山口"PON"昌人 還暦祭!<前編>~CRIMZON FLARE & ARESZ
この8月、奇しくもNATALをご愛用頂いているドラマー2人が還暦をお迎えになり、それを記念するイベントが各々開催された。
こうしたミュージシャンの還暦を祝福するイベントは今となっては決して珍しいモノではなくなったが、コレはいつ頃から慣行されるようになったのであろう?
Marshall Blog的には2014年の伊藤広規さんのお祝いライブが最初かな?
振り返ってみるに、少なくとも私がロックを聴き始めた頃は「還暦記念ライブ」なんていう企画は絶対にあり得なかった。
だってその頃、つまり1975年あたりだとポール・マッカートニーが33歳、ミック・ジャガーも32歳だったのだから。
多分「60歳を迎えてロックを演奏している人の姿」を想像した人なんて世界にひとりとしていなかったと思う。
何しろ当時は30歳を越えて芽が出ないバンドに狂っているような輩は世間では「極潰し」と呼ばれていた。
あるいは「アイツは家が金持ちだから」と言われるのが普通だった…コレは今でも同じか?
「金がある」たって本人が持っているワケでもないのにね。
それが今では30歳台は「若手」とか「ヒヨッコ」扱いですからね。
かく言う私も還暦を過ぎてこんなことをやっているんだから天に向かってツバを吐いているようなものか?…一応マーブロは「ロック・ジャーナリズム」のはしくれということで。
そして、そのポールやミックが今では83歳に82歳だもんね。
もう還暦を迎えていたことすら忘れているのではなかろうか?
とにかく還暦記念ライブ、大いに結構!
往年のロックの在り様や雰囲気をご存知のベテランが今も元気でいてくれるのは私としてはとてもうれしく、ありがたいことだ。
今回のPONさんの還暦祝いのライブも老若男女の出演者が入り乱れてとてもにぎやかな大イベントとなった。こういうのは「ゴーマン」っていうの?
5つのバンドが出演するイベントのトップを飾ったのが「CRIMZON FLARE」。
Marshall Blogへは2度目のご登場。Keiichi(以下「Kちゃん」)
Yuki
Reanne
Shoko
サポート参加のMari。
1曲目の「Twilight Time」でイベントがド派手にスタートした!
「さぁ~本日の1発目は我々『CRIMZON FLARE」』でございます。
というワケであのFEEL SO BADの山口昌人さん…おこがましくてまだ『PONさん』ってお呼びできないんですけど、今日が60歳の誕生日っていうことです。
おめでとうございます!
スゴイですよね。
先ほどリハーサルを拝見したんですが、とても還暦の方とは思えないドラミングで、この後をお楽しみにしていてください。
我々まだ未熟者ですが、そんなPONさんの還暦をお祝いできればと思っております。
かなり気合を入れて演奏しますので最後までついて来てください!
よろしくお願いします!」KちゃんのMCに続いてはYukiくんが鮮やかな無伴奏のギター・ソロを披露。
そのギターの音を出しているのはYukiくんが持ち込んでくれた自前の白い「1959SLP」。
Yukiくんは自分のMarshallサウンドを出すためにいつでもステージに自分のアンプ・ヘッドを運び入れてくれる。
お金を払って来て下さるお客さんに真空管アンプが出す本物のギター・サウンドを聴いて頂きたいからだ。
スピーカー・キャビネットは「1960A」。Yukiくんはジャンプをせずに「チャンネル1のハイ」にインプットしている。
ん?…近くで見て気が付いたのだが、この1959にはフロントの上下の中ほどにビーディングが施されていない。
溝は切ってあるのだが…。と思ってもっと近くで見てみると…コレは白い1959ではなくて、ヘッド全体を薄くて白いビニールでキレイに包み上げているのだ。
以前、Kちゃんが「時空海賊SEVEN SEAS」で一緒にやっていたEITAちゃんは「JCM2000 TSL100」を専門業者に依頼してピンク色に染め上げていたが、この1959は違う。
多分、元の黒いカバリングをすべて剥がし、強力な接着剤を用いて白いビニールを貼り直したのであろう。
それにしても器用な人がいるもんですな~。
ロゴやパイピング、ビーディング、フロント・パネルも取り外しての作業なのでさぞかし大変だったと思う。
コレはYukiくん自身がやったのではなくて、はじめからこういう状態のモノを手に入れたそうだ。リアパネルも自家製。
これまた実にキレイに作ってある。
ところでこの1959SLPは1999年製なので「センド&リターン回路」を搭載していない。
コレを探している人が結構いらっしゃるのよ。
実は1999年製は「センド&リターンなし」の1959SLPを作っていた最後の年なのだ…と言ってもコレはヨーロッパの話。
Marshallは1999年に一旦1959の製造を終了させ、アメリカと日本にだけ製造し、輸出していた。
つまりヨーロッパには1959が流通していない期間が3年ほどあったのだ。
そしてMarshsallの創立40周年を記念して「Vintage Reissue」として2022年に再デビューさせた。
こっちは「ヨーロッパで1959SLPが流通していなかった」なんて知らなかったものだから、その時分にMarshallから送られてくる1959SLPの資料に「Vintage Reissue」としてあるのを大変不思議に思ったものだった。
だって日本ではずっと販売し続けていたワケだから。
そして2022年に「Vintage Reissue」と謳った1959SLPには「センド&リターン」が付いていた…というワケ。
こんな話、オモシロイですか?1959の太くヌケるサウンドでYukiくんがモリモリとシュレッドしてくれて…
そのまま2曲目の「Fight For」へ!
Mariちゃんのツーバスが炸裂するド迫力のナンバー!
起伏の激しいメロディをKちゃんがシャウトすると…
Shokoちゃんが完璧なコーラスを添える。
緊張感あふれるギターとキーボーズのアンサンブルと…
ソロが続き…
曲は転調を交え息もつかせぬ展開でクライマックスへと上り詰めていった!
続いての「Fire Bird」はReanneくんのシンフォニックなキーボーズから。
「ホイ!ホイ!」とKちゃんがアオりをかますと客席から力強い反応が!
キメのフレーズはShokoちゃんがコーラスを添えて歌われる「♪Fire bird」。
コレは耳に残るわ~!曲が盛り上がって来たところで~…
Yukiくんが猛シュレッド。
やっぱり真空管のアンプの音は存在感が違いますな。
遠慮なく観客の耳と感性を直撃する!しかし、Mariちゃんのツーバスがスゴイ!
こんなことをして足は大丈夫なのかッ?
一度でいいからMariちゃんにはこの曲を演奏する時に万歩計をつけてみてもらいたい。
何歩になるのか教えて!「ありがとう!クレッシェンド楽しんでくれていますか?
ありがとうございます。
おそらく初めて我々を観るという方もいらっしゃると思います。
そんな初めての皆さんに『コレから演る曲で一緒に歌ってください』とお願いするのはコクかもしれないんですが、それをやって頂くようにするのが我がCRIMZON FLAREでございます。
そんな感じで非常に暑苦しいバンドではございますが、残す2曲は皆さんと一緒に合唱したり叫んだりして楽しみたいと思います。
最後まで楽しんで頂ければうれしいです!」続いてはCRIMSON FLAREのテーマ曲「Crimson Flare」。
コレもMariちゃんのパワフルなドラムスでスタートだ。開放弦を使ったテクニカルなイントロ・リフ。
猛然とドライブするヘヴィなリズム!
自分たちのテーマ・ソングとだけあってKちゃんの歌声にも力がこもる。
「♪Crimson flare」
この曲でも全編を通してShokoちゃんのコーラスが大活躍!そして曲の途中のピックアップ・ソロでメンバーが紹介される。
まずはそのしょーこちゃんから。
「オン・ベース、Shoko!」「オン・ドラムス、Mari!」
「オン・ギター、Yuki」
「オン・キーボード、Reanne!」
Reanneくんの周りに集まってCRIMZON FLAREの鉄壁のバンド・アンサンブルがウネりまくる!
「We are Crimzon Flare!」
そして景気の良い「レッツゴー!」の掛け声と共に始まった出番最後の曲は「Raising Fire」。
最後を飾るにふさわしい煙の出るようなハード・ドライビング・ナンバーを一糸乱れず演奏した5人!
そしてさっきKちゃんがMCで説明したようにお客さんと「Fire!」の大合唱!
まさに「真っ赤にゆらめく炎」を思わせる熱気あふれるパフォーマンスだった!
Crimzon Flareの詳しい情報はコチラ⇒Official Xこの日の屋台村のようす。
CRIMZON FLAREのアルバムとともにYukiくんのソロ・アルバムを取り扱っていた。一方コチラは何ともゴージャスなARESZの屋台村。
スゲエ品揃え!開場前にこれだけの量の商品をキレイに並べるのはさぞかし手がかかると思ったけど、聞けばCRESCENDOをホームにしているARESZ、3日連続で出演していてこの日が最終日だった。
つまり3日間、ズッとこの状態だったんだって!そのARESZ、久しぶりにMarshall Blogにご登場頂いた。
瑠海狐
那都己
翔己
雅己
鉄平
以前と変わらない顔ぶれで、以前と全く変わらない相変わらずのARESZミュージックを爆発させた!
「PONさん、還暦おめでとうございます!…60歳。
でもまだスタートラインじゃないですね。
私の持論では男性は80歳、女性は88歳からがスタートラインだと思っています。
それまでは修行です。
でも人生は『食べ放題、飲み放題』やと思ってるんで、好きなモノを飲み食いして、好きな音楽を聴いて、好きな所に行って…人生を謳歌できるかどうかは自分の責任やと思います。
それを地でいってるPONさん!…マジでリスペクトします!
スゴイよね、『60歳』っていう感覚がないもんね。
大先輩がこうやって走ってくださっている限り、我々もガンバらなければいけないと思います。
そんな今日のイベントで言うところの『ヒヨッコ』、31周年を迎えますARESZであります!
気づいたら31年経っています。
ま~、売れたこともメジャーデビューしたこともないけども、そんなことはどうでもええねん!
とにかく1日でも長く自分の演りたい音楽をやっていく…それがARESZのテーマになっています。
よろしくお願いします!」そうだ、忘れていた。
瑠海狐さんはおしゃべりの達人だったんだ。
Marshall Blogではなるべくショウの内容をそのまま伝えようとMCの文字起こしをしているんだけど、実はこのMCのパートには結構手を入れているのね。
もちろんそれは皆さんの話がマズイからではなくて、話し言葉と書き言葉には大きな隔たりがあって、しゃべったことをそのまま文字にしても意味が通じなかったり、読み解くのに苦労したりすることが多いのが普通なの。
その点、瑠海狐さんのおしゃべりは手を入れるところがない…と言っていい。
英語では「シンタックス(syntax)」、日本語で「統語論」という、意味が通じるように単語を並べて文を構成する能力にズバ抜けているのね。
上のPONさんに贈る言葉も実際にしゃべったことをほぼそのまま文字にしただけなのです。
「ア~」だの「ウ~」だのは一切ないし、そもそも全く噛むことがない。
関西弁でしゃべる発音も実にクリアだ。
前から思っていたが、MCの技術に関しては瑠海狐さんは間違いなくトップクラスであろう。
「軍神党」とかいって国政選挙に立候補して街角で演説すればきっと当選するよ。ココでPONさんの還暦祝いということでFEEL SO BADの曲を取り上げた。
大好きなFOB…瑠海狐さんとしてはナニを演るのか迷いに迷ったそうだが、とりあえず大好きな曲ベスト3に絞り、さらにその中から選曲したそうだ。
その結果、瑠海狐さんが選んだ曲とは…「ハマッテしまった」。
「だりあさん、配信ご覧になってますか~!」…と思ったらFELL SO BADのドラムスの人が登場!
本物です。2人で仲良く「ハマッテシマッタ」を激唱!
PONさんもとても楽しそうだった!
この後も結成31年の熟成ARESZサウンドを満員の客席に向かって撃ち放った!
ARESZの詳しい情報はコチラ⇒official web site of ARESZ<中編>につづく