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2021年7月13日 (火)

【Marshall Records】 ピーター・キャップスティックのインタビュー

 
ある日のこと、Marshllの本家のウェブサイトを開いてビックリ。
私のMarshall Recordsの仕事のパートナーであるピーターのインタビューがドッカリと掲載されているではないの~!
オモシロそうだったので全文訳してみた。Marshall_records_logo_square_black
Marshall(以下、斜体)Marshall Recordsのレーベル・マネージャー、ピーター・キャップスティック(Peter Capstick)に話を聞くことができました。
(もう始まってます)
どのようにして今の業務に就くことになったのか、そして彼の音楽への愛情が今の仕事にどう生かされているのかについて訊いてみました。

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Marshall(以下、斜体)現在取り組んでいる仕事の内容を説明してください。典型的な業務としては何をされていますか?
 
ピーター・キャップスティック:「軸」とでも言えばよいのでしょうか?
レーベルに関するすべてのことに携わっています。
毎日、色んな関係者と連絡を取っていますね…契約アーティストたちやディストリビューター、プロモーション・チーム、ラジオ関係者、広告関係者、音楽出版社、そして海外のネットワークの皆さんです。
レコーディング関係のお手伝いもしています。
 
もうひとつ私の重要な業務は、将来を見据え、アーティストの皆さんが前進するために必要なことを計画することです。
それには様々なケースがあって、すぐに私が動く必要がない仕事もありますし、デモ音源を評価したりする場合もあります。
そのような時には、一歩退き、曲を注意深く聴いて、どのようにその曲を次の段階に送り込むための大きな絵を描くんです。
もちろんストリーミングの状況や実際の商品の販売、またSNSの動きをチェックする時間も設けています。

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自分の仕事の中で、どういう部分が一番好きですか?
 
チームのみんなと関わり合うことをとても楽しんでいます。
アーティスト、マネージメント、ディストリビューター、マーケティング、プロモーション、その周辺の人々全員です!
我々には「最終的にスゴイものを作る」という定められたルールがあるんです。
そういうことを考えるのが好きなんですね…たとえば「海賊船」を想像してみてください。
我々、乗組員全員がオールを持っていますよね。そして私たちは息を合わせてオールを操る必要があります。
最終的にみんながで目指している同じ目標に向かって突き進むためにコミュニケーションは欠かせません。
だから「人々こそ私の仕事のお気に入り」ということになります。
 
 
今のキャリアでナニか特筆すべきことはありますか?
 
このインタビューの時点では、THERAPY?(セラピー?)の2枚のアルバムが連続してチャートに入ったことです。コレはとても自慢に思っています!
 
<THERAPY?のアルバム>

Index

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それだけではなくて、Press to MECO(プレス・トゥ・ミコ)とRews(リュウズ)が立て続けにブリクストンのO2アカデミーのステージに立ったのもうれしかった。
自分たちのバンドがそのようなステージに立つことを目の当たりにするのはこれまででも最高の気分になりました。
Simg_7221(ブリクストンにあるO2アカデミー。さほど雰囲気が良いとは言い難いこの街はデヴィッド・ボウイの出身地だ。
詳しくはコチラ⇒【イギリス-ロック名所めぐり】vol.50 ~<オールド・ロック・ファンに捧ぐ>トライデント・スタジオとC.ベヒシュタインとデヴィッド・ボウイ )

<Press to MECOとREWSのアルバム>

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Images (Therapy?のアルバム同様Marshall Music Store Japanからお求め頂けます。詳しくは巻末をご覧ください) 
  
 
どのようにして現在の仕事に就いたんですか?
 
学校の都合で家を離れるまで、10代の頃はずっとバンドをやっていました。
その時は完全にバンドの活動を止めてしまったんですが、家に戻って以前とは別のバンドに入ったんです。
その時、自分はバンドのスタッフの方が向いていることに気づいたんですね。
ステージで演奏するよりもバンドの管理とか、運営とか、バンドの傍らの仕事の方が自分にはシックリいくのではないかと考えたのです。
 
そういう意味ではそれが現実になった。
私が所属していたバンドでそうしたスタッフ業務にトライしてみたんです。
例えば、曲をオンラインで流してみたり、CDを何枚か制作して売ってみたり、そのためのSNSのページを作ったり、時にはプレスにCDを持って行ったりしました。
他のメンバーはブッキングみたいなことに集中していましたが、私の興味はもっぱらそういう方面の仕事でした。
  
自分のバンドのためにそんなことをしているウチに、何人かの友達のバンドの手伝いをするようになったんです。
彼らの音楽をオンラインで流したり、手作りのミュージック・テープを作って友達に売ったり、地元のレコード屋にそれを置いてもらったりしました。
一切儲けにはなりませんでしたが、失ったモノもありませんでした。
 
振り返ってみると、バンドにいたことや、自分はそのような仕事が好きであったことを発見したこと等すべてが今の仕事につながったんですね。
 
  
自分の業務においては何に挑戦していますか?またそれにどうやってそれに打ち勝ちますか?
 
毎日が挑戦ですよ…取り扱い品目が「芸術」ですからね。
芸術はとても主観的なモノです。
アーティストの熱意や情熱にチャンネルを合わせることが挑戦であり、そのアーティストの意向を音楽産業の仕組みの中で具現化できるようにすることも挑戦なんです。
  
それがうまくいったらラジオ・プロモーターやディストリビューターにその音楽を自分と同じぐらい好きになってもらって、その音楽の背後にナニがあるかに興味を持ってもらう。
そこから生まれた熱意をその作品に注入してもらう。
いかに自分自身がその音楽を作ったアーティストと同じぐらい熱狂するかなんですよね。
そして、その音楽が持つ情熱とメッセージを音楽業界の関係者に運ぶ最良の媒体になることができるかどうかなんです。

Sp2 
何がアナタを音楽業界で働きたいと思わせたのでしょう?
 

既に述べたように、バンドをズットやりながら育ってきました。
それがとても楽しかった。
音楽のようなモノは他にありません。音楽は最高です。
たくさんの人が関わっているヴァラエティです。
コレは偏った見方かも知れません。でも恐らく音楽は「芸術としての在り方」の主流だと思います。
音楽を聴きたくない、なんていう人に会ったことがありませんからね。
 
そうした思いがこの業界で働くキッカケになりました。自分が今この業界にいて、その中で働いているワケですが、そのことが「興奮と挑戦とその報いがゴッチャになっているモノ」であるということ学んでいます。
 
 
アナタのような仕事をする上で必要不可欠なスキルは何だと思いますか?

人と話せるということでしょうね。
このことは仕事の成功や失敗に深く関わってきます。
他にも計画力、時間の管理能力、デザインのセンス…等々。
でも、コミュニケーションの能力は明暗を分けます。
「人と話せる」ということだけでなく、「会話をする」ということですね。
締め切りを効果的に使い、会話の効率を考慮する必要があります。
 
 
それらのスキルは自然に身についたモノだと思いますか?あるいは仕事のなかで発展させたモノだと思いますか?
 
自分で言うのもナンですが…自分はなかなか良い話し手だと思うんです。
仕事を通じて進歩したとも思いますが、一般的にそういうスキルは習うようなモノではありませんでしょう。
 
 
音楽業界で働きたいと思っている人たちにアドバイスをするとすれば?
 

すべてのことに注意を払うことです。自分の周りの情報をできる限り何でも吸収する。
それは間違いなく自分にとって有益なことですから。
私は自分が良い話し手であると思っている限り、良い聞き手であろうとも思います。
誰かと座って話をしようとする時、私は何もしゃべらず、何かが起きて、相手が話すことを受け容れるよう努めます。
何かを習得する時に最も大切なことは聞くことによって経験を積むことです。
コレが自分を成長させる唯一の手段です。
今まで私が関わって来た業界には、相手との関係やどんな情報を相手が持っているかをよく考える前に、成果を急いでしまう人たちがたくさんいました。
 
 
バンドやアーティストのどういった点がアナタを惹きつけますか?
 

音楽第一です。
もちろんステキな音楽でなければなりませんが、他にもそのアーティストを成功に導くためのたくさんの重要な要素があります。
私が個人的に見ているのは…
★魅力的な音楽:当然ですよね。他の人に聴かせたくなるいような要素がなければ私の出る幕はありません。
★情熱:申し上げた通り、情熱と熱意ことが曲を売るのです。曲というモノはそれがすべてです。
★やる気:すべてのアーティストは一生懸命に働くか、一生懸命働く意欲がある…のどちらかである必要があるでしょう。彼らの創造への旅のどこにいるのかにもよりますが。
★柔軟性
ひとたび曲が作られて録音されると、アーティストは他の人たちにオープンであらなければなりません。作品について別の選択が与えられ、改変をススメられ、アレコレと指示を受けることになりますから。

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あなたの仕事を一言でまとめるとなると?
 
楽しみ。
 
 
どうして?
 
ただ単に自分がやっていることが楽しいからです。
ズット楽しい人たちと仕事をしているし。
仕事は大変ですが、取り組んでいる間、その戦いを楽しむことのはとても良いことです。
母がよく言っていました…「もし笑わないなら泣くことになるよ」って。その通りだと思います。
大変な仕事はそれを楽しんじゃうことが一番なんですね。
 
 
アーティストがMarshall Recordsと契約します…そうした場合、次には何が起こるのでしょうか?
 

先方のキャリアによって色々ですね。
我々のアーティスト・リストを充実させるために契約をするのであれば、先方がどういうポジションにあるかを見定め、マーケットでどんな存在であるかを分析します…コレは今までと同様なんですが…そして、アーティストの目標と成し遂げたいことを設定します。
まずはそれをスタート時点の課題に据えます。
何をしたいのか、どう成りたいのか、どういう風に見られたいのか、どういうジャンルに区分けされたいのか、ということを決めるのも重要です。
そしてひとたびそれらを設定すると、必要な関係者とコンタクトし、それらの目標を達成するために共同作業を展開していくのです。
 
そんなことからアーティストの熟成期間は状況によって大きく異なります。
先方はすでにいくつか曲を作っているかも知れませんし、ビデオを制作する必要があるかも知れませんし、配給の計画を立てなければならないかも知れません。
あるいはイチから初めてスタジオに押し込んでそ、こから何かを作りだすケースもあるかも知れません。色々です。
どんなバンドと仕事をしようとも我々は腰を据えて考えます…我々はどこにいるのか?我々はどこに行きたいのか?そこへはどうやって行くのか?
 
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以上。
ピーターはウチのセガレたちよりいくつか若いんだけどシッカリしとる。
冒頭でピーターを「仕事のパートナー」だなんて書いたけど、ピーターは私をレコード屋さんの店主にしてくれた本人でしてね。
彼のプッシュがなければ『Marshall Music Store Japan』は実現しなかった。SもちろんD_Driveの世界デビューに当たっても並々ならぬサポートをしてもらい、現在でも微に入り細に穿ち面倒をみてもらっている。
彼とは2019年の『Marshall LIVE』の時に1回しか会ったことがないんだけど、ネット電話を通じて隔週でミーティングをしているので生で接する機会が多く、仕事の話のついでに英語についてチョコチョコっと教えてもらうなんてことも少なくない。
ブルースが好きなのかな?
仕事柄もあってか、若い割に昔の音楽もよ~く知っている。
ま、私には到底かなわないけど…古い音楽だけね。
S0r4a0510紅茶もそうなの。
ウチはこの「Sainbury's(セインズベリーズ)」というスーパーの紅茶、すなわち庶民が飲む一番普通のお茶が大好きで、商品を発送してもらう時にピーターに頼んでこの一番デカい240個入りというヤツをついでに送ってもらっている。
味はイギリスで飲む紅茶と違いますよ…向こうは硬水だから。
で、最近「Contrex(コントレックス)」とかいう硬水があるのを知って、「コスコ(COSTCOのことね。海外で「コストコ」と言うとかなりの高い確率で笑われますのでご注意のほどを!)」で買って来てこの紅茶を飲んでみた。
思わず口から出るのはThe Kinksもビックリの「Cuppa tea?」!
イギリスで飲むあの紅茶の味にかなり近いのだ。
ミルクを入れると更に近くなるよ。Ssbtピーターは私のMarshall Blogもキチンと認識してくれていて、日本で手に入らなかった下の本を送ってもらうようにお願いすると快く対応してくれた。
ロンドンにかつてあったライブハウスの図鑑。
コレがベラボーにオモシロくて、Marshall Blohの『イギリス-ロック名所めぐり』にメチャクチャ役に立つ1冊なのだ。S0r4a0039Marshallの本社があるミルトン・キーンズとオックスフォードの中間ぐらいにあるピーターの住む小さな町のようす。
イギリスは郊外の小さな町がどこもかしこもメチャクチャ魅力的だ。

Sch彼は私がMarshall Blogの中に『名所めぐり』を連載していることを知っていて、昔々この町のライブハウスにKing Crimsonがやって来たことを話してくれた。
も~ね、ブリティッシュ・ロックで育った私としては、そういう話を聞くとタマらんのよね。
恐らくグレッグ・レイクがいた頃のクリムゾンの話でしょう。Sab2コレがピーターの家…かと思ったら違った。
郊外にある「Waddesdon(ワデスドン)」というマナー・ハウス…貴族の家ね。
こういうイギリスの風景を目にするたびに日本に生まれて来てしまったという不公平感を抱かざるを得ない。
東京はどこかの野蛮人がすべて焼き尽くしてしまったからね。
あと、背広を着て海外でのパーティに出席する時ね。
あの時の劣等感だけはどうにもならん。Smh いつもニコニコしているピーターだけど、仕事のことになるとすごくシビアでしてね…「音楽」を「ビジネス」として扱う感覚とか姿勢にはものスゴいプロ意識を感じる。
特に今はITを使ったプロモーションが盛んでしょ?
ITを駆使した仕事の仕方が生半可じゃない。
私がいる環境がそうさせるのかも知れないが、この辺りの話をしていると、日本って手が付けられないぐらい遅れているのではないか?と心配になって来るんだよね。
でもね、とにかくもう言葉がわからんのよ。
英語自体はわかってもIT関連の用語がサッパリ理解できなくていつもピーターに迷惑をかけてしまうのですわ。S0r4a0479そんな若いピーターから教わることのひとつに「西洋人の寛容さ」というのがある。
仕事ですからチョットした話しの行き違いで意見が合わなくなることが出て来るでしょ?
そういう時、彼らってまず「No prolem!」とか「No worries!」ってやるんだよね。
決してガミガミ相手を押し込んだりするようなことをしない。
こっちもそう言われると、いっぺんに気がラクになって同じ方向を向こうという気になるでしょ?
連中は必ずまず一歩退いて相手の話を聞いて、それから自分の意見を論理的にバシっと言う。
そういう人との接し方を子供の時から学ぶんだね。
そうでない人ももちろんいるけどね。
勉強になります。
Marshallのレコーディング・スタジオも完成して、Marshallの新しい展望が開けて来た。
これからもピーターにはたくさんお世話になりそうだ。
アイツ、日本に来たことがないって言うからな~、来たらウマいもんをたくさん喰わせてやろう。
その前に…早くまたイギリスへ行きたいナァ~。
 
ということでMarshall Recordsをよろしくお願いします!
しかし、ピーターはデカいな。Simg_9063Marshall Records商品のお求めはコチラ
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