【50 YEARS OF LOUD LIVE REPORT】前日リハーサル~その1
2012年9月22日、ロンドンはウェンブリ―・アリーナで開催されたマーシャル社創立50周年記念コンサート『50 YEARS OF LOUD LIVE』が無事終了した。マーシャル・ブログではこの50年に1度の大イベントを詳細にレポートします。
コンサート開催の数日前から工場に乗り込み、リハーサルから参加してきた。本番のレポートはもちろんのこと、滅多に見られないリハーサルの様子もガツンとお見せしちゃいたいと思っとるのですわ。例によって、モンのすごい量のレポートになりそうなので、キリのいいところで分けながらお送りすることにします。
何しろ、本番前日のリハーサル・スタジオに入るところから始まっちゃうんだから先が思いやられるでしょ~?
さて、リハーサルの日…向かうはテムズ川の南のバーモンジー(Bermondsey)という「リンゴとはちみつ」みたいなところ。こっちの方はまったく訪れたことがなかったので楽しみ!
朝、アメリカのマーシャルのニックとR&Dのサンチャゴ、それにアメリカから来ているフォトグラファーのマットの4人で車で行くことになっていたのだが、ニックがキャンセル。段取りが狂い、急遽ケリー・キングの面倒を見なくてはならなくなったのだ。
残る3人でマーシャルのドライバーに送ってもうらう。まだ、朝のうちはロンドンに向かう高速道路は殺人的に混んでいるので、ひたすらのどかな田舎道を走る。すると、やってるんだネェ~、ネズミ捕り。高速道路はスピード・カメラがジャンジャカ付いていて速度違反にはみなシビアに注意しているが、こんな林の中を走る道で取り締まってるんですよ。こんなの全員捕まるに決まってるわ。かわいそうなドライバー…。ロンドンに入ってテムズ川を渡ってからも派手に道間違えちゃったんだぜ。時間のことはいいんだけど、トイレがそこらにないもんだから、猛烈にトイレに行きたくなっちゃって脂汗かいちまった!「Pull it over!!」と叫びたかったけど、「ガマンガマン」。
彼、名前なんつったっけかなァ~。年に一度会うか会わないかという庸車のドライバーさんたちなもんだから、なかなか名前が覚えられない。ところが、向こうは全員私のこと知ってるんですよ。「シゲ、シゲ」って。お出迎えの時に必ず名前を確認してくるもんだから、彼らは難なく覚えちゃう。こっちはね、例えば、空港からマーシャルの工場まで1時間半ぐらい、密室で名前の知らない人とふたりきりで過ごすんだからバツが悪いんですよ、いつも。 ま、かえってなまえおを呼ばない方が失礼なので、実際には名前訊いちゃうんだけどね…でもこれが二度三度となるとそういきませんでしてね…。ボブだっけかな~、マイクだっけかな~。
そして、色々と我慢の末、ようやく着いたのがここ。ここはPeek Freanというバカでかいビスケット工場の跡地。いまも一部は操業しているのかな?トイレに焦ってたんで目に入らなかった!古い倉庫なんかを近代的な施設に改装しているところが東京にもあるけど、ここもそう。かつて、このバーモンジーという街は、このビスケット工場にちなんで「ビスケット・タウン」と呼ばれたいたらしい。
なかなか入口がわからなかった。こりゃやばいと真っ青になっていたら、「シゲ、とにかくトイレ、まずトイレ!食堂だ!食堂へ行くんだッ~!」とみんなで応援してくれた。脱兎のごとく車を飛び出してキャンティーンへ!無事セーフ!なのでゆっくり場所探しちゃっても大丈夫だったのさ!
この奥が目的のスタジオ。
「MUSIC BANK」という。
ゲネプロができる大きなスタジオがいくつか入っている、ロンドンでも有名な老舗スタジオなのだ。
階段を上がってリハーサル・スタジオに入る。
お~!やってる、やってる!あたり一面、モノスゴイ数のマーシャル!
ここをステージに見立てて、入れ替わり立ち替わりゲスト・ギタリストにハウス・バンドに合わせてもらおうというワケ。
ゲスト・ギタリストたちの自前の機材もゾロゾロ…こういうのは興奮するネェ、いくつになっても!これはザックのラック。
ザックのラック。すべて2203ZW。
ザックのペダル・ボード。
これはニコ・マクブレインのもの。
ちょうど御大のリハーサル中だった!
昨日、BBCの「Breakfast」というワイド・ショウに出て、コンサートにかける意気込みをインタビューされていたグレン・ヒューズ。スンゲェ声!イヤね、わかっちゃいるけど、スゴイですよ。目の前でガナってんだから!ロック・ヴォイスの頂点ですな。
ベースはアンディ・フレイザー。そう、元フリーのアンディ・フレイザー。え?『Fire and Water』のジャケットとエライ違うやないけ!って?ね~、違うよね~。でもね、「Mr. Big」を演奏したんだけど、まったくあの音だった。音質というよりも、ナンというか、呼吸っていうのかな?もう完全にアンディ・フレイザーなの。このコンサートを機に活動を再開するらしい。
グレンのバンドのギタリスト、ソレン・アンダーソン。スウェーデンの出身だ。
ドラムはハウスハ・バンド・メンバーのブライアン・ティッシー。
叩くはジムのポートレイト入りのNATAL(ナタール)ドラム。「ナタル」ではない。おいおい紹介していくけど、NATALマーシャル一家のドラム・ブランドだ。
グレンがベースを弾き始めた!ゴリゴリギョリギョリゴリゴリギョリギョリ、音デケぇ~~~!でも、やっぱりあの音なんですよ!やっぱ違うな~本場で本物は!アンプはVBA400とVBC810。
結構念入りにチェックしていたね。イーワイーワで済まさないです。かない真剣。とフト、自分の横を見ると、イングヴェイ・マルムスティーンが立ってる。黒い毛皮着てさ、もう完全にロック・スターの出で立ち!やっぱこうでなきゃ、スターは!でも、イングヴェイはリハの撮影禁止なの…。だからしばらくはカメラ休憩…。
…というのもナンなのでイングヴェイの機材一式を撮っておいた。そういえばイングヴェイのギター・テク替わってたな…。前のヤツ、おもしろかったんだけどな…。今度のヤツはギター弾かせたらイングヴェイそっくりに弾いてた。
で、グレンと「Mistreated」をプレイ。カッコいい~!トリハダ~。その後、イングヴェイが弾き出したのは「タマホーム」!ウワ!これ演んのかよ~…と思わず聴き惚れてしまう。イングヴェイ、「Lay Down, Stay Dowm」でもいいよ~、なんて言ってる!ケチってないで全部演ってくれい!
それが終わってイングヴェイのセットのリハーサルが続く。久しぶりだなインヴぇい見るの。東京フォーラムのディープ・パープルの時以来だ。もちろんアンプはYJM100。
雰囲気変わって、ジョー・サトリアーニがステージに上がる。
アラよっといきなり「Satch Boogie」!
なんだこの人…メッチャクチャギターうまい!ってわかってんだけど、こりゃ次元が違うわ!アンプはJVMをベースにしたJoe Satliani Modelだ。
ここも打ち合わせに余念がない。
ニコもドラムで参加。
ハウス・バンドのベースはジャズ・ロウクリー。もうこの人とも長くなったわ~。
そして、マーシャルのデモンストレーター、クリス・ジョージ。今回のコンサートを見事にまとめ上げてくれた。
中間のタッピングのところ。
何回か「Satch」を練習していたけど、1回もミスなしの完璧な演奏。イヤ、この人驚いたわ~。実はですね、この後、個室であるモデルをジョーが試奏してくれたんだけど、それを見せてもらった。
最初にチョット聴いただけでピンときたんだけど、ジョーのギターって誰かにソックリなんですよ。で、わかった。この個室の演奏で本当に間近で見てわかった。土方さん。土方隆行さんにソックリなの。
フレーズが似てるとかいうのでは決してない。弾き方というか、アーティキュレーションというか、タイミングっていうのか、もうすごく似てる。「本当にギターがうまい」というのは、こういう人たちのこというんだろうなって思った。速弾きとか、タッピングとか、テクニックのことを超越しちゃうのね。そして、うまくなりすぎちゃうと似て来ちゃうこともわかった!そんなはことないか?でも、本当に驚いたな~。
いつかマーシャル祭りかなんかでジョーと土方さんに共演してもらいたいもんんだ。これを新しい自分の「夢」としよう。
ひとまずリハを終えて談笑のシーン。リハーサルはまだまだ前半戦だ。
つづく
(敬称略 2012年9月21日 London, Bermondsey, MUSIC BANK にて撮影) 12