【イギリス-ロック名所めぐり】vol.49 ~<オールド・ロック・ファンに捧ぐ>トライデント・スタジオとC.ベヒシュタインとデヴィッド・ボウイ
思い返してみるに、「最後に行ったライブ」って1月10日に神戸で開催されたD_Driveのイベントだわ。
その翌々日にNAMMに行って、日本に帰って来た次の日に人生が終わってしまうかのような大事件がプライベートで勃発してそのままコロナ入り。
多い時には年間で150回以上ライブハウスに足を運んでいたんだけどね…今年は年明け早々にお邪魔したヤッチンとD_Driveでまだ合計2回だわ。
こんな年がやってくるなんて一体誰が想像しようぞ。
…ということで、もうライブ・レポートのネタはありません。
ま、1本残ってるんだけど、それはナンカのお祝いの時のためにキープしておこう。
とっておきの酒だな、まるで。
そんなワケでMarshall Blogの更新もスッカリご無沙汰になっちゃった…ワケではなくて、他のことで忙しくてマーブロを書いている時間がほとんどなかったのですわ。
ビデオ、やってんの…ビデオ。
こないだ『Marshall GALA2』のビデオを作ったでしょう?
アクセス数は全然パッとせずにガッカリしちゃったけど、アレのおかげでひと通りビデオの編集作業のノウハウを身につけることができた。
そこで、Marshall製品のデモ・ビデオをシリーズで作ることになり、それにかかりっきりだったのです。
気分はスッカリ黒澤よ!(写真は黒澤明気取りの筆者)
しかし、凝り出したらキリがない私の性格もあるけど、このビデオの仕事ってのは撮影から編集までアホほど時間がかかるね~。
黒澤組はさぞかし大変だったろうナァ。
しかし、世の中ビデオだね~。
取説でもナンでも全部ビデオ。
今は「ビデオ」って言わないのか…「動画」?
何でもかんでも「動画」…全くどうがしてるよ。
もっと人間は字を読まないと!
動画ばっかりで本を読まないとホントにバカになっちゃうよ。
この動画の隆盛で日本語は相当言葉を失っていると思うよ。
文章の方が語彙がはるかに豊かだからね。
ブログもかなり古臭くなって来た。
でも「文章でしか伝えられないこと」ってのは山ほどあるから。
例えば今日お送りするような内容ね。
文字の方がたくさん情報を詰め込むことができる場合もあるでしょ?
それでも時代の趨勢には抗えないのでMarshall blogも機を見てビデオ…じゃない、動画を取り入れて行こうかと思っております。
でも今回は動画がゼンゼン絡まない話題。
ライブ・レポートネタがないので、どうしても『名所めぐり』みたいな内容をやらざるを得ない。
コレが…滅法人気がない。
でも私としてはコレを書くのが最高に楽しいし、「Marshall Blogならでは」のコンテンツだと信じている。
もっとマスコミが食いついて来てもいいと思うんだけどね。
で、昨年の5~6月にイギリスに行った時のネタがまだいくらか残っているので、その記事を書くことにキメた。
そして、その時に撮った写真を眺めながら記事のアイデアを練っていたら「ロンドンもずいぶん変わったな~」と思ったのね。
ま、私なんか生まれて初めてロンドンに行ってからたかだか18年しか経っていないんだけど、それでもチョコチョコと変化があるワケ。
そこで「変わりゆくロンドン」と題してそんなことを書き留めておこうかとアイデアをまとめた次第。
でも、その前にほとんど変わっていないポイントをひとつご紹介。
記事に関する調べごとをしているウチに、色々と新しい情報を得て「変わりゆくロンドン」のシリーズから切り離して一本編みたくなってしまった。
私のように70年代のブリティッシュ・ロックを愛してやまないオジさま、オバさまに捧げる一編。
80年代以降のロックで育った若い人たちは読んだところでちっともオモシロくないだろうから今のウチにヤメときな。
コレは「ロックが大人のモノだった時代」を経験している人たちに向けた記事なのだ!…ナンチャッテ。
今日の「名所めぐり」の目的地はソーホーのディーン・ストリートからこの路地を入ったところにある。
今、向かっているのは「St. Anne's Court(セント・アンズ・コート)」というところにある「Trident Studio(トライデント・スタジオ)」。
以前にも取り扱っているので2回目の登場となる。
路地の反対側で突き当たるのは「Wardour Street(ウォードー・ストリート)」。
下の写真を右に少し行くとあの有名なライブハウス「Marquee(マーキー)」があった場所がある。
この「Wardour」ね、「ウォルドー」とか「ワーダー」とか「ウォーダー」とか、どうも読み方が定まらないんだけど、私は「ウォードー」と読むことにした。
ナゼなら先日、Marshall Recordsのボスと電話で話をしていた時、彼が「ウォードー」と発音したのを聞き逃さなかったからだ。
何しろ彼はロンドン生まれのロンドン育ち。
生粋の「Londoner(ロンドナー)」なのだからその発音に間違いはないだろう。
「鳥越」の、地名は「とりごえ」、神社は「とりこえ」、みたいなもんよ。
地元の人に倣っておくのが賢明だ。
コレが去年6月のトライデント・スタジオのようす。
10年以上前に来た時と大差ない。
チョット中を失礼。
結構狭そうだ。
Lou Reedの代表作『Transformer』が飾ってある。
もちろんココで録音した1枚。
私はLou Reed とかJohn Caleとか、Velvet Underground 系はニガテなんだけど、それでも「Walk on the Wild Side」はいいナァ。
アルバムのプロデュースがDavid BowieとMick Ronsonだからココでレコーディングしたのかしらん?裏ジャケのようす。
写真が小さくてわかりにくいけれど、男の人の股間が爆発している。
バナナを入れたんだって。
脱線します。
『Transformer』の裏ジャケの写真を撮ったのはKarl Stoecker(カール・シュテッカー)というフォトグラファー。
この人はRoxy Musicの最初の3作のジャケット写真を撮った人なの。
4作目の『Country Life』も続く『Siren』も似たようなタッチなのにナゼかフォトグラファーが変わって別の人になってる。
ギャラの件でケンカでもしたのかしらん?
中学生の時、Roxy Musicが好きでね~。
こんなのを持ってる。
1974年のイギリス・ツアーのコンサート・プログラム。
サイズはA6。
まるで結婚披露宴のテーブルに上に置いてある献立みたいな作りになっている。
さすがロキシー…シャレオツでしょ?
前座はデビューしたてのJess Roden…ファースト・アルバムしか知らんけど、と思って他のも試しに聴いてみると、なかなかいいネェ。
Eddie Jobson、この時19歳だって!
サポート・ベーシストはJohn Wettonだった。
Bryan FerryはGordie(ジョーディ)。
つまりニューカッスル出身。
中学2年の時にリリースされた『Viva!』を聴いてファンになった私。
何年かのインターバルを経て発表された『Manifesto』と武道館での来日公演。
そのあたりでキッパリとロキシー・ファンを止めた。
その後に『Avaron』でまた大成功を収めたようだが、私にとってのロキシーは「Re-Make/Re- Model」であり「Do the Strand」であり、「Out of the Blue」であり「She Sells」だったのだ。
コレは10年チョット前のようす。
昼休みのビジネスマンかな?
この人たちはこのスタジオのことを知っているのだろうか?
この頃はこんな看板がかけられていた。
映像関係のスタジオになっていたんだね。
トライデント・スタジオは1967年、Norman Shefieldという人がオープンさせた。
翌1968年にココで吹き込んだManfred Mannの「My Name is Jack」がイギリスのチャートの第1位を獲得したことによりその名が知れることになった。
Manfred Mannも長い歴史を持つ大変イギリス的なバンドだよね。
しかし、Manfred MannもEarth BandもChapter Threeも、「好きだ」という人にいまだかつて会ったことがない…どころか、誰かがManfred Mannのことを話しているところを聞いたことすらない。
私はGeoff Whitehornが一時Earth Bandのレコーディングに参加していたこともあって、超後追いでひと通り聴いてはいるんだけどね…それだけの話。
失礼だけど、このバンドの音楽にどういう意味があるのかが理解できないんだな。
でも、少なくとも「Blinded by the Light」はBruce Springsteenのオリジナルよりカッコいい。
で、ですね、何でまた急にトライデント・スタジオのことに興味を持ったかと言うと…コレ。
最近リリースされたFrank Zappaの1970年の音源を集めたCD4枚組。
この時代のZappaは私の「Zappa道」の原点ですからね…予約して買った。
15歳の時に買った『Fillmore East-June 1971』が生まれて初めて買ったZappaのレコードだったの。
それから43年経ってリリースされた新譜のDisc1に収められているのが『Chunga's Revenge』レコーディング時の未発表音源なのね。
コレがトライデント・スタジオで録音されているのだ~。 全編ではないにしろ、『Chunga's Revenge』はトライデントで録られているワケ。
気にしたことがなかっただけに知らなかった…盤自体は数限りなく聴いては来たけど。
「Transylvania Boogie」を初めて聴いた時は興奮したもんだ。
このAynsley Dunbarのドラムス!
それとナニかの本で植草甚一が「Twenty Small Cigars」のことを超ベタぼめしているのを読んで意外に思った。
実際にとてもいい曲だけど。
で、ココから先の記事は「アレもトライデント」、「コレもトライデント」…という流れになっていくんだけど、やっぱり金字塔は「Hey Jude」かネェ?
ビートルズのスタジオといえば~?
そう、アビィ・ロード。
ところが、当時アビィ・ロードは4トラック・レコーディングにこだわっていた。
一方、トライデントは8トラックの機材を導入していたことよりお鉢が回って来たというワケ。
そのレコーディングで使われたのが「ピアノのストラディヴァリウス」と呼ばれる1853年創業のドイツの「C. Bechstein(ベヒシュタイン)」のピアノ。
スタインウェイ、ベーゼンドルファーと並ぶ世界3大ピアノ・ブランドの一角。
フランツ・リスト、クロード・ドビュッシー、ヴィルヘルム・ケンプが好んで使ったという。
ドビュッシーは「ピアノ音楽はベヒシュタインのためだけに書かれるべきだ」…なんて乱暴なことまで言ってのけている。
セシル・テイラーやチック・コリアも好んで使っていたということだ。
第二次世界大戦中はナチに協力し、ヒトラーが「第三帝国のピアノ」と称していたが、それがたたり戦後は栄光の座から転げ落ち、一時はアメリカのボルドウィンの傘下に入ったが、現在ではドイツ人に経営権が戻っている。
グランド・ピアノで510万円~2,000万円、アップライト・ピアノで178万円~600万円ぐらい。
思ったより高くない。
私は要らないけど。
お金があったとしても、そもそも家に置くスペースがない。下が実際のトライデント・スタジオにあったベヒシュタイン。
David Bowieの初期の諸作、Elton Johnの「Your Song」、Nilsson版の「Without You」、T.Rexの「Get it on」、Carly Simonの「You're so Vain」、Boomtown Ratsの「I Don't Like Mondays(どっかで聞いた名前だな)」…ゼ~ンブ、このピアノで録音した。
1968~1980年代の冒頭まで活躍した「20世紀で最も有名な楽器」のひとつとされている。
当時で100歳になっていたこのピアノは、現在ではロンドンのエッジウェア・ロードにあるJaques Samuel Pianoというピアノ店からのリースだった。
このピアノの音色があまりにも素晴らしいので、このピアノ目当てでトライデント・スタジオを採用するバンドも多かったという。
そして、トライデントでスタジオ・ミュージシャンとしてこのピアノを弾いていたのがRick Wakemanというワケよ。
このピアノがどういう風に素晴らしかったのかというと、とにかく音の粒立ちがよく、澄んでいたらしい。
作りが大変堅牢で、弦を叩くハンマーの力が他のピアノより強く、どんなに力を入れて鍵盤を叩いでもそれにバッチリ応えてくれたのだそうだ。
その結果、音抜けがバツグンによく、バンドの中で音が埋もれることがなかった。
昔のモノは本当によくできていたんだね。
トライデント・スタジオは1981年に売却されてしまうんだけど、その直前に補強の修繕をこのピアノに施したところ、音が変わってしまい、元に戻らなくなってしまった。
そして、スタジオを閉める時、ホイストで持ち上げたピアノが床に落下し大破。
その後、このピアノの行方は誰にもわからなかったが、2008年に「Hey Judeで使用されたピアノ」としてインターネットのオークションに出品されているのが発見された。
その値段は20万ポンド…当時のレートで4,300万円だったという。ビートルズは「Hey Jude」だけでなく、「Honey Pie」や「Martha my Dear」、「Savoy Truffle」、「Dear Prudence」、そして「I Want You(She's so Heavy)」のベーシック・トラックもトライデントで録音している。
もちろん「Honey Pie」や「Martha my Dear」で聴かれるピアノは上のベヒシュタインの音色だ。
それとJohnの「Cold Turkey」もEric Claptonを迎えてココで録音された。
Eltong Johnの「Your Song」はデンマーク・ストリートで書かれたと言われているが、録音したのはトライデント・スタジオだった。
上で触れた通りもちろんあのピアノの音色もベヒシュタイン。
Regiは初期の作品のほとんどをトライデント・スタジオで録音している。
『Madman Across the Water』の「Tiny Dancer」のピアノも当然ベヒシュタイン。
いい曲だよね~。
初期の作品では「Skylinbe Pegeon」が大好きなんだけど、この曲を収録している『Empty Sky』は残念ながらトライデント録音ではない。
『Empty Sky』の後に「Your Song」のレコーディングでベヒシュタインのことを知ってトライデントを使うようになったのかも知れないな。
この『Friends』という同名映画のサントラ盤って見ないよね。
映画自体は小学生の時に雑誌「スクリーン」や「ロードショー」でおなじみだったんだけど。
後年、『Rare Masters』という未発表音源集で初めてその音楽を聴いた。
コレ、映画へのクレジットは「Elton John、Paul Buckmaster、Bernie Taupin」の連名になっているんだネェ。
『17-11-70』はニューヨークのFMのスタジオ・ライブを収録したアルバムだけど、トライデント・スタジオでミキシングされている。
Dee Murrayのベースがアホほどカッコいい!
「Take me to the Pilot」なんてまるでJacoみたいに好き勝手に弾いて暴れまくってる。
8年ぐらい前にイギリスで観た時はNigel OlsonもDaveyJohnstonも元気だったのに…惜しい人を亡くしたものだ。
『Goodbye Yellow Brick Road』もフランスかどっかへ出かけて行って録ったベーシック・トラックをトライデントでミキシングした。
『Honky Chateau』や『Rock of Westies』なんかもミキシングだけ。
Freeの最高傑作の呼び声も高いセカンド・アルバム『Free』や定番の『Fire and Water』の2枚もトライデント録音。
しかし、この『Free』というアルバムはスゴイよね。
Paul Rogersなんかこの時まだ20歳だったてーんだから驚いちゃう。
私には少々渋すぎるんだけど、昔の人は本当に立派だった。
Paul Kossofのお父さんはDavid Kossofという俳優さんでお金持ち。
バラカンさんの本で読んだんだけど、その財力を活かして、「たいしてうまくもないのにいい楽器を持っているヤツ」というのがまだ未熟だった頃のPaul Kossofに対するイメージだったらしい。
しかし、トライデントから歩いて10分ぐらいの楽器屋街にそうしたミュージシャンが集まっていた…なんて光景を思い浮かべるとタマらんね。
ジム・マーシャルのお店に集まっていたピート・タウンゼンドやリッチー・ブラックモアしかり。
だからロンドンはオモシロい!
知れば知るほどオモシロい!
The Rolling Stonesもトライデントを使っている。
ストーンズはまったく受け付けないもんでコレでパス。
T.Rexはこの2枚をトライデントで録音しているようだ。
…ということは、NATALのパーカッションもココで使われていたというワケよ。
そういうことにしておこう…うれしいから。
コレは以前にも書いたけど、トライデントはベヒシュタインのおかげがあってか隆盛を極め、ポールを通じてアップル・レコードのアーティストの録音もたくさんこなした。
Billy Preston、James Tayor、Mary Hopkin…当然Bad Fingerもトライデントのお世話になった。
Bad Fingerいいな~。
タマに聴くとすごくいい。ナンダカンダでほとんど買ったな。
ジャケットもいいから。
このファースト・アルバムの最初の曲「Come and Get it」のピアノもベヒシュタインなんでしょうね。
ものすごく音が太い。
このジャケットはジョルジョ・デ・キリコなんだな?
そして、スタジオが空いている時にポールが…イヤ、サー・ポール・マッカートニーが、将来性が認められる新人バンドにスタジオを開放した。
その新人バンドのひとつがQueenだった。
Queenのファーストとセカンド、それと『Sheer Heart Attack』も一部はトライデントで録音された。
するってーと、「Killer Queen」のピアノもベヒシュタインということか…。
いつも書いているように私はQueenはキライでなくても、ファンであったことは人生で一度もないんだけどシングル盤は何枚か買ってるんだよね。
「買ってる」と言っても石丸電気のサービス券と交換したんだけどサ。
で、「Killer Queen」のB面の「The Seven Seas of Rhye」のピアノはそのトライデントのベヒシュタインのサウンドの代表のひとつとなっている。
しかし、録音によってずいぶん音色が違うな。
さて、しからば「Bohemian Rhapsody」のピアノはどうか…。
この曲が収められている『A Night at the Opera』はトライデント・スタジオでの録音ではない。
しかし、あのピアノはトライデントのベヒシュタインなんだって。
このことは権威あるイギリスのNME(New Music Express)が「'Hey Jude'と同じピアノを使って録音した」ということを正式に発表している。
どうも、ピアノ・トラックだけトライデントで録音したようだ。
何度も書いているようにQueenの代表作、『A Night at the Opea』とコレに続く『A Day at the Races』というタイトルはマルクス兄弟の映画からの借用ね。
Genesisもトライデントのお得意さんだった。
コレはうれしい。
『Selling England~』あたりは全部が全部ではないようだが、何らかの形でトライデント・スタジオが制作に携わっている。
ライブ盤の『Seconds Out』もトライデントでミキシングしているんだぜ。
ああ、あの新宿厚生年金の時のGenesisを今でこそ観たいナァ。
Genesis自身もトライデントを気に入っていたんだろうけど、正確にはGenesisがお得意さんというワケではなくて、契約していたCharismaレーベルがお得意さまだった。
だからBrand Xもココでレコーディングしている。
ま、Phil Collinsも勝手知ったるところだったろうしね。
もうひとつ、Van Der Graaf Generator。
このチームは元々トライデントを使っていたようで、セカンド・アルバムからChrismaに移籍して当然トライデントでレコーディングし続けた。
もう10年以上前の話になるけど、ある夏、Marshallの副社長を含む技術チームが3人来日したことがあってね、みんなで御茶の水のディスクユニオンに行ったの。
その時、タマタマVan Der Graafを聴いていて、どのアルバムだったかは覚えていないけど1枚中古CDを買ったワケ。
それを見ていた大のLed Zeppelinファンの副社長が、「シゲ、ナニを買ったの?」と訊いてくるので「Van Der Graaf Generatorだよ」と答えると、「ヴァヴァヴァヴァヴァン・ダー・グラ~~~フ????????」とかなり驚いた。
「ナニを驚いているんですか?アナタの国のバンドですよ」と言うと、「多分イギリスで今Van Der Graafなんて聴いている人間はひとりもいないよ」…だって。
ま、そうだろうな。
私も今は全く聴いてないし…。
Zeppelinといえば、コレ。
Peter Hamillの『Fool's Mate』。
1曲目のタイトルは「Imperial Zeppelin」だ。
Peter Hamillもソロ・アルバムをトライデントで録音した。
ま、正直…この声がね~。
Yesもデビュー・アルバムはトライデントで録ってるんだよ。
Yesというと圧倒的に『Fragile』から、あるいはその前の『The Yes Album』からの扱いばっかりだけど、始めの2枚もとっても魅力的だよね。
コレに入ってるビートルズの「Every Little Thing」のカバーなんて意味もなく大仰でメッチャかっこいい。
でもヘソ曲がり的に言えば、私は『海洋地形学』のC&D面かな?
トライデントはロックだけじゃないぜ!
John McLaughlinも使っていた。
名盤の誉れ高いMahavishunu Orchestraの『Birds of Fire』はトライデント録音だ。
ギター・アンプはMarshallなんじゃないかしら?
三宅さんならご存知のハズ。
1973年の録音から26年の時を経て1999年にリリースされたMahavishunu Orchestraのアルバム。
チョット見ると未発表のライブ音源のように見えるし、私も実際そう思い込んで買った。
タイトルは『The Lost Trident Session』。
この「Trident」はトライデント・スタジオの「トライデント」。
スリーヴに使われている写真もライブのモノばかりで、誰がどう見てもトライデントでスタジオ・ライブでもやった時の音源かと思うじゃん?
ところがコレは完全にMahavishunuの未発表スタジオ音源で、ナント『Birds of Fire』に続く3枚目のアルバムになる予定だったモノ。
マクラフリンとしてはとても内容を気に入っていたが、メンバー間の関係がどうもシックリいっていない時期であったため、発表を見合わせてライブ盤『Between Nothingness and Eternity』をリリースすることになったのだそうだ。
それから26年もの間、この音源は闇に葬られていたというワケ。
コブハムつながりで…。
みんな大好き『Spectrum』。
コレはトライデントでミキシングしている。
「Stratus」は、「ストレイタス」ではなくて「ストラトゥス」ですから。上にNilssonの「Without You」のピアノもベヒシュタインと書いた。
このピアノの音は他の録音とゼンゼン違うな。
マライア・キャリーなんかもカバーしていたけど、「Without You」はNilssonの曲ではありませんからね。
Bad Fingerの曲。
Nilssonも何枚かトライデントでアルバムを作っている。
この左の『Son of Schmilson』ってのは中学生の頃ハンターでよく見かけたナァ。
ドラキュラ映画のサントラ盤かとばかり思っていた。
Thin Lizzyはもっとココで録音しているイメージがあったんだけど、意外にも『Night Life』だけだった。
でも名バラードの「Still in Love with You」がココで録られているなんでうれしいじゃん?
Joe Cockerもトライデントからスタ―ト。
もうこの「Feelin' Alright」を聴くと、とにかく小川文明さんを思い出してしまう。
Carly Simonの『No Secrets』もトライデント。
なるほど、「You're so Vein」のベヒシュタインはまたゼンゼン別の表情をしていますな。
コレがNilssonの「Without You」のピアノと同じモノかとビックリするぐらい音色が太くて力強い。
アタシャこういうシンガーソングライター系の音楽は全くと言っていいほど聴かないので何も語る資格はないけど、こうして聴いてみるとなかなかいいもんですな。
月並みですがJoni MitchellとLaura Nyroは好きです。
このアルバムのジャケ写を指して「女性の正しいシャツの着方」って書いていた人が昔いたけど…いやん、エッチ。
実際にロンドンの街を歩いていると、ブラジャーをお召しにならない女性をよく見かけるけど、向こうの人のはゼンゼン自然なんだよね。
見ている方が恥ずかしくなる…あ、私は決して見たりはしませんよ。
じゃ、ナンで知ってるんだ?ってか?
Mottはね~、わからないんですよ~。
『黄金時代』もサッパリわからん。
このアルバムも持っているんだけど、全く内容を覚えていない…ということで聴いてみるか。
…間…
印象変わらず、でした。
でもね、20年近く前にIan HunterがMarshallのAVT100を使っている写真を発見した時はうれしかったんよ。
AVT、なつかしいな。
それから~、Mick Ralphsのレスポールの話はいつかしたから今回は止めておこう。
トライデントはメタルだって「ドンと来い!」だぜ。
Judas Priestの『Staind Class』。
この辺りまでは私も聴いた。
ところが、ハルフォードさんのお声が段々オモシロく聴こえるようになって来ちゃって…。
初めてJudasを聴いたのはセカンド・アルバムの『Sad Wings of Destiny』がリリースされた時で、「The Ripper」なんか何てカッコいい曲なんだ!と思ったよね。中2の時。
Tigers of Pang Tangってのはもう全くわからない。
一昨日は家内特製のワンタンを頂いたけど…。
鶏ガラを買いに行ってね、化学調味料を全く使わないでスープを作ってくれる。
メッチャおいしいの。
あ、そんなことはどうでもいいか。
パン・タンはジャケットがいいね~。
以上、もう1回書いておくけど、全部が全部トライデント・スタジオで録音したモノではないからね。
一部の曲だけであったり、ミキシングだけだったりするアルバムも含まれていいることは承知しておいてね。
それにココに挙げた以外にももっとたくさんの名盤がココで制作されているハズだ。
一体どれだけのMarshallやNATALのパーカッションがココに運び込まれてそんな名演名作の制作をサポートしたんだろうね。
ロマンだナァ。
そんなことを考えるとMArshall冥利に尽きるってもんだ。
下は昨年に訪れた時のようす。
何のプラークかと言うと…
「デヴィッド・ボウイ
1947-2016
彼のアルバム、『ハンキ―・ドリー』、『ジギー・スターダスト』、代表作「スペース・オディティ」がここトライデント・スタジオで録音された。
BBCラジオ・ロンドンより贈呈」
そういうこと。
とにかくデヴィッド・ボウイなワケ。
初期の作品は全部トライデント録音。
『Hunky Dory』のピアノはRick Wakeman。
やっぱり極めつけは『The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars』ということなんでしょうね。
私も中学生の時に夢中になって聴いたもんですよ。
『Aladdine Saine』もとても好きだった。
このアルバムはコーラスでLinda Lewisが参加しているのか…。
『Station to Station』までは聴いたの。
「TVC15」なんて大好きだった。
で、中3か高1の時に『Low』がリリースされてズルっとなった。
それからDavid Bowieは全く聴いていない。
高校の時に来日したけどNHKホールには行かなかった。
ギターがAdrian Belewだったので行っておけばヨカッタような気もするけど、ま、いいや。
初来日の時は、「飛行機がキライ」ということで船で日本に来たんだよね。
後で聞いたら、フィリピンだかシンガポールまで飛行機で来て、その後船に乗り換えたとか…。
それにしてもDavid Bowieのイギリスでの人気の高さはスゴいワケ。
日本みたいに亡くなった時点で急にファンが増えてすぐに忘れられてしまうようなのとはワケが違う。
Peter Greenが亡くなったでしょう?
facebookなんかを見ているとスゴイもんね。
どっからか急にFleetwood Macファンが押し寄せて来た。
普段はFleetwood Macの「フ」の字も出て来ないのに不思議だね。
ま、「故人を偲ぶ」という意味では一向に構わないんだけどね。
で、David Bowie、Pink Floyd、Status Quoあたりは日本では想像がつかないぐらい人気が高い。
…ということで、David Bowieの地元へ行ってみた。
「Brixton(ブリクストン)」というテムズ川南岸の町。
地区はLambethになるのか…。
ヴィクトリア線でロンドンの中心からすぐのところ。
「すぐのところ」なんだけど…
もうね、駅から外へ出た瞬間に「あ、ココは違う」と感じたわ。
とにかく黒人だらけなんですわ。
別にコワいことはないけど、場合によってはコワい目に遭っても不思議はないような雰囲気。
すくなくともジギー・スターダストのイメージはナニひとつありはしない。
駅からほど近いところにある「O2 Academy Brixton」。
ロンドンの重要なコンサート会場のひとつ。
1929年の開業で元は映画館だった。
こけら落としはAl Jolsonの「The Singing Fool」という作品。Al Jolsonはガーシュインの「Swanee」を歌った人ね。
後にコンサート・ホールとなり80年代のバンドの活躍の場となった。キャパはスタンディングとイスで4,900だって。
楽屋口。
Eric Clapton、Dire Straits、Policeなんかがリハーサルに使ったこともあるという。
Wham!はココでビデオを撮ったそうな。今度は線路の反対側へ歩いて来た。
Lambeth Town Hallという建物。
そうか、コレはランベス地区の役所だったのね?
コレは立派だった。
1911年の開業で建物はGradeIIに指定されている。
ココは労働争議をやっているみたいだね。
外壁にはズラリと往年の、イヤ古のハリウッド・スターのポートレイトが並んでいた。ジギー・スターダストはこんなところで生まれ育ったのでした。偶然の山本寛斎さんの訃報。
田川ヒロアキさんが出演したイベントで2、3度お見かけしたが、いつもニッコニコでとても感じのよい方だった。
ヒロアキくんの「Sea Scape」を合体させたイベントのオープニングの「君が代」のオリジナル・アレンジと演奏をとにかく褒めちぎっていらっしゃった。
この場をお借りして謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
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