LEGEND OF ROCK at 日比谷野音 vol.5 <前編> ~改訂版~
大分前に、何を勘違いしたか「Legend」を「手弁当」と聴き間違えたヤツがいて笑った…一文字も合ってないじゃんね。
もうロック・ファンにはすっかりおなじみの『LEGEND OF ROCK』。ナント2004年にスタートし、9年を経過した現在も活発に活動を重ねる日本最大のロック・トリビュート・イベントだ。
先日マーブロでレポートし、予想をはるかに超えるアクセス件数を頂戴した『THANX RONNIE JAMES DIO LIVE vol.2』も『LEGEND OF ROCK』のシリーズのうちのひとつで、ハード・ロックからプログレッシブ・ロックまでジャンルを超えて「黄金時代のロック」を次世代に伝承せんとする素晴らしい活動である。
こうしたトリビュート活動は実は日本だけでなく、海外でも盛んに展開されていて、いかに世界中の一般大衆があの時代のロックを聴きたがっているかがわかる。
ちょっと本題に入る前にイギリスの状況を見てみよう。
下の何枚かの写真は『Classic Rock』という70年代のロックに特化した私のためにあるような雑誌の巻末に掲載されるコンサートの告知広告。
この雑誌には見たことのない写真が満載されていて、イギリスに行くたびに買って来ては興味のある記事を拾い読みしながら「イイな~」とつぶやきながら目を通すのが大きな楽しみなのだ。高くなっちゃうけど日本でも手に入る。
トリビュートと来ればやっぱりこれがななくちゃ始まらない、Jimi Hendrix。どうも「The Jimi Hendrix Experience」というズバリすぎる名前で活動しているようだ。リバープールではあの「Cavern」でブッキングされているところがおもしろい。
右のページの「LIVE/WIRE」というのはロゴのデザインからしてAC/DC。その下のLIMEHOUSE LIZZYはThin Lizzy。AC/DCとTHIN LIZZYという夢のようなダブル・ヘッドライナー。会場が各地のO2 Academyになっているところを見ると結構人気があるようだ。
「トリビュート」といえば洋の東西を問わず、Hendrix、Zeppelin、Deep Purpleと並んで外すことができないのがQueenだろう。先のThin Lizzyあたりはいかにもイギリスっぽいといったところか?
バンドの名前は「THE BOHEMIANS」。Brian Mayが「Brilliant(スンばらしい!)」と、Roger Taylorが「It's uncanny(コイツぁ驚いた)」言っているようです。
その隣は「ヨーロッパでただひとつ、ForeignorとJourneyをリビュートしちゃってるバンド」、A FOREIGNOR JOURNEY…そのまんまかい?! 漫才師みたいだな。
Eaglesのトリビュート・バンドは「ULTIMATE EAGLES」。その下はReGenesis。もちろんGenesisトリビュート。「genesis」というのは「発生」とか「創世」とかいう意味があるので、接頭辞の「re」をひっつけて「再創世」という意味にし、「Re(語源はラテン語のres)=~について」と引っかけて「ジェネシスについて」とダブル・ミーニングにしているのだろう。
なかなかうまいネーミングだが日本のトリビュート・バンドにはかなわんな。
KISSもお定まりのトリビュート・ネタだ。このバンドは「DreSSed to Kill」という名前。
ついでに…こちらは本物の告知広告。ZZ Top、Status Quo(チケット売り切れ続出!)、Alice Cooper、The Answer…そしてDioKenさんが泣いて喜ぶだろうDIO。これは2009年の広告なので、Ronnieがまだ健在の頃だ。O2 Academyツアー。
(本記事掲載後、ある方から情報をご提供いただきました。このDIOのツアーはRonnieの胃ガンの治療に専念するためキャンセルになったとのことです。ご存知の通りRonnieは闘病の末、翌年5 月に逝去されました。改めまして世界最高のロック・シンガーのご冥福をお祈りするとともに、ここにお詫びして記事の内容を訂正させちただきます。当情報を提供して頂いた「ある人」とは他ならぬDio Kenさんです。Dio Kenさん、どうもありがとうございました!)
他にも本物のThin Lizzy、Nazareth、Steve Miller Band、UFO、Argentだのだの、観たいコンサートを挙げ出したらキリがない。やっぱイギリスはいいナァ~。
さて、話を東京に戻そう。
普段LEGEND OF ROCKは都内のライブハウスで開催されているが、年に1回日比谷の野外大音楽堂でのお祭りが開催される。
なんと今回が5回目というのだからスゴイ!
英語力では負けるかもしれないが、キメ細かい仕事を得意とする日本人のこと、ここでは外国のトリビュート・コンサートに負けない、「Legend」と「手弁当」と聴き間違えるようなことのない本物に肉薄する素晴らしい熱演が繰り広げられた。今回の開催は7月15日。幸いこの頃はまだアホみたいに暑いこともなく、お客さんも楽しみ方それぞれ…長年親しんで来た名曲をジックリ味わう人、一緒に大声で歌う人、ステージに合わせてエア・ギターを楽しむ人、飲みすぎてゲロ吐いてぶっ倒れてる人、興奮してカメラのシャッターを切りまくってる人(私です!)…ロック漬けの実に楽しい一日であった。
マーブロでは今日から3回にわたりその模様をレポートする。
当日のトップ・バッターのGuns'n Rosesのトリビュート・バンド、Guumen Showersに続きMETALLICAをトリビュートするHATTALLICAが登場した。
そして、ビンテージの1959を携えて登場したのがaDIOs。
もちろんその名が示す通り、Ronnie James Dioを崇拝するバンドだ。 ノッケから盛り上げムード満点でゴキゲン!
aDIOsのメンバーは;
DIOKEN
考えてみるに前回のレポート時は特別な編成でボーカルがRayさんだった。
1曲目は「Stand up and Shout」。
攻めのアップ・テンポが気持ちいい!やっぱこういうのがロックだと思うよね~。
今日のコンサートは珍しい。だってステージに上がったMarshallのキャビネットがすべて「X」キャビだったんよ!こんなのないよ、普通。
私も現役時代はJMP時代の1959と1960AXを使っていた。キャビネットを二階からひとりで降ろそうとしたけど、重みに耐えかねて階段の途中で手を離してしまったことがあった。
勢いよく階段を転がり落ち、玄関の戸を突き破って通りに放りだされた私の1960Xにはキズひとつつかず、その晩の屋根裏のライブでもギンギンに鳴ってくれた。やっぱMarshallスゲエ。中域の張り出したGreenbackの音が実にロック!昔はみんなロックがこういう音をしていたんですよ。
私はね、いいMarshallの音を聴くと新宿ロフトや渋谷の屋根裏を思い出すのよ。高校生の頃から入り浸って耳にした、身体に刷り込まれたギターのサウンドは一生忘れることがないだろう。
今日の源多朗さんもそうだが、Marshall Blogに登場してくれる素晴らしいギタリストはみんなそうして私を挑発してくれる。
私はもう根を詰めてギターを練習することはないだろうが、彼らから受けとめたMarshallのギター・サウンはド自分なりに写真と文章でアンプリファイしていくつもりだ。(今日文章、メッチャ冴えてるね。今自分で鳥肌が立っちまった!)
コレ、本物はVivian Campbell?一歩も引けを取らない素晴らしいギター・プレイ。
持ち時間があまりないため、6曲まとめてメドレーで…まずはDIOで「The Last In Line」 ~Black Sabbathで「Heven And Hell」~
これは恥ずかしながら一緒に歌っちゃったね~、♪オーオーのとこ!
Rainbowで「Long Live Rock'n Roll」 ~
そしてDIOの「Holy Diver」から「The Last In Line」に戻って終了。
やっぱどれも曲がいいからネ~。熱演のし甲斐もあるってもんでしょ。
やはりロック界最高のシンガーを敬愛するバンドだけあって、出てくる音も圧巻!見応え満点の30分だった!
終演直後のDIOKENさん。こうしたアット・ホームな雰囲気もこのシリーズの魅力だ。本物のパダノーヴァさんだったらこうはいかない。
aDIOsの詳しい情報はコチラ⇒DIOKEN facebook
MCはコンク勝二。
勝二さんがMCをご担当されていることなんてツユ知らず現場でお互いにビックリ!昔、何回かいっしょに仕事をした仲でしてね…10年ぶり以上ぐらいにお会いしたかしら?大学の先輩でもあらるる。元気でいらっしゃってヨカッタ。
野音に大観衆の前で軽妙洒脱にMCをこなすところはサスガ!
ま~、世の中色んな人がいるもんで…こうやって成り切ってやられると本物に見えて来るからおもしろい。
一曲は「One Vison」、そして「Seven Sea of Rye」。
「LIAR / TEAR IT UP」から「KIND OF MAGIC」
胸毛が実にセクシー?!
Queenのコピー・バンド(ここは敢えて「コピー・バンド」っていう言葉を使う。昔は「トリビュート・バンド」なんている言葉はなかったから)ってのも昔からいたな~。
不思議なもので、Queenに限らず昔より何十年も経った今の方が圧倒的に機材に関する情報が豊富で最近トリビュートしている方々は機材費も大変だ。
おお!フレディも会場に来てるぞ!発泡酒飲んでる。
「Keep Youeself Alive」、「Let Me Entertain You」とか演って欲しいな~。
「Now I'm Here」とか「Brighton Rock」だの「Tie Your Mother Down」だの「Death on Two Legs」だのカッコいい曲テンコ盛りだよね、Queenって。「Stone Cold Crazy」なんかも演って欲しいナ。
「Radio Ga Ga」、「We Will Rock You」。
とにもかくにもいつの時代も人気のQueenだけど、これぐらいにいしておきましょう。だってMarshallじゃないんだもん。
そういえば、かなり以前のことだけど、「Marshall Blogってサ、Marshallのことしか書いてない」と指摘されて絶句したことがあった。でもうれしかったな。つまりMarshall Blogがいち楽器メーカーの宣伝のためのブログだとは思われていないってことだもん。「我が意を得たり」なのです。
最後は「We are the Champions」。
そういえばQueenって一度も観なかったナ。昔は好きじゃなかったもんで…。観ておけばよかった…大後悔。
Brian Mayはロンドンで見たよ。『We Will Rock You』にゲストで出演した時。うれしかった。
誰にも言わない?いつもJazzだ、Zappaだって騒いでるけど、あのね、私はね、「Bohemian Rhapsody」ってロック史のベスト5に入る名曲だと思ってんのよ。あ~、言ってしまった、書いてしまった!
Queerの詳しい情報はコチラ⇒Queer Official Web Site
そして、The Whoの出番。
演ずるはタウン禅。The Whoは2回観た。タウン禅を観るのはこれが初めてだが、The Whoのトリビュート・バンドは2つめだな。
ボーカルはイアン。イギリス出身だそうだ。
1曲目は「Substitute」。いわゆる「恋のピンチ・ヒッター」だ。
PeteがMarshallを使ってる!まるで1965年に戻ったようだ!…ってたって当時を見たワケじゃないけど。
…というのは、『Marshall Chronicle』にも書いたが、Pete Townshendは1966年以降、公の場でただの一度もMarshallを使ったことがないのだ。MarshallはPeteの協力なくしてはこの世に生まれなかったにもかかわらず、ナゼ使わなくなったのか…はマー本を見てチョーダイ。私が一生懸命書きました!
楽屋でサムライサムさんとしばらく会話を楽しんだのだが、彼はMarshallを使ってくれているそうだ。つまりPete Townshendの1966年以前型だ。
よくこのあたりの話しもご存知でうれしかった。
「The Seeker」。
South Shildsに行った時、金曜日の晩にパブに出ていたバンドがこの曲を演っていた。お客さんも一緒に歌っていた。イギリスの人たちのすぐ横にはロックがあって、The Whoがいるということを実感したね。日本とはまったく違う音楽の環境があるのだ。
いくらライブハウスを作ったって日本はああはならないだろうな~。
ベースだけじゃなくて本物のジョンみたいにモクモクと弾く姿もソックリ!
『Quadrophenia』からは「5:15」。メッチャ名曲だよね~。
本当に日本のThe Who事情はオソマツだったね。ウマイ具合にレコードが出なかったからね。これには当時のレコード会社の人たちも苦労されたようだ。
私は中学一年の時に映画『トミー』を日比谷のスカラ座(お、そういえばここからすぐ近くだ)へ観に行ったのが最初だった。
映画はとても気に入ったが、The Whoを聴くには至らなかった。やっぱりレコードが買いにくかった、つまりどれを買っていいのかわからなかった印象があるな。
今でもThe Whoはウッドストックのおかげで「Summer Time Blues」ばっかりでしょう、日本は。『Who Are You』ぐらいまでのアルバムは是非日本の多くの人に聴いてもらいたいと思ういますな。それで「コレだ!」とピンと来たらタウン禅を観に行く…と。
「Summertime Blues」、「Young Man Blues」ときて、「Baba O'riley」で締めくくってくれた。「Baba」のイントロのシーケンス音が聞こえて来た時、小躍りしてしまった!
とにかく明るくて、にぎやかで、ド迫力のThe Whoサウンドに盛大な拍手が送られたのであった!
「あんまり腕を回し過ぎると血が出ちゃうんですよ!」本当に流血するまでウインドミルをやったことがあるそうだ!おそるべしサムライサム!
タウン禅の詳しい情報はコチラ⇒公式ウェブサイト
LEGEND OF ROCKの詳しい情報はコチラ⇒LEGEND OF ROCK WEB
<中編>につづく
(一部敬称略 2013年7月15日 日比谷野外大音楽堂にて撮影)