犬神サアカス團単毒公演「祟神」~TOKYO BAKA EXPO2013より
生来、音楽や映画、お笑い、ミュージカル等々、エンターテインメントが大好きなんよね。スポーツとか根性はからっきしダメ。
それよりも、ひとり部屋に閉じこもって音楽を聞いたり、本を読んだり、映画を観たりする方が断然いい。「汗を流して気持ちがいい」という感覚がどうも理解できん。
好きなエンターテインメント数あれど、ナゼか演劇は接する機会がなかくて実に縁遠いものになちゃってる。ミュージカルは大好きなんよ。
だから下北沢にもまったく疎い。
で、今回生まれて初めて下北沢の「楽園」という劇場で、9月30日から10月27日まで一カ月にもわたって開催される『TOKYO BAKA EXPO2013』という演劇のイベントに参加して来た。
純粋なお芝居を取材しにお邪魔したワケではやっぱりござらん。
Marshall Blogあるところにロックあり。(たまにはジャズのあるところもいいんだけどな…)
今日の主役は犬神サアカス團。
なんか、妙に暗い表情でステージに立っとりますが…。
実は、演劇のイベントというだけあって、演奏の前にちょっとしたお笑いのお芝居を演ってるところ。
「明るい曲を暗く演奏する」というネタ。
学生の頃、所属していたビッグ・バンドのリサイタルでゲストに今は亡き谷啓さんにお越し頂きご一緒させていただいた。ご自身でアレンジした曲の譜面をご持参されて、それを初見で弾いた。困ったことにギターがメロディを弾くアレンジで、こちとら滅法譜面に弱いときてる。それでも読譜能力のすべてを駆使して完璧に弾いたがどうにも変なメロディで、周りの連中から「そんなんで合ってんの?」と不審がられる始末。
みんなで演奏して初めてわかった。それは谷さんが『「瀬戸の花嫁」を短調で弾いたらどうなるか?』というネタだった…なんてことがあった。
他に、もうあまりにも何回も演奏してすっかり飽きてしまったDeep Purpleの「Burn」を全編メジャーで弾く、ということをされているベテランギタリストもいらっしゃる。目の前で弾いていただいたが、かなり笑えたよ。こういうネタもよろしいのではないでしょうか?
さて、犬神サアカス團。
1994年に活動を開始した説明不要のベテラン・バンドだ。
先月、10月16日には『不確実性原理の悪夢』なるニュー・アルバムをリリースした。
「不確定性原理」って量子のアレのことでしょ?つまり、コレ…
なつかしいな~。漁師には、イヤ、量子には苦労したよ~。(ウソこけ!)とにかく物理のヤツですな。
…と、タイトルは「物理」かもしれないけど、内容はストレートはへヴィ・ロック。私はこういうの好きなんですよ。何たってAlice Cooperはいまでもよく聴くけんね。
しかも、このバンドは冒頭の寸劇じゃないけどシアトリカルな曲の傾向が強く実にいい感じ!
情次兄さんはMarshall。新しいJCM800 2203と古めの1960Aの組み合わせのサウンドが大変よろしい。
キャビネットにEDENの4×10"、D410XSTを使ってもらった。
ハイ・クォリティなベース・サウンドをクリエイトするEDENはMarshall傘下のベース・アンプ・ブランドね。
NATAL(ナタール)は1965年創業のイギリスのパーカッション・ブランド。現在ではMarshall社の傘下でドラム・キットを中心にビジネスを展開している。
犬神サアカス團、実はMarshall Blogには意外にも初登場なのだ。
なんかとっくにご登場いただいていてもいい感じなのだが、これがはじめて。大分前にちょっと接点があったんだけど、そのまま立ち消えてしまいましてな。
でも、縁ある者はこうして結局結ばれるのだ!
人間椅子の鈴木研一さんのリアルな青森弁のナレーションによって暗く悲しい、そして貧しく憐れなお百姓さんの物語が綴られる。これがオープニングSE。エキサイトするどころか、メッチャ滅入るわ~!
1曲目は「嘔気」。
スゲエ歌詞だ。
しかし、サウンドは実にソリッドなハード・ロック。Marshallのギターサウンドがピッタリだ。
2曲目に「浅草心中」。しかしよ~やるわ。
「♪アンタと暮らせるのであれば あたい毎日はたらくわ」…演歌ならまだわかるけど、こんなロックでネェ。黒岩重吾の世界?
そんなこととは関係なしにバシバシとリフやらソロやらを放りこんでくる情次兄さん!
Marshall Blogは昔からキャビネットの重要性を説いてきたけど、今でも論旨はまったくブレることはない。
このベース・キャビは一体なんだ?あんまりヌケ過ぎでしょう?!
キャビネット重視の理由は単純。「それが音を出しているから」…だ。
犬神ワールドをプッシュするクリスピーな明兄さんのドラミング!
ドラムもカッコいいんだけど、このバンドの曲はほとんど明兄さんによるもの。あのナイスガイの塊のような明さんが一体どういうつもりこれらの曲を書いているのか?その胸の内を訊きたいところだが、もうコワくて訊けない!
いいように鳴りまくるNATALメイプルの魅力に明兄さんもご満悦!ホント、ここのメイプル・キットは派手に鳴りますな~。それも、やはりブリティッシュの鳴りなんだな。Zeppelinの、Purpleの、Thin Lizzyらのドラムの香りだ。
今回はPro SeriesのDouble Bass Drum Pedalを踏んでもらったが、こちらも大好評だった。
恐るべしNATAL(ナタール)!
やっぱり単純にブリティッシュ・ロック派の私としてはもっとNATALでロックが聴きたいな~。
暗い…それにしても暗い。って会場がね。撮影に苦労したわ~。一番明るいレンズで明るい時に撮ってこうですからね。
でも、雰囲気出てるかな?
ニュー・アルバム『不確定性原理の悪夢』からは「ねむり姫」と「冒涜と呵責」が演奏された。
絶望的にそしてスリリングに展開する「冒涜と呵責」は目下私の一番のお気に入り。前半の不吉な盛り上がりと対比されるかのようなサビの悲しいメロディが実に印象的だ。
お客さんは大人しく見てるかと思ったら大狂乱よ!広くないスペースにみんな立って観てるもんだからすさまじい圧迫感よ!ま、これも芝居用の小屋ならではの雰囲気ということで…。
気持ちはあっても、心付けは出せませんが、凶子ねえさんのラ行は素晴らしかった。
「鬱病の道化師」、「光と影のトッカータ」…。
MCが少なめという今日のコンサート。アンコールを含めて全12曲が演奏された。おもしろかった!
犬神サアカス團は現在『「不確定性原理の悪夢」発売記念巡業』と銘打ったツアーの真っ最中。
ツアー・ファイナル、イヤ、巡業千秋楽は12月8日の渋谷O-WESTだ。お見逃しなく!
犬神サアカス團の詳しい情報はコチラ⇒公式家頁