Strange Beautiful & Loud~Sound Experience 8
久しぶりの『Sound Experience』…前回は4月のことだった。ゲストに足立YOU祐二氏を招いて濃い~、ギター・ミュージックをタップリと聴かせてもらった。これまでにも大谷令文氏が登場するなど、ガッツの入ったロックがお好みの人にはタマらんシリーズとなっている。
今回はゲストを招へいする形式ではなく、Strange Beautiful & Loudの前もうひとつバンドが登場した。ま、平たく言えば対バンだ。くどいようだが、「ツーマン」はやめようね。「ダブル・ヘッドライナー」と言いましょう。
登場したのは今井芳継率いるVoodoo Butterfly。
今井さんのギターをドフィーチュアしたインスト・バンドだ。
今井さんはTerra Rosaの最後のギタリスト。つまり三宅庸介と同窓だ。
シマ・ユウジ、足立祐二、三宅庸介、鈴木広美、今井芳継…それにしても、Terra Rosaってバンドはよくもこれだけエグイギタリストを集めたもんだ。
Cazさん(赤尾和重さん)によれば、「岡垣くんがどこからともなく見つけてくる」ってなことだったが、才能を見抜く岡垣さんの慧眼も恐るべし…だ。まるでArt BlakeyかMiles Davisか…はたまたFrank Zappaか…。
それにしても今井さん、ステージ中央で弾くのはいいんだけど、何だってそんなに横向いちゃうの~?こんなに上手好きなギタリストを見るのは初めてだ!
Voodoo Butterflyのメンバーは…
今井芳継
JCM900 4100と1936Vのコンビネーション。1936Vは2×12"のキャビネット1936にCelestionのVintage30を搭載したモデル。
これが実にいい。Vintage30の音質的特性が1936のサイズにものすごくマッチしていて、何とも言えない深く、ふくよかな音像を作り出すのだ。
キャビは大事だよ~。そしてMarshallのキャビネットは実によくできている。ここはJim Marshallに感謝したいところだ。
今井さんはさすがTerra RosaのOBだけあって、テクニックは万全。しかし、ただただベロベロと弾きまくるワケではなく、ちょっとフレーズ自体やその組み立て方がちょっと変わっていて実に興味深い。何というか、ものすごいオリジナル性が芯にあるっていうのかな?
そういう意味では三宅さんとの組み合わせは実にいいカードになった。ポーカーでいえば「フルハウス」か「フラッシュ」ぐらいか?
これは今井さんのソロ・アルバム『Vertu et vice』。フランス語やね。「Virtue and Vice」…「美徳と悪徳」という意味(ですよね?!)。
今井さんのギターがテンコ盛りの作品だが、聴いていてあんまり「ギター・アルバム」って感じがしない。もちろん相当弾きまくっているんだけどね。
チャイコフスキーが2曲取り上げられていて、「ピアノ協奏曲第1番」の第1楽章を5/4拍子(オリジナルは3/4拍子)で演奏したりしている。
話しはそれるが、こうしたクラシック・ネタで、いつか誰かショスタコーヴィチの『Suit for Variety Orchestra』の「Watz 2」を弾かないかな…と期待しているのだ。いわゆる「ジンタ」っていうコテコテのワルツ。このメロディをドロッドロの泣きのギターで弾いたら面白いと思うんだけどな~。
今井さんか三宅さんに期待してしまおう。
と、このアルバム、「ギタリストが作ったギター満載のギターを感じさせないギター・アルバム」という撞着の極致みたいな印象を受けた。
そういう風に聴き込んでみると、三宅さんの『Lotus and Visceral Songs』も同じことが言える。
この日はそんな音作りをしている2人が顔を合わせた実に貴重なコンサートだったのだ。
冒頭、タ~ップリとア・カペラでギター・ソロを披露。定石ロック・フレーズが出ない新鮮な印象。
そして、リズム隊が入ってビックリ仰天!
GONGなのだ!『Expresso II』の「Heavy Tune」みたいな感じ。
ベースの音が何となくHansford Roweに似ているせいもあるかもしれない。でも、日本人のバンドでこんなのはじめて。
ベースのHirokazさんにこのことを伝えたらよろんでくれた。GONGお好きなんだそうだ。ちなみにHirokazさんは元々はギタリストで、『HOMEGROWN/slo-burnin'』というアルバムを発表している。これがまたよい出来で、楽しんじゃいました。
ちなみにこの時には今井さんのアルバムをまだ聴いていないワケで、反対にアルバムを聴いてからこのショウを観てもまた驚いていたかもしれない。
みなさんとはこの日が初対面で、Voodoo Butterflyがどんなことをするバンドかもわからず、楽屋での雰囲気しか前情報がなかったのね。それだけに実物を見た時のインパクトが強くて、「コレだ!」っと思わず心の中で叫んだのであった!
圧倒的なテクニックから次々にクリエイトされるフレーズの洪水!
それをガッチリと受け止めるバック陣。
やっていることは結構重いハズなんだけど、すごく明るい雰囲気が漂っているのもこのバンドの特長か…。
今井芳継Voodoo Butterflyの詳しい情報はコチラ⇒Voodoo Butterfly
替わっておなじみYosuke Miyake's Strange Beautiful & Loud。
いつも通り三者が一丸となって迫りくる三宅ミュージックが快感!
2曲目は「Petal」。
まずは前述のアルバムに未収録の曲で固めた。
ますます征史さんのベースが冴えわたる!Strange Beautiful & Loudサウンドをタテにヨコに充足する仕事っぷりはこのバンドのもう一人の三宅庸介と呼んでもよいだろう。
征史さんのMarshallは1992 SUPER BASS。いい音だナァ~。深くて太くてつややかで…。
征史さん同様、豊かなダイナミック・レンジで縦横無尽にバンドを着色する。
もう何回もこのバンドを見て来たが、毎回レベルが上がり続けているような気がする。毎回「今日の演奏が最高!」なのだ。
新曲を経て、「Bloom」、「Mani」、「If」。
今日はアルバムに収録されていない曲が多いなぁ。さてはそろそろニュー・アルバム考えているんだな?
本編最後は「Virtue」。今井さんの「Vertu」に対抗か?!Strange Beautiful & Loudのハードな面をフィーチュアした曲だ。
アンコールはまずはStrange Beautiful & Loudで1曲。
三宅さんのテーマソングともいうべき(?)、「Stratify」。
だ~から三宅さん、早く「Marshallogy(マーシャル学)」か「Marshallization(マーシャル化)」って曲作ってくだされ!
KKのドラムから始まったこの曲は!
みんな大好き「Led Boots」!
ソロはゲストの今井さんから…。
ソロが三宅さんに渡される。
3人ともメッチャ見てる!
今井さんとは対照的なMarshallトーンで応える三宅さん!
それはそれはすさまじいギター・バトルでござんした。
やっぱりMarshall同士の対決はおもしろいな。
次回の「Sound Experience」も楽しみにしております!
三宅庸介の詳しい情報はコチラ⇒Strange Beautiful & Loud