
結成した当初はこんな立派な冊子も出していた。
中はMarshallのスクリプト・ロゴのついたユニフォームに身を包んだ選手たちの熱戦を伝える写真がたくさん載っている。 Marshallはジム・マーシャルの意志を引き継いで数々のチャリティ活動に参画している。
昔から私もそれを知らないワケではなかったが、ジムのお別れの会にお呼ばれした時、そのチャリティ活の規模が想像をはるかに上回るモノであったことを知って驚いた。
その時のようすはコチラ⇒ジム・マーシャルの生涯を祝う会
ココはそうした分野の記念品の展示。Marshallに関するビデオを上映するコーナーも設けられていたようだ。
当然壁もバッチリ展示。
こうして大盛況のうち、5月2日に展示は終了した。
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(写真提供:Marshall Amplification plc Thank you very much, Philippa-san!)