【追悼】佐久間正英さんのこと
記事が遅くなってしまい失礼とは存じながら謹んで一文寄させていただく。
佐久間正英さんが16日にお亡くなりになられた。
また日本の音楽界が偉大な才能を失ってしまった。
世代が古いため、私にとっての「佐久間さん」とは名プロデューサーではなく、飽くまでも四人囃子のベースの「佐久間さん」だ。
四人囃子は本当に好きだ。そして、今では森園さんや大二さんといっしょにお仕事をさせていただいていることによろこびと誇りを感じている。
しかし、残念ながら佐久間さんとはご一緒させていただく機会がなかった。
佐久間さんが参加している『ゴールデン・ピクニックス』、『Printed Jelly』、『包』の四人囃子の3作は私のロックの愛聴盤だ。
ずっと昔から、佐久間さんのことをどこかケタはずれ才人だと思っていた。実際でそうであることは間違いないのだが、そう思わせる風貌がまたヨカッタ。
ここに掲載している写真は2010年に開催された『Japan Progressive Rock Festival』で撮影したもの。
四人囃子を観たのはこの時が初めてではなかったが、私が日本のロックを聴き始めた頃にはすでに活動を停止していたので、四人囃子に飢えていて、やっぱりこの日もとてもうれしかった(Steve Hackettに初めて会ったのもこの時)。何しろ信じられないくらい蒸し暑い日だったが、この瞬間は暑さも忘れて夢中になってシャッターを切った。
下はもちろん「なすのちゃわんやき」。この佐久間さんのリコーダーがメチャクチャかっこよかった!
この時、楽屋で佐久間さんにサインしてもらった四人囃子の『From the Vault 2』。上が佐久間さんのサイン。下は大二さん。
坂下さんはウラに、森さんは中にサインしてもらった。私の宝物だ。
四人囃子は初代ベーシストの中村真一さんも鬼籍に入ってしまっているので、もうオリジナル・メンバーかそれに近い形での再結成は永久に出来なくなってしまった。悲しいことだ。
今でも『一色即発(1974年)』や『ゴールデン・ピクニックス(1976年)』を聴いているが、何回聴いてもまったく飽きが来ない最上の音楽世界を構築していることに感心する。
そして驚くべきは、これらのアルバムを、日本の20歳ソコソコの若者たちが作ったという事実だ。
「昔の人は偉かった」…では済まされないまでの音楽性の高さを感じざるを得ない。
今、一番若者たちに聴いてもらいたい音楽だ。
佐久間さんも生前現在の音楽界の状況をブログ等で憂いていらっしゃったが、私も同感だ。「日本のレコード会社は自分達の商品、つまり「音楽」を理解していないまま商売をしてしまったことのツケが今回ってきている」的なご発言をされていたように記憶している。
四人囃子の諸作を聴いていると、現在の音楽シーンの幼稚さと退屈さに絶望感を覚える反面、帰るべき場所があるということを指し示してくれているようで、勇気づけられたような気にもなるのだ。
そんな素敵な音楽と同じ時代を生きたことはを幸せなことだ。
佐久間さん、安らかにお眠りください。