THE VIOLET冠<後編>~VIOLET ETERNAL
『THE VIOLET冠』のレポートの<後編>は「VIOLET ETERNAL」の出番。
話はまず「ー二」から入ることにする。
「1、2」じゃないよ。
「ー」は出版業界で「音引き」と呼ばれている前の文字の音を伸ばす印。
正式な名称は「長音符合」。
「二」はカタカナの「二」。
「ー二」の「ー」の前に文字がないので、この場合「ー二」を発音することはできない。
心の中で読んでください。
ところで、VIOLET ETERNALは若手ギタリストの「ジエン・タカハシ」とイタリアのシンガー「イヴァン・ジャンニーニ」が中心となって活動している日伊混合のヘビィ・メタルのチーム。
ジエンくんからイヴァンの「ジャンニーニ」という名字を耳にした時にすぐにある話を思い出した。
下は1998年5月、JR名古屋駅の新幹線のホームで撮った写真。
写りが悪くて恐縮だが、真ん中に立っているおジイさんはジム・マーシャル。
その向かって左は当時Marshallの海外マーケット担当で私の親友だった故スティーブ・イェルディング。
向かって右はベーシストのトム・キャリーとその背後が私。
ジムは彼らデモンストレーション・バンドを率いて来日し、東京、名古屋、大阪で「JCM2000 TSLシリーズ」の発表会に臨んだ。
この来日の際に私は初めてジムにお会いしてMarshallの仕事に関わり出した。
そして今日までアッという間に27年が経過したが、この写真を撮った時は将来Marshallの禄を食むようになるなんて全く思いもしなかった。この時にみんなで栄町の「ハードロックカフェ」へ繰り出した時の写真。
向かって左で私を指さしているのはギターのジェフ・ホワイトホーン。
IF、バック・ストリート・クロウラー、クロウラー、ロジャー・チャップマン、エルキー・ブルックス、ポール・ロジャース、ロジャー・ウォーターズ、バッド・カンパニー、THE WHOの「Quadrophenia」のライブ、そしてプロコル・ハルム等々でプレイしたコアなブリティッシュ・ロック・ギタリストの頂点みたいな人だ。
現在でもTHE STRYDESというバンドで活躍している。
そして向かって一番右はマンフレッド・マンズ・アース・バンドのドラマーだったジョン・リングウッド。
トムはBBCでベースの仕事をしているとか言っていた。
慣れないイギリス英語がわかったフリをするのには四苦八苦したけれど、この時は本当に楽しかった。下はその発表会の東京での様子。
会場は昔の「銀座TACT」。
トムのベース・アンプがまだ「DBS(Dynamic Bass System)」だったことに驚く。
「VBAシリーズ」が発売される前のことだから当然なんだけど…。
本題はココから。
この時、トムに当時私が勤めていた会社の営業担当者を紹介して名前を伝えると彼はビックリしてこう言った。
「ナンだってッ?キミはイタリア人なのかッ!」
その営業の方はかなり伝統的な日本人のルックスをしていた。
トムはそのルックスと名前の大きな差に仰天してしまったのだ。「イタリア人」?、「名前」?…一体トムはナニを驚いたのであろう。
そこで映画や音楽を通じて頭に思い浮かぶイタリア人の名字を並べてみると…
二コロ・パガニーニ
アルトゥーロ・トスカニーニ
ジャコモ・プッチーニ
マウリッツオ・ポリーニ
カルロ・ジュリーニ
ジョアキーノ・ロッシーニ
パオロ・パゾリーニ
ミケランジェロ・アントニオーニ
ロベルト・ロッセリーニ
フェデリコ・フェリーニ
ジャンカルロ・ジャンニーニ
あ、ベニート・ムッソリーニもいたな。
ナンと「ー二」の多いことよ。
しからば、トムが紹介された営業担当者の名前をナンといったか…。
それは「新谷」さん。
トムは「しんたに」という名字を耳にして、英語の発音のクセから「シンターニ」という名前のイタリア人だと真剣に思い込んでしまったのだ。
調べてみると「ー二」は日本でいえば「△木」さんとか「〇山」さんぐらいの感覚で特に深い意味がないようだ。
そういえば、かつてMarshallの「Pantony」さんという若い女性がいて、彼女もよく「パントーニ」さんというイタリア人に間違えられると言っていた。
「t」と「n」の間に「o」が入っているからであろう。
今日のオープニング・トークは以上…チャオ!さて、今日は珍しくジエンくんの前説から。
「今日は電車が止まったりして色々と大変な中、そしてお暑い中、ご来場頂きありがとうございます。
ココまでPARADOXXもTHE 冠も熱いメタル魂をぶつけてくれました。
VIOLET ETERNALはもっとスゴイぞ!
まもなく始まりますのでよろしくお願いします。
あ、チョット言っておきます…VIOLET ETERNALはガンガン画像を録って、バンバンSNSにアップして、ドンドン広めてください!
ジエン・タカハシでした」この日は今回のレポートの<前編>にも書いた通り、午後4時頃に山手線にアクシデントが発生し、交通機関が一部マヒしていた。
そのため、遅れてお見えになるお客さんのためにショウの開始時間を少々遅らせる措置を採ったのだ。
要するに客席はVIOLET ETERNALの登場を待ちわびていたというワケね。
だから演奏が始まった途端…ド~ン!VIOLET ETERNALは…
Ivan Giannini(以下「イヴァン」)と…Jien Takahashi(以下「ジエンくん」)が結成したチーム。
加えてAndrea Cappellari(以下「アンドレア」)…
「Illusion Force」のOllie Bernstein(以下「オリー」)…
「Neu:NOIZ」のYAMATO…
の計5人のツワモノ軍団が鉄壁のメタル・ステージを披露してくれた。
オープニングは「The Echoes of Time」。「VIOLET ETERNAL」なんていい名前だね。
結成の経緯については他の媒体に詳しいのでココには記さないが、ジエンくんが趣味で取り組んでいたコンピュータで制作したデザインをMAJUSTICEのマネージャーに見せたところ「そのデザインにふさわしいアルバムを作るべし」というところから始まったのだそうだ。
ジエンくんはイヴァンにコンタクトを取るがうまく調整できず、またその反対のケースもあったりしたが、最終的には「VIOLET ETERNAL」という形に昇華した。
チーム名はそのジエンくん作のコンピュータ・デザインのタイトルから…それは「Road to Violet」だった。続けては「Now and Forever」。
YAMATOさんと…
オリーの強力なコンビネーションがクリエイトする心地よくも強烈なグルーヴ。
そのゴキゲンなロック・ビートに乗ってイヴァンが猛シャウト!
もちろんギター・チームもダマっちゃいない。
アンドレアのソロから…ジエンくんのソロへ…。
ジエンくんはもちろんMarshall。
自慢のMODE FOURキャビネット「MF400」の上下に…
ジョー・サトリアーニのシグネチャー・モデル「JVM410JS」を組み合わせて轟音を聴かせてくれた。
やっぱりちゃんと使うMarshallの音はヌケがゼンゼン違いますな。
そういえばサトリアーニも「ーニ」だ。イヴァンが「新曲」と紹介した次の曲は「Ember Flame」。
「ember」というのは「燃えさし」のこと。
「Flame」は「炎」だから「残り火」というところか?少々エスニックな雰囲気のハード・チューン。
ピックアップ・ソロあり…
2人のアンサンブルありでココでもギター・チームが大活躍。
チョット雰囲気を変えてポップな感じで「Land of the Golden Sun」。
イヤイヤ、ポップじゃないわ…全然ハードだわ!
オリーのワイルドなベース・ラインが曲をダイナミックに演出する。
意表をつく転調からギター・ソロへ。
次々と変わっていく情景がうれしい1曲。
VIOLET ETERNALのオリジナル曲はすべてジエンくんが作曲、ほとんどの英詞をオリーが手掛けているそうだ。ココでゲストが登場する。
キーボーズで瑠美奈。瑠美奈ちゃんが来ているTシャツのイラストがライオンだということでみんな「ウッソだろ~!」。
演奏した曲はイヴァンがやっていた「Vision Divine」のレパートリーから「Angel of Revenge」。
YAMATOさんの鮮やかなスティックさばきのイントロからすさまじいツーバス・プレイが展開する!そして、瑠美奈ちゃんのキーボーズがバンド・アンサンブルを徹底的に分厚くする!
イヴァンの叫びがまたスゴイんだわ~!
ギター・チームの…
爆音に負けじと…
瑠美奈ちゃんも必殺のシンセサイザー・ソロをお見舞いした!
さらに次のゲストがステージに上がる。
オリーがゲストではありませんよ。さっきから出ているんだから。
ゲストは向かって左のJinnJeon(以下「ジン」さん)。
ジンさんはオリーが参加している「Illusion Force」のボーカルズを務めているのだ。…ってんで取り上げたのはIllusion Forceから「Beast of the Earth」。
ジンさんと…
イヴァンの…
激唱に次ぐ激唱!
対するギター・チームも激弾きだ!
ジエンくんのソロはベートーベンの「第5」をクォートしてチャーミングにまとめ上げた。
どこまでも突っ走っていく演奏をバックにノドが張り裂けんばかりの2人の絶叫が響き渡った。
コレはもうハイライトのひとつでしたな。「…ということで新曲を演ります。
ココまでも速い曲を演ってきましたが、多分、次に演る曲は冠さんやPARADOXXのレパートリーを含めて今日1番速いのではないか?
その速くて熱いヤツをブチかましていこうと思います。
準備はよろしいですかッ?」
オイオイ大丈夫なのか?速い曲は大歓迎だけどムリすんな!
今のヤツでも十分速かったぞ!と、ジエンくんが自らハードルを高くして臨んだ曲は「Azure Explosion」。
確かに速い!
YAMATOさんがスゴイことになってる!「速けりゃいいって…」もんだなコリャ!
ドンドン行ったらんかい!ただ速いだけじゃなくて、曲中間部にはサオ・チームのクラシカルなアンサンブルが仕込んであったりしてスリル満点!
この曲もこの夜のハイライトのひとつと言ってよかったでしょう。
本編の最後はイヴァンの歌い出しで「Under the Violet Sun」。
なんか前の曲の後だとおとなしく聞こえるナァ。
といってもパンチの効いたストレート・アヘッドなナンバーだ。死力を尽くした5人の爆発的なパフォーマンスに大きな歓声が送られた!
今日のVIOLET ETERNALの屋台村のようす。
こんなのやってんのよ。
ジエン湯飲み。
「Do you know me?」…とは言っていませんでした。
アンコール。
まずはVIOLET ETERNALがステージに登場。ジエンくんが「アンディ、イケメン!」と振ると…
「ラーメン、つけ麺、ぼくイケメン!」
彼はコレがやりたかった!
ちゃんとポーズまでキメてくれた。アンドレアは日本が大好きで、自分がやっているバンドに「ネコマタ」という名前を付けて活動している。
妖怪の「猫又」ね。
下はそのセカンド・アルバム『EUPHORIA(国内発売元:RUBICON MUSIC)』。さて、アンコールでは全員Tシャツに着替えて登場し…
まずは「Over the Sorrow」を演奏した。
最後まで猛り狂ったギター!
こんなシーンも…。
豪壮極まりないリズム隊!
そしてイヴァンのスーパー・ヴォイス!
素晴らしいメタル・ステージだった。この後、冠さん、AMANEちゃん、ジンさんの歌い手チームと瑠美奈ちゃんが加わりX JAPANの「Runsty Nail」を演奏してイベントを締めくくった。
VIOLET ETERNALの詳しい情報はコチラ⇒VIOLET ETERNAL Official Website<おしまい>