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2025年9月12日 (金)

amber lumber~森永JUDYアキラ今年も誕生50周年! vol.5?!<後編>

 
<前編>でも触れた通り、今回のアキラさんの誕生記念ライブはamber lumberの新しいアルバムの発売を記念する機会でもあった。05v下がそのニュー・アルバム『スターズ』。
まずはジャケットを見てみると…今回も意匠はタロット・カードから。
私はタロット・カードに関する知識を全く持ち合わせていないので調べてみると…「星」は17番目のカードで正位置の意味は「希望、ひらめき、心願成就」。
逆位置の意味は「失望、絶望、放棄」などを意味するそうだ。
元のデザインは真っ裸のお姉さんが甕の水を泉に流し出していて、その背後に大小の星が浮かんでいる…みたいな。
征史さんの絵筆にかかると当然お姉さんはネコ大仏に置き換えられる。
カワイイね。
それと、フォント。
今までのアルバムの表のパネルに使われている文字はタイトルもチーム名もすべてアルファベットだったけど今回はカタカナ。 440cdその代わり裏パネルに掲載されている収録曲のタイトルがすべて英語に訳されてアルファベット表記になっている。
コレが存外にオモシロい。
例えば「冗談はない」は「Cut It Out」。
「Cut it out」はグダグダと同じことを繰り返す相手に向かって「いい加減にもうヤメれ!」と注意する表現。
発音は「カリラッ!」だ。。
また「Eしか弾けない」なんて「E」だけ。
こういうのはカッコいいね。
これらの所業はまるで黒澤明の『天国と地獄』が『High and Low』、溝口健二の『西鶴一代女』が『The Life of Oharu』と英訳されたような感覚だ。
肝心の内容は…間宮アレンジ、スゴイよ。
「『編曲』という仕事はこうやってこうやるもんだ!」ということを上手に教えてくれている感じ。
元の曲を知っているだけに実に興味深い。
特にリハーモニゼーション。
「ウワッ!そう来たか!」みないに聴いていてゾクっと来る瞬間多数。
そんなゴキゲンな1枚の発売記念の場ともなった「神田SHOJIMARU」の現場へ移動しましょう!100「それでは第2部の始まり、始まり~。
ありがとうございます。
演りたい曲が多すぎて、みんなブッ込んで駆け足で演っています。
本日は滋賀からお越しの方がいらっしゃいます。
滋賀のことは皆さんよく知らないと思いますが、『琵琶湖』という湖があります…知ってるわ!
琵琶湖に行った時に、琵琶湖のおかげで出来た歌を演ります」10アキラさんがギターのボディの側面を叩きながら弾き語る「毒を吐く」。20v_dohそのボディを叩いた音まで忠実に出してくるのがMarshallのアコースティック楽器用100Wアンプの「AS100D」。
今はもう生産していないのが残念だが、50Wのモデル「AS50D」がその代役を務めている。30_2時折早口で吐き出されるアキラさんの毒。
このピリピリとした雰囲気がいいね。
40v「毒をもって毒を制す」のが征史さんのベース。
そんなことはないか…曲のイメージを膨らませる実に的確なプレイだ。50vそして「♪歌え、歌え」、「♪踊れ、踊れ」でリスナーを感動の海に突き落とす。
ん?「毒を吐く」……「独白」。
コレは「アキラさんの独り言」というシチュエーションになっているのか?…なんて今頃思いついたりして。60_2続けて久しぶりに取り上げたという「ホントはね、」。
タイトルが読点で終わる曲は珍しい。
60_htn夜の空気が伝わってくるようなワルツ。
元はアキラさんのソロ・アルバム『Arms』に収録していて、amber lumberでは『Hermits』にこの曲を収めた。
サックスやフリューゲルホーンを従えてアキラさんの若い声で歌うソロ・アルバム・バージョンも、また間宮さんのツボを得たバンド・アレンジの『Hermits』のバージョンも双方聴き応えタップリの1曲。
70そしてこの2人のライブ・バーションはナンカ「大人のamber lumber」みたいな感じでこれもまたすこぶるよろしいな。80v「こんな私の歌を今日も聴いてくれてありがとう~」と殊勝な言葉を客席に向かって投げかけてつないだ曲は…90vニュー・アルバムで取り上げた「Herat to Heart」。
この辺りはアキラさんの歌声をしみじみと味わうゾーン。100_hthノドの奥からやさしく押し出されて来たような「♪Heart to heart」のメロディにグっとくる。
征史さんのコーラスは飛び切りやさしい。120_2「『Heart to heart』ってワンマンの時にしか歌えないような気がするんだよね。
でもサ、犬とか猫の魂ってどうなんだろうね?あるのかな?」
130v_2「あるでしょう。猫があのキュウリの馬に乗って、ナスの牛で帰っていく。
ところで今度の野音のために猫大仏を2,000枚書いたんですよ!
amber lumberの初めての野音ですからね」
140v「『初めて』ということで言うと、だいたい1番最初に行った時が大変だったところは、後にホームになっているお店がワリと多いよね。
それの一番は苫小牧。
苫小牧は私たちのホームというかナンというか…もうホント1回旅行で来てほしい。
もう全員アホだから!
初めて行った時、メッチャ嵐だったんだよね。こんなんでお客さんが来るのかな?って感じだった。
そしたらありがたいことに『ウオン、ウオン』いいながらドンドン集まって来た。
事前にお店でCDをかけてくれていたのでみんな曲を知っていて初めて行った時から大合唱!
ところでそのマントっぽいのナンなの?」008a0319_2 スナフキンみたいな征史さんのお召し物のこと。
「森永さんは肩が出てるし…」160「コレは痩せ見えだから。
ワザワザ開けてもらったんだよ。
そういう目で見ないで!
お願いしますから私を女として見ないでください。
私はワリと若い時から男は好きだったんだよ。
だけど、こんなに興味のない人とズ~っと一緒にいるっていうのはホントおもしろいね」170 何気なくスゴイことを口にした後はカワイらしい曲、「最後のひとつ」。180v_sh ナニを言われても気にしない、気にしない!
音楽第一の征史さんのソロやバッキングがやさしく、そして温かく鳴り響く。190_2落語の「三題噺」のようにファンからお題を募って歌詞を書いた1曲。
それがこうして見事にamber lumber色に仕上がっているのはサスガ。
「♪伸びすぎた髪の毛気にしていること」がグっと来る。
こちとら伸ばす髪の毛ももうありゃしないけどよ!200_2ココでさっき征史さんが「2,000枚のネコ大仏を描いた」と言っていたSHOJIMARUの10周年を記念して去る8月24日に日比谷野音で開催されたコンサートの予告。440 「今から歌う曲はメッチャ久しぶりに急に演りたくなったんだけど、その理由がわかった。
今日、昔バンドを一緒に演っていた人とか、その頃のお客さんがお見えになっているんですよ」210v_2その「急に演りたくなった曲」とは『Hermits』収録の「ボクの場所」。230客席から「いい曲」という声が上がっていた。
240_bnbこうして改めて聴いてみると…ウン、とてもいい曲だと思う。
1曲の中に筋がしっかりと組まれたドラマが仕組まれてる。
270v征史さんはとびっきりのベース・ラインとソロで曲を深く、分厚く演出した。260v_2アキラさんの昔の仲間の皆さんも存分にこの「amber lumerの世界」を堪能して頂けたのではなかろうか。250v 「今日はMarshallを使えることが決まっていたので弦を張り替えたの。
そしたら今の曲を演りたくなって今日、山本さんに伝えたら『エッ?』ってなった。
それでも演ってみると『あ、そう言えば!』みたいに思うところもあったの」280v「リハーサルでも全然できんかった。
ちょっと上でおさらいをしてきました。
それで今弾いていて『山場を越えた』と思って時計を見てハッとなったんですよ。
今日、夜もあることを思い出した…全然、山場超えてへんやんか!」
征史さんはこの日の夜、高崎晃さんのバンドの本番が控えていた。
そのため今年のこのライブがマチネーになったというワケ。
だから征史さんはこの日、昼は「アキラ」、夜も「晃」の「Akiraダブル・ヘッダー」だった。
こんなことって珍しいんじゃない?220v続いて演奏したのは今のところ最新の曲「宇宙のあかりへ〜祝福の歌〜」。
子供の誕生を喜ぶゆったりとしたワルツ。280v_uaメロディアスにまとめた征史さんのソロは曲にベスト・マッチ!
290_2この曲は色々なところで歌って段々と育って来たという。
それこそアキラさんのカワイイ子供ですな?
タイトルが二転三転してきたというが、最終的に「宇宙のあかりへ〜祝福の歌〜」に決めたそうだ。
最後におジイちゃんが出て来るところがタマらん!300v_2今日はアキラさんの誕生日記念なのだから「アキラさんの声と歌をしみじみと味わう会」ということでいいでしょう。
だから「半分の月」。320v_htamber lumberの「月ソング」の代表格。
アキラさんが切々となぞるメロディはいつ聴いても感動的だ。350_2この曲のもう半分の月は征史さんのベース・ソロだ。
次から次へと魅惑のフレーズを繰り出して曲をロマンティックに演出する。340v「半分」でチョットだけ脱線させてもらうと…
「もう半分」という一種の怪談噺がありましたな。
五代目古今亭今輔のオハコ。
太平洋戦争の末期、志ん生と圓生が満洲へ慰問に行った。
満洲側で2人を受け入れた現地スタッフは森繁久彌だったという。
この慰安の仕事は本当は圓生ではなくて、そもそも今輔が行くことになっていたという。
志ん生と圓生は終戦を迎えても日本に帰って来ることができず、2年後に引き揚げて来た。
その2年を題材にして井上ひさしが『円生と志ん生』というお芝居を作った。
私は芝居は観ないので、その台本を読んでみた。
「孝蔵(美濃部孝蔵=志ん生)」と「松尾(山崎松尾=圓生)」という本名で2人を登場させたところが井上先生流。
前半はあんまりピンと来なかったが、後半に入ると俄然オモシロくなる1本だった。008a0001 「お~、終わっちゃう、終わっちゃう、終わっちゃう!
夜の部がなければ、ズ~っと演りたいところではございますが…今日、気がついた?
山本さんの歌ないから。
コレ、1回やってみたかったの。
それで今日覚えて欲しいのは、自分の誕生日が来たら皆さんに2つやってもらいたいコトがあります。
1つは親に感謝。
そして、もう1つは免許の有効期限の確認!
私は8月に生まれなんだけど、8月生まれの人いる?ウソ、いないの?」
350v「amber lumberは自前でファンクラブをやっているんですが、会員にお誕生日の人がいるとささやかなプレゼントを送っているのね・
でも8月生まれは1人しかいないの。
あと5月生まれも1人しかいない…反対に2、3,4、6、12月はメッチャ多いの。
それも宇宙だよね。
夏の空には天の川があって、そこに地球から1番近いブラックホールがあるらしんだ。
ハッブルなんとか群?天体ナントカと言ってた。
でお盆はホントは8月の13日とかじゃないんだよ。
『8月の満月の日』がお盆です。
つまり昨日、8月9日が今年のお盆だったんですね。
コレが最後のMCでいいのか?」370vアキラさんはどこで仕入れて来るのか、時折含蓄に富んだ話を持ち出して来て感心してしまう。
ウチでいまだに話題に上がるのが「一番若い人がその家の祖先の集大成だ」というご箴言。
コレって本当にそういうことなんだよネェ。
この話を耳にしてからというもの、1歳半になる孫娘が「ジイジ~」と寄って来るたびに「コレがウチの集大成なのか~」と感じ入ってしまう次第。
まぁ、なんてカワイイ集大成でしょう!380_2いよいよ今回の集大成…イヤ、本編最後の曲。
いつも通り「ここにある宇宙」で締めくくった。390v_kku曲の後半、アキラさんがギターをかき鳴らして…400征史さんの宇宙が広がる。
Marshallを最大限に活かしたベースのビッグバンだ!410v_2足を270度開いてペダルを操り…420楽器を揺さぶって本編の幕を下ろした。430v_2征史さんのMarshallは今日はすべてギター用のモデル。
ヘッドは下段の「JCM800 2203」、スピーカー・キャビネットは向かって左の1x12”「1912」を2台使用した。
ホントにいい音だったわ~。460_2さて、アンコール。
いよいよ征史さんが歌う番が到来。
「違うんですよ…森永さんがドラムスを叩きたいだけなんですよ」なんて言っていたけど、演る曲はもうわかっていて、みんながそれを聴きたがっているのだからいいの、いいの!470_bloodその曲とはもちろん「I wanna be your blood」。
490_2アキラさんのドラムスとコーラスがヘヴィに響いて…480v_2征史さんが徹底的にシャウトする。470v最後のジャンプもキレイにキマった!500v「サンキュー、赤血球!」510「じゃあ最後の1曲…歌わせてもらおうと思います」
…とその前に「JUDY OSBOURNE」Tシャツの話になった。
タイミングよくオジ―がバーミンガムでコンサートを開催し、すごいタイミングでTシャツを作ったところ、その後すぐに亡くなってしまった。
「だからオジー追悼でもあります。
でもなんかこういうタイミングでTシャツを作るっていうことは、やっぱりつながってんナァと思います。
それで今日は天国のオジーに捧げて歌ってみようかな。
なんつって、スミマセンでした!」
520vこのTシャツね。
イラストは征史さん。70vこの日の最後、アキラさんがギターを降ろしてハンドマイクで歌ったのは…「青い月夜」。530_2征史さんをベースを降ろしてコーラスを添える。560いつものショウで取り上げられるamber lumberスタンダードの1曲だが、このスタイルでの演奏を耳にしたのはコレが初めて。570v_2ジックリと歌に入り込んで熱唱を聴かせてくれたアキラさんに大きな喝采が送られた。590すると…ケーキ登場!600♪ハッピバースデイをみんなで歌って…
610v_2「フゥ~」620_2「毎年ホントに私の50歳のライブに来て頂いてどうもありがとう!
本当に世界が平和になることをお祈りしています…私、ちょっと偉そうだけど。
ありがとうございました!
残れる方は『あじろ』でケーキを食べて帰ってください。
今日はホントにホントにホントにありがとうございました!」
アキラさんの5回目の「50歳の誕生日コンサート」が無事に終了。
そして征史さんはこの後、ヘビメタの舞台で暴れ狂ったに違いない。
アキラさん、5回目の50歳のお誕生日おめでとうございます。
 
amber lumberの詳しい情報はコチラ⇒amber lumber Official Web Site
630<おしまい>
 200(一部敬称略 2025年8月10日 神田SHOJIMARUにて撮影)